2015年01月21日

生活保護減額 最低限の水準下げるな

生活保護減額 最低限の水準下げるな
2015年1月21日 東京新聞「社説」

 生活保護のうち家賃にあたる「住宅扶助」と冬場の暖房費などを賄う「冬季加算」が新年度から減額される。
国が保障する健康で文化的な最低限度の生活水準がどんどん引き下げられていく。

 政府は二〇一五年度から住宅扶助を段階的に国費で百九十億円、冬季加算を三十億円減らすことを決めた。
本年度比で、住宅費は3・8%、冬季加算は8・4%の減額で、ともに過去最大。

住宅扶助は地域や世帯人数ごとに上限月額が異なるが、東京二十三区の二人世帯で六千円減の六万四千円、埼玉県熊谷市で同一万円減の五万二千円となる。
名古屋市は同三千円減の四万四千円。
多くの受給者が転居を強いられる。

 不可思議なのはあり方を検討してきた厚生労働省の審議会が取りまとめた最終報告に、引き下げを容認する言葉は見当たらないことだ。

それどころか「生活保護制度での居住水準はあくまで、健康で文化的な最低限度の住生活の保障にある」など引き下げを懸念する記述が多い。

委員からも「住居の転居で高齢者は認知症の悪化につながりかねない。
自分はこの場所に住んでいてよいという安心感がすべての人に必要だ」と否定的な意見が相次いでいた。

 にもかかわらず、政府は総務省発表の家賃物価の全国平均が〇八〜一三年までに2・1%下がっているなどを根拠に決めた。
審議会は何のために議論していたのだ。

 高家賃住宅が増加する一方、低家賃住宅が減っているため、家賃平均額は上昇しているという研究者の報告もある。

また、受給している単身世帯で、国が定める最低居住面積(単身で二十五平方メートル)を達成していない住居が現状でも五割を超える。
審議会報告も「より適切な住環境を確保することが必要」と指摘しているのに、さらに悪化させることになる。

 生活保護の受給者数は二百十七万人近くだが、約一割が十五歳以下の子どもだ。
今回の決定で転校を余儀なくされる子どももいるだろう。
また、長年住み続けた住居を追い出される高齢者は、新居を探すのも難しい。
支援団体やケースワーカーは現在の上限額でも住宅を探すのは困難という。

 住まいは生活の基本であり、劣悪な環境で健康を害したら自立への妨げにもなる。
生活保護では、食費などの生活費に充てる生活扶助費がすでに下げられている。
一方、新年度予算で法人税は軽減される。
安倍政権は弱い人への配慮が欠如している。
posted by 小だぬき at 19:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

復興担う公務員にエール 

香山リカのココロの万華鏡:
復興担う公務員にエール 
毎日新聞 2015年01月20日 首都圏版

 東日本大震災の発生から4年がたとうとしている。
東北の放送局から「自治体職員のストレスについて番組を作るので」と出演依頼があった。
私が被災地自治体職員の心のケア活動を行っていることを知り、その経験を話してほしいということだった。

喜んで応じたが、現地の記者が取材したビデオで、ある自治体で職員の心の健康チェックを行ったところ、15%が「うつ病」に相当した、という調査結果を知り衝撃を受けた。

それでも多くの職員は、「なんとか復興を」といまも必死にがんばっている。

 阪神淡路大震災からは20年がたった。
住民と行政とがぶつかり合いながら進められた神戸の復興の記録をテレビで見た。

当時、都市再生の中心となった元職員が登場し、「住民のための復興だっただろうか」とややつらそうな顔で振り返っていた。
定年になり退職した現在も責任を感じているようだった。

 もちろん、誰もが同じように勤勉というわけではない。
しかし、東日本大震災の被災地で私が出会った行政の人たちはすべて、「自分より住民や地域のために」と身を粉にして働き続けていた。

 「真面目で責任感が強い」というのは仕事の上では欠かせないことだが、すぐに「働きすぎ」につながる。

また、いつまでも「こうしたほうがよかったのではないか」と考え込んだり、「私のせいでは」と自分を責めることにもなりかねない。

それらがさらに進むとうつ病になってしまう場合もある。

 では、真面目な人はどうすればうつ病にならずにすむのだろう。
まずは、がんばり時間と思いきりくつろぐ時間、つまり「オンとオフ」をはっきり分けることだ。

夜は、できなかったことや失敗ではなく、できたことやほめられたことを思い出しながら眠りにつく。
そして、自分に「よくやってるよ」とそっと声をかけ、できれば周囲の同僚たちとも互いに「おつかれさま」「がんばったね」とねぎらい合う。

 最近は何かあるとすぐに「悪いのはあの人のせい」と責任逃れをする人が増えているとも言われるが、まだまだ「私のがんばりが足りなかったのです」と自分を責める人も少なくない。

反省のしすぎから「私はダメだ」と自信を喪失することなく、「気持ちを切り替えて次に行こう」と前向きな気持ちになってもらいたい。
もちろん、被災地で復興のために尽力する人たちにも「がんばり続けている自分に自信と誇りを持ってくださいね」と伝えたい。(精神科医)
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする