2013年10月26日

泥んこ遊びをする権利

【私説・論説室から】
泥んこ遊びをする権利
2013年10月23日  東京新聞:佐藤直子

 毎朝、福島市内からマイクロバスに子どもを乗せて隣の山形県まで連れて行き、夕方にまた帰ってくる。

福島市の保育園「たけの子」の代表辺見妙子さん(52)がこの二年、往復を続ける「サテライト保育」だ。


 原発事故の後、放射能の影響を気にしながら室内でばかり過ごす保育に苦悩を深めていた。

子どもに泥んこ遊びもさせられない。
田んぼや土手の散歩にも連れていけない。
花や草木の名前も知らないで大きくなっていく。
限界だ。

その年の秋、約五十キロ離れた米沢市の幼稚園を間借りした。


 自然の中で再び過ごせるようになり、子どもに笑顔が戻った。

時には福島市や周辺の別の園の子も連れて行く。
二年も散歩していなかった子、ススキやコスモスを知らなかった子。
歓声が上がるたび、原発事故を起こした大人の罪を思う。

園舎の家賃や運転手の手当などにかかる二十万円は寄付に頼るため心配だが、踏ん張る覚悟を決めている。


 「子ども・被災者支援法」の基本方針をめぐって先月、福島市内で開かれた説明会で辺見さんは窮状を訴えた。

だが、アリバイを重ねるように事務的な説明に終始する復興庁の人たちに思いは届かなかった。


 質問の手がまだ挙がるのを副大臣は時間切れだと制した。
「後はメモにしてください」。
辺見さんは悲しかった。これが苦労を重ねる被災者にかける言葉なのか。子らに恥じない政治といえるのか。 
(佐藤直子)

posted by 小だぬき at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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