命より重い情報ない 三上智恵さん
2013年12月21日21時17分 朝日デジタル
■琉球朝日放送キャスター・三上智恵さん
多くの人は「国防上の秘密があるのは仕方ない」とか「スパイ容疑で罰せられるのは映画の世界」と思っているのではないでしょうか。
しかし、沖縄では機密を知っていたために死に追いやられた住民がたくさんいました。
情報を漏らすものは極刑という軍機保護法があった沖縄戦でのことです。
住民は軍人と同じ屋根の下で暮らし、陣地の構築や奉仕にかり出されました。
軍の編成や動向など軍事機密に通じていました。
だから、敵が上陸し捕虜になって情報が漏れることを恐れた日本軍から「スパイか」と切りつけられ、自決に追い込まれた。
自分の身を守るため「あいつがスパイだ」と密告する人もいました。
特定秘密保護法は軍機保護法の再来です。
いまも米軍や自衛隊と隣接して生活する沖縄の住民が、いつまた不都合な存在となり、処罰の対象にされるかと危惧しています。
事故の多いオスプレイが使う着陸帯の建設に反対する東村(ひがしそん)高江の住民たちが主人公のドキュメンタリー映画「標的の村」を制作しました。
家の近くに何がどのくらい飛来するのか、命を守るために知ろうとするのは当然です。しかし、「秘密を保有する者の管理を害する行為」とされて監視対象になりかねません。
軍事機密の漏洩(ろうえい)を厳罰化した先にもたらされた悲劇を知るこの島から、法の危うさを何度でも訴えていきたい。
人の命よりも先に守るべき情報などあるはずはありません。