2015年04月01日

安倍政権と沖縄の対立激化 辺野古移設作業は民主主義の破砕

安倍政権と沖縄の対立激化
 辺野古移設作業は民主主義の破砕
2015.03.31 16:00 NEWSポストセブン

 安倍政権と沖縄県の対立が激化している。

翁長雄志(おなが・たけし)・知事は3月23日、米軍普天間基地移設に向けた辺野古沿岸部の海底ボーリング調査で岩礁が破砕される度合いが高いとして防衛省沖縄防衛局に作業停止を指示し、従わない場合、「岩礁破砕の許可を取り消す」と安倍政権に突きつけた。

 だが菅義偉・官房長官は翌24日の会見で「県の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ。工事は粛々と続行する」と拒否。

さらに沖縄防衛局は、関連法を所管する農水省に作業停止指示の取り消しを求める審査請求を出した。

 両者とも一歩も譲らぬ徹底抗戦の構えだが、この件では翁長知事に理があるだろう。

 昨年11月の知事選で、沖縄県民は移設容認だった前職・仲井眞弘多氏ではなく、移設阻止を公約に掲げた翁長氏を選んだ。

翌12月の衆院選でも沖縄4選挙区で自民党は全敗。
最新の沖縄の民意は明らかに「移設反対」を示している。

 にもかかわらず、安倍政権が調査を強行する根拠は、「仲井眞前知事との手続きで事前に承認を得ている」という一点に尽きる。

城西国際大学の鈴木崇弘客員教授はこう指摘する。
「20年ほどかけて辺野古移設にこぎ着けた自民党の努力は民主党政権が中途半端に県外移設をぶち上げて水の泡になった。
だが、今の民意の大勢が移設反対なら、安倍政権は沖縄県民の理解を得るために説明を尽くすべきです

 前任者の承認を盾に翁長知事を批判するのであれば、安倍政権はこれまで否定してきた前政権の政策を継続しなければ筋が通らなくなってしまう。

 しかも翁長知事は就任以来7回上京しているが、安倍首相と菅長官は面会を拒絶して門前払いを続けた。
それどころか前知事に約束した沖縄振興予算を削って圧力までかけた。

「時間をかけて国民を説得し、政策に織り込んでいくのが民主主義の重要なプロセス。

翁長知事と会おうとせず、県民の声に耳を傾けない姿勢は“民主主義軽視”といわれても仕方がない」(鈴木氏)

 農水大臣が県の指示を無効と見なしても、知事が許可を取り消しても、最終的には結論が司法の場に委ねられる可能性が高い。
そんな泥仕合を誰が見たいのか。

   ※週刊ポスト2015年4月10日号
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エープリルフールのパラドックス(逆説)

余録:
エープリルフールの
パラドックス(逆説)というのがある…
毎日新聞 2015年04月01日 東京朝刊

 エープリルフールのパラドックス(逆説)というのがある。

「今日はだましてやるからな」と兄が弟にいう。
弟は身構えて一日を過ごし、「だまされなかったじゃないか」というと兄は「だまされると思ってたんだろう。ほら、だまされた」

▲米国の論理学者スマリヤンは子供の頃に兄にこうからかわれて、一睡もできなかったという。自分はだまされたのかどうなのか、考え詰めたのだ。
学者となった彼は、いくつもの論理パズルの著書を世に送り出している(三浦俊彦(みうらとしひこ)著「論理パラドクシカ」二見書房)

▲事と次第で優れた論理学者を生み出すエープリルフールも、日本ではあまり広がらない。

4月1日が世の中の年度とそれに伴う人々の暮らしが改まる日だという事情が大きかろう。
そこにウソも加わってはややこしすぎる

▲で、世の中ではもっぱら乳製品や食用油、コーヒーやウイスキーなど食料品の値上げが話題となる4月である。
年度替わりで軽自動車税や国民年金保険料も引き上げられる。
この春の賃上げと無縁の人の中には、何かのウソにかつがれたような気分の方もおられよう

▲就職や転勤、入学で新しい暮らしを始める若い人々には希望と不安が相半ばする4月である。新たなステージでは今まで考えもしなかった謎や逆説と出合って眠れぬ夜もあろう。
容易に真とも偽とも決められぬ問題を考え尽くすことで開ける未来への道もあるはずだ

▲人と社会を未来へと運ぶ時間と、1年ごとに循環する時間と。
二つの時が制度や人生で交差する年度始めだ。
だまされても、だまされなくても、心の弾みをつけたい見知らぬ明日へのスタートである。
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2015年04月02日

国民にうそをつく「ずる」

国民にうそをつく「ずる」
2015年4月1日 東京新聞「筆洗」

 <何でもみんなで分け合うこと。
ずるをしないこと。
人をぶたないこと。
使ったものは必ずもとのところに戻すこと。
人のものに手を出さないこと。
誰かを傷つけたら、ごめんなさい、と言うこと>−

▼米作家ロバート・フルガムの「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」。
正しい生き方をしたいのなら、幼稚園で教わったことを思い出せという

▼いずれもシンプルな約束だが、大人になると守ることが次第に困難になるものだ。
仕事、競争、人間関係、金。
複雑で計算ずくの大人の社会が約束を守らせにくくする

▼ぶたないこと、人のものに手を出さないことは守れそうだが、ずるをしないこととなるともう怪しい。
大人は幼稚園の時にずると呼んだ行為を「知恵」とか「仕方がないこと」と言い換えて、それに目をつぶってしまいやすい

▼この人は「幼稚園」の約束を取り戻した人かもしれない。
一九七二年の沖縄返還をめぐる日米間の密約の存在を政府関係者として初めて証言した元外務省アメリカ局長の吉野文六さんが亡くなった。
九十六歳

▼長い間、否定してきた密約の存在を認めることにはためらいと決断があったに違いない。
その勇気でまっとうな生き方を取り戻し、国民にうそをつく「ずる」をやめ、歴史を「もとのところへ戻した」。
勇気の見返りは何か。
「心の平穏」という人生最期の宝であろう。
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値上げ続々 “地獄の新年度”家計負担の驚愕シミュレーション

値上げ続々 “地獄の新年度”
家計負担の驚愕シミュレーション
2015年4月2日 日刊ゲンダイ

 4月1日から庶民の家計が一段と厳しくなった。

軽自動車税は5割増しになり、食料品は値上げラッシュ。
国民年金保険料など社会保障費も続々と引き上げられ、逆に子育て給付は7割もカットされる。この先、負担は一体どれだけ増えるのか――。

 今月、カゴメが約25年ぶりにケチャップの値上げに踏み切ったが、来月はカレールーの値上げが控えている。
生活必需品の値上げはまだまだ続くと覚悟しておいた方がいい。

 また今月から、年金額の伸びを物価や賃金の伸びより抑える「マクロ経済スライド」も発動された。
いわば“年金自動カット装置”だ。
6月に支給される4月分から、国民年金を満額受け取っている人は月約600円減らされる。

厚生年金(67歳以下の夫婦の標準的なケース)も月約2000円の圧縮だ。
恐ろしいのは、これから毎年、削減され続けることだ。

30年後には国民年金は3割、厚生年金は2割も減ってしまう。

 社会保険料と介護分野の負担増もズラリだ。
年金保険料は17年まで毎年0.354%ずつ上がり続け、家計を圧迫していく。
また今年8月から、年金収入280万円以上の高齢者は介護サービスの自己負担が1割から2割に上がる。

「生活マネー相談室」代表でファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子氏にこうした負担増がいくらになるか試算してもらったところ、17年までの4年間で、年収700万円で約10万円も負担が増えることが分かった。

■年収500万円世帯は年43万円負担増

「家計の見直し相談センター」の藤川太氏のシミュレーションにもギョッとさせられる。

厚生年金保険料と健康保険料の負担増に「消費税10%」と「2%インフレ」を条件に加味して試算したら、2013年から2018年までの5年間の家計負担増は、年収500万円の標準的な世帯で年間43万円以上となったという。

 八ツ井慶子氏に改めて聞いた。
「きょうから変わる税制と社会保障制度を見て、政府は本当に不公平だと思いました。
日頃、私が家計相談に乗っている方の多くは爪に火をともすような生活をしています。
そうした人にとって保険料の引き上げや軽自動車税の増税は過酷ですよ。

その一方で政府は、結婚・出産・育児の贈与を1000万円まで非課税にしたり、法人税の実効税率を引き下げました。
富裕層と大企業に恩恵が大きく、低所得者と高齢者にはダメージだらけの制度変更です

 庶民はますます節約に励み、景気は悪くなる一方だ。
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2015年04月03日

生活保護費訴訟 子どもの育ち妨げるな

生活保護費訴訟 
子どもの育ち妨げるな
2015年4月2日 東京新聞「社説」

高校生の娘は生活保護を受けている親に修学旅行費を頼めず、自らアルバイトし賄った。

これを自治体は収入とみなし、全額返還を求めた。
あまりに酷な行政処分であり、地裁判決は妥当だ。

 「使途を検討の対象にせず行われた処分は、慎重さを欠いた」

 川崎市の五十代男性が高校生の長女のアルバイト収入を申告しなかったことを理由に、生活保護費返還処分を受けたのは不当として、同市に処分取り消しを求めた訴訟で、横浜地裁判決は原告の主張を認め、処分取り消しを命じた。
同市は控訴を断念した。

 判決などによると、男性は病気で働けなくなり二〇一〇年春から生活保護を受給。

高校二年生だった長女は、この年の秋に予定されている修学旅行費約十万円を、薬局で一年間アルバイトして捻出した。
また、残り二十二万円余を大学の受験料に使った。

 これについて、川崎市は収入を申告しなかったとして、不正受給とみなし、三十二万円余を全額返還するよう求めた。

生活保護法七八条は「不実の申請、不正な手段で保護を受けた場合、その費用を徴収する」と定めており、これに基づくものと同市は主張した。

 判決は、ケースワーカーの説明不足で、男性がアルバイト収入の申告義務を十分に理解していなかったなどと判断した。

 弁護士らからなる生活保護問題対策全国会議の小久保哲郎事務局長は「厚生労働省は生活保護法七八条を適用しろと指導しており、子どものアルバイトが発覚したら不正受給として扱う実務が各地で横行している。
判決は、そうした運用に警鐘を鳴らした」と話す。

現行制度でも、申告すれば控除も適用されるほか、修学旅行費やクラブ活動費などに充てることができる。

だが、自治体やケースワーカーがその仕組みを知らなかったり、受け持つ世帯数が多過ぎて説明が不十分だったりすることがあり、後になって不正受給と認定されるケースが多々あるとされる。

 厚労省は生活保護費の不正受給は年四万三千件余と発表したが、小久保氏は子どものアルバイト収入の申告義務を知らなかったために不正とされている件数が多数含まれる、と指摘する。  

政府の子ども貧困対策大綱は、親から子への「貧困の連鎖」を断ち切ることをうたい、そのために「教育の機会均等を図ることは極めて重要」と強調している。

自治体には、特に教育費について、きめ細かな対応を求めたい。
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2015年04月04日

力のある者が、自分の意を通すだけの政治なら、民主制など空虚な看板だ。

力のある者が、
自分の意を通すだけの政治なら、
民主制など空虚な看板だ
2015年4月3日 東京新聞「筆洗」

 力のある者が、自分の意を通すだけの政治なら、民主制など空虚な看板だ。
だから本当の民主主義の国は、異論を尊重し、権力の乱用から国民を守るよう多様な手だてを講じている

▼わが国の「行政不服審査制度」もその一つだ。
政府や自治体によって権利が侵された場合、国民が行政を相手に裁判をするのは、時間もカネもかかり、泣き寝入りになりかねない。
そうならぬよう無料で素早く国民を救済するためにつくられた制度である

▼行政不服審査制度は昨年、半世紀ぶりに刷新されたが、その眼目は「公正性と使いやすさの向上、国民の救済手段の充実・拡大」だという。
まことに結構なことだが、どうもこの制度は政府にとってすこぶる使いやすい道具らしい

▼沖縄県知事は普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、サンゴ礁が傷つけられている恐れがあるから、作業を中断するよう指示を出した。
これに対抗して政府が使ったのが、行政不服審査制度。
防衛省沖縄防衛局の不服申し立てを受けて農相が作業の継続を認めたのだ

権力の乱用で国民が泣き寝入りを強いられぬようにするための救済制度を、政府が自らの意を押し通すために使う。
それは制度の精神にかなうものなのか

▼菅官房長官が明日から沖縄を訪問して、知事とも会うという。
この国の民主主義を虚(うつ)ろにせぬために、まず沖縄の声を謙虚に聞いてほしい。
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2015年04月05日

心身症と身心症

臨床の現場から
心身症と身心症
2015年4月2日 読売新聞

 心の問題で体に変調をきたす病気を心身症といいます。
逆に体の不調が心に及ぶのを身心症ということもあります。

 身心症には、がんや脳血管障害で、患者さんが先行きに不安や焦りを感じるケースがあります。
このほか、膵炎や肝炎、肺炎の治癒後に倦怠感やうつ気分が続く場合があります。

不安や焦り、うつ反応が強い時には、それが原因となって2次的な心身症をきたすこともあります。

 心身症では、めまいや頭重、息苦しさ、動悸、胃痛、不眠など多彩な症状が出現します

しかし、検査で原因となる異常が見つかることはまれです。
症状のほとんどが自律神経の機能異常によるもので、心の病と診断されるのを嫌う我が国では自律神経失調症の診断名が汎用されてきました。

最近は、心の問題を身体症状で表現していると考え、「身体表現性障害」と呼びます。

 心身症の主原因は、職場や家庭、地域でのストレスです。
職場のメンタルチェックで、不安、うつ度が強く、面談したところ、家庭のストレスが原因だったケースが多く、驚いた経験があります。

 心身症の治療の根本は、心の問題を明らかにし、カウンセリングや、緊張、不安を除く薬を上手に使うことです。

心身症に似た疾患にうつ病があります。
この中に気分の沈みを訴えず、身体症状が主という仮面うつ病がありますが、抗うつ薬が有効です。

ちなみに、うつ病の症状は午前中が強く、夕方の方が軽いのが特徴ですから参考にしてください。

 現代はストレスの時代と言われています。感じるストレスの大きさや対応する能力には、個人差があります。
ストレスに対処する個人力は、長年の地道な努力で培われるように感じています。
  
   (山本紘子・藤田保健衛生大名誉教授)
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2015年04月06日

軽視される自衛官の命

週のはじめに考える
  軽視される自衛官の命
2015年4月5日 東京新聞「社説」

 政治の役割は国の平和を守り、国民の命を守ること。
武力行使のハードルを極端に下げる安全保障法制のもと「自衛官の命」は守られるのでしょうか。

 二〇〇四年一月、陸上自衛隊は、戦火くすぶるイラクへ派遣されました。
当時の小泉純一郎首相が世界に先駆けてイラク戦争への支持を表明、すると米国から「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(陸上自衛隊を派遣せよ)」と求められ、その通りにしたのです。

フセイン政権の壊滅後、米国が「隠し持っている」と主張した大量破壊兵器はなかったことが明らかになり、軍隊を派遣したオランダでは独立調査委員会がイラク戦争を「国際法違反」と断じました。

◆隠された米兵空輸

 安倍晋三首相の認識はどうでしょうか。
昨年五月二十八日の衆院予算委員会で野党議員から「米国の説明をうのみにしたのでは」と問われた首相は「大量破壊兵器がないということを証明できるチャンスがあるにもかかわらず、それを証明しなかったのはイラクであったということは申し上げておきたい」と述べました。

 「ないこと」を証明するのは不可能に近いため「悪魔の証明」と呼ばれています
しかし、安倍首相は「ないと証明できなかったイラクが悪い」と主張しているのに等しいのです。
国際社会の中でも、独特の見解を持った政治家といえるのではないでしょうか。

 安倍首相はイラク派遣の最中に首相を補佐する内閣官房長官になりました。
陸上自衛隊が撤収し、航空自衛隊が武装した米兵を空輸していた時期と重なります。
政府は後に名古屋高裁から憲法違反と指摘される「戦闘地域への米兵空輸」の真相を隠し、空輸は国連物資などと発表していました。

◆自殺した29隊員

 首都バグダッド上空ではミサイルに狙われたことを示す警報音が機内に鳴り響き、機体を左右に急旋回させる命懸けの回避行動が必要でした。


 安倍氏と当時の空自幹部とのやりとりが本紙連載「新防人考」(二〇〇七年三月二十五日朝刊)に掲載されています。

 幹部「多国籍軍には月三十件ぐらい航空機への攻撃が報告されています」  
 安倍「危ないですね」
 幹部「だから自衛隊が行っているのです」  
 安倍「撃たれたら騒がれるでしょうね」  
 幹部「その時、怖いのは『なぜそんな危険なところに行っているんだ』という声が上がることです」

 どこか人ごとのような安倍氏。

政治の決定で危険な任務に就いているのに、政治家に知らんぷりされてはかなわない、そんな空自幹部の思いが伝わります。

 陸上自衛隊も同じでした。小泉首相は国会で「殺されるかもしれないし、殺すかもしれない」と答弁しながら、万一の場合に起こり得る戦闘死に向き合おうとはしていない、制服組にはそう受けとめられました。

当時の先崎一陸上幕僚長は、防衛庁(当時)を開放しての国葬もしくは国葬に準じる葬儀を計画したのです。

 幸い、陸上自衛隊、航空自衛隊とも一人の死者もなく、活動を終えることができました。
問題は帰国後です。

 今回、あらためて防衛省に対し、「帰国後に自殺した隊員数」「帰国後の経過年」の公表を求めました

自殺者は今年二月末現在で陸自二十一人、空自八人の合計二十九人に上り、帰国して五年未満のうちに十七人もの隊員が死を選んでいたことが判明しました。

 防衛省の担当者は「帰国後の経過年を調べたのは、今回が初めて」といい、米国では社会問題になったイラク帰還兵の心的外傷後ストレス障害(PTSD)への取り組みが甘いことが分かります。

 イラクの宿営地を訪問した政治家は防衛庁長官(当時)二人だけ。
ともに基本計画の延長に欠かせない視察でした。

米国、韓国の大統領や英国の首相がそれぞれ自国の部隊を何度も激励したのと比べ、日本からは首相も、官房長官も一度も行きませんでした。

 ある防衛庁長官などは三度計画して三度ともドタキャン。
ヘリコプターを用意した米軍から自衛隊が「お前の国の政治家はなんなんだ」と嫌みを言われたそうです

◆「安全確保」は冗談か

 イラク特措法には首相と防衛庁長官による「隊員の安全確保」が明記されていましたが、実態はみてきた通りです。

先月の与党協議で骨格が固まった安全保障法制の歯止め策のひとつが「隊員の安全確保」。
海外における武力行使に踏み込みながら「ご安全に」というのはブラック・ジョーク以外の何物でもありません。
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2015年04月07日

閣議で決める安倍政治

私説・論説室から
閣議で決める安倍政治
2015年4月6日 東京新聞

 自衛隊を海外に派遣する最初の恒久法、国連平和維持活動(PKO)協力法は一九九二年に制定された。

カンボジアに派遣される航空自衛隊の編成完結式の訓示で、当時の石塚勲航空幕僚長は「国軍としての自衛隊」と述べ、問題になった。

 翌日の記者会見で石塚氏は「言い方がまずかった……アジアの人は国軍として見るかもしれない。
みんな規律正しく誠実に気をつけてほしいと言うつもりだった」と釈明した。

翻って、自衛隊を「わが軍」と呼んだ安倍晋三首相の発言は、まともに追及される様子もない。

海外派遣そのものが大問題だった九二年当時と海外における武力行使まで認めようとしている現状との違いが現れている。

 現在の状況をつくり出しているのは、自民党が一強の国会というより、党内で一強となっている安倍首相である。

 その証拠に安全保障にかかわる重要案件の多くは国会ではなく、閣議で決定されている。

積極的平和主義を盛り込んだ国家安全保障戦略、武器輸出を解禁した防衛装備移転三原則、集団的自衛権行使を認めた昨年七月の閣議決定、政府開発援助(ODA)を他国軍へ広げた開発協力大綱など。
そして与党は閣議決定を追認するばかりだ。

 閣議によって日本が変わり、安倍首相の一人勝ちが演出される。
専制的な政治手法のもと、国民主権がかすんでみえる。 
             (半田滋)
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保険も転職も困難に 「うつ」を逃げる口実と思ったら大間違い

保険も転職も困難に
「うつ」を逃げる口実と思ったら大間違い
2015年4月5日 日刊ゲンダイ

「上司のワンマンについていけない」
「営業ノルマがきつい」と悩み、「うつの診断書さえあれば、長期休養や閑職につくこともできるかも」なんて夢想する。
サラリーマンなら一度はそんな経験があるのでは?

■一度の診断が一生ついて回る

「最近は傷病休暇の取得を狙って病院に行く人が増えています。
うつっぽいと医師に言えば診断書に書いてくれ、会社を休んだり、異動の口実にできたりする。

でも、その後に、医療保険に加入できなくなったり、うつの診断をもらっていたことを忘れて契約し、告知義務違反になるケースがあります」(外資系保険会社広報)

 軽々しく「うつ」なんて診断してもらうと、あとあと厄介なことになるのだ。

 大手生保の営業担当者も言う。
「精神疾患がある方はウチの医療保険はほぼNG。
経験上そうなので、病歴で“うつ”と聞いた時点でそれ以上の営業はしません。
がんや梗塞は、一定期間を過ぎれば加入できる保険もあります。

でも、うつの場合は、一度診断されると、いくら年数が経過したところで、加入できたケースを聞いたことがない。
ケース・バイ・ケースとはいうけれど、告知項目にある会社(商品)は加入が難しいと思ったほうがいいですね」

 ドライバーも要注意だ。
交通事故に遭い、過失割合について争う場合、うつの病歴を指摘されると過失相殺で不利益を生じる場合があるという。
その上、翌年から車両保険の保険料が高くなる可能性も出てくる。

「損保は比較的告知義務のある商品は少ないですが、所得補償保険などは引き受けできないケースもあり得ます」(大手損保広報)
 転職も不利だ。
「たとえ病気が口実だったとしても、新しい職場で同じことをされて長期休養なんて可能性がありますから、どんなに華々しい経歴があっても採用は考えますね」(メーカー人事担当)

■精神疾患を問う項目がない保険商品も

 さて、医療保険に入れなくなったらどうするか。
ニッセンライフは「持病があっても安心ナビ」というサイトを運営している。
複雑化した保険の加入基準をデータベース化してあるため、病名、治療状況などを選択していくと、疾病のある人が加入できる可能性のある保険をリストアップしてくれるというものだ。

「治療状況や治療歴などによりますが、うつ病だからといって全く加入できないわけではありません。
病状を細かく入力いただけば、可能性のある保険商品をご案内しています。
現在は、主にアクサ生命やメディケア生命などの緩和型商品を紹介しています」(ニッセンライフ広報)

 同サイトは、1カ月最高7万アクセス、3700件の資料請求があり、問い合わせ上位10位以内に精神疾患関連の病名が3種も入っている。

それだけ切実に医療保険を探している人たちがいるということだ。
記者が調べたところ、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の商品では申込時の告知すべき内容の別表がなく、精神疾患を問う項目がなかった。

こういった商品を探すのも、ひとつの手かもしれない。

 最近はうつを“心の風邪”なんて言うこともあり、カジュアルに感じるが、リスクが大きいことも覚えておこう。
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2015年04月08日

菅・翁長会談で分かった「沖縄の圧勝」と「安倍政権の大誤算」

菅・翁長会談で分かった
「沖縄の圧勝」と「安倍政権の大誤算」
2015年4月7日 日刊ゲンダイ

 第1ラウンドは沖縄の「圧勝」とみていい。

5日、那覇市内のホテルで開かれた翁長雄志知事と菅義偉官房長官の初会談。
「これから国と沖縄県が話し合いを進めていく第一歩になったと思う」――。
会談後、記者団に向かってこう言った菅官房長官だが、本当は沖縄県民の心の底からの「怒り」を肌身に感じて震え上がっていたに違いない。

 会場となった那覇市内のホテル周辺には反対住民ら約1500人が殺到。
辺野古移設を強行する政府を批判する横断幕やのぼりが掲げられた。

「会談を終えて車に乗る翁長知事には『頑張ろう』と大声援が飛び、これに翁長知事も車窓から左こぶしを高々と上げてガッツポーズ。

ところが、菅官房長官は反対住民から逃げるようにホテル裏口から出て行った。
会談でどちらに軍配が上がったのかは歴然です」(沖縄県政担当記者)

 官房長官と知事の面会が注目されること自体、この国の異常な政治情勢を物語っている。

沖縄県民の怒りに触れたためか、菅長官は翁長知事と安倍首相の会談も検討すると言い出した。安倍政権は明らかに方針転換しつつある。

「沖縄県民の反発を受け米国の知日派の間で『このままで大丈夫か』と不安の声が広がっている。
安倍政権は4月の訪米前に『沖縄と仲良くやっている』とのアリバイをつくりたいのでしょう。しかし、そんなことは沖縄県側は百も承知です」(在沖ジャーナリスト)

 どうりで翁長知事は余裕シャクシャクだったわけだ。
ほかにも沖縄が「圧勝」だった理由がある。

「なぜ辺野古移設ができないと普天間が固定化するのか」。
この質問に菅長官が答えられなかったことだ。

沖縄国際大教授の前泊博盛氏はこう言う。
「菅長官は『粛々と進める』と繰り返しています。
これは歴代政権が使ってきた言葉で、本音は『(日米安保などが)よく分からないから踏襲する』ということ。
菅さんは沖縄の基地問題の本質を全く理解していないことがハッキリした。

今、沖縄の米兵の間では『反軍(基地)が反米になったら大変』との危機意識が広がっていて、(安保利権マフィアの)ジャパンハンドラーといわれる米関係者の間でも、在沖米軍の在り方を見直す発言が出ている。

つまり、それを知っている沖縄県は(菅長官に対し)『もう一度よく考えた方がいい』と促しているのです。
安倍政権は日米同盟の重要性を強調しているが、やっていることは正反対。

米国の真意を読み違えています」

 実際、米クリントン政権で普天間基地返還の日米合意を主導したジョセフ・ナイ元国防次官補(現米ハーバード大教授)は、琉球新報の取材に対し、「沖縄の人々の支持が得られないなら、我々、米政府はおそらく再検討しなければならないだろう」(4日付)と言っている。

 安倍首相は訪米で大恥をかくことになるんじゃないか。
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人間関係はアナログで

香山リカのココロの万華鏡:
人間関係はアナログで
毎日新聞 2015年04月07日 首都圏版

 今年も入学、入社の季節がやって来た。
 大学にも初々しい新入生があふれ、サークルの先輩たちが勧誘のためさかんに声をかけている。
中にははじめてひとり暮らしをする学生もおり、大学側が生活ガイドブックなどを頒布している。

 以前、学生相談室の担当者と話したときに「昔は駅がわからない、料理ができない、と相談に来る新入生が多かったけれど今はほとんどいない」と聞いた。
スマホやパソコンで簡単に調べがつくからだろう。

 しかし、それにかわって増えた相談は「友だちの作り方がわからない」。
「友だちができなかったらどうしよう」と不安を口にする学生も多いそうだ。

 診察室にいても「転職したが新しい会社の同僚になじめない」と相談に来る人がいる。
「夫の転勤で引っ越した地域の“ママ友”と話せない」と言う主婦もいる。

いまを生きる人にとって「他者とどうつき合うか、どうコミュニケーションするか」は大問題なのだ。

 そういう人たちは、「わかってもらえるはず」と他者への期待が大きすぎるようにも見える。

これまで実家や暮らしなれた地域で、こちらから何かを口にしなくても「全部わかってるよ」とまわりが受け入れてくれた。

ところが新しい環境になればそうはいかない。
自分から「こんにちは。最近、引っ越してきたのですが」と自己紹介しなければならず、それに対して相手が「すてきな人ですね、仲良くしましょう」と最初から歓迎してくれるとも限らない。
少し話してみたけれどなんだか相性があわない、ということもあるだろう。

 そのように初対面の人とはギクシャクするのは、むしろあたりまえのことだ。
はじめから「待っていました」と両手を広げて受け入れられることなど、あるわけはない。

お互いに「相手はどんな人かな」と警戒しながら、少しずつ近づき、会話を重ねて「この人となら仲良くできそう」となったらさらに親しくすればよいし、「ちょっと違うかな」と思ったらしばらく距離を置く。

デジタル時代になっても、人間関係だけはアナログ方式のまま、手さぐりで作り上げていくしかないのだ。

 「なんでも検索すればすぐわかる」という時代に育った人にとって、この手さぐりはいかにもじれったく思うかもしれない。

でも、決してあせることなく、自分にとってプラスになる友だち、同僚を見つけてほしい。
この春、新しい環境に飛び込んだ人には、そんなアドバイスをしたい。
           (精神科医)
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2015年04月09日

認知症男性保護せず死亡 中野 警察、身元照会なし

認知症男性保護せず死亡
 中野 警察、身元照会なし
2015年4月8日 東京新聞夕刊

 昨年八月、横浜市鶴見区のデイサービス施設から行方不明になった認知症の男性=当時(83)=が東京都中野区で倒れているのが見つかったが、対応した複数の警察官が保護せず、二日後に死亡していたことが、警視庁への取材で分かった。

東京消防庁の救急隊も「男性が搬送を辞退した」として救急搬送しなかった。

男性の家族は警察に届け出ていたが、警視庁は男性の身元照会をしていなかった。

 警視庁地域部によると、男性は昨年八月十九日午後、鶴見区のデイサービス施設から行方不明になり、同二十三日朝にJR中野駅近くの紅葉山公園のトイレ脇で死亡しているのが見つかった。
脱水症などが死因とみられるという。

 二日前の二十一日午前十時二十分ごろ、男性が中野駅近くの路上で倒れているのを通行人が見つけ、中野消防署の救急隊員と中野署駅前交番の警察官が対応した。

その際、救急隊が男性の体調を調べたところ、血圧や脈などは正常値だったが、三七・六度の発熱があったという。
 救急隊は搬送しようとしたが、男性は断り、警察官にも「帰れる」と答えたという。

男性は自分の氏名は正確に伝えたものの住所は答えず、伝えた生年月日も実際とは違っていた

警察官は男性とのやりとりから「急病人ではない」と判断。
認知症を疑うことなく、男性が喉の渇きなどを訴えたため、紅葉山公園に案内し、男性と別れた。

 その後、同日午後十時ごろ、「公衆トイレ近くで男性が寝込んでいる」との一一〇番を受け、交番の別の警察官が公園で、男性を発見。
男性は「大丈夫」と繰り返したため、保護せずに現場を後にした。

 警視庁は今年一月、身元不明遺体として男性の所持品情報などを同庁ホームページに掲載。

それを見た男性の家族が二月に警視庁に連絡し、DNA型鑑定で男性の遺体と特定した。

 警察官は男性と応対した際、「気分が悪くなって一時的に横になっていた近所の人」「ホームレス」などと推測し、すぐに身元照会をしなかった。

 地域部幹部は「男性の外見が実際よりも若く見えたこともあり、警察官の対応が必ずしも適正を欠くとは考えない。
ただ、これを教訓に身元照会時の年齢幅を広げたり、高齢の場合は認知症も疑うなど慎重な対応を徹底したい」と述べた。

 東京消防庁は「個人情報の保護を理由に答えられない」としている。

◆「大丈夫」を疑えば
<公益社団法人「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事の話>

 認知症の人は一見、正常に受け答えしているように見えるのが特徴の一つ。
本人が「大丈夫」と言っていても認知症を疑い「本当に大丈夫だろうか」と丁寧に対応していれば違った結果になった可能性もある。
今の時代、徘徊(はいかい)している高齢者を見たら認知症を疑った方がよい。
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2015年04月10日

糖尿病の「総カロリー制限食」 世界の潮流から全く外れている

糖尿病の「総カロリー制限食」 
世界の潮流から全く外れている
2015.04.09 16:00 NEWSポストセブン

 日本人が“常識”だと考える健康情報には往々にして間違いがある。

本誌は日本の学会が固執する「コレステロールは危険」という考えが最新研究で否定されていることをレポートしてきた。

似通った構図が、日本人の国民病といわれる「糖尿病」にもある。

 1970年代には約200万人と推計されていた糖尿病患者は増え続け、2012年には約950万人となった。予備群を含めると2000万人超とされる。

  糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの異常により、血液中の糖(血糖)が高くなる病気だ。
日本人の糖尿病の95%を占める2型糖尿病では、血糖をエネルギーに変えるインスリンの機能が弱くなり血糖値を正常に戻せなくなる。

  糖尿病で何より怖いのは高血糖が続くことによって起きる合併症だ。

代表的なものでは失明の恐れがある「網膜症」、
発症すれば週に数回の人工透析が必要になる「腎症」などがあり、
狭心症や心筋梗塞、脳血管障害も起こりやすくなる。
血糖値はとくに食後に急上昇するため、糖尿病患者には厳しい食事制限が課される。

  その食事療法を行なう際に日本で“常識”とされるのが「カロリー制限」だ。

日本糖尿病学会は『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013』でカロリー制限を採用する。
身長やその人の普段の仕事内容に応じて1日の摂取カロリーを定めるやり方だ。

東海大学名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所所長が解説する。
  「身長から導き出される標準体重に、仕事内容ごとに設定された身体活動量を乗じて『摂取エネルギー量(1日に摂取する総カロリー)』を算出します。
たとえば立ち仕事が多い身長178センチの人なら、摂取エネルギー量は約2091キロカロリーとなります。

その上でガイドラインでは総カロリーのうち50〜60%を炭水化物(糖質)から摂取するようにも勧めています。
これに従うと毎食おにぎり2個分強(約200グラム)の炭水化物を摂る計算になります」

 日本の権威ある学会はカロリーを厳密に制限した上で、その半分以上を炭水化物から摂るよう指導しているのである。

 ところが、このやり方は世界の潮流からは全く外れている。大櫛氏が続ける。

  「2004年、米国糖尿病学会は公式見解として『カロリーを含有する炭水化物、たんぱく質、脂肪のうち、炭水化物だけが血糖値を上昇させる』と発表し、医療者向けのテキスト(Life with Diabetes)の記述を書き換えました。

つまり、血糖値を抑える上で日本の学会のガイドラインにある『総カロリー制限』は意味がなく、本当は炭水化物(糖質)の摂取量だけを問題にすべきだということです」

※週刊ポスト2015年4月17日号
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「早い!」と「まだ…」 1週間の過ぎ方にズレ感じるのはなぜ?

「早い!」と「まだ…」
1週間の過ぎ方にズレ感じるのはなぜ?
2015年4月10日 日刊ゲンダイ

 新年度がスタートした。新しいメンバーを迎え、普段より忙しい日々を送るサラリーマンが「今日は木曜、いや、まてよ。まだ水曜日か。今週は長いなぁ……」。

こんな奇妙な経験をしたことはないだろうか。

1週間は同じ7日間なのに、いつもの1週間より時間の経過が長く感じるときだ。

 これとは逆に、休日などはアッという間に時間が過ぎてしまう感覚になることがある。
同じ週末の2日間なのに、時間の経過が「早い!」と感じるケース。

なぜ、こんなことが起きるのか?

 埼玉学園大学の古澤照幸教授(心理学)が言う。
基本は記憶の問題だと考えられます。
月曜日から次から次にいろんな仕事をやったけど、自分自身が興味がないものだったり、充実感がない仕事だと、一つ一つを覚えてもいないし時間は長く感じます。
つまり、残念ですが、その週は仕事をやった割には充実していなかったということ。
繰り返しいろいろやったときほどこの傾向が強まります。

逆に、面白いとか充実した時間を過ごした場合は、時間の経過が早い。
たとえば、楽しみにしているテレビドラマを見たり、面白いゲームをしたときなど。
よく印象に残っているし、時間が過ぎるのが早いはず。仕事も同じです」

 新年度から“今週は1週間が長いなぁ”と感じているようでは、先が思いやられる。
充実感がない可能性が高いわけで、新入社員がこんなセリフを吐いたら要注意だ。

 能動的、積極的な作業をやったかどうかも影響があるという。

「たとえば、単純な課題で簡単過ぎるような作業は、魅力を感じないため時間を長く感じやすい。
対して、ある程度難しい課題の作業は魅力を感じやすく時間経過を短く感じやすいのです」(古澤教授)

 動機づけやヤル気も関係し、ヤル気が出る作業内容の場合は1週間が過ぎるのが早いという。慣れるためとはいえ、新人に単純作業をさせるのは考えものかもしれない。

■休日がすぐ終わる理由は?

 一方、休日などの時間経過が意外に“早い”というのはなぜか。

「休みの日は趣味など興味を持っている題材に集中して過ごします。
好きな映画のDVDを見るとかです。
家族や彼女と一緒のときもそうですが、とくに“時間に目を向けない”で、何かをやるときは早く時間が過ぎる感覚を感じやすい。
逆に“時間に強い関心を持つ”状況では長く感じやすい。
時計とにらめっこしながら電車を待っているときなどがいい例。
時間経過に注意が向いているときほど、待ち時間が長く感じるのです」(古澤教授)

 脳科学の側面からも説明がつく。
諏訪東京理科大の篠原菊紀教授が言う。

「凄くパワフルに遊んだり、面白いことをしたりして興奮すると、代謝が上がり心的活性度が高まる。
結果、時計遺伝子の代謝も促進され体感時間が早く進みます。
仕事も同様に興味を持って頑張ったときは一日が過ぎるのが早いと思います」

体感時間は、時計遺伝子と関わっていたのだ。

 医学的にはどうなのだろうか。何か病気の前兆だったら一大事だが……。

脳神経外科の専門医で、眞田クリニック(東京・大田区)の眞田祥一院長が言う。

「時間感覚のズレが脳と関係があるのは間違いないでしょうが、この程度で認知症の前兆とは言えません。
唯一、病的なことで可能性があるとするなら松果体の腫瘍です。
非常にまれですが、できものができることがあります」

“長〜い一日”や“短い週末”にはちゃんとした理由があったのだ。
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2015年04月11日

金銭解決制度 不当解雇助長しないか

金銭解決制度 不当解雇助長しないか
2015年4月10日 東京新聞「社説」

 裁判で不当な解雇と認められた労働者に、企業がお金を払えば退職させられる「金銭解決制度」の検討を政府が始める。
現実的な解決との見方があるが、不当解雇を助長することにならないか。

 政府の規制改革会議が導入を提案したのは、裁判で「解雇無効」の判決が出た場合、復職せずに金銭補償で退職する制度。
乱用されないよう、労働者側が申し出た場合にのみ適用するとしている。

 労働者が生活の経済的な基盤を失うことになる解雇には、厳しい制約がある。

 企業の業績が著しく悪化した場合に行われる整理解雇は、人員削減しなければ会社の存続が難しく、役員報酬や給与削減などで手を尽くした場合でしか認められない。

それでも不当な解雇は後を絶たない。

 提案の背景には、訴訟になった場合でもほとんどが金銭での和解などで解決している現実がある。
金銭補償による解雇を制度化することで解決金の水準が固まる。
裁判を起こす余裕のない中小企業の労働者が少額の解決金で泣き寝入りせず、一定の水準の金銭を受け取れるようにすべきだという考えがある。

 ただ懸念は消えない。制度化されることで、心無い経営者は「カネさえ払えば不当解雇というやり方で従業員をクビにできる」と考えないだろうか。
不当解雇という法律違反を、結果として容認してしまうことにならないか。

 不当な解雇は景気が悪化したときに増える。
リーマン・ショック後の二〇〇九年、労働問題で労働基準監督署への訴えは五十四年ぶりに四万件を超えた。

賃金不払いが一番多く約三万五千件。
ついで不当解雇が八千八百件余り。

不況の波をかぶったときに、あってはならない扱いを受けるのは弱者である労働者だ。

 同様の制度は小泉政権時代にも検討されたが、労働側の反対や解決金の水準をめぐる経営側の意見対立で見送られた。

 圧倒的な多数与党を背景に、安倍政権は政策全般に力ずくが目立つ。

強引に動かせば必ず弱いところにしわ寄せがいく。

 「金銭解決」の制度は、米国やドイツ、英国などで実施しており、現実に即してみると労働者側に利益があるとする意見がある。
もし、懸念される不利益を上回る利益があるなら、労働者の側から導入を求める提案が出てくるはずだ。
力ずくと拙速は避け、それを待つべきだろう。
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「粛々と基地移設」封印される沖縄の叫び 落合恵子さん、詩に託す

「粛々と基地移設」
封印される沖縄の叫び
         落合恵子さん、詩に託す
毎日新聞 2015年04月10日 東京夕刊

 沖縄が声を上げている。叫んでいる。
もう基地はいらない、なぜ、沖縄だけが重い犠牲をしいられるのか、と。

そんな沖縄への思いを作家の落合恵子さん(70)が一編の詩にした。
これからもずっと沖縄とつながっていくためにも。
                                      【鈴木琢磨】

 ◇あなたよ、わたしよ  

あのひと言だった。
菅義偉官房長官が沖縄県の翁長雄志知事との初めての会談で口にした「粛々と」。
落合さんはこだわった。
いくら官房長官が「粛々と」を「封印」したとしても。

 「言葉は人を傷つける凶器にもなれば、人の心をノックもする。

私は詩人じゃないから、詩のようなものを書くしかないんですが」

 トレードマークの怒髪は脱原発集会やデモでよく見かけてきた。
行動でなく、詩でも世界を変えられますか? いきなり意地悪な質問をしてみた。

「言葉ってどれほどの力を持ち得るか、わかりません。青春時代に聴いたサイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』。
苦しいとき、激流に架かる橋のようにこの身を投げ出す、といった歌詞でね。
言葉はじかに世界を変えられなくても、変えようとしている人の心のささやかな支えになったり、変えようとする人と人をつなぐブリッジになったりはするかもしれない、と信じていたいです

 初めて沖縄の地を踏んだのは大学3年生のころ。
「アルバイトでお金をためて、友だちと。みなギターを抱えてました。
反戦平和を歌うためです。
お気楽でした。
あれからどれくらい沖縄に行ったか、私たち本土で暮らすものの安全のため、沖縄の人を安全と遠いところにおきっぱなしにしてしまった。
私たちは考えないといけない。
そして積極的に動かなければ。戦争をなくすために。
それが本当の積極的平和主義でしょう

 エッセーやコラムと違って詩を書くのは苦しかったらしい。
それも沖縄をテーマにした詩が。
「ええ、つらいというか。オマエはこれまで何をしてきたのか、自分への問いでしたから。
イギリスの女性詩人、スティービー・スミスの詩が浮かびました。
『手を振ってるんじゃない 溺れているんだ』っていう不思議なタイトルなんです。

沖縄の人たちと別れるとき、いいほほえみを返してくれる。
手を振りながら。でも実は手を振っているだけではないのかもしれない。
私の詩のタイトルではありませんが、沖縄の辞書と共にありたい、もっと読み解きたいと思います」
 3・11以降、東日本大震災の被災地も歩いている。
日本のいま、そして未来が不安だから。

「福島から戻ってきたばかりです。
沖縄と相似形のものを感じます。
そこには歴史の長さは違っても、ひとつの地域への差別がある。

私はまた東京へ帰り、そのまま福島で暮らす人がいる。
ふるさとに帰れない人もいる。
そう、無関心を突破するしかないんだ、と詩を書きながら思いました。
いままで触れてきた言葉とは違った言葉でなければいけないとも思いつつ、混乱のなかで立ち止まりながら、なんとか書きました」

 気がつけば、70歳。戦後と同い年。
 「この詩は自分との約束です。どこまで戦争のない、平和な日本を守りうるかという自分との約束です」
==============
 ◇沖縄の辞書

あなたよ 世界中でもっとも愛(いと)おしいひとを考えよう
それはわが子?
 いつの間にか老いた親? つれあい?
半年前からあなたの心に住みついたあのひと?

  わたしよ
心の奥に降り積もった 憤り 屈辱 慟哭(どうこく) 過ぎた日々に受けた差別の記憶を掻(か)き集めよ
それらすべてが 沖縄のひとりびとりに いまもなお 存在するのだ
彼女はあなたかもしれない

 彼はわたしかもしれない 沖縄の辞書を開こう

 2015年4月5日 ようやくやってきたひとが 何度も使った「粛々と」

沖縄の辞書に倣って 広辞苑も国語辞典も その意味を書きかえなければならない
「民意を踏みにじって」、「痛みへの想像力を欠如させたまま」、「上から目線で」と

  はじめて沖縄を訪れたのは ヒカンザクラが咲く季節
土産代わりに持ち帰ったのは 市場のおばあが教えてくれた あのことば
「なんくるないさー」 なんとかなるさーという意味だ と

 とびきりの笑顔 そのあと ぽつりとつぶやいた
そうとでも思わないと生きてこれなかった

何度目かの沖縄 
きれいな貝がらと共に贈られたことば「ぬちどぅ たから

官邸近くの抗議行動 名護から駆けつけた女たちは 福島への連帯を同じことばで表した 「ぬちどぅ たから、いのちこそ宝!」

 「想像してごらん、ですよ」 まつげの長い 島の高校生は レノンの歌のように静かに言った

国土面積の0・6%しかない沖縄県に 在日米軍専用施設の74%があるんですよ
わが家が勝手に占領され 自分たちは使えないなんて 選挙の結果を踏みにじるのが 民主主義ですか?
本土にとって沖縄とは?
本土にとって わたしたちって何なんですか?」
真っ直(す)ぐな瞳に 突然盛り上がった涙

息苦しくなって わたしは海に目を逃がす
しかし 心は逃げられない

 2015年4月5日 知事は言った
「沖縄県が自ら基地を提供したことはない」

そこで 「どくん!」と本土のわたしがうめく
ひとつ屋根の下で暮らす家族のひとりに隠れて
他の家族みんなで うまいもんを食らう その卑しさが その醜悪さが

 わたしをうちのめす
沖縄の辞書にはあって  本土の辞書には載っていないことばが 他にはないか?

  だからわたしは 自分と約束する
あの島の子どもたちに 若者にも おばあにもおじいにも 共に歩かせてください

 祈りと抵抗の時を 平和にかかわるひとつひとつが 「粛々と」切り崩されていく現在(いま) 立ちはだかるのだ
 わたしよ
まっとうに抗(あらが)うことに ためらいはいらない
==============  
■人物略歴  
◇おちあい・けいこ
 1945年、栃木県生まれ。文化放送アナウンサーを経て作家に。
児童書専門店「クレヨンハウス」主宰。
「さようなら原発1000万人アクション」呼びかけ人。
「『わたし』は『わたし』になっていく」など著書多数。
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2015年04月12日

株価2万円台 浮かれてはいられない

株価2万円台 浮かれてはいられない
毎日新聞「社説」 2015年04月11日 02時33分

東京市場で日経平均株価が一時、2万円台を回復した。
2000年4月以来、実に15年ぶりの大台である。

 「政権発足2年で、よくここまできた」と菅義偉官房長官は述べたが、感慨に浸ってばかりもいられない。

 代表的な株価指数が記録的な高値水準となっているのは、欧米市場も同じだ。
主要国が進めてきた異例の金融緩和であふれ出た巨額のマネーが世界同時株高の根底にある。  

象徴的な出来事があった。

 今月3日、米国で発表された3月の雇用統計は、市場の予想を大幅に下回る弱い内容だった。景気悪化への不安から株価が急落しても不思議ではない局面だったが、週明けのダウ工業株30種平均は100ドルを超える上げ幅で取引を終えた。

 景気の回復力が弱ければ、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ開始が遠のく。
緩和マネーに市場が酔っていられる時間が延びる。
そんな計算が働いた模様だ。

 欧州の株式市場が勢いづいたのも、欧州中央銀行(ECB)による量的緩和の開始と連動している。
デフレ懸念の高まりを背景にした量的緩和であるのに、市場は活況に沸くという奇妙な構図だ。  

日本でも、物価上昇率が日銀の目標を大幅に下回っていることから、
「量的緩和は当分終わらない」
「追加の緩和もありうる」との観測が支配し、安心して株を買い進められる環境を作っている。

 円安・原油安など外的要因より、収益力が期待されて株が買われている企業もある。
だが、記録的好業績にもかかわらず、先行きに慎重な大企業の姿が、最近発表された日銀短観で明らかになった。

持続的な収益改善が支える株高へと転換していかねばならない時だ。

 さらに日本の株価上昇要因として忘れてならないのが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による株式への積極投資と日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れだろう。
特に日銀は昨年10月末の追加緩和で、保有残高が年間約3兆円の増加となるようETFを買い入れることを決めた。
従来の3倍だ。

 甘利明経済再生担当相は、記者会見で急速な株高が「ミニバブル」になっていないかとの問いに対し、「ミニバブル程度であれば歓迎するくらいの気持ちで対応を打っていきたい」と述べた。

問題は、どこまでが「ミニ」で、どこからが本格バブルかの判断がつかないことだ。

 記録的な高値となっているのは国債も同様である。

バブルが崩壊すれば、真面目に経営改革に取り組む企業も、証券投資とは無縁の人々も、大波に巻き込まれる。

政策責任者は警戒を怠ってはならない。
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2015年04月13日

薬には副作用があると考えた方がよい 「市販薬飲んで死亡」5年間で15件

薬には副作用があると考えた方がよい
 「市販薬飲んで死亡」5年間で15件
2015/4/12 14:30  J-CASTニュース

薬局やドラッグストアで販売されている薬による副作用が、5年間で1225例に上った。
死亡例や後遺症が残った症例も報告されている。

定められた用法や用量どおりに服用したにもかかわらず、深刻な症状が現れたケースがある。
市販薬が副作用を起こす恐れがある事実自体、広く知られていないようだ。

市販薬の「使用上の注意」には重篤な症状も想定

消費者庁は2015年4月8日、2009〜13年度の5年間で市販薬による副作用の報告数は合計1225例と発表した。
これは独立行政法人・医薬品医療機器総合機構に報告された内容に基づいた数字だ。
うち死亡例、後遺症が残った症例がそれぞれ15例あった。

症例数が最も多かったのは総合感冒薬、つまり風邪薬で400例に達した。
解熱鎮痛消炎剤が279例、漢方製剤が134例と続く。

風邪薬による死亡例は、全体の15例中8例となった。
市販薬には、使用上の注意を書いた説明書が付いている。

実際に複数の風邪薬の説明書を見ると、「副作用の可能性」について触れていた。

服用後に皮膚の発疹やかゆみ、吐き気、めまい、顔のほてりといった症状が現れた場合は医師や薬剤師、薬の登録販売者に相談するよう促している。

さらに重篤な症状も想定されている
肝機能障害やぜんそく、間質性肺炎と並んでアナフィラキシーやスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死融解症などだ。

これらの中には、悪化すると死に至るものもある。

このうちSJSは、高熱や全身の倦怠感などの症状を伴って、口や目をはじめ全身に紅斑や水疱が多数現れる疾患。
2012年11月19日放送の「クローズアップ現代」(NHK)では、解熱鎮痛剤を飲んだ後にSJSを発症したケースを紹介した。

風邪気味だと感じた女性が、用法・用量を守って薬を服用した。
だが3時間後には唇が腫れ、翌朝になると目が痛がゆくなり、さらに顔に発疹が現れて高熱が出たという。

再度同じ薬を飲み、眼科や内科で診察を受けたが快方に向かわず、4日目には口の中が水疱だらけになり息苦しさを感じたそうだ。
夜間急病センターに駆け込んだところ、SJSとの診断結果が出た。
一時呼吸困難になるなど危険な状態に陥ったものの、一命は取り留めた。
ただ、左目の視力をほとんど失うなど深刻な後遺症に見舞われてしまった。

同じ薬でも人によって合う、合わないがある

消費者庁は、「一般用医薬品の副作用症状についてはまだ多くの人に知られておらず、副作用の発見が遅くなるおそれがあります」としている。

「使用上の注意」に書かれていても、あまり気にかけないまま薬を服用している人もいるだろう。
「クローズアップ現代」で取り上げられた女性の場合、以前飲んだことのある薬で副作用が現れた。
健康体でも、過去に問題なかった薬でも、副作用のリスクがゼロとは言えないようだ。

医療専門紙の記者はJ-CASTニュースの取材に、「薬には副作用があると考えておいた方がよいでしょう」と話す。

2014年11月の薬事法改正に伴い施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」では、国民の役割として「国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない」(第1条の6)と新たに定められた。

薬を使う側が、説明書を読むなど自発的に安全かどうかを確認する努力をしなさい、というわけだ。
医療専門紙の記者はひとつの方策として、医療機関での処方薬の情報が記録される「おくすり手帳」の活用を勧めた。

通院時に忘れず携帯して処方薬の履歴を管理しておき、薬局で市販薬を購入する際に薬剤師に見せてどの薬が適しているかを相談するのだ。

「同じ薬でも人によって合う、合わないがあります。過去の服用記録を薬剤師が見れば、薬の安全性に関してある程度の手がかりがつかめるのではないでしょうか」。

いつ、どこで副作用のリスクに襲われるかは分からない。

自己防衛のために意識を高めておくことが第一歩となる。
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2015年04月14日

患者に2.5倍の薬代払わせる「医薬分業」のトンチンカン規制

患者に2.5倍の薬代払わせる
「医薬分業」のトンチンカン規制
2015.04.13 07:00 NEWSポストセブン

 大手ドラッグストアチェーン傘下の調剤薬局「くすりの福太郎」が「薬のカルテ」と呼ばれる薬剤服用歴(薬歴)を記録管理せずに、患者に薬を出していたニュースを覚えているだろうか(2月10日に発覚)。

 調剤薬局が患者に薬を出すときは薬歴を残すことが薬事法で義務付けられている。
病歴や薬のアレルギー、症状などを管理して安全に薬を提供するためだ。

 薬歴管理で薬局は1件当たり410円の調剤報酬を受け取っている。
未記録は少なくとも17万件余に上ったというから、7000万円強を不正に得ていた形である。  

このニュースの裏側には、実はもっとひどい話が隠れている。
いまの医薬分業の下で、患者は不当に高すぎる薬代を払わされているのだ。

 病気や怪我で街の診療所や病院に行く。
すると患者は薬の処方箋を受け取るだろう。
患者はそれを手に院外の薬局で薬をもらう。

昔は院内薬局で薬をもらう場合が多かったが、いまは医者が院外処方箋を出すのが普通になった。

 どうしてそうなったかといえば「薬漬け批判」が高まったからだ。
医者が薬局も経営していると、薬を出せば出すほど儲かるから、患者が薬漬けになりやすい。

そこで政府は薬局を切り離すように金銭で誘導する政策を採用した。

 医者に支払う処方箋料を1974年に1件100円から500円へ5倍に引き上げたのだ。
これで爆発的に院外薬局が増えた。
同時に、患者や健康保険から薬局に支払われる調剤報酬も手厚くした。

 その結果、患者が負担する薬代はどうなったか。
診療所や病院で薬をもらう院内処方に比べて、外の薬局で調剤してもらう院外処方は実に2.5倍以上も高くなってしまったのだ。

具体的に示そう。
 内服薬7日分で院内処方なら薬剤情報提供料とお薬手帳の記載加算、調剤料、処方料、調剤技術基本料で計720円だ。

ところが院外処方だと処方箋料、調剤料、調剤基本料、薬剤服用歴管理指導料で計1850円になる(規制改革推進室調べ)。

 このうち「薬剤服用歴管理指導料」を管理も指導もしていなかったのに受け取っていたのが冒頭のケースだ。

 薬剤師業界は院外の薬代が高くなる理由について「薬局は複数の医師が処方する薬の飲み合わせや副作用を専門家の立場で独自に考えるから」などと説明してきた。

こういう事件を目の当たりにすると、そんな説明はまったく信用できなくなる。

 患者にしてみれば薬漬けも困るが、だからといって院内と院外で2.5倍も薬代が違うのは納得できるか。
私は納得できない。
医者と薬局の都合で患者に不当な負担が押し付けられていると思う。

 おかしな話はもう1つある。「薬局は病院と〈構造的に〉切り離されていなければならない」という政府の規制だ。
同じ建物、敷地内にあってはいけないが、公道を1本はさんでいればOKという。

 もとはといえば、病院と薬局の経営分離が狙いだったのに、いつの間にか構造分離になってしまった。
おかげで患者は病院と薬局に行く二度手間を強いられている。

熱を出していたり車椅子状態だったら公道を横断するのは不便どころか、危険ではないか。
雨だったら大変だ。
 たとえば、院内にコンビニエンスストアや花屋がある病院はいくらでもある。
だからといって、コンビニや花屋を経営している病院は聞いたことがない。

患者に負担をしわ寄せするトンチンカンな規制はさっさと見直すべきだ。

■文・長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ)
:東京新聞・中日新聞論説副主幹。
1953年生まれ。
ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。
規制改革会議委員。
近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)

※週刊ポスト2015年4月24日号
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野党の無力、メディアの迎合…統一選の結果が必然だった背景

野党の無力、メディアの迎合…
統一選の結果が必然だった背景
2015年4月13日 日刊ゲンダイ

 民主主義なんて脆いものだ。
いくら、選挙があっても一党独裁の支配体制化では機能しない。
というか、その独裁政権追認の儀式になってしまう。
 それをまざまざと見せつけたのが12日、投開票された統一地方選の第1ラウンドではなかったか。

「今回の10道県知事選で野党が対立候補を擁立できたのは北海道と大分県のみ。
6知事選で与野党相乗りです。
41道府県議選は5人に1人が無投票当選で、自民系348人が開票前に当選した。
民主党は345人の候補者しか立てられなかったから、開票前に自民の無投票当選者数に負けていた。
緊張感も何もありゃしません」(立正大教授・金子勝氏=政治学・憲法)

 だったら、その分、野党は直接対決になった大分と北海道の知事選に全力投球すべきだったのに、ともにボロ負けだから、ヒドイものだ。

 改めて言うまでもないが、国政選挙には強い安倍自民党も地方の県知事選では苦杯をなめ続けてきた。
昨年は滋賀県知事選に負け、沖縄県知事選も落とし、今年1月の佐賀県知事選も足をすくわれた。
当たり前の話で、アベノミクスの恩恵なんて、地方には何の関係もないからだ。
そのうえ、TPPをゴリ押しし、原発再稼働に舵切りし、沖縄では基地移設強行だから、むちゃくちゃだ。

地方の反乱は当然で、だからこそ、今度の県知事選も注目されてきたのである。

 それがなぜ、かくも無残な結果に終わったのか。

■選挙期間中も分裂していた野党

 滋賀、沖縄、佐賀、北海道の知事選を取材したジャーナリストの横田一氏はこう言っている。

「北海道知事選では野党が全然、一枚岩になっていなかった。
それがこれまでの知事選との大きな違いです。
地元の横路孝弘衆院議員らが野党の佐藤のりゆき候補の適格性を問題視、岡田代表も民主党の道連からの要望がないことを理由に党を挙げた支援をしなかった。

札幌市長選の応援に入った蓮舫参院議員が北海道知事選では街宣車にも乗らず、素通りしたのです。
だったら、候補者を公募するなど、もっと早くから対処すればいいのに、選挙が始まってもゴタゴタを続けていたのですから、どうしようもありません」

 こうした裏を聞くと、なるほど、こうやって民主主義は滅びていくのかと痛感する。

自民が国政選挙で圧勝したことで、今や馬糞の川流れのような野党。
内輪モメで自滅していくパターンである。

その間、巨大勢力の与党は金をバラマキ、組織を引き締め、万全の選挙態勢を敷いてしまう。  

今度の選挙だって、自民は用意周到だった。
総額3兆1180億円の補正予算を組み、自治体が商品券などに使える交付金などを盛り込んだ。
もちろん、統一地方選対策のバラマキで、景気対策になんかなりゃしないが、数の力で押し切って、利権目当ての業者を束ねた。

「投開票日直前に一時2万円超えした日経平均株価もドンピシャリでしたね。
外国人投資家は“選挙前は下がらない”と強気でしたが、その通りの展開に笑いが止まらなかった。
“本当に日本は分かりやすい国だね”と言っていました」(市場関係者

加えて、安倍政権がちょっと睨みを利かせると大メディアは羊のようにおとなしくなってしまう。
こうなりゃ安倍自民党は楽チンだ。
 茂木敏充選対委員長は開票後、「景気回復の実感を地方に一日も早く届けてほしいという期待感は大きかった」
「地方創生をはじめ選挙戦で訴えてきた政策をしっかりと与党として実現していきたい」とか言って、“勝利は当然”とばかりに胸を張った。

 アベノミクスとは一言で言えば格差拡大政策なのに、ここまでイケシャーシャーと言わせていいのか。
とんでもない話だが、こう言わせたのは、戦う気がない野党と、いまや完全に安倍政権のポチと化した大メディア、それにだまされた有権者であって、与党の勝利は、この意味において、必然と言うしかないのである。

地方は「アベノミクスを支持した」と言われる

 恐ろしいのは、この選挙結果を受けて、ますます、安倍自民党がのさばることだ。
「この結果は野党のだらしなさと人材払底、大メディアの萎縮などさまざまな要素がありますが、連休中の日米首脳会談を控えて、安倍首相はイケイケでしょう。

そこではガイドラインが見直され自衛隊の在り方が変わってしまう。

アベノミクスだって、株価以外に何の成果も出ていないのに、こんな選挙結果では、“地方はアベノミクス支持”と言われて、おしまいです」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

 本来であれば、もっとも怒らなければならない地方が低投票率に象徴されるような無関心で、安倍自民党を勝たせてしまったのだから、どうにもならない。

今後も異次元緩和と円安が進み、地方と中小企業からヘタっていく。

もちろん、原発は再稼働し、とどめはTPPだが、野党とメディアがこのザマでは、ホント、何度選挙をやっても無駄だろう。

メディアがきちんと政権を批判し、有権者の批判票の受け皿になる政党がなければ、どうにもならないからである。

「それがなければ、有権者は棄権し、組織団体票を固めた与党が結果的に勝ってしまう。
そうなると、何度選挙をやっても政権側が国民の信任を取り付けるためだけの“アリバイ選挙”となりかねません。
それこそ昔の社会主義国や、独裁国家と同じことになってしまう。
かつて麻生財務相がいみじくも『ナチスに学べ』と言いましたが、民主主義のルール下で、ファッショが進行していくことになります」(金子勝氏=前出)

■かつての翼賛体制よりもひどい惨状

 裏を返せば、すでにそういう独裁体制がほぼ完成しているからこそ、今度の選挙もこういう結果になったのだろう。

政治ジャーナリストの野上忠興氏はこう言った。
「一党独裁、翼賛体制だから、誰も逆らえない。
政権の批判も封じ込められ、野党は右往左往するばかり。
こうなれば、与党が勝つのは当たり前ですが、今の政治状況はかつての翼賛体制よりもひどいと思いますよ。
歴史的に見れば、社会主義国家は失敗し、民主主義が当たり前の世の中になっている。

日本だけですよ、安倍自民党の一強体制にどこもかしこもひれ伏しているのは。
つくづく日本人が劣化したんだと思いますね。
この先、どうすりゃいいのか。暗澹たる気持ちになってきます」

今や、安倍政権に面と向かって対峙できるのは沖縄の翁長県知事くらいなのだが、それも心配になってくる。
この選挙結果では「盾突いているのは沖縄県だけ」とかやられ、孤立化されかねないからだ。  

こうなると、誰も安倍政権には逆らえなくなる。
「有権者も『なるようになれ』と投げやりな気持ちになってしまうのが怖い。

選挙なんて無意味だというしらけムードが漂い、厭世的な気分が蔓延し、投票率が下がり、結果的に安倍政権の独走、独裁を許してしまう。
これが翼賛体制の怖さですが、それがもう始まっています」(政治評論家・山口朝雄氏)

 戦後70年、安倍政権によって葬り去られるのは、憲法9条だけではないということだ。
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2015年04月15日

親の監督責任 限界は示したものの

親の監督責任 限界は示したものの
2015年4月14日 東京新聞「社説」

 小学生が蹴ったサッカーボールが道に飛び出し、バイクの転倒事故が起きた。

最高裁は親の賠償責任を免ずる初判断をした。
親に責任を負わせるばかりだった司法の流れに一石を投じたといえる。

 十一歳の小学生は放課後に友達とフリーキックの練習をしていた。
サッカーゴールを目がけて蹴ったボールは、目標をはずれ、高さ一・三メートルの門扉の上を越えて、道路までころがってしまった。

 バイクで通り掛かった八十代の男性は、ボールを避けようとして転倒し、骨折した。
そのまま入院し、約一年四カ月後に死亡した。

 ここで民法の規定が登場する。
責任能力のない子どもらが他人に危害を加えた場合、本人に代わって、親など「監督義務者」が賠償責任を負うと定めているのだ。

大阪地裁も大阪高裁も、小学生に過失があったことを認め、事故と死亡との因果関係もあるとして、両親に賠償を命じた。
一千万円を超える金額だった。

 だが、最高裁は違った。「通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は、具体的に予見可能であるなど特別な事情が認められない限り、子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない」と述べた。

 日常的な行為で偶然、人を傷つけた場合、親に賠償責任はないとする判断だ。

従来は親の監督責任をほぼ無条件に認めてきたから、その限界を示した新しい司法判断が出たといえる。
今後は子どもや認知症の高齢者らが起こした事故の訴訟にも影響を与えよう。

 だが、この考え方が独り歩きをすれば、被害者が救済されないことになってしまう。
泣き寝入りするしかないのなら疑問が湧く。

最高裁は今回の判決で、親が免責される具体例などを示してはいない。
ケース・バイ・ケースで適切な判断をしてほしい。

 過去には小学生が公園でキャッチボールをしていたときに、近くにいた子どもにボールがあたり死亡。
三千万円で和解したケースがある。

小学生が自転車で散歩中の女性に衝突し、女性が寝たきりになった。
このときは親に九千五百万円の賠償が命ぜられた。

 親の監督責任はどこまでか、悩ましい現実に変わりはない。

ただ、事故を恐れて校庭や公園の使用を制限しては、子どもの成長を妨げかねない。

自由に遊べる工夫は必要であるし、安全対策をもっと充実する努力は可能なはずだ。
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2015年04月16日

改憲の先取りが進む!?=与良正男

熱血!与良政談
改憲の先取りが進む!?=与良正男
毎日新聞 2015年04月15日 東京夕刊

 自民党が3年前の4月に決めた憲法改正草案の大きなポイントは「国防軍の保持」とともに、国家が国民を縛る条文が目立つことだ。

例えば草案12条には「(国民は)自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」とある。

 自由や権利は「濫用(らんよう)してはならないのであって」とある現行憲法で十分だと思うが、自民党内にはかねて「今の憲法は権利ばかりが書いてある」との不満がある。

それが「国民は公の秩序に反するな」と明記することにつながっているのだろう。

 本欄の読者には「耳にタコ」で申し訳ないが、
憲法とは国民でなく、とかく暴走しがちな国家権力を縛るものだ。
その立憲主義の根幹がどうも安倍晋三首相らには通じない。

 自民党は最近、9条改正など国論が二分しそうなテーマは先送りし、反対の少ない項目から改正に取り組むと言っている。

でも実際には国民投票を経ずに改憲を先取りして既成事実化する動きが次々と出てきていることを私たちは知った方がいい。

 集団的自衛権の行使容認しかり。
卒業式や入学式で日の丸掲揚や君が代斉唱をしない国立大学に対して文部科学省が「適切な対応」を要請する−−という今度の話もそうだ。

自民党草案には「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」と書いてあるのだ。  

私は日の丸も君が代も拒んだ経験はない。
大切にしているつもりだ。
ただし強制する話ではないと思う。

 「文芸春秋」5月号の対談で小林節慶応大名誉教授はこれを憲法に盛り込むことに対し「卒業式で国旗に敬礼しない教員や生徒を、『おい、非国民』と取り締まる風潮も出てきかねない。
それでは北朝鮮の強権政治と変わらない」と語っている。
全く同感。

 安倍首相らの語る「国立大学は税金で賄われているから」との理屈もすごい。
これでは生活保護を受けざるを得ない人たちは今後、思想の自由を奪われるかもしれない。

 こんな話をすると即、「大げさに不安をあおりたてている」といった反論が聞こえてきそうだ。
「大学自治を侵すな」と言ってみても大学自治という言葉自体が死語になりつつある時代でもある。
だからといって権力の介入を知らぬ間に許していくわけにはいかない。
                                 (専門編集委員)
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2015年04月17日

高浜原発差し止め 司法も警告「世界一厳しい」安全基準のウソ

高浜原発差し止め 司法も警告
「世界一厳しい」安全基準のウソ
2015年4月15日 日刊ゲンダイ

 14日福井地裁が下した高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定は衝撃的だ。

国の原発の「新規制基準」を
「緩すぎる」
「適合しても安全性は確保されていない」
「合理性を欠く」と、根底からバッサリ否定するものだったからだ。

安倍首相はさぞ狼狽していることだろう。

 実際、福井地裁が明言したように、「新規制基準」は欠陥だらけだ。
安倍首相は「世界一厳しい基準」と自画自賛し、国民も「適合すれば安全」だと思わされているが、「新規制基準」は、安全とは程遠いシロモノなのである。

■規制委は
「安全」とは言っていない

 福井地裁の決定を受け、自民党の細田幹事長代行は「安全性の判断は専門家に任せるべきだ」と裁判所を批判した。
だが、細田氏の発言はチャンチャラおかしい。

原子力規制委員会の田中委員長は過去にこう繰り返しているのだ。
「安全か、安全じゃないかという表現はしない」
「絶対に安全だとは私は申し上げません」

 要するに、そもそも規制委の審査は「安全」を宣言するものではないのである

■避難計画の実効性審査されず

 性急な原発再稼働に疑義を唱えている新潟県の泉田知事は、かつて本紙のインタビューで「新規制基準」についてこう話していた。

「世界の標準は『住民の命と健康をどう守るか』なのに、田中委員長は『そこは私たちの仕事ではない』と言う。
無責任以外の何ものでもありません」

 規制委は住民の避難計画を審査せず、自治体に“丸投げ”。
「我々が審査するのはハードだけ」という姿勢なのだ。

米国の原子力規制委員会が、緊急時の避難計画が整っていなければ稼働許可を出さないのとは大違いだ。

■メルトダウンの対策がない

 原発の安全確保には「止める」「冷やす」「閉じ込める」が必要で、世界ではメルトダウン事故を前提に対策が取られている。

欧州では溶け落ちた燃料を受け止める「コアキャッチャー」の設置が義務化されている。

ところが、日本の新基準にはそれがない。「世界一厳しい」なんて笑止千万だ。

■福島原発事故の検証が先
 「(福島第1原発)事故の検証

・総括がないまま策定された規制基準では安全は確保できません」

 これは、今回の仮処分決定を受け、新潟県の泉田知事が出したコメントの一部。
泉田知事が繰り返し主張していることだが、福島原発の事故原因がいまだ分からないのに、どうすれば安全が確保されるのか。

安全基準なんて作れるわけがない。

「原発の倫理学」の著書もある元経産官僚の古賀茂明氏もこう語った。
「泉田知事も言っているように、『新規制基準』は避難計画が切り離されていて話になりません
原発事故が起きた際、住民が避難するのにどれだけの時間がかかるか分からないのに、どうやってベントで放射能を放出する判断をするのでしょうか。
日本は地震大国なのに、活断層を調べる年代も狭い。

コアキャッチャーを設置する必要もない。今あるほとんどの原発が動かせるようにするために作った緩い基準だからです。
今回の裁判所の決定は、原子力規制委員会に、『基準をもう一度作り直せ』ということです」

■英BBCも
「安倍首相にとって大打撃」

 関電が想定していた今年11月の高浜原発の再稼働は、これで厳しくなった。
それどころか、英BBCまで「原発の再稼働を推し進める安倍首相にとって大打撃」と報じている。
安倍首相はいよいよ、お腹が痛くなってきたんじゃないか。
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2015年04月18日

残業代ゼロ法案 40代以上管理職の「賃カツ法」になる場合も

残業代ゼロ法案 
40代以上管理職の
「賃カツ法」になる場合も
2015.04.17 16:00 NEWSポストセブン

 アベノミクス成長戦略の柱の一つである「柔軟な働き方の実現」のための労働基準法改正案が4月3日に閣議決定された。

週40時間を基本とし、超過分には労働時間に応じて賃金が支払われる「労働時間規制」に例外を設けるとする内容だ。
いわゆる「残業代ゼロ法案」である。

 これまで大メディアは「金融アナリストやディーラーなど一部職種の年収1075万円以上のサラリーマンが対象」と報じてきたが、法案にそうした文言はない。

 法案は例外が適用される「高度プロフェッショナル制度」の対象となる業務についてこう記す。

〈高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして、厚生労働省令で定める業務〉

 なかなか頭に入ってこない典型的なお役所言葉だが、最後に〈省令で定める〉とあるのがミソだ。
法改正が国会での審議と議決が必要なのに対し、「省令」は各省の大臣が制定できる。

 法律には大まかなことだけを書き、大事なことは省令で決めるのが政府・霞が関の常套手段だ。
業界との談合も癒着もやり放題の仕組みである。

『2016年 残業代がゼロになる』(光文社刊)の著者で、ジャーナリストの溝上憲文氏が解説する。

「法案決定に先立って厚労省の労働政策審議会が報告書をまとめています。
そこにはたしかに年収1075万円以上を目安とすると書かれ、対象となる職種も『金融商品の開発業務』『ディーリング業務』などと具体的に例示されています。
 報告書の内容が先に広く報じられたため“一部限定”のイメージが定着しましたが、政府は曖昧な文言の法案で国会審議を乗り切り、省令で対象業務を広げていく目論見なのでしょう

 さらに溝上氏が続ける。
「大企業ではマネジメントに携わるライン管理職にはなれないが、キャリアを積んで専門性を持つ社員に専門課長といったポストを与えているところが少なくありません。
45歳以上で年収1000万円以上の人もいて、残業代を合わせるとライン管理職より高くなることもある。

 経営者としてはこの人たちの残業代をなんとかカットしたいのです。
『高度な専門知識がある』という説明もしやすい。

1075万円以上の専門課長が対象となる場合、残業代がまるまるカットされて月10万円以上の賃下げになるケースも考えられます」

※週刊ポスト2015年4月24日号
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2015年04月19日

NHKが裁判で「完敗」 全国で受信料“不払い一揆”の恐れも

NHKが裁判で「完敗」
全国で受信料“不払い一揆”の恐れも
2015年4月18日 日刊ゲンダイ

 籾井勝人会長の私用ハイヤー問題や「ヤラセ報道」でテンヤワンヤのNHKに“新たな衝撃”が走っている。

NHKが千葉・松戸市在住の男性(66)に対して受信料約18万円の支払いを求めた裁判で「完敗」したのである。

 判決が出たのは15日の松戸簡裁(江上宗晴裁判官)。
裁判で、NHK側は2003年3月に男性が受信契約を結んだにもかかわらず、受信料を支払っていないと主張。
これに対し、男性側は契約締結そのものを否定していた。

 江上裁判官は判決で、受信契約書に記載された署名と(裁判の)宣誓書に記載された男性の字体が一致せず、男性の妻とも筆跡が異なると認定。

「受信契約を締結したものとは認められない」として、「放送受信料の支払い請求は理由がない」と結論付けたのだ。

 NHKは「判決内容をよく読んで対応を検討します」(広報部)と平静を装っているが、コトはそう簡単に済む話じゃない。

受信契約書の筆跡が男性本人でなければ、一体、だれが男性の名を勝手に記入したのか。
ヘタをすれば「私文書偽造」の刑事事件に発展しかねない大問題だ。

 勝訴した男性もこう憤る。 「私はNHKに契約書を見せてほしいとずっと言い続けてきたが、なぜか、NHKは契約書を見せませんでした。
6年経って初めて契約書が提示されたのですが、おそらく私文書偽造の時効(5年)を迎えたからではないかと思っています。
NHKも刑事事件を避けたかったのでしょう」

 男性の言う通りなら、NHKは契約書に勝手に個人名を書き込み、受信料を徴収しようとしたワケで、ヤクザ顔負けの悪徳手法だ。

元NHK職員でジャーナリストの立花孝志氏がこう言う。

判決で注目すべきは、裁判所がテレビを持っていても、契約書がなければ払わなくていい、と判断したことです。
NHKは、テレビを持っていれば支払い義務は生じる、との姿勢ですが、それが否定されたのです

 NHKの受信料不払いをめぐっては、全国各地で訴訟が起きているが、契約書がなければ支払う必要ナシということらしい。
不払いが続出すれば、NHKの経営に打撃を与えるのは必至だ。
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2015年04月20日

維新の会 「大阪都構想」の大嘘

【独占告白】
維新の会はマタハラ政党だった 
離党した橋下ガールズが
「大阪都構想」の大嘘を暴露〈新潮45〉
BOOKS&NEWS 矢来町ぐるり 4月17日(金)16時13分配信

大阪都構想の帰趨を決める「特別区設置協定書」の住民投票が、大阪市で5月17日に行われる。

 それに先立つ4月12日の大阪府議会議員、大阪市会(市議会)議員の選挙では、府市とも大阪維新の会が第一党を守ったものの過半数に及ばず、微妙な結果に終わった。

都構想に関するこれまでの世論調査を見てみると、その賛否は拮抗している。

  そんな中、大阪維新の会に属していた大阪市会議員の村上満由さんが、維新のお粗末な内幕を暴露した衝撃的な手記を発表した。  

 村上さんは2011年、女性最年少の26歳で大阪市会議員に当選。
かつてテレビ番組「恋のから騒ぎ」に出演していたことや、その美貌と若さで大きく注目され、橋下ガールズとも呼ばれてきた。

今回の住民投票を決めた3月13日の大阪市会「大阪市特別区設置協定書」決議では、維新の中でただひとり造反した。

 村上さんは18日発売の「新潮45」5月号の特集「『大阪都構想』の大嘘」の中で、「私が『橋下維新』を離れた理由」と題した手記を発表。

現在の大阪都構想がいかにリスクとデメリットを含んだ「破綻した案」であるかを解説している。  

 村上さんが今回の協定書に反対した理由は、4年前の選挙で維新の会が訴えてきた都構想とまるで違うものになっているからだと語る。

当初の理念「ニアイズベター」とはかけ離れ、各区への権限や財源の移譲が行われず、各区をまたがる行政組織が生まれる。

さらに教育や税金の使い道など細かな問題が協定書に書かれておらず、白紙委任があまりに多い。
「これは都構想とは呼んではいけないものだと思っています。」

■維新の会はマタハラ政党

 村上さんは昨年暮れの時点で大阪維新の会に離党届を出した理由についても述べている。

「離党届には、パワーハラスメントとマタニティハラスメントが、許容できる範囲を超えたため、と記しました。」

 村上さんは大阪市会の現役の議員として初めて産休を10週間とり、出産を経験した。
「叩かれるのは覚悟していました。

予想外だったのは、そのほとんどが維新内部からだったことです。
『給料泥棒』とか『区民に謝れ』とか、それはもう次々罵倒された。」

 維新によるマタハラは言葉だけではない。

妊娠中に危険な街宣車の上に立たされる、産後の復帰を急かされるなど、血の通わない維新の冷たい体質が手記では詳しく明かされている。

そして、そんな維新にほぼ白紙委任することになる大阪都構想について、「市民全員が被害者になる可能性がある」と警鐘を鳴らすのだ。

 同特集では、京都大学大学院教授の藤井聡氏、哲学者の適菜収氏、ジャーナリストの大谷昭宏氏らも「『大阪都構想』の大嘘」を明らかにする論考を寄せている。

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2015年04月21日

憂楽帳:鈍行の旅

憂楽帳:鈍行の旅
毎日新聞 2015年04月20日 大阪夕刊

 北陸新幹線開通を苦々しく眺めていた。
この余波で、勤務地の大阪と実家がある富山をつないでいた特急サンダーバードは金沢発着に。

おまけに新幹線は、金沢−富山間の従来の主要駅・高岡には止まらないのだ。

そんなわけで先日、取材で富山県氷見市を訪れた時も、ぷりぷり怒りながら金沢で鈍行に乗り換え、氷見線の起点である高岡に向かった。

 ボックス席の向かいには小学生らしき姉と弟、私の隣にお母さん。

目をつぶっていると、お母さんの静かな声が聞こえた。
「ほっで、やめとかれ」。
ゲーム機で遊ぶ姉弟をたしなめたのか。
久々に聞く、優しい響きの方言だ。

 よくよく耳を澄ますと、隣のボックス席からは男子高校生たちの楽しげな声。
話題は春のセンバツからゲーム、最近面白かったマンガ、とめまぐるしく変わる。

途中の小さな駅から女子高校生の集団が乗ってきたようで、はじけるような笑い声がする。
そういえば春休みか−−。

 特急なら目的地まで眠りこけていて気付かなかった古里の日常。

急ぐばかりが旅じゃないな。乗り換えさせられるのはなんか悔しいけど。
                          【中本泰代】
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2015年04月22日

統一地方選で躍進の共産党 本当に政権を取ったらどうなるか

(小だぬき)
私は 20年ほど前に 離党したものですが、党員・支持者・赤旗読者などが 中央批判をすると 嵐のような罵詈雑言が 赤旗に掲載されたものです。
日本共産党を離党したことには 後悔はありませんが、いざ 政権が近づいたときの 離党者・除名者の人権・民主主義が 保障されるのか 未だに疑問が残るのです。
野坂参三名誉議長が 100歳で 除名・スパイとされました。
私を含め 野坂さんの演説ファンで入党したものにとっては、その後の党の対応に大いなる疑問をもったものです。

晴れ曇り雨雪雷晴れ曇り雨雪雷わーい(嬉しい顔)ちっ(怒った顔)がく〜(落胆した顔)もうやだ〜(悲しい顔)ふらふらわーい(嬉しい顔)ちっ(怒った顔)がく〜(落胆した顔)もうやだ〜(悲しい顔)

統一地方選で躍進の共産党 
本当に政権を取ったらどうなるか
2015.04.21 11:00 NEWSポストセブン

 2012年12月の安倍政権誕生以降、選挙のたびに議席を伸ばしている唯一の政党が日本共産党だ。

とはいえ、安倍政権下で格差に苦しむ人は多くとも、「資本主義はやめるべき」と考える人は少数派だろう。

統一地方選前半でも大躍進したが、「共産党に1票」という有権者の選択は、この国に何をもたらすのか。

 共産党は戦前から戦後初期にかけては武力革命路線を掲げ、「天皇制打倒」「自衛隊反対」などを前面に打ち出していた。

1955年に平和革命路線に転じ、現実路線に徐々にシフトしてきたことは事実だ。

元日本共産党中央委員会常任幹部会委員の筆坂秀世氏がいう。
「『暴力革命』のイメージを持つ人も多いでしょうが、現在の党綱領では、『社会主義革命ではなく民主的改革が必要』としています。

 共産党の目標は『民主連合政府』をつくること。
資本主義の枠内で、異常な対米従属、大企業・財界の横暴な支配を打破するための連立政権を作り、そこに共産党も入るという考えです」

 民主連合政府は、筆坂氏が入党した1960年代には「現実路線」だった。

1970年代前半にかけて、東京都の美濃部亮吉・知事、大阪府の黒田了一・知事、京都府の蜷川虎三・知事など革新系の首長が相次いで誕生した。

「社会党や民社党、場合によっては公明党などと手を組み、国政でも過半数を取れると考えていました。
ところが社会党が衰退・消滅し、現在では共産党が連立を組める相手は見当たりません。
改めて自民との徹底対決に存在価値を見出そうとする背景には、そうした事情があります」(同前)

 そもそも共産主義は、「私有財産を否定して共同生産による完全な平等の実現をめざす思想」と理解されている。
だが、現在の日本共産党の綱領には「私有財産が保障される」と明記され、「生産手段の社会化が必要」とある。
  そうした変化を「革命」ではなく「社会主義的変革」と呼んでいる

筆坂氏が解説する。
「生産手段の社会化といっても、具体的な構想は正直なところありません。
もともとは国有化が念頭にありましたが、ソ連がすべての産業を国有化してうまくいかなかった。
資本家の手にあるのはマズいから社会全体の手に移します、という話だが具体像はない。

 共産党では『マルクスは未来の理想図を後世に押し付けなかった。
青写真は描かなかった』という話をよくします。
具体像は今なくてもいい、ということです」

 一方で天皇制や自衛隊のような具体的な政策課題もある。
それらについては現実路線への修正が重ねられてきた。
党綱領は少しずつ改訂され、2004年に不破哲三・議長のもとで大改訂が行なわれた。

 それまでは「天皇制の廃止」を掲げていたが、現在の綱領では「天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する」
「その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきもの」と表現されている。

「かつての綱領では天皇制を君主制と規定したので打倒すべき存在としなければならなかった。

不破綱領では天皇に政治権限はないので君主制ではないと解釈を変えたわけです。

 かつての共産党は改憲政党でした。
天皇条項廃止を主張し、核兵器も『ソ連の核は米国の野望を抑えるキレイな核だからいいんだ』と大真面目に主張していた。
それが今では護憲、核兵器廃絶が党是になっている。かつて社会党がいっていたこととほとんど一緒ですよ」(筆坂氏)

   ※週刊ポスト2015年5月1日号
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2015年04月23日

科学の目と人間の目

香山リカのココロの万華鏡:
科学の目と人間の目 
毎日新聞 2015年04月21日 首都圏版

 往年の名作「白い巨塔」に始まり、病院や医療の世界を舞台にしたテレビドラマは常に人気だそうで、この春もいくつかスタートした。

もちろん娯楽作品とわかって見ているのだが、ちょっと気になる点がある。

それは、必ず「良くない医者」が出てくるが、その特徴がいつも同じということだ。

患者さんの話を聞かずに短時間診療で終わらせる、診察よりも検査データを重要視する、すぐに薬を出したり手術をしようとしたりする……。

じっくり時間をかけて“手当て”をする「医は仁術」的な医者の対極にあるイメージだ。

 たしかに、患者さんのことより自分の名誉や利益だけを重んじるのは、医療関係者として許せる態度ではない。
しかし、「検査や薬よりとにかく対話」というのはどうかな、とときどき首をひねってしまう。  

私は研修医や若手の時代、何度か検査の不徹底で患者さんのからだの病気を見逃しそうになり、指導医からしかられた。

たとえば甲状腺から出るホルモンの異常でうつ病そっくりの症状が出ることがあるのだが、診察時間のすべてを対話だけにあてて血液検査を忘れたことがあったのだ。

また、心臓に異常がないのに動悸(どうき)が続く患者さんに生活改善の指導などを続けたがうまくいかず、軽い安定剤を処方したらすぐにおさまったことがあった。
そのときに患者さんが口にした言葉が忘れられない。

「最初からこの薬を出してくれたらよかったのに。
時間を損しちゃった」

 もちろん、診察に十分な時間もかけず、データだけですべてを判断したり何でも薬ですませようとしたりする医者が患者さんから信頼されないのは、あたりまえのことだ。

とはいえ「検査データに頼るのは悪い医者」というのも違う。

結局、大切なのは「科学的検査、治療と人間的な医療とのバランス」ということになるのだろう。

 現在の医療制度では外来で患者さんひとりにかけられる時間は、どうしても限られてくる。
私の勤務する診療所では原則として「初診20分、再診10分」。

この時間内にバランス良く、科学の目と人間の目で患者さんを診てもっとも適切な治療の手段を選んでいくのはかなりむずかしい。

 テレビドラマに出てくる「良い医者」は、ひとりに何十分も時間をかけ、とことん患者さんの話に耳を傾ける。
なるほど、患者さんが望んでいるのはこれだな、と思いながら心のどこかで「でも現実的には不可能だな」とため息をついているのである。
            (精神科医)     
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2015年04月24日

<上から目線>という表現

<上から目線>という表現
    2015年4月23日 東京新聞「筆洗」

 「偉そう」とか「人を見下している」などの意味で若い方が使う<上から目線>という表現がいつ頃から使われだしたか知らないが、ずいぶんと広まったものである

▼一九九〇年代にはなかったと記憶する。
視線を意味する目線なる日本語はもともとはなかったそうで演劇、映画の専門用語というから、そちら方面から生まれたか

▼人間の「上から目線」には我慢もするが、無人機による「上から放射線」である。
首相官邸の屋上に小型無人ヘリのドローンを落下させた人間がいる。
ドローンから微量の放射性物質が検出されたという

▼人体には影響のないレベルとはいえ、原爆、原発事故の忌まわしい過去を背負わされた日本人の神経をとりわけ逆なでする不快な物質である

▼「無人機」というが、それを遠隔操作したのは紛れもなく人間である。
「無人」どころか、人間、しかも曲がった人間の心の存在を意識させる行為である。
その人間はどこかに身を潜め、無人機を飛ばし、世間が右往左往する様子をじっと見ている

▼事実解明を待たねばならぬが、「義賊」を気取って首相官邸を<上から目線>で見下したかったとすれば勘違いも甚だしい。

国のトップに不満はある。
それでも民主主義の手続きに沿って選ばれた首相の「居場所」をその物質で汚した行為が許せない。
空の<上から目線>で見下されたのは日本国民である。
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2015年04月25日

精神保健指定医 「性善説」では立ち行かぬ

精神保健指定医 
「性善説」では立ち行かぬ
2015年4月24日 東京新聞「社説」

 聖マリアンナ医科大病院(川崎市)で発覚した精神保健指定医の資格取得の不正は、精神医療体制の根幹を揺るがす重大事件だ。

医師の「性善説」に立った制度設計を抜本的に見直さねばならない。

 厚生労働省は先週、同病院を舞台とする精神保健指定医の資格の不正取得があったとして、医師二十人の資格を取り消した。

 指定医には精神保健福祉法に基づき、精神障害者の自由を制約できる強い権限が与えられる。順法精神や倫理にもとる行為はいささかも許されない。

医師の業務自体を停止するべきだ。

 資格申請の主な要件は、精神科での三年以上をふくめ五年以上の実務経験を持ち、指導医の下で診断や治療をした八症例以上のリポートを厚労省に提出することだ。

 十一人は先輩が作成したリポートを書き換え、自らが担当したように装って申請していた。
九人は指導医だったのに、その確認を怠って署名していた。

同病院ではリポートの使い回しが常態化していたというから悪質極まりない。

 約一万五千人に上る精神科医のほとんどが有資格者だ。

同病院での不正行為は厚労省職員が気づいたが、氷山の一角ではないか。
全国規模の徹底調査が急がれる。

 精神障害によって自傷他害に及ぶおそれがあると判断した場合には、指定医は患者の意思にかかわらず入院を強制したり、退院を制限したりできる。
院内での隔離や身体拘束といった行動制限の指示もでき、権限は強大だ。

 指定医制度は患者を保護し、医療を受ける権利を守るために導入されたが、今や精神科医にとっては欠かせない資格という。
権限や診療行為の幅が広がり、診療報酬も優遇されるからだ。
それで一人前とみなされる風潮も根強い。

 最大の問題は、資格審査の仕組みが医師への過剰な信頼を前提にして設計されている点だ。

同病院は症例を一元管理してリポートの使い回しを防ぐというが、危機意識が希薄すぎないか。身内任せにしている限り、再発する可能性は否めない。

 資格を取得できるかは、症例集めにかかっているのが実情だ。
リポートの条件を満たすため、入院期間や入院形態を意図的に操作するといった衝撃的な話も聞かれる。

患者が置き去りにされている。

 利権の温床のようになっている以上、外部の目を入れて厳しくチェックする仕組みが必須だ。障害者権利条約の理念に照らし、人権擁護の視点を一段と強化したい。
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2015年04月26日

怒る女性週刊誌 政権批判、読者に押され 原発再稼働、改憲…本当に必要? 家族の生活、命…守れるの

特集ワイド:
怒る女性週刊誌
 政権批判、読者に押され
 原発再稼働、改憲…本当に必要?
 家族の生活、命…守れるの
毎日新聞 2015年04月22日 東京夕刊

 芸能ゴシップや美容・健康情報などで華やかな女性週刊誌に“異変”が起きている。
安倍晋三政権をストレートに批判する硬派な記事が目立っているのだ。

俎上(そじょう)に載せるのは、安全保障法制の見直しや憲法改正、原発再稼働、アベノミクス、そして女性活躍推進といった目玉施策。

この怒り、どこから湧いてくるのか。【小林祥晃】

 まずは左の表をご覧いただきたい。
この1年間に、3大女性週刊誌
▽「女性セブン」=小学館
▽「女性自身」=光文社
▽「週刊女性」=主婦と生活社 が掲載した安倍政権を批判する記事の見出しである。

<安倍さんは世界で“女性蔑視”だと思われている!>
<安倍政権は女の涙ぐましい努力をわかっちゃいない>
などと、普段女性誌を読まないオジサン記者にはびっくりの率直さ。

もちろんこれらはほんの一部に過ぎない。
他にも原発再稼働や憲法改正などへ疑問を投げかける記事が少なくない。

 政治にモノ申す記事が増えてきたきっかけとして関係者が口をそろえるのが東日本大震災と福島第1原発事故だ。

「週刊女性」の渡辺高嗣副編集長は「原発事故を経験して『最悪の場合、どうなるのか知りたい』というニーズが高まった。
特に子供や家族を守る立場の女性にはその思いが強い」と話す。
集団的自衛権やアベノミクスなどを取り上げる際にも「要するに、どうなるの?」という疑問に答えることを大事にしている。

「女性自身」の田辺浩司編集長は「震災以降、特に主婦層は子供たちに明るい未来、安全な社会を残してあげられるのかを考えるようになった。
そこに訴える記事を出そうというのが編集方針。
特に原発、福島は徹底して追いかけている」と明かす。
 読者も好意的に受け止めているようだ。

「週刊女性」の毎号約40本の記事のうち、面白かった記事を選ぶ読者アンケートで政治ネタはベスト10の常連だ。
昨秋、小渕優子前経済産業相と松島みどり前法相が「政治とカネ」の問題で相次ぎ辞任した直後に特集した「政治とカネ問題Q&A」は5位に。

「政治資金規正法の仕組みや、何がダメだったのかを徹底解説した。
新聞やワイドショーで繰り返し伝えている話なので、読まれるかと心配しましたが、意外でした。

それどころか『まだまだパンチが足りない』『もっと伝えて』という声ばかり。『やり過ぎだ』なんて声はありません」(渡辺さん)

 「女性自身」は4月7日号の人気連載「シリーズ人間」で「これからも『国民を踏み潰す国』でいいのですか」と題した沖縄・辺野古のルポを掲載。

米軍普天間飛行場の移設反対を訴え座り込みを続ける戦争体験者の思い、子育て世代の家族の率直な声を取り上げた。
写真グラフも含め計7ページの大型記事だが「涙が止まらなかった」
「美容院で記事を見て、もう一度読みたくて買い直した」といった熱い反響が寄せられた。

 2人の男の子を持つ北陸地方の母親(42)は「日本が将来、戦争する国になるのではないか、徴兵制が復活するのではないかと本気で心配しています。

でも、ママ友と政治的な話はしづらい。
週刊誌に疑問に答えてくれる記事があると、美容院でも食い入るように読んでしまいます」と語る。

 「原発事故を経験して政治は生活の安全と直結していることに気付いた。
アベノミクスも成功していると言いながら、大多数の国民の生活は苦しい。
それらは男性より女性の方が肌で感じている。

蓄積した不満や不安が女性週刊誌に反映されるのは当然です」。

そう分析するのは、女性の心理に詳しい原宿カウンセリングセンター所長の信田さよ子さん(68)だ。

「ただ、女性週刊誌には昔から地道に取材した反骨的なルポや、大手芸能事務所にもおもねらないスクープがあった。
私を含めて長年の読者はそんな姿勢にも信頼感を抱いているんです」

 徹底した現場ルポ「からくり民主主義」や「男は邪魔!」などの著書があるノンフィクション作家の高橋秀実(ひでみね)さん(53)は「女性からすると、安倍政権の言葉は『存在が脅かされる』という警戒心を呼ぶのではないか」と指摘する。

「例えば『女性の力を活用する』という言い方。
女性はあくまで活用される立場で、活用する男性が優位なのは一目瞭然。
また『女性の力を強く信じます』などとひとくくりに肯定する論理は、一人のミスでも『だから女性はダメなんだ』と全否定に転じる恐れもある。

そのあたりのからくりを見抜いているのでしょう」

 とはいえ、各誌とも決して「批判ありき」ではない。

「週刊女性」は小渕氏や松島氏ら5人の女性閣僚が誕生した際、期待を込めて5人の人となりを紹介した。
過去の発言や政治姿勢を批判的に取り上げる切り口も考えたが「仕事をする前から読者に評価を押しつけるのはどうか」と、当初は批判を封印した。

 「私たちが大切にしているのは現場で聞いた生の言葉。
それが結果的に、厳しい政権批判になっている」と言うのは「女性自身」の田辺さん。

昨年5月27日号で、歴史教科書の採択で揺れる沖縄県竹富町を取材したルポ記事のタイトル「中国より、安倍さんがこわいです」は町民が語った言葉から取った。

人権を踏みにじるような表現でない限り、現実に上がっている声を無視したり、それを曲げて書いたりするのは、週刊誌としてはやってはいけないことだと思っています」

 女性誌を巡っては昨年、月刊ファッション誌「VERY」(光文社)が「お母さんこそ、改憲の前に知憲!」と題し、憲法改正や特定秘密保護法を取り上げた記事を掲載。

発売前に内閣広報室が「秘密保護法を取り上げるなら、我々にも取材を」と編集部に電話していた事実が明らかになり、「言論への過剰な口出しではないか」と問題になった。

今月にもNHKのやらせ疑惑やテレビ朝日の「報道ステーション」でのコメンテーターの発言について、自民党が両局幹部を呼び事情を聴くなどメディアへの介入や圧力ともとれる動きは強まるばかりだ。

 2人の子の母親でもあるタレントでエッセイストの小島慶子さん(42)は「女性誌はファッションやゴシップなど『見たい、知りたい』という読者の素直な欲求に応えるメディア。

政権批判の記事は、異論を許さず、なし崩し的に変わろうとしている世の中への異議申し立てとも言える。

批判を恐れて口をつぐむ人が増える中、生活実感を基に『他人がどう言おうと、私はおかしいと思う』と言える、血の通った言論をなくしてはいけない」とエールを送る。

 女性週刊誌に噴出する怒りのマグマを無視すれば、やがて地殻変動につながるかもしれない。
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2015年04月27日

酒の安売り規制 消費者の利益を損なわないか

酒の安売り規制 
消費者の利益を損なわないか
2015年04月26日 01時24分 読売新聞「社説」

 酒の安売りを規制するため、自民党は酒税法などの改正案を今国会に提出する方針だ。

 財務相が、酒類販売の「公正な取引基準」を新たに定め、業者が従わない場合には、販売免許を取り消せるようにする。

 量販店などの安売りから、「街の酒屋さん」を保護する狙いという。
だが、免許取り消しを恐れ、経営努力による適正な値引きまでしなくなる懸念は拭えない。

 過剰な規制強化で、消費者の利益が損なわれないだろうか。
慎重に見極める必要がある。

 酒の販売は、1990年代以降の規制緩和で大手スーパーや量販店などの参入が相次ぎ、競争が激化した。
一般の酒店はこの20年でほぼ半減し、全国で約5万5000店になっている。

 追い込まれた中小販売店の組合などが安売り規制の強化を求め、自民党が議員立法で対抗措置を講じることになった。
 新しい取引基準の詳細は決まっていないが、原価を下回る安値販売などを禁じ、これを守らない業者名の公表、罰金、免許取り消しへと、段階的に重い処分を科す内容になりそうだ。

 もちろん、採算を度外視した安値攻勢で大手業者が周辺の酒店を廃業に追い込むといった、不当な販売は看過できない。

 ただ、こうした不当廉売については、独占禁止法に基づいて公正取引委員会が摘発する仕組みがある。
国税庁も2006年に策定した取引指針で、公取委との連携強化などを打ち出している。

 まずは、既存の制度をしっかり機能させることが重要だ。

 量販店などの攻勢を受けているのは酒店だけではない。
なぜ、酒に限って独禁法とは別の廉売規制が必要なのか。
筋の通った説明がなければ、酒以外の小売店や消費者はとても納得できまい。

 酒店は、コンビニやネットスーパーなどとの競争でも劣勢に立たされている。

求められるのは、大型店にない個性的な品ぞろえなどの創意工夫だ。
法律で量販店などの安売りを制限しても、業績改善の効果は限られよう。

 新たな安売り規制は、自民党などが昨年に議員立法で実施したタクシー業界の参入規制強化と同様に、競争制限的な政策だ。

 規制緩和を推進して民間の自由な競争を促し、経済活性化を目指すことが「アベノミクス」の本筋と言える。
自民党は、安易な業者保護政策に走り、成長戦略の路線を踏み外してはならない。
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2015年04月28日

統一地方選終了 無投票は民主主義を脅かす

統一地方選終了 
無投票は民主主義を脅かす
2015年04月27日 03時40分 読売新聞「社説」

地方創生の担い手をどう確保し、育てるか。
深刻な課題が改めて浮き彫りになった。

 統一地方選の後半戦が終了し、政令市以外の市区町村で新たな首長と議員が誕生した。

 全国の自治体の約半数が「消滅」する恐れがある、との民間試算が昨年5月に発表された。
東京一極集中が進む中、いかに人口流出を食い止め、地域を活性化するかが選挙戦で重要な論点となった。

 残念だったのは、41道府県議選などの前半戦に続き、後半戦でも無投票当選が目立ったことだ
 89市長選では、津、長崎両市など、約3割を占めた。
122町村長選では半分近く、
373町村議選でも4分の1弱が、告示日に当選者が決まった。

 地方自治の人材の不足が今回ほど顕著になったことはない。
 農業や酪農が盛んな北海道浦幌町は、町議選の立候補者が10人にとどまり、定数11を割った。
 事前審査に出席したのは現職9人の陣営だけで、危機感を抱く関係者が候補者を懸命に探したが、呼応したのは1人だった。
拘束時間の長さなどが敬遠された。

 出産祝い金、子供の医療費無料などの施策を講じているものの、人口は1960年の約1万4000人から半減した。
人口減と政治の担い手不足の悪循環をどう脱するか。
町の悩みは深い。

 無投票の増加は、地方の民主主義の危機にほかならない。

 有権者は、候補者の訴えに耳を傾けることで、自治体の将来を考え、より良い選択をする機会が持てる。
候補者も、有権者の視線にさらされ、鍛えられる。

 無投票は、首長や議員の資質を低下させ、住民の地方政治への関心を一層弱めかねない。

 政府や自治体は、立候補者を増加させるための具体策に、本格的に知恵を絞る必要がある。  長崎県小値賀町は今回、満50歳以下の町議の報酬を月18万円から30万円へ大幅に引き上げた。
今回は出馬につながらなかったが、目のつけどころは悪くない。

 会社員が兼職しやすいよう、夜間や休日に本会議や委員会を開く方法もある。
企業も、社員が出馬・当選した場合の休職制度の導入などを真剣に検討してほしい。

 投票率の低下傾向に歯止めをかけることも急務である。

 総務省研究会は先月末、駅構内やショッピングセンターへの投票所設置や、期日前投票の投票時間の柔軟化などを求める中間報告をまとめた。
検討に値しよう。
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2015年04月29日

香山リカのココロの万華鏡:服薬と運転の関係

香山リカのココロの万華鏡:
服薬と運転の関係
毎日新聞 2015年04月28日 首都圏版

 俳優としてテレビや映画で活躍していた萩原流行さんが、バイクの転倒事故で亡くなった。
萩原さんはうつ病を患って治療を受けていることを公表していた。

病状や服薬していた薬と運転の関係も取りざたされているが、萩原さんの妻は取材に応じて「運転する前には薬は飲んでいなかった」と話している。

 こういった事故が起き、本人が心や神経の病で治療中だと報道されると、一部の人から免許取得や運転を制限すべきではないかという声が上がる。

実際に警察庁の有識者検討会が出した提言に「運転免許を暫定的に停止すべき」「医師による病名の届け出を義務化」といった内容が盛り込まれたことがあった。

 それに対して日本精神神経学会は「医学的根拠がない。学会の意見を無視して免許を奪う方向に極端に傾斜している」と強く批判する声明を発表した。

運転の全面的な制限は、病を持った人の社会参加や差別解消といった倫理的な観点から望ましくないばかりではなく、実際のケースを検討した結果、「医学的にも精神や神経の病を持っている人は事故を起こす確率が高い」という結果が得られなかったのだ。

また、万が一、こういった措置に踏み切った場合、もっとも懸念されるのは、運転しなければ生活できない患者さんたちが症状を隠したり受診をやめてしまったりすることだ。

 もちろん、うつや不安の改善の目的で処方する薬の中には、副作用として眠気などが出る場合もある。
添付文書に「服用中は運転を避けること」とある場合にはそれに従うべきなのは当然だが、そうでない場合でも一般的に薬を始めたり変えたりした直後は運転を控えたほうがよい。

そして「この薬、この量では眠気は出ない」と確認してから運転を少しずつ再開してもらう。
実はこういった内容はくわしいガイドラインに定められており、精神科医はみな学んで従うことになっている。

 また、これも言うまでもない大前提だが、心の病に限らずどんな病気でも病状が良くないときには運転をすべきではない。

そのためにも、医師には正直に具合を話し、「じゃ今週だけ運転はやめておきましょうか」などとざっくばらんに話せる雰囲気が必要だ

 萩原さんの死はたいへん残念なことだし、家族や友人、ファンの悲しみはどれほどかと胸が痛むが、ここから「やっぱりうつ病の人はいっさい運転するべきではない」といった誤解が広まらないように願っている。
          (精神科医)
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2015年04月30日

統一選の光明=北村利巳(社会部)

統一選の光明=北村利巳(社会部)
毎日新聞「発信箱」2015年04月29日 02時30分

 統一地方選が終わった。
既に毎日新聞の紙面でも繰り返し指摘している通り、無投票当選の多さと低投票率が際立っていた。
住民に最も身近な地方自治のありようが危ぶまれる事態なのだけれど、女性の議員が着実に増えたことに希望を見いだしたい。

 41道府県議選で当選した女性は計207人で過去最多だった。

市区町村議選の女性当選者の割合も過去最高になった。

もちろん、女性が当選した割合が比較的高かった東京の21区議選でも27.8%なので、まだまだ道半ばではあるだろう。
それでも、この結果は前向きに受け止めるべきだと思う。

女性議員が増えれば、議会の開き方や運営方法も変わってくるだろうし、それが立候補者の増加や投票率の向上につながる可能性も大いにあるだろう。

 ただ、昨年あった東京都議会の女性蔑視やじ問題に代表されるように、女性議員の苦労は絶えないようだ。

この問題を受け都庁担当記者と協力して全都議アンケートをしてみたが、都議会内に女性差別があると答えた人が25人いて、自民を除く回答者の4割近くに上った(自民は会派として一括回答してきた)。

具体的には「女性へのやじは男性に対してよりも高飛車」
「民間企業に比べ全体的に女性を見下している」といった声があり、特に新人女性議員への風当たりが強かった。

 主義主張が違う時などに、いろいろな感情を持つのは分かるけれど、きちんとした根拠に基づく論争をしなければ、民意はどんどん議会からそっぽを向いていく。

有権者もしっかり監視していかなければいけないが、今回当選した議員の方々には実りある議論をしてほしい。
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放置された指定医の暴走

佐藤記者の「新・精神医療ルネサンス」
放置された指定医の暴走
2015年4月28日 読売新聞

 川崎市の聖マリアンナ医大病院で、強制入院(措置入院、医療保護入院など)が必要かどうかを判定する精神保健指定医の資格不正取得問題が発覚し、4月15日、厚生労働省が20人(不正取得者11人と指導者9人)の指定を取り消す異例の事態となった。

資格取得には8症例のリポート提出が必要だが、不正取得者は他の精神科医の症例を使い回し、自分があたかも担当したかのように装っていたという。

 尾崎承一院長はこの日の記者会見で「手続き上のミスではなく、医師の倫理や法律順守の問題。
医師教育に落ち度があり、おわびしたい」と語った。

憲法が保障する「人身の自由」を制約し、監禁や拘束を合法的に行える力を特別に与えられた人々が、実はそもそも、倫理感や法律順守の意識を持ち合わせていなかったというのだから、「最近よくあるコピペ問題」では済まされない。

彼らは、指定医の重い職責をどう捉えていたのだろうか。

 精神保健指定医の仕事ぶりを取材する度に、私は人の世のゆがみを思い知らされてきた。

お年寄りの財産を狙い、重い認知症だと医師にウソをついて精神科病院に長期入院させようとたくらむ親族がいる。

家庭内不和の解決手段として、健康な家族を「精神病」と決めつけ、精神科医に入院の相談をする人々がいる。

「患者」扱いされた人よりも、入院を依頼しに来た家族の方が、実は心を病んでいたという例もある。

 このような悪巧みや不当な訴えを見抜き、不必要な入院や拘束を防ぐことも精神保健指定医の重要な役割だ。
指定医は患者の人権を守る最後の砦とりでなのだ。

実際、的確な診断や状況判断で人権侵害を未然に防いだ経験のある指定医は少なくない。

だが、残念なことに指定医の実力もピンキリで、家族のウソを真に受けて、本人を診ていないのに強制入院が必要だと決めつけ、鍵付きの保護室を空けて待つ指定医もいる。

屈強な搬送業者に拉致されて本人がやってくると、この種の指定医は、診察室での本人の反応を全て精神疾患に結びつける。

 例えば、あなたが診察室で「なんでこんなことをするんだ」「私は病気じゃない」「もう帰る」「訴えてやる」と怒ったとしよう。

すると「不穏」「興奮」「病識(自分が病気であるという認識)がない」などとカルテに書き込まれ、病気の証しにされてしまう。

では、変な解釈をされないように黙っていればいいのかと言えば、それも危うい。

「緘黙かんもく」という症状にされ、統合失調症に結びつけられた人もいる。

 突然拉致され、精神科に連れて来られたら怒るのはあたり前で、病気ではないのだから病識などあるはずがない。

しかし、人権意識や倫理観、想像力が欠如し、いつも患者を見下して、自分の思い込み診断を押しつけるばかりの危ない指定医には、道理は通じない。

 更に問題なのは、このような不当な移送や強制入院が、近年も度々発生していたにもかかわらず、国や自治体は十分な調査や対策に乗り出さなかったことだ。

被害者が繰り返し文書を送るなどして対策を求めても、役人たちは何もしなかった。
不当な強制入院例や行政の逃げ腰対応は、拙著「精神医療ダークサイド」(講談社現代新書)に詳しいのでお読みいただきたい。

「リポート目的の強制入院」の指摘も

 精神保健指定医は、学会が認定する専門医ではなく、その大きな権限ゆえに、厚生労働相が精神保健福祉法に基づき指定する。

医師として5年以上、精神科医として3年以上の臨床経験を持つ医師が、8症例のリポート提出と研修を受け、審査に合格すると指定される。

2013年末時点の指定医は1万4630人。
この資格を得ると、外来診療でも診療報酬が増えるなど、診療報酬上の優遇措置が拡大してきたため、入院施設のないクリニックの開業を考えている若手精神科医も、取得を目指す資格になっている。

そうしたこともあり、指定医の本分である「人権擁護」のためではなく、金や見栄のための取得が増えているようだ。

 この資格は、社会に衝撃を与えた栃木県の「宇都宮病院事件」(1984年)をきっかけに、1988年に誕生した。

看護職員の度重なる暴行で患者が死亡するなどしたこの陰惨な事件は、国連でも取り上げられて国際問題となった。

慌てた国が打ち出した人権擁護策の一つが、措置入院(都道府県知事による強制入院)のみならず、医療保護入院(家族などの同意で行う強制入院)などにも関与する精神保健指定医の創設だった。

それまであった精神衛生鑑定医(措置入院を判定)の資格は、一定の臨床経験を持つ精神科医であれば申請で取得できたが、精神保健指定医は、統合失調症や認知症、依存症など多岐にわたる8症例のケースリポートを求められるなど、厳しい取得要件を課せられることになった。

 だが、制度の変更前に精神衛生鑑定医になっていた精神科医は、移行措置という特例でそのまま精神保健指定医になることができた。

新制度の施行直前、移行措置を狙って駆け込みで精神衛生鑑定医になる医師も多かった。

2003年に発行された雑誌「精神医療」(批評社)の特集記事「指定医制度の行方」(浜垣誠司氏)は、こう指摘している。

「この現象は当時いささかの揶揄をこめて『駆け込み鑑定医』と呼ばれ、実に6000名を超える人々が、この時期にこうして指定医となった」。

 精神保健指定医制度は、誕生して間もない時から形骸化が指摘されていた。

指定医を取得していない若手精神科医を対象とした1990年の調査(非指定医・研修医交流会のアンケート調査)で、興味深い結果が報告されている。

患者の入院などで、指定医の判断が必要な状況になった場合、「必ず指定医を呼ぶ」という回答は16%に過ぎず、54%は「追認」と答えたのだ。

判定資格のない医師がとりあえず強制入院を決め、指定医が後でつじつまを合わせるご都合主義的な対応が、極めて不適切な入院につながったケースは最近も表面化している。

 前述の特集記事は、こうも指摘している。
「ケースレポート症例として利用するために、本来ならば任意入院でもよい患者を、医療保護入院あるいは措置入院にしてしまう場合があるという衝撃的な報告もあり、昭和40年代に入院費の公費化のために増加した措置入院が『経済措置』と呼ばれたことにならって、一部では『研修措置』という言葉まで生まれたという」。

8症例のケースリポートの中には、子どもの強制入院症例も必ず加える必要がある。

腹黒い強制入院の被害が子どもにまで及んでいないことを願いたい。

 今回の聖マリアンナ医大の問題を受け、複数の専門家が、資格審査の形骸化を指摘した。
だが、問題はそればかりではない。

強制入院制度と人権擁護の仕組み自体も形骸化しているのだ。

資格審査の再検証と体制の見直しは当然として、日々行われている強制入院の審査、検証体制も、実効性のある仕組みに変える必要がある。
腰の引けた行政の対応には、もっと厳しい目を向けることも欠かせない。

◆ 佐藤光展(さとう・みつのぶ)
    読売新聞東京本社医療部記者。
posted by 小だぬき at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする