2012年01月08日

成人の日 苦難の時こそ好機と考えよう

成人の日
苦難の時こそ好機と考えよう
2012年1月8日01時07分 読売新聞


(大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い、励ます日)


祝日法は、あすの「成人の日」の趣旨をそう謳(うた)っている。


 新成人を迎える経済状況は厳しい。リーマン・ショックによる景気低迷をいったん克服したのに、大震災が発生した 東日本大震災からの復興を誓いつつ明けた今年、大人として歩み出す約120万人の新成人へ、大きなエールを送りたい。

さらに歴史的円高で、輸出関連をはじめ企業の業績にも明るい材料がない。高校などを卒業して社会人となっている人の中には、非正規雇用のまま安定した仕事に就いていないケースも多い。

大学生の就職は超氷河期の出口が見えない。

学生ならば、しっかりと将来を見据えて勉学に励み、社会人ならば、よりやりがいと責任のある仕事を志向しないと、自分を生かせる職場は得られない状況だ。

 大変な時に大人の仲間入りをするわけだが、後ろ向きに考えるだけでは展望も開けまい。

読売新聞の新年企画「日本あれから 幸せの座標」が、大震災以後、「働く意義」を問い直す動きを紹介している。


何か。日本生産性本部が今年度の新入社員に仕事に対する考えを聞いた質問に、96%の人が「社会や人から感謝される仕事をしたい」と答えた。

 働く幸せ、とは 社会に役立つ仕事を望む傾向は震災でより強まった、と大学関係者は指摘している。

被災地へ救援に駆けつけた自衛官、消防隊員や医療関係者、交通網の復旧にあたる作業員や駅員、物資を運ぶ運転手、必需品を絶やさずに売り続ける店員――それぞれに職責を全うする人たちの姿が数限りなくあったからだろう。

 企業の規模や知名度ではなく、「社会や人から感謝される」ことを基準にすれば、素晴らしい職業に出会う機会は必ずある。多少の回り道をしても、多くの経験を積み、可能性に挑戦するべきだ。

 冒険家の三浦雄一郎さんも
「今こそチャンスと考える若者にどんどん出てきてほしい」年頭の本紙で語っている。

「苦難の時代にこそ、新しい価値観を探し、何かを変えようとする力が湧くもの。


“復興元年”の新成人には、幅広く職業観を培い、人生を切り拓(ひら)いていってもらいたい。

 企業にも、新卒・既卒の区別なく年間を通じて採用するなど、柔軟な姿勢が必要だ。新成人を仲間に迎える以上、若者の意欲をきちんと見いだす責任があろう。
posted by 小だぬき at 11:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

週のはじめに考える 地方から国を変えよう

週のはじめに考える 
地方から国を変えよう
2012年1月8日  東京新聞社説

「地域のことは地域で」という地方分権が進みません。中央府省が抵抗し、自治体に戸惑いがあります。住民自ら動きだすことが、近くて確かな道です。


 地方分権の議論は実は古く一九八一(昭和五十六)年発足の臨時行政調査会から始まりました。のちに三公社の民営化につなげた「土光臨調」です。

その後、途切れることなく三十年余も議論が続いています。この間、国の機関委任事務が廃止され、議会の権限が強化されるなど少しずつ前進してきました。

民主党政権は、国が権限を分け与えるイメージを改めようと「地域主権」と名付け、改革に意欲を見せました。しかし…。

◆修繕より建て替え

 改革の本丸である国の出先機関の原則廃止は先送りされ、なお府省側の執拗(しつよう)な抵抗に遭っています。

一括交付金も中身があいまいなままで、二年目も完全実施はお預けです。

鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦首相と代わるにつれて、熱がだんだん冷めてきているような気がしてなりません。


 本年度はかろうじて、国が基準を決めている義務付け・枠付けの見直しが進みました。

でも例えるなら、家の土台が腐って傾いているのに、ドアや窓を修繕しているようなもの。

その土台こそ、国と地方の行財政システムです。もう建て替える時期に来ているのではないでしょうか。


 それならと、上がったのろしが大阪都構想です。大阪維新の会の勢いは止まりません。「このままではだめだ」という府民の思いをつかんだだけでなく、国をも動かそうとしています。何も大阪に限ったことではありません。

国民の多くが「仕組みを変えなければ」と考え始めています。

◆復興も「急がば回れ」

 東日本大震災の復興が被災自治体の主導で進みつつあることは評価できます。

前町長が犠牲となった岩手県大槌町では、八月に就任した碇川(いかりがわ)豊・新町長がボトムアップの復興計画づくりを決め、地区ごとの復興協議会が案を持ち寄りました。

合意形成に時間を要するけれど、「急がば回れ」でいいでしょう。自分たちの未来をじっくり話し合って決める、それは住民自治の原点です。自治体のオーナーは住民なのだから。


 こうした住民と行政の協働が各地で試行されています。地域委員会や市民討議会の類もそうです。

公共とはもちろん、行政だけのものではありません。自分ができることは自分でやる、それでだめなら地域社会や所属団体が支える、もしそれでもだめなら公的に支える−という「自助、共助、公助」の原則を再認識しましょう。

公助も、住民に一番近い自治体が担うべきです。ニア・イズ・ベター、近いほど良い、だから地方分権を進めるのです。


 一方で、存在意義が問われる議会の改革は待ったなしです。

自治体議会改革フォーラムの調査では、議会と議員の役割・責務を明記した議会基本条例の制定は過去四年間で二百件を超え、検討中を含めると四百件余といいます。一方、改革に取り組んでいない議会も依然四割あります。


 ある議員研修での出来事。講演後に町議から「で、何をすればいいのか」「モデルを教えてほしい」と質問が出て、あぜんとした講師は「それを考えるのが議員でしょ」と言いたいのをぐっとこらえて、「あなた方がぜひモデルに」と答えたそうです。首長の追認機関から早く脱皮してもらいたいものです。


 期待したい動きもあります。地方から国を変えよう、と百人を超える地方議員が集まった「龍馬プロジェクト」。全国会会長を務める大阪府吹田市議会副議長の神谷宗幣さん(34)ら数人の呼び掛けから始まりました。


 無関心の壁を越えようと住民、特に若者の意識変革から実践しているところが、期待したい理由です。

目標は維新の会の橋下徹代表と似ていますが、「カリスマでなく地に足のついた改革を」(神谷会長)と言います。

仲間から鈴木英敬・三重県知事や山野之義・金沢市長ら首長も輩出し、次は国政を目指すとのこと。次期衆院選で打ち出す政策に注目したいです

◆理想像は「地方政府」

 地方分権が成り立つには、地方税財源を確保するための抜本改革が避けられません。自治体の課税自主権も拡充しなければなりません。

一昨年の地域主権戦略大綱に、自治財政権を確立した「地方政府」という概念が盛り込まれました。これが理想像でしょう。


 併せて、都道府県は必要なのか。道州制が望ましいのか。過疎の自治体をどう守るのか−。これまで提言止まりの課題が山積みです。国の議論が進まないなら、地方が率先しようではありませんか。でなければ、この国の未来は描けない気がしてなりません。

posted by 小だぬき at 08:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする