米軍、兵器、農産物…
トランプが日本に迫る
「48兆円」負担
2016年11月12日 09時26分 日刊ゲンダイDIGITAL
「中国が雇用を奪っている」
「メキシコとの国境に壁をつくる」と他国を罵倒し、アメリカ第一主義を掲げているトランプ。
来年1月、正式に大統領に就任したら、日本にも次々に要求を突きつけてくるのは間違いない。はたして、どんな無理難題を押しつけてくるのか。
まず“公約通り”、在日米軍の駐留費の負担増を求めてくるのは間違いなさそうだ。
はやくも政策ブレーンのバート・ミズサワ退役少将は、日本にさらなる負担を求めることになるだろう、とNHKのインタビューに答えている。
選挙期間中、トランプは米軍駐留費の100%負担を求めてきたが、どうやら本気らしい。
「日本は“おもいやり予算”で毎年1893億円の米軍駐留費用を負担しています。
負担率は約75%で、ドイツの32.6%、韓国の40%と比べても高めです。
トランプ氏は単純に負担率を100%にしろと言っているわけではないと思う。
恐らく、在日米軍5万人の人件費、空母や戦闘機の燃料代などをすべてひっくるめて払えと要求しているのでしょう。
全額を負担すると年間約6000億円の負担増になります」(軍事ジャーナリストの世良光弘氏)
ムダな兵器を売りつけてくる可能性も高いという。
というのも、トランプは戦争はしないとみられているからだ。
戦争がなければ兵器産業は儲からない。
トランプ勝利が決まった途端、兵器関連銘柄は下落してしまった。
兵器産業の利益を確保するために、同盟国の日本に兵器を売りつけるだろうと予測されているのだ。
「トランプ氏は“米企業と雇用を守る”と言っています。
当然、米軍需産業を儲けさせることも考えているでしょう。
艦載機を積んだ空母は1隻1兆円します。
米軍駐留費と合わせて毎年3兆円をむしり取られるかもしれません」(世良光弘氏)
■消費税18%が現実味
トランプが日本に押しつけてくる負担はこれだけではない。
一方的に農産物の輸入枠拡大を求めてきそうだ。
いま、メード・イン・USAで日本人に売れそうなのは、農産物くらいしかないからだ。
米国の農家を守るために、牛肉やオレンジなどの関税を限りなくゼロに近いレベルまで引き下げようとする恐れがある。
安倍政権はTPP交渉の直前、関税撤廃で国内の農林水産物の生産額は年間3兆円も落ち込む、という試算を出した。
在日米軍、兵器、農産物――この3分野だけでも、8年間で合計48兆円もの巨額負担が日本にのしかかりそうだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「米軍駐留費など、新たな負担を賄おうとすると年間20兆円近くの財源が必要になるのではないでしょうか。
あくまでも最悪のケースで、単純計算ですが、消費税は最高18%まで増税される可能性があるとみています」
トランプの大統領就任は、日本人にとって地獄の始まりとなりそうだ。