2012年01月31日

頑張っているけれど…大人のADHD<中> 治療と自助活動 診療態勢づくりが急務

頑張っているけれど…
       大人のADHD<中>
治療と自助活動 診療態勢づくりが急務
2012年1月31日   東京新聞

 大人になってから「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の可能性に気づいても、専門の医療機関は非常に少なく、治療薬の使用にも制限がある。

診療態勢の充実が求められる一方、特性を知って自ら対処しようという当事者グループの活動も増えている。 (竹上順子)


 東京都内に住む女性(38)は六年前、ADHDの診断を受け、衝動性や不注意などを和らげる薬を処方された。集中力が増すなど症状は改善したが、翌年、この薬を使える疾病が厳しく制限され、ADHDの治療に使えなくなった。

専門クリニックに通ってみたが、受診希望者が多くて待ち時間も長い。薬ももらえないため通院をやめた。


 日本では現在、成人のADHD治療薬は承認されていない。十八歳未満の子ども向けには二種類の治療薬があり、十七歳までにADHDと診断され、薬を使っていれば十八歳以降も「継続使用」はできる。成人向け治療薬は現在、治験中だ。


 女性は現在、職場での悩みから不安障害となり、近所の心療内科のクリニックに通う。

「頑張ってもうまくいかないのはADHDの影響も大きいと思う。大人も早く治療薬を使えるようにしてほしい」と訴える。

     ◇

 ADHDはこれまで、小児期の発達障害と考えられてきた。そのため、大人に対する診療態勢づくりは始まったばかりだ。

診断基準もこれまでは小児向けのものが使われてきたが、大人になると変わる症状もあることなどから、厚生労働省の研究班が、米国の成人の診断面接法を基に日本語版を作成しており、三月に公表し、出版する予定だ。


 主任研究者の中村和彦・浜松医科大精神神経医学講座准教授は「ADHDのある人には他の発達障害があるケースも多く、適切な対応のためには、しっかりと診断することが大切」と話す。


 中村さんらの疫学研究では、日本の成人の約2・1%にADHDがあるとみられる。だが長年気づかず、うつ病などの二次障害で医療機関を訪ねる人も多く「医師にも広く知ってほしい」と話す。

     ◇

 診断の有無にかかわらず、ADHD的な特性が原因の困り事に、工夫で対処していこうという活動もある。

NPO法人「えじそんくらぶ」は、ADHDの理解に加え、弱点の克服や長所を伸ばすための支援として、特性や生活の工夫などの情報を、冊子や講座などで提供している。


 最近は、心が楽になる考え方や気持ちの伝え方、怒りへの対処法などを学ぶ「ストレスマネジメント講座」が人気という。自身もADHDがある高山恵子代表は「当事者や家族の生活の質を高めるのが目的。ADHDの人がつまずきやすい点には配慮しているが、どんな人にも役立ててもらえる」と話す。


 コミュニケーションに焦点を当てているのが、東京都成人発達障害当事者会「イイトコサガシ」のワークショップだ。参加者は少人数のグループをつくり、うち二人が一定のルールに従い、決まったテーマで話す。残りの人たちは、会話が終わった後に、二人の良かった点だけを挙げる。


 狙いは、コミュニケーション上の失敗が多く、自己肯定感が低下しがちな当事者に、自分の良さや可能性に気づいてもらうこと。主宰者の冠地情(かんち じょう)さん(39)は「コミュニケーションを楽しく試す場を提供したい。家族や支援者も、交流して当事者を理解してほしい」と話す。


 ワークショップは東京以外でも開催する。HPは「イイトコサガシ」で検索。えじそんくらぶのHPでは、ADHDについての冊子を無料でダウンロードできるほか、各地の当事者や家族の会も紹介している

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香山リカのココロの万華鏡:悲しんでいい 

香山リカのココロの万華鏡:悲しんでいい 
毎日新聞 2012年1月31日 東京地方版

家族との別れ、重い病気の宣告、突然の災害。人生にはつらいできごとがいっぱいだが、そこで心が折れそうになった人をどうするか、という問題について、心の専門家は意外にきちんと考えてこなかった。

精神科医など専門家の仕事はあくまで「病気を治すこと」であり、「母親が亡くなってつらい」と言われても「誰もが経験することなんだから、がまんしなさい」などと答えてきたのだ。


 しかし、とくに災害や犯罪、自殺などで突然、家族を失った人や子どもをなくした親には、特別な心のケアが必要であろう。やっと最近になって、その「グリーフ・ケア(悲嘆にある人のケア)」に取り組む動きが活発になってきた。


 実は日本には、長くグリーフ・ケアの重要性を訴えてきた人たちもおり、上智大学グリーフケア研究所所長の高木慶子さんもそのひとり。

カトリックのシスターとして多くの傷ついた人たちの中で「人生の中で経験する大きな悲しみへの専門的なケア」の必要性に気づいた高木さんは、その後、実践、研究、専門家の育成とこの分野をリードし続けている。


 先日、高木さんにお会いしたところ、昨年から今年にかけて執筆した本を4冊もくださった。大震災による大きな喪失を受けて、各出版社から高木さんへの執筆依頼が殺到しているのだ。興味深いことに、4冊のうち3冊は、タイトルに「悲」という漢字が入っている。


 「悲しんでいい」「悲しみの乗り越え方」などだ。

グレーのシスタールックに身を包みながらいつも少女のように目がキラキラしている高木さんも、こう言っていた。

「“悲しんでいい”だなんてそんなタイトルの本、売れないんじゃないですか、と言ったの。そうしたら編集者さんが“いいんです、いまこのことが求められているんです”って」


 おそらくこれまで私たちは、相当にやせがまんをしてきたのだろう。

しかし、ショックなことや耐えられないほどの苦しみが襲ってきたときは、無理をして平気な顔をしている必要はない。

「つらいんだよ」と口に出し、「わかるよ、たいへんだね」と声をかけ、その人の涙が乾くのをみんなでゆっくり待ってあげる。考えてみれば、これはかつて私たちが日々の暮らしの中で、ごく自然に行ってきたことだったはずだ。


 「元気出してね」もいいけれど、ときには「元気じゃなくてもいいよ」と言ってみる。自分でも「今日は元気じゃないんだよね」と素直に言える。きっとそれがグリーフ・ケアの第一歩なのだろう。

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太平洋プレート:内部で力の向き変化 大地震発生しやすく

太平洋プレート:内部で力の向き変化 大地震発生しやすく20120131k0000m040134000p_size5.jpg
毎日新聞 2012年1月31日 3時00分 

東日本大震災後、宮城、福島両県沖の太平洋プレート(岩板)内部にかかる力の向きが変わったことを、海洋研究開発機構の尾鼻(おばな)浩一郎主任研究員(地震学)らが観測で初めて突き止めた。

プレート内で大地震が発生しやすい状態になったといい、観測体制の強化が急がれそうだ。31日付の米地球物理学連合の学術誌に発表した。

 東北地方は北米プレート上にあり、その地下には太平洋プレートが潜り込んでいる。大震災は両プレートの境界で発生した。


 同機構は震災後、太平洋プレート内部を震源とする地震が増えたことに着目し、同プレート上の海底(東西約80キロ、南北約150キロ)に地震計20台を設置。昨年4月下旬から約2カ月間の調査期間中に発生した地震のうち、仕組みが判明した50個を解析した。


 その結果、震源は深さ10〜40キロに分布し、ほとんどが左右に引っ張り合って断層がずれ落ちる「正断層型」と分かった。

一方で、圧縮されて断層がせり上がる「逆断層型」は一つもなかった。


 震災前の観測では正断層型は深さ約20キロまでで、それより深い場所では逆断層型だった。

この変化の影響で、地殻の割れは通常深さ20キロ付近で止まりプレート内地震は大地震になりにくかったが、今回の変化で40キロまで割れが到達可能となり、マグニチュード8級の大地震が発生しやすくなったという。
【西川拓】


posted by 小だぬき at 06:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする