2016年06月29日

緩和策限界、改憲実行…安倍政権の「安定」は地獄への道

緩和策限界、改憲実行…
安倍政権の「安定」は
地獄への道
2016年6月27日 日刊ゲンダイ

 英国EU離脱の衝撃は、日本の参院選にも影響を与えている。

 この週末から、安倍首相の街頭演説が変わった。
力説する選挙の争点が、「アベノミクスを前に進めるか否か」から「政治の安定」になったのだ。
世界経済の危機に対応するため、「安定政権が必要」と訴える作戦に変えてきた。

 これに公明党の山口代表も歩調を合わせ、「自民と公明の安定政権でなければ、この難局を乗り切ることはできない」と声を張り上げている。
 そのうえ、安倍は「サミット議長国として、新たなリスクを回避するため、あらゆる手段を取らなければならないことをまとめた。準備はすでにしていた」と、
EU離脱をチャッカリ自分の手柄アピールに利用し始めた。
この厚顔には言葉もない。
だったら、ちゃんと対策をしておけよ! という話なのだ。

 24日の日経平均は1286円安の大暴落。
リーマン・ショック時の1日最大下げ幅だった1089円をも上回り、歴代8位の下げ幅を記録した。
いったい、1日で何兆円の年金が消えてしまったのか。

「総理は英国のEU離脱はないと考えていたはずです。
だから、24日は総理も官房長官も選挙応援に出かけて官邸を空けていた。
夕方、大慌てで官邸に戻って関係閣僚会議を開きましたが、みんな意外な結果に驚くばかりで、すぐに対応できる状況ではない。
取りあえず、財務省に任せることにしたそうです」(自民党関係者)

 EU離脱で世界経済は大混乱だが、最も打撃を受けたのが日本市場だ。
それだって、アベノミクスの無謀な金融緩和が原因なのである。
しっかり内需拡大を図っていれば、ここまで対外的な要因に振り回されることはない。
金融を膨らませるだけ膨らませた結果、脆弱になってしまったハリボテ経済は、何かあると直撃をモロに受ける。
海外投資家のオモチャにされる。

 異次元緩和による円安目くらまししか能がない無能政権では、この危機に対応などできやしないのだ。
それが、よりによって英国ショックを成果アピールに使うのは倒錯の極みというほかない。

■政治の安定ではなく独裁が固定

 だが、騙されやすい有権者は安倍の言い分をうのみにしてしまう可能性がある。
「経済危機だから政治を安定させないと……」と、“ホラッチョ首相”の詭弁に引きずられそうで心配だ。
「海外メディアや、IMFにまでアベノミクスが酷評され、国内のエコノミストも『アベノミクスは失敗した』と言いだしていたところに英国ショックが起きた。
それを逆手に取って、安倍首相はちゃっかり自己PRに使う。
悪運が強いというか、姑息というか、都合の悪いことは何でも海外のせいにする厚顔は相変わらずです。
それに、自公が訴える『政治の安定』が、どういう意味かを有権者は冷静に考える必要があります。
選挙の前だけ経済対策を叫んで、勝った途端、秘密保護法や安保法制のような右派政策をゴリ押しするのが、この政権の常套手段なのです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 要するに、連中が言う「政治の安定」とは、国民や、野党の反対を無視できる圧倒的な数の力をくれということだ。
衆参ともに3分の2議席を確保すれば、悲願の憲法改正に手をつけることもできる。

 京大名誉教授の伊東光晴氏も22日の東京新聞のインタビューで「いまの政権は異論に耳を傾けないのが非常に心配だ。本当の民主主義は多数決が全てではない。多様性が重要であり、それが破局を防ぐことになる」と警鐘を鳴らしていた。

 圧倒的な数の力で反対意見を封じ込めるのは、ある種の独裁だ。
政治が良い状態で安定するのならまだしも、独裁が固定化すればどうなるか。
有権者は、そこをマジメに考える必要がある。

大英帝国の幻影と大日本帝国への回帰を問う投票

 英国の国民投票の結果には、かつての大英帝国の幻影がチラつくと分析されている。
過去の栄光への憧憬が、離脱派を駆り立てた。
「EUに指図されるのは我慢ならん」というおごりだ。

 翻って、この国の現状を見てみれば、大日本帝国への回帰を狙う狂信的カルト政権が、憲法改正という争点を隠して、選挙に圧勝しようとしている。
参院選の公示直後に各紙が発表した序盤情勢分析は驚くようなものだった。

「改憲4党 2/3うかがう」(朝日新聞)
「改憲 3分の2うかがう」(毎日新聞)
「与党 改選過半数の勢い」(読売新聞)
「改憲勢力 2/3うかがう」(日経新聞)
「改憲勢力 2/3うかがう」(産経新聞)

 24日の1面トップには、判を押したように同じ見出しが並んだ。
まるで大本営発表である。
「現時点で投票先を決めていない無党派層が4割もいる。
投票日までまだ時間がありますから、数ポイントの差なら十分に逆転が可能です。
それなのに、各紙が一斉に自公圧勝を流すのは、悪質な情報操作としか思えません。
序盤で流れを決めてしまい、『勝負あった』と有権者に思い込ませることが目的ではないのか。

あまりに恣意的な報道で、無党派層を投票に行かせたくないからとしか思えません」(政治評論家・森田実氏)
 読売と日経の調査は、同じ日経リサーチ社のデータを使っていて、サンプル数は2万7640だった。
毎日の調査もサンプル数が2万7500と極めて近く、ネット上では「独自調査にしては不自然だ」という指摘もある。
メディアがグルになって、「改憲勢力3分の2」に協力しているように見えるのだ。

■バンドワゴンに協力の大マスコミ

 前回の総選挙でも、公示された途端、各紙一斉に「自民党圧勝、300議席」と打ってきた。これがバンドワゴン効果を生んだ。
一方で無党派層が棄権し、投票率は低下。
組織選挙の自公にますます有利になった。
選挙のたびに、同じことが繰り返されている。

今回の参院選で改憲勢力が3分の2を獲得すれば、どんな恐ろしいことが起こるか。
それを国民にしっかり知らせるキャンペーンを張るのがメディアの本来の役目なのに、勝ちを煽るだけで、そこには言及しない。
あえて黙っていることで、安倍政権の野望を後押ししているのです。
有権者は軽い気持ちで投票したら、大変なことになりますよ。
アベノミクスを加速化すれば、日本経済は破滅に向かう。
憲法改正に突き進み、国民生活も破壊されてしまう。
この国は再び焼け野原になってしまいます」(森田実氏=前出)

 嘘だと思ったら、自民党の憲法改正草案を読んでみるといい。
彼らが改正をもくろんでいるのは9条だけではない。
人権を制限し、国家のために国民が尽くす国につくり変えようという意図が満載だ。
自分たちの人権を制限しようとする政党にわざわざ投票して勝たせるなんて、笑い話にもなりゃしないのである。

 英国では、早くも国民投票のやり直しを求める声が高まっている。
今さらだが、軽い気持ちで投票した結果、大変な事態になってしまったと大勢の人が青くなっているのだ。
BBCでは「自分の一票が影響してしまうなんて思わなかった。
残留するものだと思ってたから」と後悔する声も紹介されていた。

 日本の有権者も、「自分が投票しなくても大勢に影響ない」などと思っていたら取り返しのつかないことになる。
参院選は政権選択選挙ではないから、頼りない野党にも安心して投票できる。

人権蹂躙の独裁国家を望み、お国のために奉仕したいという人は、改憲派に投票すればいい。  世論調査で残留派が優勢だった英国の投票結果で実証された通り、事前の世論調査結果なんて、いくらでも覆せる。

メディアや首相の言葉をうのみにせず、自分の頭で考えて、とにかく投票に行くことだ。
参院選の帰趨は、無党派層の意識と投票行動にかかっている。
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posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(6) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする