2012年03月08日

忘れかけていた純粋さ

忘れかけていた純粋さ

2012年3月7日  東京新聞論説室から(佐藤次郎)

 去年、ことしとマラソン界の話題をさらった川内優輝選手。

ロンドン五輪代表は難しくなったようだが、それはともかく、この若き走者がもたらした印象は鮮烈だった。

何より、スポーツにふさわしい純粋さを見せてくれたのが嬉(うれ)しい。


 公務員として働きながらたった一人でトップの一角に食い込んできたことがもてはやされているが、彼の魅力はそんなドラマ性だけにあるのではない。

カネや知名度アップなどの利害得失には関係なく、自分のやりたいことをしっかりと見据えて可能性を追い求めていこうとする、まさに純粋で真摯(しんし)な取り組みこそが素晴らしいのである。


 いまやスポーツはどの面でもビジネスと密接につながっている。

主要大会はどれも一大ショーと化しているし、選手はプロ、あるいは実業団のように実質的なプロでなければトップクラスには入れないとされている。

確かにそれはそうなのだろう。ただ、そうした傾向がすべて善なわけではない。

カネの面だけでなく、本質とは関係ない要素があまりに多すぎるのがいまのスポーツ界だ。

川内優輝の走りは、皆が忘れかけていたものをふと思い出させてくれたように思う。


 その奮闘は他への強い刺激ともなった。五輪選考会で有力候補以外の伏兵が次々と好走したのにも川内効果が影響していたに違いない。それだけでもメダル級の貢献というものだ。 

posted by 小だぬき at 08:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする