2012年09月02日

自助と共助―まずは迷惑をかけあう

自助と共助―まずは迷惑をかけあう
2012.9.2   朝日新聞社説

「支え合いマップ」を知っていますか?


 数十世帯単位のご近所で、住民一人ひとりが参加し、「おつき合い」の相手を線で結ぶ。いわば「共助の地図」だ。


 全国で地域福祉のアドバイスをしている木原孝久さん(71)が20年前から提唱し、市町村や社会福祉協議会の担当者や民生委員らの間で広がってきた。


 
合言葉は「助けられ上手になる」である。


 マップで線が引けない人は地域で孤立し、災害時に逃げ遅れたり、病気で孤独死したりするリスクが高いことがわかる。


 そんな事態を防ぐには、住民が常日頃から、自ら「助けて」と声をあげる必要がある。それが本当の意味で、自分の命を自分で守る「自助」だ


 「自分の困りごとを表に出すのは恥ずかしい」と思いがちだが「助けられる人」がいて初めて、「助けたい人」の力が引き出される。
自助と共助は裏表の関係なのだ。


 最大の壁は「人に迷惑をかけてはいけない」という意識である。
日本人は、問題を自分や家族のなかで解決することが自助と教え込まれてきた。


 たとえば自民党が、5月にまとめた社会保障に関する「基本的な考え方」には、そんな常識が色濃い。


 「家族内の精神的、経済的、物理的な助け合い、すなわち『家族力』の強化により『自助』を大事にする」とうたう。

 まずは家族内でなんとか始末をつけよ、と読める。


 だが、現実はどうか。

 高度成長期、大量の労働力が地方から都市へと流入した。
地縁・血縁が薄れ、核家族化がすすみ、さらに高齢化で単身世帯が急速に広がっている。


 「家族は大事だ」という道徳論で、きずなが復活し、孤独死や虐待が解消するだろうか。


 むしろ、プライバシー尊重の名のもとで「引きこもり」を助長し、共助を妨げるおそれさえあると、現場の経験は教える。


 かたや財政悪化を背景に、税金による公助にも限界が見えている。

「家族内の自助」の強調は、裏づけのないまま「福祉の充実」を言い募ってきた政治の敗北宣言という側面もある。


 「自助・共助・公助の最適バランスに留意し、自立を支援する」。
民主、自民、公明の3党は、こんな考え方の社会保障制度改革推進法を成立させたが、中身の議論を深めないまま、国会は機能を停止した。


 こんな時だからこそ、有権者自ら、「自助」や「自立」の意味を考えたい。

posted by 小だぬき at 08:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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