2014年11月04日

風知草:「SMバー」で見えたこと

風知草:「SMバー」で見えたこと=山田孝男
毎日新聞 2014年11月03日 東京朝刊

 政治資金疑惑、続編の意表を突く舞台は「SMバー」だった。
宮沢洋一経済産業相(64)の秘書の探訪が露見、宮沢は「私は行ってない」と釈明した。

 どうにも止まらぬ調査発掘報道の中でも滑稽(こっけい)味あふれる逸話として、好奇の目が注がれている。
 だが、問題の核心は主役の性的嗜好(しこう)ではない。
政治資金とその公開制度に対する政治家の無関心、無防備だ。
雇い主と世間をナメてかかった秘書の無自覚、無規律である。      

       ◇
 経産相(参院広島選挙区選出)の政治資金管理団体「宮沢会」から、広島市内のSMバーに「政治活動費1万8230円」の支出があった。
2010年の収支報告書を洗った共同通信の特ダネである。

 毎日新聞によれば、それは「下着姿の女性をロープで縛り、客も参加するショー」を見せる店だ。
男性4000円、女性2000円で飲み放題。

経産相は「地元秘書が情報収集目的で利用」と説明した。

 どう見るか。政治資金の実務を知る政治家、秘書に聞くと、異口同音、宮沢の監督不行き届きと説明のまずさを指摘した。

中でも秘書時代から百戦錬磨、自ら訴追され、服役もした鈴木宗男元衆院議員(66)がこう言っている。

 「SMバーに私は行ってませんってね、そんなこと言ってどうすんだって。
オマエが行ってどうすんだって話ですよ。

『宮沢さんが行ったんですか』って興味本位で聞くマスコミもどうかと思うけどネ。

問題の本質は、自分で報告書を見ていない、監督責任を果たしてないってことです。申し訳ない、私がチェックしていなかったと認めて謝ったらいいんですよ

 民主党政権でも似た騒ぎがあった。09年、閣僚や参院議長の政治活動費にキャバクラなどの代金が含まれていたことが発覚。
10年には閣僚の事務所費にキャミソール(女性用下着)の購入代金が記載されていたことが暴かれ、いずれも批判、嘲笑を浴びた。


 一般に地盤が安定して選挙が楽な議員の事務所ほど緩みが出る。
なまめかしい醜聞の背後に暗い秘密があるとは限らない。
      ◇
 宮沢は東京電力株を600株(時価約20万円)持っていた。
経産相は東電の株価に影響を与え得る立場であり、保有はご法度だ。
指摘されて信託銀行に預けたが、感度が鈍過ぎると鈴木が首をひねった。

 「私なら就任の記者会見で自分から言うね。必ず突かれるポイントですよ。情報の透明性が大事なんだから。秀才なのに、なんで頭が回らないかネ」

 もう一つ。宮沢は、外国人が50%超の株を保有する企業から40万円の寄付受領を指摘され、返却した。
その企業は地元のパチンコ店運営会社である。

 11年、民主党政権の外相が似た問題で辞任した。
法律は政治活動への外国人の寄付を禁じているが、定住している人の、巨額とも言えぬ寄付を国事犯のように騒ぎ立てる追及がまかり通れば、わざと政敵に寄付して葬ることも可能。
微妙な問題をはらむ。

 政治資金疑惑は、他の閣僚に飛び火し、首相をいらだたせ、追及する野党へ燃え移り、疑わしいものと難癖に近いものが入り交じって鳴動している。

 世論の深層を突き動かすものは、暴かれる不祥事の数ではなく、質だ。

消費税再引き上げの是非を問う折から、指導的地位にある人々の、浪費、公私混同に厳しい視線が注がれるのは当然である。
posted by 小だぬき at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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