2012年12月24日

社説:社会保障政策 医療・介護の改革を急げ

社説:社会保障政策 医療・介護の改革を急げ
毎日新聞 2012年12月24日 02時31分

 有権者の投票行動にどのくらい影響を与えたのかわからないが、今回の総選挙は「自立・自助」の自民党、「公助」路線の民主党という社会保障の理念をめぐる明確な争点があった。

自民が圧勝したことで、民主の金看板だった「最低保障年金」創設、「後期高齢者医療制度」抜本改革の挫折が決定的になった。


 もともと民主の社会保障政策は財源の裏付けがなく、実際に制度設計してみると現役世代に過重なしわ寄せがくることも判明した。
野田政権の「中間層を分厚くする」という方針とも矛盾するものであり、白紙に戻すのは当然だろう。
ただ、これらの政策はさまざまな社会的格差、貧困層の広がりに対する国民の不満を受けて掲げたものであり、その課題は今なお残っている。新政権がどのように取り組むのか注目したい。


 自民の公約で際立っているのが生活保護の1割削減だ。
民主のバラマキとの違いを鮮明にし、責任政党として持続可能な社会保障のために厳しい政策を掲げた意味は小さくない。

ただ、孤立や貧困に陥っている人に自立・自助を求めるだけでは、格差はますます広がり、貧困層はさらに苦境に追い込まれるだろう。
高齢者で生活保護を受給している人の割合はほかの世代に比べて著しく高い。
働くことができず、家族もいない高齢の貧困層をどうするのか、財源も含めて具体的に示すべきだ。


 子ども手当導入に伴って廃止された年少扶養控除の復活や多世代同居を進めるともいう。
戦後、大家族から核家族へ、さらに独居や夫婦2人だけの世帯が増えてきた。
都市に人口が集中し働く女性の増加に伴って人々のライフスタイルも変化してきた。伝統的な家族主義を志向する政策と現代人の意識はどのように折り合っていくのだろうか。
社会を支える側を立て直す点では、子育てや少子化対策は最重要の課題でもある。


 税と社会保障の一体改革に基づき、消費税は社会保障に全額を使うという方針は歓迎したい。
一体改革では手が付けられなかったのが医療と介護だ。
高齢になるほど疾病にかかる人は多くなり、1人当たりの医療費も高くなる。
来年は最も人口が多い団塊世代の大半が高齢者の仲間入りをする。
専門ごとに細分化している医療の供給体制を抜本的に変え、介護福祉との役割分担を大胆に進めないといけない。
高齢者の生活の質がおざなりになったのでは、何のための負担増かわからない。

 終末期をどのように過ごすのかはとりわけ重要だ。
終末期を迎える人は年々増えていく。
みとりの体制を充実させるとともに、私たち自身も深く考えないといけない
国民的課題として取り組むべきである。

posted by 小だぬき at 09:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする