2013年02月10日

社説:柔道暴力問題 勇気ある告発者を守れ

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社説:柔道暴力問題 勇気ある告発者を守れ
毎日新聞 2013年02月10日 02時30分


 「アスリートファースト(選手第一)」は2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会がしばしば強調するコンセプトだ。
招致を推進する人たちはスポーツ界の暴力根絶に向けて行動する際にもこのことを肝に銘じてほしい。


 柔道女子日本代表監督の暴力指導などを選手15人が告発した問題で、自民党の橋本聖子参院議員が先日、15人の名前は公表されるべきだと受け取れる発言をした。


 「プライバシーを守ってもらいながら ヒアリングをしてもらいたいということは、決してよいことではない」「あまりにも選手のプライバシーを守ろうとする観点から、15人の選手の氏名が表に出ていないことをどう判断するか。非常に大きな問題だ」


 この発言は告発への抑止効果を持つ。
柔道と同様の問題を抱えている競技で
告発を考えている選手の側に立てば、名前がさらされることで不利益を被ることを恐れて二の足を踏むことが十分予想される。


 元オリンピック選手で日本オリンピック委員会(JOC)の理事も兼ねる橋本氏は 今回の柔道暴力問題では選手の聞き取り調査をするためにJOCが設置した「緊急調査対策プロジェクト」のメンバーでもあることを自覚すべきだ。
選手の名前はすでにJOCが把握している。
だれに対して公表するのか。
公表するメリットは何か。
弱い立場に寄り添うというより、突き放すような態度の橋本氏に対して選手たちは心を開けるだろうか。

 その後、橋本氏は報道各社にコメントを送り、「氏名を公表すべき」とする発言は行っていないとしたうえで、「オリンピック強化には税金が投じられており、その公益性に対する一定の責任を理解すべきという指摘もあり、そうした意見を受けての発言」と釈明した。 

06年4月施行の公益通報者保護法は企業の法令違反や不正行為などを告発した労働者を保護する法律だ。
今回のケースが該当するかは別にして法の精神に照らして言えば、勇気ある告発に踏み切った彼女たちは保護されなければならない。
 確かに橋本氏が指摘するように強化費や遠征費などの名目で選手たちには税金が投入されている。

選手たちが競技だけでなく、相応の社会的責任を有することは言うまでもない。
社会の模範的存在として、例えば被災地などを訪れてボランティア活動などに励むことこそが責任を果たすということであり、告発に対する報復措置への不安が消えない中で名前を公表することではない


スポーツ基本法も「スポーツを行う者の権利利益の保護」をスポーツ団体に課していることを付け加えておく。

posted by 小だぬき at 08:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする