2012年03月21日

度を越すと矢はあらぬ方へ

度を越すと矢はあらぬ方へ
2012年3月21日  東京新聞 私説・論説室から(谷政幸)

毎週末、弓道場に通うようになって一年がたつ。


 初体験の格式張った伝統武芸。ちょっとしたはずみで仲間に加えてもらった。


 しきたりはなにかとやかましく、いい年をして、にらまれたり、叱られてばっかりでも、たまに矢の的中する快感がこたえられず、飽きずに続いている。


 稽古始めには弓の心得を合唱する。告白するが、厄介な丸暗記より壁に掲げられた字面を目で追うのが常で、見回せば自分だけ“くちパク”だったり。後ろめたいことこの上ない。

 が、誰かにとがめられたことはない。言っても無駄とみられているか、払う敬意に偽りなきことが理解されているか。いずれにせよ「大人の関係」が潤滑油になって場の平穏を保つ。


 そんなおおらかで自由な立場からすると、とても気の毒に思えてしまうのが大阪の学校の先生たちだ。


 報道によれば、府立高校の卒業式で「君が代」を歌っているのかどうか、校長に口元を監視されていたそうである。


 口はちゃんと動いているか、ただパクパクしているだけか、それをいい年した大人同士が、チェックし、されるなんて…。造反先生どころか、まともに歌っていた順法先生だって気分が良かろうはずはない。


 市職員の思想調査でも指弾された橋下徹大阪市長に重ねる、弓の教えを一つ。


 余計な力や度を越す雑念が入ると矢はあらぬ方向へ飛んでいく。

posted by 小だぬき at 08:51| Comment(10) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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