2012年03月29日

消費増税了承 結論ありきで禍根残す

消費増税了承 結論ありきで禍根残す
2012年3月29日    東京新聞社説

 民主党が消費税増税法案を了承した。

前原誠司政調会長は未明に打ち切った事前審査で一任を取り付けたとしているが、増税反対派は議論の続行を求めている。増税の結論ありきで禍根を残した。


 消費税増税法案の国会提出前の事前審査は通算八日間、合計四十六時間に及んだ。これだけの時間を費やしても、反対派を説き伏せられなかったことは、消費税増税をめぐる対立の根深さを物語る。


 党員資格停止中の小沢一郎元代表に近い議員たちが増税反対派に多いが故に、「親小沢」対「反小沢」の主導権争いにも見えるが、国民から政権を託された二〇〇九年衆院選のマニフェストにないことをやろうというのだから、強硬な反対意見が出るのも当然だ。


 反対派の抵抗で「経済状況の好転」という増税実施条件が入ったが、実質2%成長の実現は前提でないという。さらなる増税をもくろむ「再増税条項」が削除されたのがせめてもの救いなのだろう。


 社会保障と税の「一体改革」と銘を打ったのだから、消費税率を引き上げるのなら、国民が安心できる、持続可能な社会保障の改革案を示すのは当然のはずだ

 しかし、これまでの国会論戦でも、長時間にわたる民主党内議論でも、何のために消費税率を引き上げるのか、引き上げの前提となる社会保障とはどんなものか、さっぱり明らかにされていない。


 社会保障改革と切り離し、とにかく消費税率引き上げの前例をつくろうとするだけなら、野田内閣が、消費税率引き上げを悲願とする財務省の走狗(そうく)に堕したと批判されても仕方があるまい。


 マニフェスト違反と知ってか知らずか、消費税増税ばかりを訴え、政府や国会の無駄をなくすことに不熱心な与党議員の姿には慄然(りつぜん)とする。

増大する社会保障費を賄うためいずれ消費税増税がやむを得ないとしても社会保障の未来像を描いたり、政府や国会が身を削ったりと、その前にやるべきことは山ほどあるはずだ


 直近の共同通信世論調査で、消費税増税に反対する人が56%と前回調査より増えたのも、増税ばかりを先行させる野田政権への不信感の表れではないのか。


 野田佳彦首相は消費税増税法案を三十日に閣議決定する。この流れが止められないのなら、せめて国会審議の中で、増税前にやるべきことを議論し、実現に努めてほしい
それが国民から負託を受けた者の最低限の役目である。

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いじめ問題、認めぬ学校側 隠蔽という2次被害

ニュースUP:追跡 
いじめ問題、認めぬ学校側 隠蔽という2次被害
毎日新聞 2012年3月28日 大阪朝刊
                        社会部・亀田早苗

 
<おおさか発・プラスアルファ>


 神戸市内の小学校で05年度、同級生からいじめを受けた小学5年生の男児(現在17歳)が損害賠償を求めた訴訟で、裁判所がいじめを認定した後も被害者の父親(48)らが神戸市教委に働きかけを続けている。

市教委が「いじめと断定できない」と裁判所に提出した調査の回答書が「虚偽で、納得できない」という。改めて現場から報告する。


 ■審査打ち切り


 「一枚の書類になぜここまでこだわるか、親の思いをどうか考えていただきたい」


 神戸市議会の文教経済委員会に先月、回答書を虚偽だと認めさせるよう3回目の陳情をした市民団体「全国学校事故・事件を語る会」の西尾裕美さん(54)が訴えた。

「虚偽文書を作成・提出し、いじめ・恐喝行為を隠蔽(いんぺい)しようとした事実を認めさせ」るよう、市教委に指導を求めるなどしてきた。
会のメンバーでもある父親は傍聴席で見守った。だが、審査は打ち切りとなった。


 大阪高裁が09年12月に出した判決では、加害者3人の保護者計5人に慰謝料など計110万円余りの支払いを命じた。05年4月〜06年2月、日常的な暴力、金銭の恐喝・たかり行為などを認めた。

恐喝・たかり行為には、和解などが成立した児童を含め計7人が加担したとされ、被害金額は計約50万円に上った。


 回答書は、1審の最中だった08年2月、神戸地裁に出され「いじめ・恐喝の事実があったか断定できない」とした。被害者の保護者の要望で本人に直接事実確認ができなかった
▽被害者が恐喝事件として警察に届け出、取り調べが始まった
▽被害者が転校−−などから調査続行が困難になったとしている。


 ■「校長の涙」どこへ


 父親は裁判中、この内容を知って驚いた。学校側はいったん、被害者である少年と父親にいじめを認めたからだ。

当時の校長が市教委に、文書で報告している。学校側はいじめ発覚翌日から関係者の家を回って事実確認をした。学年集会を開き、5年生全員に見聞きしたことを書かせた。校長はその結果を被害者と両親に報告し、「かわいそうに」と涙を流し、いじめを認めた。


 父親は、本人に直接話を聞かないように要望したことはなく、転校後も学校に出向き面談したことがあったことなどを挙げ、「文書は虚偽」と強く訴える。

一方、市教委側は、委員会などで「被害者側の主張と学校側が調査できたことに食い違いがあり、それを埋めるだけの調査ができなかった」と繰り返す。

校長が06年3月に市教委に提出した文書には、いじめや恐喝の加害児童の人数も書かれている。判断を覆した理由については「記録がないので分からない」「既に退職した外部の人なので問い合わせるつもりもない」と、木で鼻をくくったような回答だ。


 私は何回か、いじめによる自殺を取材した。どのケースも学校が「2次被害」を起こしていた。発生当初だけは謝罪することがあるが、「なぜ命を落とさなければならなかったか」と調査を求める遺族に言を翻して事実を隠したり、沈静化を図る過程で孤立させたりする。今回は被害者が自殺に至るような事態は避けられたが、構図は同じだ。


 被害少年はいじめ発覚直後、担任と生活指導の男性教諭2人と面談したが、「なぜ早く言わなかったか」と何度も問い詰められ、「いじめられる方にも責任がある」などと言われた。

加害者側の陳述書によると、学校側は加害者の親に、脅したのではなく「お金をもらった珍しいケース」などと説明し、いじめたことには触れなかった。被害者の保護者を中傷する発言まであったという。

被害者家族はいじめ問題から、転校を余儀なくされた。

父親が採った面談の音声記録によると、校長は書類を取りに行った父親に、「いじめという理由を書き換えなければ(転校に必要な)校長印を押せない」という趣旨のことを言ったという。校長に取材したが、「守秘義務があるので応じられない」と話した。


 ■苦しむ人の助けに


 全国学校事故・事件を語る会の代表世話人で、中学校教諭の内海千春さんは「被害・加害双方に異なる説明をするのは生徒指導上、一番まずい対応だ」と話す。

「必要なのは、いつ、どこで、だれが、何をしたという具体的事実。それが揺らいではいけない。
調査には親や行政機関の圧力に負けない専門性と力が必要だ。その上で学校がどう考えるという判断を保護者に伝えなければ」と指摘する。

「学校は、少数派である被害者側を黙らせようとすることが多い。このケースは象徴的だ」と話す。


 被害少年は裁判所に提出した陳述書で、いじめられた体験を「自分が本当にどうしようもなく、世の中にいてもいなくてもいい存在に思えてくるのだ」と記した。
死を何度も考えたが、今はいじめで苦しんでいる子どもたちに対し「絶対に自殺をしないこと」とアドバイスする。

学校や加害者はすべて被害者を悪者にする。生きている僕にさえ、学校や教育委員会は、ありもしないことを、公の場で平気で言うのだから」という。


 父親は市教委に訴え続ける理由を「学校の対応のひどさを明らかにしたい思いがある」と話す。
いじめ問題で裁判に発展するケースでは、被害者が自殺して当事者から話が聞けないケースも多い。それでも裁判で闘う決意をする親たちに参考になれば、という思いもあるという。


 文科省は学校に10年11月、アンケートなどでいじめの早期発見に努めるよう求め、昨年6月には、いじめ自殺が起きた場合、学校・教委が適切な背景調査をするよう通知した。

原因を分析し、再発防止を図る狙いだという。しかし現状では、学校側の調査・指導能力に疑問を感じざるを得ない。


 「いじめ体験を思い出すと精神的に不安定になることがある」という少年から、直接話は聞けなかったが、将来、学校の先生を志望しているという。父親は「学校を変え、いじめられる子どもの力になりたいという思いがあるようだ」と話す。

posted by 小だぬき at 05:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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