2015年01月17日

医療も「言論の自由」が大事

イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常
医療も「言論の自由」が大事
2015年1月16日 読売新聞

 最近の僕的に大きなニュースは、フランスの政治週刊紙「シャルリー・エブド」のパリ本社が銃撃され、12人が殺害された事件です。
逃亡した容疑者が籠城し、射殺されました。
そして、その銃撃テロ事件の犠牲者を追悼する大行進に370万人が参加したとフランス内務省は発表しました。

 襲撃された週刊紙は、ある人たちにとっては行き過ぎとも言える表現があったのかも知れません。
しかし、言論の自由は正しい判断をするためにとても大切なものです。
いろいろな意見があることが正しい判断の源と常々思っていますので、「自分たちの意にそぐわないことを言っているから、そんなとんでもない報道をするやつらは襲撃しよう」という発想には断固反対です。

医療情報は玉石混交

 医療の分野でも、たくさんの意見が出た方がいいのです。

本屋さんの医療コーナーを眺めれば、また医療の記事をネットサーフィンすれば、いろいろな意見を主張する本やHPがあります。
両極端の意見も珍しくありません。

長生きするためには医者に行かない方がいいといった論調から、どんどん医者には行くべきだといったものなどわかりやすい両極端の意見です。
そんないろいろな意見があることが楽しいではないですか。
玉石混交です。

どれが正しいかもわかりません。
明らかに正しいこと、明らかに間違っていることを本にすることはまず無理でしょうから、書籍になっている段階で、ある程度はそれなりの論拠があると思っています。

 ではなぜ、そんなにたくさんの意見が、特に医療の分野にはあるのでしょう。
それは、人はいろいろだからですね。
全員に当てはまらないことは間違っているのでしょう。
でも将来は当てはまると敢あえて言うこともできます。
少なくとも今までに何人かに当てはまっていれば、その意見を葬り去ることは無理です。

人はいろいろということは、各個人に対する医療もいろいろと考える方が腑ふに落ちます。
でもそこまでオーダーメイド化するためのサイエンスは進歩していないのです。
ですから、多くの人にとって有益であろうと思われることを精一杯やっているのが医療です。

そんな目線でいろいろな情報に接することが大切ですね。

信頼できる医師を持とう

 もしもどの医療情報が正しいか解わからないときは、信頼できる医師に相談しましょう。
つまり常日頃から、かかりつけの信頼できる医師を持っておくことが大切です。
信頼できるというのは、「その先生の言うことであれば、もしも間違っていても、もしも自分に当てはまらなくても致し方ない」と思える医師のことです。

僕たち医療関係者も、その人にその医療がどれほど大切かはなかなか解らないのです。
精一杯現在までの情報でいいと思っていることをやっているのです。
だからこそ、僕たち医療サイドも、いろいろな情報の存在を知りたいのです。
そんな玉石混交の情報から、よりよいと思われることを取捨選択するのが、医療のプロの仕事と思っています。

 大きなニュースの陰で、先日医療にとって大切な決定がなされました。
来年度の予算で財務大臣と厚生労働大臣の大臣折衝が行われ「介護報酬」を2015年度から2.27%引き下げる方針となりました。

高齢化社会がどんどんと進行する中で介護の問題を国民全体が考えることはとても大切なことなのです。
僕的には介護報酬は増額が何よりも必要で、減額などはもっての他と思っています。

しかし、介護職員の給与は月1万2000円程度上がるとも報道されています。
そうであれば、労働の割に低賃金と言われている介護職員には朗報です。
「介護報酬」がどのように運用されるのかも、しっかりと見守っていきたいと思っています。

社会保障は国としての大切な問題です。
大切な税金の使い道です。
社会保障に対するいろいろな意見も本やネットでたくさん発言されればいいのです。

 極端な意見があってもいいのです。
それが発言できる世の中が、まず大切なのです。
言論の自由はどんなことがあっても守りたいと思う今日この頃でした。
 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。
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posted by 小だぬき at 06:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

介護報酬下げ 現場が崩壊しかねない

介護報酬下げ 現場が崩壊しかねない
2015年1月16日 東京新聞「社説」

 介護保険から個々のサービスに対して事業者に支払われる介護報酬が、四月から全体で2・27%引き下げられる。
人手不足がより深刻になり、介護の現場が崩壊しかねない。

 介護サービスの公定価格である介護報酬は三年に一度、見直されている。
二〇〇〇年度に制度がスタートして以来、五回目の改定となる今回、過去最大規模の下げ幅となった。
制度開始時よりも報酬は実質2・1%下がっている。
三年前と比べ消費者物価は4%超上昇していることを考えても、引き下げは乱暴だ。

 財務省が引き下げの根拠として持ち出してきたのが、特別養護老人ホーム(特養)の内部留保が平均三億円程度あるという数字。
しかし、この中には老朽化した施設の建て替え費や職員の退職金などの積立金が含まれている。現状でも特養の三割近くが赤字であり、経営状況が厳しくなる施設がさらに増えることが予想される。

 介護職員の人手不足は深刻化している。
最大の要因は賃金の低さだ。
常勤のホームヘルパー、施設職員の平均月収は全産業平均よりも約十万円低い。

人手が足りないため過酷な勤務状況にならざるを得ず、離職率も高い。
昨年十一月時点で介護関係職種の有効求人倍率は二・五一倍と、全職業の一・〇四倍を大きく上回っている。

 改定では、介護職員の賃金を一人当たり月一万二千円程度引き上げるため加算制度が充実される。
だが、これに必要な報酬1・65%分はその他の部分を4・48%下げることで賄われる。

特養などの施設サービスの報酬は大幅に引き下げられる。
施設の経営自体が悪化すれば、職員の賃金アップもままならなくなるかもしれない。

 東京都社会福祉協議会が昨年末に実施した調査によると、都内の約半数の特養で介護職員が不足している。
そのため一部事業所を閉鎖するなどの事態が起きている。

 特養の入所待機者数は五十二万人に上っている。
改定は「施設サービスから在宅サービスへ」という政府の基本方針に沿ったものだが、現場のニーズを反映していないのではないか。

 政府は二五年度には、今より介護職員を百万人増員する必要があるとする。
だが、このままでは職員が集まらずサービスの質が低下したり、サービスが必要でも利用できない「介護難民」が増えるのは必至だ。

社会保障を充実させるための消費税8%への引き上げだったはずだ。
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする