2013年02月19日

待機児童解消 小さな命 守る覚悟を

待機児童解消 小さな命 守る覚悟を
2013年2月19日  東京新聞社説

 保育所に入れない待機児童の解消に横浜市などが成果を上げている。
子どもの預け先に困っていた親への支援になるだろう。
しかし一方で、子どもの安全が置き去りにされていないか、課題が残る。


 横浜市の待機児童数は二〇一〇年、千五百人を超えてワーストだったが、二年間で二百人に減らした。
今春はさらに定員を増やし、ゼロになる見通しだという。


 「ゼロ」は〇九年に当選した林文子市長の公約で、手厚いメニューが特徴だ。
全区に保育情報を提供する専門員「保育コンシェルジュ」を置いた。
定員を増やすため、市有地を無償で貸し出すなどして民間保育所を誘致、既存の認可保育所は園舎を増築した。
交通不便な保育所で定員の空きが目立つと、保育所までの送迎拠点を駅前に設け、入所しやすくした。
「横浜式」は、大勢の待機児童を抱える自治体に影響を与えている。

 子どもの預け先がなくて働きに行けない親を支えよう、そう努めようとする自治体の姿勢は理解できるが、懸念もある。
横浜市に限らず、全国でいま、定員を増やしている保育施設やサービスが、火災や地震などいざという時にも、子どもの受け皿として安全を保ちきれているのか、という点だ。

 国は自治体が運営する認可保育所の新設に補助金を出さないと決めている。
待機児童を大勢抱える都市圏の自治体は土地の確保も難しい。
園庭を削って保育室を広げたり、増築して定員を増やしているため、「詰め込みすぎだ」と心配の声が上がっている。
手狭では懸命にやっていても子どもに目が行き届きにくくなり、現場の保育士にも不安を感じさせている。

 自治体によっては、無認可保育所でも独自に設けた基準を満たした施設に補助金を出している。
無認可の底上げを図るという面がある一方で、こうした動きが国の最低基準の引き下げにつながらないだろうか、心配だ。

 国は新年度、待機児童対策に四千六百億円を計上した。

だが、そもそも「待機児童」の定義があいまいなまま施策を進めている。
認可保育所を希望しながら入れない子を数え、全国で二万四千人(昨年四月)と公表する。
最初から諦めて申請しない数や無認可に通う子は含まれず、潜在数は八十五万人とも推計される。
安全で問題があるといわれるこうした子らにも目を配り、国や自治体は小さな命をどう守り育てるのか、覚悟を示してほしい。

posted by 小だぬき at 08:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 教育・学習 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする