2014年12月07日

◇若者よ、選挙に行こう

Listening:<記者の目>
格差社会の衆院選=野沢和弘(論説室)
2014年12月05日 毎日新聞

若者よ、選挙に行こう

 どのような仕組みで世の中が成り立っているのか分からないと、政治や選挙に関心を持てないかもしれない。
たとえ自分が理不尽な状況に置かれていても、努力が足りない、運がないと思ってしまう。

 努力は大事だが、個人の努力だけではどうにもならないこともある。
法律や税金の使い道を変え、理不尽な状況をなくす方法がある。
たとえば選挙だ。
世の中を変えるのは簡単ではないが、ほかに代わるべき方法もそうはない。  

「体調を崩し胃痛がひどくてご飯も食べられず栄養は点滴のみ!みたいな生活を送っていました」
 今年大学を卒業し保育施設で働いている女性(23)からメールが届いた。
いきなり20人以上の5歳児クラスを1人で受け持った。
親から怒鳴り込まれ、同僚との人間関係に神経を使い、発達障害の子の対応に悩む。
朝から夜まで働いて月収は15万円程度。

奨学金の返済で手元にはほとんど残らない。
学生のころは勉強も福祉サークルの活動も熱心で、複数の保育所で実習し、それなりの情報も覚悟も持って選んだ就職先だった。

 安倍政権は保育の充実や女性の活用を看板に掲げるが、従業員をつぶすブラック企業のような現場も少なくない。
 それでも正社員はまだいい。派遣労働やパートなど非正規の仕事を掛け持ちでこなし、低賃金の長時間労働で体を壊す人は多い。

いつ解雇されるかわからず、慣れない仕事の連続でキャリアを積むこともできない。
国民年金と国民健康保険(国保)の保険料を個人で負担しなければならず、国保は扶養家族が多くなるほど負担が重くなる。
これで結婚して子どもを育てろというのは無理な話だ。

◇母子世帯の半数、「相対的貧困」層

 日本のシングルマザーの就労率は先進国の中で最も高い。
ところが、未成年の子がいる母子世帯の約半数は、国民の平均的な収入の半分に満たない「相対的貧困」層に属する。
幼い子を預ける保育所がなければ、働くことすらできない。

 さらに悲惨なのは子どもだ。
給食費が払えず修学旅行に行けない、進学もできない。
貧困家庭の子には珍しくない。

親が長時間労働を強いられているため日常の世話ができず、栄養不足や劣悪な衛生で心身の健康が危機に瀕(ひん)している子もいる。

 もしもあなたがそういう若者だとしたら、あるいはそうした若者が身近にいるのであれば、知ってほしい。

日本は若い世代の福祉や教育に充てられる予算の率が極端に低い国であることを。
税や保険料の多くは年金や医療・介護など高齢者に使われてきた。

 幼児教育から大学まで入学金も授業料もない国は多い。
デンマークは親の仕送りやアルバイトもなく、政府の給付金で生活している学生が多い。
卒業後も留学やボランティアをして別の大学に入ったりするため、職業に就く平均年齢は27〜28歳という。
 ただし負担は重い。
消費税25%、車の取得税は約200%だ。
最近は医療や高齢者福祉の効率化・削減も迫られており、週14時間以上ヘルパーが必要になると施設入所を勧められるという。

隔離収容型ではなく地域での生活を基本とするノーマライゼーションの発祥国とは思えない、高齢者に厳しい政策である。  

◇社会保障政策の改善へ重い1票

 誰がそのような政治を行っているのかといえば、王様や独裁者ではなく、国民が選挙で選んだ政治家なのである。
デンマークも高齢化は進んでおり、年金や高齢者福祉を削減する政策は選挙では歓迎されないはずだ。
しかし、「きちんと必要なことを説明すれば国民はわかってくれる」と担当相のクラウ氏に言われた。

30歳の女性で、2人目の出産のため半年公務を休んだという。
こういう政治家を大臣にする政府を選んだのも国民なのである。

 日本だってチャンスはある。
子ども手当、給付型奨学金、非正規雇用への厚生年金の適用拡大、子育て新制度など、若い世代向けの社会保障政策が政治の場で議論され、その一部は実施されてきた。
しかし、まだ不十分であることも事実だ。
どうすればもっと改善できるのか、選挙こそ絶好の機会ではないか。

 各政党の公約を眺めても、似たような表現で有権者受けしそうなものが総花的に並べられているだけでよくわからないかもしれない。

財源の裏付けがなければ絵に描いた餅に終わる。
それでもあきらめずに関心を持ち続けていると、どの政党が本気で、どの候補者に期待できるのかぼんやりわかってくる。

 たかが1票ではあるが、みんなの1票で政治は選ばれるのだ。
やっぱり選挙に行こうよ。
posted by 小だぬき at 14:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『高齢受刑者』急増!出所しては舞い戻るの繰り返し...食っていけずまた犯罪「負の連鎖」

私見「クローズアップ現代」
『高齢受刑者』急増!
出所しては舞い戻るの繰り返し...
食っていけずまた犯罪「負の連鎖」
2014/12/ 6 12:00 J-CASTニュース

*NHKクローズアップ現代
(2014年12月4日放送
「犯罪を繰り返す高齢者〜負の連鎖をどう断つか〜」)

全国の刑務所で高齢の受刑者が急増している。
65歳以上が20年前の5倍、2200人にもなり、介護施設並みのケアも必要になっている。
深刻なのはこれら高齢受刑者の大半が再犯であることだ。

出所後、社会に受け入れられず、貧困からまた罪を犯す、負の連鎖の果てだ。
どうしたらこれを断ち切れるのか。


3回服役したという千葉の70代の男性は典型だ。
初犯は65歳のときだった。
20年間経営してきた会社が倒産して、生活のためくず鉄を盗んだ。
2年間服役して出所したが、前科者に就職口はなかった。
家族からも疎外されて、生活保護も知らず、70歳、73歳とさい銭泥で捕まった。

府中刑務所の65歳以上400人!10年で2倍―認知症や介護など9割が要治療

先月(2014年11月)に発表された犯罪白書では、昨年65歳以上の検挙者は4万6243人。
全体の数は減っているのに、高齢者は増えている。

高齢者の犯罪には2つの特徴がある。
万引きや無銭飲食などの軽犯罪の積み重ねと再犯だ。

7割が5年以内に刑務所に舞い戻る。
負の連鎖から抜け出せないのだ。
受刑者数で全国一の府中刑務所の65歳以上の受刑者は400人。
10年で2倍だ。
9割が何らかの治療を受けている。
認知症もいる。要介護者もいる。

職員が体を拭き、おむつを交換する。あたかも介護施設である。
亡くなった受刑者は5年間で78人。
引き取り手のない人の供養も刑務所が行っている。
医療費、特別食、外部入院の世話と、職員の負担も限界に近い。

出所後、振り込め詐欺グループに取り込まれた例もある。
昨年逮捕された71歳の男性は現金の受け取り屋だった。
公開手配された者もいる。

3回逮捕された80代の男性は「簡単な仕事だ」と誘われた。
やはり出所後に仕事のない連中だったという。
「生活のためやむをえず」と話す。

元刑務所勤務で龍谷大学大学院の浜井浩一教授は、「日本の司法制度は罰を与えて罪を償わせる。
そこで終わりなんです。

司法が社会制度から孤立していて、受刑者の更生という観点が薄い。
社会に戻った時どうするか、罪の原因を考えないと再犯防止にならないと思います」と語る。

東京地検は社会福祉士を採用―服役前から生活支援

司法と福祉を連携させる取り組みは始まっていた。
長崎県の地域生活定着支援センターだ。
出所者を福祉事務所につなぎ、生活保護や医療の手助けをする。
5年前に国のモデル事業としてスタートし、NPO法人が運営している。
ここで立ち直った高齢者は少なくない。

いま老人ホームにいる78歳の男性は、生活苦から盗みを重ね、15回服役した。
センターの支援で4年前、受け入れ先が見つかって落ち着いた。
「お世話になったから」と毎日3時半に起きて、ホーム内に新聞を配る。
「ありがとうといわれるのがうれしい」と屈託のない笑顔をみせていた。

府中刑務所は出所間近の高齢者に、社会で孤立しないための訓練と教育をしている。
「2度と帰ってこないように。刑務所が試されている」という。

東京地検はさらに進んで、全国に先駆けて社会福祉士を正規採用した。
服役させる前からの支援である。
60代後半のホームレスの置き引き事件があった。
身寄りもなく弁済もできない。
社会福祉士は「生活保護があれば立ち直れる」と社会福祉事務所につなぎ、事件は起訴猶予になった。
これまでに500人を福祉事務所につないで社会復帰させた。

浜井教授は「受刑者で、刑務所に入る前に幸せだった人は一人もいない」という。

刑務所で受刑者の貧困に始まる「負の連鎖」を見た。

「(再犯を)止める人がいないから」 老人ホームの男性だって支援がなければ16回目の服役になっていたことだろう。
彼らの社会復帰を自分のこととして考えはじめた人がいた。
日本人も捨てものではない。 ヤンヤン
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする