2013年10月17日

香山リカのココロの万華鏡:「恋愛外来」があれば…

香山リカのココロの万華鏡:「恋愛外来」があれば…
毎日新聞 2013年10月16日 東京地方版


 また痛ましいストーカー殺人事件が起きた。
被害者の女性は高校生。
容疑者は元の交際相手だという。


 恋愛に失敗し、相手が他の異性と交際、結婚することを想像するだけで、胸が張り裂けそうになるという経験を持つ人は少なくないはずだ。
しかし、そこからさらにつきまとい、ついに相手や家族を脅かしたり傷つけたりするまで至った場合は、もはや正常な心理では説明がつかない。


 中には、「相手が冷たい態度をとるのは私の愛を試しているのだ」などと、自分に都合のよいストーリーを作ってしまうケースもある。

「警察や親は、自分たちのピュアな愛を邪魔しようとしている」と、攻撃の矛先が本人以外に向かう場合も。

相手がこれ以上交際する意思はないことを告げると一気に感情的となり、暴力に発展してしまうこともある。

生活のほとんどが相手への思いや恨み、怒り、復縁の画策などで占められると、「そんなことをしても誰も得はしない」といった常識的な説明は、もはや通じなくなってしまうことが多い。


 では、どうすればいいのか。電話やメールだけではなく実際に家に来たり待ち伏せしたりする可能性があれば「一人にならない」「場合によっては親戚宅などへ避難する」という慎重な対応が必要になる。

自分たちだけで解決しようとはせず、ストーカーになってしまった人にも何とかして冷静な大人が接触し、話に耳を傾けつつ気持ちを落ち着かせたり、医療の介入が必要な場合は受診を勧めたりしなければならない。


 しかし、実は精神医療の専門家も「妄想にまで発展しかけている恋愛問題」への対処が得意だとは言い難い。

本人が「自分でもどうにもできない。
この執着を何とかして」と積極的に治療を望めばカウンセリングや薬で対応することも可能だが、「彼女が好きなだけ。治療なんて必要ない」と拒絶されたら通院を中断しないように「また来週、詳しく話を聞かせてくださいね」と、話を引っ張るのが精いっぱい、ということもある。


 実際には恋愛にまつわる心の悩みはたくさんあり、うつ状態に陥ったり自殺を考えたりする人もいれば、「どうしてもあきらめきれない」とストーカーになっていく人もいる。

もし、メンタルクリニックに「恋愛外来」が設置されていれば、恨みや怒りを抑えられない人ももう少し気軽に受診してくれるようになるだろうか。
精神医療がストーカー被害に対してできることは何か、考えてみる必要がある。

posted by 小だぬき at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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