2014年12月13日

暮らしの実感を政治に伝える手段が選挙

総選挙で国民は何を選べばよいのか?
 暮らしの実感を政治に伝える手段が選挙
 ジャーナリスト・田中良紹
THE PAGE 12月12日(金)14時20分配信

 安倍首相が「アベノミクス解散」と銘打った総選挙の投票が14日に迫っている。

今回の解散・総選挙の最大の特徴は投票率を上げないように仕組まれた事だと私は見る。

それは自民党が政権を取り戻した前回の総選挙を教訓にしている。
前回、自民党は衆議院の6割を超す大量議席を獲得したが、最大要因は投票率が6割を切って過去最低を記録した事にある。
無党派が選挙に背を向けた事が組織票に支えられる自民党を有利にした。

 もう一つの要因は、分裂した野党が選挙協力を行わず各選挙区で競合した事である。
長年にわたって選挙協力を繰り返してきた自公とは対照的であった。

小選挙区で自公が獲得した得票数は2650万票、野党が獲得した総得票数は3200万票で、「二大政党」であったならば安倍政権の誕生はなかっただろう。

. 国民は投票に行かない?

 自民党の全有権者に占める得票率は小選挙区で24%、比例区で16%である。
つまり4人に1人以下の国民の支持で自民党は大量議席を獲得し、自公で3分の2を超す議席を占めた。
これが安倍政権の力の源である。

それによって特定秘密保護法は強行可決され、集団的自衛権の行使容認を国会の議論を経ぬまま閣議決定することが出来た。

 この経験を最大限に生かして安倍政権は延命を図ろうとしている

従って狙いは無党派層を投票所に行かせない事、そして野党が選挙協力する暇を与えない事である。
だから何のためか分からない選挙にして国民に興味を抱かせず、解散から公示までの期間を過去最短の11日間にして野党に選挙協力の時間を与えなかった。

 その仕掛けはこれまでのところ有効に作用している。

メディアの予測で「自民党が300議席を超す勢い」と報じられたが、予測の前提となる投票率は過去最低をさらに下回る55%に設定されている。

安倍政権の思惑通りに国民は投票に行かないと思われているのである
果たしてそれが民主主義の基本とされる総選挙の姿であって良いのだろうか。

アメリカとイギリスがごちゃまぜ

 実は自民党単独政権が長く続いた日本の選挙にはおかしな仕組みが多々ある。
それらを取り払わないと本当の民意が反映される事にならないと思うが、現在の仕組みで当選してきた議員たちには現在の仕組みを変える事に抵抗がある。
変えれば自分が当選できなくなる可能性があると考えるからだ。

 そこで何がおかしいかを国民に分かってもらい国民の意識を変えるしかない。

おかしな事の第一は、個人を選ぶのか、政策を選ぶのかがはっきりしない事である。

日本では選挙になると掲示板にポスターが貼られ、候補者が宣伝カーで名前を連呼する。
これを見ると日本の選挙は「個人を選ぶ」仕組みである。

 同じように個人を選ぶ選挙をしているのはアメリカである。
アメリカは政策を選ぶ選挙をやらない。
候補者は所属政党と異なる政策を主張する場合がある。
有権者は候補者の過去の業績や人間性を判断材料にして投票する。
候補者は自分を知ってもらうため選挙に資金を投ずる。
そして有権者は候補者に候補同士の討論や選挙民との対話を求める。
当選した議員は党議拘束に縛られない。

 ところが個人を選ぶ仕組みの日本なのに、選挙では「政策が大事」だと言われる。
各政党はマニフェストを作り政策を羅列する。

これはイギリスの選挙を真似している。
しかしイギリスの選挙は候補者個人を全く無視する。
個人のポスターも事務所も宣伝カーで名前を連呼する事もない。
マニフェストを配って歩くのが選挙運動である。
だから選挙に金はかからない。
そして当選した議員は党議拘束に縛られる。

 日本の選挙はアメリカとイギリスがごちゃまぜである。
安倍総理が「アベノミクスの信を問う」というのなら政策選択の選挙だが、
選挙区に行けばひたすら候補者は自分の名前を連呼する。
しかしどういう人物かが明らかにされる訳ではなく、お題目のように政策が唱えられるだけである。
有権者は政策の中身も候補者の中身も良く分からずに選挙する。

 有権者がマニフェストを読んで政策を理解するのは大変である。
各党とももっともらしい政策を書いているので比較するのが難しい。
分からないから投票に行く気がしないという人もいる。
それで投票率が下がるのではマニフェストは逆効果でしかない。

そこでどうしたらよいかを考える。

現状を維持するか、現状を変えるか

 選挙は、現状を維持するか、現状を変えるかの選択だと考えれば良い。
「自分の暮らしが良くなっている」と思う人は現政権を支持する。
「良くなっていない」と思う人は野党に投票する。

野党であれば投票先はどの政党でもよい。
これが民主主義を機能させる。
なぜなら高い投票率は、政権交代が起きなくとも政権にプレッシャーを与え、批判票次第では政権が政策の見直し考えるようになる。
 政権交代だけが民主主義ではない。国民の暮らしの実感を政治に伝える手段が選挙である。

低投票率は政権側に国民の声を軽視させ、国民の実感を誤って判断させるが、
高い投票率には国民の声を政治に反映させる可能性がある。
選挙を難しく考えないで投票する事、それが民主主義の基本ではないか。
(ジャーナリスト・田中良紹)
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posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする