2016年10月01日

強行採決予告の異常 TPPは北方領土との“バーター”なのか

強行採決予告の異常
TPPは北方領土との“バーター”なのか
2016年9月30日 日刊ゲンダイ

 自民党はどこまで驕っているのか。
安倍首相がこの臨時国会の「最優先課題」と位置づけているTPP承認。
まだ審議もスタートしていないのに、自民党の担当議員が「強行採決で実現させる」と宣言したのだ。

 暴言を吐いたのは、衆院TPP特別委の理事、福井照衆院議員。
派閥の会合で「強行採決という形で実現するよう頑張らせていただく」と言い放った。
その後、記者団にも「この国会でどうしても採決したい、という安倍総理の思いを申し上げた」と開き直っている

 よほど安倍首相が強い指令を現場に出しているのだろうが、強行採決を予告するのは異常だ。それにしても、なぜ首相は、ここまでTPPに執着しているのか。
「北方領土返還のためだ」という意外な解説が流れている。
政界関係者が言う。

「支持率をアップさせたい安倍首相は、ロシアに巨額な経済支援を約束してでも北方領土の返還を実現させたい。
でも、オバマ大統領は、日ロの急接近を不快に思っている。
そのオバマ大統領をなだめる材料がTPPだとみられているのです。
TPPをレガシーにしたいオバマ大統領は、まだ成立を諦めていない。

安倍首相は、TPP成立を後押しする代わりに、日ロの接近について認めてもらうつもりだろうと囁かれています」
 バーターということなのか。

元外交官の天木直人氏はこう言う。
「もし、オバマ大統領のためにTPPに執着しているとしたらナンセンスです。
もう、オバマ大統領は力を失っている。
大統領候補のヒラリー、トランプの2人もTPPに反対している。
安倍首相がTPPにこだわっているのは、中国に対する敵愾心からでしょう。
アジアの秩序は中国につくらせない、という気持ちだと思います」

 いずれにしろ、国益は度外視ということだ。
TPP交渉はコメ、麦、砂糖、牛肉・豚肉、乳製品といった“聖域”さえ守られなかった。
TPPが導入されると国益は大きく損なわれる。
なのに、安倍自民党は“強行成立”させるつもりなのだから、とんでもない話だ。
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昨日、常磐線でいわき訪問

川崎駅からいわき駅 片道約3時間の列車の旅

まずいわき駅に降りた時の違和感が強くありました。
いわき市にお住いの方に怒られるかもしれませんが、駅と駅周辺の整備は 立派でした。
でも、昼に着いたのに 人の活気や生活感が感じられないのです。
まるで「あなたの知らない」世界に立っているようでした。

人々の話し声や笑い声が聞こえない 人の姿はまばらに見えるのに 生活者というより通行者。
幼いころに訪れた記憶では、炭鉱のぼた山が見え 田舎の駅だったのですが、多くの労働者の活気があったように思います。

タクシー乗り場は 待ちタクシーでいっぱい。
バス路線網もあるのかないのか走っている所は見ませんでした。

この市の中核はなんなんだろうか・・・、昔のようないわき湯本温泉なのか??
中核企業はなんだろうか・・・。

常磐線は、3.11の前までは 仙台や磐越東線なども結び 新幹線とは違う 豊かな田園風景や海岸線が見える車窓の旅を楽しめました。
私は 仙台には 東京ー仙台 直通の新幹線を利用していたのですが、同僚の中には 上野ー仙台 7時間弱の常磐線を利用する人もいました。
旅マニアには とっても変化のある車窓を楽しめた路線です。

市役所で 母の除籍戸籍を申し込んだのですが、爺様は 分家ということで 本家戸籍は 福島第一原発の被害が多く出ている福島県北部にある市。
市役所の担当の女性は、車がないと今日中はムリかな・・・、と市役所の郵送手配のやり方と 添付書類の知恵・返信封筒の切符と郵便為替の予想額なども教えてくれました。

路を聞いたり 役所・駅の人達は とっても素朴で 親切でした。
なのに駅を降りた時の違和感。

いち旅行者の違和感は、素朴で親切な人達のために 都市開発をしたのかという疑問かもしれません。

駅の広場の大きさ、エスカレーター・エレベーター完備の近代的なデザイン。
このような駅舎整備が 川崎駅にあれば と羨ましくなるほどですが、

地方都市の生命線は、バス・電車などの交通網整備と商店街の活性化にある思います。
「スーパーひたち」での帰路、福島県の地図を見ながら 道路網は整備されてきていますが、鉄道のローカル線網は弱いなぁと感じます。
駅舎個々が立派な建物になる以上に 東西南北の鉄道網の整備がなければ 観光もキツイだろうと思います。

JR東日本は、首都鉄道網で膨大な利益を得ています、国鉄民営化の時の「廃線はださない」との約束を守らせ、福島県・いわき市はじめ各市は もう少し 人口減少対策として「鉄道網」も道路網と同じように 力を入れてほしいものだと思います。
放射能汚染という難しい生活再建対策の復旧に 是非とも「交通網」の整備もいれて欲しいなと感じました。
旧国鉄は 首都圏の黒字で ローカル線の赤字を克服してきた優良企業でした。
国鉄の赤字は、政治新幹線などの建設と運営の分離にありました。
貨物輸送競争でも 貨物は税金で道路整備。
鉄道は国鉄まかせ。
中曽根首相の功績のようにいわれる「国鉄の分割民営化」が 地方の衰退や国民資産の民間企業への譲渡など 今でも地方に大きなダメージを与えていると考えています。

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2016年10月02日

「歯を磨いてはいけない」は本当なのか 歯科医が回答

「歯を磨いてはいけない」は
本当なのか歯科医が回答
2016.09.29 16:00 NEWSポストセブン

「1日3回、必ず食後の歯みがきをしましょう」。
小学校でそう習い、今も1日3回の歯みがきを欠かさない人は多いはずだ。
そんな「常識」に異を唱えたのが、『週刊現代』に掲載された「気をつけろ! 60すぎたら、歯をみがいてはいけない」(2016年9月24日・10月1日号)という特集記事だ。

 同記事では、『歯はみがいてはいけない』(講談社刊)の著者で現役歯科医の森昭さんが、「誤った歯みがきの習慣」に警鐘を鳴らした。
なかでも衝撃的なのは、「毎食後の歯みがきは、歯と歯ぐきにダメージを与え続け、歯の喪失だけではなく、全身疾患のリスクを高める」との指摘だった。

 歯を失う主な原因は「虫歯」と「歯周病」の2つだ。
現在、日本人の80%以上は虫歯を持っているとされ、歯周病の有病率は20代で約7割、30〜50代で約8割、60代にいたっては約9割に達する。

 そして歯周病のもととなる歯周病菌は、口の中の毛細血管を通じて全身に広がり、脳卒中や心筋梗塞の原因となったり、糖尿病や認知症にも関連するといわれている。
もはや、歯のケアを怠ると生じる歯周病は、全身の疾患に関係するというわけなのだ。

 では、なぜ食後に歯をみがいてはいけないのだろうか。
森さんによると──。
食事中に糖分を摂取すると口の中が酸性に傾き、歯の成分であるリンやカルシウムが唾液に溶け出して、歯が「軟らかく」なる。
この時、歯ブラシでゴシゴシとみがくと、毛先があたって軟らかい歯が削れてしまう。
さらにひどい場合は、ブラッシングにより歯の根元が楔(くさび)状にえぐれてしまうというのが、『週刊現代』に書かれた主張だ。

 とくに中高年や高齢者は歯や歯ぐきが弱っているので、ブラッシングで歯が傷つき、虫歯や歯周病が悪化して全身疾患にいたるリスクが高いという。

 宇田川歯科医院院長の宇田川義朗さんは、「確かに、食後に歯の成分が溶けることはあります」と指摘する。
「口内にひそむ細菌は歯に付着してプラーク(歯垢)となります。
プラークに生息するミュータンス菌やラクトバチラス菌などの『虫歯菌』は、食べ物に含まれる糖質を分解して酸を作ります。
この酸が歯の成分であるリンやカルシウムを溶かすことを『脱灰』といい、ひどくなると歯に穴が開いてしまう。
この脱灰は食事のたびに起こっています」

 だからといって、食後に歯みがきをしても、歯が「削れる」リスクは少ないと宇田川さんは主張する。
「食事中に脱灰が生じるのは、プラークが付着した歯だけです。
しかも、脱灰が生じても口のなかの唾液が酸を中和して、溶けた歯の表面を元に戻す『再石灰化』が行われます。
口内では常に脱灰と再石灰化が繰り返されるので、歯みがきをしても心配はいりません。
歯が溶けるのはプラークが付着した場所だけなので、むしろ歯みがきで積極的にプラークを除去すべきです」

 東京歯科大学組織・発生学講座准教授の見明康雄さんも、「食後の歯みがきは必要です」と指摘する。
「細菌のかたまりであるプラークができやすいのは、歯と歯の隙間や奥歯の溝の部分です。
ここを放置すると食べかすがプラークにくっつき、脱灰が進んで虫歯がひどくなります。
毎食後の歯みがきで、こまめに食べかすを除去すると、虫歯予防になります」

 歯をみがくから歯が抜けるのではなく、歯をみがかないから歯が抜けるのだと、宇田川さんと見明さんは口をそろえる。
 その一方、「毎食後に歯をみがく必要はありません」と指摘する歯科医もいる。

内田歯科院長の内田成一さんはこう話す。
「食べかすが虫歯に有害なプラークになるまでに約24時間、歯周病に有害なプラークになるまで約72時間かかるといわれます。
そういう意味で、1日3回の食事の後すぐに歯をみがくことは、あまり意味がないといえます」  

では、歯みがきはいつ行うのが最も効果的なのか。
女性セブンが取材した歯科医の皆さんはいずれも、「絶対に寝る前です」と強調する。
「睡眠中は唾液の分泌が極端に少なくなるため、歯の奥にみがき残した汚れが溜まっているとプラークに変わってしまう。
虫歯や歯周病も進行します。
それを防ぐため、毎日必ず、寝る前にしっかり歯をみがくべきです。
口臭予防のため、朝だけていねいにみがくという人もいるようですが、それは間違いです。
夜こそていねいに歯をみがく習慣をつけましょう」(内田さん)

※女性セブン2016年10月13日号
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2016年10月03日

慌てて全商品調査 “トクホの嘘”スルーした消費者庁の大罪

慌てて全商品調査 “トクホの嘘”
スルーした消費者庁の大罪
2016年10月1日 日刊ゲンダイ

 慌てて取り繕っているとしか思えない。
特定保健用食品=トクホの話。
所管の消費者庁が28日までに、全1271商品の調査をやり直すよう、トクホを取り扱う211社に指示を出した。

ウソの成分量を表示していた大阪市の会社が23日、1991年の制度開始から初の許可取り消しとなった問題を受けたものだが、何を今更だろう。

「トクホの許可は当初、4年ごとの更新制でしたが、規制改革で97年から“永久制”に。要するに一度許可されたら、その後はスルー状態だった。
大阪市の会社は2年半も問題を放置、報告を怠っていましたが、裏を返せば、消費者庁もその間、何のチェックもしてこなかったわけです」(同庁番記者)

 実際、1271商品のうち市場に出回っている商品は? と消費者庁に問い合わせたら、「正確には分かりません」。
つまり実態を把握できていない?
 「そういうことになりますね。今回の指示はそうした実態調査の意味もあります」というから、心もとない。

 来年度から始める予定だった「抜き打ち調査」は今年度内に前倒しするというが、要するに、これまで抜き打ち調査すらやってこなかったというわけだ。

 トクホの業界団体、日本健康・栄養食品協会によると、トクホ市場は昨年度6391億円で、過去2番目の規模に伸長している“巨大利権”だ。
所管官庁が大甘では、悪徳業者が現れても不思議はない。
ちなみに、同協会の理事長は、かつてトクホを所管していた厚労省の元局長、つまり“天下り”だ。
大甘なのも、推して知るべしか。

 消費者問題研究所代表の垣田達哉氏が言う。
「今回、許可が取り消された6商品のうち2商品は、必要な成分そのものが含まれていなかった。
それでも、一般消費者は成分量なんて調べようがありません。
国が認めたトクホのマークを信じ、割高でも買っているわけです。
許可を与えた以上はそれを担保する責任がある。

詐欺同然の行為をスルーしていた消費者庁の罪は重いですよ」
 消費者庁の岡村和美長官は「現制度では企業の良識に期待せざるをえない」なんてもっともらしい言い訳をしていたが、消費者に不利益をもたらすようでは、消費者庁の名折れだ。
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2016年10月04日

介護給付の縮減 現場からの批判に耳を傾けよ

介護給付の縮減
現場からの批判に耳を傾けよ
2016年10月3日(月)しんぶん赤旗「主張」

 安倍晋三政権が進める介護保険改悪で、「軽度者」への生活援助や福祉用具貸与などの公的サービス利用の縮減や負担増を迫る動きに対して、介護現場で働く人たちから異論と批判が相次いでいます。

政府が狙う改悪が実行されれば、必要な介護サービスから高齢者が締め出され、重症化が進行しかねないという危機感の表明です。
介護する家族など担い手の負担がさらに重くなることに懸念と不安も広がります。

安倍政権は、介護を専門的に担う最前線からの訴えをどう受け止めるのか。
国民の声を無視した改悪は許されません。

専門性高い支援こそ必要

 安倍政権は2018年度の介護保険制度の大幅な改変に向け、今年末までに結論を出すため、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会での議論を加速しています。

 大きな焦点の一つになっているのが、「軽度者」が利用する介護サービスを保険給付の対象から除外する問題です。
要介護1、同2の人のホームヘルパーによる掃除、調理、買い物などの生活援助やデイサービスを保険給付の対象外にすることや、要介護2以下が使う車いすや手すりなどの福祉用具貸与を全額自己負担にすることが主な検討項目にされています。

要介護2以下は要支援・要介護認定を受けた人たちの65%超です。
これほどの人が保険給付をまともに受けられなくなることは深刻です。

 厚労省は生活援助を保険から外す口実に「知識、技術をそれほど有しない者でもできる」などといいますが、介護の実態とかけ離れた議論です。

いち早く批判の声を上げた日本ホームヘルパー協会は「初期段階における専門性の高い生活援助サービスの提供こそ」が重要と強調します。

利用者の気力の衰えの回復や交流不足を補い、体の状態の維持・改善、悪化の防止にもつながり「わずかな支援で、高齢者が自分らしく暮らす期間を長くすることができる」からです。
 「軽度者」の生活支援を保険給付から外し、専門的支援を受けることを困難にするやり方に道理はありません。
専門職からの警告を正面から受け止めるべきです。

 福祉用具貸与の全額自己負担についても約22万人分の反対署名が厚労省に届けられました。運動を担う「福祉用具国民会議」は、福祉用具は、高齢者らが「普通の暮らし」を営むための必要不可欠な社会資源と訴え、福祉用具の利用制限につながる改悪を批判しています。

167の地方議会でも、福祉用具貸与のサービス縮小と負担増に対し「介護の重度化を招く」「かえって保険給付の増大を招き、介護人材の不足に拍車をかける」などと反対・異論を表明する意見書が可決されています。
民意に逆らう改悪議論は中止すべきです。

安心の仕組みへ共同広げ

 12年末に政権復帰した安倍政権の介護保険改悪は、歴代政権の中で突出しています。
特別養護老人ホームの入所条件を要介護3以上に原則化したことは、“介護難民”を増大させています。
すでに実施されている要支援の生活援助などの保険外しは、在宅の利用者と家族に負担を強いています。
過去最大規模の介護報酬引き下げは事業者に経営困難を強いています。

 制度自体を危うくする安倍政権の介護破壊を許さず、安心の仕組みへの転換へ、幅広い共同のたたかいを広げることが急務です。
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2016年10月05日

焦点:想定上回る北朝鮮のミサイル開発、日本は現状「迎撃困難」

焦点:想定上回る
北朝鮮のミサイル開発、
日本は現状「迎撃困難」

[東京 4日 ロイター]
- 北朝鮮の弾道ミサイル開発が、日本の予想を上回るペースで進んでいる。
自衛隊は迎撃ミサイルの能力向上を計画しているが、着手するのは今のところ来年度から。
自衛隊の防御能力を超える撃ち方をされた場合、現状は「迎撃困難」だと、日本の安全保障政策に携わる複数の関係者は口をそろえる。

<望みは米国の抑止力>
北朝鮮は今年に入り、計21発の弾道ミサイルを発射。
関係者の話を総合すると、日本政府は特に6月22日の「ムスダン」、9月5日の「ノドン」とみられるミサイルの発射手法に懸念を強めている。
中距離弾ムスダンは米領グアムを射程に収めるが、北朝鮮はこのとき意図的に角度をつけて高く撃つ「ロフテッド軌道」で発射。
1000キロを超す高さまで上昇した後、鋭角な放物線を描いて日本海に落下した。
「高度1000キロはまさに宇宙空間。
現状では撃ち落とすのは難しい」と、日本の政府関係者は言う。

日本は自国領域に落下が予想される弾道ミサイルに対し、上層と下層で迎撃する二段構えの対応を整備してきた。
まず、イージス艦から「SM3」ミサイルを発射し、大気圏外で迎撃。
撃ちもらした場合、地上に展開した「PAC3」ミサイルで対処する。
しかし、現行のSM3は1000キロの高さまで上昇するのは不可能だという。
今回のような手法でムスダンを発射された場合、弾道ミサイルの飛行速度が最も落ちる放物線の頂点で迎撃することはできない。
「あとは地上に落ちてくるところをPAC3で撃ち落とすしかない」と、自衛隊幹部は話す。

だが、今のPAC3の性能では、秒速3─7キロで大気圏に再突入してくる中距離弾道ミサイルの速度には対応できない恐れがあるという。
日本政府は以前から、北朝鮮が2010年代のどこかの時点で、ロフテッド軌道でミサイルを撃てるようになると予想。
米国と高度1000キロ以上に到達するSM3改良型の共同開発に取り組み、17年度から量産に入る計画を立てていた。
「北朝鮮のミサイル開発は予想していたよりも少しペースが速い」と、別の自衛隊幹部は言う。

防衛省は来年度からSM3改良型を調達、PAC3の改修にも乗り出す。
いずれも高度、距離、速度の向上を見込んでいる。
しかし、「現時点では米国の抑止力に期待するしかないかもしれない」と、自民党国防部会のメンバーは語る。
北朝鮮にミサイル発射をとどまらせるよう、米国の打撃力に依存するしか手はないとの考えだ。

<点検中のイージス艦>
迎撃態勢への懸念は数的な面でも指摘されている。
9月5日のノドンとみられる弾道ミサイルは、同時に発射された3発が日本海上のほぼ同地点に落下した。
日本側の対処能力を超える大量の弾道ミサイルを発射する「飽和攻撃」を思わせる撃ち方だった。
「3発なら撃ち落とせるが、それ以上連発されると不可能」と、別の自民党関係者は指摘する。

軍事情報を分析するIHSジェーンによると、北朝鮮は700─1000発の弾道ミサイルを保有し、うち日本のほぼ全域を射程に収めるノドンは45%。
米国防総省によると、ノドン用の移動式発射台は最大で50両を保有するという。

一方の自衛隊はSM3搭載イージス艦を4隻しか保有していない。
複数の関係者によると、現在2隻が点検中のため、残り2隻を交代で弾道ミサイルの警戒任務に当てている。
1隻が搭載するSM3は8発に過ぎない。
「イージス艦のやりくりが最も大変な時期と重なってしまった」と、別の自衛隊幹部は言う。「在日米軍のイージス艦との協力が欠かせない」と話す。

自衛隊は弾道ミサイル防衛能力を備えたイージス艦について、現在の中期防衛力整備計画(中期防)が終わる2018年度に8隻まで増やす計画。
それでも訓練や保守、他の任務を考慮すると、常時2─3隻程度しか展開できない。
米軍は現在、日本周辺で10隻のイージス艦を展開している。
別の自衛隊幹部は「北朝鮮のミサイル開発は、ひたひたと進んでいる。こちらが能力を上げても、すぐに向こうも上げてくる」と指摘。
「次の中期防で迎撃態勢を根本的に見直す必要があるかもしれない」と語る。

防衛省はSM3とPAC3の能力向上に加え、新たな迎撃ミサイルシステムの導入も検討している。
PAC3より射程の長い「THAAD(サード)」を取得すれば、上層、中層、下層の三段構えの防衛体制を構築できる。
陸上からSM3を発射する地上配備型イージスを選択すれば、大気圏外での迎撃を強化できる。しかし、直ちに決定しても配備されるのは数年後だ。

稲田朋美防衛相は日本の迎撃能力について記者から問われ、「ミサイル防衛の重要性は増してきている。
北朝鮮の(開発)スピードなども見ながら、不断に検証していく必要がある」と説明。
現在の能力で対応可能かどうかは明言を避けた。
(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)
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旧態依然の「軍隊」「防衛力整備。今日のコメントの返事

Posted by 小だぬき at 2016年10月05日 10:04

日本の「軍事専門家」の素人ぶりが露顕してしまっています。
自公の安全保障体制も「国際貢献」の前に 真剣に自衛戦争が可能なのかの原点に立ち返る必要があります。

今までも北ミサイル迎撃命令が出ていても 迎撃できない状態は冷静に考えれば ミサイル防衛システムが「机上の空論」であることの証明になっています。

右翼や自民「軍事通」という人は、策源地攻撃・敵地先制攻撃力などと言いだしていますが、北を攻撃するには 韓国領空・領海通過が絶対的条件です。
これらの問題をクリアーするために「日米安保」を都合よく解釈しているのですが、これほどご都合主義で楽観的・主観的な防衛論は米国は拒否するでしょう。

今、抑止力を考える時 軍事的抑止と無防備抑止のどちらが国際的支援が得られるかは 島国日本では無防備抑止に軍配があがるでしょう。

現状の自衛隊は、本気で本土防衛戦を想定しているとは思えない 武器体系と予算配分です。

陸自のレンジャー部隊や各自衛隊の救難隊・医療部隊は理解できるとして 大陸型機甲師団対決のような機甲部隊などは必要なのかなど問題点が多すぎます。

島国の防衛力と大陸の防衛力では 軍の編成・運用に違いがあるのは 確かなハズです。

ミサイル防衛の問題以前に 島国防衛思想の欠如・研究の浅さが気になります。
また駆け付け警護の問題も 相互に兵器・弾薬の互換性があって成り立つ議論です。
日本の重軽器は 他国の7.76弾ではなく 5,56弾で韓国以外との弾薬互換性もないのです。

「机上の空論」で政府が 国際協力をいうのではなく、自衛隊員の命を守る上で必要な 兵器の相互運用・互換性が保証されなければなりません。
我が国の為政者は 「現場の声」を聴いて 現実的な限界を明らかにしてほしいと思うところ大です。
posted by 小だぬき at 21:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月06日

郵便貯金の限度額再引き上げへ 「ゆうちょ銀行」の戸惑い

郵便貯金の限度額再引き上げへ
「ゆうちょ銀行」の戸惑い
2016年10月5日 日刊ゲンダイ

重道武司 経済ジャーナリスト

 ゆうちょ銀行の預入限度額が2年連続で引き上げられる見通しとなってきた。
全国郵便局長会(全特)などの突き上げを食らう形で与党・自民党が再引き上げの要求を強めているためだ。
限度額そのものの撤廃すら取り沙汰されているという。
マイナス金利下での預入枠増額には「迷惑千万」(幹部)として当のゆうちょ銀内部からでさえ戸惑いが漏れる。

 郵便貯金の預入限度額を巡っては昨年12月、政府の郵政民営化委員会がこれまでの1000万円を1300万円まで上積みするよう提言。
これを受け、今年4月の政令改正で25年ぶりの引き上げが実現した。
ただ自民党内には「上げ幅が小さ過ぎる」などとして当初から不満の声が上がっていた。

昨年6月には党の「郵政事業に関する特命委員会」が当初2000万円、2年後3000万円に引き上げるべきとする報告書を取りまとめてもいたからだ。
 今回、自民党が再引き上げを強く求めている背景には同党にとって最大最強の集票マシンとなっている全特への配慮がある。

先の参議院選挙では元郵政官僚で全特の推す徳茂雅之氏(全特相談役)が52万票余を集めて比例区でトップ当選。
改めてその“威力”を見せつけた。
ましてや来年1月の通常国会冒頭での解散説も囁かれる中、「この集票力は無視できない」(関係者)というわけだろう。

 もっとも、再引き上げには地銀をはじめ民間金融機関側の反発が必至だ。
全国銀行協会など関連7団体は今年4月の引き上げ論議に際しても連名で「断じて容認できるものではない」などとする意見書を突き付けている。

大手信金幹部のひとりも、「上げ幅によっては大規模な資金シフトが起こる可能性も捨て切れない」として牽制の構えだ。
 ゆうちょ銀にとっても正直、憂鬱な話だろう。
法人向け貸し出しなどの業務が規制されているため、貯金を集めても運用に限界があるためだ。

内部からは「貯金はゲップが出るほど抱えている。
これ以上無理やり口に突っ込まれても食あたりを起こすだけ」といった悲鳴も聞こえてくる。
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2016年10月07日

ヘイト賠償判決 差別への厳しさ示した

ヘイト賠償判決 
差別への厳しさ示した
毎日新聞「社説」2016年10月6日 東京朝刊

 特定の民族や人種の尊厳を傷つけるヘイトスピーチは、どんな形であっても許されない。
その姿勢を明確に示す判決が先月末に出た。
差別的な言動を社会からなくしていくための契機にしたい。

 在日朝鮮人の女性フリーライター(45)が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)と同会の桜井誠元会長に損害賠償を求めた訴訟で大阪地裁は77万円の支払いを命じた。
 在特会は街頭やインターネットの動画サイトで女性について「朝鮮人のババア」などと発言し、ツイッターにも「鮮人記者」と書き込んでいた。

判決はその一部を「在日朝鮮人に対する差別を助長、増幅させる意図があった」として違法と判断し、「公正な論評」との在特会側の主張を退けた。
最近の司法の流れに沿う当然の判断だ。

 ヘイトスピーチを「人種差別」と初めて認めた京都地裁判決は2014年12月、最高裁で確定した。
在特会のメンバーらが京都市の朝鮮学校周辺で繰り返した暴言に約1200万円の賠償を命じ、日本も加盟する人種差別撤廃条約が禁止する差別行為であれば損害も高額になるという考えも示した。
 今年4月には高松高裁が、朝鮮学校に資金援助した徳島県教職員組合の事務所に在特会会員らが乱入し罵声を浴びせた行為を「人種差別的思想の表れ」と認定し賠償額を1審より増やした。今回の判決も、在特会側の言動が条約の趣旨に反する侮辱行為に当たると結論付けた。

 法務省の調査によると、ヘイトデモは昨年9月までの3年半に29都道府県で1152件あった。
ピーク時から減少しているとはいえ、沈静化したとは言えない状況だ。

 デモは在日コリアンの多い首都圏や京阪神に集中し、大阪市は全国の自治体に先駆けて条例を制定した。
有識者の審査会がヘイトスピーチと認めれば行為者の名前を公表して抑止を図るという狙いがある。
6月に施行されたヘイトスピーチ対策法は他国出身者への差別的言動の解消を掲げる。

憲法の保障する表現の自由との兼ね合いから禁止規定や罰則はなく、実効性があるか疑問視された。
しかし法施行の前日、川崎市で予定されたヘイトデモを禁止する仮処分決定を裁判所が出した。法の趣旨を踏まえ、司法が積極姿勢を見せたと言える。

 対策法は国や自治体に啓発活動や相談体制の整備を求めている。
行政が対応を進め、裁判所は厳格な態度を示す。
その積み重ねが差別の根絶につながるはずだ。
教育の場などを通じて国民一人一人が人権感覚を高めることも必要だ。
差別を許さない社会を築きたい。
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2016年10月08日

放置でうつ症状も…老人の貧血には怖い病気が隠れている

放置でうつ症状も…
老人の貧血には怖い病気が隠れている
2016年10月7日 日刊ゲンダイ

 立ちくらみや目まいがして突然倒れてしまう――。
貧血は若い女性の病気と思われがちだが、実は高齢者の10人に1人は貧血状態にある。
貧血には心臓病やがんが潜み、放置するとうつ症状、嚥下障害などになりやすいというから恐ろしい。

 田中勝昭さん(83歳、仮名)は今月3日に風呂場の脱衣室で息苦しくなり、救急搬送された。高血圧による心不全だった。
「お医者さんからは『高血圧で心臓に負担がかかり、心臓の筋肉や血管壁が厚く硬くなって伸縮性・柔軟性が失われた。
その結果、ポンプとしての機能が低下して心臓が虚血状態になった』と説明されました。

以前から足がむくむ、おしっこの量が減った、疲れやすく体が冷える、息切れがするとこぼしていたので、病院で診てもらえ、と言っていたのですが……」

 こう言って唇を噛むのは田中さんの長男だ。
幸い、田中さんは高血圧と心不全の治療を受け一命を取り留めた。

 家族にとって意外だったのは、田中さんがひどい貧血を患っていたこと。
酸素とくっついて全身に酸素を運搬するヘモグロビンの量が9g/dlしかなかった。

東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授が言う。
「貧血は心不全を悪化させる原因ですが、心不全そのものも貧血を起こします。
心臓の機能低下で腎血流量が減り、腎機能が悪くなると、赤血球を作るエリスロポエチンの産生異常が起こります。
炎症性サイトカインも増えるので、これらが相まって貧血になると、心不全がさらに進むという悪循環に陥ります。

実際、心不全患者の3分の1は貧血があるといわれます」

■肉は食べなきゃダメ
 貧血の定義は世界保健機構(WHO)基準などで血液内のヘモグロビンの量が15歳以上の成人男性は13g/dl以下、妊婦を除く15歳以上の成人女性は12g/dl以下とされている。
高齢者は11g/dl以下だが、65歳を過ぎると造血能力が急に低下することが知られる。  

貧血にはさまざまな種類があるが、田中さんは高齢者の多くが患う鉄欠乏性貧血だった。
その原因は消化管からの鉄吸収障害、薬による消化管出血などもあるが、食事での鉄分摂取不足も大きい。
 田中さんは食が細く、十数年前の交通事故で腸が傷つき機能低下していたため、肉などは控えめにしていた。
「鉄分には、肉や魚などのタンパク質に含まれ体に吸収されやすい『ヘム鉄』と、野菜や穀類に含まれて吸収されにくい『非ヘム鉄』とがあります。

高齢者は『粗食が一番』という誤った考えから、ヘム鉄を取らないため、鉄不足になりやすい傾向にあります」(都内の管理栄養士)
 しかも田中さんは、非ヘム鉄の体内吸収を助けるビタミンCも不足気味だった。
妻と2人暮らしの田中さんは、果物などを買っても重くて持ち帰るのが大変だったからだ。

 高齢者の貧血が怖いのは心臓の病気だけじゃない。
胃がんや大腸がんなどの消化器のがんや、うつ症状や食べ物がのみ込めなくなる嚥下障害、認知症やうつ症状などにも注意が必要だ。

「消化管にできたがんによって出血し、鉄欠乏性貧血になることがあります。
鉄欠乏性貧血になると、食道の上部3分の1の粘膜に薄い膜(食道ウェブ)ができます。
そのため、食事がのどを通らなくなることがあるのです。
また、貧血の人は認知症のリスクが上がることが、ドイツや米国などの研究で報告されています」(東丸教授)

 鉄分は神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンを合成するのに欠かせない。そのため鉄不足はイライラ感や疲れやすさ、注意力の低下といったうつ病と似た症状を起こすという。  高齢者は貧血を軽く見てはいけないのだ。
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2016年10月09日

これはひどい…20代の4人に1人は人生に絶望している現実

これはひどい…
20代の4人に1人は
人生に絶望している現実
2016.10.08 17:00 NEWSポストセブン

kukai/iStock/Thinkstock
仕事のミス、恋人にフラれた、お金がない、周りの人間関係…。
世の中にはさまざまなトラブルや疲れる原因が存在する。
希望が持てず、気力も使いはたして「人生に絶望した」という経験はないだろうか。

■20代がもっとも絶望している
しらべぇ編集部は、全国の男女1,365名に「人生に絶望している」人がどれほどいるのかを調査した。
すると、全体の17.3%が該当。
また年代別で比較すると、興味深い傾向が見てとれる。
なんと、20代は「人生に絶望している」割合がもっとも高いことが明らかに。
4人に1人は絶望していると考えると、その割合は多いと言えるだろう。

「就職に失敗した」「結婚間近のパートナーと別れてしまった」「30歳までの結婚は無理かも…」など将来に関わる瞬間に大きな挫折をしたときに、気持ちが折れてしまうのかもしれない。

一方、世代が上がっていくにつれ、人生に対して楽観していることもわかった。
「なんだかんだ生きていける」「考えてもしかたない」といった、ある種の達観の境地にたどり着いたのかもしれない。  

■フリーターや無職は絶望しがち
「パート・アルバイト」「無職・家事手伝い」の人たちの、人生に絶望している割合が比較的高いことが判明した。


「パート・アルバイト」では、独身の場合は就職していない不安があるのかもしれない。
結婚している場合でも、パートに出ないと生活が苦しい、という金銭面での苦労があるのだろう。

「無職・家事手伝い」では金銭面の不安だけでなく、無職になってしまった状況に対して人生が絶望したと感じるのかも。

「リストラ」「病気による失業」なども考えられる。

一方で、「専業主婦(夫)」は9.9%と他の職業にくらべてかなり割合が低いという結果になった。
やはり、金銭面での不安は「人生の絶望」に深く関連していることがわかる。
  全体の2割が感じている人生への絶望。
けっして他人ごとだとはいえないだろう。
一度きりの人生、できれば幸せに過ごせるように努力したい。
(取材・文/しらべぇ編集部・伊藤大生)

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 
調査期間:2016年9月23日〜2016年9月26日 
対象:全国20〜60代の男女1,365名(有効回答数)
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2016年10月10日

白紙領収書“問題ない”の強弁 自民の常識は国民の非常識

白紙領収書“問題ない”の強弁
自民の常識は国民の非常識
2016年10月9日(日) しんぶん赤旗

 日本共産党の小池晃書記局長が6日の参院予算委員会で追及した稲田朋美防衛相、菅義偉官房長官ら安倍内閣の主要閣僚の「白紙領収書」問題は、「これが大臣の『常識』か」(「朝日」8日付社説)、「政治家の非常識に驚く」(「毎日」同)など批判の声が広がっています。

自民党の「常識」は、国民からみて非常識そのもの。通用しません。

「ありえないじゃないですか、普通の会社だったら」(40代・男性会社員)、
「なんでも偽造できちゃうじゃないですか」(20代・女性会社員)

 7日放送のTBS系番組「NEWS23」は、小池氏の国会論戦を交えながら、「白紙領収書」に怒り、疑問をなげかける街頭インタビューの声を紹介しました。

番組キャスターの星浩氏は「民間は税務署のチェックが非常に厳しいので、とっくにこの“白紙領収書”というやり方はやっていない。
国会議員だけがオッケーという制度はどうみても不合理」とコメントしました。

 短文投稿サイト・ツイッターでも「もう法律の意味がなくなってしまう」など批判が飛び交っています。

 国会議員の政治資金パーティーにお金を払って出席した際に、主催者側から白紙の領収書を受け取って、後から金額を書き込む―稲田氏らはこの事実を認めましたが、小池氏に追及されると「法律上、領収書の発行側の作成方法は規定されておらず、法律上の問題は生じない」(高市早苗総務相)と居直っています。

 「金額が白紙のものは領収書とは言わない。総務省発行の政治資金収支報告の手引きにも(領収書の金額は)後から追記してはいけないと書いてある」(小池氏)という、そもそものルールさえ、政治資金を所管する閣僚がわからない異常。

 社説でも、「領収書をめぐっては、富山市議が白紙の領収書を偽造して政務活動費を架空請求した不祥事が判明したばかりだ。
パーティーの白紙領収書も、裏金作りなどに悪用される懸念は否定できない」(「毎日」8日付)と指摘しています。
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2016年10月11日

「週刊文春エース記者」が語るスクープの裏側

「週刊文春エース記者」が語る
  スクープの裏側
2016.10.10 16:00 NEWSポストセブン

 9月30日、週刊誌の編集者、ライターが注目する一冊の本が出た。
「スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ」(文藝春秋社)。
著者の中村竜太郎氏は2014年まで週刊文春に在籍し、活躍してきた。
同世代の「スクープとは全く縁の無い」フリーライターの神田憲行氏が迫る。
 * * *  
今回の取材は個人的にも大いに楽しみにしていた。
以前から中村竜太郎氏の名前は、スクープには無縁な私のようなフリーライターでもよく耳にしていたからだ。
週刊文春の編集者から「うちに中村っていうエースがいて」と実際に聞かされたことがあるし、他誌の編集者、ライターも「文春のトップの中村」とたまに噂話をしていた。
この本のサブタイトルに「週刊文春エース記者」とあるが、これは読者を呼ぶためだけの惹句ではない。
彼は本当にそう呼ばれていたのだ。
 本では読者もまだ記憶に新しいであろう「飛鳥涼覚醒剤事件」や、のちに海老沢会長辞任にまで発展する「NHK紅白歌合戦プロデューサー巨額横領事件」など、中村氏が手がけたスクープ記事の裏側が紹介されている。

 それ以外で中村氏に印象深い仕事を訊ねると、「光市母子殺害事件」の被害者である本村洋氏の単独インタビューに最初に成功した話をしてくれた。
「本村さんのときは現場に最後発で乗り込んだんですよ。
こちらは記者クラブに入っていないし、本村さんもどこにいるのかわからず、誰にも相手にされない状況でした」
 取材の世界には『現場100回』という言葉がある。
事件現場に何度も足を運べ、という意味だ。
中村氏は文字通りそれを実践していく。

「といってもご近所はすでに他の記者が回ったあとですから、誰も手つかずのところを探し歩いていたら、山を越えたところに加害者家族が住んでいた住宅街を見つけたんです。
そこはどこの記者もまだ来ていませんでした」
 そこで聞き込んだ加害者の横顔を記事にした。
それが本村さんの琴線に触れ、どこのメディアもまだできなかった単独インタビューに成功するきっかけになったという。
本村さんのご両親も見つけた作業もすごい。

「僕は葬儀では花輪をよく見ます。
亡くなられた本村さんの奥様とお子さんのお葬式の写真に1枚だけそれが写っているのがあって、誰から送られてきたものかルーペで名前を確認したら、本村姓のものがあった。
親族に違いないと思って、電話帳でしらみつぶしで探しました。

本村姓のお宅に電話を掛けて、違っていたら定規で線を引いてその名前を消す。
そうやって一軒ずつ潰していって、隣の県で見つけました」

 本では駅のホームで起きた殺人事件の目撃者を探すため、始発から終電まで改札に張り込んで利用客に尋ねていくエピソードも紹介されている。
その駅で見つからなければ隣の駅へ。
早朝から深夜まで毎日地道に聞き込んで、ひとりの目撃者を見つけたのである。
 中村氏は「スクープを取るのに特別なことはなく、普通のことしかしていない」というが、その普通が尋常ではない。

──私はスクープを取るのは一種の才能だと思っています。自分にはその才能がありませんでした。中村さんはスクープを取る能力についてどう思いますか。

「性格、パーソナリティーという部分が大きいかもしれません。
よく、『人当たりが良くて誰からも好かれるタイプで云々』とスクープを取る記者像が語られますが、そんなことはありません。
いろんなタイプのスクープが取れる記者がいると思います」

──中村さんはどんなタイプですか。

僕はものすごく人の話を聞きますね。
役に立つ立たない関係なく聞きます。
他の記者から『よくあんな役に立たない話を聞いていられるな』と呆れられるぐらい聞きます。我々の仕事って、人様の話が先にあって成立するじゃないですか?

 凶悪犯であっても普通の市民であっても、僕は真摯に耳を傾けたいというのが信条でもあります。
そういう人への共感力というのが強いのかもしれません

──また情報源、いわゆる「ネタ元」という存在もあります。私もかつてネタ元と考える人と付き合うようなことをしていましたが、どうも功利的な人間関係に疲れてしまいました。中村さんはどうですか。

「よく若い記者からも『ネタ元はどうやって見つけるんですか』と聞かれるんですが、基本は身の回りの人を大切にすることからですよ。
僕も損得関係から人付き合いしたことがありますけれど、やはり長く続きません

──でもそれだと結局「好き嫌い」で人と付き合っていることになり、交友関係が狭くなりませんか。

「あ、僕は人の好き嫌いってそんなにないんですよ。
どの人も等距離というか。そこは変わっているのかもしれません」

──夜に人と飲むのは欠かさず?

「文春時代は毎晩でしたね。僕はお酒飲めないんですが、ウーロン茶片手に毎晩ずっと酒席にいました」

──人の付き合い方で励行していることはありますか。たとえばよく聞く、掲載誌を送るときに直筆の手紙を添えるとか。

「むかしそういうのやってましたけれど、長続きしなかったですねえ(笑)そこまで筆まめじゃないというか(笑)」

──ですよね? ああ良かった(笑)

「でも週刊誌にいると苛酷な人間関係にさらされるんです。
飛鳥涼のシャブのときも、親しいと思っている人から『あいつは暴力団からカネ貰っている』とかデマを流されました。
付き合いうと危険と思われて、電話しても出てくれないとか、ネタ元が一切いなくなる。
孤独感に苛まれるところがあります」

──その中で仕事の情熱を支えていたのはなんですか。

「僕が文春に来たのは30歳で遅いスタートなんです。
結婚して子どもも生まれたのに、人脈もなにもない。
人と同じことしていてはいけないと思って、がむしゃらに取材してきただけですよ。
娘からは『パパはお酒も飲まないしギャンブルもしないし、なにが面白いの?』って聞かれるんですが、ほんとそうですよ。
仕事が面白いといえればいいんですが、なかなかそうもいかないですよね(笑)」

──なにが楽しみなんですか(笑)

「海外旅行と動物見ることですかねえ。家で鳥飼ってますし、猫カフェもいきます(笑)」
 現在取り組んでいるのは人物評伝。
「著名人ではなく無名な人。無名だけど面白い人を世の中に届ける本が書きたい」。

スクープ記者が発掘する無名伝だ。面白くないはずがない。

〈なかむら・りゅうたろう〉
1964年生まれ。大学卒業後、会社員を経て95年から週刊文春編集部で勤務。
数々のスクープをものにし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞」を最多の3度受賞する。
本書は初の単行本。現在は雑誌だけでなく新聞テレビラジオでも活躍している。
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2016年10月12日

なぜ、モノより経験にお金をつかう人のほうが「幸せ」なのか

なぜ、モノより経験に
お金をつかう人のほうが
「幸せ」なのか
2016.10.11 TABI LABO

幸せの定義って難しいですよね。
価値観は人それぞれだし、幸せだと思っていたことが、ある日とつぜん180度ひっくり返ることだってあります。
でも、「Elite Daily」で紹介されていた「モノではなく、経験にお金を使うべき理由」という記事は、そのひとつのヒントになるかもしれません。

20年以上「お金と幸福の関係」を研究してきたコーネル大学の心理学教授、トーマス・ギロヴィッチ氏によると、私たちは物質的なもの(家や電子機器、洋服など)を購入するよりも、ライブやコンサート、美術展、旅行などを経験したほうが、より多くの幸福を得られるという。

さらに、経験のほうが場合は、出費に対する後悔も少ないというのだ。

01. 人生はダイヤモンドを買うために
       あるのではない
       経験は、あなたの一部となる

ギロヴィッチ教授は、同じお金をかけて商品を買った人々と、経験を買った人々の満足度を調査。
最初の時点ではほぼ同じくらいの幸福度であると位置づけられていたが、しばらく時間をおいてから再び調査を行うと、経験を買った人々の満足度が上がったのに対し、商品を買った人々の満足度は下がっていったのだ。

ギロヴィッチ氏はこう語った。
「幸福の敵のひとつに私たちの適応能力があります。
例えば何か嬉しくなるようなものを買うとします。
すると一旦はとても幸せな気持ちになるのですが、私たちはそれに適応してしまうのです。」
これは「消費のパラドック」と呼ばれるもので、商品は一度手に入れれば、どんどん自分の中で価値が薄れ、さらに違うものが欲しくなってしまう。
新しいiPhoneが出たら、次から次へと購入したくなるのもこれだ。
この消費のパラドックの繰り返しなので、欲望を満たすことは難しい。

一方で経験は、この先も繰り返し語っていけるような、素敵な思い出になる。
そして、その経験から得たことはあなたのアイデンティティの根深い一部となる。
さまざまな経験をすることで、なりたいと思っていた自分像にも、近づけるようになるのだ。

02. 人とのつながりを生む 経験はさらに、
人とのつながりも生みだす。
しかし、高級品を購入したところで誰かとつながる、ということはあまりないだろう。

新しい土地に旅に出れば、誰かと出会うかもしれない。
同じ経験をした人と、いつかどこかで意気投合するかもしれない。
自分の経験を誰かに伝えることで、その人の興味を刺激し、人生を変えることだってあるかもしれない。
人との出会いやつながりは、お金では買えないもの。
でも経験を買うことで、あなたは人間関係を広げ、世界を広げることができる。

03. 値札を外して 世界に出ていこう

経験は、商品のように簡単に価値が分かるものではない。
どちらの経験が素晴らしいかなんて、比べようのないものだ。
その経験を通して感じたこと、学んだこと、浮かんだインスピレーション、それこそが値段のつけられない価値なのだ。

つい人と比べて落ち込むことも多い競争社会において、ゆるぎないあなただけの自信となるに違いない。
必要のないものを買い続けて、気づいたら購入してから数週間ほどで捨ててしまうものが増え、大量生産・大量消費のサイクルの中に入っている。

人生を豊かにしてくれるのは、高級なバックでも宝石でもない。
あなたのビジネススキルを上げてくれるのは、イタリア製のスーツや靴なんかじゃない。
幸福を手にしたいなら、私たちはもっと積極的に「経験」をするべきではないだろうか。
Licensed material used with permission by Elite Daily
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2016年10月13日

高齢者世帯の平均貯蓄は2430万、のまやかし…政府の調査、厳しい単身世帯を除外

高齢者世帯の平均貯蓄は
2430万、のまやかし…
政府の調査、厳しい単身世帯を除外
2016.10.12 Business Journal編集部

 今年は9月19日が敬老の日だった。
かつては9月15日と決まっていたが、祝日法改正(いわゆるハッピーマンデー制度)に伴い、2003年から9月の第3月曜日になった。

その敬老の日に合わせて総務省が「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」の報告書を取りまとめて公表した。

 概要は次の通りだ。
(1)高齢者の人口  
高齢者人口は3461万人で、総人口の27.3%と過去最高(9月15日現在の推計)。女性は1962万人で30.1%と、初めて30%を超えた。国際的に見て主要国で最高(米国は15.2%)である。
(2)高齢者の人口移動  
15年の高齢者の転出超過数を都道府県別に調べたものでは、東京都が5423人と最も多く、次いで大阪府の1101人など、24都道府県で転出超過となっている。
転入超過は埼玉県が2056人で最多。
次いで千葉県、神奈川県など23府県で転入のほうが多かった。
ちなみに、なぜこうした結果になったかの分析はない。
(3)高齢者の就業  
高齢者の就業者数は12年連続で増加し、730万人と過去最高。
就業者総数に占める割合は11.4%と、こちらも過去最高。
高齢被雇用者の7割超は非正規の職員・従業員で、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が働く理由で最も多かった。
(4)高齢者の暮らし
ICT(情報通信技術)を活用する高齢者が増加。
健康に気を配り、趣味を楽しむ高齢者というイメージだ。
(5)高齢者の家計  
高齢者世帯の貯蓄現在高は1世帯当たり2430万円。
インターネットショッピングの利用が10年間で3.6倍になった。
交際費、保健医療の支出割合が高い。

貯蓄額は2430万円、730万人が就業中  
気になる項目を検証してみよう。

 まず、高齢者の就業状況である。
高齢就業者は730万人。就業率は米国の18.2%を上回り21.7%と主要国でトップ。
フランス(2.6%)の8倍以上となっている。
経営者や役員を除く被雇用者は360万人で、そのうちの74%、267万人がパート・アルバイトや派遣など非正規の職員・従業員だ。

 この267万人は、自身の雇用形態について次のように答えている。
(1)自分の都合のよい時間に働きたいから…31.7%
(2)家計の補助・学費を得たいから…20.1%
(3)専門的な技能等を生かせるから…14.9%
(4)正規の職員・従業員の仕事がないから…8.8%

「家計の補助」という回答は2割にすぎないが、「自分の都合のよい時間に働きたい」と回答した人のなかにも、副次的には「家計の補助」という理由が含まれている可能性がある。

 次に、高齢者の暮らしぶりはどうだろうか。
 まず、「ICTを活用する高齢者が増加」との記載がある。
ICTは総務省の重点政策でもある。
この報告書では、5年前と比べICTを活用する高齢者が増えていると指摘している。

 さらに、65歳以上の高齢者世帯は、パック旅行の年間支出金額が6万円超と最も高く、サプリメントなどの健康保持用摂取品の支出金額も2万円超で、「健康に気を配り、趣味を楽しむ高齢者」と位置付けている。

 注目は高齢者の家計だ。高齢者世帯の貯蓄現在高が1世帯当たり2430万円となっている。
ここでは「貯蓄現在高は貯蓄額の高い世帯によって引き上げられている」点を指摘し、中央値(貯蓄額の低い世帯から高い世帯へ順番に並べた際にちょうど中央に位置する世帯の値)は1547万円だった。
一握りの富裕層が全体の数字を引き上げているわけである。

 ICTを活用している高齢者世帯は、ネットショッピングにも積極的だ。
この10年間で利用世帯は3.58倍に急増。
高齢者世帯の13.6%がネットショッピングを利用している。
支出金額では旅行関係費が22.5%と最も高く、ほかの世代と比べると医薬品・健康食品への支出が多いのが特徴だ。

 この「統計からみた我が国の高齢者」から思い浮かぶのは、生活にゆとりがあり、ネットを活用して旅行や趣味を楽しむ一方、時間をやりくりして仕事も継続している姿だ。
プチ富裕シルバー像といっていいのかもしれない。

調査対象は二人以上の世帯で
単身者世帯は除外  

注意してほしいのは、暮らしや家計については、調査対象が「世帯主が65歳以上である二人以上の世帯」となっていることだ。
いま、大きな問題となっている一人暮らし高齢者は除外されているのである。
一人暮らし高齢者は、10年には男性約139万人、女性約341万人の合計約480万人に達している(内閣府調査)。
 15年の推計値は男女合計で約600万人とされ、高齢者全体の17%を占める。
この人たちのデータが欠落しているため、一人暮らしの単身世帯で問題となっている孤独死や低所得、住宅難といった問題が、まったく見えてこないのである。

 それだけではない。高齢者をターゲットとした犯罪、高齢者が加害者となる犯罪、交通事故、認知症患者の急増、老老介護といった社会問題がすっぽり抜け落ちている。

「敬老の日」にちなんだ報告書だから、明るい高齢者像にしたのかもしれないが、こんな“幻想”に国民はだまされない。
 25年には団塊世代が後期高齢者となり、高齢化の問題はますます深刻となる。
独居老人はまさに待ったなしの状況が続いているのである。
安倍政権には、どこまで危機意識があるのだろうか
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2016年10月14日

自民が狙う年金「強制減額」 無年金者救済法案を“人質”に

自民が狙う年金「強制減額」
無年金者救済法案を“人質”に
2016年10月13日 日刊ゲンダイ

 国民の年金を何だと思っているのか。
安倍政権が臨時国会で成立させようとしている悪評ふんぷんの「年金制度改革関連法案」。

現在、公的年金の支給額は「物価」の変動に合わせて上下しているが、この法案が成立すると「物価」と「賃金」のうち下落幅が大きい方に合わせて減額され、最悪、物価が上がっても“強制減額”されてしまう。

安倍政権はこんな悪法を“無年金者救済法案”と抱き合わせで強行しようとしているのだ。

 民進党国対幹部はこう言う。
「年金を受給するのに必要な保険料支払期間を、25年から10年に短縮する『年金機能強化法改正案』は、民進党が長年、成立を求めてきたものです。
これで64万人の無年金者が救われる。
ところが自民党は、“無年金者救済法案”は、“減額法案”とセットでなければ審議に応じないというのです。

安倍総理自身も5日の参院予算委で『セットで審議を』と言っていた。
“減額法案”単独では、野党が採決に応じないということが分かっているからです。
両法案を分割することを求めても、聞き入れる様子はありません」

 強化法改正案が成立すれば、来年10月にも約64万人の無年金者が年金を受け取れるようになる。
厳しい生活を送る高齢者にとっては、法案成立の可否は死活問題と言っていい。

 それに対し、“年金強制減額法案”はヒドイ中身だ。
厚労省の出したデータを基に試算した民進党の井坂信彦衆院議員によると、「仮に“減額法案”が10年前に成立していたとしたら、10年前に比べ現在の年金額は5・2%減っていた可能性がある」という。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「政府は年金給付額を絞るため、“無年金者救済法案”と“減額法案”を『アメとムチ』にしているようにしか見えません。
1年3カ月で10兆円以上の損失を出したGPIFもそうですが、安倍政権は、年金を自分たちのサイフのように思っている。
国民の不信感は募るばかりです。
なぜこんな法案を成立させる必要があるのか、政府は国民に対し明確に説明する必要があります」
 無年金者を救いたければ、“強制減額”をのめ―
 ―人質を取ったようなやり方は許されない。
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2016年10月15日

レタス1個500円! 「肉より高い」野菜異常高値に悲鳴が

レタス1個500円!
「肉より高い」
野菜異常高値に悲鳴が
J-CASTニュース 10月14日(金)18時35分配信

 「レタス高いからキュウリで!」――あるツイッターユーザーが自家製サンドイッチの写真を投稿して、こうつぶやく。

 2016年9月に日本列島を襲った台風、そして長雨の影響で野菜の価格が高騰している。
中でもレタスは10月になっても目を疑うような値段で販売されており、1玉500円も珍しくない。
サラダやちょっとした添え物、日々の料理に欠かせない野菜だけにネットで「ワンコイン!? 」「肉より高い」といった声が相次いでいる。

■家庭菜園に踏み切る人たちも

 野菜の高騰が止まらない。
原因とみられるのは、16年9月に相次いだ台風や秋雨前線の停滞だ。
気象庁が10月3日発表したところによると、9月の日照時間は東・西日本、沖縄・奄美でかなり少なく、西日本の日本海側では統計を開始した1946年以降で最少になった。

一方で雨量は多く、西日本では平年比180%以上を記録。
日本各地で土砂災害が起こった。
平均気温も例年に比べて高かったという。

気温が高いわりに日照時間が短い、ぐずついた天候となった。
 そんな天候も影響し、野菜は例年に比べて高値で推移、中でもレタスは目に見えて「高い」。

マスコミ報道によると、一部地域では例年の2倍近くにはね上がっているという。
ツイッターには、   
「肉より高い」   
「買い物が進まない」   
「ゲェーッ!ワンコイン!? 」 と驚き、嘆きの声が寄せられている。

ツイッターを見ると、一部の家庭は料理の具材を他の野菜に変えたり、家庭菜園での栽培に踏み切ったりと、さまざま工夫でレタス高騰をしのいでいるようだ。

農水省の見通し......  
記者が16年10月14日、東京都千代田区内のスーパーを5店舗回ったところ、1玉278円から498円(いずれも税抜き)と価格にばらつきがあった。
一方、キャベツは1玉100円台で販売している店舗も多く、レタスとの価格差が著しい印象だ。  

となると、気になるのはこの高値が今後も続くのかどうかだ。
 農林水産省が9月30日に発表した「野菜の生育状況及び見通し」によると、レタスは主要生産地の長野県や茨城県での生育状況が平年並みのため、出荷量や価格は10月を通してみれば、平年並みに戻る見通しだ。
 一方、ダイコンやニンジン、ホウレンソウ、キュウリ、ピーマン、ジャガイモ、ナス、トマトに関しては、10月になっても高値で推移するようで、「完全復旧」とまでは言えないかもしれない。
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2016年10月16日

減額幅の提示拒否 安倍自民“年金カット法”で老人いじめ

減額幅の提示拒否
安倍自民“年金カット法”で
       老人いじめ
2016年10月15日 日刊ゲンダイ

 安倍政権はどうしてもお年寄りへの年金給付額を削りたいようだ。
今国会の紛糾の種になりつつある「年金カット法案」。

成立してしまうと、最悪、物価が上昇しても“強制減額”されてしまう。
老人いじめのトンデモナイ悪法なのだが、政府・与党は予想される減額幅が示されないまま、審議を強行しようとしているのだ。

 カット法案を徹底批判する民進党は、法案が成立した場合の減額幅の試算を公表するよう政府に求めているが、所管の厚労省は「将来の経済状況によるので試算はできない」と拒否し続けている。
年金がいくら削られるかハッキリしないのなら、審議を始めても議論は深まらない。
厳しい生活を送る高齢者にとって、減額幅は最大の不安の種でもある。
「過去10年間の経済状況に当てはめれば、どれくらいの影響が出るかはある程度予測できるはずです。

民進党の独自の試算では、10年前にこの法案が成立していた場合、現在の給付額が10年間で5.2%減る可能性がある。
金額ベースだと、国民年金は年間4万円、厚生年金は年間約14万円も減少する計算です。

自民党議員にも独自の試算を出すように記した要望書を手渡したのですが、返答は一切ありませんでした」(民進党国対関係者)

 衆院厚労委員会では民進党が徹底抗戦し、結局、13日行われる予定だった理事懇談会は中止。
与野党間の調整がつかず、14日行われる予定だった審議は流会となった。

「要望書を手渡した自民党議員からは『来週の理事懇談会に応じなければ、“やっぱり民進党は批判政党”とマスコミに話すしかないね』と憎まれ口まで叩かれました」(前出の民進党国対関係者)
 自民党はどうしても審議入りしたいのだろうが、年金の減額幅の試算なしでの“強行”は許されない。
「国民の年金が危機にさらされているわけですから、厚労省から試算が示されないのならば、私たちは審議に応じることはできません。
安倍政権側は常日頃『対案を出せ』と言っていますが、私たちは独自に試算を出しました。
こちらこそ、『具体的な中身を出せ』と言いたい。
国民の年金を軽視することは許されません」(民進党の柚木道義衆院議員)

 結局、安倍自民党は庶民の生活なんか興味がないんだろう。
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「象徴」天皇を作り上げた今上天皇の意思とは?

「象徴」天皇を作り上げた
今上天皇の意思とは?
2016年10月16日 09時00分 Wedge
足立倫行 (ノンフィクションライター)

 8月8日午後3時、天皇陛下は「象徴としての務め」に関して約11分にわたる異例のビデオメッセージを公表された。
その波紋は時と共に、社会の各方面に広がっている。

 82歳の陛下は、「身体の衰えを考慮する時、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなる」と目下の懸念について述べた後、公務の縮少や皇太子による摂政などの代案に対しては「地位と活動は一体」が持論の陛下らしくこれを否定し、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことを念じる」と話された。

■国民への語りかけ

 つまり、自らが元気なうちに譲位したい、「生前退位」はできないものだろうか、という国民への語りかけである。
 陛下が「退位」という言葉を使わなかったのは、使えば「国政に関する機能を有しない」と規定した日本国憲法に抵触する恐れがあるせいだ。
だがメッセージには、「それでも言わねば」という切実性が込められていた。

 なぜなら、現行の皇室典範では、皇位の継承が天皇崩御の際と決められているが、「生前退位」に関しては何ら規定がないからだ(天皇の退位規定は戦前の明治憲法下の旧皇室典範にもなかった)。
 もう一つは、陛下自身の老いの自覚である。
 実在の証明が難しい上古の天皇を除くと、80歳以上で在位していたのは、先代の昭和天皇と今上天皇の2人のみ。
陛下はまさに、超高齢化社会を体現する天皇なのだ。

 そして、陛下は2011年に心臓の冠動脈に狭窄が見つかり(翌年、心臓バイパス手術)、13年には自らの葬送について、従来の土葬(=古墳)ではなく簡素な火葬形式にしたいと語るなど、健康の不安から自らの寿命について明らかに意識しておられた。

 皇位継承順位第1位の皇太子殿下が現在56歳になり、陛下が即位された55歳という年齢をすでに越している、という事情もあるのかもしれない(あるいは、長い間体調不良だった雅子妃が、最近いくつかの公務に皇太子殿下ともども出席されるようになったというタイミングも?)

 今上天皇は、日本国憲法により、「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とされた純粋に初代の象徴天皇である。
 1946年に「人間宣言」した昭和天皇も戦後は象徴天皇になったが、戦前・戦中は「天皇ハ神聖ニシテ侵スへカラス」の絶対権力者であり、形の上であれ軍隊を指揮する統帥権まで担っていた。
象徴天皇になった後も、「君主」の面影はどこかに残っていた。

最初から「象徴」だった今上天皇  ところが今上天皇は、最初から「象徴」だった。
「象徴」の中身を具体化するため、お言葉通り「全身全霊」で取り組まれた。
 美智子皇后と共にもっとも努力を傾注されたのが、戦没者の慰霊と被災者、障害者への慰問の旅だ。

2011年の東日本大震災の後、すぐに避難所を訪れ、両膝をついて被災者に声かけをされていた天皇・皇后両陛下の姿は、多くの国民の目に焼き付いている。


 今上天皇が即位以降28年間に訪れたのは、全国47都道府県の535市町村に及ぶ由。
 文芸評論家の片山杜秀氏は、陛下が「天皇の象徴的行為」として大切にしてきたこのような旅を、古代の天皇につながる「国見(くにみ)」と捉える(8月24日付、朝日新聞)。

 〈天の香具山登り立ち国見をすれば国原は煙立ち立つ〉舒明天皇
 山上から国を見て民の飯を炊く煙に安堵する、それが『万葉集』の中の天皇だった。

 「国見の思想と戦後民主主義が切り結ぶと、象徴天皇は旅人になる」と片山氏は言う。
旅をし、国民と共感共苦する天皇。それができなくなれば退く天皇……。
 やはり、摂政などの代行ではダメなのだ。


 推察するに、象徴天皇の具体像を作り上げた陛下は、次代の皇位継承者にすみやかに「象徴」が移行することを見届けたい、それがご自身の最後の使命、とお考えなのだろう(むろん、皇太子殿下ご夫妻が両陛下のように「旅人」を志向されるとは限らない。
妃殿下の健康のことがあるので、「労わり合う天皇・皇后」像の可能性もある。
それはそれで、きわめて今日的な「象徴」の姿と言える)。

熟慮の結果

 ところで、江戸時代まで天皇の「生前退位」は頻繁にあったのに、なぜ新(旧)皇室典範には退位規定がないのか。
1984年の国会で宮内庁次長が挙げた理由は次の3点だ。
@退位した天皇が天皇を超える上皇・法皇になって、二重権威の弊害が生じ得る。
A天皇の自由意志に基づかない退位の強制があり得る。
B天皇が恣意的に退位すると、憲法に定める象徴天皇の理念と矛盾してしまう。

 しかし、どうなのだろう。@の念頭にあるのは平安・鎌倉時代の院政だが、現代で起こり得るだろうか。
むしろ、皇學館大学講師の村上政俊氏が言うように、「天皇を上皇陛下が輔導し、皇太弟殿下が支える」「明るい院政」(『新潮45』10月号)が生まれるかもしれない。
 ABにしても、今の皇室典範の摂政を置く時の規定、「精神若(も)しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからできないとき」を、そのまま「摂政設置か退位」の規定として適用できそうだと思うのである(あるいは、文面の条件の中に“高齢”も加えるか)。
 いずれにせよ、職業選択の自由がなく、婚姻の自由も表現の自由も大幅に制約されている、「日本国民の総意に基づく」象徴天皇が加齢に伴う体力の限界について塾考された結果、「退位したい」と訴えておられるのだ。

 報道によれば政府は、皇室典範には手をつけず、今の陛下に限って「生前退位」を認める特例法を制定する方向で検討中だという。
 けれど、それではあまりにもおざなりではなかろうか。

皇族が減少一途の昨今、宿題だった女性宮家の再検討なども含め、「生前退位」についてはやはり本格的に協議して皇室典範を改正すべきだと思う。
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2016年10月17日

蔓延する「エセ科学」商法の正体…水素水、コンビニ弁当危険説、マイナスイオン

蔓延する「エセ科学」商法の正体
…水素水、コンビニ弁当危険説、マイナスイオン
2016.10.14 Business Journal
  文=大野智
/医師、大阪大学大学院医学系研究科
            統合医療学寄付講座准教授

「疑似科学(ぎじかがく)」という言葉をご存知でしょうか。
エセ科学、ニセ科学、トンデモ科学などともいわれています。
疑似科学は、理論上は筋が通っているように錯覚するため、その正誤を見抜くことがなかなか難しかったりします。

 そして、一部の疑似科学は、消費者を騙すために悪用され、いわゆる悪徳商法につながっているケースもあります。
 今回、疑似科学を用いた商売にありがちなパターンについて紹介したいと思います。
ちなみに、今回具体例として挙げたものが、すべて悪徳商法ということではありません。
また、特定の企業を名指しで批判しているわけでもありません。
できるかぎり多くの人が「聞いたことがある」「知っている」といった事例を取り上げて、疑似科学がどのように悪徳商法に利用されているかの理解を助けることが目的です。

 疑似科学を用いた商売のパターンは、次のようなかたちです。
(1)ものごとに白黒をつけて「善悪」を明確化する
(2)身の回りの話題に触れながら「不安や恐怖」を煽る
(3)都合よく不安や恐怖を解消する商品の宣伝  

では、順番に確認していきましょう。
1)ものごとに白黒をつけて「善悪」を明確化する
 まず、商売を始めるにあたっての前提条件や前振りとして、ものごとを「善」と「悪」といったかたちで白黒をつけてきます。
「プラスイオンは体に悪くて、マイナスイオンは体に良い」
「食品添加物や農薬は猛毒。無添加・無農薬の食品がベスト」
「活性酸素は万病のもと」
 ちなみに酸素に対応するかたちで「水素は体に良い」として水素がたくさん含まれている水というのもありました。
このような煽りを見たり聞いたりしたことがある人は、多いのではないでしょうか。

 ポイントは、できるかぎりわかりやすく白黒をつけることです。
人は、ものごとが単純化されると理解しやすくなります。
ここでは、とにかく何が悪者なのかを、ひとりでも多くの人に知らしめることが目的になってきます。
さらに、細胞実験や動物実験などのデータを切り貼りして、なんとなく科学的な説明(疑似科学)を付け加えることで、その悪役っぷりを強調してきます。

2)身の回りの話題に触れながら「不安や恐怖」を煽る
 ものごとに白黒(善悪)をつけて準備が整うと、次に身の回りにある具体的な事例を挙げながら、いかに悪いものが世の中に蔓延しているかを主張します。
「電子レンジで調理するとプラスイオンが大量発生」
「コンビニ弁当は食品添加物だらけ」
「スーパーの安売り食品に農薬汚染発覚」

 そして、その悪者に認定されたものが、体に悪影響を与えていて、さらに命が危険に晒されているなどと主張し、人を不安や恐怖に陥れます。
このときにも、なんとなく科学的な説明(疑似科学)が活躍します。
「風が吹けば桶屋が儲かる」の故事ことわざのごとく、こじつけや論理の飛躍を駆使して主張を信じこませます。
さらに陰謀説を織り交ぜてくるなど、手の込んだ主張をしてくることもあります。
 具体的な事例が現実とかけ離れていたり、主張が論理的に破綻していたりしてもお構いなしです。
ここでは、とにかく人を不安にさせたり恐怖を感じさせたりして、感情を揺さぶることができれば目的達成です。
なぜならば、人は感情が揺さぶられると冷静な判断ができなくなるからです。

(3)都合よく不安や恐怖を解消する商品の宣伝
 人は誰しも不安や恐怖を抱えたままでは安心して生活できません。
なんとか不安や恐怖を解消すべく行動するのが人の常だと思います。
ここで、都合良く願いを叶えてくれる商品の登場です。
「このマイナスイオン発生装置で活性酸素撃退」
「水素水で活性酸素消去」
「無添加・無農薬の食品で健康生活」

 商品を宣伝・販売している人物は、世の中の悪を退治する英雄さながらの演出をしてきます。

「さらに真実を知りたい人はコチラへ」と、書籍の購入やセミナーへの参加を促すこともあります。
ここでも、なんとなく科学的な説明(疑似科学)を用いて、いかに商品が体にとって良いものかが強調されます。
そして気がつくと、本当に効果があるのかどうかもわからない、しかも冷静に考えれば明らかに実態とはかけ離れた高額な商品を勧められるがまま購入しているのです。
 これで、悪徳商法の完成です。
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2016年10月18日

「新潟」野党勝利 再稼働反対の意思示す

「新潟」野党勝利 
再稼働反対の意思示す
2016年10月17日 東京新聞「社説」

 新潟県知事選は野党三党推薦候補が与党推薦候補に勝った。
当初の与党楽勝ムードを吹き飛ばして激戦を制したことは、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に対する県民の反対の強さを全国に示した。

 知事選は泉田裕彦知事の任期満了に伴うもので、無所属新人四人が立候補した。
共産、自由、社民三党が推薦する医師の米山隆一氏(49)と、自民、公明両党が推薦する前長岡市長の森民夫氏(67)との事実上の一騎打ちとなった。

 泉田氏は四選出馬の意向を表明していたが、知事選告示の一カ月前に急きょ断念を表明。
当初は森氏以外に主要候補はなく、与党候補楽勝のムードすら漂っていた。
 選挙戦の構図を一変させたのは米山氏の立候補表明だった。

 米山氏は民進党の衆院新潟5区公認候補に決まっていたが、離党して知事選に立候補。
民進党が自主投票にとどめたため、同党以外の共産、自由、社民の三党が推薦し、野党統一候補の形を整えた。
 主要な争点は柏崎刈羽原発(柏崎市など)の再稼働問題だった。
この原発には七基の原子炉が集中し、三十キロ圏には約四十六万人が住む。
住民の安全確保は県知事にとって最優先事項である。

 官僚出身の泉田氏は一期目から自公両党の推薦を得てきたが、再稼働については「福島事故の検証が終わるまで再稼働の議論はしない」と厳しい姿勢を貫いてきた。
 共同通信社が新潟県内の有権者を対象に行った電話世論調査でも柏崎刈羽原発の再稼働に「反対」と答えた人は60・9%に上り「賛成」は24・2%にとどまる。

 米山氏はその「泉田路線」の継承を表明し、森氏も「泉田知事が育てた県の技術委員会の意見をしっかり聞き、安全という確信がなければ反対と言う覚悟がある」などと訴えたが、県民は森氏の姿勢を支持しなかった。
 安倍政権は選挙で示された民意を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。再稼働を既成事実化してはならない。

 七月の参院選では民進党など野党四党の統一候補が与党候補に競り勝ったにもかかわらず、県知事選で民進党は支持組織の連合傘下に電力総連がある事情から早々に自主投票にとどめた。  

終盤になって蓮舫代表が米山氏の応援演説に駆け付けたが、与党と野党のどちら側につくのか、国政選と地方選との違いがあるとはいえ、軸足が定まっていないことを露呈した。
猛省して今後の選挙戦略を練り直すべきである。
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2016年10月19日

防衛省職員から総スカン クビが迫る稲田大臣の情緒不安定

防衛省職員から総スカン
クビが迫る稲田大臣の情緒不安定
2016年10月18日 日刊ゲンダイ

「直ちに我が国の安全保障上、何か影響がある事態ではない」。
16日、北朝鮮が新型中距離ミサイル「ムスダン」を発射、失敗した─―との情報について、民放番組出演後に記者団に対してこう語った稲田朋美防衛相。

だが、防衛省内では「安全保障上の差し迫った問題は北朝鮮よりも大臣だ」なんて声が広がっている。
 衆院予算委で日米安保や核武装、尖閣諸島問題などを巡る過去の発言を野党議員に繰り返し追及され“半べそ”状態になった稲田大臣。
自業自得とはいえ、こんな親分の姿にカンカンなのが現場の防衛省職員や自衛隊員である。

現役職員がため息交じりにこう言う。
「大臣就任当初は確かに評判が良かった。
『弁護士出身だけあってのみ込みが早い』なんてね。
でもいっときだった。
最近は起案する時、必ず関係法令を『全部書きだして』とか言うのです。
机の上に分厚い六法全書を置いてね。
中谷前大臣の時は、大ざっぱな箇条書きで済んでいたのに、現場職員はテンヤワンヤです。
揚げ句、国会答弁で泣きべそですから。

そんな人が内戦状態の南スーダンに隊員を派遣し、『駆け付け警護』の任務の可否を判断するのですから冗談ではありません。
省内ではシン・ゴジラならぬ『稲田ゴジラ』なんて囁かれています」
 政権の御用学者からは「稲田大臣の発言は過去のこと。今、問題にするのはどうか」なんて擁護する声も出ているが、バカも休み休み言ってほしい。

立場や肩書で政治主張がクルクル変わるのであれば、有権者は何を信じるのか。
米大統領選の共和党候補であるトランプも連日、差別、侮蔑的な発言をしているが、仮に大統領に就いたら、「過去のこと」と問題視されないのか。
違うだろう。

軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。
「南スーダンでは、国連PKOに派遣されている中国軍も撤退を検討し始めたと報じられています。
それほど緊迫した状態にあるのに、日本の防衛大臣は国会で情緒不安定な答弁を繰り返している。
これではすでに派遣されている南スーダンの自衛隊員はやってられません。
隊員の命が失われるなど取り返しのつかない事態になる前に、早く稲田大臣を交代させるべきです」

 稲田氏を防衛大臣に起用した安倍首相も衆院予算委で「(南スーダンは)永田町と比べればはるかに危険な場所」なんて能天気なことを言っていた。
自衛隊員が怒るのも当然だ。
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2016年10月20日

なおも野党共闘に二の足…民進“蓮舫&野田おろし”現実味

なおも野党共闘に二の足…
民進“蓮舫&野田おろし”現実味
2016年10月19日 日刊ゲンダイ

 あらためて「野党共闘」の威力を見せつけた16日の新潟県知事選。
共産・社民・自由が推薦した米山隆一氏が自公推薦の森民夫氏に勝利した。
自民党本部は二階幹事長や古屋選対委員長ら幹部が新潟入りし、なりふり構わぬ総力戦を展開したのに、6万票もの差をつけられ呆然自失だ。

 安倍内閣の支持率が依然、5割をキープしているとはいえ、原発再稼働など国民の関心の高いテーマを争点にして、一騎打ちの対立構図を鮮明にすれば、野党は勝てると証明した新潟の乱。

夏の参院選の1人区で11勝を挙げたのも、野党が統一候補を立て、東北地方を中心にTPP反対で安倍政権を追い詰めたのが勝因だった。

 問題は、年末年始にも想定される解散総選挙だ。
14年衆院選のデータで見ると、民進、共産、社民、自由の野党4党が候補者を一本化すれば少なくとも59選挙区で自民を逆転できる。
 ところが、蓮舫代表―野田幹事長の現執行部が、選挙協力に二の足を踏んでいるのだ。
口では「野党連携」と言いながら、曖昧な姿勢に終始。
新潟県知事選も自公候補の支持に回った連合に気を使って、自主投票にしてしまった。
「出口調査で民進党支持層の8割が米山氏に投票していた。
つまり連合の票は2割に満たない。

蓮舫―野田執行部が野党共闘より連合を優先することに、どれほどの効果があるのかハッキリしました」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
 17日野田幹事長は記者会見で新潟県知事選の結果について、「『オール新潟』で戦った結果、安倍政権に対する県民の怒りの声が表れた」とまるで“勝者”の発言だったが、さすがに党内も呆れている。
「党内にはすでに蓮舫執行部に対する不満が充満しています。
ただ、23日投開票の衆院補選終了まで批判は控えようというのが『あうん』の呼吸です。
補選は2敗が濃厚です。
これが終わったら解散総選挙に向け、“野党共闘”の話し合いが本格化します。

蓮舫執行部が今までのような玉虫色の態度を続ければ、他党との信頼関係は築けない。
実効性のある野党共闘や候補者一本化が進まなければ、党内がガタガタしだし、蓮舫・野田おろしに現実味が出てきます」(民進党関係者)

 とにかく安倍自民は野党共闘の進展を警戒している。
新潟県知事選の劇的な結果を受け、蓮舫代表と野田幹事長が変わらなければ、安倍自民を喜ばせるだけだ
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2016年10月21日

機動隊員の沖縄差別は「土人」発言だけじゃない!「バカ」「シナ人」…差別意識を助長させる安倍政権

機動隊員の沖縄差別は
「土人」発言だけじゃない!
「バカ」「シナ人」…
差別意識を助長させる安倍政権
2016.10.20 LITERA(水井多賀子)  

沖縄への信じがたい蛮行が明らかになった。
政府によって強行的に米軍ヘリパッドの建設工事が進められている沖縄県の高江で、建設反対派として抗議運動を行っていた芥川賞作家・目取真俊氏に対し、機動隊員が「触るな、土人」などと発言していたのだ。

 このときの動画や音声はYouTube上にアップされているが、たしかに機動隊員が巻き舌で「触るなクソ、どこ掴んどるんじゃ、このボケ」と威嚇し、そのあと吐き捨てるように「土人が」とたしかに言っている。
 言うまでもなく「土人」は「野蛮」「未開人」という意味で使われる蔑視の言葉であり、差別用語として認識されているものだ。

沖縄県警によるとこの機動隊員は大阪府警から派遣された人物で、県警は19日、発言を認めて謝罪した。
菅義偉官房長官も慌てて「許すまじきこと」とコメントしている。

 しかし、今回の差別発言は、ひとりの機動隊員が「うっかり言ってしまった」という問題ではない。
実際、8月の時点から機動隊員が反対派市民に
「バカ」「気持ち悪い」「おまえなんか殴る価値がない」などと暴言を吐いていることが確認されており、今回の「土人」発言が飛び出した際にも、別の機動隊員が「黙れ、コラ、シナ人」と発言していたことが発覚しているからだ。

 本サイトではこれまで何度も追及してきたように、現在、高江では、機動隊による反対派市民への弾圧が苛烈を極め、機動隊員が反対派市民をロープで身体拘束するという逮捕・監禁罪に該当するような違法行為までまかり通っている。
 そうしたなかで、同時に警察が差別発言を平気で口にしていることは、決して無関係ではない。

 たとえば、米軍では戦地で躊躇なく人を殺すため、兵士たちに「相手は人間ではない」と教え込むが、そのために現地に住む人々を差別視することを叩き込まれてきた。
そして、ベトナム戦争時や、まさに占領期の沖縄で、米兵は住民たちを「Gook」、すなわち「土人」と呼んできたという事実がある。

 相手は自分よりも劣った「土人」なのだから何をしても許される。
──国家権力は暴力を正当化するため、差別感情を利用し、兵士たちにすり込んできたのだ。
いま、沖縄で横行しているのは、これとまったく同じことなのである。

 歴史を振り返れば、太平洋戦争においても沖縄は「本土」からの差別に晒されていた。
熊本憲兵隊が1927(昭和2)年に作成した『沖縄事情』内の文書では、「遅鈍悠長」「犠牲的精神ハ皆無」「盗癖アリ」「向上発展ノ気概ナシ」などという県民への偏見が綴られているという(琉球新報1999年4月11日付)。
これは1923(大正12)年の沖縄連隊区司令部報告の引き写しであり、〈偏見に満ちた沖縄人観が軍内部で引き継がれ、固定化されたことをうかがわせる〉ものだ。

 さらに、沖縄の軍備強化を謳った1934(昭和9)年の『沖縄防備対策』では、県民に軍隊の補完を要請する一方で、
〈軍事思想警察は、国家思想が確固としない彼らには行えない。
憲兵の配置が必要〉などと“県民の監視”の必要性を説いている。
その後、沖縄が本土決戦準備のための時間稼ぎという“捨て石”にされた背景に、沖縄県民への蔑視、偏見がなかったとは言えないだろう。

 こうした差別が、米軍基地を一方的に沖縄へ押し付けるという「構造的差別」につながり、現在の高江のように、公権力は暴力と差別をセットにして市民を弾圧している。
そして、戦時下では軍人たちが沖縄への偏見を露わにしたが、その役割はいま、政治家に移った。
 現に、橋下徹とともに安倍首相との距離を縮める松井一郎大阪府知事は、問題の「土人」発言について〈ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。〉などと機動隊員を擁護。
よりにもよって差別を肯定したのだ。

 また、鶴保庸介沖縄担当相も、沖縄への露骨な差別感情を隠そうとはしない。
鶴保沖縄担当相は就任早々「沖縄の振興策と基地問題は確実にリンクしている」
「予算額を減らすのは当然。
消化できないものを無理やりお口開けて食べてくださいよでは、全国民の血税で使われているお金を無駄遣いしているという批判に耐えられない」などと、沖縄を馬鹿にしているとしか思えない言葉を吐いたからだ。
 このような発言に、沖縄タイムスは〈沖縄の人たちを見下すような意識が見え隠れする〉〈「無理やりお口を開けて…」という表現は、県民を侮蔑した例え〉と社説で強く批判、琉球新報も安倍首相の任命責任に言及し〈信頼を失った沖縄担当相の更迭を判断すべき〉と迫った。

しかし、安倍首相が鶴保沖縄担当相の発言を問題視することはなく、もはや“失言”とさえ認識していないのだ。
 機動隊員による「土人」発言は、安倍政権が民主主義や基本的人権さえ奪って圧制しようとしている沖縄への態度があって、そこから生まれているものだ。
つまり、「土人」という差別発言は、政権の心情の発露でしかない。

 そして、忘れてはならないのは、今回問題となった機動隊員が大阪府警から派遣されていたように、「本土」が暴力と差別に加担しているということだ。
今月17日には、映画監督の高畑勲氏やジャン・ユンカーマン氏らが名を連ね、警視庁の機動隊員が高江に派遣されているのは違法だとして東京都都監査委員事務局に対し住民監査請求書を提出したが、「本土」からこそ、高江での暴力と差別を許さない空気を広げていかなくてはならないはずだ。
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2016年10月22日

介護業界、施設倒産ラッシュで危機的状況突入…行き場を失う高齢者続出

介護業界、施設倒産ラッシュで
危機的状況突入…
行き場を失う高齢者続出
2016.10.21 Business Journal

文=鷲尾香一/ジャーナリスト

 やはり、老人福祉・介護事業者の苦境は続いていた。
大手調査会社の東京商工リサーチが発表した2016年1−9月の倒産状況では、老人福祉・介護事業者の倒産が77件。
前年同期の57件から35.0%増となり、2000年に介護保険法が施行されて以降、もっとも早いペースで倒産が増加していることが明らかになった。

 負債総額は82億9600万円(同62.7%増)で、負債5000万円未満が53件(同39.4%増)と全体の68.8%を占め、設立5年以内の新規事業者が46.7%と約半数に上るなど、引き続き新規・小規模事業者の厳しい経営状態が浮き彫りになっているが、一方で負債10億円以上が2件発生しており、大手にも及んできていることがわかる。

 事業形態の内訳では、デイサービスセンターなどの「通所・短期入所介護事業」が32件(同39.1%増)と「訪問介護事業」の25件(同39.1%増)となり、さらに有料老人ホームも7件(前年同期は2件)発生している。
しかも、77件の倒産のうち75件(同33.9%増)の事業は消滅しており、民事再生など再建型倒産はゼロとなっており、老人福祉・介護事業の再建の難しさを物語っている。

 15年4月に介護報酬の改定が行われた時に、多くの問題点が指摘された。
なかでも、基本報酬を引き下げる半面、充実したサービスを行う施設へは報酬が加算される制度が導入されたが、これは事業者の経営を圧迫することになるとの批判が集まった。
 そうした懸念どおり、経営状態が厳しくなる事業者が続出し、倒産は過去最多のハイペースで増加している。

慢性的な人手不足
 もちろん、事業者側にも原因はある。
倒産している事業者の多くが新規参入組であり、小規模の新規参入組に十分なノウハウがなく、引き下げられた厳しい条件の介護報酬しか得られないため、多くの倒産が生まれているのも事実だ。
 しかし、そもそも老人福祉・介護事業者は需要不足であり、本来なら新規事業者は歓迎されるべきところ。
必要な需要を満たす意図が政府にあるのなら、新規参入組が安定した経営ができる環境を整えるべきだ
 その上、老人福祉・介護事業では利用者の需要に比べて、事業者が慢性的な人手不足に陥っている状況に改善の兆しはなく、これも経営の安定を欠く原因となっている。

 安倍政権はこうした事態を重く見て、介護福祉士などの給与の引き上げを進める策を打ち出した。
だが、その効果はまったく現れていないというのが実情だ。

 問題は、こうした老人福祉・介護の施設が倒産し、それが再建できないとなれば、入居・通所していた要介護者の行き場がなくなることだ。
供給不足の業種だけに、再び介護等を受けられる施設を見つけるのは容易ではない。

 今後も高齢者が増加する一方、経営の安定化が図れないのであれば、新規参入を考えている事業者も二の足を踏みかねない。
高齢者が十分な福祉・介護を受けられるように、早急に問題の解決を図る必要がある。
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2016年10月23日

松井知事「土人」発言擁護と同根!『そこまで言って委員会』など大阪のテレビの聞くに堪えない沖縄ヘイト

松井知事「土人」発言擁護と同根!
『そこまで言って委員会』など
大阪のテレビの聞くに堪えない沖縄ヘイト
2016.10.22 LITERA編集部

 これが首長の発言として許されるものなのか。
沖縄県の高江で進められている米軍ヘリパッド建設工事で、大阪府警から派遣されていた機動隊員が反対派市民に対し「触るな、土人が」と差別に基づいた暴言を吐いていた事件だが、今度は松井一郎大阪知事の姿勢に批判が集中している。

 まず、松井知事は暴言問題が報じられた19日に、自身のツイッターで〈ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。〉と投稿。

さらに翌20日には、報道各社からの取材に対し「もともと混乱地で、無用な衝突を避けるために、警察官が全国から動員されている。
じゃあ、混乱を引き起こしているのはどちらなんですか」と、今度は反対派市民を非難したのだ。

 公権力の行使者である警察が「土人」というあからさまな差別語を投げつけた問題が起こっているのに、府の代表たる松井氏がわざわざ機動隊員を労うことは差別の肯定と受け止められて当然だ。
その上、「混乱を引き起こしているのはどちらか」という松井知事の発言は、醜悪以外の何物でもない。
 普通なら完全に辞職ものだと思うが、しかし、大阪ではそういうことにはならないだろう。

というのも、松井知事を糾弾すべき大阪のマスコミの多くが日本維新の会や松井知事の応援団と化しているどころか、テレビ番組のなかには、松井知事と同じような沖縄ヘイト肯定や沖縄へのデマ攻撃を垂れ流す番組があるからだ。
 その代表が、明日23日に松井知事が出演予定の『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)だ。
『委員会』では、これまで何度も沖縄の米軍基地問題を取り上げ、そのたびに沖縄への偏見を隠そうともせず、同時に基地反対運動を根拠もなく貶めてきた。


 たとえば、2013年11月3日放送分では、沖縄出身のジャーナリストであり元海上自衛隊の恵隆之介氏がこんな話をしている。
「沖縄県だけの暇人たちが反基地運動をしてるというような油断はしないほうがいい。
そこには巧みに北京、あるいは平壌、ソウルの左巻きたちが入ってきているのは事実」
 一体、どんな根拠があってこんな話をしているのか。
だいたい、番組では恵氏をはじめ“沖縄の人は基地に反対などしていない”などと言うのだが、ならば県知事選のほか、選挙で一貫して基地反対派が選ばれてきたのはどういう理屈なのだろう。  

この恵氏は以前、本サイトでも取り上げたように“デマの常習犯”であり、先の沖縄県知事選では“翁長氏の娘は北京大学に留学”“その娘の婿は中国太子党出身”などとメディアで語っていた。

だが、翁長知事本人が述べているように、当時、翁長氏の娘は「埼玉の小さな大学」におり、しかも未婚だった。
こんな根も葉もないデマを平気で流す人物が、このように反対運動を貶め、陰謀論にすり替えてきたのだ。

 さらに、2014年12月7日放送分では、この恵氏にくわえて「(沖縄県民は)ゆすりの名人」という暴言が問題となった元米国務省日本部長のケヴィン・メア氏が登場。
メア氏はこの発言と同時に「沖縄県民は怠惰であり、他県以上にゴーヤーを栽培できない」と語ったとされているように、沖縄への差別を丸出しにした人物だが、番組中も相変わらず“沖縄ゆすり論”を展開。
また、司会の辛坊治郎が「こないだ私、別の番組でね、翁長さんにご出演いただいて、私は普通に話しているつもりだったんだけど、いきなり怒り出されて『なんだその上から目線は!』って。
俺、そんなつもりはないんだけど(笑)」という話をはじめると、恵氏が「(それは)沖縄県民特有の被害者意識」と言い、スタジオは爆笑に包まれた。
番組は“沖縄は被害者意識が強く、政府をゆすってばかり”と印象付けだけでなく、「このままでは沖縄は中国の属国になる!」と煽って進行していった。

 それだけではない。昨年7月5日の放送では、沖縄戦を振り返り、番組パネラーの竹田恒泰氏が「(戦死者が出たのは)沖縄だけじゃないんですよ」「東京では10万人死にましたけど『捨て石になった』とか『東京差別だ』とか誰も言わないわけですよね」と批判。
本土決戦の準備のために時間稼ぎに沖縄が利用されたことや、軍が住民たちを守るどころか戦闘に巻き込んだという歴史的事実をまったく無視して、ここでも“沖縄県民は被害者意識が強い”と主張したのだ。

 沖縄への偏見を助長するかのような内容と根拠のない情報をメディアが一方的に垂れ流す。
──同番組の議論は、「売国奴」「中国の手先」などという中傷で基地建設に抵抗する人びとを蹂躙するネット右翼たちと何も変わらない。
むしろ、ネット右翼を支えるデマの発信源になっているとしか思えない内容だ。
 しかし、重ねて問題なのは、このような公平中立もへったくれもない番組が、東京を除くほとんどの地域で放送されていることだ。

同番組は沖縄問題に限らず、反中嫌韓の感情を煽ってきた番組でもあり、たとえば竹田氏は「在特会が活動したおかげで在日の特権の問題が明らかになった」
「例えば、通名というのがあって、日本人の名前に変えることによって、犯罪歴や金融関係の経歴を全部消すことができ、また新たな犯罪ができる」などとデマを述べ、後日、番組側は謝罪している。
 こうした問題を引き起こしてきたことから、同番組は蔑視や差別に基づいたデマを公共の電波に平気で乗せ、ヘイトスピーチを繰り返すネット右翼の“製造”に一役買ってきた、と言われている

だが、今回の大阪府警の機動隊員が沖縄の人びとにぶつけた「土人」という暴言や、差別を肯定した挙げ句に問題の責任を基地反対派に押し付けた松井知事の沖縄蔑視としか言いようがない態度、そしてそれを擁護するネット上の意見を見ていると、この番組は同様に“沖縄ヘイト”にも加担してきたと思わざるを得ないのだ。


 しかも、深刻なのは、『委員会』と似たような番組が関西では増えている、ということだろう。
現に、東野幸治が司会を務める『教えて!ニュースライブ 正義のミカタ』(朝日放送)でも、昨年10月24日の放送で、『沖縄の不都合な真実』(新潮社)の著者のひとりである篠原章氏が「(基地反対派は)おそらく3分の2は本土から来た方ですね」
「仕事です。日当も出てますんで」
「日当は労働組合から出ています」などと発言。
この放送に対しては、奈良―沖縄連帯委員会代表が「事実をねじ曲げたばかりか意図的に捏造し、差別に満ちたヘイトスピーチそのものだ」として放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に申し立てが行われたが、この番組の内容が『委員会』の影響を受けていることはあきらかだろう。

 ちなみに、松井知事が明日出演する『委員会』はすでに10月中旬に収録されており、「土人」発言問題は何事もなかったかのようにスルーされる公算が強いが、今後、松井知事を全面擁護する企画が進んでいる、との話もある。

 過去の記事でも指摘したが、機動隊員による「土人」発言は、安倍政権が民主主義や基本的人権さえ奪って圧制しようとしている沖縄への態度から生まれているものである。

そして、権力の暴走をこういった番組が強化しているのだ。
その罪の重さも、今回の事件であらためて指摘しておきたい。
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2016年10月24日

低温やけど、意外にダメージ

低温やけど、意外にダメージ
2016年10月20日 読売新聞yomi Dr.

これから寒さが増してくると、暖房器具を使う機会が増える。
湯たんぽやカイロなどによる「低温やけど」には十分注意したい。

 低温やけどは、40〜50度程度の低い温度の熱が長時間にわたって皮膚に加わることで起きる。
就寝中などに湯たんぽや電気あんかが長時間、体の同じ部位に触れている場合などだ。44度で3〜4時間、46度で30分〜1時間程度でやけどするとされている。

 「住吉皮膚科」(東京都)院長で順天堂大非常勤講師の住吉孝二さんによると、感覚神経が「痛い」「熱い」と感じなくても、一定以上の熱で皮膚組織は破壊されるという。
このため、心地よいと感じる温度でも注意が必要だ。


 低温やけどが起きる仕組みについて住吉さんは、「密着した器具が皮膚を圧迫し血流が悪くなっていることも影響している」と指摘する。

通常、皮膚に伝わった熱は、血液を介して全身に拡散されるが、血管が圧迫されることで血流が悪くなり熱がこもりやすくなる。
表皮の奥の真皮までダメージを受け、見た目よりも重症化しやすい。

 一般的なやけどでは、すぐに患部を水などで冷やすことで悪化を食い止められるが、低温やけどは「気付いた時点で皮膚の深部までダメージを受けているため、効果はあまり期待できない」(住吉さん)という。
ただちに病院へ行き、医師の治療を受けることが大切だ。

湯たんぽや電気あんか…布団を温めたら出す

 低温やけどを予防するためには、湯たんぽなどの長時間使用を避けるのが第一だ。
独立行政法人製品評価技術基盤機構製品安全センター参事官の池谷玲夫さんは「湯たんぽなどは、直接体を温めるのではなく、布団を温めるために使うようにし、就寝時点には布団から出してしまう。
電気あんかは電源を切るなどしてください」と助言する。

 暖房機能のある便座に長時間座っていることで低温やけどに至るケースも2015年に4件確認されている。
いずれも80歳以上の高齢者。
「用を足している最中に眠ってしまうなどして便座に長時間座ってしまうこともあり得る。
温度を低く設定するか、使用中はスイッチをオフにするよう周囲の人も気をつけて」と指摘する。

 意外なところでは、スマートフォンも低温やけどの原因になる。
 国民生活センターによると、「充電しながら寝たらスマホが腕の下にあり、やけどした」(奈良県・40代女性)といった事例が報告されている。
東京都生活安全課が、スマホを毛布で包んでアプリケーションを起動状態にする実験を行ったところ、50分〜2時間程度で50度前後まで発熱した。
同課の宮永浩美課長は「就寝時にスマホを使う際には十分注意してください」と呼びかけている。
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2016年10月25日

「収入多い人」も危ない 老後破産を招く「思い込み」

「収入多い人」も危ない 
老後破産を招く「思い込み」
2016/10/23 16:00 J-CAST

   会社をリタイアした高齢者が、ギリギリの生活を余儀なくされる「老後破産」が深刻さを増しているという。
生活保護を受ける高齢世帯はすでに受給世帯の5割以上に上るとのデータもある。
なぜ老後はこれほど厳しくなっているのだろうか。

   厚生労働省の調査によれば、生活保護を受給している世帯のうち、65歳以上の高齢者世帯は今春時点で80万世帯を超え、受給世帯全体の約半数を占めている。
食べることも難しく、最低限の生活を送れない高齢者世帯は今後も増える可能性があるとの見方は強い。

年金のほかに「2000万円〜4000万円」は必要

   今や「普通のサラリーマンが老後破産に陥っても不思議ではない」(ファイナンシャルプランナー)と話す専門家が多いが、そんな状況になっている背景には何があるのか。
   総務省の家計調査(2015年)によれば、夫婦いずれも65歳以上の世帯では、主に年金が占める毎月の収入は平均約21万円。
これに対し、食費や光熱費、住宅費などの支出は月約27万円に上り、普通に生活しているだけで、月約6万円もの赤字となってしまう。
そして、その赤字額は10年前に比べ、2倍以上に膨らんでいるという。

   バブル期以前の好景気に沸いた時代に比べ、定年退職時に受け取れる退職金は減少している。

リタイア後のサラリーマンの生活を潤してきた企業年金も減額され、公的年金の支給時期も引き上げられている。
ある程度の貯蓄や家賃収入など定期的な所得を持たない高齢者なら、月6万円の赤字を埋めることはできず、長生きすればするほど破産の道に進んでしまうのは当然だ。
   60歳の高齢夫婦が90歳まで生きた場合、生活するために必要なお金の総額は、年金のほかに2000万〜4000万円程度は必要だという見方もある。
生活水準などによって異なるため、6000万〜1億円は必要というケースもあるのだ。

「どうにかなると思っていたら、どうにもならない時代」

   一方、家計調査や金融の専門家の多くは「現役時代に収入が多かった人ほど、老後破産に陥るリスクがある」とも指摘する。
収入が多いから問題ないと思い込み、返済が厳しいローンを組んで高級住宅を買ったり、子どもを私立の名門校に通わせたりする結果、老後を支えるための貯蓄に回すお金がなくなるというのだ。    
「そういった人たちは、退職後も多額のローンが残っていて生活を圧迫したり、見栄などから生活レベルを落とすことができなかったりし、最後は生活に行き詰まってしまう」とあるファイナンシャルプランナーは話す。
   老後は年金や退職金に支えてもらおうという意識は捨てなければならない。
そして、高額な住宅を購入するなどの過大な支出は抑え、地道に貯蓄して老後に備えるしかないのが現状だ。
どうにかなると思っていたら、どうにもならない時代」と多くの専門家は警鐘を鳴らしている。
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2016年10月26日

年金減額法案 塩崎厚労相が認め与党議員にも衝撃広がる

年金減額法案 
塩崎厚労相が認め
与党議員にも衝撃広がる
2016年10月25日 16時00分 NEWSポストセブン

 国民が知らない間に、かつてないほどの年金制度の大転換が行なわれようとしている。
年金生活者が今現在受け取っている受給額を減らす「年金減額」法案だ。

今回の改正案では、物価が上がっても下がっても現役サラリーマンの平均賃金が下がれば年金生活者の受給額をマイナス・スライドさせるという制度に変わる。

 悪質なのは厚労省がそれほど重大な制度改正の内容を隠してきたことだ。
同省が公表している法案説明の資料には、ルールの変更が〈年金は世代間の仕送りであることから、現役世代の負担能力が低下しているときは、賃金変動に合わせて改定〉としか書かれていないうえ、法案を読んでも減額の仕組みがわからないようになっている。

 実は、年金法案を審議している国会議員たちも、最近まで法案の正体を知らなかった。
カラクリが明るみに出たきっかけは10月3日の衆院予算委員会での民進党の玉木雄一郎・代議士と塩崎恭久・厚労相の質疑応答だ。

「賃金が下がれば、今、年金を受け取っている方の年金も引き下げることを可能にする法案という理解でいいのか」  という玉木氏の質問に対し、塩崎厚労相がこう答え、与党議員を含めて衝撃が広がった。
「おっしゃるとおり。一つは、賃金を下げ、物価も下がるときには、(年金を)物価の下げに加えて、賃金(のマイナス幅)まで下げる。
それから、賃金が下がって物価が上がるときには、賃金の下げに合わせて下げる、ということでございます」

 現在の物価スライド制度では、物価が下落すれば年金額も減る。
ただし、「物価上昇、賃金減少」のケースでは年金額はプラスマイナスゼロに据え置かれる。  対して、新ルールでは、物価と賃金のどちらかがマイナスになれば、容赦なく年金額が引き下げられるうえ、物価と賃金がどちらもマイナスの場合はマイナス幅が大きい方に合わせて年金を減らされることになる。

「物価が上がって賃金が下がるなんてめったに起きない」と思うのは間違いだ。
実際に今年度の厚労省の年金改定の指標では、物価がプラス0.8%、賃金マイナス0.2%となっている。
過去10年を見ると6年は賃金がマイナスだ。

※週刊ポスト2016年11月4日号
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2016年10月27日

「定時で帰ろう!」と叫んでも…残業が全く減らない理由

「定時で帰ろう!」と叫んでも
残業が全く減らない理由
2016.10.26 17:00 NEWSポストセブン

皆さんの職場では、残業が当たり前になっていませんか?
先日、大手広告代理店の女性社員が過労を原因に自殺した事件が大きなニュースとなりました。

日本では、長時間労働に苦しむ社員は少なくありません。
「karoshi(過労死)」という英語が存在するほどです。
“ブラック企業”という言葉も、一般的に使われるようになりました。
なぜ、ここまで社会問題化しているにもかかわらず、時間外労働は減らないのでしょうか。

今回は、厚生労働省が発表した「平成28年版過労死等防止対策白書」を参考に、残業がなくならない原因についてお届けしていきます。

■労働者が考える「残業が減らない理由」は、仕事量や人員不足
昨年、日本労働組合総連合会がリリースした「労働時間に関する調査」によれば、6割の社員が「残業をすることがある」と回答しています。
正規労働者・非正規労働者の1カ月の平均残業時間は、18時間です。
ただ、これは単なる平均にすぎません。
調査を読み解くと、正規社員や管理職に残業が集中していることがわかります。

それでは、正規社員が考える残業が減らない理由とはどんなものなのでしょうか?
上位5つの理由をご紹介します(複数回答可能)。

1位 「人員が足りないため(仕事量が多い)」41.3%
2位 「予定外の仕事が突発的に発生するため」32.2%
3位 「業務の繁閑が激しいため」30.6%
4位 「仕事の締切や納期が短いため」17.1%
5位 「残業(早出・居残り)はない」15.5%

結果を見ると、「職場の仕事量に対して人員が足りない」と感じている社員が多いようです。
しかし、多くの企業において、業務の無駄は少なくありません。
たとえば、会議の資料作りのような“仕事のための仕事”がそのひとつ。
ほかにも、
・頻繁に行われる会議
・とくに用はないけれど取引先を訪問をする“御用聞き営業”
・“cc共有されたメールを熟読する” など、
“意味があるかどうかわからないけれど、組織の中で原則となっている”仕事は、どの会社にもあるでしょう。
それらをきちんと全うしていくと、時間が足りなくなってしまっても無理はありません。

■企業が考える「残業が減らない理由」から見える消費者やクライアントの存在
続いて、企業から見た残業が減らない理由に目を向けてみると、残業を作り出している“消費者”の存在が見えてきます。

下記が、企業が考える残業が必要になる主な理由です。
1位 「顧客(消費者)からの不規則な要望に対応する必要があるため」44.5%
2位 「業務量が多いため」43.3%
3位 「仕事の繁閑の差が大きいため」39.6% 4
位 「人員が不足しているため」30.6%
5位 「顧客(消費者)の提示する期限・納期が短いため」13.3%

人員不足より多いのが、「顧客の要望に対応する必要がある」という回答。
サービス業や、教育業界、建設業できわめて高い割合となっています。
日本の企業に根付く精神論に「お客様は神様だ」というものがあります。
何か起こったら誠意を見せたり、クレーム対応に追われたり、苦情を防ぐ“もしもの対策”などで、現場が少しずつ疲弊している実態があるようです。

以上、残業が減らない理由についてでしたが、いかがでしょうか?
いくら“ノー残業デー”を設けても、仕事量が変わることはありません。
定時だからといって自分だけ帰宅するような勤務態度では評価されないと悩む人もいるでしょう。
企業には、“生産性”に着目すると同時に、消費者のムリな要求に一線を引き、“労働者を守る”というというポリシーを持ってもらいたいものですね。
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2016年10月28日

 ボート会場より東京五輪開催自体を疑え

問題はボート会場じゃない、
「東京五輪開催」そのものを疑え!
メディアにはびこる
「どうせやるなら」論の罠
2016.10.27 LITERA(大黒仙介)

 迷走に迷走を重ねる2020年東京五輪。
今度は、ボート・カヌー会場をめぐる問題だ。
海の森水上競技場建設に491億円なんてありえない、なぜ当初予算の7倍に膨れあがったのか、仙台の長沼に移せば復興に繋がるのに、なぜ組織委の森喜朗会長らは抵抗するのか……。
テレビからは毎日のようにそんな声が聞こえてくる。

 たしかに、招致段階では施設工事費7000億円と示されていたのが、都の調査で総費用が3兆円を超すことが判明しており、このまま海の森水上競技場の建設なんてありえないだろう。
 だが、いま起きていることは本当にボート会場を移せばすむ話なのか。
問題はもっと根本的なところ、つまり五輪を開催するということにあるのではないか。

 しかし、テレビや新聞は費用のかけすぎや会場選定の不透明さは指摘しても、そのことには絶対に触れようとしない。
最後は結局、「夢」や「感動」というフレーズをもちだし、「どうせやるならちゃんとやらないと」「アスリートファーストの素晴らしい東京五輪にためにみんなで知恵を絞らないと」などというきれいごとで終わらせてしまう。

 そんななか、東京での五輪開催自体に根源的な疑義を唱え、開催を返上するべきと主張する学者たちが現れた。
今年8月末に出版された『反東京オリンピック宣言』(航思社)という本で、社会学系の学者・研究者たちを中心にした16人の論客がさまざまな視点から問題を指摘し、東京五輪の開催そのものにNOの声をあげているのだ。

 論者たちの多くが触れている最初の欺瞞が、安倍晋三首相が招致演説で口にした「アンダーコントロール」発言だ。
鵜飼哲(一橋大学大学院教授)は、官邸HPに掲載の訳文──「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。
状況は、統御されています。
東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、及ぼすことはありません」──を引いたうえで、〈これほど公然たる嘘の前で、人はともすると虚を衝かれ、息を飲んでしまう〉〈この凶悪な言語行為〉と批判している。

 酒井隆史(大阪府立大学教授)は、この発言をほとんど問題視しなかったメディアの責任を問いつつ、「公人の無責任な虚言」を許容してしまう昨今の日本社会と、安倍発言に込められた暗黙のメッセージを次のように指摘する。
〈庶民の小さな「欺瞞」には、あるいは、特定の政治家が福島についてこぼした「真実」には、ときに、よってたかって血祭りにあげるこの社会の奇妙な「寛容」である。
ここまで露骨に発言をひるがえし、あきらかに嘘をつき、それにひらきなおって、なお、立場がゆるぎもしない国や地方の首長がいる、という現象に筆者はこれまでおぼえがない〉
〈つまり、その発言で問題になっているのは、現実に福島第一原発がコントロールされているということではなく、「日本の状況」が完全にコントロールされているということ、そして、これからもコントロールするという約束である〉

 福島の原発災害を隠蔽しつつ利用する、このようなやり口は「災害資本主義」と呼ばれる。
自然災害・戦争・大きな事件といった惨事に便乗するかたちで、復興の名のもとに収奪的・急進的な資本主義が市場を席巻し、一部の者に利益が集中する事例は世界中で枚挙に暇がないと塚原東吾(神戸大学大学院教授)は言い、間近に見た神戸の震災復興を例にこう書く。
〈神戸の時がそうであったように、地元にお金が落ちるのではない。
市場化=自由化の名のもとに地元企業を押しのけて東京のゼネコンが復興事業をもぎ取り、地元にはお涙の、まさにおこぼれ頂戴程度にしか、お金は落ちてこないのが現実だった。
そこでは古い利益誘導型政治と相乗りしながら、旧態依然とした自民党による利権政治に回帰していき、ますます東京への一極集中が進んでいる。
そのなかで東北「地方」の東京という「中央」への従属が、さらに進行している〉

 だが、この災害資本主義は、惨事や非常事態に直面した人のなかに生まれる「ノーマルシー・バイアス」──たいしたことはない、自分は大丈夫だと被害を過小評価し、平常を取り戻すことを希求する心理──とも結びつき、社会全体が五輪というメガイベントへ突き進んでゆく。

 わずか2週間のスポーツイベントに巨額の公金を費やし、都市整備や治安を理由に貧困層を都心から追いやり、言論すら統制してゆく五輪に対しては、リオやロンドンなど近年の開催地でも反対運動が巻き起こった。
そうした動きを封じ込めるため、喧伝されるようになったのが「レガシー(遺産)」という概念だ。

東京大会組織委の「アクション&レガシープラン」を検証しながら、阿部潔(関西学院大学教授)がその問題点を論じている。
 同プランの説くレガシーとは、スポーツ・健康の分野以上に、文化・教育(「和の精神」の再評価と継承)、経済・テクノロジー(AIやビッグデータによる「ジャパンブランド」の復権)、さらには、東京だけでなく日本全体で取り組む「オールジャパン」体制に力点が置かれているという。
阿部はここに、戦前の国家総動員体制にも似たナショナリズムの影を見る。

 阿部によれば、そもそもレガシーとは〈宗教的な権威と使命のもとに派遣された人物(特使)が、その赴任地において果たすべき営為(ミッション)〉が本来の意味であり、ということは、ここで語られているのは、現在の権力、つまりは安倍政権が自らの権威付けのために欲し、後世に残すべきとあらかじめ決めた、極めて政治的な「遺産」なのである。

〈このように考える時、一見すると健全で誰にでも受け入れられるかのように思われる「未来に残すべきレガシー」という発想自体に、実のところおぞましい暴力が潜んでいることが明らかになる〉

 こうしてスポーツやアスリートから乖離してゆく国威発揚イベントに対し、〈スポーツはもはやオリンピックを必要としない〉(池内了・総合研究大学院大学名誉教授)と決別を宣言するのが本書の意図だが、編著者である小笠原博毅(神戸大学大学院教授)が興味深い論を展開している。
なぜ、これほど問題の多いメガイベントへの反対論がほとんど語られず、礼賛一色になってしまうのか。
 そこには、冒頭で指摘したような「どうせやるなら」派ともいうべき人たちの存在がある、という。
〈(「どうせやるなら」派は)初期設定においては批判的であり、できるならやるべきではないと思っている。
しかし、招致活動が終わり、税金が捨てられ、インフラ整備を含む準備が始められ、開催権の返上や中止が逆に莫大なコストを必要としてしまうということを理由に、事実上後戻りできないと結論づけて、むしろそれまでかかった投資をどのようにすれば「資本貴族」たちの手から奪うことができるのかを提案する〉
〈オリンピックを「機会」ととらえ、統治側の計画を逆手にとって、本当に市民のためになると考えられる、都市の再開発も含めた「オルタナティヴ」を求めようというのである〉

 五輪が権力者の仕掛ける「サーカス」であり、国威発揚のスペクタクルであり、メダル数を競う勝利至上主義やスポンサー・関連企業への富の集中、環境破壊や都市の分断を加速するという「ありきたりな批判」を彼らもいちおう口にはする。
だが、反対に回ることは決してない。

経済情勢や国際関係、あるいは「ビジネスだからしょうがない」「もう反対しても遅い」といった“現実的判断”から流れに抗わず、「どうせやるなら」と消極的なポーズで現状を追認し、結局は賛同一色の空気に加担してしまう。そ
ういう人たちが世の多数派だというのである。

 彼らは、権力者が決まり文句のように言う「批判するだけではなく代替案を出せ」という言葉に乗っかり、最初から「やらない」という選択肢を切り捨てている、と小笠原は批判する。
いくら文化的で健全な「オルタナティヴ」を提案しようとも、それは「少し違ったサーカス」を見せようとしているにすぎないのだ、と。


〈「どうせやるなら」派は、「うまくやる」ことができると思っている。
(略)オリンピックを食うことはできても食われることはないと思っている〉
〈オリンピックを中止にしても「資本貴族」たちはまた別のオリンピックのようなスペクタクルをつくり上げるのだからこのままやり尽くしてしまえ〉
 そんな一見賢しらな物言いを取り込んで五輪待望の世論が作られてゆく様は、政治や社会をめぐる報道・言論状況にも通じる。

いまの日本に蔓延する「空気」の正体を突く鋭い指摘だろう。
 本書の出版イベントで小笠原が語ったところによれば、この論考集は当初、ある雑誌の特集として企画が進んでいたという。
それが途中まで進んだところで、出版社から「やっぱりできない」と断りがあった。
「反五輪」を明確に掲げるのは得策ではない、できれば避けたいという判断が働いたのだろう、と。
いまのメディアや社会を覆う、こうした事なかれ主義と決別し、オリンピックやスポーツの意義を正面から見つめ直すための貴重な書である。
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2016年10月29日

 三笠宮が「南京の日本軍の行為は虐殺」

逝去した三笠宮が語っていた
歴史修正主義批判!
日本軍の南京での行為を
「虐殺以外の何物でもない」と
2016.10.28 LITERA(宮島みつや)

 昭和天皇の末弟で、今上天皇の叔父にあたる三笠宮崇仁親王が、昨日27日、心不全により逝去した。
享年100歳だった。
一部メディアは、崇仁親王の先の戦争に対する反省の念や、戦争反対への思いなどを伝えているが、その発言は、マスコミが報じている以上に踏み込んだものだった。

崇仁親王は、いまこの時代を支配している右傾化に対して、早くから警鐘を鳴らしてきたとさえ言える。
 それを象徴するのが、右派の“南京大虐殺はなかった”という歴史修正主義に対する強い批判だろう。
 1915年生まれの崇仁親王は、陸軍士官学校に進み、軍人となり、日中戦争時の1934年1月から1年間、「若杉参謀」の名で参謀として中国・南京に派遣された。

このとき崇仁親王は「支那派遣軍総司令部」で「支那事変に対する日本人としての内省」という文書を書き、日本の侵略主義を批判したのだが、その文書が発見された1994年には、月刊誌のインタビューで“南京大虐殺はなかった”という論についてどう思うか聞かれ、このように述べている。
「最近の新聞などで議論されているのを見ますと、なんだか人数のことが問題になっているような気がします。
辞典には、虐殺とはむごたらしく殺すことと書いてあります。
つまり、人数は関係ありません。
私が戦地で強いショックを受けたのは、ある青年将校から『新兵教育には、生きている捕虜を目標にして銃剣術の練習をするのがいちばんよい。
それで根性ができる』という話を聞いた時でした。
それ以来、陸軍士官学校で受けた教育とは一体なんだったのかという疑義に駆られました」(読売新聞社「This is 読売」94年8月号)

 このインタビューが収録された当時は、羽田内閣の永野茂門法相が毎日新聞のインタビューで「南京大虐殺はでっち上げだと思う」「太平洋戦争を侵略戦争というのは間違っている」などと発言するなど、戦中日本の戦争犯罪を公然と否定する流れが、すでに一部の右派だけでなくかなりの勢いを持ち始めていた時期である。
 とくに、日中戦争初期の1937年12月の首都・南京陥落以降に日本軍が行った捕虜や民間人の殺害行為については、論者・研究者によってその人数に20万人から数百人、そして「そもそも虐殺は存在しなかった」といういわゆる“マボロシ論”まで論じられていた。
その“数字”をとりたてる流れは現在も続き、現日本政府もまた「被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難である」としている。

 だが、崇仁親王はこうした“数字”の論に対して“むごたらしく殺せば人数は関係ありません”と、はっきりと批判したのだ。
さらに同インタビューでは、自身の南京での従軍経験としてこうも述べている。
「また、南京の総司令部では、満州にいた日本の舞台の実写映画を見ました。
それには、広い野原に中国人の捕虜が、たぶん杭にくくりつけられており、そこに毒ガスが放射されたり、毒ガス弾が発射されたりしていました。
ほんとうに目を覆いたくなる場面でした。
これこそ虐殺以外の何ものでもないでしょう

 言うまでもなく、崇仁親王が戦争犯罪を正視し、歴史修正主義をけん制したのは、再びこの国が戦争をすることがないようにという強い思いがあったからだ。
1956年の著書『帝王と墓と民衆』(光文社)に付した「わが思い出の記」のなかでも、南京に配属された当時を振り返り、こう記している。

〈わたしの信念が根底から揺りうごかされたのは、じつにこの一年間であった。
いわば「聖戦」というものの実態に驚きはてたのである。
罪もない中国の人民にたいして犯したいまわしい暴虐の数かずは、いまさらここにあげるまでもない。
かかる事変当初の一部の将兵の残虐行為は、中国人の対日敵愾心をいやがうえにもあおりたて、およそ聖戦とはおもいつかない結果を招いてしまった

〈わたしがここで言いたいのは、聖戦という大義名分が、事実とはおよそかけはなれたものであったこと、そして内実が正義の戦いでなかったからこそ、いっそう表面的には聖戦を強調せざるを得なかったのではないかということである

 昨年、ユネスコの世界記憶遺産に「南京大虐殺」が登録されたことに対して、ユネスコへの分担金を留保するという“報復”に出た安倍首相にこそ聞かせたい言葉だ。
だが、そうした誠実な態度を貫き通した崇仁親王に対し、これまで右派は「赤い宮様」などと揶揄し、「左翼」と批判してきた。
前述した著書の一部が新聞で紹介されたときには、“これは日本軍を傷つけるものだ”という趣旨の脅迫まがいの手紙が当時品川区にあった三笠宮邸に届いたこともあったという。

 しかし、崇仁親王はイデオロギーから発言したわけではない。
崇仁親王がオリエント史などの歴史研究を愛し、大学の教壇にも立ったことはよく知られているが、その根本には、たとえそれがどれほど自分にとって正視し難い事実であったとしても、歴史には真摯に向き合わなければならないという覚悟があった。

そしてなにより、崇仁親王自身が皇族という極めて特殊な立場にありながら、“権威”が大衆を惑わすこと、そして、自由な言論が封鎖されることこそ、民主主義にとって一番の障壁であると、60年以上前から指摘してきた。
 マスコミはあまり取り上げないが、崇仁親王の思いが、皇室と国民の垣根を越える“民主主義”にあったことは明らかだ。
たとえば1952年の「婦人公論」(中央公論社、当時)2月号に掲載された「皇族と自由」と題した聞き書きのなかで、崇仁親王は、昭和天皇の地方巡幸の際に警官が万歳しない人に対して叱りつけたという話を受けて、「これでは少しも人間と人間との感情が流れてきません。
こんなとき号令をかけられた人がなぜ抗議しないのでしょう」
「同じ人間同しなのですからハダカとハダカでぶつかり合ってほしい」としたうえで、「これが民主主義の基礎であることはいうまでもありません」と語っている。

 あるいは1966年の「女性自身」(光文社)のインタビューでは、皇室の民主化の停滞を嘆きながら、侵略戦争の認識についてこう述べている。
「太平洋戦争が終わったときには、もうこれで地球上から悲惨な戦争はいっさいなくなったのだと思いましたが、現状をみると、まことにあさはかな考えだったことがわかります。
 どんな大義名分をつけても、しょせん戦争は殺人です。
人を殺すことは最大の罪悪です。
戦争放棄を明記した新憲法の精神は、いつまでも大切にしなければなりません

 しかし、2016年の日本はどうか。安倍政権はメディアに圧力を加え、言論弾圧まがいの行為を繰り返し、さらに憲法を変えてこの国を戦争へと導こうとしている。
そして、天皇の「生前退位」についても一代限りの特別法でお茶を濁し、抜本的な天皇や皇族の人権問題には決して触れようとしない。
さらには、国民の多くはそんな安倍政権を支持し続け、歴史修正やその強権政治への国内外の批判に対しては、束になって「反日」だと襲いかかる。
まるで、みずから民主主義を手放そうとしているかのようだ。

 非民主的な存在である皇族のほうが国民や政治家よりよっぽど自由や人権、民主主義について考えを巡らし、また、負の歴史を正面から見据えていた。
その歪な現実を、わたしたちはよく受け止めなくてはならない。
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2016年10月30日

インフルエンザ予防接種はどこまで有効か

インフルエンザ予防接種は
どこまで有効か
東洋経済オンライン 10/29(土) 6:00配信

 少しずつ寒さが増していく季節。
早くも一部でインフルエンザが流行して、学級閉鎖に追い込まれた学校もあります。
「インフルエンザの予防接種を受けておきたい」
「自分の子どもにも受けさせておきたい」と考えている人も少なくないでしょう。
 ところで、そんなインフルエンザの予防接種で受けるワクチンの有効率はどのくらいだと思いますか? 

■インフルエンザワクチンの有効率は低い

 「80〜90%以上は効くだろう」と思われる人もいるのではないでしょうか。
麻疹風疹混合(MR)ワクチンや、おたふくかぜワクチンは、それぞれ95%以上、90%以上の有効率がありますが、インフルエンザワクチンの有効率は低いのです。

 文献をまとめたものでは、インフルエンザワクチンの効果は、日本では小児で25〜60%と、成人で50〜60%とされています。
厚生労働省のホームページには、乳幼児においては、「おおむね20〜50%の発病防止効果がある」とされています。
また、「乳幼児の重症化予防に関する有効性を示唆する報告も散見されます」とあります。

拙著『小児科医は自分の子どもに薬を飲ませない』でも触れていますが、そもそも、インフルエンザの予防接種の効果(有効率)を調査するのは、とても難しいとされています。

年により流行するウイルス株が異なり、ワクチン株の構成も異なり、地域によっても流行状況が異なるからです。
 私は小児科専門医です。
当院においても、毎年インフルエンザの予防接種を実施していますが、あまりやりたくはありません。
なぜなら、親御さんへの説明に手間がかかるからです。
インフルエンザの有効率で、親御さんが期待する数値と、実際に予想される数値にかなり開きがあるのです。
これは特に、1〜2歳のお子さんを連れて、初めてインフルエンザの予防接種に来た親御さんに顕著な話です。

 乳児や1〜2歳で、初めてインフルエンザの予防接種を受けに来るのは、今まで実際にインフルエンザにかかったことのないお子さんが大多数となります。
つまり、それらのお子さんは、インフルエンザウイルスに対して、体の免疫の記憶(貯金)がほとんどありません。
そのような状態で、体に外から免疫を植えつけようとしても、なかなか効果が上がらないことは想像できるでしょう。
大人でさえ、有効率は50〜60%なのですから、生まれて間もない、免疫の力がまだまだ未熟な赤ちゃんや2歳くらいまでのお子さんは、もっと確率が低いだろう……と考えることもできます。

現場ではどう話すのか

 実際に、私は診察室で親御さんに対して、次のようにお話しします。
「乳児の場合、発症を防ぐ効果ははっきりせず、重症化を防ぐ効果はあるかもしれないという程度です。
保育園に入園されていて、ご希望が強ければ接種します」
「1〜2歳の場合、いろいろな調査報告がありますが、有効率はおそらく20%くらいかもしれません。
平たく言えば、“効いたら、ラッキー”というくらいですよ」
多くの場合、親御さんはその話を聞いて驚きます。
 そして、それでもよいと納得されれば接種するようにしています。

 ちなみに、インフルエンザの予防接種は任意接種です。
自費診療の部類に入るため、接種しない限りは料金をいただくことができません。
それでも、インフルエンザワクチンについては、「しっかり効く」「受けさえすれば安心」という間違った思い込みを持つ人が多いのです。

■「先生のお子さんだったら、どうします?」

 ワクチンに関する考え方は、小児科医の間でも見解が分かれています。
それだけに、不安を覚えるお母さんお父さんも多いかもしれません。
そこで、予防接種について話がわかりそうな医者で、特に子どもがいそうな場合に、本音を聞き出すのに有効な質問は、「先生のお子さんだったら、どうします?」です。

 医者だって人間です。わが子が大切ですし、いちばんかわいいと思っています。
自分が持っている知識と経験を総動員して、一生懸命に子どものことを考え、その時点でベストと考える決断をするはずなのです。
だからこそ、本音を聞き出せるでしょう。
 この質問は、私が実際に親御さんに聞かれると困ってしまう質問のひとつに入ります。
なぜなら、お答えするのに話が長くなりますし、保育園をなるべく休ませたくないという親の都合を含めて、接種を受けさせている部分もあるからです。

 私は、大多数が「ワクチン推奨派」の小児科医の中において、どちらかと言えば慎重派であり、親の意見を聞きすぎる傾向にあります。
ただ、価値観がますます多様化している中で、言われるがままではなく、わが子の予防接種をどうするかを真剣に悩んでいる親御さんの判断の助けになればと思い、本音を吐露させていただきました。
鳥海 佳代子
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2016年10月31日

「あったらいいな」…理想の病院、クリニック

イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常
「あったらいいな」…
理想の病院、クリニック
2016年10月28日 読売新聞

今日は理想の病院やクリニックについて書きますね。
「こんな病院やクリニックがあったらいいな」という僕の私見です。

 医療で一番大切なことは、施される医療の質ですが、そこはなかなか判断する基準がありません。
極端なことを言うと、手術をする先生は、その素行や、身なりや、言動や、私生活などどうでもいいですよね。
手術だけ上手にやってくれればいいのですから。
美味おい しいラーメンを出してくれれば、どんなに古い建物でも、サービスが悪くても、また行列しても、ラーメンの味で勝負だという理屈と同じです。
そしてラーメンは1日に10軒でもはしごできます。
一口食べれば美味しさはわかりますから。
ですから比較的評価は当たっています。

ところが、医療の本質の良し 悪あ しはなかなか比較できないのです。
今回はそんな本質とは離れたハード面やソフト面のお話です。  

きれいで新しい建物を  

まず、建物はきれいで新しい方がいいですね。
古いと気が 滅入めい りますね。
治療が同じであれば、どこで施されても同じだという意見もありますが、そうでしょうか。
1泊から数泊で終わるような簡単な病気はどこでもいいかもしれません。
でもある程度の入院期間が見込まれる大病であれば、明るく、 清々すがすが しく、そして気が晴れる病室が、暗くて、沈んでいて、重苦しい雰囲気の病室よりもいいに決まっています。
当然に治り方は違うように思えます。

廊下は広い方がいいですね。
下には絵などが掛けてあるとおしゃれですね。
お庭があると入院中の息抜きになりますね。

  待ち時間、何とかならない?  

さて、待ち時間です。
「3時間待ちの3分診療」などと 揶揄やゆ されますが、多くの患者さんをさばいて薄利多売で利益を上げている医療構造からして、致し方ない側面もありますが、なんとかならないでしょうか。
まずは3時間待っても苦にならないような工夫ができます。
たとえば自分の順番が近づいたら携帯電話にお知らせが来るとか、院内専用の通信機器を持ってもらって、そして好きなところで時間を潰して頂いて、10分ぐらい前に待合に来てもらうという作戦です。
これらは、実はすでに行われています。

 待ち時間をなくすためには、予約診療を正確に行えばいいのですが、予約診療をしても待たされることは、よく耳にします。
それはキャパシティ一杯に、またそれ以上に予約をいれるから起こることで、1時間に2人ぐらいを診療する体制にすれば待ち時間もなくなります。
ところが、1時間に10人以上が予約で入っていることも、 希まれ ではありません。
そうであれば、自宅に医者に来てもらうことも一つの方法です。
在宅医療では通常、月に2回ぐらいの訪問診療を行っています。
医師が決まった時間に患家に来てくれるのです。
これであれば、だいたいの時間がわかっていれば少々待っても腹は立ちません。
ちなみに往診は予定外の診察で、訪問診療は予定された診察です。

 また、最近は体を触らない、そして患者の顔を見ないでコンピューターばかりを見ている診療もあります。
患者を触らないのであれば、テレビ電話での診療でも代用可能です。
昨年8月に厚生労働省は従来の方針を大転換して、遠隔診療を基本的に認めました。
もちろん保険診療も利用できます。
つまり、これからは、検査の結果を聞くとか、著変がないので同じ薬がほしいなどという状況では、病院に出向かなくても、テレビ電話での診察が可能で、処方箋や実薬が後ほど送られてくるという診療スタイルが実際に始まっています。

 初診も再診以上に待ちますよね。
先ほどの遠隔診療について、厚生労働省は初診でも認めました。
つまり最初に対面する必要はないということです。
そうであれば、病院に行った方がいいか迷った時は、まず遠隔診療で症状を訴えて、そして来院の必要があれば、来院して診察や検査を受ける、来院の必要がなければ病院の患者数が減りますので、実際に診察する患者さんの混雑を緩和できますね。  

クロークが便利、トイレも広く…

 そして、病院やクリニックにクロークがあるといいですよね。
特に病院では荷物をもって、移動するのは大変です。
雨の日に傘を持って、冬にコートを持って移動することは大変です。
ホテルには当然にクロークがあります。
もちろんそれを利用しなくてもいいのですが、あれば便利ではないですか。
こんな当たり前のことも病院ではなかなかできません。
あってもコインロッカーという施設が大多数と思います。

 トイレはだいぶ改善されました。
多くの病院は洋式の洗浄機付きの便座となりました。
ところがトイレは狭いですね。ある程度の広さは必要と思っています。
トイレに気を配っている病院は基本的に他のいろいろな要素にも気を配っている病院と思って間違いありません。

  職員の態度に気を付けて、説明は迅速に


 医療従事者の態度は大切ですね。
エレベーターで職員の私語が多い病院は落第です。
また職員が横に並んで廊下を我が物顔で 闊歩かっぽ している病院も落第です。
職員は廊下の端を一列で歩く病院は素晴らしい教育がされています。
また職員の白衣や仕事着が汚れている病院も落第ですよ。

 いろいろな検査をして、例えば採血、単純X線写真、超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査、心電図などなどの結果が 直す ぐにわかるといいですね。
最近はダブルチェックをすることが多く、その道の専門家がチェックしてから、そのコメントを参考にして主治医がお話しします。

多くの病院では後日来院してもらって説明していますが、できれば当日に読影結果がわかると良いですね。
チェックする医者の数が十分であれば、それも可能です。
実際に即日にダブルチェックの結果を含めて説明する病院もありますよ。
もしも、後日になるのであれば、これも大した異常がなければテレビ電話で「異常ありませんでしたよ」で十分ですね。

 僕の友人のアメリカのオフィスは、ホテルのようでした。
患者が少なく、スペースが広いので、患者さん同士が顔を合わせることも希でした。
間接照明で、1人に30分から1時間の診察、診察の前には担当の医療従事者でコンシェルジュのような人が、いろいろとお話を聴いてくれます。
病院に来ると憂うつになる日本とは別世界ですね。

国民皆保険が崩壊し、混合診療が普及すると予想され、そして患者負担が5割になれば、少々お金を払っても付加価値を期待する人々のクリニックが増えるかもしれませんね。
 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。
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