政府「正社員へ道」「実効性疑問」野党
2014年11月6日 東京新聞朝刊
現行で最長三年となっている企業の派遣労働者の受け入れ期間制限を撤廃する労働者派遣法改正案は五日、衆院厚生労働委員会で本格審議が始まった。
塩崎恭久厚労相は「派遣で働く人の待遇の改善を図る一方で、正社員への道が開かれる」と主張したが、民主党などは「一生、派遣労働を続けることを認める内容だ」と批判した。
民主党などは改正案で、派遣先の会社が三年ごとに労働組合の意見を聞けば、派遣労働者を入れ替えながら同じ職場で使い続けられるようになる、と指摘している。
これに対して政府側は、派遣期間を終えた労働者が直接雇用されるように派遣会社が派遣先に依頼するほか、キャリアアップに向けた対策を義務付けていると反論している。
委員会で、民主党の長妻昭元厚労相は「(派遣という働き方が)一時的、臨時的ではないことに踏み出す法案だ」と指摘。
法案の欠点を認めるよう迫ったが、塩崎氏は「正社員になる支援をするように派遣元に義務を課している。一生派遣を認めているわけではない」と強調した。
同党の山井和則元厚労政務官は「派遣先に直接雇用を頼むだけで本当に雇ってもらえるのか」と実効性に疑問を呈した。
塩崎氏は「派遣先に雇ってもらえない時は、新たな派遣先の紹介や派遣元での無期雇用も義務付けている」と述べた。
政府・与党は七日の厚労委で安倍晋三首相も入った質疑をした後、今月中旬に衆院を通過させたい考え。
ただ、野党側の反発は強く、共産党の高橋千鶴子氏は委員会で「法案の精査には時間が必要。徹底審議を求めたい」とくぎを刺した。