2013年09月08日

震災関連死:福島県内で直接死上回る 避難生活疲れで

震災関連死:福島県内で直接死上回る 避難生活疲れで
毎日新聞 2013年09月08日 02時30分
(最終更新 09月08日 06時52分)

  東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災者の死亡例のうち、福島県内自治体が「震災関連死」と認定した死者数が8月末現在で1539人に上り、地震や津波による直接死者数1599人(県災害対策本部調べ)に迫っていることが、毎日新聞の調査で分かった。
少なくとも109人について申請中であることも判明。近く直接死を上回るのは確実だ。


 長引く避難生活で体調が悪化したり、自殺に追い込まれたりするケースがあり、原発事故被害の深刻さが裏付けられた。


 関連死の審査会を設置しているか、今年3月末までに関連死を認定したケースがある福島県内25市町村を調べた。
復興庁が公表した3月末の関連死者1383人から5カ月で156人が新たに増えたことになる。


 南相馬市が431人で最も多く、浪江町291人、富岡町190人−−の順だった。
年代別では回答が得られた355人のうち、80歳代以上233人(65.6%)▽70歳代79人(22.3%)▽60歳代32人(9.0%)などで高齢者が多かった。


 死因については多くの市町村が「今後の審査に影響する」と回答を避けた。

復興庁による昨年3月末のデータを基にした県内734人の原因調査では

「避難所などの生活疲労」33.7%
▽「避難所などへの移動中の疲労」29.5%
▽「病院の機能停止による既往症の悪化」14.5%など。
自殺は9人だった。


 宮城県では今年8月末現在で869人、岩手県は413人だった。
関連死申請の相談を受けた経験がある馬奈木厳太郎弁護士は「原発事故による避難者数が多い上、将来の見通しも立たずにストレスがたまっている。今後も増える可能性がある」と指摘している。
【蓬田正志、田原翔一】

◇ことば【震災関連死】

 建物倒壊による圧死や津波による水死など震災を直接の原因とする死亡ではなく、災害により長引く避難所生活の疲労や震災の精神的ショックなどで体調を崩して死亡したケースを指す。
明確な基準はないが、遺族が申請して市町村などが震災との因果関係を認定する。
東日本大震災では福島県の場合、申請の約8割が認定された。
市町村と都道府県、国から最高で計500万円の災害弔慰金が支給される。

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社説:シリア情勢と日本 攻撃の根拠が知りたい

社説:シリア情勢と日本 攻撃の根拠が知りたい
毎日新聞 2013年09月07日 02時30分

  米国のオバマ政権が、化学兵器使用が疑われるシリアのアサド政権への軍事攻撃を検討する中、日本政府が難しい対応を迫られている。


 政府内では、米国が国連安全保障理事会の決議なしに攻撃に踏み切った場合、イランや北朝鮮など大量破壊兵器絡みで国際社会と対立する国々への影響も考慮して、米国の同盟国として支持や理解を表明すべきだという考え方が強い。

しかし、化学兵器が使われたのは間違いないとみられるものの、使用したのがアサド政権なのか反体制側なのかという、肝心な点がはっきりしない。

米国はまずアサド政権側が使用したと主張する明確な根拠を示してほしい。日本は米国に証拠提示を迫るべきだ。


 ロシアで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせ、安倍晋三首相は、オバマ大統領と会談し、米国が計画するシリア攻撃について「非人道的行為を食い止める責任感に敬意を表する」と述べ、シリア情勢改善に両国が緊密に連携することを確認した。

踏み込むことを避けた首相の対応は、不明な点が多い現時点では妥当なものと言えよう。


 最大の不明点は、化学兵器を誰が使用したかだ。

米政府の報告書では、8月21日のダマスカス郊外での化学兵器使用疑惑について「アサド政権が使用したと強く確信している」としているが、断定できるのか疑問だ。
仏政府の報告書も同様だ。


 仮に化学兵器を使ったのが反体制側なら、「アサド政権に化学兵器使用を思いとどまらせる懲罰的攻撃」という米仏の攻撃の根拠は崩れる。


 2003年のイラク戦争で、当時の小泉純一郎政権は、安保理決議がない米英両軍の攻撃を支持し、復興支援で自衛隊を派遣したが、開戦の根拠となった大量破壊兵器は見つからなかった。

欧米では反省から検証が行われたが、日本では戦争支持の経緯や責任はうやむやのままだ。


 シリア攻撃に近いケースとされる1999年のコソボ紛争では、安保理決議がないまま、アルバニア系住民の保護という人道的介入を理由に北大西洋条約機構(NATO)がユーゴスラビアを空爆した。
日本は理解を示し、人道復興支援をした。
しかし、人道的介入の考え方には、拡大解釈を生むなど批判もある。


 シリア情勢は、安保理決議にロシアと中国が反対し、安保理が機能しない中、国際社会が紛争にどう対処するかという重い課題を突きつけている。

安保理決議なしの軍事攻撃が制裁の方法として妥当なものかは、なお議論が残るが、まずは最低限、明確な証拠の提示がなければ、攻撃の妥当性を判断しようがない。
政府は、米国がしっかりとした根拠を示すよう外交努力を強めるべきだ。

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