2012年09月20日

SAPIO 「新・大東亜共栄圏」で中国抜きの繁栄構想を提唱

SAPIO 「新・大東亜共栄圏」で中国抜きの繁栄構想を提唱
2012.09.20   ※SAPIO2012年10月3・10日号

 国際情報誌・SAPIOが9月20日発売号で『「新・大東亜共栄圏」中国抜きの“アジア繁栄構想”を提唱する――』との大特集を打ち出した。
その狙いは何か、以下は同誌の巻頭言だ。

 * * *
 本誌は敢えて「禁句」を提唱する。


 日本の戦後論壇では、日本を「アジアの盟主」と呼んだり、「アジアの共栄圏」を唱えたりすることはタブーとされてきた。
もちろん、先の大戦の反省と贖罪のため、「忍び難きを忍」んで言葉を呑み込んできたからだ。


 その間、戦争の大義を勝者の論理で押し殺された恨みは深く国民に沈澱し、反動から「禁句」をことさら口にする論客ももちろんいたが、結果、世界と日本人にその思想の中核が理解されることは難しかった。
だから「敢えて」なのである。


 いまアジアは大きな岐路に立っている。日本の敗戦という大きな断層があったにもかかわらず、過去100余年間、アジアの発展の先頭を走り続けてきたのは常に日本だった。
いまや「日本、恐るるに足らず」と鼻息荒い中国や韓国も、戦中のインフラや教育の整備のみならず、戦後も敗戦国たる日本からの援助によって近代化を進めざるを得なかったのが実情なのだ。

 ところが、その中国、韓国の台頭によってアジアのパワーバランスは崩れた。
時同じくして、日本が先進国、大国ゆえの変革の必要性に一歩早く迫られたことで、「我こそは新・アジアの盟主」と肩をいからせる国が、領土、経済、外交で幅を利かせ始めている。


 一方で、戦中に日本が開発に国家の命運を懸けた東南アジアは、ようやく高度経済成長期を迎えており、EUに次ぐ巨大経済連合の姿が見え始めた。文化圏、経済圏は少し異なるが、インドの急成長も周知の通りである。


 
残念なことに、尖閣・竹島問題を見ても明らかなように、中国、韓国が歴史を捏造してまで日本を敵視する姿勢を続ける限り、日中韓の連携によるアジア共栄の道はなかなか難しい。
が、それを「石の上にも三年」と待ち続ける時間は、日本の現状からも東南アジアの成長スピードから考えても、もはやない。

 この複雑な連立方程式の解こそ、今の時代に求められる「新・大東亜共栄圏」である。
要らぬ批判を受けぬために銘記しておきたいが、これはいたずらに中韓を敵視するものではない。
しかし、本来なら手を携えてアジアの発展に尽力すべき両国が、その道を好まぬなら、ひとまずそちらは時間がかかるものと覚悟し、まずは伴に歩める国々と先に進むしかあるまい。

冒頭に引用した「玉音放送」の一節はあまりにも有名だが、同じ詔勅のなかで昭和天皇は、こうも述べている。

「米英二国に宣戦せる所以もまた実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾するに出て、他国の主権を排し、領土を侵すが如きは、固より朕が志にあらず」


 
豊穣な自然と勤勉な人々、地政学的な要所を抱くアジアは、発展の後れゆえに先を行く国々に常に翻弄されてきた。

先の大戦の大義が欧米列強からのアジアの自立自存にあったとすれば、現代はむしろ同じアジアにはびこる新・帝国主義からの自立自存が必要かもしれないことは悲しむべき皮肉だ。

 反論も大いに歓迎したい。
今こそタブーを排し、「新・大東亜共栄圏」の在り方を論じる時だ。

posted by 小だぬき at 17:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サンデー時評:「日本維新の会」、よくわからない

サンデー時評:「日本維新の会」、よくわからない

2012年09月19日
 ◇岩見隆夫(いわみ・たかお=毎日新聞客員編集委員)

作家の渡辺淳一さんが、「橋下クンに総理をやらせてみたらどうか」という一文を『週刊現代』六月二日号に寄せたのを読んで意外に思ったことは、以前当コラムに書いたことがある。


 渡辺さんは、

〈いまの閉塞したニッポンを変えられるのは彼しかいない〉

 と断じ、理由として迫力と色気をあげていた。
私には作家的感性がないから反論しにくいが、冷やかしでなく本気でそう感じているのだろうか。


 三十年ほど前、毎朝、通勤電車のなかで
、渡辺さんの新聞連載小説『ひとひらの雪』を読んだ記憶がある。男の恋愛心理を描く達人だと思った。

 いまは確か七十八歳になられる。私より少し年長だが、医者でもある高齢のインテリ作家の目に、橋下徹大阪市長がなぜそこまで魅力的に映るのか、不思議で仕方ない。


 迫力と色気というが、男性一般と政治リーダーの場合では当然意味合いが違ってくる。甘い顔のやさ男で話術にたけた橋下さんは、一般男性としてそれがある。だから、タレント弁護士で売れ、テレビ画面に再三登場し、〈ナニワの寵児〉のもとになった。

 だが、国家を経営する権力者としての迫力と色気がいまの橋下さんにあるかと言えば、ない。ない、が言い過ぎだというなら、極めて薄いというしかない

戦前の首相で言えば、
犬養毅さんは〈オオカミのごとく〉と言われ、
浜口雄幸さんは〈ライオン〉の異名がついて回った。
だが、犬養さんは天下の才人として、浜口さんは鈍重そのものの重量感で、指導者独特の迫力と色気を備えていた。
面相でなく、身辺からにじみでてくるものである。


 戦後の代表格はやはり田中角栄さんだろう。ほかにもいろいろいる。

  ところが、今年元日付の『産経新聞』が、有識者約千人にネット調査で、〈理想的なリーダーは誰ですか〉と問うたところ、(1)坂本龍馬(2)織田信長(3)徳川家康(4)小泉純一郎(5)橋下徹がベスト5だった。


 現役では橋下さんがトップ、田中さんは九位に追いやられ、石原慎太郎東京都知事は十三位。その後の各種世論調査も似たような傾向を示している。


 となると、渡辺さんの〈橋下首相論〉は世間の空気を代弁したことになるのだろう。しかし、私は危なっかしいものを感じる。日本が内外ともに国難的状況にあること、にもかかわらず既成の諸政党にはパンチがなく、旧態依然の政治手法にかまけていること、そこまでは、まったくその通りである。
しかし、だからといって〈橋下さん〉と声をかけるのは、飛躍がある。

 ◇価値観・方向性の一致? やはり「政策」だろう

 橋下さんが率いる地域政党の大阪維新の会は、九月八日、大阪市内の全体会議で、日本維新の会という名称の国政政党を設立、次期衆院選で国政に進出する方針を決めた。

全小選挙区(三百)と比例代表(百八十)に、計三百五十人から四百人を擁立し、過半数(二百四十一)の当選を目指すという。
この時点で維新の国会議員はゼロ、のちに自民、民主、みんな三党の衆参議員七人が参加して政党資格要件(国会議員五人以上)を満たした。


 確かに、〈比例代表でどの党に投票するか〉という世論調査の設問に対して、六月段階では維新が第一党に躍り出たこともあったが、最近はやや沈静化して自民党につぐ第二党に収まっている。
それでもすごい人気で、選挙予測のプロが数十議席から百議席前後をはじいているのもわからないではない。民主党首脳の一人は、

「細川さん(護熙・元首相)のケースがありますからねえ。ひょっとしたら、ひょっとする」
 と私につぶやいた。


 細川さんの場合、熊本県知事を辞めたあと、一九九二年五月、日本新党を旗揚げし、翌九三年七月の衆院選で三十五人当選させ(第五党)、そのまま連立政権の首相に就任した異例のケースである。
政党間の力関係から、意外な展開になったのだ。


 橋下さんはいまのところ、衆院選に出馬しないと言い切っているから〈橋下首相〉はありえないが、しかし、これまでの豹変歴からすると、いつ「出る」と言い出すかわかったものではない。

 だが、私の橋下不信はそんなことではない。
九月九日開かれた公開討論会には、国会議員、地方首長らが出席したが、橋下さんは冒頭に、

「個々の政策でなく、根底の価値観が共有できるか、方向性が一緒かを話し合ってもらいたい」

 と呼びかけた。
私は大変奇異な感じがした。価値観とは何を意味しているのか。
突然、茫漠とした単語が飛び出す。


 やはり政策だろう。わざわざ〈維新八策〉を用意し、センターピンは衆院定数の半減、消費税の地方税化などだという。だが、そのいずれも意見の一致はむずかしい。最初は、


「八策に賛同できるかどうかを連携の判断基準にする」

 と強気だったが、賛同が無理とみて、〈価値観〉などというあいまいで便利な言葉を持ち出したのではないか、と私は勘ぐった。もし、そうだとすれば、到底政治にならない。


 特に衆院定数の半減は世間受けする。民主党が四十議席減の公職選挙法改正案を出した時だし、そんなケチなことでなくバッサリ半分だ、という。〈まるでバナナのたたき売り〉という批判が出たそうだが、当然である。


 議会のあり方を真剣に議論した結果とはとても思えない。
ポピュリズム(大衆迎合)の最たるもので、しかも思いつきのように思われた。


 公開討論会の翌日、出席者の一人で橋下さんのブレーンの中田宏前横浜市長は、民放テレビで、

「いざという時には、これでいくぞ、五年、十年かけてもという、それが価値観。きのうはキック・オフです」
 と語った。よくわからない。


「維新はシナリオなきやり方、ぶっつけ本番ですから」

 とも中田さんは言った。ますますわからない。


<今週のひと言>

 正直、退屈だ、党首選。
(サンデー毎日2012年9月30日号)

posted by 小だぬき at 08:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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