2013年09月01日

「消費税ヒヤリング」ー壮大なガス抜きに終わった

出席の有識者が暴露
 「消費税ヒヤリング」のフザけた実態
2013年8月31日 ゲンダイネット掲載

やはり壮大なガス抜きに終わった

<1人の持ち時間は8分、政府からの質問なし>

 消費増税の是非を有識者に聞く、安倍政権の「集中点検会合」が31日に終了。
6日間ぶっ通しで総勢60人から意見を聞いたが、大半は「増税やむなし」。

反対派の声は数えるほどだ。
人選を任された甘利経財相は「職業・年齢・増税の考え方について、バランスよく配置した」と言っていたが、フタを開ければ、やはり「結論ありき」の壮大なガス抜きだった。

出席した有識者のひとりも、ヒアリングのあきれた実態を打ち明ける。

 6日間の会合とも報道陣に公開されたのは、各大臣の冒頭のあいさつまで。麻生財務相が会合の意義をテキトーに語り、甘利大臣が出席者の肩書を紹介すると、報道陣は会場から閉め出された。

増税を巡って、どのような議論が交わされたのか。真相は出席メンバーにしか分からない。

「ヒアリング後、数分ほど質疑応答の時間が用意されましたが、政府側からの質問はほとんどなかった。
誰も何も言わないから、私の方から『財務省は誤ったマクロ経済指標をいつまで使う気なのか』と逆に質問させてもらったほどです」

 そう会合のシャンシャンぶりを振り返るのは、出席者のひとりで、筑波大名誉教授の宍戸駿太郎氏(経済学)だ。
学者やエコノミストを招いた2日目の会合に参加し、「当面は増税を凍結して経済成長を優先すべきだ」という持論を展開した。宍戸氏が続ける。

「私どもの対面には、麻生・甘利両大臣がテーブルの中央にデンと席を構え、経済財政諮問会議の民間議員が横を固めていました。

私の参加日は、有識者9人が横一列に座らせられ、順に意見を述べましたが、1人の持ち時間はたった8分だけ。
参考資料をあらかじめ配布していたとはいえ、これだけの短時間で意見を伝えきるのは至難のワザ。
政府側に十分に伝わったのかも疑問です」

 残る8人のうち、宍戸氏のほかに「増税反対」をハッキリと唱えたのは、エコノミストの片岡剛士氏のみ。
エール大名誉教授の浜田宏一氏と、クレディ・スイス証券の白川浩道氏が「毎年1%ずつ上げていくべき」と主張したが、増税自体には賛成だった。

「いま増税すれば、経済成長の腰折れを招くのは自明の理。
私は経済学者として当然の意見を言っただけで、今回の有識者たちの意見が『増税賛成』に傾いているのは信じられません。

結局、政府が都合の良いメンバーを選んだに過ぎず、専門家の総意は反映されていないのです。

政府は私を『反増税の代表格』のように扱っていますが、私以上に激しく増税に反対している専門家は大勢います。

なぜ、経済評論家の三橋貴明氏やエコノミストの菊池英博氏、産経新聞編集委員の田村秀男氏などは選ばれなかったのか。政府は『バランスを重視した』と言うなら、彼らの意見も聞くべきです」(宍戸氏)

 今回の会合はしょせん「増税に向け、議論を尽くしましたよ」という安倍のポーズだ。
見え透いたアリバイ工作に利用された有識者たちは、怒った方がいい。

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関東大震災90年-災害に備え「人災」防ぐ政治を

関東大震災90年
災害に備え「人災」防ぐ政治を
2013年9月1日(日)   しんぶん赤旗「主張」
 

 きょうは、犠牲者が10万人を超えた関東大震災から90年にあたる、「防災の日」です。
大震災の教訓に学び、災害に備える催しが各地で取り組まれています。

世界有数の地震・火山国であり、台風も常襲する日本では、大災害が繰り返され尊い命が失われてきました。
発生2年半となる東日本大震災と原発事故の「複合災害」は約30万人に避難生活を強いるなど、いまも進行中です。
この夏の記録的豪雨による被害も深刻です。

国民の安全を守り災害に強い国土をつくる政治の役割と責任が重要です。

人口密集地の悲劇

 1923年9月1日午前11時58分、神奈川県沖の相模トラフ(海溝)を震源にマグニチュード(M)7・9の激しい揺れが関東一帯を襲いました。
死者・行方不明者は東京、神奈川など1都6県で約10万5千人にのぼりました。

犠牲者の約9割は東京市(当時)と横浜市で、ほとんどが焼死でした。
人口密集地域で木造家屋が倒壊し、昼食支度中の火災が多発したうえ、おりから低気圧の影響による強風で被害が拡大したのです。


 現在の両国国技館近くの旧陸軍被服廠(しょう)跡に避難していた数万人も、炎に囲まれ逃げ場を失い3万人余りが命を落としました。
いま横網町公園に整備された“悲劇の地”には焼けただれた鉄骨などが展示され、惨害のすさまじさを今日に伝えます。


 震災後、「井戸に毒を入れた」などというデマが流され、軍、警察、自警団によって罪のない多数の朝鮮人、中国人や日本人が虐殺されました。
被災者の救援活動をしていた日本共産青年同盟の初代委員長・川合義虎が虐殺された亀戸事件なども起きました。
歴史の汚点として記憶され、絶対に許されてはならない事件です。


 自然災害は避けることはできなくても、それに備えることで被害は減らせます。
都市であれ地方であれ、備えを欠いたことで被害が拡大するのは「人災」です。
それを防ぐのはまさに政治の責任です。


 関東大震災は都市化がすすむ人口急増地域でありながら、それに見合った防災の備えが追いついていなかったことにより引き起こされた大惨事です。
無秩序なまちづくりや乱開発をすすめることがいかに危険かを浮き彫りにしています。


 いま首都圏の居住者は90年前とは比較にならない規模に増大し、人の移動距離も広がっています。
建物の高層化や地下化もすすむ一方で、雑居ビルや老朽した木造住宅が混在するなど、都市は複雑化の様相を強め、災害による新たな危険を高めています。


 政府の中央防災会議は、切迫の危険が指摘されている首都直下地震や南海トラフでの巨大地震にたいする被害想定を厳しく見直し、防災や避難の体制を強化すれば被害を減少させることができるとの報告書をまとめました。
災害に強いまちをつくるためにいまこそ政治が役割を発揮するときです。

あらゆる危険の想定こそ

 木造住宅の耐震・不燃化、学校の耐震化などは待ったなしです。


 関東大震災を記憶にとどめ、5千人以上の犠牲を出した伊勢湾台風の翌年に決められた「防災の日」は、さまざまな災害を想定してその備えを総点検する日です。

地域の危険に見合った防災の仕組みは整っているのかなど、改善を求める取り組みが重要です。

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2013年09月02日

給食でパンと麺類 主食が二つという異常なパターンが定着

給食でパンと麺類 
主食が二つという異常なパターンが定着
2013.09.01 07:00  NEWSポストセブン

 予算は足りず、給食費未納も増える一方、それでも栄養価に厳しい規制のある学校給食は、次々と奇抜な献立を編み出している。


 神奈川県A市では「きなこ揚げパン、豚汁、ナムル、牛乳」、
千葉県C市では「五目あんかけ焼きそば、アメリカンドッグ、キウイ、牛乳」、
北海道F市では「クロコッペパン、みそにこみラーメン、ケチャップだれにくだんご」……。


 これらは『変な給食』『もっと変な給食』(ブックマン社刊)で教育行政に警鐘を鳴らした栄養士の幕内秀夫氏が収集した、全国小学校の今年の「給食献立表」にあったメニューだ。


 義務教育の小中学校で出される学校給食は「学校給食法」に基づき、そこには、
給食は「子供の健康のために実施されなければならない」と記されている。

しかし、残念ながら同法の精神が遵守されているとは言いがたい。


「私の元には全国の父母や学校関係者から学校給食献立表が送られてきます。
素晴らしい給食を実施してレベルを上げる自治体がある一方で、首を傾げたくなるようなメニューを出している自治体も少なくありません。

一生懸命やっている自治体とそうでない自治体の差が拡大し、給食の質の二分極化という憂うべき状況が進行しているのです」(幕内氏)


 幕内氏は学校給食の傾向について、さらにこう続ける。


「最近では毎日のようにハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ラーメン、菓子パンなどが出ます。
他方、ご飯に味噌汁のついた献立はほとんどありません。
給食のファストフード化、ファミレス化の流れが加速しているのです。


 また、食事の基本は『一汁二菜』、つまり主食に主菜、副菜、そして汁ものとされてきました。

学校給食において、これを必ず守れとは言いませんが、主食と副食の区別はあってしかるべきです。


 ところが最近の給食ではパンと麺類がセットになり、主食が二つという異常なパターンが定着してしまいました」(幕内氏)


 食文化の崩壊は学校給食の現場から始まっているのかもしれない。


※SAPIO2013年9月号


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2013年09月03日

なぜ家族にすべての責任を負わせるのか

家族が720万円負担とは!
2013年9月2日   東京新聞「私説・論説室」

 なぜ家族にすべての責任を負わせるのか。
八月に名古屋地裁で出た賠償命令は、認知症の人の介護にかかわる家族や事業者に、大きな衝撃を与えたに違いない。


 判決はこうだ。二〇〇七年十二月、愛知県内に住む認知症の男性(91)が線路内に立ち入り、電車にひかれて亡くなった。

JR東海は遺族に「監督責任を怠った」として列車遅延に対する七百二十万円の損害賠償を要求。
同地裁は認め、妻と長男に全額支払いを命じた。


 男性は八年前から認知症状が出始めて、事故当時は「要介護度4」。

徘徊(はいかい)もあるため、介護は週六日のデイサービスと、八十五歳の妻と県外から引っ越した長男夫婦が協力していた。
事故は妻がまどろんでいた間に男性が外出して起きた。


 判決は医師の診断書などから事故を予見できたとし、「安全対策や注意義務を怠った」と断じた。
線路への侵入防止策を十分にとっていなかったJR側の責任は問わなかった。


 遺族は怒りでいっぱいだろう。
認知症の男性を部屋に閉じ込めておけばよかったのか?
 自宅でも、施設でも、ヘルパーに頼んでも、一瞬の隙もなく見守るなんてできないはずだ。


 認知症の人が人生最期までよりよく生きるために、家族や事業者たちは日々、悩んでいる。
老老介護。介護のあり方。

みんなで考える時代に逆行しない、もっと温かな視点を込めてほしかった。 (佐藤直子)

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2013年09月04日

9月の値上げラッシュは家計の“地獄”の通過点

9月の値上げラッシュは家計の“地獄”の通過点
2013年09月03日 16:30 ゲンダイネット更新

 アベノミクスのせいでサラリーマン家庭の食卓は、ますますショボイことになりそうだ。

円安と原材料価格の上昇などで、2日から食品メーカーの値上げラッシュが始まった。

 家計に一番響きそうなのが「調味料」だ。
例えば日清オイリオグループはきょうから、6年ぶりにマヨネーズ風調味料の出荷価格を7%引き上げる。
「他社も追随してくる可能性が高い」(業界関係者)という。

 ちなみに、総務省の家計調査(2人以上世帯、2010〜12年平均)によると、調味料は全国平均で年間3万6100円も買っている。
嫁サンの料理の味が薄くなったとしたら、それはアベノミクスのせいだ。

「ハム・ソーセージ」も平均8%値上がりする。
年間購買額は1万2700円だ。
ちなみに、横浜市では同1万4400円と、平均をかなり上回っている。
朝食からハムが消え、パンと目玉焼きだけになったら、横浜のサラリーマンは怒った方がいい。

「冷凍食品」に至っては最大10%値上げ。
全国平均の年間購買額は5700円だが、これはあくまで平均だ。
忙しくて冷凍食品に頼りがちな都市圏のサラリーマン家庭には痛い話だろう。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「これで終わりではありません。電気、ガス料金も上がっています。
それにニュージーランドや中国の干ばつで、穀物や乳製品の価格は世界的に上昇傾向にある。
シリア情勢が悪化し、原油価格が高騰すれば、さらなる値上げラッシュも予想されます。まだまだ家計を直撃してきますよ」

<10月になれば「牛乳」も>

 その他、今月から「ワイン」と「ジャム」も値上がりする。
さらに追い打ちをかけるのが「牛乳」同1万5700円)で、来月から最大4%値上がりするのだ。前出の荻原氏がこう続ける。

「要介護度が比較的低い『要支援1、2』が介護保険の対象から切り離されるので、今後は介護に追われる主婦が増えていくでしょう。妻がパートに出て家計を助けたくても、それもできなくなるわけです。
食材のランクを下げるとか、オトーサンの小遣いをさらに減らすしかなさそうです」

 サラリーマンの働く気力はますます萎える。
今回の値上げラッシュは、家計の“地獄”の通過点に過ぎないのだ。
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2013年09月05日

香山リカのココロの万華鏡:心の嵐、年とともに治まる

香山リカのココロの万華鏡:心の嵐、年とともに治まる
毎日新聞 2013年09月03日 東京地方版

 昭和を代表する大歌手、藤圭子さんが自ら命を絶った。
家族が発表したコメントによると、藤さんは感情が激しく変化する「心の病」に長い間苦しんでいたことがうかがわれる。

診断名などは書かれていないが、めまぐるしく揺れ動く半面、明るい時や歌手としてきちんと活動できる時もあったことから推測すると、不安定さを特徴とする「パーソナリティー」の障害だった可能性も考えられる。


 不安定なパーソナリティーを特徴とする心の病、たとえば「ボーダーライン性パーソナリティー障害」を持ち、頻繁に訪れる感情の波に苦しむ人やそれに翻弄される家族は少なくない。
そういう人たちは、今回の出来事にショックを受けているのではないだろうか。


 しかし、誰の場合でも不安定さがずっと続き、悲劇的な結末が待っているわけではない。

先日、ある学会で精神科医の岡野憲一郎氏の講演を聴く機会があった。
岡野氏は「ボーダーライン」と診断された患者さんを6年後に再び診断したところ、その7割が診断基準を満たさなかった、という米国の研究を紹介し、「パーソナリティー障害というと治りにくいもの、一生続くものという従来の常識は間違っている可能性がある」と話した。
岡野氏の経験でも、特に攻撃性や衝動性といった傾向は、年齢を重ねるうちに落ち着いていくことが多いという。

逆に「むなしさ」などは長く残ることがある。
一般の人でもそうだが、不安定なパーソナリティーも年齢とともに「枯れていく」のだ。


 私の経験では、もともと創造性の高い人が「ボーダーライン」などの不安定な人格を有していた場合、皮肉なことに「枯れ」のスピードが遅いように思う。
60代になっても鮮烈な色彩で激しい絵を描くアーティストは、その年齢でも思春期の頃と同様に、家族をののしったり夜の街に飛び出して行ったりしていた。


 ただ、これは幸いなことだと思うのだが、多くの人はそこまでのエネルギーを保てず、不安定さが押し寄せてきても怒鳴ったり暴れたりせずに、なんとかしのげるようになる。
「むなしさ」が心の中に残っていても、それを周囲と調和させることもできるようになるはずだ。


 今、自分の中で荒れ狂う不安定さに困り果てている人も自分に言い聞かせてほしい。
「この嵐は年齢とともに必ず治まっていくはず」。
そうならなかった藤圭子さんは本当に痛ましい。
せめて私たちが彼女の歌を聴き続けることで、その魂が安らぐことを祈りたい。

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福島原発に「竜巻」の恐怖、東電は危機意識ゼロ

福島原発に「竜巻」の恐怖、東電は危機意識ゼロ
2013年9月4日 ゲンダイネット掲載


現地で相次ぐ注意警報   

「あの竜巻が福島第1原発を直撃したら……」
 不安を感じた人も多いんじゃないか。
2日に埼玉、千葉を襲った竜巻は、頑丈にできている中学校の体育館の屋根まで吹き飛ばしていた。

 福島地方気象台は1日に、「竜巻注意情報」を2回発表している。
3日も、「雷と突風に関する気象情報」を発表して、「落雷、竜巻などの激しい突風、ひょう、急な強い雨」に注意を呼びかけていた。
福島で竜巻が吹き荒れる可能性は十分にあるのだ。

 実際、福島第1原発に程近い南相馬市では2010年に、小規模の突風が起き、ビニールハウス9棟に被害が出ている。

 気象庁によると、いまは地表付近が夏、上空が秋という状態で、寒暖差が激しく、竜巻のもとになる積乱雲が発生しやすい状況が全国的に続いているという。

「福島? 竜巻は、日本全国どこでも起こり得ます。
とりわけ台風シーズンの9月、そして沿岸部で多く確認されていますね」(同庁担当者)

 心配になって東京電力に問い合わせたら、「竜巻に特化した荷重設定はしていません。
それぞれの設備については建築基準法に基づいて設計し、安全性に支障がないことを確認しています」(広報担当者)とのこと。

<燃料棒1533本が大気中で燃え出す>

 何とも心もとない。
今回の竜巻で被害に遭った600棟以上の建物だって、建築基準法に基づいて建てられたはず。
それでも、体育館の屋根まで吹き飛んだわけだ。
“ハリボテ”の福島第1原発なんてひとたまりもないだろう。

 核廃絶を目指して活動を行っている元駐スイス大使の村田光平氏は、昨年3月の参院予算委公聴会で、こんなことを言っていた。

「(福島第1原発4号機の)核燃料プールが崩壊し、1533本の燃料棒が大気中で燃え出した場合、果てしない放射能が放出される。
もちろん、東京は住めなくなる」

 首都圏5000万人が避難する大パニック――悪夢が現実になる恐れは十分にある。
「竜巻に限らず、台風もある。
ゲリラ豪雨もあり得るのに、東電がどういう具体策を講じているのか、まったく見えてこないし、基準が甘すぎます。
最悪の事態を想定しているとは、とても思えません」(ジャーナリスト・横田一氏)

 竜巻より何より、東電の危機意識のなさが一番怖い。
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2013年09月06日

老人を食い物にする新聞勧誘の悪質手口

老人を食い物にする新聞勧誘の悪質手口
2013年09月05日 16:35 ゲンダイネット更新

<どーしてメディアは報じない>

 オレオレ詐欺も真っ青だ。
国民生活センターが8月下旬に新聞の訪問販売に関する苦情相談を公表したが、高齢者を狙った執拗で悪質な手口のオンパレードなのだ。

 国民生活センターの公表資料によると、新聞の訪問販売に関する苦情相談はここ10年間、毎年1万件前後と横ばい状態が続いており、今年度は4カ月間ですでに2540件に上る。
相談内容はどれもエグイものばかりだ。

〈12年先までの契約をさせ、解約を希望すると高額な景品代を請求された〉(近畿・60代女性)

〈老人ホーム入居のため、9年間の契約の解約を申し出ると、景品を買って返せと言われた〉(近畿・80代男性)

〈購読期間1カ月のつもりで契約したが、購読契約書には3年と書かれていた〉(九州・80代女性)

 国民生活センターは、新聞業界の勧誘方法のうち、他紙の購読期間が終わる前に、契約終了後の長期契約を結ばせる「起こし」「先起こし」といった手口が、トラブルの原因になっていると指摘。

中でも相談者の平均年齢が10年前(47.1歳)と比べて今年度は60.7歳と高齢化していることから、〈視力の変化や入院などの理由で新聞を読めなくなる可能性があるにもかかわらず、長期の契約を勧められている〉と問題視しているのだ。

 大新聞は日頃、高齢者を狙った悪質商法を問題視しているくせに、新聞勧誘の問題はまったく取り上げないのは、どういうわけだ。
これじゃあ、お年寄りは食い物にされる一方だ。
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石井苗子ーブラック企業集中取り締まり・・

石井苗子の健康術
ブラック企業集中取り締まりの余波
2013年9月6日  読売新聞 YOMI.Dr

(「ブラック企業」が原因でなるといわれる病気があります)

以前「燃え尽き症候群」という現象は、何かに極端に没頭してしまう個人の性格から起こると説明してきました。
しかし
今の日本社会は、個人の性格とは無関係に「燃え尽き状態」を作り出しているように見えます。


 若者に極端な長時間労働を強いるなどのいわゆる「ブラック企業」という名称は、メディアがその言葉で特集を組むまでになっているのでごぞんじの方も多いと思いますが、昔風に言えば「ブラックリストに載っている会社」でしょうか。

しかし、かつては経営状態に裏表(ブラック)があるかどうかが話題にされていましたが、今は解釈が違います。


 「ブラック企業」は、雇用状態が問題とされます。
社員に無報酬で残業を強いる、管理職という名目で体や精神が壊れるまで働かせる、個人が理解できない理由で突然解雇にする。

他にも、具合が悪いから遅刻や早退の希望を出す、通院のために有休を取るなどの行為について、それとなく本人が感じるような「いやがらせ」に似た労働を与えるなどして、心身ともに苦しくさせていく。

他にも細かく調べると、「いやがらせ」の対象者としてはまってしまった個人への精神的悪影響は、時おり想像を絶するものがあります。


 心療内科でも10年前までは「燃え尽き症候群」の個人に対して、「働きすぎるのがいけない。
バランスを取って休み休みやらないとまた同じ状態になる、生活習慣や自分の考え方の傾向などを観察し……」などアドバイスをしていたのですが、最近になってこれは個人の問題ではないと感じることが増えました。

 朝起きられない、体の倦怠(けんたい)感などを訴えていたのが徐々に「体中の痛みで動けない」という状態になっていく慢性疼痛(とうつう)の一種「線維筋痛症」になっていく患者さまも増えてきています。
当然会社を辞めなくてはならない身体状態になっていきます。

しかし、「もうこれ以上働けないところまで働いた、でも給料は増えないし、働けないならクビだと言われる、もう辞めるしかありません。
元の元気なカラダに戻してください!」と訴えられるのです。


 そこには個人を取り巻く周囲の疲労も見え隠れします。
必ずしも「愉快犯」のようにいやがらせをやっているようには見えません。

ひとことで言えば、他の人にも余裕がない。全員がギリギリで生活をしている、疲弊しているといった感覚が話を聞いているとこちら側にも伝わってきます。
他人を助けようというような優しい気持ちになれないぐらい、「職場のあちらこちらに心身ともにおかしい状態の人がいる」と訴える患者さまもいます。


 日本の社会は、男女とも年齢に関係なく、健康で心身ともに強いか、あるいは私生活に恵まれた者だけが生き残れる社会になりつつあると訴えられます。


 就職ができない人もたくさんいるのだから過酷な労働に耐えられる人、経験があって即戦力になれる人と取り換えたらいいといった経営側の考えも存在するようです。
契約社員やアルバイトをもっと増やす経営方針もあります。


 私が訴えを聞いた患者さまは、アルバイトでした。

朝9時から時給で働く仕事なのですが、ノルマをこなさないと「サービス残業」をしなければ仕事のオーダーに間に合わない。
朝9時から準備を始めたのでは1日の仕事が間に合わないのに、朝は天候に関係なくビルの外で正社員が9時ギリギリに来るまで立って待っていなければならない。

他のアルバイトもタイムカードを押すためにそうしている。9時からの仕事開始では準備が遅れてしまうから、鍵をあけるために30分早く正社員に来てもらうか、鍵の管理を特定のアルバイトに任せてくれないかと提案すれば却下される。

要領よくスピードを上げないからだとどなられる。
正社員は朝の9時前から働きたくない、鍵の管理をアルバイトに任せない、個人に信用を置いてもらってないとか、正社員との精神的な差別化を感じさせるものばかりだと他のアルバイト仲間に相談すると、クビになりたくなければ黙っていろ」と言われた。


 アルバイトから契約社員になっても時給はさほど変わらないが、正社員になるのは非常に難しい会社だったので、辞めて就職探しをしたら正社員になれた会社があった。
ところが今度は、アルバイトの欠勤を埋めるために自分が無報酬で働くようなポジションにつくことになり、体を酷使しているうちに慢性疼痛を起こし、指の先まで動かなくなってしまい退職したと訴える30代の男性でした。


 弁護士や議員のみなさんは、事実を集めて正当な訴えを起こすこと、労働組合に相談することなどを提案していますが、実行することができるエネルギーをためることができる人は、病に陥ることもないかと思います。

訴えが効果を出すまでには時間がかかり、必ずしも成功するとは限りません。
その間、医療の現場では患者の数が増加していくだろうと私は感じています。

 少子化による労働者の減少、働かずして高給をとる管理職、文句を出したらきりがないかもしれません。
でも、言ってもどうにもならないことは言わないほうがいいという考えは、間違っています。


 ストレスコントロールの最大の武器は、言いたいことの毒を吐き出すように言うことです。
吐き出すうちに解決策が見えたり、新しいエネルギーが湧いてくることもある。

「どこで、誰に向かって?」と聞かれますが、ときには医療の担当医とケンカをすることもいいかもしれない。

働く現場という意味では、医療者の働く現場も他と同じです。
患者さまを決して見捨てないという精神を強くしていくには、自分たちの働く環境にもしっかりとした信念が必要になってくるでしょう。


 社会全体のエネルギーは、人が人の潜在的エネルギーを諦めないことで大きくなっていくと、私は信じています。

その職種の特徴を見極め、労働状況の何を改善していけばその職種をのばしていくことができるかを、個別に考えていく時期なのだと思います。

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2013年09月08日

社説:シリア情勢と日本 攻撃の根拠が知りたい

社説:シリア情勢と日本 攻撃の根拠が知りたい
毎日新聞 2013年09月07日 02時30分

  米国のオバマ政権が、化学兵器使用が疑われるシリアのアサド政権への軍事攻撃を検討する中、日本政府が難しい対応を迫られている。


 政府内では、米国が国連安全保障理事会の決議なしに攻撃に踏み切った場合、イランや北朝鮮など大量破壊兵器絡みで国際社会と対立する国々への影響も考慮して、米国の同盟国として支持や理解を表明すべきだという考え方が強い。

しかし、化学兵器が使われたのは間違いないとみられるものの、使用したのがアサド政権なのか反体制側なのかという、肝心な点がはっきりしない。

米国はまずアサド政権側が使用したと主張する明確な根拠を示してほしい。日本は米国に証拠提示を迫るべきだ。


 ロシアで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせ、安倍晋三首相は、オバマ大統領と会談し、米国が計画するシリア攻撃について「非人道的行為を食い止める責任感に敬意を表する」と述べ、シリア情勢改善に両国が緊密に連携することを確認した。

踏み込むことを避けた首相の対応は、不明な点が多い現時点では妥当なものと言えよう。


 最大の不明点は、化学兵器を誰が使用したかだ。

米政府の報告書では、8月21日のダマスカス郊外での化学兵器使用疑惑について「アサド政権が使用したと強く確信している」としているが、断定できるのか疑問だ。
仏政府の報告書も同様だ。


 仮に化学兵器を使ったのが反体制側なら、「アサド政権に化学兵器使用を思いとどまらせる懲罰的攻撃」という米仏の攻撃の根拠は崩れる。


 2003年のイラク戦争で、当時の小泉純一郎政権は、安保理決議がない米英両軍の攻撃を支持し、復興支援で自衛隊を派遣したが、開戦の根拠となった大量破壊兵器は見つからなかった。

欧米では反省から検証が行われたが、日本では戦争支持の経緯や責任はうやむやのままだ。


 シリア攻撃に近いケースとされる1999年のコソボ紛争では、安保理決議がないまま、アルバニア系住民の保護という人道的介入を理由に北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラビアを空爆した。
日本は理解を示し、人道復興支援をした。
しかし、人道的介入の考え方には、拡大解釈を生むなど批判もある。


 シリア情勢は、安保理決議にロシアと中国が反対し、安保理が機能しない中、国際社会が紛争にどう対処するかという重い課題を突きつけている。

安保理決議なしの軍事攻撃が制裁の方法として妥当なものかは、なお議論が残るが、まずは最低限、明確な証拠の提示がなければ、攻撃の妥当性を判断しようがない。
政府は、米国がしっかりとした根拠を示すよう外交努力を強めるべきだ。

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震災関連死:福島県内で直接死上回る 避難生活疲れで

震災関連死:福島県内で直接死上回る 避難生活疲れで
毎日新聞 2013年09月08日 02時30分
(最終更新 09月08日 06時52分)

  東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災者の死亡例のうち、福島県内自治体が「震災関連死」と認定した死者数が8月末現在で1539人に上り、地震や津波による直接死者数1599人(県災害対策本部調べ)に迫っていることが、毎日新聞の調査で分かった。
少なくとも109人について申請中であることも判明。近く直接死を上回るのは確実だ。


 長引く避難生活で体調が悪化したり、自殺に追い込まれたりするケースがあり、原発事故被害の深刻さが裏付けられた。


 関連死の審査会を設置しているか、今年3月末までに関連死を認定したケースがある福島県内25市町村を調べた。
復興庁が公表した3月末の関連死者1383人から5カ月で156人が新たに増えたことになる。


 南相馬市が431人で最も多く、浪江町291人、富岡町190人−−の順だった。
年代別では回答が得られた355人のうち、80歳代以上233人(65.6%)▽70歳代79人(22.3%)▽60歳代32人(9.0%)などで高齢者が多かった。


 死因については多くの市町村が「今後の審査に影響する」と回答を避けた。

復興庁による昨年3月末のデータを基にした県内734人の原因調査では

「避難所などの生活疲労」33.7%
▽「避難所などへの移動中の疲労」29.5%
▽「病院の機能停止による既往症の悪化」14.5%など。
自殺は9人だった。


 宮城県では今年8月末現在で869人、岩手県は413人だった。
関連死申請の相談を受けた経験がある馬奈木厳太郎弁護士は「原発事故による避難者数が多い上、将来の見通しも立たずにストレスがたまっている。今後も増える可能性がある」と指摘している。
【蓬田正志、田原翔一】

◇ことば【震災関連死】

 建物倒壊による圧死や津波による水死など震災を直接の原因とする死亡ではなく、災害により長引く避難所生活の疲労や震災の精神的ショックなどで体調を崩して死亡したケースを指す。
明確な基準はないが、遺族が申請して市町村などが震災との因果関係を認定する。
東日本大震災では福島県の場合、申請の約8割が認定された。
市町村と都道府県、国から最高で計500万円の災害弔慰金が支給される。

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2013年09月09日

佐藤真海パラリンピック代表、招致プレゼン全文

被災地で見たスポーツの真の力 
       佐藤真海さん、招致プレゼン全文
産経新聞 2013/09/08 01:38

■パラリンピック女子走り幅跳び代表 


 会長、そしてIOC委員の皆様。佐藤真海です。


 私がここにいるのは、スポーツによって救われたからです。
スポーツは私に人生で大切な価値を教えてくれました。
それは、2020年東京大会が世界に広めようと決意している価値です。
本日は、そのグローバルなビジョンについてご説明いたします。 


 19歳のときに私の人生は一変しました。
私は陸上選手で、水泳もしていました。
また、チアリーダーでもありました。

そして、初めて足首に痛みを感じてから、たった数週間のうちに骨肉種により足を失ってしまいました。
もちろん、それは過酷なことで、絶望の淵に沈みました。


 でもそれは大学に戻り、陸上に取り組むまでのことでした。
私は目標を決め、それを越えることに喜びを感じ、新しい自信が生まれました。


 そして何より、私にとって大切なのは、私が持っているものであって、私が失ったものではないということを学びました。


 私はアテネと北京のパラリンピック大会に出場しました。
スポーツの力に感動させられた私は、恵まれていると感じました。
2012年ロンドン大会も楽しみにしていました。


 しかし、2011年3月11日、津波が私の故郷の町を襲いました。
6日もの間、私は自分の家族がまだ無事でいるかどうかわかりませんでした。
そして家族を見つけ出したとき、自分の個人的な幸せなど、国民の深い悲しみとは比べものにもなりませんでした。

 私はいろいろな学校からメッセージを集めて故郷に持ち帰り、私自身の経験を人々に話しました。
食糧も持って行きました。
ほかの
アスリートたちも同じことをしました。

私達は一緒になってスポーツ活動を準備して、自信を取り戻すお手伝いをしました。


 そのとき初めて、私はスポーツの真の力を目の当たりにしたのです。
新たな夢と笑顔を育む力。
希望をもたらす力。
人々を結びつける力。

200人を超える
アスリートたちが、日本そして世界から、被災地におよそ1000回も足を運びながら、5万人以上の子どもたちをインスパイアしています。


 私達が目にしたものは、かつて日本では見られなかったオリンピックの価値が及ぼす力です。

そして、日本が目の当たりにしたのは、これらの貴重な価値、卓越、友情、尊敬が、言葉以上の大きな力をもつということです。

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20年東京五輪:歓迎の一方、疑問の声も…震災被災地

20年東京五輪:歓迎の一方、
          疑問の声も…震災被災地
毎日新聞 2013年09月09日 11時06分

 東日本大震災からの復興をテーマに掲げる2020年東京五輪。被災地では開催を歓迎する声が上がる一方、本当に復興に役立つのか、疑問視する声も少なくない。

 ◇福島

 福島第1原発事故の影響で双葉町から避難し、福島市の仮設住宅に住む無職の鈴木トクさん(79)は「五輪が開かれれば、外国からも人が来て盛り上がるから良い。
経済効果が東北や被災地にまで及んでくれれば」と語った。

いわき市小浜町で、放射性物質検査のためアワビやウニなどを水揚げした漁業の丹野信一さん(77)も「素直に歓迎すべきだ」と話したが「汚染水問題が解決するか分からず、漁業の復興は道半ば。
福島へ支援の手が届くのか心配になる」と表情を曇らせた。


 富岡町で被災し、三春町の仮設住宅に家族5人で避難する派遣社員の萩原光代さん(45)も復興のアピールばかりで被災地をなおざりにしてもらっては困る」とくぎを刺した。

浪江町から避難し、福島市の仮設住宅で暮らす無職の岡和田温(あつし)さん(40)は「五輪は被災地の復興には役立たない。
汚染水対策を国が前面に出てやると言ったのだって五輪のためだろう。
避難者の生活や原発事故の収束を第一にやってほしい」と訴えた。
【田原翔一、五十嵐和大、猪飼健史】

 ◇岩手

 津波で自宅が流され、親族宅で生活を送りながら、がれきの分別の仕事をする大槌(おおつち)町の小松力(つとむ)さん(59)は「元気になるので気持ちの面では復興に役立つと感じた。
しかしお金もかかること。
2020年を迎えた時、五輪施設は完成したのに、被災地復興は道半ばとならないよう願う」と話した。


 津波で事業所や車両を失い、仮設事務所で運送業を営む釜石市の舟本常雄さん(67)は「五輪に向けて東京の魚市場が活気づき、三陸の浜から魚の運送も増えることに期待したい」。

自宅を流され、同市内の中古住宅で独居している釜石市の無職、大久保桂子さん(72)は「復興工事で不足している人手と資材が、五輪の工事に取られてしまわないだろうか」と漏らした。
盛岡市の教員、伊勢美和さん(37)も「安倍(晋三)首相は『復興した姿を見せる』と世界に約束したのだから、有言実行してほしい」と求めた。
【高尾具成、藤河匠、宮崎隆】

 ◇宮城

「なにか他の国の話のような感じがする」。
津波で自宅を失い、気仙沼市の仮設店舗で金物屋を営む鈴木敦雄さん(53)は東京五輪開催に首をかしげる。
「開催したことのないトルコ(イスタンブール)に譲ってもよかったんじゃないかとさえ思う。

日本は、もっと他に力を注ぐべきことがあるのでは。
震災復興を誘致の材料にしたんだったら、それを本当に加速させてほしい」と注文を付けた。


 名取市の自宅兼店舗が全壊し、仮設商店街で写真館を再開した斎藤正善さん(61)は「安倍晋三首相は原発問題に責任をもって取り組むと言ったが、福島、宮城、岩手の再生・復興にも取り組んでほしい」と注文を付けたうえで「7年後、関東は盛り上がるのだろうが、被災地が取り残されることは許されない
もっと被災地で競技をしてくれれば盛り上がれる」と話した

  東京五輪が決定した8日、仙台市内で開かれたジャズのイベントに来ていた大学生、山下愛さん(21)は、同市若林区にあった自宅を津波で流された。
「ロンドン五輪は見ていてわくわくしたので、東京開催は素直にうれしい。
もうチケット入手の話をしている友人もいる。

7年後は、世界はもちろん、日本でも被災地を忘れている人が多いと思う。
五輪が、そんな人たちが被災地に来てくれたりするきっかけになってほしい」
と期待していた。
【井田純、三浦研吾】

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2013年09月10日

さあこれからだ: 東北を忘れない、応援続けたい=鎌田實

さあこれからだ: 
東北を忘れない、応援続けたい=鎌田實
毎日新聞 2013年09月10日 東京朝刊

この夏は猛暑が続いた。
東北の仮設住宅で暮らす人たちには、つらい暑さだろう。
東日本大震災の悲劇から、あす11日で2年半。
なかなか進まぬ復興に、心も体も疲れているに違いない。


 先週、ぼくは岩手県陸前高田市を訪ね、心と体の健康法について講演した。
同時に、新著「鎌田式健康ごはん」(マガジンハウス)に掲載した料理を振る舞うことにした。
缶詰や総菜を使うため、簡単でおいしく、体にいい。
話を聞くことと食べることで、頭と胃袋の両方から健康法を納得してもらおう、という戦略だ。
調理は、市内の栄養士さんたちが、ボランティアで協力してくれた。


 だが、ぼくの講演に来る人は女性が大半。男性を引っ張り出すにはどうしたらいいか、考えた。


 陸前高田は漁師町。
やっぱり演歌だな、と思った。
女性の演歌歌手に来てもらえれば、男性が集まるに違いない−−。


 神野美伽さんに連絡した。

 「陸前高田の人たちの心を温めてもらえませんか」


 神野さんは、ぼくが理事長をしているJIM−NETが、イラクや福島の子どもたちを支援するため実施している「チョコ募金」に賛同し、びっくりするほどの数のチョコを買ってくださった。
感激してお礼の電話をした。

その後、ぼくが出演している文化放送「日曜はがんばらない」にゲスト出演してもらった。付き合いといえば、この2回だけ。

ぼくは本当にずうずうしい。ダメもとだったが、何と、神野さんは二つ返事で快諾。デビュー30周年を迎え、新しいCDの制作やコンサートの準備が忙しいなか、駆けつけてくれた。


 陸前高田に着いた神野さんは、がれきが積み上げられたままの光景に、うっすら涙を浮かべた。
この町では、震災関連死も含めれば、2000人近い人が亡くなっている。


 介護老人保健施設「松原苑」に行くと、250人を超す人たちが待っていた。
認知症の人も、近所の人も、いっぱい集まっていた。

ぼくの話の時には眠りこけていた人たちも、神野さんの歌が始まると、顔を上げ、目を輝かせた。車いすの上で手拍子を打つ姿もあった。


 神野さんがお年寄りの中に入っていくと、握手を求めて、手を伸ばしてきた。
ある認知症の人は「すごい」「きれいだ」と何度も声を上げていた。
介護スタッフによると、その人のこんなに生き生きとした顔を見たのは初めてだという。

その後、地域の人が集会場として使っている「朝日のあたる家」へ。
神野さんと鎌田のトーク・アンド・コンサートを聴くために、入りきれないほどの人が集まっていてくれた。

神野さんがヒット曲「男船」を歌うと、割れるような拍手が起き、会場は興奮の渦に包まれた。
吉幾三さんの「酔歌」と、ロック調にアレンジしたソーラン節を歌った時は、ついにおばあちゃんが舞台に立って踊り出した。


みんなが歌い出した。笑い転げていた。
歌のパワーを見せつけられた。


 韓国でも歌手活動している神野さんは、韓国の親のいない子どもたちの支援活動を続けている。
チョコ募金に賛同してくれたこともそうだが、
普段から困っている人のことを助けたい、という思いがあるのだろう。


 こういう人は「共感する力」が強い。
被災地でもすぐに溶け込み、被災者の心をつかむ。
見事だなと思った。


 会場では、ボランティアが用意してくれたご飯も好評だった。
「鎌田式健康ごはん」の具だくさんみそ汁と、うの花ごはん、サバ煮缶を使ったキャベツ炒め……。
みんなに「良かった、おいしかった」と喜ばれた。


 こちらの狙い通り、男性もたくさん参加してくれた。
家族を亡くして1人暮らしの男性も多い。
これを機に、食生活をはじめ、もっと自分の健康に気を使うようになってもらいたい。


 町が復興するまでには、もう1、2年はかかる。
それぞれが仮設住宅から出ていくのにも、かなりの時間が必要だ。
その間に脳卒中で倒れないように、心が折れないように、みんなで応援していかなければいけないと思う。


 それにはまず、東北のことを忘れないこと。
東北を旅行し、仮設商店街でご飯を食べるだけでも応援になる。
東北の食べ物を「お取り寄せ」するのもいいと思う。
自分にできる方法で、応援を続けることが大事だ。
(医師・作家)

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2013年09月11日

香山リカのココロの万華鏡:「きょうだい」の義務とは 

香山リカのココロの万華鏡:「きょうだい」の義務とは 
毎日新聞 2013年09月10日 東京地方版


 最近、診察室に「引きこもりのきょうだいのことで……」とやって来る人が増えた。
具体的なケースを想定してみよう。


 相談に来たのは40代の女性。3歳年上の兄が、長い間実家で引きこもり生活を続けている。
両親が面倒を見ていたが2年前に父親が亡くなり、その後母親は認知症になって施設に入ることになった。


 「母親の年金は施設の費用になりますし、私には子育てや夫の親の介護があり、時間的にも経済的にもまったく余裕がありません。
今度、兄を連れてきますから病気なら治療して、何とか働けるようにしてください」


 これは架空のケースだが、相談の多くはこんな内容だ。
きょうだいから「今度はあなたが私の面倒を見て」と告げられ、うつ状態に陥った人もいた。


 家族には法律上、「扶養の義務」というのがあり、親子、きょうだいが窮地に陥っているのに知らんぷりをすることはできない。
しかし、きょうだい同士はその義務が少し緩く「自分の生活を犠牲にしない限度で援助する義務がある」となっている。

「何がなんでも」ではなくて、「自分にゆとりがあれば」助け合う。
それがきょうだい、と法律で決められているのだ。


 そうだとしたら、先ほど挙げたケースの場合、その引きこもりの兄の世話をする義務は妹にはない、ということになる。
とはいえ、事はそう簡単に運ばない。
もし、兄が生活保護を受ける相談に行けば福祉担当者は「どなたか親族で扶養してくれる人はいませんか」と尋ねるだろう。
その前に、本人から「なんとか援助してくれないか」と何度も連絡が来たり、施設に入っている母親が「申し訳ないけど面倒見てあげて」と言ったりするかもしれない。
法的にも感情的にも、「家族の縁を切ること」は簡単にはできないのだ。


 では、やはり自分の人生を犠牲にしてでもきょうだいの世話を引き受けるべきなのか。もしもそうなったら、その人は生活能力のない兄や妹を恨み、そんな状態にしたまま世を去った親を恨み、息も絶え絶えで、人生の後半を生きなければならない。


 長い間、親に依存して暮らしてきた40代、50代の引きこもりの人たちでも、一念発起してクリニックや相談機関を訪れ、そこから自立を果たす可能性もないわけではないが、残念ながらそれは極めてまれなケース。
「親が亡くなった後、誰が引きこもりのきょうだいの面倒を見るか」という事は、これからの深刻な社会問題だ。

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学力テスト 学校支配に利用するな

学力テスト 学校支配に利用するな
2013年9月11日 東京新聞社説

静岡県の川勝平太知事が全国学力テストで県の成績が悪かったとして、下位校の校長名を公表する意向を示した。

教師への“罰”で傷つくのは子どもたち。歪(ゆが)んだ競争に追い立てるだけではないか。


 学校現場にどんなメリットや効果があるのか。
先に成績が公表された全国学力テストで、静岡県は小学六年の国語Aの平均正答率が全国を5ポイント下回る57・7%。
都道府県の最下位だった。


 これを受けて川勝知事は成績の悪かった百校の校長名を公表したいと記者会見で語った。
成績が悪いのは教師のせいだ。校長名を公表して責任を取ってもらう。
反省を促すのだ−と。


 文部科学省は学力テストの実施要領で学校名を明らかにした成績の公表を禁じている。
過度な成績競争を防ぐためで、一九六〇年代に続いた学力テストをやめる大きな理由になった。
知事は「校長名の公表は問題ない」と言うが、校長名が分かれば学校名もわかる。


 
学力テストは本来、子どもがどんなところでつまずいているのか、どんなことができるようになったのかを教師が知り、指導の改善に役立てるためにある。


 成績には教師の教え方が影響するのはもちろんだが、地域や家庭の抱える事情などさまざまな要素が反映する。
学校現場はそれらを細やかに見ていくことこそが求められている。


 小学六年や中学三年を対象に行われている全員参加式のテストに疑問が持たれているのは、平均値をはじきだし、都道府県をランク付けするからだ。

平均値より上か、下かなど
点数のみに関心が向けられ、一人ひとりの課題を見つけるのに役立てられていない。


 校長名を公表すれば教師も子どもたちの成績を上げようと競争へと駆り立てるようになる。
むしろそんな弊害の方が心配になる。

川勝知事の発言は地域の実情を無視した、全国一律の学力テストがもともと抱えている問題を明らかにしたといえる。


 テスト成績の扱いについて、公表しても罰則がないために秋田県が市町村別に公表したことがある。
佐賀県武雄市は昨年十二月に学校別で公表した。
ほかにも公表を認めるよう求める首長があり、文科省は公表の範囲を自治体の判断に任せることも検討している。
本末転倒だ。


 
名前を公表される教師たちは萎縮するだろう。
学力テストを学校を支配する道具にしてはいけない。

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2013年09月12日

寝ても覚めても:470億円を考える=冨重圭以子

寝ても覚めても:470億円を考える=冨重圭以子
毎日新聞 2013年09月12日 14時20分

  以前から、国や自治体の予算に関する記事は、読むのが苦手だった。
予算額が1億円を超えると、実感がないため思考停止し、金額が頭にとどまってくれないのだ。


 東京五輪の経済効果は招致委員会の試算で3兆円といわれても、あるいは副次的な効果まで含めると100兆円を超える、という説をきいても、ふーん、という感想しか出てこない。


 ただ「470億円」は、なぜか頭に残り、いまも気になる金額だ。
東京電力福島第1原発の汚染水漏れを収拾するために、政府が投入を決めた国費の額。
完全にコントロールするには、さらに増額しなければならないようだが、470億円でとりあえず止められるのなら、なぜもっと早く決断しなかったのだろう。


 国費投入の発表が国際オリンピック委員会(IOC)総会の直前だったから、東京招致への影響を考えた、という見方も出た。

だとしたら東京が立候補していなかったら、いまだに東京電力任せにしていた、ということ?


 東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まってから、国内は想像した以上の祝賀ムードに包まれている。
不動産、建設、観光など五輪関連株が大きく上昇し、都庁前での報告会は人の波で埋まった。


 スポーツ界にもいい話だ。
政府はスポーツ庁の設置を検討するという。
バラバラだったスポーツ行政が、ようやく一本化する可能性も出てきた。


 佐藤真海さんの見事な招致演説のおかげで、パラリンピックへの注目度も、これまでになく高い。
東京のバリアフリー化が進めば、きっと他の地域へも波及するから、高齢者も行動しやすくなる。招致成功はいろいろな好影響をもたらす。


 「だからさ」と福島県出身の知人は言う。
福島も、五輪を利用すればいい」。
五輪ありきの470億円だったとしても、ゼロよりはまし。

「健康問題に関して今までも、現在も、将来も問題はないと約束する」と見えを切った安倍晋三首相に「忘れた」と言わせないよう、折に触れて確認し続けよう、というのだ。


 最優先事項は五輪なのだから仕方がない、という諦観も含んだ提案に、言葉が返せなかった。

(専門編集委員)
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2013年09月13日

海原純子:人をサポートする人“燃え尽き”に注意

海原純子のハート通信
人をサポートする人“燃え尽き”に注意
2013年9月10日  読売新聞 yomi Dr.

 1970年代、バーンアウト(燃え尽き)症候群という言葉が流行語になったことがあります。
米国の精神科医が、医師や看護師など精神的な援助の仕事をする人にみられる職業障害と報告したことがきっかけです。


 人のサポートをするために自分の感情を抑え、無理をすることが続いたり、仕事に対する責任感が強く、理想に燃えてがんばったりする人が、あまり期待していないような結果になった時などに、
心の疲労感を感じてイライラしたり、人に会いたくなくなったり、不眠や体調不良になったりします。

そして仕事に対する熱意もなくなり、出勤したくなくなるような“燃え尽き”を起こすことが燃え尽き症候群です。


 人をサポートするような仕事に関わる人は、自分の生活を二の次にして仕事をすることもしばしば。

しかも、それが当たり前なこととみられてしまうことなどが、こうした症状の背景といえるでしょう。

仕事と同時に、自分の生活や自分の時間のゆとりとのバランスを考えたり、仲間同士でサポートし合ったりするなど、
人に関わる仕事につく人は、燃え尽きない工夫が必要です。

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2013年09月14日

小出裕章氏「汚染水は制御不能。安倍首相の発言は恥知らずだ」

小出裕章氏「汚染水は制御不能。
    安倍首相の発言は恥知らずだ」
2013年9月13日 ゲンダイネット掲載

 「放射能は完全にブロックされている」「コントロール下にある」――。
IOC総会で、安倍晋三首相は福島第1原発の汚染水問題について、こう豪語した。
首相の言葉はすなわち、国際公約になったわけだが、現地では今も1日400トンもの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込み、海に漏れている可能性も否定できない。
安倍首相の言う「完全ブロック」とは程遠い状況なのだが、原子力の第一人者はどう見ているか。

<そんなに安全なら自分で現場に行けばいい>

――安倍首相のIOC総会での発言を聞いて、どう思われましたか?

「ほとほと呆れました。
一体何を根拠にコントロールできていると言っているのでしょうか。
冗談ではありません。
福島原発は今、人類が初めて遭遇する困難に直面していて、想像を絶する状況が進行しているのです。

そもそも、原発政策を推し進めてきた自民党政権は、原発を安全だと説明してきたが、安全神話は事故で崩れた。
それなのに『コントロール』なんて、よく言えたもので、本当に恥知らずです。そこまで言い切るなら、安倍首相自らが福島原発に行って収束作業に当たればいいと思います」

――汚染水の現状をどう見ていますか。

「これは予想できたことなのです。
事故が起きた福島原発では溶けた炉心の核燃料を冷却する必要があります。
水を入れれば核燃料に触れた水の汚染は避けられない。
福島原発は水素爆発で原子炉建屋の屋根が吹き飛び、地震と津波で、施設のあちこちが壊れている。
汚染水は必ず外部に漏れてくる。
それが原子炉建屋やタービン建屋の地下、トレンチといった地下トンネルにたまり、あふれ出る。
誰が見ても、当たり前のことが起こっているのです」

――小出さんは2011年3月の事故直後から、汚染水はタンカーで移送すべきだと提案していました。

「漏れた汚染水が原発の敷地内にたまり続け、今のように周辺からあふれるのは明白でした。
それなら一刻も早く汚染水を漏れない場所に移さないといけない。
そこで数万トンの容量があるタンカー移送を提案したのです。
新潟県にある世界最大の原発、東京電力柏崎刈羽原発には廃液処理装置があります。
柏崎刈羽原発は稼働停止中ですから、そこに運んで廃液処理するべきだと考えたのです」

――しかし、提案は採用されなかった。

「汚染水を海上輸送するので、地元漁協はもちろん、国際社会の反発が予想されるし、受け入れる新潟県の反対もあったのでしょう。

東電が柏崎刈羽原発に放射性廃棄物がたまり続けることを避けたかったのかも知れません。
私は2011年5月に原子炉建屋の周辺に遮水壁を設けることも提案しました。
地下水の汚染を防ぐためです。
しかし、東電側は『カネがかかり過ぎて6月の株主総会を乗り切れない』と考えたようで、結局、何もしなかった。
今になって遮水壁、凍土壁を設置すると言っていますが、バカにしているのかと思いますね」

<汚染水は許容値の300万倍、制御は不可能>

――政府の汚染水対策の柱は「凍土壁」と、汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去装置「ALPS」の増設・改良です。
「ALPS」が稼働すれば状況は改善されるのですか。

「動かさないよりも動かした方がいいに決まっている。
しかし、汚染水問題の根本解決は困難と言わざるを得ません。
なぜなら、汚染水の濃度があまりに高いからです。
汚染水に含まれている主な放射性物質はセシウム137、ストロンチウム90、トリチウムの3つだと思います。

この実験所をはじめ、国内の原発でストロンチウム90を廃液処理する場合、法令上の基準値は1リットル当たり30ベクレル以下です。

しかし、先日、福島原発の地上タンクから漏出した汚染水は1リットル8000万ベクレルと報道されていました。
つまり、許容濃度にするには、300万分の1以下に処理しなければならない。
私は不可能だと思っています。
さらに、トリチウムは三重水素と呼ばれる水素ですから、水そのもので、ALPSで除去することはできません」

――凍土壁は効果ありますか。

私は遮水壁は鉄とコンクリートで造るべきだと思っています。
耐久性があり、最低でも10〜20年は持つからです。
しかし、造るのに時間もカネもかかる。
待ったなしの状況を考えれば、急場しのぎの凍土壁も造った方がいい。

ただ、凍土壁が冷却に失敗したら地下に巨大な穴が開く恐れがある上、何年維持できるのか分からない。
最終的には、やはり、凍土壁の周囲を鉄とコンクリートの遮水壁で覆う必要があると思います」

――小出さんは最近、水を使った冷却をやめるべきと言っていますね。

「水を使い続ける限り、汚染水は増え続ける。
今のような状況は何としても変えなくてはなりません。
重要なことは冷やすこと。
つまり、冷やすことさえできれば、手段は問わないわけです。

東海原発の原子炉のように炭酸ガスを使って冷やす例もあります。
ただ、ガスだと今度は汚染ガスの問題が出てくるでしょう。
そこで、金属を使うことが考えられます。
仮に(融点の低い)鉛などを炉心に送ることができれば、最初は熱で溶けて塊になるものの、塊が大きくなるにつれて次第に熱では溶けなくなる。
その後は自然空冷という状態になると思います。
ただ、これが確実に有効な対策かと問われると正直、分かりません。
金属の専門家などを集めて知恵を絞るしかありません」

<チェルノブイリのように石棺にするしかない>

――福島原発はどうすれば廃炉できるのでしょうか。

「(1986年に事故を起こした)チェルノブイリ原発のように石棺しか方法はないと思います。
ただ、チェルノブイリ原発も事故から27年経った今、コンクリートのあちこちが壊れ始めている。
福島原発は事故を起こした原子炉が4基もあり、石棺にするにしても、使用済み核燃料プールにある燃料棒は必ず取り出す必要がある。
その燃料棒の取り出しに一体何年かかるのかも分かりません」

――簡易型タンクで急場をしのぐだけの東電の後手後手対応にも呆れます。

「現場は猛烈に放射線量が高く、一帯は放射能の沼のようになっていると思います。
その中で、貯水タンクを(壊れにくい)溶接型にしたり、漏出がないかどうかを24時間体制で監視すれば、確実に作業員の被曝(ひばく)線量が増える。
つまり、作業を厳格にしようとすれば、その分、作業員の被曝線量が増えてしまう。
だから、場当たり的な作業にならざるを得ないのだと思います」

――作業員の話が出ましたが、今後、数十年間は続くとみられる廃炉作業を担う作業員は確保できるのでしょうか。

「チェルノブイリ原発では、収束のために60万〜80万人が作業に当たりました。
27年経った今も、毎日数千人が作業しています。
原子炉1基の事故でさえ、この状況です。
福島は原子炉が4基もある。
一体どのくらいの作業員が必要になるのか見当もつきません」

――それなのに安倍政権は原発を再稼働する気です。

「町の小さな工場でも毒物を流せば警察沙汰になり、倒産します。
しかし、福島原発の事故では東電はいまだに誰も責任を問われていません。電力会社が事故を起こしても免責になることに国が“お墨付き”を与えたようなものです。
だから、全国の電力会社が原発再稼働に走るのです」

こいで・ひろあき 
1949年東京生まれ。
東北大工学部原子核工学科卒、同大学院修了。
74年から現職。
放射線計測、原子力施設の工学的安全性の分析が専門。
「放射能汚染の現実を超えて」(河出書房新社)、「原発のウソ」(扶桑社)など著書多数。
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2013年09月15日

【死んだっていい 俺も行く】菅直人前首相

【死んだっていい 俺も行く】
原発危機的状況に菅前首相 東電が発言詳細記録
2012/03/15 11:10  共同通信

 水素爆発が相次ぎ福島第1原発事故が危機的状況に陥っていた昨年(一昨年)3月15日未明、菅直人首相(当時)が東京電力本店に乗り込んだ際の「60(歳)になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。俺も行く」などとの発言を、東電が詳細に記録していたことが15日、分かった。

 菅氏の東電訪問は政府の事故調査・検証委員会の中間報告などでも触れられているが、記録からは、東電が第1原発から全面撤退すると考えた菅氏が、かなり強い口調でできる限りの取り組みと覚悟を迫っていたことがうかがえる。

 記録によると、本店2階の緊急時対策本部に入った首相は、政府・東電の事故対策統合本部の設置を宣言。

「このままでは日本国滅亡だ」
「プラントを放棄した際は、原子炉や使用済み燃料が崩壊して放射能を発する物質が飛び散る。
チェルノブイリの2倍3倍にもなり、どういうことになるのか皆さんもよく知っているはず」と強い危機感を示した。

 さらに「撤退したら東電は百パーセントつぶれる。
逃げてみたって逃げ切れないぞ」と迫った。

 東電の事故対応について「目の前のことだけでなく、その先を見据えて当面の手を打て」「無駄になってもいい。金がいくらかかってもいい。
必要なら自衛隊でも警察でも動かす」と、改善を求めた。

 15日未明の段階では、2号機も水素爆発の恐れがあった。
状況説明に対し、菅氏が「何気圧と聞いたって分からないじゃないか」といら立つ場面もあった。

 菅氏は対策本部に大勢の東電社員がいるのを見て「大事なことは5、6人で決めるものだ。
ふざけてるんじゃない。
小部屋を用意しろ」と指示、勝俣恒久(かつまた・つねひさ)会長ら東電トップと対応を協議した。

 菅氏が撤退を踏みとどまるよう求めた発言と、
対策統合本部の設置について、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)は「(危機対応として)一定の効果があった」と評価している。

 今月14日の国会の事故調査委員会では、菅氏の東電訪問時の映像(音声なし)が残っていることが明らかになった。


▽菅氏の主な発言


 東京電力が記録していた昨年3月15日未明の菅直人首相(当時)の主な発言は以下の通り。

被害が甚大だ。このままでは日本国滅亡だ
撤退などあり得ない。命懸けでやれ
・情報が遅い、不正確、誤っている
・撤退したら東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ
・60になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。俺も行く
・社長、会長も覚悟を決めてやれ
・なんでこんなに大勢いるんだ。大事なことは5、6人で決めるものだ。ふざけてるんじゃない
原子炉のことを本当に分かっているのは
誰だ。何でこんなことになるんだ。
本当に分かっているのか

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福島第1―せきから水あふれる=タンク周辺、大雨で

せきから水あふれる=タンク周辺、大雨で―福島第1
2013年9月15日(日)20時29分配信 時事通信


東京電力は15日、福島第1原発で放射能汚染水の貯蔵タンクを囲むせき内にたまっていた水があふれ出たと発表した。

台風18号接近に伴う大雨で急激に水かさが増したため。東電は「あふれたのは雨水」としているが、漏出した水に放射性物質が含まれていないか、調べている。

 東電によると、せきはコンクリート製で高さ30センチ。同日午後1時10分ごろ、タンクを見回り中の同社社員が、4号機の山側にあるタンク群で水があふれているのを発見した。

 タンクから高濃度汚染水が漏出した際は、せきの排水弁を開けたままにしていたため、汚染水が外部に流出した。
東電はこれを受け、排水弁を閉じたが、せきの高さが足りないとの指摘も出ていた。 
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2013年09月16日

賃上げ対策:家計支援こそ景気回復のカギ

主張
賃上げ対策
  家計支援こそ景気回復のカギ 
2013年9月13日(金) しんぶん赤旗

 安倍晋三政権は、国内総生産(GDP)などの経済指標が上向いて来年4月からの消費税増税の環境が整ったという判断を強めているといわれます。これはとんでもない誤りです。

労働者の賃金は連続して下がり続け、家計の悪化が深刻な状態にあります。
賃金が下がっているところに増税をしたら、国民の暮らしはますます大変になり、日本経済がどん底に落ち込むことは誰でもわかることです。
いま政治がやるべきことは、消費税増税を中止し、賃上げ対策に全力をあげることです。


深刻な暮らしの指標

 賃金が上がらないのは、政府にとっても不安材料になっています。
このため安倍首相は「賃上げの好循環を加速させる環境づくり」のためとして、政府、労働者、使用者の代表による「政労使協議」の開催を甘利明経済再生担当相に指示しました。

今月中にスタートし、年内に一定の合意を得たいとしています。
この協議が賃上げを正面にすえた議論の場になるなら労働者は歓迎するでしょう。


 問題は「賃上げの好循環」という議論の方向です。

企業がもうかりさえすれば、やがて賃上げに回ってくるという「企業利益優先」の考え方が前提では、賃上げの環境はつくれません。

第1次安倍内閣当時、戦後最長の好景気で企業は利益を拡大し、巨額の内部留保を増やしたのに、賃金はまったく上がらなかった事実があります。
その反省もなく、「好循環」の環境づくりといって、企業減税や労働コスト削減の規制緩和など、企業の利益拡大のための協議の場にすることは認められません。


 政府は、経済動向を判断するなら、家計の実態に真剣に目を向けるべきです。
厚生労働省が発表した7月の毎月勤労統計調査では、ボーナスがわずかに増えて現金給与総額が2カ月連続で前年同月を上回りましたが、肝心の所定内賃金(基本給)は、7月も減って14カ月連続の減少になりました。

2000年と12年の月平均給与を比べれば、深刻さがさらによく分かります。現金給与総額は4万1347円の減少、基本給は2万2238円の減少です。


 家計の実態は、景気回復を実感するどころか、きびしい落ち込みが続いています。
内閣府の8月の消費動向調査は、消費者心理を示す消費者態度指数が3カ月連続の低下になりました。
賃金の伸び悩みに加えて食料品など生活必需品の値上がりが影響したとみられています

8月の景気ウオッチャー調査でも「やや悪くなっている」という比率が増え、景気の現状判断指数が5カ月連続で悪化しました。


政府の賃下げ方針中止を

 政府にいま求められているのは、賃上げによる景気対策に方向を転換することです。

まず国家公務員給与減額の即時中止、自治体への職員給与減額強要の中止など、政府自身の賃下げ方針を改めることです。

賃上げが「デフレ不況」打開のカギだといわれているとき、公務部門が足を引っ張る状態は異常です。
最低賃金は時給1000円以上に引き上げるべきです。
財界には、内部留保の一部を基本給の引き上げに活用するよう強く求めるべきです。

賃上げで国民の所得を増やす対策は、経済を立て直し、消費税増税に頼らずに財政危機を解決する道を開くものです。

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2013年09月17日

余録:おなじみの「シルバー川柳」で…

余録:おなじみの「シルバー川柳」で…
毎日新聞 2013年09月16日 00時03分

  おなじみの「シルバー川柳」である。
暑いのでリモコン入れるとテレビつく」(75歳女性)、
お医者様パソコン見ずにオレを診(み)て」(74歳男性)。
わかるわかるとうなずく方も多かろう。
この川柳、公益社団法人全国有料老人ホーム協会が毎年募集し「敬老の日」に向けて入選作を発表している

▲右の2作は今回と過去の入選作など約90句を収めて今月刊行された「シルバー川柳3」(ポプラ社)から採った。
この本の表紙を飾ったのは56歳の女性の作で
来世も一緒になろうと犬に言い」。
言う人が男性か女性かは不明ながら、老いのさびしさは男女を問うまい

▲そんなお年寄りの孤独を癒(い)やし、言語・身体の障害改善にも役立っているのがセラピー犬だ。
国際セラピードッグ協会の大木トオル代表(62)は、訓練した犬たちを連れて高齢者らの施設を訪問している。
多くは殺処分寸前で引き取った犬たちだ

▲ブルースシンガーとして滞米経験が長い大木さんは米国で「動物介在療法」を学んだ。
日本に導入すると、自力歩行をあきらめた高齢者が犬と一緒の訓練で歩けるようになり、腕を動かせない人が犬をなでようと努めるうちに一人で食事ができるまでに回復した

▲「人は犬に心を開く。犬のすごさです。
なじみのセラピー犬を枕元に呼び、『ありがとう』と言って亡くなった人もいます」。
そう語る大木さんは犬たちを連れて福島へ通う。
仮設住宅で孤立した高齢者の自殺が目立つという

▲川柳では表現しがたい過酷な現実。
一度は人に殺されかけた犬たちが、今は人を慰め、死のふちから救おうと頑張っている。
私たちも負けてはいられない。
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ひとりを生きる:「終の住まい」将来、誰がお墓を見るのか=池田敏史子

ひとりを生きる:「終の住まい」
将来、誰がお墓を見るのか=池田敏史子
毎日新聞 2013年09月13日 東京地方版 

究極の「終(つい)の住まい」は、お墓かもしれない。
生前の住まい探しと同様に、亡くなった後の落ち着き先は大きなテーマになっている。


 先日、東京都立小平霊園で、樹林墓地の抽選があった。
その模様はさながら大学受験の合格発表のようで、喜ぶ人、落胆する人の表情がテレビで映し出されていた。
今年で2回目だが、今回も10倍の応募があったようだ。
生前に本人が埋葬を申し込むタイプがあり人気が高い。
お墓も自分で決めておく時代になった。


 一方で地方出身者が多い都市部住民は田舎に先祖の墓を抱えている。
将来誰も見る人がいなくなる墓地をどうするのか、悩む人も多いと思う。

我が家も千曲川を見下ろす長野の山の斜面に墓地がある。
半年は雪に埋もれ、夏場に行くとススキやハギ、ワレモコウなどに覆われ墓石は見えない。
それを刈り取りながら、景色はよいが、人影のないこの場所を終の住まいとするには寂しいと思う。
知らない先祖との同居にも遠慮があり、都市部で暮らす子供たちの負担も大きい。
かといって都市部にお墓を移せば、かなりの費用がかかるらしい。どうしたものか、まだ結論は出ていない。


 お墓に対する考え方も大きく変貌してきた。
今や一族の時代ではなく個の時代に入っている。
夫婦でも別々のお墓を希望する人も当たり前のようになった。
老後の暮らしと同様に、自分らしく生き、自分らしく葬られたいということだろう

 従って、遺骨の処理もさまざまで、お墓なしで散骨を希望する人も年々増えているようだ。
また、関西には納められた遺骨で10年ごとに仏様を一体つくる寺があり、毎日遺骨を抱えた人の行列ができているそうだ。

共同墓地のスタイルもさまざまで、埋葬希望者が生前に交流を深める女性専用の墓地もある。
共同墓地は毎日のように参拝者があることや経済的な側面も魅力の一つになっており、高齢者の住まいの多様化同様、最後の落ち着き先もさまざまだ。


 ちなみに、福祉施設や有料老人ホームでも共同墓地を持っているところが多い。
福祉施設の場合は、引き取る家族が誰もいないなど条件はあるが、民間ホームでは元気な間に契約をしておけば、ホームで永代供養もしてくれる。

<シニアライフ情報センター代表理事・池田敏史子>

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2013年09月18日

香山リカのココロの万華鏡:7年後のオリンピック

香山リカのココロの万華鏡:7年後のオリンピック
毎日新聞 2013年09月17日 東京地方版

 東京オリンピック開催に沸いた週末が明けた診療所。

患者さんたちの中に、さえない表情の人が目立った。
「どうしました? うつの症状がひどくなりました?」と聞くと
「オリンピックが……」という答えが
「え、好きじゃないんですか、オリンピック?」と言う私に、
「いえいえ、東京に決まって本当によかった」と、慌てて否定した人もいた。


 その人たちは「7年後」という現実味があるようでいて、それなりに長さもある年月に負担を感じ、気が重くなっているのであった。

ある人は、「7年後に、自分はもう50代かと考えるとめまいがする。
まだ独身か。仕事はどうなっているのかと急に不安になった」と語った。
別の人は、「それまでに大きな災害があったらどうしよう。
どこに逃げたらいいのかと想像してしまう」と話した。
「まだうつ病が治らずに、こうやってここで先生と話していたら、と考えると気がめいる」という正直な人もいた。


 「まあ、きっと大丈夫ですよ。元気になってオリンピックに熱狂してますよ」などと言いながら、ふと「自分はどうしているのだろう」と、我が身にも目が行く。
7年後に私は60歳。
世間で言えば還暦だ。
大学や病院の定年も近い。
退職後の備えはできているのか。
漫画やゲームからは卒業し、年齢相応の落ち着きを身につけているだろうか、などと途端にあれこれ心配になってくる。


 マスコミの仕事で会うテレビディレクターや編集者らは「ついに東京にオリンピックが来るね!」と、みんな手放しで喜んでいる。
中には60代もいるが、「絶対に現役でその日を迎えたい」「孫もその頃は大学生。
一緒に観戦へ行けるかと思うとワクワクする」と、新たな励みにしている人も少なくない。
広告代理店に勤める友人は「7年なんてあっという間。準備が間に合うかどうか」と、今から気ぜわしい。


 「7年後のオリンピック」を、明日のことのように楽しみにできるか。
それともその日までの時間の長さにぼうぜんとしたり、その時の自分や社会に良くないイメージを抱いてしまったりするか。
その違いで「今の心のエネルギー」を測れそうな気もする。


 とはいえ、張り切りすぎて息切れしてしまうようでは元も子もない。
「今よりきっと悪くなっている」と悲観する必要もないが、被災地の復興などやるべきことはきちんとやりつつ、気持ちを落ち着けてその時を待つ。
そうありたいものだと、自分にも言い聞かせた。

〔都内版〕
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2013年09月19日

人の尊厳損なう報道=山田健太

月いち!雑誌批評:
人の尊厳損なう報道=山田健太
毎日新聞 2013年09月16日 東京朝刊

 世相を映すのが雑誌の力だ。
その中心は、まさにヒューマンドキュメントにほかならない。
一人の生や死は、まさにそのもっともわかりやすい形だ。

だからといって、興味本位で扱うことで、その人の尊厳を損なうことは許されまい。
それは編集者が最低限わきまえるべき規範のはずだ。


 だが、藤圭子さんの死をめぐっては、テレビ同様、週刊誌もここぞとばかり本人および家族周辺の情報をあぶり出し、書きたてている。

そこには大きく三つの問題があるだろう。

  一つ目は、「自殺報道」のあり方だ。

この点はすでに繰り返し指摘されていることで、世界保健機関(WHO)はメディア向けの自殺報道ガイドラインを作成し、有名人の自殺報道は影響が大きいので「目立つ位置に掲載したり、過剰に報道を繰り返したりしない」などの具体的なルールを示している。
「連鎖」が起きないための防止策であるが、8、9月発行号の各誌の報道がこれらに反することは明らかだ。


 二つ目は、原因について一定の取材には基づいてはいるものの、
結果的には臆測の範囲で故人の病状・人間関係を暴き立てている点だ。


 報道界は近年、自殺の場合は原則匿名とし、有名人をその例外としているに過ぎない。
今回の場合は、母子ともに有名人であるし、その家族も以前より報道の対象であったこともあり、プライバシーで保護される範囲が通常より狭いことは間違いない。
しかし、とりわけ健康状態を含め曖昧な情報を垂れ流すことの罪は大きい。そこには「何を言っても訴えられないだろう」という安心感がありはしないか。


 そして三つ目が、尊厳である。


 「フライデー」9月20日号はモザイクをかけた上ではあるが、転落直後の現場写真を掲載した。
おそらくこの写真は、家族も見ていないものに違いない。
もし、どうしても掲載するのであれば、その意味をきちんと説明できなくてはならないだろう。
それなしに興味本位で掲載すべきものとは考えられない。

「モザイクをかけたから許される」と考えるのであれば、わいせつ表現のそれとは違うことへの理解が、決定的に欠けているといわざるを得ない。
=専修大学教授・言論法

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2013年09月21日

余録:今の永田町はヒラメばかりだ…

余録:今の永田町はヒラメばかりだ…
毎日新聞 2013年09月20日 00時11分

  今の永田町はヒラメばかりだ、と自民党長老の一人が嘆く。
ヒラメといえば、海底にへばりつきながら目だけは上をうかがう魚。
要は、ポストほしさに人事権者の意向を上目遣いに気にする連中が多い、というのだ

▲ひどい例えだが、言い得て妙か。
400人を超える同党衆参両院議員に対してポストの数が追いつかない。
3年半の野党生活で粗食に甘んじてきた閣僚適齢議員たちからすると、久しぶりのごちそうを前にした心境だろう

▲かつての同党なら派閥領袖(りょうしゅう)の出番である。
人事権を握る安倍晋三(あべ・しんぞう)首相に対し有形無形の圧力をかけ、巣で待つ子分に餌を持ち帰る。
政策論戦を仕掛けてでも権力の分配を要求する。
それがまたこの党の活力になったものだが、そんな姿も今は昔。
領袖からそれらしき声の一つも出てこない

▲それもそのはず。
選挙制度改革、官邸機能強化で党の力が落ち官邸が強くなった。
カネ、ポストを集め、首相候補を送り出してきた派閥が本来の機能を失った。
これに加え、衆参両院選圧勝、アベノミクス、五輪招致成功と快進撃中の安倍官邸に異を唱える向きはない

▲その安倍首相が、党役員と閣僚を来夏まで代えない、と決断した。
確かに人事とは、喜ぶ者が1人いれば、ポストを追われる者、つけなかった者らから複数の不満が出る。
長期政権を誇った中曽根康弘(なかそね・やすひろ)、小泉純一郎(こいずみ・じゅんいちろう)内閣も骨格人事は変えなかった

▲安倍首相も政権長期化を視野に置き始めたか。
結構なことである。
首相の1年交代劇はこりごりだ。
ただし、党内総ヒラメ化の持ち越しもいかがか。
せめて与党として目が覚めるような政策論争を期待したい
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2013年09月22日

消費増税で年収500万円の4人家族なら年間18万円負担増の試算

消費増税で年収500万円の4人家族なら
          年間18万円負担増の試算
2013.09.21 16:00   NEWSポストセブン

 好景気だといいながら、アベノミクスが私たちの生活に与えた影響は、値上げの波。
消費増税も控えた今、私たちを救う節約術とは?


「スーパーに行って、ここ1年で値上がりしていない商品を探すほうが難しい」

 と話すのは、経済評論家の平野和之さん。

なぜ物価は上がってしまったのだろうか?

「猛暑や豪雨、雨不足といった天候不順による農作物の不作が招く野菜価格の高騰。
加えて原油高、さらにアベノミクスによる円安の影響ですね。


 円安は輸出企業の収益を改善させる効果はありますが、日本は食料のおよそ6割を輸入に頼っているため、輸入価格の値上がりは、そのまま食卓に跳ね返ってきます」(平野さん・以下「」内同)


 また、中国など新興国の人件費が高騰しているといった付随要因もあるという。


 これに加えて、来年4月に消費税が8%になれば、怒濤の値上げラッシュが続く。
もし消費税アップが現実となったとき、家計はどうなるのか。

「年収500万円の4人家族」を例に、平野さんに試算してもらった。

「消費税が8%になると年間約7万円の負担増となります。
また、国が目標としている物価上昇率2%アップを想定すると、さらに約11万円のプラス。
つまり今より約18万円、余分にかかるという計算です」


 さらに2015年10月からの消費税10%が実現すると、11.5万円の負担増。
さらに物価は毎年2%ずつ上がっていくという想定があるため、毎年11万円ずつ出費が増える。


「こういった“値上げ”を上回る賃金上昇がなければ、どの家庭も年々貧乏になっていくでしょう」


 しかし、現実には、給料がアップしているという話は聞こえてこない。


「アベノミクスとは企業の収益を上げて、給料に反映させるというプロセスを踏むため、この経済政策が成功しても、賃金が上がるまでにはタイムラグがあるんです」


 たとえアベノミクスが成功しても、豊かさの実感にはほど遠い見通しだ。

「しかも、企業が儲けたお金は給料ではなくボーナスで社員に還元する会社が多いでしょうから、安定的に生活が潤うのには相当な時間がかかると思います


※女性セブン2013年10月3日号


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権威に弱い新聞は大誤報しても“俺たちも被害者”と開き直る

権威に弱い新聞は大誤報しても  
       “俺たちも被害者”と開き直る 
2013.09.22 07:00  NEWSポストセブン

 大新聞は、昨年1月、「4年以内にM7」という報道を行なった。
しかし、その根拠となった試算は、2年前に「30年以内に98%」という数字とともに東大地震研究所が発表していた。
権威の発表を鵜呑みにして煽る。


 権威に弱いと言えば、「iPS細胞での移植」大誤報(読売新聞2012年10月11日付)も挙げられる。
「ハーバード大の研究者」という虚偽の肩書を信じてありもしない研究成果を報じた。
このケースでは自らの誤報を検証するのではなく、当のインチキ研究者を袋叩きにすることで“俺たちも被害者”という顔をした点も醜悪だった。
 
 誤報が報道被害を生むケースは多い。
古くは1968年の3億円事件報道で、別件逮捕された青年が犯人視され、新聞であらゆるプライバシーが暴かれた。
 
 1974年の松戸OL殺人事件報道では、起訴(のちに無罪判決)された男性が当時起きていた首都圏連続女性殺害事件の犯人だと決めつけられるような書き方をされた。
 
 1994年の松本サリン事件報道でも、同じ過ちが繰り返された。いずれも捜査当局のリークに基づき、自ら検証取材もしないまま報じた同じ失敗である。

※SAPIO2013年10月号

*小だぬき
松本サリン事件については、今 ヤフーの無料動画GyaO!で「日本の黒い夏 ENZAI」中井貴一主演映画で 捜査・報道のあり方、人の思いこみの恐ろしさと行動が検証されています。
重たいテーマですが、善意の人でも悪魔になりえる怖さを考える一助にしていただければ・・・

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2013年09月23日

全世界で生産される食料の三分の一は捨てられている。

映画もったいない!』は、日本を含めた世界各国での
食料廃棄の実態に迫ったドキュメンタリー映画

2013年9月21日    東京新聞「筆洗」

 日本では、一年で一人当たり年に六十キロほどの米を消費するという。
では、この国で、一年間に捨てられる「まだ食べられる食品」は、一人当たりどのくらいだろうか。
政府の推計では、これもまた六十キロほどだという

▼つまり、一年で大人一人の体重と同じくらいの重さの食べ物を、無駄にしている。
貧しい国への食料援助の量は世界全体で四百万トンほど。
この二倍近い食べ物が、日本では捨てられている。
「もったいない」としか言いようがない現実だ

▼きょうから東京や名古屋で公開される映画『もったいない!』は、日本を含めた世界各国での食料廃棄の実態に迫ったドキュメンタリー映画だ。

大きな箱の中にちょっと悪くなったものがあるだけで箱ごと捨てられる果物を見て、アフリカから欧州に移住した女性が、嘆く。
「私の国では、高くてめったに食べられないものなのに…」

全世界で生産される食料の三分の一は捨てられている。
今も十億人近くが飢えで苦しんでいるが、欧米の食品廃棄物は、そんな人々を三回救えるほどの量だという

▼食料生産には、膨大なエネルギーが費やされているから、世界の食品廃棄を半減させれば、自動車の数を半減させるほどの、温室効果ガスの抑制効果があるともいう

▼世界は、個人ではどうしようもないような矛盾や争いに満ちているが、食卓で取り組める問題もある。

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2013年09月24日

「心の傷」見つめ沖縄から福島へ

〈あの人に迫る〉 精神科医 蟻塚亮二さん
(2013年8月23日) 【中日新聞】

「心の傷」見つめ沖縄から福島へ

  沖縄 で暮らす高齢者に太平洋戦争末期の沖縄戦の記憶が不眠や精神症状となって表れる。
こうした晩発性の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を研究していた精神科医蟻塚亮二さん(66)が、今春から福島県相馬市のメンタルクリニックで働き始め、東日本大震災の被災者の心を支えている。
沖縄と福島を結ぶトラウマ(心的外傷)について聞いた。(安藤明夫)


 沖縄戦のトラウマに関心を持ったきっかけは。

 2010年8月に那覇の教会で金城重明牧師のお話を聞いたことです。
金城さんは渡嘉敷島の集団自決を生き延びた方です。

雨の夜、前には「鬼畜」と恐れられた米兵、後ろには「生きて虜囚の辱めを受けず」を強要する日本軍。
恐怖と恐怖の板挟み状況の中で集団自決に至った。
これは精神医学的にとらえ直すべき問題だと思った。
それで、戦争の精神被害について国内外の論文を読むようになりました。


 4カ月後の12月に「奇妙な不眠」の患者さんが2、3人続けて来ました。
年を取ってから発症した「中途覚醒型」、特徴的にはうつ病型なんだけど、うつ病がない。
これはおかしい。
で、戦争の時どこにいたかと聞いたら、家族が死んだとか、死体の上を走って逃げたとかいう話が出てきた。
それで沖縄戦の精神被害について簡単な診断指標を作って患者さんを診てきたら、半年ぐらいで100例ほどになりました。


 そこから「晩発性PTSD」という概念を報告されたわけですね。

 これまで世界保健機関(WHO)の診断基準では、トラウマ体験から半年以内に発症するとされていました。
でも、60年の時を経て発症するものもあるんです。

沖縄の高齢者たちも壮年期に頑張って働いていたときは問題がなかったけれど、引退してから不眠になった。
理由は2つあって、
1つは、引退した人は現実的な思考が減って心の中で「言葉にできない記憶」の領域が大きくなること。
もう1つは、老いを受け入れるために自分の過去をもう1度振り返って総括する際に、1番つらかった記憶に直面する率が高くなるということだと思います。

 他にもさまざまな精神被害があって、命日が近づくとうつ状態になる人、死体のにおいがフラッシュバックする人もいました。
認知症の人は、新しい記憶がこぼれ落ち、つらい記憶が先鋭化される場合もあります。
夜中になると「空襲だ。壕(ごう)に隠れろ」と叫ぶ人もいました。


 戦争の精神被害の問題が、どうして今まで注目されなかったのでしょう。

 日本の精神科医はこの問題に関心を向けてこなかった。
原爆が落とされた広島でも住民被害の調査はごくわずかでした。

島民の4人に1人が亡くなった沖縄でも、沖縄県立看護大の當山(とうやま)冨士子さんらが20年前に先駆的な聞き取り調査をされたけれど、精神科医は後に続かなかった。

 昨年から今年にかけて、當山さんたちが再び戦争体験者400人を対象にPTSDの調査をされ、私もお手伝いしたのですが、実に40%の人がPTSD症状を持っていた。
阪神大震災でのPTSDの出現率は22%ですから、とても高い数字です。

戦後、沖縄が貧困にあえぎ、基地問題に苦しめられてきたことも、大きく影響していると思います。
いまわしい戦争記憶を思い出さないようにと念じて生きてきた人たちに、空飛ぶオスプレイの爆音が、戦時トラウマの引き金となることを恐れます。


 今春から福島県相馬市に来られました。

 この地域は精神科医がいなくて、震災後、全国の精神科医が支援に駆けつける中で、診療所を造ろうという話になった。
昨年1月に診療所(メンタルクリニックなごみ)が開所したわけですが、その所長が辞めることになって私に依頼が来たわけです。
以前から福島で講演をしたりしてスタッフとも面識があったし、かみさんが東北出身で、親の介護の問題もあって。


 以前から地震被災者のメンタルヘルスに関心がありましたか。

 正直言って、福島の現状がよく分からなかった。
来てみて1番大変だと思ったのは、街の民生の復興の遅さですね。
街が街として成立するには、ある程度の人口とか産業とか就職先、保育所、老人施設、そういうものがなくちゃいけない。
それが今も機能していなくて、心理的には中ぶらりんです。
しかも、いつになったら復興するというめどがない。
就ける仕事は除染、がれき処理ばかり。

この状況で私が一番怖いと思ったのは、「軽い落胆」みたいなものです。
重篤なうつ状態ではないのに、もう死んだほうがいいかなと思ってしまうことです。


 うつ病で自殺したくなるのとは違うと。

 私自身、30代と50代でうつ病を体験しています。
うつ病ってのは、とても困難なことがあってそれに対して「生きたい」と思って発熱している状態なんです。
ある意味、相撲の徳俵に足をかけて踏ん張っている状態。
自己防衛・保存本能なんです。

ところが福島の「死にたい」は発熱して踏ん張っているのではない。
普通に生活してて、ふと「死にたい」と思ってしまう。
先の見えない不安。これが一番怖い。


 ここに来て3カ月ほどたったころから、患者さんから「実は放射能が怖い」って話が出てくるようになった。
それまで口に出せなかったんですね。
患者さんは増えています。
新患が月に50人とか60人。
街の復興が進まない重苦しさ、精神医学的にはもう限界に来ているのかと思う。


 福島で沖縄でのPTSDの研究は役立ちますか。

 不眠症の治療の場合、沖縄戦のPTSDの人には睡眠導入剤だけでなく、ごく少量の抗精神病薬を処方するようにしていました。
トラウマ記憶ってのは、睡眠を覚醒させる刺激なので、そこを抑えなくてはいけないからです。
福島で同じように処方したらよく効きます。
やはり、震災のPTSDなんですね。
それも2年たって発症する例がよくみられる。
これもWHOの診断基準に当てはまらないわけです。それについて「遅発性PTSD」と名付けました。


 教科書ではなく、患者さんの情報を大切にする視点を感じます。

 それは当たり前ですよね。最近の診断学ってのは、診断ガイドラインでこういう症状があればこうだって言うでしょう。
でもそれは本末転倒で、個を見ていないんですよね。
個別性を見ないと、医者が思考停止になる。
本に書いてないことはないことだ、ってことになっちゃう。
でも実際、本に書いてないことがあるんです。
ましてやトラウマの学問は日本ではとても新しいですから。


 私はうつ病体験を通じて気負いがなくなった。
これでなきゃいかんって思わなくなった。
分からんことは分からんて言うし。
自分の話もけっこうするようになった。
診察室の中で私たちが楽しくするから、患者さんの気持ちもほぐれる。
聞くべきことを聞ける。その意味で、医者は病気をするもんだって思いますね。

あなたに伝えたい

 個別性を見ないと、医者が思考停止になる。実際、本に書いてないことがあるんです。



インタビューを終えて


 安心感を与える雰囲気と確かな視点を備えた人だ。
「晩発性」「遅発性」のPTSDという概念は学問的には実証されていないが、患者の痛みを洞察し、聞き取る力があってこそ、見えてきたテーマだと思う。土台になっているのは住民を犠牲にしてきた日本政府への怒りだ。


 沖縄の多くの高齢者が大変な思いを重ねながら元気に長生きしてきたことについて、蟻塚さんは伝統文化の力を挙げた。
日常的に歌や踊りのある共同体が残っていることが、長寿の要因だと。
その意味でも、共同体そのものが破壊された福島の現状は重い。


 ありつか・りょうじ
 
1947(昭和22)年福井県生まれ。
高校時代は水泳の東京五輪強化選手だった。
弘前大医学部卒。青森県弘前市の病院に勤務し、精神鑑定、労災認定の仕事にも多く携わる。
30代で大腸がんとうつ病を発症。
50代で2度目のうつ病発症を機に2004年に沖縄へ。
沖縄協同病院心療内科部長を務める中で、沖縄戦の高齢者たちのPTSDの問題を報告し、注目を集める。
13年4月から福島県相馬市のメンタルクリニックなごみ所長。


 日本精神障害者リハビリテーション学会理事、欧州ストレストラウマ解離学会員。
著書は「うつ病を体験した精神科医の処方せん」「統合失調症とのつきあい方」(いずれも大月書店)「誤解だらけのうつ治療」(集英社)など。

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2013年09月26日

香山リカのココロの万華鏡:うつ病治療の世代交代?

香山リカのココロの万華鏡:うつ病治療の世代交代?
毎日新聞 2013年09月24日 東京地方版

 眠れない。気持ちが沈む。集中力もなく体がだるい。
でも、健康診断の結果は、「どこも異常なし」。


 あなたがメンタルヘルスに関心のある人なら、これだけで「あ、これがうつ病かな?」と思い、メンタルクリニックを訪れるかもしれない。

医師の診断は予想通り「うつ病ですね」というもの。
さらに、この分野にくわしい人なら、「きっと抗うつ薬が処方されて数カ月の自宅療養を勧められるな。
もう上司にも休みの許可は取ってあるから大丈夫だ」などと思うことだろう。


 しかし、ここで医師は思いがけないことを言う。
「では、こちらの部屋に来て、磁気刺激治療をしましょう。
あ、痛みも副作用もまったくないですよ。
ヘッドホンのような装置をつけて約30分。
週に3回くらい通ってもらえば結構です。
効果がある人は、すぐに効きますから会社も休まなくて大丈夫です」。
そして、通された部屋には歯科の治療台のようなチェアが並び、女性技師さんが頭につける装置を手に、「さあ、おかけください」とにっこり……。


 なんだかSF映画のような話だが、これが近い将来、現実になるかもしれない。


 今、米国では頭の表面に磁気刺激を与え、それが脳に伝わって血流を改善させることでうつ症状を改善させるという新しい治療、「経頭蓋(ずがい)磁気刺激」(TMS)に熱い注目が集まっている。

日本でも一部の医療機関が健康保険の利かない自由診療で実施しているのだが、このほど日本のメーカーも、この装置の市場に参入するなどして、さらに広まる勢いを見せている。


 うつ病の治療では抗うつ薬を使うことが多く、今は昔に比べて副作用などのデメリットは格段に小さくなったのだが、それでも「薬には頼りたくない」「抵抗がある」とためらう人は少なくない。
そういう人たちにとっては、「磁気による刺激だけで効果がある」というのは、大変な魅力だろう。


 「でも」と、私はちょっぴり心配でもある。
このTMSがうつ病の治療のスタンダードになったら、患者さんと医師との対話は必要なくなるのだろうか。診断をつけたら、後は治療は機械にお任せ。
本当にこれでいいのだろうか。

「病気になったのはつらい体験だったけれど、この病院に通って看護師さんや先生とゆっくり話せたのはよかった」と、治った後に語ってくれた人の笑顔が浮かぶが、それは今や“旧世代の精神科医”になりつつある、私のただの感傷にしか過ぎないのだろうか。

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「△」を探すことが民主主義=鎌田實

さあこれからだ:
「△」を探すことが民主主義=鎌田實
毎日新聞 2013年09月24日 東京朝刊

  10月の大筋合意に向け、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が大詰めを迎えている。
だが、国民の間できちんと議論されないままの合意には納得できない


 安倍晋三首相は3月、TPP交渉への参加を正式に表明した。
交渉参加国12カ国のGDP(国内総生産)を合わせると、世界のGDPの38%を占める。

最終合意すれば、一大貿易圏ができる。
そこに日本が参加しなければ、貿易立国として大きなダメージを被るのは間違いない。だから、TPP参加は正論である。


 しかし、正論や正解だけで割り切れない問題がある。


 ぼくは最近「○に近い△を生きる 『正論』や『正解』にだまされるな」(ポプラ新書)という本を出した。

もっと、TPPの問題を多角的に考えるべきではないだろうか。
正論や正解に縛られず、日本の状況に合った「△」を探すことが大事だと思う。
「○」と「×」の間にあるさまざまな「△」を探すことが、民主主義の根幹だと思う。


 医療の分野では、混合診療の全面解禁や、営利企業の医療機関参入、医薬品や医療機器の価格規制の撤廃など、日本の医療制度に影響を及ぼすことが懸念されている。


 混合診療が全面解禁されると、保険診療のほかに、外国で行われている最先端の医療などが「自由診療」として受けられるようになる。

一見、患者さんにとってメリットが大きいように見えるが、決してそうとは言い切れない。
まだ科学的根拠が十分にない治療法が持ち込まれる可能性がある。

自費で医療費を負担することができる高所得者だけに医療の選択の幅が広がる、ということも起こり得る。


 一部のがん患者さんからは、混合診療の全面解禁を強く望む声も聞かれる。
「新しい治療を受けたい」という必死の思いも理解できる。
今行われている管理された混合診療の枠を広げ、認可のスピードを速める努力をするのが、まっとうなやり方だと思う。


 混合診療の全面解禁は規制緩和の一つだが、医療は他の領域と違う特殊性がある。

米国では、医療の規制緩和を徹底して行った結果、医療費が高騰した。
1人当たりの医療費は日本の2・6倍である。
しかも、16%の人が無保険である。
医療制度に関しては、米国のようになって良いとは思えない。


 米国の通商代表部は毎年、大統領や議会に対し、米国の営利企業の日本の医療への参入を訴えている。
すでに、米国の大きな保険会社のがん保険が、日本郵政の2万近い郵便局で販売されるという契約が結ばれた。
米国企業に大きな「うまみ」を持って行かれるだろう。


 農業も心配だ。
TPP参加に前のめりの政府は、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料の農産5品目の関税を守ることだけは明言している。
また、農業の集約化や企業の農業への参入を図り、有機農法などの高い付加価値をつければ、農産物を輸出して戦うことができると考えている。


 一面では正論である。しかし、こんな考えもある。


 長野県は、男女ともに長寿日本一になった。
しかも、医療費が安い。
国民健康保険中央会が中心になって、その秘密を探った。
「離婚率が低いから」「持ち家率が高いから」「保健補導員という民間ヘルスボランティアがいるから」など、たくさんの観点から調査されたが、最も大きな影響を与えていると考えられたのは「高齢者の就業率が全国1位」ということだった。


 80歳を過ぎても、小さな農業で収入を得る。
そのお金で日帰り温泉に行き、孫に小遣いをあげたりする。
生きがいが生まれる。
作物の成長を見ながら働くと「幸せホルモン」のセロトニンが出やすく、ストレスもためにくくなる。


 日本中が長野県のようになれば、地域が健康になり、医療費も低く抑えられ、国民皆保険制度を守っていけるのではないか−−委員会ではそんな議論をした。


 だが、集約化と大規模農業に期待が寄せられ、小さな農業がなくなってしまえば、人と人とのつながりや文化、健康といったものまで崩壊してしまいかねない。


 TPPは日本の経済を考えれば無視はできない。
だが、経済以外のさまざまな角度から議論する必要がある。
妥結した後に国民に対し「後は我慢してくれ」というのでは、納得できない。


 「○に近い△」を探す民主主義の原点を、政府は忘れないようにしてほしい。(医師・作家)

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2013年09月28日

石井苗子の健康術ー帰ろうかな、帰るのよそうかな

石井苗子の健康術
帰ろうかな、帰るのよそうかな
2013年9月24日  読売新聞 yomi Dr.

(被災地の子どもの1年と老人の1年、どちらが大事か…)


 高齢者の1年の方が大事とおっしゃるのです。
 これは福島県の役場で働くひとりの職員の意見でした。


 若者や子どもには未来があるが、年寄りは先が見えている。
震災で思い通りにならないことがあれば、「どうしてこんな終わり方なんだ」と焦る気持ちがある。
その意味で、高齢者の1年の方だとおっしゃるのです。


 しかし私の周辺では「雇用条件で苦しんでいる全国の若者がいるのに、社会におんぶしてもらって、震災で医療費もただになって、年寄りばっかり病院に来てる」と感情をあらわにする人もいます。


 たしかに医療費が無料なのはありがたいだろうなあと感じたことが最近、私にもありました。
ピロリ菌の除菌は疾患がない限りすべて実費とは知っていましたが、長く待たされた後に説明のパンフレットだけ渡され、問診は30秒、別の日に検査キットによる看護師の検査が20分、その後のドクター問診が「陽性なら除菌ですね」で終わり。
これで1万円を超える料金を取られました。
除菌すればさらに実費がかかります。30%負担がいかにありがたい社会かを実感できました。

そこのクリニックも高齢者で満員状態でした。
ほとんどの方が急性疾患ではないように見えましたけど、安いのであればお年寄りは身体のことが一番気になるでしょう。
その一方で、先の若者の苦情もわからなくはない気がしました。


 最近では「震災医療支援って、自分のアピールのネタ作りをしているだけでしょ」と名指しで私が批判をされることもあります。

なにかやれば否定されること
は先刻承知していますが、3年間福島県の動向を観察してきて、つくづく感じることは、人の気持ちはうつろうもので、ずっと同じではないということです。


 時間の経過に伴って変化する人の気持ちを想定内として、先見の明をもって政策を立てるのが政治家の英断なのですが、2013年になって汚染問題が浮き彫りにされてきてもまだ、福島県から避難してきた方々の「住み方」については後回しになったままです。


 福島県の市や町村の地理的環境がどうなっているのかを把握している人は意外に少ないのです。
浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉などが被害が大きかった所です。
私が支援している富岡町も津波が来る危険性が高いといわれた地域でした。

新たな家を建てて住むことは許されていません。
(おひとりを除いて)富岡全町民が避難し、いつ帰れるのかはハッキリしていません。

家が全壊した家族は一時帰宅もないわけですから、避難住民となって全国のどこかで暮らしています。

生活力のある人たちはすでに生計を立て、親を住まわせ、子どもを学校に通わせていたりしています。
住んでいるところに税金を払っていない方もいらっしゃいますが、補償がなくなり住民票を移す日が来るとしても心の準備がすでに出来ている方は少なくありません。
もう故郷には戻らないと腹をくくることが出来た人々です。


 そうでない人々には、高齢者が多い。
ふるさとを諦めきれきれず生活力もないまま応急仮設住宅に住んでいる方々です。
多くの方が、なるべく故郷に近いところ、都市化が進んでいる便利な場所と言う意味で、いわき市で暮らしています。
周辺がいわき市に行くから自分も行くという人もいらっしゃいました。


 私の知り合いの地元の保健師は、こう言っていました。

「最初は仮設住宅に知り合いがいない、隣の声が聞こえるなど嘆いていた人が、この頃では『仮設で出来た友達と離れ離れになりたくない』になってきた。
人の気持ちは変わる、新しいコミュニティーを作ることができるんだと実感しています。

だから、早く国が土地を買い上げて、原発の影響を受けない安全な場所に新しいコミュニティーを作ってそこに誰でも入居して永久に住める町作りをすればいい。

国が今後何年間に町を作りますと言えば、それが30年かかるものであるなら、年寄りはもう生きてはいないと新しい心の準備が出来る。
そこを『帰りたいですか』なんて曖昧な質問するから宙ぶらりんになる。

そりゃ帰れるものなら帰りたいでしょ?
 そこに昔のように病院もあってお店もあって学校もあるなら帰りたいですよね?
 でも現実はそうではないんだから、除染なんかしても戻れないなら早くそう言えばいい。
早く国が永久に戻れないところを作り、新しい集合コミュニティー(合併地域)を作ればいい」


 「わが街に帰れずとも、新しい街で生涯を終わる」、これが実現すれば気持ちの整理もつくという意見でした。
そこにインフラも作っていけばいい。

私が「政治家の中にはご自身も被災者だという方もいるでしょう?
 どうしてそのように前進できないんですか?」とたずねると、「彼らは新しい町が出来たときに誰が初代町長になれるかということしか頭にない。
だからダメなんだ」というお答えでした。
政治家とはそういったもんだと諦め顔でした。

先に、住む人を移す場所を作ることからでしょうと。

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2013年09月29日

JR事故判決―経営陣に罪はないのか

JR事故判決―経営陣に罪はないのか
2013年 9月 29 日(日)付  朝日新聞「社説」

 企業トップの罪を問う難しさが、またも示された。


 107人が死亡した05年のJR宝塚線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長に対し、神戸地裁は無罪を言い渡した。

 利益を追求し安全をおろそかにした経営陣の姿勢が事故につながったのではないか。そうした遺族の思いを受け、検察審査会は強制起訴にもちこんだ。

 だが公判では、現場カーブに安全装置を付けなかったことだけが争点になった。
裁判所は、元社長らは個人として事故を予見できなかった、と判断した。


 この3人とは別の元社長は検察に起訴されたが、昨年、無罪が確定した。過失犯では個人の責任しか追及できない現行刑法の限界といえる。


 遺族らは判決後、法人を処罰できるよう、法改正を訴えた。


 英国は07年、注意を怠って死亡事故を起こした法人に刑事責任を問い、上限なく罰金を科せる法律を制定した。


 80〜90年代に船舶や鉄道で多くの人が亡くなる事故が続いた。
だが、大きい企業ほど経営陣は有罪とならず、世論の批判が強まったためだった。


 日本でも、高度成長期に起きた公害や85年の日航ジャンボ機墜落事故で、法人処罰の導入を求める声が上がったが、刑法改正には結びつかなかった。


 鉄道や航空、船舶事故は、運輸安全委員会が調査し、原因を究明する。
日本では捜査との線引きが厳格ではない。
このうえ法人の刑事責任も問えることにすれば、関係者が事故調査に真相を語らなくなる、という慎重論も専門家の間で根強い。


 だが、JR西という巨大企業のトップが、市民代表の検察審査会の判断で裁判にかけられた意義を考えてみたい。


 現在の鉄道のように安全システムが高度化するほど関係者は多くなる。
その裏返しで、事故が起きても頂点の経営責任があいまいになる事態が繰り返されてきた。
福島第一原発事故を防げなかった東京電力や、トラブルが続くJR北海道もそうだ。


 宝塚線事故の遺族は、JR西を長く率いた井手正敬元社長に公判で質問を重ねた。
井手氏は「担当者に任せていた」と繰り返し、遺族をあきれさせた。


 企業が対策を怠って事故を起こせば、トップの刑事責任も問えとの民意は今後強まろう。
経営者は常日頃からしっかりと向き合うしかない。


 安全管理責任をより確かなものにするため、法人処罰の導入の是非も、国レベルで議論を深めていってもらいたい。

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2013年09月30日

余録:人類は食べ残しのおかげで今があるらしい。はるか…

余録:人類は食べ残しのおかげで
                     今があるらしい。はるか…
毎日新聞 2013年09月29日 00時33分

 人類は食べ残しのおかげで今があるらしい。
はるかな昔、肉食獣の食べ残しから肉や髄(ずい)をこそぐため、石器を加工する技術をおぼえ、高い栄養価をとりこんで立派な体格になったという

しかし現代の食べ残し「食料廃棄」は私たちの未来を危うくする。
公開中のドキュメンタリー映画「もったいない!」は欧州、アフリカ、米国、日本で廃棄の実態や背景を追い、問題の根深さを描いている

▲環境への意識が高いはずの欧州も見事な捨てっぷりだ。
フランスのスーパーは賞味期限まで1週間あるヨーグルトなどを次々に廃棄し、
ドイツのパン屋は売れ残りでごみの山を築く。
「大きさが規格をはずれると出荷できない。
収穫の1割以上は捨てる」と憤るドイツのジャガイモ農家。

パリ卸売市場では輸送中に一部が熟しすぎたオレンジ8トンを捨て、担当者は「よくあることだ」と話す

▲国連食糧農業機関によると、世界で生産された食料の3分の1、約13億トンが毎年捨てられる。
このごみの生産には欧州大陸で一番長いロシア・ボルガ川の年間流量の3倍の水を使い、ごみとなった結果、温室効果の大きいメタンガスを大量に放出している

食べ物を捨てれば資源と労働力がむだになり、地球温暖化も加速させる。
映画は「先進国で捨てられる食料があれば世界中の飢えた人を3度救える」と語りかける。
私たちは自覚のないまま飢餓(きが)や貧困を助長し、テロの温床を生んでいるようだ

▲それでも救いはある。
この大問題は自らの無力を嘆き、動かぬ国連や政府、大企業に落胆しなくてもいい。
一人一人がきょうから行動を変えれば、解決への一歩が始まるからだ。
posted by 小だぬき at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする