2013年02月18日

学校の風景140年:トイレ 「怖い」「汚い」を快適空間へ

学校の風景140年:トイレ 「怖い」「汚い」を快適空間へ
毎日新聞 2013年02月18日 東京朝刊

 学校のトイレは「暗い」「きれいではない」といった良くないイメージがつきまとう。
学校の怪談(かいだん)の舞台にもされる。
だが、トイレは子供たちの健康維持のための重要な場所だ。
最近は各地で快適に使えるトイレ作りが進められている

取違剛、福田隆】

◇タイルより衛生的な乾式床 洋式改修で排便我慢減る


 「床を掃除(そうじ)して。私は個室を拭(ふ)くから」

 熊本県宇土(うと)市立網津(あみつ)小6年、児童会長の坂田理子(りこ)さん(12)の呼びかけでトイレ掃除が始まった。
「床担当」の奥村真未(まみ)さん(12)が乾いた床をほうきで掃いた後、よく絞ったスポンジモップで拭き上げた。

同小のトイレは、タイルの床に水をまいて掃除する「湿式(しっしき)」ではなく、乾燥した床の「乾式(かんしき)」だ。
タイルの床に水をまいてデッキブラシでこする一般的なトイレ掃除とは異なる。

同小は11年4月に改築され、同時にトイレを、雑菌(ざっきん)が繁殖(はんしょく)しやすい湿式でなく衛生(えいせい)的な乾式にした。
白を基調にした校舎で、トイレの床も白。黄ばみが目立ちやすく掃除が大切なのだ。

 「校舎の輝きを維持しよう」を合言葉に美化運動が始まったが、乾式トイレの掃除方法が分からない。
養護教諭の村田直美(なおみ)さん(44)がトイレ専門誌のバックナンバーで研究し、スポンジモップなどの用具をそろえた。
6カ所のトイレを5、6年生が丹念(たんねん)に拭き上げ、終了時には「拭き残しなし」などと声に出してチェックする。


 改築からまもなく2年。トイレの床は白く、臭いもない。
坂田さんと奥村さんは「新しい校舎だから、きれいにしないといけないと思って頑張った」。
櫛山美智代(くしやまみちよ)校長も「新校舎になったのをきっかけに、校内美化のため教職員と児童が一体になれた」と振り返る。

学校トイレのひな型は、1899(明治32)年に文部省が出した小学校設備準則(じゅんそく)に書かれている。
「便所(べんじょ)ハ別棟(べつむね)トシ……」「男女ヲ区別シ男児百名ニ付(つき)大便所二以上小便所四以上女児百名ニ付五以上ノ割合……」


 「変わる学校のトイレ」(小林純子著、草土文化)によると、大正時代後半以降に建設された鉄筋校舎でトイレは教室の並びに置かれ、水洗化された。

しかし東京都世田谷区などが作成した「区立学校トイレ改修マニュアル」には、戦後のベビーブームと高度成長期には児童数の増加に校舎建築が追い付かず「学校トイレの最大の関心は数であって、快適さではなかった」とある。

悪いイメージを象徴(しょうちょう)するように、怪談の舞台にもなった。

「トイレの四ばんめのドアを十五回ノックして、『花子さァーん、あそびましょ』というと、『はァーい』という返事が聞こえてきます」(「学校の怪談」<常光徹(つねみつとおる)著、講談社>より)。
「怖い」に加え、暗い▽臭い▽汚い▽壊れている−−と合わせ、学校トイレは「5K」と呼ばれた。
さらに友達からのからかいを恐れ、学校で排便(はいべん)を我慢する子供が続出。1990年代には「トイレに行けない症候群」と呼ばれ社会問題化した

 解決を目指した便器製造などトイレ関連8社が96年「学校のトイレ研究会」を設立。
使いやすい便器や対話が生まれやすい洗面台(せんめんだい)など、学校トイレを子供が好きな場所に変えるためのデザインを数多く提供してきた。


 同会は10年、大阪府和泉(いずみ)市立伯太(はかた)小でアンケートを実施した。
同校はこの年、洋式トイレを拡充(かくじゅう)するなどきれいに改修した。
5、6年生計166人の改修前後の回答を比べると、トイレを我慢(がまん)する児童が75人から31人に減少。
臭いや和式便器が我慢する理由だったという。

 災害時に学校は避難所(ひなんじょ)になる。
同会によると、水道が止まった時にバケツの水でトイレの汚物を下水管まで押し流す必要があるが、便器の構造上、洋式の方が和式よりも格段に流しやすく、水の量も約半分で済むという。
同研究会の古川浩代(ふるかわひろよ)・主任研究員は「子供たちのためにも、災害時の避難所機能を考えても、洋式で乾式のトイレ導入に協力してほしい」と呼びかけている。

posted by 小だぬき at 07:35| Comment(5) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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