2012年07月31日

社説:日本の政治 いつまで内向きなのか

社説:日本の政治 いつまで内向きなのか
毎日新聞 2012年07月31日 02時30分

秋田犬とシベリア猫のプレゼント交換のほかは残念ながら目に見える成果はなかった、と言っては言い過ぎだろうか。

黒海沿岸の保養地ソチを先週末訪れた玄葉光一郎外相はロシアのラブロフ外相、プーチン大統領とそれぞれ会談した。
外相会談では北方領土交渉の継続を申し合わせたが、浮き彫りになったのは双方の立場の深い溝だった。


 その象徴が「法と正義」という言葉を巡る解釈である。


 これは93年に日露首脳が署名し、領土交渉の基盤となっている東京宣言に盛り込まれたキーワードだ。
日本側は「両国間で合意のうえ作成された諸文書」などを踏まえ「法と正義」を根拠に北方四島の返還を求めているが、ラブロフ外相は「第二次大戦の結果が国連憲章の中で定められている。
ロシア国民にとってそれこそが法と正義の原則の表れだ」という理屈で反論した。


 また、メドベージェフ首相が今月初めに国後島を訪問したことに遺憾の意を伝えた玄葉外相に対して、ラブロフ外相は要人の北方四島訪問を続ける考えを示すなど、主張はまったくの平行線だった。


 ロシアの言い分は、戦争の結果としての領土の最終処理は平和条約で行うものだ、とする日本側の立場と相いれない。

要人の北方領土訪問を続けて日本側を挑発するような姿勢も、今回の外相会談で確認した「相互信頼と静かな環境」の下での交渉という合意に矛盾する。

言葉と行動に大きな隔たりがあるのが、日露関係の現実なのである。

ロシア側の強硬姿勢をなじるのは簡単だ。
だが、日本の近年の政治混迷が、ロシアに付け入られるスキを見せてきたことも事実だろう。
首相が毎年のように代わり、一貫した外交方針を持てない政権を相手に、先方が真剣な外交交渉に応じると考えるのは甘すぎないか。


 要は、政争に明け暮れているうちに国家の統一した意思と戦略が見えなくなっているのだ。


 今に始まったことではないとはいえ、重要な国際会議を日本の首脳が欠席したり、日程を短縮したりするケースが目立つ。

最近も、20年夏季五輪の東京招致を閣議了解していながら、アピールの機会だった野田佳彦首相のロンドン五輪開会式出席は、国会最優先を理由にあっさり見送られた。
これは一つのエピソードにすぎないが、政権全体、政党、国会のすべてに、世界とかかわろうという意識が希薄な証左でもある。


 日露関係だけではない。

揺れる日米関係や困難さを増す日中、日韓関係も、絶え間ない内向きの権力闘争からは、前向きに切り開く力も知恵も生まれてはこない。

posted by 小だぬき at 08:15| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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