2012年12月19日

「官製ワーキングプア」の実態 国や市町村の臨時職員の給料

「官製ワーキングプア」の実態 国や市町村の臨時職員の給料
2012年12月17日(月)16時50分配信  キャリコネ

 正社員なみにフルタイムで働いても、収入が生活保護の水準にさえ達せず、最低限の生活さえおぼつかない人たちがいる。
いわゆる「ワーキングプア」と呼ばれる就労層で、日本語にするなら「働く貧困層」だ。


 このワーキングプアが、民間企業に限らず、公共部門にまで広がっている。
自治体や省庁などで非正規職員として働く人たちが、著しい低賃金労働に置かれているのだ。


 こうした「官製ワーキングプア」の実態について、学問的なアプローチで実態解明に取り組んだ研究書が出版された。
それが「国・地方自治体の非正規職員」(早川征一カ・松尾孝一著、旬報社)だ。


 早川氏は法政大学の名誉教授で、公務員の賃金に関する研究者。「公務員の賃金」「公務員の制度と賃金」などの著書がある。
また、松尾氏は青山学院大学経済学部の教授で、公共部門の労使関係などを研究してきた。2人は言う。


 「国の非常勤職員の賃金に関しては、実はいかなる政府統計も存在しない」

 つまり、公共部門の非常勤職員が置かれている労働条件の厳しさについて、しっかりとして資料がないのである。本書は、この問題を、独自調査や各種の資料で克服しようと試みている。そこで明らかになった非正規職員の賃金や手当の実態はどんなものなのか、見てみよう。


1年間フル出勤しても年収は238万円

 まずは非正規職員の賃金の実態だ。著者らが例としてあげるのは、国土交通省における事務補助職員のケースだ。


 基本賃金は、人事院「給与指針」が規定する日額表によって定められる。地域手当を考慮しない場合の日額は、最低6080円だ。


 そして、1カ月に22日をフル出勤したとして、月額は13万3760円。ほかに、期末手当(1.75カ月×0.8)があり、これが18万7260円。年収にすると180万円になる。

 また、勤務地が東京になると、これに地域手当が付いて日額は7930円に上がる。しかし、フル出勤をしても月額17万4460円だ。期末手当が24万4240円としても、年収は238万円にしかならない。


 実際は、1年間を通じてフルに22日間を出勤することは難しいだろう。
そうなると、年収はこれよりも少なくなる。


 ほかの省でも同様だ。著者たちは法務省のデータもあげているが、地方勤務の場合は年収158万円。
公務員の同様の勤務をしていながら、年収200万円に満たないケースが普通に存在するわけだ。


150団体が時給700円以下 臨時職員の給与は正規の半分


 一方で地方自治体はどうだろうか。これについては総務省の「臨時・非常勤職員に関する調査」(2008年)がある。


 この調査によると、全国の自治体で臨時的任用職員の時給は平均808円。
フルタイムで働いて、平均月額は14万0056円だ。
しかも、時給700円以下という低賃金の自治体が、1212団体中150団体あるという。

 労働組合側のデータもある。自治労の「臨時・非常勤職員の実態調査」(2009年)によると、月給は14〜16万円がもっとも多い一方で、12万円未満の割合が15.9%もある。


 ちなみに一般行政職の正規職員の平均給与は月額31万1580円。
つまり、臨時職員の給与はこの半分以下に抑えられていることになるのだ。


自治体職員や研究者でつくる民間団体「官製ワーキングプア研究会」は、こうした厳しい状況の改善運動に取り組んでいる。同会はこう訴えている。


 「国に約15万人、地方自治体に約60万人の非正規公務員が働いているが、その多くが『働いてもなお貧しい』ワーキングプア層だ。
国、自治体自らがワーキングプアを生み出している」

posted by 小だぬき at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

非正規教員11万人超 公立小中校 正規は1万人減

非正規教員11万人超 公立小中校 正規は1万人減
2012年12月16日 東京新聞朝刊

全国の公立小中学校で臨時採用などの非正規ので臨時採用などの非正規の教員が増え、二〇一二年度は教員全体の16%に当たる十一万三千人となったことが十五日、文部科学省の調査で分かった。

一方で正規教員が減少しており、

同省は十分な研修を受けていない非正規教員の増加は教育の質向上の面で問題があるとして、正規採用を計画的に増やす考えだ。


非正規教員は、産休や育休の代替を含む臨時採用の常勤講師と、非常勤講師。年々増え、八万四千人だった〇五年度から約三万人増えた。
半面、正規教員は〇五年度の五十九万七千人から一二年度は五十八万七千人に減った。


教員定数に占める割合でみても、正規教員は94・8%から92・7%に下がった。
都道府県別では沖縄が83・8%で最も低い一方、財政力のある東京は101・8%で定数を上回って採用しているなど地域間格差もみられた。


 こうした背景には、教員を複数年にわたって増やす国の「定数改善計画」が、財政難などを理由に〇六年度以降策定されていない事情がある。
このため各自治体は国が予算編成で教員増の予算を計上するかどうか年末まで見極めなければならず、十分な採用期間を確保できないのが現状だ。


 文科省は今年九月、正規教員の増員と少人数学級の推進を図るため、一三〜一七年度で二万七千八百人の増員を盛り込んだ定数改善計画案をまとめた。
しかし財務省は少子化を理由に五年間で一万人削減できると主張しており、来年度予算編成の焦点となりそうだ。
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「年収170万円」の聖職
クローズアップ現代
(2008年11月6日放送)

教員の世界でとんでもないことがおこっている。
予算削減で教員を減らし、その穴を非正規教員で埋めているのだ。
産業界は、派遣社員でもっているようなものだが、教員の世界までもそうなのか。
 非正規教員とは、教員免許はもっているが、教員採用試験に合格していない教師のことだ。
収入も正規教員の半分。
雇用も不安定で最長でも1年契約で、年度の途中で打ち切られることもある。
国谷裕子は、「正確な数はわからないが、公立の小中学校で少なくとも9万人、全体の14%にのぼる」といった。

「学習塾でバイト」しないと食べていけない


小泉首相の三位一体改革で、国は自治体に公務員削減を求め、一方で少人数学級などきめ細かな教育も求めた。
この矛盾を切り抜ける手段が非正規教員だという。


広島市内・公立中学の非常勤講師松浦佑紀(23)は、昨(2007)年大学を卒業したが、まだ採用試験に合格していない。
給料は時間単位、ひとコマ2500円。
ボーナスや手当もないので、年収は正規教員の半分の170万円だ。

この学校では44人の教員のうち13人が非正規だ。

広島県は財政事情から全国に先駆けて教員削減を進め、2002―07年の間に1200人を減らし、代わりに非正規教員を700人増やした。
一方国が求める教育改革で、広島市では習熟度別授業でクラスを2つに分け、先生1人に生徒20人態勢を進めようとしている。
それに必要な教員200人はすべて非正規をあてる方針だ。
松浦佑紀もその1人というわけだ。


しかし、彼は授業が終わると早々に学校を後にする。
学習塾でのアルバイトをしないと食べていけないからだ。
帰宅してからも、学校でのテストの採点などをするが、手当はつかない。
「生徒たちと一日中一緒にいたいが、できないのが寂しい」という。

「国が責任を持って負担すべきだ」

取材したNHK広島の戸来久雄記者は、「パートタイムで4つの学校を行ったり来たりの人もいた。
しかし、みな正規採用を目指しているが、やめていく人も多い」という。
国谷は、「非正規教員がふえて、教育の質は保たれるのか?」と藤田英典・国際基督教大学教授に聞いた。


藤田教授は、「質の低下はありうる」として、
(1)非正規教員は研修の機会もなく、力量があっても発揮できない、
(2)他の教師との連携が弱い、
(3)専任教師の負担が重くなる、などをあげた。

元をたどれば財政問題だ。

三位一体改革では、義務教育への国庫負担が2分の1から3分の1に減らされ、減った分は交付税として自治体にいってはいるのだが、非正規教員で浮いた予算を他にまわすというのが実情だという。

現に広島県内で、病気で欠けた理科教師の代わりが見つからず、自習を続けたあげく中間試験を見送った学校。
数学の教師の穴を保健体育の教師が埋めた話があった。
一方東京・杉並区は、区独自に教員研修を行って採用。
プラスの配置で30人学級を増やしたりしている。
財政力によるとんでもない格差……。


藤田教授は、「義務教育はライフライン。
予算は国が責任を持って負担すべきだ。
金も人手もかけずでは、質が保てまい」という。


教育改革は、安倍首相(当時)がイギリスのサッチャー改革を範として進めたものだ。が、サッチャーの政策は教育現場を荒廃させたとして、ブレア首相(当時)が建て直しに着手した。決め手は巨額の予算投入だった。
*NHKクローズアップ現代(2008年11月6日放送)

posted by 小だぬき at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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