2014年12月04日

菅原文太さんが残した“遺言” 「日本はいま危うい局面にある」

菅原文太さんが残した“遺言”
日本はいま危うい局面にある
2014年12月1日 日刊ゲンダイ
【連載「注目の人直撃インタビュー」2013年8月29日号より】

 集団的自衛権を巡る憲法解釈の見直しや自衛隊の海兵隊化――と、参院選後の安倍首相は露骨に右傾化を強めている。
そうしたきな臭い状況に危機感を抱くのが元俳優の菅原文太さんだ。
この夏80歳を迎えた老優は日本の何を危惧しているのか――。

■「今の日本は真珠湾攻撃をした時と大差ない」

毎年8月になると太平洋戦争を思い出します。
日本が戦争に負けた昭和20(1945)年当時、私は小学6年生で、宮城県栗原郡(現・栗原市)の小さな村に住んでいました。

 敗戦が近づいた頃のこと、仙台の街がB29の空襲を受けましてね。
家の屋根に上ってかなたを見ると、夕暮れの薄暗がりの中で爆撃機がパラパラと焼夷弾を落とし、一面に炎が立ち上る光景が見えました。

仙台とは100キロも離れているのに、無数の爆弾がまるで七夕の銀色の短冊のようにキラキラ光り、街全体を炎で赤く染めていたのをよく覚えています。

 空襲は受けたけど、怖いとは思いませんでした。
都会から離れたところに住んでいたこともありますが、大人の話を聞いて日本は勝つと信じていたからです。
敵艦を何隻轟沈したという発表が幾度もあり、大人たちが「日本は勝ってる」と言うものだから、子供心に「日本は強いんだ」と信じていたんです。

 ところが8月15日になり、いきなり玉音放送で「負けました」となった。
ガーガーと雑音を発する祖母のラジオを叩きながら天皇のお言葉を聞いて、本当にびっくりしました
あとで聞いたら、大本営のウソの発表を疑問視する人たちもいたとか。

「こんな戦争負けるよ」と言いたいけど、警察が怖くて言えない状況だったんですね。

 だけど、考えてみると敗戦の兆しはあったんです。
私の村でも出征のたすきを掛けた若者が「行ってまいります」と戦地に出かけ、その多くが命を失いました。

現代では考えられないことですが、私も大人も、死に対する感覚が麻痺し、「戦争なんだから死ぬのは当たり前」というような錯覚に陥っていた気がします。

私の父の弟は37歳でルソン島に派兵されたのを最後に、いまもって行方が分かっていません。戦死扱いとされていますが、どんな死に方をしたのか遺族も知らされていないのです。
父の兄は外地から復員するも、戦地で患ったマラリア熱が完治できず、死ぬまで発作に苦しみました。

 私の父は中支(中国)で軍事物資を運ぶ輜重隊の隊長を務めたのち生還しましたが、戦争については一言も話しませんでした。
あの時代、沈黙を通した人は父だけではありません。
みんな、悲惨な現実を語りたくなかったのでしょう。

 国外のあちこちで日本軍は米軍に押しまくられ、「救援を送れ」と要請しても兵隊は来ない。兵士は軍と国に見殺しにされ、昭和18年ごろからはアッツ島を皮切りに兵士の玉砕が繰り返されました。
沖縄では兵隊のほかに大勢の民間人が巻き添えになりました。

それなのに、軍隊のある参謀などは玉砕が怖いので「本土に用事があるから」と口実をもうけて沖縄を離れました。
命惜しさのあまり部下と民間人を置き去りにして逃げたのだから、あきれた話です。

言い出したらきりがありませんが、すべては当時のリーダーたちが無謀な開戦に突っ走った結果です。

 しかし現実の日本はどうでしょうか。私の目には、日本はいま非常に危うい局面にあるように見えます。
 安倍政権は内閣法制局長官を交代させてまでして集団的自衛権の解釈の見直しをはかり、憲法を改定して自衛隊を国防軍にしようとしています。

平和憲法によって国民の生命を守ってきた日本はいま、道を誤るかどうかの瀬戸際にあるのです。
真珠湾攻撃に猛進したころと大差ありません。

 いつの時代も為政者は国民を言葉たくみに誘導します。
問題になっている沖縄の基地の件だって、彼らに利用されかねません。
「沖縄に米軍は要らない」という国民の言葉を逆手にとって、政府が「米軍がいなくても大丈夫。
自衛隊が国防軍になり、海兵隊の役割を果たしてくれるから安心してください」と言えば、国民はコロリとだまされ、国防軍化を許してしまうかもしれないのです。

 その結果、自衛隊は本物の軍隊になり、米国が始めた戦争にいや応なく巻き込まれてしまいます。
しかも米国は日本を自分の属国と見ているのだから始末が悪い。

「俺たちに逆らったら、締め上げるぞ」と恫喝されたら最後、日本は逃げられなくなります。
こうした数多くの悪要因の中で、日本が世界に誇る平和憲法が骨抜きにされ、戦争に突き進んでしまいかねないのです。

「まさかそこまで?」と笑われるかもしれませんが、いまの自民党は「ナチスに学べ」というバカな発言をした副総理を更迭できないほど自浄作用を失っています。
実に恐ろしい状態です。

 改憲派の政治家はよくこう言って現行憲法を否定します。
「いまの憲法は戦後、GHQに与えられたものだ。
なぜ、進駐軍にもらった憲法を守らなければならないのか。
そろそろ自分たちの憲法を持つべきだ」
 この認識は正しいとはいえません。

知り合いの学者に聞いた話ですが、いまの憲法は、日本人が作成した草案を参考にして作られたそうです。
社会統計学者で社会運動家だった高野岩三郎や法学者の鈴木安蔵らの「憲法研究会」が、敗戦の年に発表した「憲法草案綱領」がそれです。
 この草案には「主権在民」や「基本的人権」という民主的な概念が盛り込まれていました。

GHQのある将校は非常に優れた憲法草案だと高く評価し、新憲法作成の下敷きにしました。  いま大切なのは、われわれ国民が政府のデマゴギーにそそのかされず、自分で考えることでしょう。

書物や新聞を読み、多くの人の話を聞いて、平和を維持するために自分は何をするべきかを模索する。
熟慮の末に真実を知れば、戦後ひとりの戦死者も出していない憲法9条がいかに素晴らしいものであるかが分かるはずです。
 戦前のようにタカ派政治家たちの言葉に踊らされてはいけません。
posted by 小だぬき at 20:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

衆院選スタート 投票先に悩むアナタへ…「戦略的投票」のススメ

特集ワイド: 衆院選スタート 
投票先に悩むアナタへ…
「戦略的投票」のススメ
毎日新聞 2014年12月03日 東京夕刊

師走の衆院選がスタートした。
自分が心から支持する候補者に1票を投じる……それができれば一番いい。

だが「自分が望む政策と同じ公約を掲げる党がない」「与党も野党も信用できない」「小選挙区に意中の候補がいない」……そんな時、棄権するしかないのか、何かできることはないのか。
専門家に聞いた。【田村彰子】  

◇アベノミクス「判断しなくてもいい」
         党首の好き嫌いでもいい

 今回、安倍晋三首相は「消費増税先送りの是非を問う」として、争点にアベノミクスの評価を掲げた。先送りには野党も賛成で、「解散の大義がない」と批判している。

 北海道大の吉田徹准教授(政治学)は「今回の総選挙は争点の設定やタイミングなどすべてが現政権が有利になるよう非常によくできている」と指摘する。

「アベノミクスに反対の人は増税にも反対の人が多いので、延期は望ましい。アベノミクスに賛成の人は、安倍政権を支持する。
だから賛成の人も反対の人も与党に投票しやすい。

しかも小泉(純一郎)元首相の時の郵政選挙とは違い、意見が分かれないので熱狂的な選挙にはなりにくく自民党に有利です」

 野党側は集団的自衛権や原発再稼働への賛否など、意見の割れる「分断的争点」を作りだそうとしている。
だが吉田さんは「各政党がばらばらに争点を言い出した時点で、実は有権者の判断は難しくなる」と話す。
 
混沌(こんとん)とした状況で、自分の1票を生かすにはどうしたらいいのか。

考え方を整理するためまずは、ゲーム理論に詳しい早大の船木由喜彦(ゆきひこ)教授を訪ねた。
 船木さんによると、自分が最も支持する候補者に1票を投じる、これをゲーム理論では「真実表明」と呼ぶ。
そして、それ以外の投票方法を「戦略的投票」と呼ぶ。

 典型的な戦略的投票の一例はこうだ。

例えば小選挙区で、AとBの候補者がいて自分はどちらも支持していない。
棄権をしたくなるが、こうした場合でも、どちらがより支持できないか、どちらがより嫌いかを考える。
最も嫌なのがAなら、Aを倒すためにBに入れる。

 ほかにも例えば、A、B、Cの候補者がいて、自分はAの候補者を支持しているけれどもとても当選しそうにないという場合。
BとCを比較してよりAに近い考え方を持つBに投票する−−これも戦略的投票だ。

船木さんは「人々は事前の支持率調査などを見て周囲の投票行動を予想しつつ、最も支持する候補者の当落を予想します。

投票に行くことは、それだけで時間と労力のコストがかかるので、そのコストを勘案したうえで、自分の利益を最大にする、あるいは不利益を最小にする選択をすることがゲーム理論で言う『合理的行動』といえます」と話す。

 棄権には意味がないのか?

 「自分が支持する候補者が大勝すると分かっている時は、コストを最小にするため、投票に行かないことが合理的な行動になります。
しかし、人は必ずしも合理的な行動を取るとは限りません」と説明する。

 実際には私たちは、複数の物差しで、政党や候補者を選び出している。

選挙制度に詳しい学習院大の平野浩教授は
「有権者は主に
▽政策に対する考え方が近い
▽政権の評価▽党首の好き嫌い−−で選択する傾向があります」と話す。

このうち最も重視されているのが「現政権の評価」だ。

 「小選挙区制度の考え方は政権につく政党を選ぶこと。その過程では小政党は不利になるが、それでいいという考え方で、有権者が死票を避けようとすれば、必然的に『戦略的投票』をするシステムになっています
一方、政党がより大勢から支持を得ようとすれば、有権者の多くが望むことを訴えようとするので、政策が似てきます。
政策に大差がなくなれば、現行の政治への評価が重要な決め手になります」と解説する。

 そこで浮上するのがアベノミクスの評価だが、「アベノミクスは専門家でもまだ判断が分かれるのだから、有権者に判断を求めるのは酷だ」と吉田さんは言い切る。

平野さんも「経済分野では、成功するかどうかはやらないと分からない。
一般の有権者には分からないと思います」と同調する。

 ならば、どうしたら? 吉田さんは「そもそもアベノミクスは定義もはっきりしない。
有権者がその是非を判断する必要はありません。

むしろ、現在の政治によって自分の生活が良くなっているか、将来的な不安が解消されつつあるかなど、自分の現状を踏まえて判断することが大事です」と訴える。

平野さんも「現政権の2年間、特定秘密保護法成立や集団的自衛権の行使容認、沖縄の基地問題、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)などさまざまな政治的な問題がありました。

自分にとって大事な争点を選び、政権が下した決定と現状を自分なりに評価してみてください」と話す。

その結果、総じて与党が及第点だと思うのなら与党へ、そうでないなら対立軸となる野党に入れる。

無党派層は5割前後もおり、決して影響は小さくない。

 ところで、好き嫌いでの投票はどうなのか。
平野さんは「政治心理学の視点で考えると、好きか嫌いかで選ぶのは間違いではない」と話す。

人間はある人についての情報や事象に無数に接して、好き嫌いを決めている。
例えば、安倍首相が集団的自衛権行使の問題でどんな発言をしたか、どんな外交をしたかなど、有権者は具体的に覚えてはいない。

しかし、その都度「いい」か「悪い」かの感覚が残り、「安倍首相が好きか嫌いか」の感情が形成される、という。

「特に党首が好きかどうかは、その党が政権を取った時に日本の首相になるので、大事なことと考えられます」
 仮に自分が望む政策がまるでないなら、やはり棄権するしかないのか。

吉田さんは「本来、政策はお上が示すものではなく、自分たちで作るもの。
不満や問題点を、仲間と共に声を上げて直していくのが『政策』になる」と強調する。

 日本人は、政治の話をあまり好まないと言われる。
選挙以外にデモや集会に参加する「政治参加率」は、フランス43%、アメリカ36%に対して日本は14%。

吉田さんは「決して個人が政策を合理的に判断し、投票するだけが理想ではありません」。

例えば、仲間で考え方の近い候補者を探し「100票を集めて入れるので、この政策を公約に」と求めれば候補者は動く。

 「民主主義は手間がかかる。でも、それを惜しむほど自分たちの理想と離れていき、不満と不信が降り積もります

 家族や友人と「誰に入れたいか」を話し合うことからはじめるしかない。
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posted by 小だぬき at 14:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

テレ東以外は起用できない?「池上彰氏の選挙特番」

テレ東以外は起用できない?
「池上彰氏の選挙特番」
2014年12月3日 16時0分 東スポWeb

 ジャーナリストの池上彰氏(64)が2日、司会を務めるテレビ東京「池上彰の総選挙ライブ」(14日午後7時50分)の制作発表会見を都内で行った。

池上氏にとってテレビ東京での選挙特番は4回目。
前回の2013年の参院選特番で民放トップの10・3%の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、テレビ東京を大躍進させた。

 この高視聴率について池上氏は「視聴者が聞いてほしいと思っていることを代弁しているだけ。
聞くべきことを聞いているだけ」。
中継で政治家へ鋭い質問を浴びせる姿がインターネット上では「池上無双」とも呼ばれているが、今回もこのスタンスに変わりはない。

 池上氏はテレ東の選挙特番を「独自路線が支持されている」と分析したが、自身が高視聴率の立役者であることは明白。
他局からも引っ張りだこかと思いきや、そうではないという。

「前回まではオファーがありました。
でも『テレビ東京でやりますので』と断っていたら、今回はまったくなかった。
池上はテレビ東京というイメージが定着したのでしょう」

 他局の選挙特番で確定しているのは、フジテレビが安藤優子キャスター(56)と宮根誠司(51)のコンビ。
テレビ朝日は古舘伊知郎(59)と、それぞれ局の“看板”司会者を立てる。

ある民放関係者は「発表されてない局も、そう代わり映えはしないと聞いている」。

 となると、高視聴率男・池上氏にオファーをかけなかった時点で、選挙特番の視聴率争いは「勝負あった」と言っても過言ではない。

 ただ、前出の関係者によると「前回の特番では『池上無双』に恐れをなして、テレ東の中継に出なかった政治家もいたといわれている。

視聴率は欲しいけど先々、議員との関係を考えれば怖くて起用できない。
他の局もそんな懸念があったと思うよ」。

「争点が見えない」と盛り上がりに欠ける選挙戦を池上氏が熱くさせてくれるはずだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする