2016年12月01日

原発避難いじめ 「事件化できない」神奈川県警の存在意義

原発避難いじめ
「事件化できない」
神奈川県警の存在意義
2016年11月30日 日刊ゲンダイ

「事件化はできないと判断した」―
―神奈川県警の言い分に、ネット上の大炎上が止まらない。

福島原発事故で横浜市に自主避難した男子児童が同級生にいじめられ、不登校になった問題。
あらましはこうだ。
 2014年5月、当時小5の男子児童がいじめられ、加害児童3人から約10万円巻き上げられるトラブルが複数回あったと、両親が学校に相談。
同年7月、小学校から報告を受けた神奈川県警は同級生などから聞き取り調査を実施したが、加害児童側が「被害者が自発的に金を渡した」と主張したため、県警は同年11月、学校と保護者側に「事件化はできない」と説明したという。

「男子児童は、日常的に殴る蹴るの暴行を受け、加害児童の3人から遊興費として計150万円を巻き上げられたといいます」(捜査事情通)
 男子児童側は今月15日に、いじめがあった当時の手記を公表。
〈3人から…お金をもってこいと言われた〉
〈ていこうすると またいじめがはじまるとおもってなにもできずに ただこわくてしょうがなかった〉
〈ばいしょう金あるだろうと言われ むかつくし、ていこうできなかったのもくやしい〉

 それなのに県警は今月18日の会見で、「金銭の授受はあったが、いじめの事実は把握できず、事件化はできないと判断した。
当時は適正な処理をしたと考えている」などと釈明したもんだから、ネット住民も「おかしいだろ」とカンカン。
炎上は拡大の一途だ。

■事件化できないのは「県警の怠慢」

 これが事件じゃなければ、何をもって事件化できるのか。
弁護士の山口宏氏もこう言って憤る。
「小学生の間で150万円もの大金がやりとりされていたわけです。
立派な恐喝ですよ。
加害者の一方的な主張をうのみにして事件化できないなんて、やる気がないというか県警の怠慢です。
警察の信頼を失うばかりか、存在意義がなくなる。
しかもいじめが発覚してから、すでに2年以上経っています。
その間、万一のことが起きたら誰が責任を取るのか。

『向こうが勝手に金を払ったから』なんて主張がまかり通るなら、同様のカツアゲが蔓延します。
ほかにつらい思いをしている原発避難児童が、またいじめの被害に遭ったらどうするんですか」  

被害児童は手記で〈しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた〉ともつづっていた。
県警は日刊ゲンダイの取材に「発表事案ではないので回答できません」(広報県民課)とけんもほろろ。
まったくどうかしている。
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2016年12月02日

冬の感染症、連鎖を防げ

くらしナビ・子育て・親子
冬の感染症、連鎖を防げ
毎日新聞2016年11月28日 東京朝刊

 冬の感染症シーズンがやってきた。
子育て家庭にとって特に怖いのは、高熱が出るインフルエンザと嘔吐(おうと)や下痢が苦しいノロウイルスだ。
感染性胃腸炎が増えたため24日、東京都は流行警報を出した。
順天堂大学医学部付属順天堂医院の感染対策室主任感染管理認定看護師、小松崎直美さんに感染を防ぐ注意点を聞いた。  

●インフルエンザ

 インフルエンザは飛沫(ひまつ)、接触感染し、日本で流行するのは12〜3月。
予防接種を考えている人は、そろそろ済ませていいころだ。
家庭に持ち込まないためには人混みや混雑した密閉空間に行くのは避けることだ。
帰宅後と食事前、トイレ後はせっけんを使って手洗いを。
アルコールの手指消毒も効果的。

つり革やエレベーターのスイッチなど、不特定多数の人が触れる場所は感染源になりやすく、その手で鼻や口を触らない習慣づけも必要だ。
外出時は携帯用アルコール消毒薬を持っていると手軽に消毒できる。

 具合が悪いと思ったら早めに医療機関を受診しよう。
小さな子どもは大人に比べ免疫力が低く、幼いと熱を訴えられない場合が多い。
重症化してインフルエンザ脳症や熱性けいれん、中耳炎などの合併症を引き起こす危険性もある。
ただし、インフルエンザの簡易検査キットで特定できるのは発熱から12〜24時間後。
発熱から数時間だと検出できないことが多い。
その時は問診で接触歴、保育園や学校での流行状況、家族の発症状況を伝えて医師の判断をあおごう。
また、アスピリンなどインフルエンザに適さない市販の解熱剤もあるため、医師から処方された薬の使用を勧めたい。

 家庭内のまん延を防ぐために、可能なら、感染者を別の部屋でマスクをつけて過ごさせる。
子どもが嫌がれば看病する人が着用する。
できるだけ看病する人は1人に決め、ケア後は手洗いを忘れずに。

 発熱時、寒がる時は体を温め、体が熱っぽく汗をかいている場合は太い血管が通る脇の下、脚の付け根、膝の裏を冷やす。
食品用の保冷剤を冷凍庫にストックしておき、タオルで巻いたりストッキングに入れたりすると体に固定しやすい。
脱水症状につながる危険性があるため、食欲がなくても水分補給は必要だ。  

●ノロウイルス

 おなかの風邪といえば、原因の代表格はノロウイルス。
ロタウイルス、アデノウイルスなどの場合もあるが、「吐く、下痢、発熱」の3大症状は共通。特効薬はない。
流行状況を踏まえ、医療機関で検査せず「感染性胃腸炎」とだけ告げられることもある。

 感染経路は、主に二枚貝などですでに汚染された食材

▽公共施設のトイレや食器などへの接触
▽患者が吐いた汚染物を触る、吸い込む−−などがある。

便や吐しゃ物1グラムにウイルスが100万〜1億個含まれ、10〜100個程度で感染するという。
乾燥して空気中に漂うと吸い込んで感染することがあり、速やかに処理することが重要だ。

 床やテーブルに吐いた時の処理の手順は、換気→使い捨てのマスクと手袋をつける→ごみ袋を広げる→吐しゃ物をペーパータオルなどで取り除く。
続いてペーパータオルをかぶせ、50〜100倍に薄めた市販の塩素系漂白液を浸すようにかけ、しばらく置いて外す。

漂白液に浸しておいた新しいペーパータオルで外から内に向かって拭き取る(この時、汚れた面でこすると汚染が広がるので常に新しい面を使う)。
吐しゃ物や拭き取ったペーパータオル、手袋、マスクなどはごみ袋に入れて、浸る程度に漂白液を入れて口をしばる。
最後にせっけんで30秒以上かけて手を洗う。
ノロウイルスにはアルコールによる手洗いは効果がない。

 布団やシーツに吐いた時は、同様に身支度して吐しゃ物を片付け、衣類やシーツ類は放置せず漂白液に5〜10分浸し、ほかの物とは別にして普通に洗濯する。
もみ洗いする場合は、ウイルスが飛び散らないよう水の中で作業をする。
85度以上の熱湯に1分以上つけることでもウイルスを不活化できる。
布団はよく乾燥させて乾燥機やスチームアイロンをかける。
 おもちゃやドアノブ、トイレの水洗レバー、便座も塩素系漂白液で拭き上げたい。

 発症から6時間くらいは嘔吐が続くことがあり、無理に飲食させない。
どうしてもほしがる時は、水を1さじずつ与える。
吐き気が止まって3時間くらいして水分補給をする。
食事は水分がとれるようになって、食べられる量の半分くらいから食べさせよう。

 小松崎さんによると病院では各部署に、血液や汚物を処理するのに必要なものをまとめたセット(スピルキット)を常備している。
「家庭でも必要なものをまとめておくと、移動を簡略化できて汚染の拡大防止に役立つでしょう」と話している。
【                     山崎明子】

吐しゃ物処理に便利な道具
・使い捨て手袋
・使い捨てマスク
・キッチンペーパー
・ポリ袋
・0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液(市販の塩素系漂白剤を100倍に薄めたもの。2リットルのペットボトルにキャップ4杯を入れ、いっぱいまで水を入れて薄める) ニュースサイトで読む:
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2016年12月03日

カジノ法案が審議2日で強行採決! 背後に安倍首相とカジノ利権狙う“パチンコのドン”セガサミー会長の癒着

カジノ法案が審議2日で強行採決!
背後に安倍首相とカジノ利権狙う
“パチンコのドン”セガサミー会長の癒着
2016.12.02 LITERA編集部

 野党の反対を押し切って先月29日に与党が審議入りさせた統合型リゾート(IR)整備推進法案が、早くも本日の衆院内閣委員会で強行採決された。

 IRなどと言い換えて誤魔化しているが、この法案は賭博であるカジノを法的に認める「カジノ解禁法案」だ。
昨日も本サイトで指摘したように、カジノが解禁されれば、ギャンブル依存症患者が増加するのではないかという重大な懸念がある。
それでなくても現在の日本では「病的ギャンブラー」と判断される人は全国に536万人もいると言われているのだ。

 そんな深刻な問題があるにもかかわらず、今国会での審議をまだたったの2日しか行っていない状態で、もう強行採決。
しかも、週明け6日には本会議で可決させ衆院を通過させるつもりだというのだから、安倍政権のやりたい放題ぶりは異常すぎる。
 だが、暴走するのも無理はない。今国会で強行採決してきたTPPや年金カット法案よりも、安倍首相にとってこのカジノ法案は是が非でも成立させたい“悲願の法案”だからだ。

 そもそも安倍首相は、2010年に発足した国際観光産業振興議員連盟、通称「カジノ議連」では最高顧問に就任し、カジノ解禁を「日本の成長戦略の目玉」などと言って猛アピール。
14年、国会で野党から「首相は多重債務や依存症への対策、青少年の健全育成などの総責任者なのに、賭博場解禁の議連の最高顧問であるというのは相反するのではないか」と追及を受けて辞任するまで、その座に居座り続けた。

 なぜ、安倍首相はカジノにこだわり続けてきたのか。
その裏にあるのは、“パチンコ業界のドン”との蜜月関係だ。
 そのドンとは、パチンコ・パチスロ最大手であるセガサミーホールディングス会長で、米経済誌・フォーブスが発表する「世界の富豪」ランキング常連の里見治氏である。

昨年1月には里見会長の自宅に銃弾が撃ち込まれるという発砲事件が起こったが、このときこぞって週刊誌が“カジノ利権の争いが事件の背後にあるのでは”と書き立てている。
 事実、セガサミーは、2012年に韓国のカジノ企業と合弁会社「PARADISE SEGASAMMY」を設立し、来年4月には韓国・仁川に大型カジノリゾートをオープン予定。

他方、13年7月には五輪東京招致のオフィシャルパートナーとなり、政界の“五輪開催のタイミングでカジノ合法化へ”という動きのなかでカジノ利権の主導権を握ろうと存在感を高めてきた。  

そして、カジノ解禁に向けて里見会長が目をつけたのは、安倍首相その人だった。
ふたりの出会いは第一次安倍政権時だと見られ、07年1月30日には赤坂の全日空ホテルで安倍首相と里見会長は会食を行っている。
さらに政権交代によって下野してからは、さらにふたりの関係は密になったという。

 そんな間柄を象徴するのが、13年9月に開かれた、里見会長の愛娘と経産キャリア官僚だった鈴木隼人氏の結婚披露宴だ。
ホテルオークラで開かれたこの披露宴には、森喜朗、小泉純一郎といった首相経験者や、菅義偉官房長官、茂木敏充経産相、甘利明経済再生担当相(ともに当時)といった大物閣僚らが揃って駆けつけたが、そんななかで安倍首相は新婦側の主賓を務めている。
 さらに、安倍首相は主賓挨拶で、「新郎が政界をめざすなら、ぜひこちら(自民党)からお願いします!」と、鈴木氏にラブコール(「FRIDAY」13年10月4日号/講談社)。

実際、翌年12月に行われた解散総選挙で鈴木氏は比例で自民党から立候補するのだが、このとき鈴木氏は初出馬ながら比例上位に選ばれ、当選を果たす。
ここに安倍首相の根回しがあったことは想像に難しくない。
 娘婿という身内まで政界に送り込み、カジノ解禁、そして安倍首相との関係を盤石なものとした里見会長。
しかも、このふたりには、金をめぐるキナ臭い噂も流れている。

 たとえば、「選択」(選択出版)13年9月号の記事では、セガサミーの関係者が「安倍首相は、里見会長の元に直接訪ねてくるほどの間柄」と答えたり、セガサミー社員が〈業界団体の集まりで「安倍首相はウチが落とした」と公言してはばからない〉ことなどを紹介。
その上で、里見会長の側近の一人が「参院選前に、里見会長は安倍首相に五千万円を手渡した」と吹聴している、と伝えている。

 これが事実なのかは定かではないが、しかし、もともと安倍首相はパチンコ企業との癒着が指摘され続けてきた人物。
既報の通り、父・晋太郎の時代から福岡、山口で多くのパチンコ店を経営する七洋物産は地元の有力スポンサーであり、安倍家は下関市の広大な自宅と事務所を同社の子会社であるパチンコ業者・東洋エンタープライズから格安で賃借。
さらに自宅のほうは1990年に所有権が同社から晋太郎に移り、それを安倍首相が相続。
地元では「パチンコ御殿」と呼ばれているというが、里見会長との蜜月の前からパチンコ業界との“下地”はこうしてつくられていたのだ。

 しかも、今回、安倍首相が躍起になっているカジノ法案は、憲法改正とも連動している。
それは、日本維新の会との関係強化だ。
 ご存じの通り、維新はカジノ解禁を訴え、橋下徹は大阪市長時代に「大阪カジノ構想」をぶち上げた。
当然、今回のカジノ法案でも維新の会は自民党との協力態勢に入っている。
そして、やはりというべきか、維新のほうでもセガサミーの陰がちらついている。

というのも、橋下の大学時代からの友人で、松井一郎大阪知事(当時)が13年に大阪府教育長に抜擢した中原徹氏は、部下へのパワハラが発覚し辞職したその1カ月ちょっとで、セガサミーホールディングスの役員に就任しているのだ。
 このように、完全に思惑が一致している安倍首相と維新の会。

昨年6月に安保法制をめぐって維新を抱え込むべく安倍・菅が橋下・松井と会談した際、「菅さんは大阪にカジノをつくると手形を切って説得した」(「週刊ポスト」15年7月3日号/小学館)といわれたが、今回のカジノ法案も、「大阪招致をダシにしたかたちで、安倍政権は維新と憲法改正での協力を取り付けた」(永田町関係者)と囁かれている。

 繰り返すが、カジノ法案はギャンブル依存という重大な問題を孕むだけでなく、反社会的勢力の温床になる危険性も指摘されている。
だいたい、“誰かが必ず金を巻きあげられる”という不公平な仕組みを国が公認し、「成長戦略」にしようと目論むこと自体が社会的公正にもとる行為だ。
 しかし、安倍首相をはじめとする癒着にまみれた政治家たちは、自身の利害にしか目を向けず、ましてや強行採決で法案を押し通したのである。
ここまで政治は腐りきることができるのか──。
安倍政権には、ただただ絶句するしかない。
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カジノ法案:野党「どさくさ紛れ」 採決強行に猛反発

カジノ法案:
野党「どさくさ紛れ」 
採決強行に猛反発
2016年12月02日 21時26分 毎日新聞

 ギャンブル依存の増加や治安悪化など「副作用」が懸念されるカジノ法案が、国会で急発進した。
「統合型リゾート(IR)整備推進法案」を2日の衆院委員会で可決へ導いた自民党に、野党は「議論もなく採決は論外」「どさくさ紛れの強行」と猛反発。

消費者問題に詳しい弁護士たちも「多重債務問題が再燃しかねない」と警戒する。
           【遠藤拓、金森崇之、野田武】  

午前9時すぎに始まった衆院の内閣委員会は荒れ模様となった。
 「誰がこんな強引な委員会運営を主導しているのか。
安倍(晋三)総理か。菅(義偉)官房長官か……」。
民進党の緒方林太郎氏は質問で、内閣委員長の秋元司氏(自民党)に迫った。
安倍首相はかねて成長戦略の一環としてカジノに前向きとされ、菅氏の地元の横浜市はカジノ誘致に動く。
「私に聞かれても答えようがない」と秋元氏はかわした。

 共産党の清水忠史氏は、首相の著書「美しい国へ」を引き合いに「国民生活に害悪をもたらすカジノ解禁はゆがんだ発想。
『美しい国』ではなく『恥ずかしい国』だ」と批判。
同党の池内沙織氏も「カジノ収益から出る納付金でギャンブル依存症の対策を講じる。
まさに本末転倒のお手本だ。
新たな発生元を作らないことこそ必要だ」と指摘した。

 民進党の安住淳代表代行は採決後、会見で「今のギャンブルですら依存問題が出ている。
家庭を豊かにするのではなく、壊す法案だ」と批判。
「提案議員が(委員会で)関係団体からの献金をもらっているか(聞かれて)も答えないで遮二無二強行採決するなど、(戦前の)帝国議会でもなかった」と怒りをあらわにした。

 パチンコや競馬などに病的にのめり込み、自分で衝動を抑えられないギャンブル依存は、かつて個人の道徳観や意志の弱さが原因とされてきたが、今は精神疾患の一種と考えられている。
治療に取り組む国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)によると、「不快な気分を解消する手段として行う」
「興奮を得るため、賭け金の額を増やしたい欲求が生じる」などのチェック項目に該当する数で依存度を調べるという。

 日本では患者が多く、厚生労働省研究班は2年前、成人人口の約20人に1人(536万人)に上るとの推計を発表。
男性の8.7%、女性の1.8%が国際的な指標で「病的ギャンブラー」とされる。
世界でも際だって高い率だが、国の対応は追いついていない。

 カジノ問題に詳しい弁護士たちからは対策の遅れなどを批判する声が上がっている。
 クレジット被害などの消費者問題に詳しい千葉マリン法律事務所(千葉市)の拝師徳彦(はいしのりひこ)弁護士は「6年前の改正貸金業法完全施行で消費者金融などへの規制が強まり、自殺者を生む多重債務問題は年々改善されてきた。
しかし、カジノで問題が再燃しかねない」と指摘。
反社会的勢力のマネーロンダリング(資金洗浄)に使われたり、治安悪化を招いたりする恐れもある。
こうした課題に対策を立てないまま法律を成立させるのは、無責任で強引な印象だ」と与党を批判した。
         【遠藤拓、金森崇之、野田武】
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2016年12月04日

「ギャンブルの怖さ 世間は知らなすぎる」

「ギャンブルの怖さ
   世間は知らなすぎる」
2016年12月3日 東京新聞朝刊

 「世間はギャンブルの怖さを知らなすぎる。人が狂うんです」。

午後二時すぎ、職場のテレビで流れたカジノ解禁法案の衆院委可決のニュースを、横浜市神奈川区の男性会社員(46)は冷ややかに見ていた。
 男性は二十年近く、ギャンブル依存症で苦しんできた。
大学生のころからパチンコにのめりこみ、借金は一時三百万円に。
勝ち続けてもおもしろくない。
負けているときに「明日どうしよう」と思いながら、打つドキドキ感がたまらない。
亡くなった父の香典をくすね、妻の結婚指輪を質に入れたりもした。

狂っているのは分かっている。
でも、ブレーキが利かなかった」と当時を振り返る。

 六年前、妻がギャンブル依存症の当事者や家族を支援するNPO法人「ギャンブル依存ファミリーセンター ホープヒル」(横浜市旭区)に連絡。
ホープヒルの回復施設に住み込みながら、三年かけて治療した。

 「ギャンブル依存症の怖さは、犯罪にまで行き着くこと」。
一緒に治療していた仲間の中には、横領や窃盗で逮捕された人も。
男性もかつて、勤務先の飲食店の売上金に手を出した。
もうギャンブルには手を出していないが、今でも、ふっと「パチンコで稼ごう」という思いがよぎるという。

 カジノ解禁法案の審議に至っても、具体的な依存症対策が聞こえてこないことに、男性は不安を覚える。
「ギャンブルに対する政治家の認識は甘すぎる。
浅い認識でカジノまで解禁すれば、私のように苦しむ人を増やすのでは」と訴える。

 男性が治療していたホープヒルの回復施設では二日夜、定例のミーティングが開かれた。
理事長の町田政明さん(64)が投げ掛ける「我慢している時は、どんな気持ち?」といった質問に依存症の人たちが答え、自分の内面と向き合った。
 ふってわいたカジノ法案の採決に、町田さんは「あまりに拙速」と語る。
依存症は治らない人のほうが圧倒的に多い。ギャンブルは毒の部分もあり、人をむしばむ。
国はもうけ話ばかり強調するが、もっと社会的損失に目を向けるべきだ」と訴える。
 (中沢誠)

<ギャンブル依存症>
 ギャンブルへの欲求を抑えることが難しくなる精神疾患の一つで、借金を抱えたり家族関係が破綻したりといった問題につながる。
厚生労働省の研究班は2013年7月、全国から無作為に抽出した20歳以上の男女のうち4153人(回答率58・9%)を対象に調査を実施。
研究班は調査結果を踏まえ、ギャンブル依存症の疑いがある患者は536万人と、成人の4・8%に上るとの推計を出した。
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2016年12月05日

「戦後」を歴史としてみる

「戦後」を歴史としてみる
毎日新聞2016年11月21日 東京夕刊

 第二次世界大戦終結から70年の節目だった昨年を経て、既に戦後71年が過ぎた。
それにしても、この「戦後」という区切りはいつまで有効なのだろう。
筆者自身、数年前に「のんべんだらりと続く『戦後』としか現在をとらえられない」問題について書いたこともあるが、代わりにこれといった指標は見当たらない。

 手がかりになる本が出た。近現代日本史を専門とする成田龍一さんの『「戦後」はいかに語られるか』(河出ブックス)だ。
「いま、私たちは、大きな転換期に遭遇している」との認識のもと、「耐用年数が過ぎたにもかかわらず『戦後』に負ぶさる姿勢と、『戦後』を無きものにしようとする動き」の両者に対抗し、「戦後」を歴史としてとらえようと試みている。

 前提は二つある。

一つは、いま「『戦後』の歴史がある決定的な地点を越えてしまった」という見方だ。
これは2011年の東日本大震災と「そこでの不安をもとに誕生した現政権」により、「これまでとは異なる光景」が広がってきたとの状況把握からきている。

3・11の原発事故は世界史的な意味を持ち、「戦後レジームからの脱却」を唱える政権は、戦後に培われてきた思想や制度、それをめぐる議論までをも「消去しようと」していると著者は述べる。

もう一つは世代の交代だ。
いまや戦争経験者の子供の世代=戦後第1世代に続き、孫の世代=戦後第2世代が台頭している。
この戦後第2世代は「先行する世代とはまったく異なった世界観や社会認識を有し」、新しい感覚を提示するようになったという。
 こうした前提に立ち、成田さんは戦後に関わるさまざまな議論や文学作品を紹介しつつ、戦後を歴史として語るための「文法」を探っていく。
分かりやすい単純な答えが用意されているわけではないが、興味を引かれた点を挙げてみる。  

国家などの「公」と個々の「私」との関係が戦後たどった変化について、著者は政治学者の藤田省三や作家の小田実らの考察を通して描く。
それは、日本人が「戦時の国家への献身から反転して」「私生活第一主義」に向かうところから始まった。
藤田によればこの「私生活の擁護」は「憲法によって基礎づけ」られたもので、1960年の「六〇年安保闘争」でも示され、肯定的に評価された。

 70年代にかけてベトナム反戦運動で活躍した小田はさらに徹底し、「『私状況』優先の原理」を戦後民主主義の基礎を成すものととらえた。
だが同時に、同じ原理が「戦争責任を曖昧にし、『公状況』に無関心の風潮をもかたちづくった」と指摘した。

 さらに、80年代に「公と私」の関係が大きく転換していったことが、仏文学者の海老坂武さんらの著作を通し記される。
それは公の思想が後退し、個人主義や相対主義が浮上するという形で表れた。
 そして現在、戦後第2世代にとっては「新自由主義経済のもとで『私』と『生活』が崩れ去る」事態が出発点になっていると成田さんは書く。
貧困が切実な問題になった状況を指している。

新自由主義の政策推進により、「家族や地域社会などをはじめとする中間組織・団体が崩壊し、『私』がむき出しのまま、『公』(世界)に対峙(たいじ)することともなっている」。
まさに「『戦後』後」の新たな事態だ。
そうした中で、昨年夏の安保法制反対運動に見られた「若い世代を含む集団的な行動」が重視される。

 歴史としての「戦後」像、戦後に代わる枠組みはまだ明らかでない。
とはいえ「あの戦争」を基準に積み重ねられたものの有効性が薄れ、全く違った局面に入っているのは確かだ。
目を凝らし、読み解く「文法」を編み出さねばならない。
                                【大井浩一】
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人命軽視の歴史、神風特別攻撃隊という殺人

私(小だぬき)は「沖縄戦史」「神風特別攻撃隊」「万歳突撃」「戦陣訓」などに 拘りを持っています。
日本の権力者・指導層・マスコミに大きな不信感を持つからです。

父が特攻隊待機で敗戦を迎えた影響かもしれません。
父は 海軍の一式陸攻の機銃手で 定員7名全てが「特攻要員」とされたそうです。

一式陸攻は 大戦初期にイギリスの「プリンスオブウェールズ」を撃沈したことと 山本五十六大将の戦死時の搭乗機として歴史に残る機体です。

今だ防衛省戦史編纂室の研究不足だと思うのは、「志願形式の命令」から「作戦命令」に、そして若い搭乗員に後に続くと訓示した 基地司令・幕僚、軍令部などの「敗戦後の身の処し方」です。
率直に言えば 玉音放送まで「死ね」と命令した者の 敗戦後の生き方です。

<明らかに人命を消耗品扱いした罪>

本当に特攻攻撃に成果を期待したのであれば、矛盾点が多すぎるのです。
人命を爆弾と一体化し「死」を強要したのですから、
日本人として死に行く人達への礼儀として 
@防弾装備の新鋭機の投入
A死に場所への護衛の十分な配慮
B出撃は 心の整理ができたものから
C長男・家督相続者の除外 などが 必要だったと思うのです。

しかし、現実は赤とんぼ(初等複葉練習機)や白菊などの練習機から旧式で実戦で使い古された機体、桜花や回天・海龍など 出撃=死の兵器の開発と実戦投入。

せめて最後は 最善の葬儀をと願う 国民感情と相いれない
「下手な鉄砲でも数撃ちゃあたる」式の死の強要。
完全に10代 20代の若者達は 沖縄戦同様に「捨石」「絶望的な死の選択」しか許されない戦争でした。

確かに特攻隊員達の遺書に滲み出る 家族への想い、死の決意には 涙なしには読めません。
父もそうでしたが 敗戦で生き残った人達も長い期間 散った戦友達の死の評価で苦しんだと思います。

この作戦とも言えない作戦を推進・命令した人達の 戦後の豹変。
戦争遂行責任や死を強いた作戦へ反省・総括がないまま 敗戦後 警察予備隊・保安隊・自衛隊に入隊し 幹部になっていく。

今盛んに防衛論議がされていますが、いざ戦争になった場合に「死」を前提に闘わざる得ない自衛隊員や一般国民。*防空壕や核シェルターすらない。

靖国神社は「国から理不尽に 死を強要された人達」の無念さがこもった神社です。
愛国心を強調する人達は、参詣ではなく「二度と無益な死を強要するような国にはしない」と祀られている霊に誓う場でなくてはなりません。
もうすぐ「開戦の日」を迎えます。
二度と若者を 政権のために死なせない
 決意の日としたいものです。
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2016年12月06日

 JR北海道、赤字すぎて廃線続出か

赤字深刻なJR北海道、
「在来線切り捨て」で
公共交通の座捨てるのか、
自業自得の不祥事続出
2016.12.05 Business Journal 編集部

JR北海道は11月18日、在来線の総延長の約5割が「維持困難な路線だ」と公表した。
経営安定基金の運用低迷に加え、安全投資負担が重くのしかかっているという。

国鉄民営化で発足したJRのうちでも3島会社(北海道、四国、九州)の先行きは厳しいと当初から指摘されてきた。
JR九州は不動産を中心としたビジネスに転換して株式上場を果たしたが、JR北海道はどこへ行こうとしているのか。

 JR北海道の島田修社長は11月18日、札幌市で記者会見し、「民間企業として維持できるレベルを超える路線は赤字削減や路線のあり方を相談させてほしい」と地元自治体に協力を求めた。

国から6822億円の経営安定化資金が供与されているが、高い利率での運用ができなくなり、赤字補填ができなくなったからである。
 しかし、JR北海道が安全投資に資金を投入しなければならなくなったのは自業自得である。2013年の函館線で貨物列車の脱線事故が起こり、その後、レール検査データの改竄が発覚し、利用者の信頼を失った。

 安全化投資に毎年350億円必要で、これに道内を今夏に襲った台風被害が追い打ちをかけた。  今後、JR北海道は沿線自治体と路線維持の費用負担などを協議する。
自治体が鉄道施設を保有する「上下分離」方式を検討する。
だが、JR北海道は公共交通という視点が欠落していないだろうか。
採算性だけで、列車を走らせるのを中止することは正しい判断といえるのか。

 路線区間ごとに自治体と協議するというのは、一見、客観性がありそうに見えるが、北海道全体の問題として議論していかないとおかしくなる。
国の責任で、北海道と地元自治体を交えて将来を見据えた鉄道振興策のグランドデザインをつくることが必要不可欠だ。

JR北海道は会社更生法を申請するべき

 荒療治だが、JR北海道は会社更生法を申請し、民間会社であることを返上してはどうかとの意見もある。
JR四国、JR貨物も近い将来、法的措置が必要になるとの厳しい見方をする財界人もいる。

 JR北海道が会社更生法を申請した後には、JR東日本に経営を任せるという手もある。
そして、JR四国はJR西日本とJR東海が分担して面倒を見る。
JR貨物は国が前面に出るしかないとの意見が多い。

 JR東海のリニア中央新幹線に安倍政権は3兆円の財政投融資を付けた。
固定金利0.6%という超低利で11月29日に5000億円を融資した。
2017年1月、3月にも5000億円ずつ融資し、17年度も複数回に分けて合計1.5兆円を貸し出す。
 融資総額3兆円は、2055年までにJR東海は全額返済するとしているが、民間融資より低利になるため、JR東海の負担は5000億円ほど減る効果があると国土交通省は試算している。
 しかも驚くべきことに安倍政権は無担保で融資を行う。
石井啓一国交相は「焦げつくような事態は想定していない」としているが、今は好業績のJR東海も、リニア開業後はドル箱の東海道新幹線の乗客がリニアに流れて減る公算が大きい。
その上、リニアは高コストであり、利益は減るとみられている。

 今国会でも「公的資金による特定企業(JR東海)への優遇策だ」との批判が出た。
 JR北海道の鉄路を維持するほうがJR東海のリニア新幹線より国民経済的には重要なのではないか。
地域の公共交通をどう整備し誰が費用を負担していくのか。
JR四国も、JR九州も、赤字路線がほとんどだ。
JR北海道の苦境は3島会社に重い課題を突きつけている。

 JR北海道が「在来線の切り捨て計画」を公表することに国土交通省はどういう態度で臨んだのか。
勝手に発表させて、放置しておいていいわけがない。
公表に待ったをかける勇気が国土交通省にはなかったのか。

 石井啓一国土交通相は11月25日の閣議後の記者会見で、今夏の台風で被災したJR北海道に対し、復旧費として今年度予算の予備費から8億円超を出すと発表した。
 安全性向上のため16〜18年度に支出する1200億円も、今回の復旧に使うことを認める。
JR北海道が台風の被害の復旧に必要としている40億円のメドはこれで立ったが、この金額では本腰を入れた国の支援、税金の投入には程遠い。
安倍政権はJR北海道を、本気で救う気があるのだろうか。
              (文=編集部)
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2016年12月07日

「薬剤耐性菌」増加に警鐘 抗生物質の使い過ぎ原因

「薬剤耐性菌」増加に警鐘 
抗生物質の使い過ぎ原因
2016年12月6日 東京新聞

 抗生物質(抗菌薬)が効かない細菌の「薬剤耐性菌」が増えている。
抗生物質の使いすぎが原因で、現在流行中のマイコプラズマ肺炎など、身近な病気にも効きにくくなっている。
専門家は不必要な抗生物質の投与を控えることが重要だと指摘。
五月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも議題となり、国や医療現場も対策に乗り出している。
      (細川暁子)

写真

九月末から流行し始めたマイコプラズマ肺炎。
「抗生物質がマイコプラズマ菌に効かなくなってきていることが、流行の一因ではないか」。
国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)感染症科医長の宮入烈(いさお)医師は推測する。

 この肺炎は長引くせきが特徴で、小中学生など学童期の子どもが多くかかる。
国立感染症研究所によると十一月十四〜二十日に全国五百の医療機関から報告された患者数は、一医療機関当たり一・三二人。
昨年同期の〇・七六人を大きく上回っている。

 宮入医師によると、以前は、菌のタンパク質の合成を妨げる「マクロライド系」の抗生物質を使えば治療できていた。
だが二〇〇〇年ごろから、抗生物質を投与しても治らず、重症化して入院する子どもが徐々に増えているという。

 薬剤耐性菌は、抗生物質を使いすぎるなど薬の不適切な使用で細菌の遺伝子が突然変異してできる。
耐性菌を保有している人が別の人と接触したり、不特定多数の人が触れる物に菌がついて周囲に広がっていく。

 中でも特に脅威となっているのが、「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)」だ。
最後の切り札と言われる強力な「カルバペネム」を含め、ほとんどの抗生物質が効かない。  

抗生物質を使えば使うほど耐性菌は増え、別の抗生物質を使っても、その薬に耐性を持つ菌が出てくる。
いずれ菌とのいたちごっこに勝てなくなるのではないか」。
宮入医師は懸念する。

◆適正使用 医療現場で啓発
 そもそも抗生物質は細菌が原因の病気には効くが、ウイルスが原因のかぜなどには効果がない。
 だが病気の原因が、細菌なのか、ウイルスによるものかを見極めるのが難しい場合もあり、医師が念のために抗生物質を処方したり患者が求めたりする傾向がある。
耐性菌を増やさないためには、不必要な抗生物質の使用を控えることが重要」と宮入医師は言う。

 政府はサミットに先駆けて、抗生物質の使用量を約三割減らす目標を決め、十一月には「国民啓発会議」を初めて開いて対策に本腰を入れ始めた。
 医療現場でも抗生物質の適正使用を啓発する動きが広がる。

国立国際医療研究センター(東京都新宿区)の忽那賢志(くつなさとし)医師は昨年、「その抗菌薬、本当に必要ですか?」と医師や患者に呼び掛けるポスターを制作。
センター国際感染症対策室のウェブサイトで公開しており、有志の医師らによる情報提供も続けている。
忽那医師は「抗生物質の使用量抑制は、社会全体で取り組むべき課題」と話す。
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2016年12月08日

平野啓一郎氏が警鐘 「世の中が全体主義に移行している」

平野啓一郎氏が警鐘
「世の中が全体主義に移行している」
2016年12月5日 日刊ゲンダイ

 一方的にまくし立てるような国会答弁から「反知性」の烙印を押されている安倍首相。
当然、作家・文化人など言論人からの批判が多いが、平野啓一郎氏(41)も急先鋒のひとりだ。
SNSなどで非常に多くの発信をしているし、「世の中は新自由主義から全体主義に移行している」と警鐘を鳴らす。
安倍政権の危うさと時代の危機を語ってもらった。

■理念的にも現実的にも愚かな安倍外交

――平野さんもそうですが、作家、文化人の方は総じて安倍政権に対して批判的ですね。

 基本的に自由であることが作家にとっては、というか、一人の人間として、大変、重要ですから、その自由が拘束されていく感覚に対する抵抗感ですね。
それに作家は政治的発言がしやすいというところもあります。
職種によっては原発反対とか五輪反対とか言うと不利益があるでしょうけど、僕らにはありません。
むしろ、よくぞ言ってくれたと読者が応援してくれたりしますし。

――やはり、安倍政権になってから、世の中、きな臭くなったと思いますか?

 小泉政権も評価していないし、民主党の野田政権にもものすごいフラストレーションがありました。
でも、小泉政権時代には今の自民党の改憲草案のようなものがメーンストリームになるとは思ってもみなかった。
小泉氏も決してリベラルではないが、今の自民党の中心にあるような暗い国家主義はなかったと思います。
あの時代は、新自由主義で、勝ち組は努力の結果であると。
苦境の人は努力が足りないという考え方でした。
そうやって、弱者は見捨てられたわけですが、今は経済的苦境にある人は見捨てられるだけでなく、批判される。
社会保障という面で国に「迷惑をかけている存在」だと、糾弾の対象になってきている。
これは非常に危ない風潮だと思います。

――ナチスの優生思想に通じるような?

 自民党はかつてと同じ党ではないですね、もはや。安倍政権だけじゃなく、社会的風潮そのものが新自由主義から全体主義へと変わりつつある危惧を覚えます。

――安保法制の審議の進め方や中国を敵視するような外交姿勢、この辺はどう思われますか?  

とにかく、象徴的な「敵」が必要なんでしょう。
日本という国が戦後、曲がりなりにも続けてきた平和国家としての歩みが急激に変化しています。
これは理念的に間違っているだけでなく、現実的にも何の得もない。
南スーダンや中東はどうしようもない泥沼です。
一体、どういう期間、何を目指して、どう関わっていくのか? 
何のビジョンもない。
自衛隊員の犠牲も出かねないし、日本もテロの標的となり得る。
愚かとしか思えません。
北朝鮮や中国に対しても、強気に出れば、いつか相手が参りましたと言うと思っているのでしょうか?
 拉致問題しかり、どういうプロセスで問題の解決をイメージしているのか、まったくわかりません。
中国に対しても日米同盟の軍事力を強化して、抑止力が高まったのか? 
尖閣問題で中国と軍事的に衝突したとして、どんな収拾のつけ方があるのか?
 中国だって国内のナショナリズムが沸騰して、引くに引けなくなる。
恐れ入りましたとおとなしくなるはずがない。

――何のための軍事力強化なのか。

政治家が自分の力を誇示したいだけではないのか。
そんな印象すら受けますが、さて、米国ではトランプ大統領が誕生します。
来年には世界中で国家主義者が誕生、台頭する懸念があります。
 フランスも極右のマリーヌ・ルペンが支持を伸ばしている。
ポーランド、ハンガリーなど、東欧では右派政権が誕生していますし、とんでもない法案を通しています。

――グローバリズムへの反動ですか?

 それもありますが、いまは世界的に国家そのものが弱体化しているのだと思います。
国家が財政的にも弱体化し、アイデンティティーも失いつつある。
その反動が起こっているのではないか。

――どういうことでしょうか?

 アップルやグーグル、アマゾンみたいなグローバル企業が通信だけじゃなく、社会的なインフラを広範に担うようになると、人々にとって、国家への依存度が低下していく。
それに対して、国家にはものすごい危機感がある。
そこで、グローバル企業が担えない国家権力の源泉、徴税権であったり、軍事力が反動として強化されていく。
本来であれば、外交交渉や民間の交流で国際平和を維持していくべきなのに、やみくもに軍事力を強化する。
しかし、国家がなければ困るのは社会的弱者であって、むしろその点でこそ機能すべきなのに。  彼の場合、確固たる国家観というよりも祖父の悲願である憲法改正をやりたいというだけではないでしょうか。
そこに至る過程、最終的な国家像は支離滅裂です。

――それなのに、選挙のたびに大勝している。

 選挙制度がこれでいいのか、という問題もあるし、そもそも、安倍政権の態度は小選挙区的ですよね。
1票でも勝てば、何をやっても許される。
相手がどれだけ票を取ろうがお構いなし。
悔しかったら選挙で勝ってみろ。
そんな態度じゃないですか。
もちろん、民主主義ですから、選挙で多数派の布陣を握った方が有利に議論は進められる。
しかし、その前提として少数派の意見に真摯に耳を傾けなければならない。
それなのに多数決で勝てば、全権委任を得たように誤解しているとしか思えません。
民主主義の前提が崩れている

――閣僚の暴言、放言も後を絶ちませんね。

 政治倫理は現政権になってからガタガタになりました。
これを回復するのに、どれだけ時間がかかるのか?
 そもそも回復できるのか?
 16年前、森元首相は「日本は天皇中心の神の国だ」と発言し、これが政権の命取りになった。
このレベルの暴言は今、ゴロゴロあります。
機動隊員の土人発言を「差別と断じることはできない」と言って擁護した鶴保沖縄担当相なんてメチャクチャなのに、辞めさせられない。
閣議決定でこの発言を擁護までする。
山本農水大臣の強行採決発言だって、本来であれば、クビが飛んでいなければおかしい。

――選挙で選ばれた政権が暴走していく。

民主主義の限界、欠陥という気もします。  
民主主義以外の制度は考えられないけれど、その民主主義が機能するにはいくつかの前提があって、それが崩れているのではないでしょうか。
年齢別人口構成を見ると、日本は逆ピラミッド形になりつつあり、成人して社会に出た労働力の中心が有権者の中ではマイノリティーになっている。
こうしたことって、民主主義ができたときには誰も想定していなかったのではありませんか。
マスコミがきちんと政権を監視、批判しているのか、という問題もあるし、そもそも、マスコミはそれだけの力を持てなくなっているのではないか。
これは日本に限った話ではありませんが、有権者の情報源としてネットの影響は非常に大きいと思います。
そのネットの世界では言っていいことと悪いことのタガが外れてしまったというか、思想的に歪んだ言論が、国民の本音を代弁したかのように扱われたりする。
中国、韓国に対する差別発言が「よくぞ、本音を言ってくれた」みたいになって広がっていく。実際は一部の人間の醜悪な差別意識が露呈しただけなのに。
その過程で、死語になっていた差別用語が復活しています。
90年代には言葉狩りと批判されたような社会的プレッシャーが差別を抑え込んできましたが、それが弱まると、排外的な言葉がどっとあふれだしている。

■ネットによって社会が分断されていく

――そうした風潮はネットでますます、拡散、拡大されていますね。

 自分にとって居心地がいい場所を定めるのがネット社会ですから、偏った情報にだけ接するようになる。
そうやって、一面的な価値観が固定化され、社会が分断されていく。
そんな状況だと思います。

――そんな中、平野さんはネットでよく発信されていますね。

 ツイッターの140文字は議論をしない設定ですし、ネット空間には次々に話題が出てきますから、スレッドが立ってもどんどん過去のものになっていく。
それに自分と考えが違う人と議論するのは面倒くさいし、関わりたくない。
正直、僕にもそういうところはあります。
なので、事実として信用できることをリツイートして投げる。
それよりも小説を読んでもらって、その中で考えてもらいたい。
「マチネの終わりに」という小説を書きましたが、ヒロインは日本人とクロアチア人のハーフです。
彼女を魅力的に描くことで、国籍問題に引きずり込まれることに対して、ツイッターとは違うレベルの議論が盛り上がる効果を期待しています。

▽ひらの・けいいちろう
 1975年生まれ、京大卒。
23歳の時、デビュー作「日蝕」で当時、最年少芥川賞受賞。
「決壊」で芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞、
「ドーン」でBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。
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2016年12月09日

開戦75年に考える 悲劇の記憶が蘇る

開戦75年に考える 
悲劇の記憶が蘇る
2016年12月8日 東京新聞「社説」

 先島諸島と呼ばれる沖縄県南西部の島々が自衛隊配備で揺れています。
蘇(よみがえ)るのは戦争による悲劇の記憶です。

太平洋戦争、七十五年前のきょう始まる。
 作家、司馬遼太郎さんは四十二年前の一九七四年の四月、先島諸島を訪れています。
米軍統治から施政権が日本に返還された「本土復帰」から約二年後のことです。
 司馬さんはそれまでに三回、沖縄を訪れていて、四度目となる旅の様子は「街道をゆく」シリーズの「沖縄・先島への道」(朝日文庫)に詳しく記されています。

 沖縄は先の大戦で、日本国内で唯一、住民を巻き込んだ凄惨(せいさん)な地上戦の舞台となりました。
 今は復元されましたが、司馬さんが那覇を訪れた四十二年前、旧琉球王府の首里城はありませんでした。
日本軍が高台の首里を陣地とし<兵も石垣も樹(き)も建造物もこなごなに砕かれた>(「沖縄・先島への道」から引用。以下同じ)からです。

 司馬さんにも従軍経験がありました。
所属していた戦車連隊は四五年のはじめ、旧満州にいましたが、その後、栃木県の佐野に移駐します。
<米軍が関東平野の海岸に上陸し、東京・横浜が戦場になるという想定のなかにわれわれは組み込まれていた>からです。
 関東平野で地上戦に突入すれば「本土決戦」に戦局好転の望みをかける日本軍との間で激しい戦闘となることは避けられません。
兵士のみならず、民間人にも多大な犠牲が出ていたはずです。

◆「沖縄は身代わりに」

 凄惨な事態は<関東平野だけでなく、上陸地として予想されていた中部地方の沿岸や南九州の沿岸においても、かわらない>だろうと想像し、こう続けます。

 <沖縄は、身代わりになった>  
その沖縄に住む人々は、終戦から七十一年がたつ今も「軍事」の影に苦しめられています。
 七二年に苛烈な米軍統治が終わりましたが、沖縄には今も在日米軍専用施設の約74%が集中し、騒音や事故、米兵らの犯罪など過重な基地負担を強いられています。

 県民の多くが米軍普天間飛行場の国外・県外移設を求めても、日米両政府は聞き入れようとせず、名護市辺野古への県内「移設」を強行しようとしています。
今も続く「身代わり」の構図です。

 そして新たに浮上したのが南西地域防衛を目的とした先島諸島への自衛隊配備です。
きっかけは冷戦終結と中国の海洋進出でした。
 東シナ海の尖閣諸島周辺では中国公船が繰り返し、日本の領海に侵入したり、領海に隣接する接続水域を航行したりしています。
 日本側は、海上保安庁の巡視船を増強して警備を強化していますが、先島諸島は陸上自衛隊の空白地域だったため、中国を強く意識して、この地域への陸自配備を進めているのです。

 司馬さんが四十二年前の旅で訪れ、<人に行き交うことがまれである>と記した日本最西端の与那国島には今年、百六十人規模の沿岸監視隊が発足しました。
 宮古島には七百人規模、石垣島には六百人規模のミサイル部隊と警備部隊を配備する計画です。
地元では、過疎化対策や抑止力強化の観点から配備を歓迎する人たちもいますが、住民の意見は割れているのが実情です。

 島の主要産業である観光への影響を懸念する意見のほか、有事には自衛隊が標的にされ、周辺住民が巻き込まれると心配する声が聞こえてきます。
底流にあるのは先の戦争の悲惨な記憶です。

 大戦末期、米軍の攻撃を避けるため、この地域の住民はマラリア発生地帯への疎開を軍部によって強制され、多くの人が罹患(りかん)して亡くなりました。
患者数は当時の人口の約半数とも言われています。
 同じく大戦末期には、軍命により石垣島から台湾に疎開する際、船が米軍に攻撃され、多くの犠牲者が出ました。
自衛隊配備でこうした戦争の記憶が蘇るのです。

◆反省と不戦の誓いを

 安倍晋三首相は今月下旬、日米開戦の地、真珠湾をオバマ米大統領とともに訪問します。
犠牲者の慰霊が目的ですが、無謀な戦争に突入した痛切な反省と、「不戦の誓い」も語るべきでしょう。

 国際紛争を解決する手段としては武力を用いることはない。
「平和国家」日本の揺るぎない決意です。
自衛隊の存在は認めるとしても、この決意に背くような形で配備を強行することがあってはなりません。
沖縄を二度と、身代わりにしてはならないのです。
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2016年12月10日

与党税制大綱 どこが「改正」なのか

与党税制大綱 
どこが「改正」なのか
2016年12月9日 東京新聞「社説」

 与党がまとめた来年度税制改正大綱は「改正」というにははばかられる内容だ。
選挙を意識して歪(ゆが)められたり、密室で短期間に決めるやり方は国民に不信感、不公平感を生む。
もう改めてほしい。

 最大の焦点といわれた所得税の配偶者控除の見直しさえ、選挙風の前に訳のわからないものになってしまった。
 「働き方改革」とか「女性が就業調整を意識しなくて済む仕組みにする」と宣言していたはずである。
当初は配偶者控除を廃止し、夫婦世帯を対象とした夫婦控除を創設しようとしたが、衆院の解散・総選挙が浮上した途端、増税批判を恐れて撤回した。
 結局、配偶者の年収上限を現行の百三万円から百五十万円に引き上げ、税収減を補うために世帯主の年収制限を設ける。
「百三万の壁」を少し移動させるだけだ。

 配偶者控除は本来、所得ゼロの専業主婦のための減税措置だが、逆に増税となる。
パート主婦は基礎控除と配偶者控除の二重控除を受けるが、その問題には手を付けないまま減税を拡大する。
社会保険料を支払うことになる百三十万円や百六万円の壁も残り、税だけの対応は中途半端である。
 国民に身近な酒税見直しも理解しがたい。
依存症対策としてアルコール度数を基準にするのが常識的だが、そうではない。

 例えば、ビール、発泡酒、第三のビールの税率を今後十年かけて統一するという。
しかしビールの税金は引き下げても諸外国に比べて突出して高い。
度数基準なら大幅な引き下げが実現するが税収の稼ぎ頭を失いたくないのだろう。
要するに税金をとる側の都合だけで国民は蚊帳の外ということだ。

 それは税の決め方に大きな問題があるからだ。
年末のあまりに短い期間に与党のごく一部の議員が密室で決める。
財務省と族議員らの水面下の折衝も、もちろん国民は知るよしもない。
決まってから初めて知らされ、国民の意見が入り込む余地はほとんどない。
 安倍晋三首相は「代表なくして課税なし」という税の原則をよく口にするが、その意味するところは「税を納める主権者たる国民の立場に立って税は決められなければならない」ということである。
 実際には国民は「税はとられるもの」との重税感が強く、税の使われかたへの不信感も根強い。
 せめて政府が税制改正案を公開し、与野党で一年がかりで議論すれば国民の理解も深まるはずだ。
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2016年12月11日

全国で宿泊税創設の動き 役人は「取れる奴から取れ」の考え

全国で宿泊税創設の動き 
役人は「取れる奴から取れ」の考え
2016.12.09 16:00 NEWSポストセブン

「税は国家なり」という。
税制の設計次第で国の経済活動や社会の形まで変わるからだが、この国の役人たちはアテにしていた消費税増税が再延期されると、“ならばどんな口実で国民から税を巻き上げるか”と狡知をめぐらせ、あの手この手を打ち出してきた。

 エコカー増税、タワーマンション増税、ビール類増税などはその典型だが、地方自治体も国の増税路線に便乗して“おバカ税制”を廃止しようともしない。

 今回の税制改正で焦点になったのが唯一の“スポーツ課税”である「ゴルフ場利用税」の廃止問題だ。
この税金は「ゴルフは金持ちの道楽」として1950年に導入され、税額はゴルフ場によって異なるが標準税率で1日あたり800円、最高は1200円と高額だ。
都道府県税として税収総額は500億円に達する。
 ゴルフ団体や国会のゴルフ議連は「いまやゴルフは庶民のスポーツ、五輪競技にもなった」と廃止を主張しているが、総務省や自治体側は「財源が失われる」と廃止に強硬に抵抗し、存続の方向になった。

 東京都には都民がほとんど知らない「東京都宿泊税」がある。
石原慎太郎・都知事時代の2002年、「世界の主要都市に比べて東京の観光客が少ない。
客を増やすために宣伝が必要」という理由で創設。
都内のホテルや旅館への宿泊費(1泊1万円以上)に1泊100〜200円課税し、都の観光振興事業に使われている。
 それが今やインバウンドで東京には観光客が殺到し、東京五輪までにホテルが約1万3000室足りないという試算もある。

宿泊税の税収もうなぎのぼり。
今や年間20億円にのぼる。
 とっくに当初の目的を達成し、もはや客から宿泊税を取る必要はないはずだが、東京都は廃止するどころか、税収増にウハウハ、それを見た大阪府が来年1月から宿泊税を導入するなど、全国に新税創設の動きが広がりそうな気配なのだ。

「民間税制調査会」共同代表の三木義一・青山学院大学学長(租税法)がいう。
「これまでは大阪で課税したら客が近隣の都市に逃げると思われていたが、外国からの観光客増加でその心配がなくなったのでしょう」
 観光客を増やすための税が、“増えた観光客からぼったくれ”税に変質した。
いまや国の役人も地方の役人も「取れる奴から容赦なく取れ」なのだ。
※週刊ポスト2016年12月16日号
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2016年12月12日

赤旗も引用した読売「カジノ法案」社説  全国紙、珍しく「反対」で一致

赤旗も引用した
読売「カジノ法案」社説  
全国紙、珍しく「反対」で一致
2016年12月11日 16時00分 J-CASTニュース

わずか約6時間の衆院審議で、様々な問題をはらむカジノを賭博の例外扱いにしようとする。
あまりに乱暴かつ無責任だと言うほかない
開会中の臨時国会の最終盤の焦点になっているカジノ解禁法案について、2016年12月7日の新聞の社説の書き出しだ。
朝日や毎日ではない。
他でもない、日ごろ安倍晋三政権の政策に肯定的な論調が目立つとされる読売の社説なのだ。

自民党は12月14日までに可決の構え 同法案は、正式には「統合型リゾート(IR)整備推進法案」といい、カジノをはじめ会議場、ホテルなどが一体となった施設(IR)の整備という大枠を整え、政府が1年以内をめどに、カジノ運営のルールなどを定める別の実施法を制定するとしている。
要は、刑法で禁じている賭博の例外として、カジノを解禁するものだ。

「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連、会長・細田博之自民党総務会長)が旗を振る議員立法だが、安倍政権はIRを成長戦略の一環と位置付け、安倍首相自身がかつて、議連の最高顧問を務め、シンガポールのカジノを視察、この12月7日の党首討論では「さまざまな投資が起こり、雇用がつくられる」と効果を強調しており、安倍政権肝入りの法案といえる。

しかし、法案には、「ギャンブル依存症」の広がりによる犯罪や自殺の増加、青少年への悪影響、さらに資金洗浄(マネーロンダリング)や反社会的勢力の関与を懸念する声も強い。
期待される経済効果についても、マカオなど東アジアではカジノが乱立で市場が飽和状態にあり、過剰な期待を戒める声も多く、大阪へのカジノ誘致を熱望する日本維新の会などを除き、野党が強く反対している。

法案は衆院内閣委員会で審議が始まった11月30日からわずか1週間の12月6日に衆院を通過した。
この間、内閣委員会の審議時間わずか6時間足らず。
与党の公明党は意見集約ができず、党議拘束を外す異例の展開に。
自民党は12月9日の成立を打ち出したが、参院の内閣委員長は民主党が握っていることから、委員長職権での強引な議事運営ができず、ひとまず12日に参考人質疑をするところまで決まった。

自民党は14日までの会期内に成立させる構えで、委員長が採決しなければ本会議にいきなり上程して可決する「ウルトラC」も検討しており、ギリギリまで緊迫の展開が続くのは必至だ。

賭博の本質をずばりと
カジノ解禁法案には、読売とともに常日頃、安倍政権支持の論調を展開する産経も含め、全国紙5紙がこぞって反対の社説を掲載するという近年にない事態になっている。

なかでも、読売の紙面展開と論理の切れ味が光る。
2日朝刊の社説で「人の不幸を踏み台にするのか」という超厳しい見出しを掲げ、「そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱となる。
ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの『散財』に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である」と断じた。
他紙を見回しても、見出しを含めて賭博の本質をここまでずばりと言い切ったものはないほどだ。

衆院内閣委での可決の翌3日朝刊では、各紙1面に「可決」の本記を書き、2、3面で関連記事を掲載したが、読売も、1、3、4面という多面展開で、1面の見出しで「審議6時間で」と、「拙速」をなじり、3面で「突貫審議」「自民一転 成立に期待」「公明 意見集約間に合わず」と、与党の「ドタバタ劇」を解説し、4面では「カジノ法案 民進の壁」との見出しで、参院内閣委の民進の委員長の抵抗を「期待」するかのようなトーンの読売紙面だった。

読売は5日朝刊1面で、世論調査(2〜4日実施)の結果を「カジノ解禁 反対57%」と報道。
衆院通過後の7日朝刊で再び取り上げた社説の書き出しが冒頭のもので、
「参院では、今国会中の採決にこだわることなく、より慎重な審議に努めることが求められよう」
「議員立法の法案は本来、丁寧に手続きを踏み、各党の幅広い合意形成を図るのが常道である。今回のように、強引に採決に持ち込む手法は、今後の国会運営にも禍根を残しかねない」など、強引な審議を真っ向批判した。
社会面でも「カジノ解禁 懸念の声」
「若者 金銭感覚マヒ・資金洗浄に悪用」など問題点を指摘し、世界最大のカジノ街・マカオのルポで抱える問題をえぐった。

産経も「懸念解消を先送りするな」 さらに、党首討論の翌8日朝刊では2面で「初陣蓮舫氏 カジノで攻め」と大きく見出しを付け、首相の反論も掲載しつつ、全体のトーンは珍しく民進に好意的な記事を掲載。
さらに、同日の社説で党首討論を取り上げ、ここでも「首相はカジノの説明を尽くせ」との見出しを掲げ、異例のカジノ社説2連発。
「首相は以前、法案を作成した議員連盟の最高顧問を務めた。
カジノを推進するなら、その経済効果や、副作用の対策について、自ら丁寧に説明する責任がある」と、首相に真っ向、直球を投げつけ、週内成立断念を受け、9日朝刊4面政治面では「逆風カジノ自民足踏み」との記事に紙面の右半分を割いた。

他の全国4紙の社説(産経は「主張」)も、
朝日が「危うい賭博への暴走」(2日)、「『数の力』を振り回すな」(6日)、「党首討論 安倍さん、あんまりだ」(8日)と3連発、
毎日も「唐突な採決に反対する」(2日)に続き、8日は「再考の府も審議放棄か」「党首討論 もっと時間を延長せよ」と、2本の社説両方でカジノを論じる珍しい紙面。
日経は「拙速なカジノ解禁は問題多い」(3日)「党首討論は国の針路問う場に」(8日)と連発、
産経も「懸念解消を先送りするな」(2日)と反対の姿勢を示す。

共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は3日、「人の不幸を踏み台にする」という読売社説のタイトルを見出しに引用し、「読売、産経も批判」と書きたてている。
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2016年12月13日

今年の漢字は「金」 リオ五輪、政治資金問題、PPAPなど

今年の漢字は「金」
 リオ五輪、政治資金問題、PPAPなど
オリコン 12/12(月) 14:06配信

 その年の世相を漢字一文字で表す師走恒例の「今年の漢字」が12日発表され、「金」に決まった。
この日午後2時過ぎ、京都・清水寺で森清範貫主が縦150センチ、横130センチの越前和紙に広島県産の熊野筆で力強く揮毫(きごう)した。

はがきやウェブサイトを通じた公募で決まる「今年の漢字」は、12月12日の「漢字の日」に一年を振り返り、漢字一字に込められた奥深い意義を再認識する機会を持つことを目的に始まり今年で22回目。
 2016年は、15万3562票の応募があり「金」が6655票。リオ五輪の「金」メダルラッシュや前東京都知事の政治資金問題“政治とカネ(金)”、イチロー選手の通算3000本安打達成など「金」字塔、PPAPの「金」色の衣装などが理由に挙がった。

 そのほか、2位「選」、3位「変」、4位「震」、5位「驚」、6位「米」、7位「輪」、8位「不」、9位「倫」、10位「乱」となった。

 昨年は『安保関連法案』が審議され、採決に国民の関心が高まったことや、世界で頻発するテロ事件や異常気象など、人々を不「安」にさせた年、ピン芸人・とにかく明るい安村の「安心してください 穿いてますよ」のフレーズが流行するなどして「安」が選ばれた。

■過去10年の漢字は以下の通り。
2015年「安」
2014年「税」
2013年「輪」
2012年「金」
2011年「絆」
2010年「暑」
2009年「新」
2008年「変」
2007年「偽」
2006年「命」


<小だぬき>
私は 「涙」「命」「離」かな??
父の3回忌、母の死去、弟の7回忌と 家族の死と命日。
福島の原発事故処理の不透明さと長期化での被曝と核汚染、台風の猛威・地震での被害・被災、いじめ自殺、こどもへの虐待と殺人・・・、振り返ると 悲しい出来事が多い1年だったと思います。
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2016年12月14日

「命は平等」は当たり前

香山リカのココロの万華鏡
「命は平等」は当たり前
毎日新聞2016年12月13日 東京版

 7月に相模原市で起きた障害者施設殺傷事件を受けて再発防止策を検討してきた厚生労働省の有識者チームが、このほど報告書を公表した。

 患者さんが「自傷他害のおそれがある」として行政が強制的に入院させる「措置入院」となった場合、退院後も医療などのケアが切れたり地域で孤立したりすることがないよう自治体や医療機関で支援する、といった内容が盛り込まれていた。

今回の事件では、容疑者の男性は障害者の殺害を予告するような手紙を書くなどして措置入院になったが、退院したあとは病院への通院をすぐやめ、誰もサポートできていなかったからだ。  

防止策としてほかにもいくつかの提案が行われていたが、私にとって印象的だったのは、報告書の前半で「心のバリアフリー」の大切さが記されていたことだ。
容疑者の男性は、障害者に生きる価値を認めないなどとても身勝手でゆがんだ価値観を持っていた。
その背景にあったのは、障害を持つ人を劣ったものとして見る誤った差別の意識だ。報告書はそのことを指摘して、こう続ける。
 「こうした偏見や差別意識を社会から払拭(ふっしょく)し、一人ひとりの命の重さは障害のあるなしによって少しも変わることはない、という当たり前の価値観を社会全体で共有することが何よりも重要である
 私はその部分を読んではっとした。
「一人ひとりの命の重さは障害のあるなしによって変わらない」というのは、何か理由があってのことではない。
「当たり前の価値観」だと言っているのである。

 ところが、残念ながらいまの時代、障害を持つ人だけではなく、民族や人種の異なる人、性的マイノリティー、祖国を追われた難民などを差別したり自分の社会から追い出そうとしたりする傾向が、世界の各地で見られている。
「誰でも私たちと同じ人間なのだ」と言うと、「まずは自分たちのことが優先だ」と反発する人もいる。
私はときどき、そういう人たちにどうやって「命の重さは同じ」ということを説明すればよいのか、と頭を悩ませることもある。

 今回、この報告書はそのことについて「説明はいらない。命の重さが平等なのは当たり前」としているのだ。
私はうれしくなり、これからはそう言おうと心に決めた。
どうして誰もの命が同じく大切かって? それは当たり前のことでしょう」。
こんなわかりやすくて力強い答えを教えてくれたこの報告書に感謝したい。
(精神科医)

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2016年12月15日

相模原事件検証 再発防止には不十分だ

相模原事件検証 
再発防止には不十分だ
毎日新聞「社説」2016年12月14日

 相模原市の知的障害者の入所施設「津久井やまゆり園」で元職員の男が19人の障害者を殺害し、27人にけがをさせた事件で、厚生労働省の有識者チームが最終報告をまとめた。

 男は事件前に病院の精神科へ措置入院しており、最終報告が提言する再発防止策の柱は退院後の継続的な支援だ。
しかし、精神科医療だけでなく、警察の捜査や施設側の対応についても検証しなければ、事件の全体像はわからないのではないか。

 報告によると、男が退院した際、病院は市に提出した「症状消退届」に今後の支援内容を記載せず、市も確認していなかった。
病院の職員の中には退院後も男が同市内に住み続けると本人から告げられた人もいながら、東京都内の両親と同居するとの間違った情報を市に伝えていた。
 また、同病院の医師は男が大麻使用による精神障害と診断していた。
男自身も薬物中毒の治療を受けることを望んではいたが、実際には同病院での薬物治療がまったく行われていなかった。
治療継続の機会やきっかけはありながら、病院のずさんな対応や自治体との連携がないために生かされなかったのだ。

 報告書は、措置入院中に都道府県知事や政令市長が支援計画を作成すること、退院後は居住先の保健所を管轄する自治体が中心となり訪問ケアなどを実施することを再発防止策として盛り込んだ。
 いずれも重要な対策ではある。
ただ、年間7000人が新規に措置入院をしており、退院後にこうした対策をするためには保健所や地域福祉などの人員をもっと厚くしなければならないだろう。
 再発防止策が精神科医療に関連することに絞られたのは、事件直後に安倍晋三首相らが措置入院後の検証をするよう指示したからだ。

 今回、男は衆議院議長あてに犯行予告とも取れる手紙を出しており、警察は事前にそれを把握していた。
また、「やまゆり園」で男が働いていた時には障害者の存在を否定するような発言を繰り返し、障害者に対する虐待行為があったこともわかっている。
 警察や施設の対応の検証や連携のあり方に踏み込まなければ、有効な再発防止策は立てられない。

 神奈川県が独自に設置した第三者委員会は11月末に報告書をまとめ、その中で「施設側の危険性への認識が薄く、危機管理上問題があった」と指摘したが、施設内での男による虐待への対応や職員への指導については具体的な記述が少ない。
 厚労省や県の検証はまだ不十分と言わざるを得ない。
悲劇を二度と起こさないためにも、総合的な視点での再発防止策が必要だ。

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2016年12月16日

乱暴国会なのに高支持率…戦前と似てきた野党への絶望

乱暴国会なのに高支持率…
戦前と似てきた野党への絶望
2016年12月15日 日刊ゲンダイ

「(1956年の)日ソ共同宣言の枠を超えている。全く別の話で別の問題提起だ」
 安倍政権にとっては強烈な先制パンチを食らった格好だろう。

15日から2日間の日程で来日するロシアのプーチン大統領。
モスクワのクレムリン(大統領府)で日本メディアの事前インタビューに応じたプーチンは、日本側が「北方領土」の帰属問題を日ロ首脳会談の交渉対象として検討していることに触れ、ハッキリと「ノー」を突き付けたのだ。
 予想されていたとはいえ、これで今回の安倍、プーチン会談で「北方領土返還」の可能性はきれいさっぱり消えた。
「歴史的な日になるかも」なんてバカ騒ぎしていた安倍政権や大新聞・TVは冷や水をぶっかけられ、赤っ恥をかいたワケだ。

プーチンはまた、日本側が提案した医療や極東開発といった「8項目の経済協力プラン」を受け入れる姿勢を示す一方で、経済協力が日ロ平和条約を締結する条件ではない、との認識も示した。
つまり、ロシア側は「日本が経済協力を申し出るなら受けるよ。でも、北方領土返還と平和条約は全く関係ないけどね」と断言したのに等しい。

日本にとっては「ゼロ回答」どころか、ロシアに「いいとこ取り」されるだけで、一体どこが日本の国益につながるのかサッパリ分からない。

大体、安倍外交の「敗北」は北方領土だけじゃない。
2014年5月の北朝鮮とのストックホルム合意後、安倍は拉致問題について「全面解決に向けた第一歩となることを期待する」と胸を張っていたが、いまだに進展していない。
来年に「日中国交正常化45周年」、再来年に「日中平和友好条約40周年」という節目を迎える日中関係も、安倍は「改善させたい」とオウムのように繰り返すばかりで、具体化に向けた動きはナシだ。
要するに“食い散らかした”だけで、何一つ実現していないのだ。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。
「安倍首相は外交政策であれもこれも手を出すが、何としてもやり抜くという強い信念を持っているわけではない。
世論ウケ狙いも結構ですが、外交は相手国との交渉事です。
真剣に向き合わなければ成果を出すのは難しい。
プーチン大統領が突き付けているのも『安倍首相は本気で取り組む気があるのか』ということ。中国なども、そういう安倍首相の薄っぺらな外交姿勢を見透かしているのだと思います」

■内政も失敗続きで実績なし

 もっとも「実績ゼロ」なのは外交だけじゃなく、内政も同じだ。

最大の失敗は「この道しかない」と突き進んできた経済政策「アベノミクス」だ。
12年12月に誕生した第2次安倍政権は「デフレからの脱却」を大々的に掲げ、日銀の尻を叩いて市場にジャブジャブ金を流し込んできた。
金融緩和をすれば大企業は儲かり、やがて恩恵は中小企業や家計に向かう(トリクルダウン)――と喧伝する一方、株価を買い支えるために年金資産まで手を突っ込んだ。
ところが4年経ち、16年度の税収はリーマン・ショック後の09年度以来、7年ぶりに前年度実績を下回る見通し。
安倍政権は来年の春闘で財界に「賃上げ」を要請しているが、予定通りトリクルダウンが起きていれば、政府がシャシャリ出る必要はない。
「アベノミクス」の生みの親とされる米エール大名誉教授の浜田宏一内閣官房参与ですら月刊誌で失敗を認めている通り、「破綻」は明々白々なのだ。

 ところが、安倍政権はアベノミクスの失敗に頬かむりしているだけではなく、シレッと「カジノ法案」や「年金カット法案」を強行採決だ。
これが数少ない“実績”とは恐ろしい話だ。

政党政治が信頼を失えば
      ファシズムが台頭する

 北方領土は返還されず、拉致問題の解決も程遠い。
「社会保障費に全額使う」と言って消費税を引き上げながら、逆に社会保障費をバンバン削って国民に負担を押し付ける。

熱心に取り組んだのは、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、カジノ法で、野党の声には一切、耳を傾けず、国民に丁寧に説明する気もサラサラない……。
 この4年間の安倍政権を改めて振り返ると、国政史上、一、二を争う無能、独裁政権だ。

にもかかわらず、世論調査でいまだに半数を超える支持を集めているのが不思議でたまらないが、最大の理由は野党がフヌケだからだ。
とりわけ、だらしないのが最大野党の民進党だ。
 14日も、民進党は参院選挙制度改革への取り組みが不十分として伊達参院議長の不信任決議案を提出したが、参院本会議でアッサリ否決。
安倍首相の問責決議案も、議院運営委員会で与党などに反対されて、本会議に上程すらされなかった。
衆院にも内閣不信任決議案を提出したが、否決された。
国民の目には「会期末にアリバイ的に抵抗しました」と映るだけで、何ともドッチラケの展開だ。

 政治学者の五十嵐仁氏がこう言う。
安倍政権の暴走を許しているのは、与党の対抗軸を担う野党・民進党が全く存在感を示せていないからです。
カジノ法案も途中で日和ってしまい、他の野党から批判が出たほどですからね。
これでは与党に足元を見られ、解散・総選挙をあおられるわけです。
最大野党としてなぜ、野党共闘を強力に主導しないのか。
与党を好き勝手させている責任は野党側にもあるのです」
 その通りだ。
カジノ法案だけじゃなく、安保法だって、民進党の議員の中には「ホンネは賛成」の「第2自民党」みたいな連中がゴロゴロしていることを、国民はとっくに見透かしている。
だから安倍自民がどんなにメチャクチャやっても、民進党の支持が上がらないのだ。

民進党が本気で野党共闘に力を入れ、政権交代を目指す気であれば、今国会だってチャンスはいくらもあった。
 例えば、13日夜の沖縄・名護市沖のオスプレイ墜落事件だってそうだ。
「安倍首相が『重大事故』と認めているものです。
野党にとって、これは政府・与党を攻める絶好の案件だったでしょう。
国会の会期延長を求め、この問題をガンガン追及すればよかった。
恐らく政府・与党は応じざるを得なかったと思います。
カジノ法案も大事ですが、野党はピントがずれていますよ」(元レバノン大使の天木直人氏)  

言うまでもないが、民主主義政治とは議会政治であり、議会政治とは政党政治だ。
政党政治は政党が政策を実現するために有権者に支持を訴え、主張が異なる党と論戦するのが正常な姿だ。
それなのに、与野党が水面下でコッソリと手を握っているような状況であれば、国民が政党政治を信頼するはずがない。

 戦前の日本は、政友会と民政党という2大政党が汚職と醜聞を繰り返した結果、テロ・クーデターが続発。
国民が政党政治を見放し、代わって軍部が台頭した。
今のように離合集散を繰り返し、あちこちの野党に「自民別動隊」が潜んでいるような政治情勢では、かつての「暗黒の時代」に戻る日も近いだろう。
政府・与党に対して、野党がしっかりとした対立軸を示さないアヤフヤなままの政治情勢が続くと、国民が既存政党に期待しなくなるのは言うまでもありません。
そこで『現状を打開してほしい』と、扇動的な言動を発する人物に期待し、恐ろしいファシズム政権が生まれる危険があるのです」(五十嵐仁氏=前出)

 作家の永井荷風は、戦前の軍部台頭や政界腐敗は国民の無関心にも原因がある――とみたが、同じ轍を踏んではならないのは言うまでもない。
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2016年12月17日

年金カット法成立 「下流老人」1000万人は死ねばいいのか

年金カット法成立
「下流老人」1000万人は
      死ねばいいのか
2016年12月16日 日刊ゲンダイ

 14日、成立した「年金カット法案」。
民進党の試算では、国民年金は年間4万円、厚生年金は同14万円も減らされる。
塩崎厚労相は苦し紛れに「低年金、低所得の人々にも配慮していく」と釈明しているが、法案成立で“下流老人”が急増するのは間違いない。

 実は、すでに年金はかなりカットされている。
現在、標準世帯(40年間勤務したサラリーマンの夫と専業主婦)の夫婦が受け取れる厚生年金は月額22万1504円。
これは10年前に比べて1割近く少ない。

「特例水準の解消」と「マクロ経済スライドの発動」により、標準世帯の厚生年金は10年前に比べて年間20万円近く減っているのだ。

 しかも、年金受給額が減る一方、社会保険料は上がり続けている。
2000年度から14年度にかけて、65歳以上の介護保険料は1.7倍にアップ(年3万4932円→5万9664円)。
国民健康保険の保険料も14%近く上がった(7万6048円→8万6576円)。


 年金暮らしの高齢者の苦境ぶりは総務省「家計調査」でも明らかだ。
 60歳以上の「可処分所得」は10年前と比べ、年間41万6000円も減った。生活費を補うために、毎月2万7000円の預貯金を取り崩している。
 現在、年金受給者は約4000万人。そのうち約4分の1が生活保護の基準以下で暮らす“隠れ貧困層”とされる。
さらなる年金カットで、「老後破産」が増えるのは確実だ。

 しかも、安倍政権はまだまだ負担増を進めようとしている。
介護保険の自己負担は昨年8月に1割から2割に引き上げられたが、今度は3割に増やす案が浮上している。
75歳以上の医療保険料も2〜10倍に暴騰しそうだ。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「年金カット法案は明らかに“老人いじめ”の法律です。
夫婦揃って国民年金という世帯は月13万円で爪に火をともすように暮らしています。
年間4万円も給付を削減されたら、暮らしはたちまち立ち行かなくなります。
政府もそれを分かっているはずなのに、社会保険料をどんどん上げようというのだからどうかしています。
さらに19年10月には消費税10%へ引き上げられます。
これが高齢者にとって致命傷になりそうです」

 安倍政権は老人を見殺しにする一方、今国会で国家公務員の年収を平均5万1000円増やす改正給与法を今国会で成立させている。
高齢者は安倍政権に対して怒りの声を上げるべきだ。
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2016年12月18日

カジノ法案採決で山本太郎が本質を暴露

カジノ法案採決で
山本太郎が議場に向かい
「セガサミーやダイナムのためか」
本質を絶叫! でもマスコミは
2016.12.17 LITERA編集部

 またもや“あの男”がやってくれた。
自由党共同代表の山本太郎参院議員のことだ。
 15日未明に成立した、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備推進法案だが、14日の参院本会議採決の際、山本氏はひとり「牛歩」戦術を敢行。
多数のヤジをものともせず、強行採決に抵抗の意を示したのだ。
 牛歩自体は、伊達忠一参院議長の権限で投票時間を1分以内に制限され、反対票を投じるべく長時間には及ばなかったものの、しかし、この男の目的は、やはりパフォーマンスではなかった。

壇上へゆっくりとあがり終え、伊達議長から「まもなく投票時間となります」と告げられた次の瞬間、山本氏は突然、議場の方を向き直し、大声でこう叫んだのである。
「パチンコやスロットの規制をせずに、どうして次の賭場を開くようなことさせるんだよ! おかしいだろって!!」
 そして、鋭い眼光で議場を見渡しながら、腕を振り、次から次へと指を指して、議員ひとりひとりに対し政治家としての資質を問うたのだ。
「誰のためにやるんですか! セガサミーか? ダイナムか? 外資か?
 国民のための政治をやれよ!!」

 パチンコ業界大手の企業名まで具体的に出したことに、議場は騒然。
だが、山本氏の叫びは、間違いなく国民の多くの声を代弁したものだ。
 そもそもこの法案はIRなどと言い換えているが、実際は賭博を法的に認める「カジノ解禁法案」で、その影響によるギャンブル依存症患者の増加が医師や専門家からも懸念されている。
国内で「病的ギャンブラー」と判断される人は全国で536万人にものぼるといわれており、そのうちの多くが、パチンコとスロットにのめり込んだ人たちだ。

 山本氏は13日の参院内閣委でも、パチンコやスロットなどによるギャンブル依存症の危険性を指摘しながら、国がこれまでほとんどケアをしてこなかったことについて、こう糾弾している。

「パチンコ・スロットのホール、全国のローソンよりも多い1万2000館。
世界中にあるパチンコ・スロットの機器が720万台中で、3分の2が日本にある。
これ、誰がつくり出したんですか?
国ですよ。
政治ですよ。
それに対する依存症患者がたくさんいると思われる。
すでに重症化している人たちたくさんいますよ(略)。
それを国として野放しにするような状況で、ずっとエスカレートさせてきた現実があるじゃないか。
カジノ解禁、じゃないんだよ。
IRがどうしたって話じゃないんだよ。まず目の前のここに対策しろっていう話だと思うんですよ。
それが政治なんじゃないのか?」

 だが、安倍政権はこうした問題を置き去りにしておきながら、カジノ解禁法案についてほとんど議論することなく、強引に成立へと導いてしまった。
その拙速な成立の裏には、山本氏が国会で「セガサミー(のため)か?」と叫んだように、安倍首相とセガサミーホールディングス会長・里見治氏の“蜜月関係”があるとみられている。    

パチンコ業界大手のセガサミーは、12年に韓国のカジノ企業と合弁会社を設立、来年4月には韓国・仁川に大型カジノリゾートをオープン予定で、今回のカジノ解禁法案の恩恵を大きく受ける企業だ。
セガサミーはここ数年、国内カジノ利権の主導権を握るため政界工作を行ってきたといわれており、事実、13年に開かれた里見会長の愛娘の結婚披露宴には、森喜朗ら首相経験者や菅義偉官房長官などの大物閣僚が駆けつけて、とりわけ安倍首相は新婦側の主賓まで努めている(ちなみに、このセガサミーと安倍首相の関係に関しても山本氏は13日の内閣委で堂々と述べていた)。  

さらに「選択」(選択出版)13年9月号の記事では、里見会長の側近の一人が「参院選前に、里見会長は安倍首相に五千万円を手渡した」と吹聴したと報じられるなど、カネをめぐるキナ臭い噂も流れている。
 また、IRの大阪誘致を目論むなど自民党以上にカジノ解禁法案に積極的だった日本維新の会も、セガサミーとは無関係ではない。
橋下徹氏(現・法律政策顧問)は大阪市長時代に「大阪カジノ構想」をぶちあげたが、その橋下の大学時代からの友人で、松井一郎大阪知事(当時)が13年に大阪府教育長に抜擢した中原徹氏は、部下へのパワハラが発覚し辞職してからわずか1カ月あまりで、セガサミーホールディングスの役員に就任している。
 カジノ解禁をめぐる疑惑はまだある。

しんぶん赤旗が12月8日付で、カジノ解禁推進法案を提出し成立を推進した議員のうち3人に、カジノ関連業者から献金やパーティ券購入があったことを報じた。
これによれば、自民党の西村康稔議員、平沼赳夫議員、日本維新の会の小沢鋭仁議員の各政治資金団体や代表を務める政党支部に、ギャンブル関連会社から合計で691万円分の献金やパーティ券購入があったという。
 とくに平沼議員にはセガサミーの経営者から3年間で計450万円の個人献金が、小沢議員はダイナムジャパンホールディングスから計130万円分のパーティ券購入が政治資金収支報告書から判明。
ダイナムはパチンコホールを全国チェーン展開する大手企業で、すでにカジノへの参入を表明している。
 まさに、山本議員が叫んだ「セガサミー」と「ダイナム」というギャンブル関連業者から資金を受けた議員らが、カジノ法案を強固に推進していたのだ。
これは企業への利益誘導であり、贈収賄の疑いさえある。
実際、カジノ法案の審議がスタートしただけで両社の株価は高値をつけている。

 ところが今回のカジノ解禁法案を巡って、大手メディアがこうした数々の癒着疑惑を踏み込んで報じる気配は皆無。
一応、毎日新聞と朝日新聞だけは、しんぶん赤旗の報道を受け、12月14日付で維新・小沢議員のダイナムのパーティ券問題を報じてはいる。
しかし、これはその前日の参院内閣委員会で、共産党の大門実紀史議員からこの一件について追求された小沢議員が返金する考えを示したことで、初めて報じたにすぎない。
明らかに腰砕け状態なのだ。

 なかでもお笑いなのは産経新聞だ。
ウェブ版「産経ニュース」14日付では、「自由党の山本太郎代表がまた『牛歩』 参院議長の『1分以内』警告であえなく退散」なるタイトルで山本氏の牛歩を揶揄したが、一方、そのなかで〈大声で「ギャンブル法案には反対だ」と叫び、反対票を投じた〉と書くなど、山本氏が癒着疑惑を追及したセガサミーとダイナムの企業名を露骨にネグっていた。
「物言う新聞」を自称する産経だが、聞いてあきれるではないか。

 国内カジノの開業は、今後1年以内に政府が実施法案を国会に提出し、可決されてはじめて解禁される。
表向きはカジノ解禁法に反対している大手マスコミだが、安倍政権や維新との癒着の報道に尻込みしているところみると、疑惑追及にはほとんど期待できない。

 だからこそ、山本氏にはこれからも国会内外で存分に暴れまわってほしい。
そして、本サイトもカジノ解禁がいったい「誰のため」なのか、明らかにするために、取材を続けるつもりだ。
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2016年12月19日

和解について=佐藤千矢子

発信箱
和解について=佐藤千矢子
毎日新聞2016年12月16日 東京朝刊

 安倍晋三首相がオバマ米大統領とともに、今月下旬、日米開戦の地であるハワイの真珠湾を訪れることについて、メディアの報道ぶりに少し違和感を覚えた。

 違和感の正体は、二つある。
一つは、トランプ政権の誕生をにらんだ同盟強化という政治的思惑が強いのに、話が美化されたように感じたこと。
もう一つは、日米の和解に区切りがつき、これからは未来志向だという整理の仕方が、短絡的に感じられたことだ。
丁寧な報道もあったが、自戒を込めていえば、全体にそういう印象を持った。

 日米の和解とは何かと考えざるを得ない。
 5月のオバマ氏の広島訪問の際、被爆者らは原爆投下の謝罪を求めなかった。
訪問を実現し、核廃絶を前進させるための決断だったが、今でもその判断は正しかったのかと議論がある。
オバマ氏の演説に初めは感動したが、後で冷静に振り返ったら、がっかりしたという被爆者もいた。

 人の気持ちは複雑で、まっすぐには進まない。
行ったり来たりもする。
真珠湾攻撃の被害者にもいろいろな思いがあるだろう。
和解が究極的に心の問題だとすれば、この先も果てしない努力の積み重ねが必要に思える。

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の事務局長をつとめる田中熙巳(てるみ)さん(84)に、こうした疑問をぶつけると、次のような答えが返ってきた。
「和解とは、被害者と加害者が憎しみを乗り越えて、対等の立場になることではないか。
国の代表同士が和解するというのは、よくわからない。
原爆の被害については、和解はない」
 和解の価値を発信したいという安倍首相は、真珠湾で何を語るだろうか。(論説委員)

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2016年12月20日

高額報酬に加え公務員並み年金要求する議員の虫のよい主張

高額報酬に加え
公務員並み年金要求する
議員の虫のよい主張
2016.12.19 16:00 NEWSポストセブン
*seesaaブログメンテナンス 午前1時〜11時の予定


 かつて「役得年金」と批判され、重複加入が可能だった「議員年金」を復活させようという動きが活発になっている。
「国民年金だけでは老後の生活ができない」
「地方議員のなり手がいなくなる」など、勝手な理由が並んでいる。

現在、各地の市議会や県議会が声高に要求しているのが、議員の「厚生年金」加入だ。
 全国都道府県議会議長会総務部の担当者はこういう。
「議長会は議員年金の復活を要求しているわけではありません。
知事も市長も厚生年金。
あまり都庁に出勤していなかった某元東京都知事だって特別職公務員として公務員共済年金(現在は厚生年金に統合)に加入できていたんですよ。
同じように選挙で選ばれる県会議員が加入できないのはおかしい。
だから国会に法整備を求めている。
地方議員はイメージが悪いから厚生年金に入れないというのは差別でしかない」

 うっかり“議員の厚生年金加入くらい認めてもいいじゃないか”と考えると罠にはまる。
実はこれが特権議員年金の復活につながる道なのだ。
 廃止されたかつての「地方議員年金」は、議員が支払う掛け金が6割、税金4割で運営され、議員の負担の方が大きい仕組みだった。
しかし、厚生年金の保険料は労使折半だ。
議員は政党の職員でも、自治体の職員でもない。
厚生年金加入を求めるのならせめて保険料を全額自分で払うというのが筋だろう。
 そうではなかった。

「議員は自治体の住民に雇われているようなもの、当然、保険料の半分は税金で負担するべき」(同前)
 厚生年金加入のついでに、年金保険料の5割を税金で払わせようというのが議長会側の主張だ。

これが実現すると、かつての税金4割負担以上のおいしい“議員年金”ができあがるという筋書きである。
議員や公務員の特権を追及してきたジャーナリストの若林亜紀氏が指摘する。
「日本の地方議会は平均年間80日間程度しか開かれていない。兼業者も多く、フルタイムで行政の仕事をしている公務員とは勤務形態が違う。
しかも、議員はいわば個人事業主でサラリーマンのように誰かに管理されることがなく、たとえ議会に1日も出席しなくても高額な報酬が全額もらえる。
 独立性ゆえ特権が与えられているのに、“年金だけはサラリーマンや公務員などの被雇用者並み”などと主張するのは虫がよすぎる。

もし、地方議員が自治体と雇用契約を結んで厚生年金に加入すれば、首長の部下ということになり、知事や市長の行政をチェックするという議員本来の務めを果たせなくなる。
自己否定も甚だしい

 地方議員の中にも、「議員特権と批判された議員年金を復活させ、しかも保険料の半分を役所の財政から出すなど、有権者の理解が得られるはずがない」(無所属の古坊知生・豊島区議会議員)と一部で反対する声があるが、与野党合わせて復活に突き進む大号令にかき消されている。  

ちなみに現在の全地方議員を厚生年金に加入させると、国民の負担は毎年170億円増える。
 どの言い分を聞いても、衰退しているのは議会制民主主義ではなく議員たちのモラルだとはっきりわかる。
いくら選挙で「集票マシン」の地方議員に世話になるとは言え、自民党の国会議員たちはこんな言い分に耳を貸して議員年金復活を言い出したのか。

「種明かしは簡単。
地方に旗を振らせて地方議員の厚生年金加入を認める法改正をすれば、国会議員も同様にという議論になり、便乗して厚生年金に入れる。
地方議員同様、保険料を国民に半額負担させる事実上の国会議員年金を復活できるという計算があるからでしょう」(地方議会関係者)
 年金カット法案を強行採決した国会議員たちが次に国会提出を狙っているのは、自分たちの「議員年金復活」法案になる。


■取材/福場ひとみ(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2016年12月23日号
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2016年12月21日

支離滅裂のデタラメ政治に1億総マヒ化の国民世論

支離滅裂のデタラメ政治に
1億総マヒ化の国民世論
2016年12月20日 日刊ゲンダイ

 あのバカ騒ぎは一体何だったのか。
「北方領土問題にいよいよ終止符が打たれる」
「日ロ平和条約の締結交渉が本格化する」
「高まる元島民の期待」――。
ロシアのプーチン大統領が来日する前の嵐のような「北方領土」関連の報道が、日ロ首脳会談後はきれいさっぱり消えた。

 そりゃあそうだ。
安倍、プーチンの共同会見で公表された中身は「共同経済活動を行うための特別な制度の交渉開始で合意」「サハリンと北海道の住民が、自由に往来をできるようにしたい」――というパッとしないもの。
新聞・TVが散々、煽りまくった「キモ」の領土問題はまったく進展せず、それどころか、安倍はプーチンに3000億円もの経済協力まで“約束”させられただけ。
これじゃあ、さすがに安倍応援団の新聞・TVも報道しようがない。
 だからなのか、安倍自らが「成果」を訴えようと必死だった。

首脳会談の直後から、NHKや民放番組をハシゴし、「共同経済活動が平和条約への第一歩」などとドヤ顔でアピール。
だが、強行採決した安保法の時と同じで、この男がTV局を行脚してグダグダと長広舌をふるうのは、失態を糊塗する際の常套手段。
大体、国会議員であり、仮にも総理大臣なら、TVで一方的にしゃべくる前に、国会できちんと説明するのがスジだ。
国益に直結する外交政策で「歴史的な一歩」と自画自賛するならなおさらだろう。

■焼き直しの政策を「評価」の愚
「会談は日本側の完敗だった」。
東京新聞で、北大の木村汎名誉教授はこうバッサリ切り捨てていたが、これがまっとうな見方であって、海外メディアも同様だ。
〈安倍首相は経済事業のためにロシアに金をあげることになった〉(米ワシントン・ポスト)、〈プーチン大統領の外交的勝利〉(英フィナンシャル・タイムズ)、〈プーチン大統領が日本の領土問題への期待を打ち砕いた〉(米ウォールストリート・ジャーナル)。

 どのメディアも総じて、安倍外交の「完敗」を報じている。
安倍政権の選挙スローガンには「日本を取り戻す」とあったが、日ロ交渉で安倍がやったことは「取り戻す」どころか、「差し出した」と言っていい。

 日ロ首脳会談が「歴史的大失敗」なのは明らかだが、驚くのは、そんな「亡国外交」を評価する声があることだ。
FNNが17〜18日に行った世論調査で、日ロ首脳会談を「評価する」との回答は63.9%に上り、「評価しない」(30.7%)を大きく上回った。
合意内容が日本とロシアのどちらに有利と思うか――との設問に対しては「66.4%」が「ロシア」と答え、北方領土問題の進展についても「69%」が「思わない」と回答。
それでいて、この高い評価はハチャメチャだが、
毎日新聞の世論調査でも、北方領土問題の進展に「期待する」は「60%」、共同経済活動の賛否についても「賛成」との回答が「59%」を占めていたからワケが分からない。

元外交官の天木直人氏はこう言う。
「メディアがきちんと報じないからですよ。
『成果はなく失敗は明らかだが、よくやった』。
このロジックです。
どこも本気になって『これで良かったのか』と批判しない。
だから世論も何となく『まあ、いいじゃないか』という雰囲気になる。
自民党の二階幹事長は『国民はガッカリしている』と言ったが、あれは単なるガス抜きであって、ホンネは『まあ、この程度じゃ政権はビクともしない』という余裕の裏返し。
国民はなめられているのですよ

 そもそも共同経済活動だって、安倍は「未来志向の発想である新しいアプローチ」なんて威張っていたが、別に新しくも何ともない。
日ロ両政府は98年に「共同経済活動委員会」をつくり、当時も北方4島の経済活動を「双方の法的立場を害することなく実施」できるかが検討された。
しかし、折り合いがつかずに頓挫した。

つまり、今回示された案も、かつての案の“焼き直し”だ。
常識的に考えれば、日本の法律にも、ロシアの法律にも縛られない「特別な制度」なんてつくれるはずがないし、出来るなら日ロ共同宣言で盛り込めばいい。
そうしなかったのは、安倍もプーチンも本音は「ムリ」と分かっているからで、それで「プレス向け声明」なんて曖昧な表現でお茶を濁したのだろう。

こんな三文芝居、茶番劇に付き合わされる国民はタマったもんじゃない。


暴政を許す無関心は、
精神の麻痺であり、死の先取り

 日ロ首脳会談に限らず、内政だって何ひとつうまくいっていない。
安倍は国民ウケするようなフレーズをブチ上げるだけブチ上げて、後は野となれ山となれ――。いつもこのパターンである。
 例えば、安倍政権は「介護離職ゼロ」の目標を掲げているが、厚労省の審議会がまとめた意見書は真逆の負担増案がズラリ並ぶ。
▽所得が高い高齢者らの利用者負担を2割から3割に引き上げる
▽中間所得層の月額負担上限額を上げる……。
介護保険の利用者負担は原則1割だが、昨夏、年金収入だけで年収280万円以上ある単身高齢者の負担割合は2割に引き上げられた。
介護保険制度は「社会全体で介護を担う」が導入目的だったはずだが、利用者負担は増え続け、給付は削減されるばかり。
これじゃあ、どう逆立ちしても「介護離職ゼロ」の達成なんてムリだ。
「国民に丁寧に説明する」というのもウソ。
今国会で強行採決された「年金カット法案」が衆院厚労委で行われた審議時間はたった19時間。
しかも、参考人質疑が開かれた当日に強行採決である。
こんなだまし討ちのような国会運営が許されるはずがないだろう。

「カネがない」と介護や年金などの社会保障費をバンバン削る一方で、防衛費は過去最大の5兆1000億円と大盤振る舞い。
とりわけ、米国製の武器は「言い値」で爆買い状態だ。

沖縄・名護市沖に墜落した「オスプレイ」を18年度までに17機購入し、総額3600億円を投じるほか、19年度までに無人偵察機「グローバルホーク」に3機で総額1200億円以上支払う。
 トランプ次期米大統領が「高過ぎる」と疑問視している最新鋭ステルス戦闘機「F35」だって、日本は1機当たり180億円で計42機も買う予定だからデタラメ過ぎる。
そんな暴政の極め付きが日ロ首脳会談だったのだが、大勢に流されやすく、流れにさおさす──のが日本人の特徴とはいえ、いくら何でも「世紀の亡国外交ショー」を「評価」とは唖然呆然だ。

安倍政権が今も6割前後の支持率を得ているのも奇々怪々で、日本国民がよっぽど政治に無関心になったのか、1億総マヒ化しているとしか思えない。
上智大教授の中野晃一氏(政治学)はこう言う。
野党が受け皿になっていないことが(安倍政権の支持率が高い)原因だと思いますが、そろそろ国民も安倍政権について真剣に考えないといけない。

対米関係でも、オバマ政権とトランプ政権では日本の対応は全く異なるでしょう。
このままだと、最悪の場合、本当に(日本が)戦争に巻き込まれる事態になりかねない。
無関心にならず、ちょっと考えれば『これでいいのか』と気付くはずです」
無関心とは、精神の麻痺であり、死の先取りである」。
ロシアの劇作家チェーホフはこう言っていたが、このまま安倍政権の暴走を許せばトンデモナイ時代が訪れるのは間違いない。
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2016年12月22日

突然の脳梗塞…迷わず救急車を呼ぶべき「5つの症状」

突然の脳梗塞…
迷わず救急車を呼ぶべき
「5つの症状」
2016年12月21日 日刊ゲンダイ

 年末年始の休暇に入り、病院も休みになる。
しかし、5つの「ちょっとした異変」があれば、迷わず救急車を呼ぶべきだ。
最悪の事態になりかねない。

「びびっと気づいて対応するか、『何かおかしいな』程度に考えて放置するかで、その後の運命は大きく変わります」
 こう言うのは、東京慈恵会医科大学神経内科の井口保之教授。
脳梗塞治療のエキスパートだ。

 脳梗塞は突然起こる5つの症状が見極めの決め手になる。
ところが、井口教授によれば、「見落とされることが非常に多い」という。
ドーンとくる重い症状であれば慌てて救急車を呼ぶだろうが、軽い症状のケースが珍しくないからだ。
しかも、一過性脳虚血発作といって、数分から1時間以内で症状が消えてしまうケースもあるから厄介だ。

 井口教授らの調査では、どんなに軽い症状であっても「びびっと気づいた」人は76%が2時間以内に来院。
 一方、症状には気づいていても重大視しなかった人は半数以上がすぐに病院に来ていなかった。
これがどういう結果を招くのか。

「早期に来院すれば、『血栓溶解療法』という内科的治療が可能になるのです」

 血栓溶解療法とは、「t−PA」(アルテプラーゼ)という血栓を溶かす薬剤を注射で投与する。
脳梗塞は、脳へいく血管が血栓(血液の塊)で詰まって血流が滞り、その先の脳細胞が壊死する病気だ。
当然のことながら、治療までの時間が長くなるほど壊死する脳細胞は増え、脳の損傷が拡大する。
早い段階で血栓溶解療法を受けて血流が再開通すれば、“被害”は最小限に食い止められる。

「t−PAを受けた100人の調査では、39人が3カ月後に自立でき、プラセボ(t−PAを受けられなかった)群は26人しか自立できませんでした。
100人単位で見ると小さな差と思うかもしれませんが、母体を大きくすると有意差がはっきりとわかります」

 脳梗塞は、約4割の患者は発症前と同程度まで回復し、一方で6割は後遺症が残ったり死亡したりするといわれている。
さらに、後遺症・死亡例のうち、何らかの後遺症が残る人が20%、補助なしの社会生活が困難なほどの後遺症の人が23%、死亡者が17%。
 どれに属するか? に大きくかかわっているのが、軽い症状にも「びびっと気づき」「早期に来院」することなのだ。

■高齢者の場合「認知症と誤解」

 井口教授が注意を促す5つの症状は次の通り。
@片方の腕や脚にマヒ、しびれが起こる。
マヒは「動かしたくても動かない」、しびれは「ジンジンしたしびれ」
Aろれつが回らない、言葉が出てこない、他人の言うことを理解できない
B片方の目が見えない、視野の半分が欠ける、ものが二重に見える
C立てない、歩けない、ふらふらする
D経験したことがない激しい頭痛  

Dは、くも膜下出血の症状で激烈なので、誰でも危険を感じるだろう。
しかし、@〜Cも突然起こったら、たとえ軽くても迷わず救急車を呼ぶ。
 高齢者の場合、「認知症の表れ」と本人も家族も思いがち。
たとえ認知症の症状だったとしても、それは検査を受けたからこそわかることであって、MRIなどのチェックは不可欠だ。
「私の調査では、病院に入院した脳梗塞急性期の患者で血栓溶解療法を受けることができる割合は全体の5%程度。
5つの症状にびびっと気づく人が増えれば、急性期治療を受けることができる患者の割合はもっと増えるでしょう」
 症状から脳梗塞を疑った時、救急車を呼ぶのに遠慮はいらない。
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2016年12月23日

隣の柿は甘そう?…相手を嫉妬する心の対処法

隣の柿は甘そう?…
相手を嫉妬する心の対処法
All About 12/22(木) 7:15配信

「他人を妬んではいけません」とは、誰しも子供の頃、周りの大人の誰かから言われた覚えはあるはず。
でも、言うは易し、行なうは難しで、誰かを妬んでしまえば、その相手の悪口を言うようになり、しまいには、その相手に何か意地悪をしたくなるかも。

例えば、柿がおいしそうに色づく頃。
そんな隣の柿を見て、「あら、嫌だ、ウチの柿より、おいしそうじゃない。
頭に来る!」なんて腹が立ったせいか、後で、その家の庭にこっそり○○を投げ込んでしまうようなことは、あってはならぬこと! ここでは、こうした妬み心が原因で生じる問題行動の芽を未然に摘み取り、さらに、妬み心が原因で生じてくる心の様々な不調、例えば、イライラが止まらない……といった事態を回避するため、精神医学的観点からぜひ、知っていただきたいことを詳しく解説します。

■妬み心は心の健康を損ないやすい

もしかしたら、「私は他人を妬んだりしません」と、はっきり断言する人もいるかもしれませんが、人は誰しも時に誰かを妬んでしまうもの。
もっとも妬みの視線は通常、自分の見知らぬ人には向きません。

例えば、テレビで世にもきれいな人を見たとしても、「あら嫌だ! 頭に来る!」なんてことはまずなく、大抵は、「何てきれいな人!」でおしまい。
妬む相手は通常、自分の身近な人です。

例えば、姉妹関係。
仮に、妹は男子に大変人気がある、かわいい女子だとして、姉は、その正反対で全然、男子に人気がないとします。
そんな姉がボーイフレンドと楽しそうに、はしゃぐ妹を見たりすれば、思わず妬んでしまうかも。
もっとも、人によっては、そんな妹を見ても、「あら、楽しそうにやっているわね」と、やさしく見守れる場合もあるでしょうが、もしも妹を妬んでしまい、こっそり意地悪をするようになってしまっては大変です。
もっとも、こうなっていく背景には姉の心理に何らかの不合理性が生じているもの。

例えば、自分を妹と比べてみては、「自分の方が○○なのに、どうして妹だけモテるの?」と怒ってしまったり、場合によっては、自意識が強過ぎて、自分よりモテる妹が許せない場合もあるでしょう。
でも、他人をいつも上から目線で見ていては、自分に寄って来る男子は、なかなかいないでしょうし、そもそも自己評価なんてものは、他人が自分に下す評価とは往々にして大変、違うもの。

たとえ自分ではオードリー・ヘップバーンのように、イケてる女子のつもりでも、周りの自分を見る目は残念ながら、かなり厳しい場合だってあります。
このように嫉妬心は時に誰の心にも生じるものとはいえ、時に家族関係など、大切な人間関係を壊すポテンシャルがあることには皆さん、充分、お気をつけください。

■妬み心には、うつ病、
パーソナリティ障害などの可能性がある場合も

嫉妬心は時に、心の病気のきっかけになってしまう可能性もあります。
その際、まず第一に気をつけておきたいのは、うつ病。
うつ病は代表的な心の病気のひとつで、一生のうちの罹患率は、10〜20%前後もあり、誰でも何らかの要因によって、脳内環境が悪化すれば、うつ病を発症してしまう可能性があります。
もしも嫉妬心が原因で何らかの悪循環に陥ってしまえば、脳内環境が悪化してしまい、うつ病を発症する可能性があることには要注意です。

次に、妬み心に関連する可能性がある心の病気に、パーソナリティ障害があります。
パーソナリティ障害の症状は、一般に本人の気質による部分が大きく、簡単に言えば、「元々、そんな人なのです」と言って済ませる面もあります。
しかし、その性格のために日常生活上、深刻な支障が生じやすくなります。
例えば、妬み心が強くなり過ぎて、もしも、ちょっとしたことで周りの人を妬んでは、その人の悪口を言ったり、意地悪をしていては、周りの人から白い目で見られてしまうでしょう。

こうしたパーソナリティ障害で見られやすい問題行動は、特にストレスが強くかかっている時、強まる傾向があり、できるだけ早期に精神科(神経科)を受診して、心理療法などを受けることが望ましいですが、本人が自分自身に問題行動があることを認識することは少なく、精神科を受診されることは少ないです。

■それでは、チェックを!

では以上のまとめとして、嫉妬心が病的になる傾向を示す症状を箇条書きにします。

・特定の誰かが気にかかって仕方がない
・その相手の悪口をよく言ってしまうだけでなく、何か意地悪をしてしまったこともある
・周りの誰かから妬みっぽさを指摘された覚えがある
・気持ちが冴えないことが多く、毎日を楽しめていない
・イライラして目先のことに集中できない
・眠りが浅くなってしまっていたり、食欲が大きく変化している
・何か深刻な心配事を抱えていて、不安が強い毎日になっている
・ギャンブル、飲酒、衝動買いなど、それに対する依存が強まれば、日常生活に多大な支障を起こし得るものが、イライラの解消手段になっている

嫉妬のエネルギーをポジティブな方向に向けてみて!
嫉妬心は誰の心にも時に生じる、言わば人間の自然な感情。
状況によっては、嫉妬心がどうしても避けがたいものだとすれば、その時、生じた嫉妬心を病的にさえしなければ、嫉妬心を制したことになります。
その際、まず心身に充分な余裕があるか否かは大切なポイント。

仕事もプライベートも順調な時と、何か深刻な心配事を抱えているような時とでは、心のあり方は全然違うもの。
とはいえ、この厳しいご時勢では、充分な余裕を持つこと自体、なかなか容易なことではないでしょう。
それでも、やるべき物事の効率を上げてみる、と同時に、心身のコンディショニングを整え、ストレス対策もしっかり取ってみる……など、できる限り、心身に余裕を生み出していきましょう。

次に嫉妬心で、気をつけていただきたいことは、誰かを妬んでしまった時、そのわだかまりをどう発散させているかです。
もしも、その相手の悪口を言って、心のわだかまりを発散させたとしても、その効果は一時的。やはり、そのエネルギーは、何かポジティブな方向に向けたいもの。

例えば、もしも自分が成し遂げたい目標が、しっかりあれば、そのエネルギーを注ぐ先ははっきりしてくるはず。
それでも、自分がどうしても欲しいものを身の周りの人が持っていたりすれば、思わず、うらやましく思ってしまうかも。
その際、もしも、その妬み心が、「けしからん!」といったネガティブな方向に向かいやすい人は、その心的反応は、ご自身の心の健康を損ないやすいことは、どうかご留意ください。
中嶋 泰憲
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2016年12月24日

なぜ“残念な人”になってしまうのか?人生を狂わせる3つの「不合理な期待」

なぜ“残念な人”になってしまうのか?
人生を狂わせる3つの「不合理な期待」
@DIME 12/23(金) 16:30配信

 先進的で豊かな社会に暮らすことで、必ずしも幸せな気分を味わえるわけではない。
“健康で文化的な生活”を送っていながらもどうして幸せを感じられないのか?
 注目すべき考察がいくつか発表されている。

■アメリカ人の7つの不幸のタネ

 世界一の経済大国であるアメリカだが、最新の「世界幸福度ランキング」では13位だ。
世界第3位の経済大国である日本にいたっては53位というお粗末過ぎる順位である。
そしてアメリカの中でも冨と夢の象徴であるニューヨークの住民が、最も幸福度が低いというショッキングな報告も発表されている。

 そこで経済系オンラインジャーナルの「Market Watch」では、現在のアメリカ人が日々の生活に不満である要因を7つ指摘している。
豊かな国の中でいったい何が“幸福度”を押し下げているのか。

○物価上昇に賃金が追いついていない
 いわゆる「リーマン・ショック」の後の大不況(グレートリセッション)に多くの人々が今も苦しめられている。ある調査によれば、アメリカ人の銀行口座の残高は実にその62%が1000ドル(約12万円)以下ということだ。
日々の生活はやりくりできても、緊急の出費や大きな買い物への対応がとても難しくなっていることが幸福度を大きく下げる要因になっている。

○処方薬の量が増えている
 アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の調査によれば、この10年で抗うつ剤の処方量が4倍に増えたという。
処方箋薬ばかりでなく、違法薬物についても年々流通量が増えていると言われている。
薬物に依存した状態で幸福度が高まるはずもないだろう。

○スマホ中毒になっている
 スマホやパソコンなどの情報端末に費やす時間がますます増えている。
情報端末の利用に時間をとられることで、特に成長期の子どもたちの感情認識力の養成が妨げられているという。
感情面のスキルを養成することは、将来の学業の成就や社会的成功に大きく関わっているといわれている。
スマホ中毒に陥ることで感情的な交流が損なわれ、生活の満足度も低くなるのだ。

○国民の半数がストレスを抱えている
 米公共ラジオ局とNPO機関、ハーバード公衆衛生大学院が合同で行なった調査では、対象となった成人2500人をのうちの半数が昨年きわめてストレスフルな出来事を体験したということだ。
特に中高年においては健康問題が深刻なストレスになっているという。

○金持ちや有名人の生活を目にすることが増えた
 SNSの普及によっていわゆる“セレブ”たちの生活の一端を垣間見ることができるようになっている。
また有名人ではなくとも富裕層がどんな生活を送っているのか、一般庶民にもよりよくわかるようなった。
それらの人々の生活と現在の自分の生活とのギャップを痛感させられることで必要のないストレスを受けることになるのだ。

○ゆっくり休んでいない
 アメリカ人といえば社会人でも長い夏休みをとっているイメージがあるのだが、最近の調査では有給休暇の消化率は平均5割ほどであるという。
加えてアメリカでは昼休みの休憩時間を労働時間とみなしていない職場も多く、意外なほどに休めていない実態が浮かび上がっている。

○不健康である
 昨年、米国の南部を中心に5つの州で肥満率が上昇しており、今や成人の4分の1が肥満に分類されている。
研究者によっては、実際には米国民の3分の1が肥満であると主張する声もある。
自分の体重に無関心であること、食事を1人で摂ること、砂糖を摂りすぎていることなどが主な元凶であると考えられているが、やはり健康なくして幸福もないということになる。

「幸福度ランキング」13位のアメリカでこのような事態に直面しているならば、53位の日本ではさらにストレスフルな環境に晒されているのかもしれない。

■“残念な人”の特徴6
 精神的に幸せを感じにくい環境、相対的に幸福度が低くなる社会が問題視されているのだが、外部的要因ばかりでなく当人に問題があるケースもある。
自分から不幸を呼び込んでいる人々が少なからず存在しているというのである。

 人生では時に不幸を甘んじて受け入れなければならないこともあるが、味わう必要のない不幸を選ぶことが習慣になってしまっている人々がいる。
一度不幸を受け入れてしまうと、習慣化してネガティブなサイクルに陥ってしまうのだ。
こうしたきわめて不幸で残念な人に共通する6つ習慣を「Spirit Science」の記事が指摘している。

“残念な人”の特徴をこの機会に確認しておいても無駄ではないだろう。
○被害者意識
 自分には運がなく常に被害者であり犠牲者であると自己憐憫する人々がいる。
同情を買うことで周囲と繋がろうとし、不幸の“タネ”が尽きないように無意識のうちに不幸を呼び込んでいる。


○不平不満を愛している
 不平不満をたらたら述べることを実は愛している人々がいる。
不幸な体験や問題についての不服を誰かに聞いてもらうことでいったんは気分が収まるため、根本的な問題解決への取り組みが行なわれないのだ。

○批判を極度に恐れている
 相手が何を考えているのか、誰しもある程度は気にするものだが“残念な人”は極度に気にしすぎている。
そして自分に対する批判的な意見を受け入れないため、コミュニケーションが成立しなくなり、孤立することでますます不幸になる。

○ゴシップを愛する
 自分の生活に満足が感じられないことの反動で、幸せに見える有名人の生活に訪れた不幸を詮索することに生きがいを感じるようになる。

○連続ドラマ好きである
 連続ドラマのストーリーは往々にして主人公に次から次へと問題が降りかかってくるのだが、その展開を“残念な人”は自分に重ね合わせることができるためこの種のドラマが大好きである。

○人と繋がりたいが孤立している
“残念な人”は人一倍他者との信頼関係を築きたいと望んでいるのだが、傷つくことを極度に恐れているために安定した友人知人関係が保てずに結果的に孤独に陥る傾向がある。

 このように“残念な人”は自ら不幸を招き入れるようなネガティブなサイクルに陥っている。
自分にも当てはまるものがないのかどうか、一度検討してみてもよいだろう。

■人生を狂わせる3つの「不合理な期待」

 ではなぜ人は“残念な人”になってしまうのだろうか。
もちろん何か大きな挫折体験や事件、事故などがトラウマとなってネガティブな性格になってしまうケースもあるだろうが、実は多くの場合、その考え方に起因しているという。
 とはいっても“残念な人”が決して異常な思想を持っているということではなく、ごく当然な考え方でありながらも、少しばかり“踏み外して”いることで結果的に“残念な”方向へと大きく反れてしまっているということだ。
いったいどういうことなのか。

 アメリカの臨床心理学者、アルバート・エリスが1955年に提唱した心理療法が理性感情行動療法(Rational emotive behavior therapy、REBT)である。
この療法を開発するにあたってエリスは、必要のない不幸を生み出している3つの「不合理な期待」を特定している。
一見、当然のことのように見えながらも、実は裏切られるたびにメンタルに大きなダメージを与えるこの3つをよく理解することで“残念な人”になることを防ぎ、また“残念な人”状態から回復するための糸口になる。

ではその3つの「不合理な期待」を解説しよう。
●「たいていのことはうまくできる」という自分への期待
 あまり挫折体験のない多くの人々は自分自身に高い期待をかけているといわれ、この認識が強ければ強いほど失敗したときのダメージが大きくなる。
もちろん1度や2度の失敗で認識が揺らぐことはないだろうが、何度か続くことですっかり参ってしまい、一転して自己嫌悪、自己卑下の傾向が強い性格になり“残念な人”になる。

●「常に正当に扱われる」という他者への期待
 もちろん特別な事情がない限りすべての人は公正に扱われるべきだが、現実は必ずしもそうでないのはご存知の通りだ。
それまで公正に扱われるのが当然の学生生活を卒業し、社会人になった時にこの“権利”を大きく踏みにじられる思いを経験する人も多い。
そしてこの経験を重ねて精神が落ち込むと共に“敵意”も生まれ、有名人の不幸を喜ぶような“残念な人”へと通じる道が拓けることになる。

●「いわれのない苦難や逆境に向き合う必要はない」という人生への期待
 自分は何も悪いことはしていないのに、ある時人生に苦難や逆境が訪れてきたとすれば確かに理不尽だ。
そんな苦難や逆境は対処しなくても良いものだと考えても不思議ではない。
さらに進んで自分の望むモノや結果がすぐに手に入ることが当然という認識のままに社会に出る人も少なからず存在するだろう。
そのような人はきわめて逆境に打たれ弱い存在であるとも言え、そのダメージで“残念な人”になるケースもある。

 つまり逆に考えれば、長い人生のなかでは物事がうまくできないこともあれば、この世は前提としてえこひいきされる社会であり、唐突に苦難や逆境に直面することもあるという“現実”を念頭に置いておくことが肝要のようである。
味わう必要のない不幸で精神にダメージを受けることのないよう、タフでリアリティのある現実認識を育みたいものである。
                       文/仲田しんじ
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2016年12月25日

迷惑!非常識な「私は悪くない症候群」の人たち

迷惑!非常識な
「私は悪くない症候群」の人たち
2016年12月24日 読売新聞「深読み」

自分が間違っているのに決して非を認めず、他人のせいにする人がいる。
自らを守ろうとするあまり、暴言を吐いたり、言いがかりをつけたりする。
「私は悪くない症候群」とも呼ばれ、攻撃的な行為に出ることも珍しくない。
なぜ、このように非常識な行動をする人がいるのか。
精神科医の片田珠美氏が解説する。

いつも自分が正しい!
 今年を振り返って感じるのは、独り善がりの正義を振りかざして攻撃する人が目立ったということです。
 その最たるものが今年7月、「障害者が安楽死できる世界を」という主張を正義だと信じ、相模原市の知的障害者施設を襲撃した容疑者の男でしょう。
 この事件には戦慄を覚えましたが、これほど衝撃的ではないにせよ、「自分が正しい」「私は悪くない」と疑わず、他人を攻撃する人は至るところにいて、さまざまな騒動を巻き起こしています。

やり方を教えてもらってない!  
「そんな仕事のやり方、教えてもらっていません!」
 ある会社には、自分が仕事でミスするたびにこう言って逆ギレする新入社員の女性がいるそうです。
 この新入社員は、手取り足取り教えてもらわないと、仕事ができません。
 また、何事にも受け身で、自分で工夫して仕事をする気は毛頭ありません。
いわゆるホウレンソウ(報告・連絡・相談)ができないため、周囲に迷惑をかけるのですが、その自覚も当人にはまったくありません。
 そればかりか、ちょっと厳しく注意されると、涙ぐみながら「それってパワーハラスメントじゃないですか」と訴えるので、上司は何も言えなくなるのです。
 もちろん、パワハラは許しがたい行為です。

 しかし、企業でメンタルヘルスの相談を受けるたびに感じるのは、自己正当化するために「パワハラだ」と言い立てる社員もいないわけではないということです。
 そういう人に限って、「仕事がうまくいかないのは、自分の努力や能力が足りないせいではない」などと主張するのです。

仕事を押しつけた課長が悪い!
 別の会社では、20代の男性社員の対応がつたなかったため、取引先からクレームを受けたことがあったそうです。
 このことで課長から叱責を受けた男性は、激しく反論しました。
 「クレーマー体質の取引先を自分に押しつけた課長が悪い!」
 「上司の立場を利用したパワハラだ!」

 このように、大袈裟おおげさに騒いで難を逃れようとすることが頻繁にあったため、人事部でも問題になりましたが、誰も厳しく注意することができません。
 この男性社員が受診した心療内科から、「抑うつ状態」という診断書をもらっており、そこに「配慮を要する」との記載があったためです。

 男性社員は、この診断書を盾に、自分のイヤな仕事も残業も一切しませんでした。
そればかりか、繁忙期に限ってうつを理由に半月ほど休むこともありました。
にもかかわらず、休んでいた間に海外旅行に行っていたようで、その写真をフェイスブックにアップしていました。
 診断書は、この男性社員の自宅近くの開業医から出されたものでした。
そこで、私は「国公立の病院を受診してセカンドオピニオンを聞いてくるように」との助言を人事部を通じて伝えました。
 新たな診断書の提出はなかったものの、勤務態度は多少改善しました。
「パワハラだ」などと騒ぎ立てることもなくなったとのことです。

【対処法】事実確認が大切
 パワハラと訴える人がみな「過剰防衛」だと言うつもりも、うつや自律神経失調症などの診断書を提出している人がみな「詐病」だと決めつけるつもりもありません。
 ただ、中には、「パワハラ」を錦の御旗みはたにしたり、心の病を言い訳にしたりする人もいます。
 まずは、事実確認をしましょう。
そのうえで、パワハラや心の病によって本人が実際に困っているのなら、職場環境や仕事内容を調整しなければなりません。
しかし、診断書などで事実確認ができない場合、「特別扱いはできない」ときっぱり伝えることも必要です。

僕は何もしていない!
 先日、ある男性患者から「病院に来る途中、警察官に呼び止められ職務質問されました。
僕って、そんなに怪しく見えるんでしょうか?」と尋ねられました。
 一瞬、返答に窮した私に対して、彼は突然怒りだしました。
どこかの県警で警察官が逮捕されたというニュースを思い出したようです。
 「警察官は犯罪者ばっかりやないか。
それなのに、何もしていない普通の市民を厳しく取り締まるなんて許せない!」

 この手の話は、タクシーの運転手からも聞いたことがあります。
 高齢のお客さんの指示が二転三転したため、ある時間帯だけ進入禁止となっている道路に入り込んでしまったところ、すかさず警察官がやって来て交通違反で罰金になったのだとか。
 これに、怒りを抑えきれなかった運転手は思わず、「警察は犯罪者ばっかりやないか」と叫んでしまったそうです。

働かない奴ばかり!
 私は若い頃、警察病院に勤務していた経験があり、目を疑いたくなるようなモラルの低い警察官がいたことも記憶にあります。
 ですから、警察の不祥事が報道されるたびに、私も「警察は犯罪者ばっかりやないか」という暴言を吐きそうになるのですが、そういうときは仕事でお世話になった警察官の顔を思い浮かべるようにしています。
 「真面目に頑張っている警察官もいるのだから、十把一からげにするような言い方はやめよう」と自分に言い聞かせるのです。 
 
残念ながら、この乱暴な「十把一からげ」が、最近蔓延まんえんしています。
 「公務員は、いい給料をもらっているのに働かない人ばかり」
 「教師は、いじめに対して見て見ぬふりする人ばかり」  
 「生活保護受給者は、働けるのに働かない人ばかり」

 この手の十把一からげの論法で激しく攻撃する人が増えているように見受けられます。
 こうした言い方にどれだけの正当性があるのかははなはだ疑問です。
身を粉にして働いている公務員もいれば、いじめと真摯しんしに取り組んでいる教師もいます。また、病気や障害で働けずに困っている生活保護受給者も少なくありません。

【対処法】そんな人ばかりじゃない
 「○○は××ばかり」という論法で攻撃する人がいたら、「そんな人ばかりじゃないですよ。いろいろな人がいますから」と冷静に諭しましょう。
 また、自分自身が十把一からげにして攻撃するようなことをしていないか、常に省みることも必要です。

なぜ浮気を許すんだ!
 今年は、「ゲス不倫」という言葉が流行語のトップテンに選ばれるなど、不倫騒動が世間をにぎわせました。
 当然、不倫が報じられた有名人に対する世間の怒りや攻撃もすさまじかったのですが、そういう世間の反応に私は違和感を覚えずにはいられませんでした。

 というのも、不倫は夫婦間の信頼関係を損なう行為なので、浮気が発覚したら、配偶者にきちんと謝罪して、できるだけの償いをしなければならないとはいえ、そういうことは当事者同士の話し合いに任せるべきだと私は考えているからです。
 あくまでも夫婦の問題であり、赤の他人がとやかく言うことではないというのが私の持論です。
 ところが、不倫とは直接関係ないはずの世間が激怒しているのが現状です。
不倫が明るみになった夫を許し、結婚生活を継続すると発表した妻に、「なぜ許すんだ」と怒りの矛先が向けられたケースもありました。
 不倫の当事者ではない世間が怒るのはなぜでしょうか?
 このような怒りの根底に潜んでいるのは一体何なのでしょうか?

他人の幸福が我慢できない!  
まず、「けしからん」「許せない」と声高に叫びながらたたく人の心の奥底には、羨望が潜んでいることがしばしばあります。
 「羨望というのは、他人の幸福が我慢できない怒り」と、17世紀のフランスの名門貴族、ラ・ロシュフコーは指摘しています。
 たしかに、自分がやりたくてもやれないことや、やりたいのに我慢していることを他の誰かが易々やすやすとやってのけると、他人の幸福が我慢できない怒りを抱くようなところが人間という生き物にはあります。
 当然、不倫願望を心の奥底に秘めていながら、我慢せざるをえないとか、実行に移せないという人ほど、他人の不倫を激しくたたきます。
 有名人の不倫ともなれば、その人が手にしている「成功」「名声」「富」などに対する羨望もあいまって、これでもかというくらい世間は鋭い牙を向けます。
まるで、ステージから引きずりおろさないと気が済まないようにさえ見えます。

 不倫という他人の悪を徹底的に攻撃することで、自分はそんな悪い性向など持っていないかのように振る舞う人もいます。
特に、誠実であるべき配偶者の前で、他人の不貞を攻撃すれば、自分には不倫願望のようなやましい欲望などないのだと自己正当化できるわけです。

【対処法】色恋に口を挟むのは野暮
 不倫は悪という正義を振りかざして攻撃する人の根底に、このようなメカニズムが潜んでいることに気づけば、テレビやインターネットで盛んに取り上げられる不倫騒動にも冷静なまなざしを向けられるのではないでしょうか。
 少なくとも、他人の色恋にあれこれと口を挟むのは野暮だと肝に銘じるべきです。

「正義」がはらむ危うさ
 とにかく、もっともらしい正義こそ要注意です。
 たとえば、「家族は、互いに助け合わなければならない」という主張は美しい理想のように聞こえるかもしれません。
 しかし、フランスの家族人類学者、エマニュエル・トッドが見抜いているように、「『家族』というものをやたらと称揚し、すべてを家族に負担させようとすると、それが重荷になってかえって非婚化や少子化が進み、結果として『家族』を消滅させてしまう」恐れがあります。
結局、「家族の過剰な重視が、家族を殺す」ことになるわけです。

 正義を声高に叫ぶ人の胸中には、しばしば、思惑、怒り、恨みなどが渦巻いていることを忘れてはなりません。
 そういう正義の「正しさ」を疑わず、うのみにしていると、とんでもないことになりかねません。
ですから、一見もっともらしい正義がはらむ危うさを見極めて、振り回されないように注意しましょう。
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2016年12月26日

香山リカ氏解説、権力側にだけ表現の自由許される近未来描く書

香山リカ氏解説、
権力側にだけ表現の自由許される
近未来描く書
2016.12.25 16:00 NEWSポストセブン

 年末年始はじっくりと本を読む良いチャンスだが、本読みの達人が選ぶ書は何か。
精神科医の香山リカ氏は、国家の影を読み解く書として『植民人喰い条約 ひょうすべの国』(笙野頼子・著/河出書房新社/2000円+税)を推す。
香山氏が同書を解説する。
 * * *
 作家・佐藤優氏のデビュー作は『国家の罠』だが、2017年はあらゆる場所にいま以上に「国家の影」がチラつく年になるだろう。
 たとえば、沖縄・高江で機動隊員がヘリパッド建設に抗議する住民を「土人」と呼んだ。
どう考えても明らかな差別発言だ。
ところが、沖縄・北方担当大臣は国会で「差別であるとは断定できない」と述べた。
差別かどうかは国家が決める、ということだ。

 差別問題だけではない。
冒頭の佐藤氏とジェンダー問題の著作で知られる北原みのり氏との対談集『性と国家』はそのタイトル通り、最もプライベートな領域である「性」にも「国家の影」が忍び寄っているというのがテーマだ。
 佐藤氏は、「国の性管理においては、圧倒的にジェンダー非対称で、女性がその対象になって搾取と暴力と差別の対象になっている」と言い、北原氏はそこでの免罪符として使われるのが「女性の自己決定」という概念だと鋭く指摘する。

 さらに強烈なのが本書。
人喰い条約TPPが批准され、「NPOひょうげんがすべて(ひょうすべ)」が権力の座につく国“にっほん”。
差別、格差、原発、戦争もオーケー、カネがなければ病人はたちまち死亡か安楽死、「表現の自由」は権力側だけに許されており、「そこに報道はない、言論もない、芸術も真実も告発も表には出られない」。
まさに地獄の近未来が、ひとりの女性の生涯を軸に疾走感あふれる文体で描かれる。

「恐ろしい、でもTPPはトランプ就任で反故になりそうだからよかった」と安堵するのもつかの間、ふと思う。
「いや、もうこの国はこうなっちゃってるんじゃないの?」。
笙野氏もあとがきでたとえTPPが不成立でも、「どうせひょうすべはまたやって来るよ。
皆さんご注意を」と記している。

 では、どうすればよいのか。佐藤氏と北原氏は濃密な対話の最後に「もし自分なら」と想像できなくなるのが怖い、と述べる。
笙野氏が世に送った黙示録的小説を、自分のこととして読めるか。そこにしか希望は残されていない。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号
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2016年12月27日

 逃げ恥の原作者が「1億総活躍」を批判

“逃げ恥”原作者・海野つなみと
本谷有希子が『あさイチ』で
安倍政権の「1億総活躍」を批判!
「お国の役に立てみたいな感じ」
2016.12.26 LITERA(伊勢崎馨)

 2016年は「女性の社会進出」「女性の活躍」がクローズアップされた年だった。
この3年間で、働く女性が100万人も増加したことがしきりに喧伝され、初の女性東京都知事である小池百合子や民進党の蓮舫代表といった女性の政治リーダーの誕生も話題になった。

 しかし、現実はどうなのか。
本当に女性の社会進出をサポートするような制度はまったく整備されず、むしろ、女性への負担は増大し、女性の貧困状況はむしろ悪化しているように思える。
 そういった現実が垣間見えたのが、先週19日放送の『あさイチ』(NHK)だった。
この日の「女性リアル 年末SP 『オンナ×働く』モヤモヤ大特集」と題して、働く女性たちの本音を紹介したのだが、視聴者からも育児や家事と仕事の両立がいかに困難であるかという意見が多数寄せられ、ネットニュースでも大きく取り上げられた。


 しかも、これらニュースではあまり触れられていなかったが、この日の『あさイチ』では、安倍政権への批判も巻き起こった。
政府が掲げる「一億総活躍社会」という言葉が俎上に上げられ、“活躍”という言葉や実質がまったくともなっていない政策への疑問が多数寄せられたのだ。
 番組では、まず、NHKネットクラブのアンケートで実に7割以上の女性が「活躍していない」もしくは「どちらともいえない」と答えたことが報告され、続いて、視聴者からのこんな痛烈な意見が紹介された。

「総活躍という響きに疑問を感じる。
総活躍がみんなで活躍するではなくて、仕事、育児介護など1人ですべてこなすことに思えてならない
「人生は活躍することと勝手に決められている気がして納得がいかない」
「総活躍とテレビで言われるのを見るたびに自分は輝いていないな。存在価値ないんだなとへこみます」
「子どもを安心して預けられる場所が少ない今、一億総活躍、よく言ったものだと思います」 「どこの家庭も一緒なんだな。安倍首相(ワンオペ育児)やってみな!」

 女性をとりまく様々な問題が解決していないのに、軽々しく “活躍”などと言ってもらいたくない。
それが働く女性たちの “本音”ということだろう。

 さらに、この「一億総活躍社会」の本質に切り込んだのが、この日、ゲスト出演していたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の原作者であるマンガ家・海野つなみだった。
顔出しNGで、摺りガラス越しの出演ながら、「恋ダンス」を踊ったり、鋭い分析を連発していた海野だが、この「1億総活躍社会」という言葉についてこうコメントしたのだ。
「お国の役に立て、みたいな感じがします」 “活躍”は国から強制されるものではない。
しかし、現在の安倍政権はこの言葉によって、「お国のため」に働けと強制しているように思える。
まさに正鵠を射る発言と言っていいだろう。

 実際、同番組のレギュラーであるNHK解説委員の柳澤秀夫も同様の指摘をしていた。
「1億総火の玉っていう言葉が出てきたでしょ、戦時中。
なんかね、個人的な印象だけど、そういうのもちょっと想起したり。
それにさ、しかもいま全員参加というけど、みんな一生懸命それぞれがんばってんじゃない」  

また、この日は芥川賞作家の本谷有希子もゲスト出演していたのだが、本谷もやはり「1億総活躍社会」を厳しく批判していた。
本谷は番組で様々な意見を聞いた結果として「私は今、心から本当に活躍したくないと思いました」
「社会の制度が頼りないのはわかっている」として、作家として“活躍”という言葉じたいに疑問を投げかけた。
活躍ってでも本来は、やった後から“活躍している”ということであって、最初からつけるものではないから、それがやっぱりおかしいんでしょうね
“モヤモヤ”どころか、不満が大爆発。
真っ向から安倍首相の言う「1億総活躍社会」に大きな批判を浴びせたのだ。

 だが、多くの女性たちの意見は当然だろう。
そもそも安倍政権のいう“総活躍”や“すべての女性が輝く社会づくり”は、国民を欺くインチキだらけの代物だからだ。
 そのひとつが今年流行語にノミネートされた「保育園落ちた」に象徴される待機児童の問題だ。
いくら政府が働けといっても、子供を保育園に入れられなければ、多くの母親は働くことなどできるはずがない。
政府は「保育園落ちた」ブログをきっかけに、保育士不足の解消を目指し1100億円の予算案を閣議決定した。
しかし全業種平均と比べ月10 万円も低い保育士の待遇がほんの2%ほどあがっただけ。
7年以上の経験があると4万円アップされるが、しかしそれでも他業種に比べるとあまりに低い数字だ。
しかもそのサービス残業など労働環境は待機児童解消の名目でさらに悪化しているとも言われる。

実際『あさイチ』でも保育園で主任を務める女性のこんな声が紹介されている。
“待機児童問題に対応するため保育園でも定員を拡大。
子どもを預かる時間も長時間化している。
基準ぎりぎりの人数で対応しているため、現場は余裕を失っている”

 また一昨年末の衆院選で安倍首相は「幼児教育の無償化」を公約に掲げたが、しかしそれも実現などしていない。
ひとり親世帯、多子世帯、所得制限などさまざまな条件付の“小手先“の決定でお茶を濁しただけ。
これで根本的解決などするわけがない。

 また育休2年にしても同様だ。
現在働く女性のうち6割もが非正規雇用だ。
そして育休について非正規雇用の取得要件は正規に比べてもハードルが高い。
そのため育休をとって復職できたのは正社員が6割、そして非正規では1割にしかすぎないのだ。しかも育休期間の中でタイミングよく保育園を見つけられなければ雇い止めされる可能性は高い。
さらにこの2年育休は女性だけのもので、“育児は女性がするもの”という社会認識や負担を押しつけることになる危険性もある。
実際、昨年度の男性の育休取得率はたったの2.65%だ。
 男女の賃金格差の問題もある。
厚生労働省が発表した男女間賃金格差は71.3%と他先進国に比較しても、その格差は大きい。
さらに女性の非正規雇用は正規より3割低いが、その解決もまた、まったく行われていないのが現状だ。

介護離職ゼロ」にしても同様だ。
安倍政権は15年4月の介護保険法改正で、特別養護老人ホーム(特養)の入所条件を厳しくし、補助認定が厳格化。
さらにこれまで上限額まで全員が1割負担だった自己負担が、年金収入が280万円以上なら2割負担と倍増した。
さらに膨らみ続ける介護保険財政に対し、在宅介護に重点を置く方針を定めたのだ。
これは介護は家族でという方針であり、つまり多くの家庭でその任を担っている女性に押し付けようとするものだ。

 少子化も安倍政権が目標とする「希望出生率1.8」とは逆行する結果となっている。
厚生労働省が発表する2016年の人口動態調査累計では、統計開始以来はじめてという出生率100万人の大台を割り込む見込みだ。
これは安倍政権の少子化対策が、なんら実を結ぶどころか、少子化がさらに進行しているということが、実際の数字によって証明された形だ。

 また女性や子どもの貧困、とくにシングルマザーの貧困は深刻だ。
2015年の厚生労働省の報告によれば母子世帯の母親の就業率は80.6%、しかしその平均年収は181万円にすぎない。
さらに6人に1人の子どもが貧困という衝撃の数字が出て久しい。

一方、安倍政権が推し進めるのが女性役員の登用だ。
2016年、主要な東証1 部上場企業では半数以上が女性役員を登用し、“1億総活躍の政策が後押しした”と話題になったが、これにしても、安倍政権がいかに弱者ではなく“エリート層”を意識しているかがわかるだろう。

持てるものや大企業、富裕層を優遇し、格差を固定化、拡大する。
多くの女性が“これで女性が輝き活躍なんかできるわけがない”と思うのも当然なのだ。

 これまで安倍首相は“1億総活躍”だけでなく“美しい国”(第一次)“輝く女性”“3本の矢”“戦後以来の大改革”“デフレ脱却”国民に耳触りのいいスローガンを掲げ、高い支持率のもと、強行採決を乱発するなどデタラメな政権運営を続けてきた。
しかし、その内実は『あさイチ』で海野が看破したように国民に“国のための労働”を強制し、戦争さえ可能な破滅的政策を国民に押し付けているのだ。
 今年4月から女性活躍促進法が施行されたが、しかしその背景には少子化による急速な労働力不足が指摘されている。
つまり、安倍政権が女性に“活躍”などと言うのは、決して女性の自立を後押しするものではなく、ましてや“生き生きと輝いてもらいたい”わけではない。
戦時中のように、国家の下支えのために働けということなのだ。
 しかし多くの女性たちは、決して騙されてはいなかった。
自分たちの生活に密着した育児や男女格差、貧困などの切実な疑問から、政治は動く。
安倍政権は女性を舐めてはいけない。
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2016年12月28日

「高額療養費制度」は申請しないと無駄な医療費を払う結果に

「高額療養費制度」は申請しないと
無駄な医療費を払う結果に
2016.12.26 16:00 NEWSポストセブン

 病気やけがの時、心配なのが医療費の負担。
でも、「高額療養費制度」を使えば、ある程度、払い戻される。
健康保険の加入者なら誰でも使えるのに、意外と知らない人が多いこの制度について、生活マネーウォッチャーの「お〜ミカ。」さんがリサーチした。
 * * *
 手術や入院で高額な医療費がかかった時のために、覚えておきたいのが「高額療養費制度」。

これを使えば、医療費がなん百万円かかっても、一定額以上は返金されるんです。
 健康保険加入者なら誰でも利用できるのに、知らない人が多くて意外と活用されていないんですって。
そこで、活用するためのコツや注意点をファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん(「」内、以下同)に教えてもらいました。

◆申告制だから知らなきゃ損する!
「高額療養費制度」は、申請して初めて使える制度。
つまり、知らない=申請しない、と、払わなくていい医療費まで払うはめに。
でも公的な制度なんだし、病院が教えてくれるのでは?

「病院は、治療にかかる費用は教えてくれますが、高額療養費制度の説明まではしてくれないと思った方が無難です。
入院時に案内を渡されるだけで、気づかなかったというケースも少なくありません」
 制度を知らずに高額な医療費を負担したままの人も多いんですって。

では、70才未満の人が申請した場合、自己負担限度額はいくらになるの?
「主婦で夫の扶養に入っている人の場合、夫の年収によって変わります。
370万円以上770万円未満なら、約8万円支払えばいいと思っていればOK。
例えば、窓口で自己負担額が30万円と言われた場合、21万2570円は戻るので、実際の自己負担額は8万7430円になります」

 高額療養費制度は、手術や入院をしなくても、1か月の医療費が限度額を超えた場合も利用可能。
家族の医療費も合算できるんですって!
「ただし合算の対象になるのは窓口での自己負担が2万1000円以上あったものだけ。
差額ベッド代などは含みません。
また、歯科での医療費は合算できないので注意して」
※女性セブン2017年1月5・12日号
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(4) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月29日

 年金カット、国のインチキ試算が露呈

荻原博子「家庭のお金のホントとウソ」
年金、年間14万円減額レベルの
カット法案成立…
国の「支払額の2.3倍もらえる」は
インチキだった!
2016.12.28 Business Journal

 俗にいう「年金カット法案」(年金制度改革関連法案)が国会で審議、採決されました。
 年金の支給額は物価と賃金の見合いで上下しますが、この法案のポイントは、物価が上がっても賃金が下がれば年金も下がる方式が採用されたところ(マクロ経済スライドの強化)

今までは、賃金が下がってもそれ以上に物価が上がっていれば年金の給付額は下がりませんでしたが、これからは、物価が上がっても賃金の下げ幅が物価の上昇を上回ると給付額は下がります。
 具体的に、この10年間を例にとって、どれくらい減るのかを見てみましょう。
この数字は野党と政府が出しているので、まずは野党から。
野党の試算では、国民年金で年間4万円(月3300円)、厚生年金で年間14万2000円(月1万1800円)も減ってしまうという数字が出ています。
「野党だから厳しい数字なのでは」と思う方もいるかもしれませんが、これほどではないものの、政府のほうも厳しい数字になっています。
厚生労働省の試算では、国民年金のモデル世帯で年間2万4000円(月2000円)、厚生年金のモデル世帯では年間8万4000円(月7000円)の減額です。

 みなさん、もう忘れているかもしれませんが、2004年に「マクロ経済スライド」という年金カットの方法が導入され、政府は「これで年金は100年安心」と大見得を切りました。
この「100年安心」が、100年どころか、その後12年でまたカット法案を導入せざるを得なくなったということです。
嘘、インチキ、無視で塗り固められた年金  年金については、本当のところは誰にもわかりません。
いわゆる年金官僚は、「まさか」と思うようなことを平気でします。
 たとえば、政府は「若い人でも、支払った額の2.3倍もらえる」という宣伝をしきりにしていました。
これは、厚労省の「平成21年財政検証結果リポート」にもしっかり書いてあります。これを見ると、「払った額の2倍以上もらえるなら、いいかな」と思う方も多いでしょう。
 けれど、喜ぶのは早い。
厚生年金の保険料は労使折半なので、社員が月々納めている保険料が1万円だとすると、会社が支払う保険料と合わせて月2万円を納めることになり、2.3倍なら将来は4万6000円もらえるはずです。
 しかし、実際にもらえる額は、その半分の2万3000円。
「そんなバカな」と思うかもしれませんが、なぜそうなるかというと、本人が支払った1万円しか保険料にカウントせず、会社が支払った1万円は完全に無視してカウントしないからです。
会社は、従業員の保険料の1万円を負担するために給料を減らしたり福利厚生を削ったりしているのですから、これを無視するのはおかしいでしょう。
 さらに、年金支給額の3分の1以上(現在は約2分の1)は税金が使われています。
つまり、年金の加入者は、年金をもらうために保険料のほかに税金も支払っていることになります。
ところが、支給額の3分の1以上を占める税金についても無視。
その事実は、ないことになっています。
 加えて、厚労省が試算のモデルケースとしている家庭は、20歳で結婚して、夫は40年間会社員として働き続け、妻はずっと専業主婦というパターン。
今どき、このような家庭は少数派ではないでしょうか。
 なぜ、このような家庭をモデルケースにしているのかといえば、妻が40年間専業主婦なら年金保険料を1銭も支払わなくても国民年金が満額支給され、このケースが家庭全体での年金の手取りがもっとも多くなるからです。
 さらに、この試算では運用利回りが4.1%を前提としており、給料も右肩上がりの設定です。こうした細かなインチキを言い出したらきりがないので、このへんにしておきますが、実際の年金は「若い人ほどもらえない」ということを覚悟したほうがいいでしょう。

国が潰れない限り、年金は絶対に破綻しない

 よく聞かれるのは、「年金は破綻するのか」ということ。はっきり言いましょう。
「国が破綻しない限り、年金は破綻しません」。
そして、国はそう簡単には破綻しません。

 国が破綻しないのに年金だけが破綻して給付がなくなったら、すでに年金をもらう権利(受給権)を持っている人たちは国を相手取って訴訟を起こすでしょう。

 すでに年金は10年以上加入していれば受給権を得ることができるようになっているため、こうした人たちがすべて訴訟を起こせば、その賠償金で国は破綻します。
そのため、国は絶対に年金を破綻させません。
けれど、破綻はしませんが、徐々にもらえなくなっていくことだけは確かです。

 今まで、国は「年金改革」と称して「保険料を上げる」「給付額を減らす」「給付年齢を上げる」ということを繰り返してきました。
そこに、今年からは「パートにも年金を支えさせる」(本連載前回記事を参照)を新たに加えました。
 どれも私たちにとっては負担につながり、徐々にもらえなくなることは確かですが、なくなりはしないということです。
では、将来的にもらえる年金が減少する中で、私たちはどうすればいいのでしょうか?
 これについては、次回に詳しく書きましょう。
(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)
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2016年12月30日

安倍首相がついた大嘘ワースト10

なぜここまで平気で嘘をつけるのか?
2016年安倍首相がついた
大嘘ワースト10! 強行採決、TPP、ガリガリ君…
2016.12.29 LITERA 編集部

 話のすり替えに逆ギレ、ごまかしなど、今年も安定の姑息な言動を繰り返した安倍首相。
しかし、2016年はとくに思い上がりに磨きがかかり、誰の目にもあきらかな「大嘘」を連発。
ついには「ホラッチョ安倍」と呼ばれるにいたった。

 そこで今回は、安倍首相が今年ついた嘘のなかから厳選した「10の大嘘」を振り返りたい。
これが、「美しい日本」の総理大臣による絶句必至の虚言の数々だ!

●大嘘1
「そもそもですね、我が党において、いままで結党以来ですね、強行採決をしようと考えたことはないわけであります」
10月17日、衆院TPP特別委員会 「じゃあ去年の安保法制強行採決は何だったんだよ!」というツッコミをせざるを得ないが、驚くことにこの10日後にも同じ発言を繰り返した。
そして、審議をないがしろにしたままTPP法案に年金カット法案、カジノ法案と立て続けに強行採決……。
結果、「強行採決をすることしか考えていない」ということを自ら堂々と証明してみせた。
この、自分がついた嘘をやはり嘘なのだとすぐさま実証してみせるという常人ならざる倒錯ぶりは、もはや「変態」と呼ぶべきだろう。

●大嘘2
「私自身は、TPP断固反対と言ったことは一回も、ただの一回もございませんから」
4月7日、衆院TPP特別委員会 安倍首相がこう言い放ったとき、目の前にはあの2012年総選挙時の「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」という自民党ポスターが証拠として掲げられていた。
そうやってブツを突きつけられても「言ったことねーし」とシラを切ってしまう、この恥知らずっぷりには感嘆せずにはおれない。
ちなみに、2013年2月23日の記者会見で安倍首相は「オバマ大統領には『選挙でTPP交渉参加に反対という公約を掲げて政権に復帰した』と説明した」と話しており、これはいまでも官邸HPで動画が公開されている。

●大嘘3
「世界経済はリーマンショック前に似ている」
5月27日、伊勢志摩サミット 国際会議での突然のこのぶっ込みには、G7の首脳も海外メディアも目がテンに。
メルケル首相は「世界経済はそこそこ安定した成長を維持している」と言い、フランスの高級紙「ル・モンド」も「安倍晋三の無根拠なお騒がせ発言がG7を仰天させた」と見出しにして報道した。
もちろん、安倍首相がこんなことを言い出したのは増税延期のための布石だったが、世界に発信されるG7の席上でさえホラを吹くとは。
しかも、その後には「私がリーマンショック前の状況に似ているとの認識を示したとの報道があるが、まったくの誤りである」と言い出す始末。
「世界中のメディアが嘘の報道をした!」って、もうあなたの嘘は国辱なんですけど……。

●大嘘4
「「株価下落により、年金積立金に5兆円の損失が発生しており、年金額が減る」といった、選挙目当てのデマが流されています。
しかし、年金額が減るなどということは、ありえません」
6月27日、Facebook ご存じの通り、これはデマでもなんでもなく、7月29日には政府も約5兆3000万円の運用損を出したことを公表。
しかも例年は前年度の運用成績の発表は7月上旬なのに、今年は参院選後の7月下旬に遅れさせるという手に出た。
ようするに、「5兆円損失はデマだ!」と選挙目的でデマを流したのは、安倍首相だったのだ。
総理がデマ発信源になるという尋常じゃない低俗さには言葉を失うが、もうひとつ、強行採決の末に成立した年金カット法案によって年金額が減らされることになったという事実も忘れてはいけない。

●大嘘5
「私が申し上げていることが真実であることはバッジをかけて申し上げます。私の言っていることが違っていたら、私は辞めますよ。国会議員を辞めますよ」
1月12日、衆院予算委員会 「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)元副代表の蓮池透氏の著書について問われ、こう声を荒らげた安倍首相。
だが、本サイトがおこなった蓮池氏へのインタビュー(前編/後編)や『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)でもあきらかなように、安倍首相が言っていることは嘘ばかり。
たとえば、安倍首相は北朝鮮から一時帰国した拉致被害者たちを“体を張って止めたのは自分”だとしてきたが、蓮池氏は安倍が実際は「弟たちを一度たりとも止めようとしなかった」
「安倍首相は拉致被害者の帰国後、むしろ一貫して、彼らを北朝鮮に戻すことを既定路線として主張していた」と証言。
嘘の武勇伝で拉致被害者を政治利用してきたことの恥がまるでないこの総理には、とっとと国会議員バッジを外していただきたいものだ。

●大嘘6
「妻のパート月収25万円」「日本はかなり裕福な国だ」
1月8日、参院予算委員会/1月18日、同委員会 実質賃金の減少率の高さを指摘された際、「景気が回復し、そして雇用が増加する過程においてパートで働く人が増えれば、一人当たりの平均賃金が低く出ることになるわけであります」と言い、そのたとえ話として飛び出した「妻のパート月収25万円」発言。
「景気も上向きだしパートに出ようかしら」などと呑気な理由で働きに出るという設定自体がボンボンの発想すぎて唖然とさせられるが、そのパート月給の現実離れした金額に「いまの世の中、パートで25万も稼げるわけないだろ!」と怒りの声が殺到した(ちなみに当時の直近データではパート労働者の平均月収は8万4000円)。
このように実態とは大きくかけ離れたデタラメ話を安倍首相は並べ立てるが、その最たるものが「日本はかなり裕福」発言だ。
OCDE(経済協力開発機構)の統計でも日本の相対的貧困率はワースト6位と出ているのに、自分にとって都合の悪い現実には絶対に目を向けない。
庶民の生活など、眼中にないのである。

●大嘘7
「我が国が核兵器を保有することはありえず、保有を検討することもありえない」
8月6日、広島での記者会見 発言自体は素晴らしいものだが、はっきりいって「お前が言うな」である。
この発言から約10日後に米・ワシントンポストがオバマ大統領の「核兵器の先制不使用宣言」をめぐって安倍首相がハリス米太平洋軍指令官に反対の意向を示していたことをスッパ抜いたが、10月には国連の「核兵器禁止条約」に向けた交渉を2017年にスタートさせる決議で日本は世界で唯一の被爆国であるにもかかわらず反対。
また、安倍首相は2006年に「核兵器であっても、自衛のための必要最小限度にとどまれば、保有は必ずしも憲法の禁止するところではない」と答弁書に記し、官房副長官時代の02年には「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は」と語っている。
こうしたことからも安倍首相が積極的な核武装肯定論者であることは疑いの余地がないが、しかし安倍首相はワシントンポストの報道も「発言してない」と否定。
記事を否定するのであれば核兵器の先制不使用に対する自身の考えをあきらかにするべきだが、それさえしていないという事実が何を意味するか、わたしたちは考えなくてはいけないだろう。

●大嘘8
「国民の信任を得た」「(自民党改憲案を)実現していくのは総裁としての責務」
7月11日、参院選の結果を受けて 数ある安倍首相の今年の嘘のなかでも、もっとも悪質なのは参院選後の発言だ。
安倍首相は7月の参院選の遊説において、ただの一度も憲法改正のケの字も出さなかった。
なのに、いざ選挙が終わると、ケロッと「信任を得た」と胸を張り、まるで改憲の是非が選挙の争点であったかのように述べては「実現していくのは責務」などと言い出したのである。
これは国民を騙し討ちしたとしか言いようがなく、完全な背信行為だ。

●大嘘9
「私が自民党憲法改正草案を出したと言うが、どこに出したんですか? 世に出したのは私ではありません。谷垣総裁のときに出されたわけでありまして」
10月3日、衆院予算委員会 争点隠しをおこなって改憲勢力の3分の2議席以上を確保した安倍首相だが、国会で自民党憲法改正草案が俎上に載せられ、基本的人権について定めた97条が削除されていることなどについて説明を求められると「俺が草案を出したんじゃない!」といういつものキレ芸を披露。
これがとんだ大嘘であることは既報の通りだが、そもそもこの憲法改正草案は安倍首相の側近である礒崎陽輔が原案を執筆。
しかも原案では自衛隊を「自衛軍」としていたものも安倍が「自衛軍などという恥ずかしい名称はやめて国防軍とすべきだ」と主張した結果、12年4月に公表された憲法改正草案では「国防軍」に改められたという経緯がある。
どう考えても「安倍様の、安倍様による、安倍様のための憲法改正草案」なのだ。
来年もこの調子で、ペテンによって改憲の危険な本質を隠そうとするだろうが、こんな見え透いた嘘に騙されてはいけない。

●大嘘10
「そんなもの政治資金で買いませんよ!」
6月24日、『NEWS23』(TBS)党首討論で 安倍首相が今年、いちばんのパニック&大ギレ状態で繰り出したのが、このケチくささ全開の嘘だ。
発端は、生活の党の山本太郎議員が「ガリガリ君を政治活動費で支出していますよね?」と指摘したことだが、安倍首相は目を泳がせながら「全然知らない」と狼狽。
さらに山本議員が追及を続けると、「そんなもの政治資金で買いませんよ!」と声を荒げたのだ。
だが、政治資金でガリガリ君を2本買ったことは、実際に日刊ゲンダイが問題の領収書そのものを公開しているように、安倍首相の資金団体が領収書を出したことで発覚した正真正銘の事実だ。小学生でさえお小遣いから自腹をきって買っているものを領収書で落とし、さらには「買ってないもん!」と癇癪を起こす。
恥ずかしすぎて耐えきれないが、これが日本の総理大臣の姿なのである。

 ──どうだろう。
この1年、安倍首相が国民に投げかけた真心を尽くした言葉たちは。
もはや安倍首相は嘘をつくことに慣れすぎて、「公人は嘘を言ってはいけない」という正常な感覚さえ失ってしまっているとしか思えないが、最大の問題は、こんなミエミエの嘘を次から次へと吐き続けているのに、メディアが責任追及もせず黙認していることだ。

 そうしたメディアの機能不全によって、安倍首相は今年、嘘のみならず聞くに堪えないトンチキな発言も連発した。
この「安倍首相アホ発言集」については、追ってお送りしたいと思う。
(編集部)
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2016年12月31日

 安倍首相が発したアホバカ発言集

き直り、陰謀論、逆ギレ、詭弁…
安倍首相が発した
2016年「アホすぎて茫然」の発言集!
2016.12.29 LITERA編集部

 今年、安倍首相が吐いた「大嘘ワースト10」に続いて、今度は2016年に飛び出した「ベスト・オブ・アホ発言」をお送りしよう。
 マスコミを完全封殺した結果、不都合な事実が伝えられず高支持率を維持することに成功した安倍政権だが、そのことで図に乗った総理が今年はさらに大暴走。
背筋が凍るような開き直りに、妄想、陰謀論、トンチキな詭弁、逆ギレ……そんな安倍首相の醜態を厳選して詰め合わせた、リテラからの御歳暮だ。
 え? そんなものいらない?
 まあまあそう言わず。
来年こそは返品できるよう、いまは絶望のアホっぷりをとくと噛みしめていただきたい。

◎誰か教科書持ってきてあげて!
「私は立法府、立法府の長であります」
5月16日、衆院予算委員会 いや、あんたは行政府の長だから!
 誰か三権分立を説明してあげて! と悲鳴をあげたくなった一言(姑息なことに、議事録ではこの発言をこっそり修正)。
ただ、何度も同じ間違いを繰り返し、さらには強行採決を連発する姿勢からは、本気で立法府は自分の思い通りになるものだと信じ込んでいる可能性も……。

◎萎縮してないの、ソコくらいでしょ…
「きょう、帰りにでも日刊ゲンダイを読んでみてくださいよ(笑)。
これがですね、萎縮している姿ですか?」
2月4日、衆院予算委員会 キャスター降板が相次ぐなど言論機関の萎縮を問われ、その返事がコレ。
いつから日刊ゲンダイは日本を代表する言論機関になったんだよ!(ゲンダイさんごめんなさい!)と言いたいが、このあと調子づいた安倍首相は「安倍政権を弁護する立場の言論のほうはですね、なかなか貫き通しにくい雰囲気すらあるという人もいるわけで」などとネトウヨ陰謀論を開陳。
それこそ、ワイドショーや産経や読売をみてくださいよ(笑)。

◎頭の中、大丈夫?
「(国会でのヤジは)独り言だったんですが、独り言(の声)が大きくなった」 5月1日、『ワイドナショー』(フジテレビ)
審議中についつい「日教組!」って独り言を言っちゃってる、とな。
ヤ、ヤバい、完全に頭の中を陰謀論に支配されていて、勝手に口が……。

◎期待裏切らない!イライラキャラ炸裂
「ちょっと6時に出なきゃいけないんだよ、飛行機の問題があるから! 6月21日、『報道ステーション』(テレビ朝日)
参院選前の党首討論の収録で、さんざん「簡潔に申し上げます」と言って野党の追及に割って入っては長々と話した挙げ句、最後にはイライラした様子で腕時計を指さして、この「俺は忙しいんだアピール」。
時事通信によれば、安倍首相は収録後も「(収録は午後)6時までって言ったじゃないですか。びっしりなんですから、日程が」と司会者に詰め寄ったらしいが、収録が終わったのは6時1分……。
文句をがなり立てる時間があるならさっさと空港行こうよ!

◎むしろクッパに徴兵されたクリボーでしょ?
「安倍晋三です。マリオではありません。でも、マリオのように闘い続けています」 9月21日、NY・金融関係者向け会合で 絶対言うと思った発言その1。
そこまで安倍マリオをお気に召したのならヒゲを伸ばしてみたらいかがかと思うが、そんなことをしたら、海外メディアはマリオじゃなくヒトラーと重ね合わせること必至だしねえ。

◎そのヨイショを自慢げに語る感覚がスゴイ
「(トランプに)こんなキュートなPPAPは初めて見たと言ったら本当に喜んでくれた」 12月20日、講演会で 絶対言うと思った発言その2。
トランプもかわいい孫を褒められたらそりゃ喜ぶよね、としか。
というより、たんなるヨイショ話を外交成果のように誇らしげに語るって、すでに従属っぷりがすごいんですが。

◎ニューヨークでも「保守速報」脳
「日本はいわゆる侍の国として、非常に保守的な国でもあります」 9月2日、NY・男女平等イベントでのスピーチ 男女平等を語る場で「日本は侍の国で保守的」と胸を張るって、どういうこと??
  しかも安倍首相はこの言葉のあと「日本が変われば世界が変わると聞いています」と続けたが、一体、誰に聞いたの?
「日本はサムライ」「日本はスゴイ」って、そこ、日本会議の集会じゃないですから!

◎日本語が不自由すぎる首相官邸
「日本政府を代表して、キューバ政府及び同国国民、ご遺族の皆様に対し、ご冥福をお祈りします」
11月26日、首相官邸Facebookでのカストロ議長哀悼メッセージ
いやいや、政府と国民と遺族に「ご冥福をお祈り」するって、失礼すぎるよ!
 その後、首相官邸は文面を修正したが、「日本の伝統を守る」だの「美しい国」だのと言っている人間とその取り巻きがこれなのだから、呆れるほかなし。

◎待機児童対策がコレだそうです
「叙勲において、保育士や介護職員を積極的に評価していくことについても検討していきたい」 3月14日、参院予算委員会
「バカ発言」というより「バカにするな発言」と言うべきか。
待機児童問題の背景にある保育士などの“待遇改善”の一環が勲章などの栄典を授与って、給与水準のアップが先決なのは当然。
ちなみに、賞勲局によれば勲章を含む栄典全体の予算額はおよそ28億から30億円、そのほとんどは勲章や褒章の製造費とのこと(06〜10年まで。栗原俊雄・著『勲章 知られざる素顔』岩波書店より)。
本気で待機児童問題に取り組むつもりなら、この予算をすべて回してください!

◎「TPP断固反対」で政権奪取したのにね
「(TPPは)決して終わっていない」
「いま、我が国こそが早期発効を主導せねばならない」 11月14日、参院TPP特別委員会
トランプとの会談を控えてこう息巻いたのはいいものの、会談後トランプはあっさり「就任初日に離脱通告するから」と宣言。
目も当てられない状態に。
しかも“重要5品目などの「聖域」が確保できないなら脱退”という国会決議も守られていない状態で12月9日には強行採決で可決、成立させちゃったのだから、これはあきらかな政権の大暴走だ。

◎もはや、ツッコむ気にもなれない無責任
「憲法について論評はできるが、答える義務はない」 10月12日、衆院予算委員会
参院選の遊説では憲法改正のケの字も出さず、選挙が終わると「信任を得た」と言って改憲まっしぐらだったのに、いざ国会で憲法改正草案について追及されるとダンマリを決め込むようになった安倍首相。
で、この発言である。
論評っていってもどうせ「押し付け憲法だ」の一点張りで「芦部信喜? 誰それ」などと不勉強が露呈するだけだろうが、改憲の旗振り役なのに「答える義務はない」とは、あまりに無責任だ。

◎映画の取材協力者はあなたの嫌いな枝野&百合子だけど
「『シン・ゴジラ』でも自衛隊が大活躍していると聞いています」
9月12日、自衛隊幹部との懇親会で この時点では「まだ観ていない」ということだったが、そりゃあ安倍首相にとっては早くしたくてしたくてたまらない「防衛出動」が描かれているのだから、喜ばしい作品であることはたしか。
こうした『シン・ゴジラ』ブーム=「自衛隊が国民に支持されている!」と気をよくした結果か、ついには次のようなパフォーマンスまで披露したのだ。

◎ヒトラーですか? それとも金正恩ですか?
「(命を賭けている自衛隊に)いまこの場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」 9月26日、衆院本会議での所信表明演説
安倍首相がそう言うと、自民党議員らが次々に立ち上がって拍手……。
戦後はじまって以来のファシズムを想起させる国会パフォーマンスに、野党や一部メディアからも「まるで北朝鮮や中国共産党の党大会だ」
「言論の府にふさわしくない」という批判の声が上がった。
しかも恐ろしいのは、安倍首相が “起立して拍手”を促す際、「海上保安庁、警察、自衛隊に敬意を表す」という大義名分を掲げていたこと。
つまり、あらかじめ自衛隊員の“英雄化”をはかっておくことで、駆けつけ警護で殉職者が出た場合の反発を最小限に押さえ込もうとした可能性があるということだ。
そして、駆けつけ警護の危険性を指摘されたときに発したのが、次の言葉である。

◎命がかかった問題なのに、この軽さ
「南スーダンは、たとえば我々がいまいる永田町と比べればはるかに危険」 10月12日、衆院予算委員会
なに言っちゃってるの? という感じだが、安倍首相は「永田町よりは危険だろうが、それくらいでなぜ『駆けつけ警護』をやめる必要があるんだ」と言いたかったらしい。
あまりにふざけた答弁だが、これは安倍首相がいかに自衛隊員の命を軽んじているかの証拠だろう。
そして、自衛隊の活動地域であるジュバの治安悪化が次々と伝えられても、政権は「戦闘状態ではなく衝突」「状況は安定している」と詭弁を弄し、ついに自衛隊員を送り出してしまった。
この罪深い判断を絶対に忘れてはいけない。

 ……とまあ、このように茫然とするような発言が相も変わらず総理から飛び出した2016年。ただ、失笑しているだけではいけない。
最後にも触れたように、安倍首相は今年、こうした呆れた発言を繰り返しながら、あきらかな戦闘地域である南スーダンへ自衛隊員を送り、沖縄に対しては危険を甘んじろと言わんばかりに圧政を敷いたのだから。

 権力の暴走を監視するという役割をメディアが放棄しているいま、安倍首相のひとつひとつの言動をチェックし、責任の追及をおこなっていくこと。
来年も本サイトではそうした「当たり前」を続けていきたいと思う。
(編集部)
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

訪問ありがとうございました。明日からもよろしくお願いします。

今年も今日で〆になります。
多くの方にご訪問、コメントを頂き感謝しています。
喪中の期間ですので 新年の挨拶は心の中で・・・。

弟の7回忌、父の3回忌と母の葬儀・法要、相続手続きなどで あっという間に 時が過ぎ去ったように感じます。
水戸の菩提寺「祇園寺」、福島のいわき市・広野町役場での母の出生から結婚までの戸籍謄本を取りに行くというミニ旅行もできました。
特に福島県では 護岸工事の様子や空間放射線量計などで 3.11の東北大震災と津波、福島第一原発事故の後遺症などを肌で感じました。
このいわき市・広野町(旧平市)は50数年前に父母に連れられ 常磐炭鉱社宅の祖父母、叔父の家を訪ねた記憶が蘇りました。
炭鉱のボタ山があった所も思いだしたものです。
当時は、映画「フラガール」の世界そのものです。
叔父は炭鉱爆発事故の犠牲になり身体不自由になったのは その前後の時期だったと思います。

いわき駅までの常磐線は 本数が多いのですが、その先の常磐線は極端に本数が減り 1時間に1本、1時台は0本ということを 頭に入れていったのですが、困った問題がありました。
それは トイレです。
街が健全過ぎて 駅舎にもなく パチンコ屋・コンビニ・公園が見つからず 冷や汗をかきつつ町役場を探しました。
恥ずかしいのですが、役場を見つけて まず探し飛び込んだのが役場トイレでした。
無事 戸籍を収得し なんと帰路に道を間違え 迷子に。
乗る予定の電車の時刻に間に合わず 約1時間30分の待ち時間に・・・。
いわきからの品川終点 スーパーひたちとの接続が 約10分という離れ業。
JRの「おとなの休日倶楽部」カードで 5%引き切符の往復を 余裕を持って買ったつもりだったのに いわき駅でトイレだけの時間しかとれませんでした。

地方の時間になれていれば 生活リズムもその流れになるのでしょうが、一人旅で想定外の迷子になり 綱渡り的な小旅行になりました。

うつ病のためか普段は引きこもりのような生活なのに、母の戸籍がとれた翌日に 法務局に行き実家登記変更手続きに。
相続登記は 必要書類を整えれば 社労士さんに頼まずともできます。
法務局の登記変更相談で 申請書の書き方を教えてくれます。
妹によく言われるのですが、兄貴は 動けるとなるとムチャをする その通りの12月でした。 

1年を通してコンスタントに動ければいいのですが 1勤6休の状態。
来年は せめて2勤5休くらいのペースで動ければと思います。

年々 月日の経つのが早く感じます。

訪問して下さった皆様の健康と幸を願い、新年を迎えたいと思います。
ありがとうございました。
明日からもよろしくお願いいたします。
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posted by 小だぬき at 15:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 旅行・静養 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする