2019年08月26日

「反戦」を狙うのか?

【私説・論説室から】
「反戦」を狙うのか?
2019年8月21日 東京新聞

公衆トイレに「反戦」と落書きした男性が罪に問われた。
軽犯罪法違反(拘留または科料)ではなくて、五年以下の懲役と定める建造物損壊罪−。
最高裁はそれを認め、初ケースとなった。二〇〇六年のことだ。  

「反戦ビラ」を東京・立川で配布した団体メンバーが逮捕される事件もあった。
一審は無罪。
形式的には住居侵入罪に当たるが、「法秩序全体の見地からして、刑事罰に処するほどの違法性はない」との判断だった。
だが、二審で逆転し、最高裁で罰金刑が確定した。
〇八年のことだ。

 いずれも当時の自衛隊のイラク派遣に反対する市民の意見の表明だった。
そのころは微罪逮捕が相次いだ。
四十年以上も政党ビラを配っていた僧侶が突然、住居侵入罪に問われたり、厚生労働省の職員が政党機関紙を配布したとして、国家公務員法違反で有罪判決を受けた。
 まるで反戦思想、「左翼」と呼ばれる人々を狙い撃ちにしたかのような取り締まりだった。

日弁連は当時、「表現の自由への重大な危機」を、国連も「懸念」を表明した。
たとえ微罪であっても積み重なると、社会ではモノを言うこと自体が萎縮し始める。
 今日では既に、首相の演説にやじを飛ばしただけで、警官に排除される時代である。こんな「表現の不自由」な社会を誰が望んだであろうか。 
        (桐山桂一)
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2019年08月25日

ネットのデマ拡散の恐ろしさ

ネットのデマ拡散の恐ろしさ、あおり殴打事件では別人を犯人扱い
2019年08月24日 SPA!

常磐道煽り運転事件は、恐るべき別現象をも生み出した。
それはネット上でのデマ拡散である。
 全国指名手配ののちに逮捕された宮崎文夫容疑者。
その車に同乗していた女は喜本奈津子容疑者であるが、逮捕前はその氏名が公開されていなかった。

 逮捕前日の8月17日、Twitterを始めとしたSNSでは、「同乗の女の本名はこれだ!」という情報が拡散されてしまった。もちろん、それは全くの偽情報であり、同乗の女とされた女性は宮崎容疑者とは一切関わりのない人物である。

◆「同乗の女」にされてしまった女性  
あらぬ疑いをかけられたこの女性、ここでは仮にAさんとする。
発端はAさんのInstagramでのアカウントを、宮崎容疑者がフォローしていたことにある。
それを伝って、ネット上のいわゆる「特定班」と呼ばれる人々がAさんの容姿をチェックし、「同乗の女に似ている!」と結論付けてしまったのだ。

 常磐道での暴行の際に喜本容疑者が身に着けていた帽子とサングラスが、Aさんのそれと似ているというのがその根拠である。
たったそれだけで、AさんのInstagramは大炎上してしまった。
本人への誹謗中傷も相次いだ。
その後、Aさんは自身が経営する会社の公式サイトの中で声明を発表。
被疑者がAさんであることを発信する者に対して法的措置を取るとした。
これはTwitterの投稿をリツイートした者も含まれる。

「ネット上のデマ」が社会問題として認知され、それに対する民事訴訟での判決事例も数年前より明確なものとなっている。にもかかわらず、未だこのような事態が起こってしまうのだ。

◆「金村竜一」は架空の人物
 なお、この常磐道あおり運転事件はもうひとつのデマがまとわりついていた。
あおり運転の男の名は「金村竜一」だ、という内容である。
 現時点の我々は、この男は宮崎文夫容疑者であることを知っている。
しかし宮崎容疑者が指名手配される前、特にTwitterでは「犯人は金村竜一」というデマが広まったのだ。

 この「金村竜一」は、先述のAさんとは違い架空の人物である。
が、冷静に考えれば「金村竜一」などという名は決して珍しいものではない。
全国のどこかにいる、同姓同名の金村竜一さんが濡れ衣を着せられてしまう可能性は大いにあった。
 なお、Aさんに関するデマが拡散したのは、宮崎容疑者の氏名が公表されて「金村竜一」が偽情報だということが判明した直後である。
ネットの恐ろしさを全く学習せず、デマからデマへ飛びついた者が一定数存在するということだ。

◆「苗字が一緒」というだけで…  
2017年に発生した東名高速道路あおり死亡事故。
この際もネットでのデマ拡散が問題視された。
この事故で逮捕された容疑者と苗字が同じというだけで、とある企業に誹謗中傷が殺到したのだ。
「容疑者はこの会社の社長の息子」という偽情報が広がったためである。
 もちろん、容疑者とこの会社は一切のつながりを持っていない。

発端はインターネット掲示板5ちゃんねるでの投稿だ。
「容疑者は実父の経営する会社に勤務している」とされ、Twitterにもそのデマが波及した。
 この会社は、デマを拡散した8人に対して計880万円の損害賠償を請求する裁判を今年3月に起こしている。
単純に考えればひとり当たり110万円だ。
最終的な賠償金額についての言及はここでは控えるが、この裁判がひとつの基準になっていくことは間違いないだろう。「ネットでデマを拡散したら、どれだけの損害賠償を請求されるのか」という基準である。

◆実在しない大学に「謝罪しろ」
 次に、上記の事案とは少し色合いの異なるデマ騒動をご紹介しよう。
2018年に飲食店を名乗るアカウントの、こんな投稿が拡散された。
「国際信州学院大学の教職員50名が、予約を無断でキャンセルした」という内容だ。
 飲食店で数十人規模の予約をして、結果的に連絡すら入れずキャンセルしてしまう。
確かにこれは悪質な行為だ。
Twitterでは「国際信州学院大学は謝罪しろ!」という論調の非難が殺到した。

 が、実はこの飲食店は現実に存在しない架空のもの。
しかも飲食店だけでなく、国際信州学院大学自体が「フェイク大学」である。
国際信州学院大学のホームページは存在する。
ところが、これは壮大かつ精巧なジョークサイトのようなもの。
 つまり「予約をドタキャンされた」という一連のやり取りは、徹頭徹尾フェイクだったのだ。
それにネットユーザーは躍らされてしまった。
なお、この国際信州学院大学のホームページは現在も更新されている。

◆デマを信じて逮捕される
 ネット上のデマを信じ、身を滅ぼしてしまった具体的な事例がある。
8月21日、埼玉県警は道路交通法違反(速度超過)で34歳の会社員男を逮捕した。
制限時速40kmの県道を78kmで運転していたというが、それだけで逮捕されるのだろうか?
 実は、男は警察署からの出頭要請を拒否し続けたのだ。
その理由が「上申書を書けば違反を逃れることができる」と思い込んでいたためで、これはネットで知った情報だと供述している。
 男は「ネットで見た上申書を送れば捕まらないと思った」と話しているという。
もしも男が素直に署へ出頭していれば、逮捕には至らなかった。
デマの鵜呑みは人生を棒に振るということを、その身をもって実証してしまった例である。

◆インドネシア報道官が語った「デマ回避術」
 が、どのような人でもネット上のデマをつい拡散させてしまう可能性はある。
「自分は絶対にデマに惑わされない!」という自信は、実は根拠のないものだ。
「デマは常に身近にある」ということを心掛けなければならない。

 今年7月に死去した、インドネシア国家防災庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ主席報道官は世界的に有名な人物だった。
日本と同じく地震や豪雨災害が相次ぐインドネシアだが、その度にネット上では悪質なデマが拡散されている。
2億5000万人の人口を抱えるインドネシアでは、スマートフォンの2台、3台持ちは珍しくない。
情報が伝わる速度は日本以上であると断言してもいいだろう。

 ストポ報道官は肺癌に侵された身体に鞭打ちながら、自らのTwitterアカウントで災害現場の画像の真贋を検証していたのだ。
 去年10月に首都ジャカルタの近海で発生したライオン航空墜落事故は、まさに「デマの呼び水」と化した。
「墜落直前の機内の様子を撮影した動画」が登場し、日本のニュースサイトもそれを紹介していた。
が、ストポ報道官はその動画は該当の事故と全く関係のないものと公表した。

その際、ストポ報道官はこのようなツイートも行っている。
 「衝撃的な画像や動画は君のところで止めよう」という内容だ。
ショッキングな内容の映像は遺族を傷つける者であると同時に、デマである可能性が極めて高い。
大衆の「知りたい!」という欲望が、非現実的な内容のデマを魔物にさせる。
デマの業火は他人のみならず、いずれ自分自身をも焼き尽くしてしまうのだ。
          <文/澤田真一>

【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター。
1984年10月11日生。
東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。
ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』
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2019年08月24日

玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判!

玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判!
「視聴率取れるからって国民を煽ってはいけない」
2019.08.23 LITERA

 衝撃を与えた韓国政府による軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄。
米国政府もポンペオ国務長官が「失望」を示すなど国際情勢への波及は必至で、日本政府も「安全保障環境を完全に見誤っていると言わざるを得ない」
「断固として抗議する」(河野太郎外務相)などと大慌てで批判している。

ネトウヨたちは「よくやった韓国ww」「これで国交断絶に近づいたwwww」などと高笑い。
この国を一色に染める“嫌韓ファシズム”はとどまるところを知らない。
 そんななか、きょう放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で、番組コメンテーターの玉川徹氏が、GSOMIA問題をめぐる報道について実に冷静な批評をしていた。

 番組では、朝日新聞の「韓国、「歓迎」「最悪」二分」という記事を紹介。
記事は、韓国与党の「共に民主党」の報道官が「協定を終了しても、実質的には韓半島の安全保障環境を害することはない。日本に対する断固たる態度は不可欠だ」と歓迎する一方、保守系の最大野党「自由韓国党」は「文政権は、国際情勢に目をつむり、安保のアマチュアであることを世界に宣言した」と批判、
さらにSNSでも「韓国より進んだ情報分析能力を持った国から情報支援を受ける手段を台無しにすることが、何の国益か」「我々だけが損をするのでは」という声が出ていることをあげて、GSOMIA破棄に対する世論の反応がまっぷたつに分かれていると伝えるもの。

 『モーニングショー』のスタジオでは、韓国世論は二分しているという報道について、まず、金曜レギュラーのノンフィクション作家・吉永みち子氏がこのようにコメントした。
「二分しているということは、とてもある意味健全だと思います。
やはり、全部一色になったときが一番怖いわけですよね。
むしろなんか日本のほうが一色になりつつあるというような心配もあるんですけども。
やはり、いろんな意見がこうやって出てくるということは、逆に冷静になりやすいんですよ。
いろんな考えがあるんだなということで、抑えられますけども。
韓国よりもいま日本の報道・言論の自由度は低いというような国際的な評価になっているようですから。
やはりこう言い辛いなというような雰囲気があると、なかなか世論がこういうふうに二分、三分の健全なかたちになっていかないことが怖いです」

 このコメントを受けて、MCの羽鳥アナが「損するじゃないと言っているのが韓国の国民で、いやいやいっちゃえいっちゃえというのが与党っていう。ここですよね」と玉川氏にふるのだが、すると玉川氏はこのように冷静に分析した。

「韓国の国民もそれはその歓迎する人も相当いるわけだから。
まさに韓国の世論の二分なんですけども。
僕はさっき吉永さんが日本の話をされましたけどね、こうなってくると、日本のほうがもしかすると感情的にはエスカレートしてるふうに僕には見えるんですね。
そうなったときに、今度はそれをメディアが煽る可能性がある。
つまり、いわゆる世論の大勢にメディアがつこうとする場合がある。
とくにテレビなんかがそうだから。
テレビは、視聴率だから、韓国に対して「けしからん」と言ったほうが視聴率が取れるんだったら、そっち側の流れ、低きに流れる可能性があるんですよね。
そうなると、やっぱりまた、それが国民の感情を煽っていく」

 玉川氏の言うように、感情的にエスカレートしているのはむしろ日本のほうだろう。
とりわけテレビのワイドショーなどでは連日「韓国けしからん」の大合唱。
安倍応援団コメンテーターたちが安倍政権の正当性を主張し、韓国に対しては文大統領にも韓国国民に対してもやれ「反日だ」「幼稚だ」などと喚き立てている。

現在の嫌韓報道を戦中のメディア状況に重ね合わせ警鐘を鳴らした玉川徹
 玉川氏は、そうしたマスコミが大衆の劣情を増幅する方向へ動き、冷静に諌めることをしなくなってしまっている現状を、戦中のメディア状況と重ね合わせて、このように警鐘を鳴らした。

「それを、やっちゃだめだっていうようなことは戦前、われわれは学んでるはずなんですよ。
ようするに不当に国民の感情を刺激してはいけない、冷静になることを呼びかけることが本来のメディアの役割だと僕は思っているので。
だから、そういうふうにある種、志の低いほうに流れていく(ことはよくない)。
本当にそう考えてやってるんだったらいいですよ。
そうじゃないけど、そっちのほうが視聴率取れるからっていうかたちで流れていくようなメディアがあったら、僕は残念です」

 まっとうな意見としか言いようがない。
本サイトでも伝えたように、実は玉川氏と同じようなことを、先日、久米宏氏もラジオで語っていた。
17日放送の『久米宏 ラジオなんですけど』で久米氏は、ワイドショーの日韓関係問題の取り上げ方について、反韓国的な意見を持つコメンテーターや識者ばかりが出演しているとして、「テレビが反韓国キャンペーンをやっているような匂いが、僕、少しだけするんです」。

そのうえで、このように苦言を呈していた。
「世論をね、なだめるような仕事をするのがマスコミの仕事じゃないかと思うんですけど、どうもね、最近ね、必要以上に韓国を非難している」
「もしかするとね、いま韓国を叩くとね、数字が上がるんじゃないかってね。
(中略)そうじゃなきゃ、連日やってるワイドショーもあるんですよ。
毎日、韓国叩きやってるんですよ」
「これ、たぶんね、数字がいいんじゃないかなって。
民放ってやりかねませんからね。
数字が良ければなんでも」

 マスコミの中心に身を置く玉川氏や久米氏が言うように、視聴率第一主義のワイドショーは「韓国叩きは稼げる」からこそ、毎日のように“嫌韓キャンペーン”を行っている。
その結果、国民の劣情はブレーキペダルをなくし、感情的な応酬が「GSOMIA破棄」という最悪のケースの一歩目を踏み込んでしまった。

玉川氏は番組のコーナーの終わりにこう語っていた。
「こういう結果として、何が得があるかっていったら、せいぜい嫌韓感情が満たされるぐらいのことしかない、いわゆる感情がスッとするぐらいのことしかないんですよ。
それ以外のは全部、損ですから。
得はないですから。
そうするとね、損得ばっかり言ってんのかって言われるんだけど、損得大事でしょ。
当たり前ですよそんなもん、経済大事に決まってんだから」

“嫌韓暴走列車”と化したマスコミを止めるには、まずは視聴者が冷静にならなければならない。
                        (編集部)
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☔| Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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