2013年09月03日

なぜ家族にすべての責任を負わせるのか

家族が720万円負担とは!
2013年9月2日   東京新聞「私説・論説室」

 なぜ家族にすべての責任を負わせるのか。
八月に名古屋地裁で出た賠償命令は、認知症の人の介護にかかわる家族や事業者に、大きな衝撃を与えたに違いない。


 判決はこうだ。二〇〇七年十二月、愛知県内に住む認知症の男性(91)が線路内に立ち入り、電車にひかれて亡くなった。

JR東海は遺族に「監督責任を怠った」として列車遅延に対する七百二十万円の損害賠償を要求。
同地裁は認め、妻と長男に全額支払いを命じた。


 男性は八年前から認知症状が出始めて、事故当時は「要介護度4」。

徘徊(はいかい)もあるため、介護は週六日のデイサービスと、八十五歳の妻と県外から引っ越した長男夫婦が協力していた。
事故は妻がまどろんでいた間に男性が外出して起きた。


 判決は医師の診断書などから事故を予見できたとし、「安全対策や注意義務を怠った」と断じた。
線路への侵入防止策を十分にとっていなかったJR側の責任は問わなかった。


 遺族は怒りでいっぱいだろう。
認知症の男性を部屋に閉じ込めておけばよかったのか?
 自宅でも、施設でも、ヘルパーに頼んでも、一瞬の隙もなく見守るなんてできないはずだ。


 認知症の人が人生最期までよりよく生きるために、家族や事業者たちは日々、悩んでいる。
老老介護。介護のあり方。

みんなで考える時代に逆行しない、もっと温かな視点を込めてほしかった。 (佐藤直子)

posted by 小だぬき at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする