2016年12月03日

カジノ法案:野党「どさくさ紛れ」 採決強行に猛反発

カジノ法案:
野党「どさくさ紛れ」 
採決強行に猛反発
2016年12月02日 21時26分 毎日新聞

 ギャンブル依存の増加や治安悪化など「副作用」が懸念されるカジノ法案が、国会で急発進した。
「統合型リゾート(IR)整備推進法案」を2日の衆院委員会で可決へ導いた自民党に、野党は「議論もなく採決は論外」「どさくさ紛れの強行」と猛反発。

消費者問題に詳しい弁護士たちも「多重債務問題が再燃しかねない」と警戒する。
           【遠藤拓、金森崇之、野田武】  

午前9時すぎに始まった衆院の内閣委員会は荒れ模様となった。
 「誰がこんな強引な委員会運営を主導しているのか。
安倍(晋三)総理か。菅(義偉)官房長官か……」。
民進党の緒方林太郎氏は質問で、内閣委員長の秋元司氏(自民党)に迫った。
安倍首相はかねて成長戦略の一環としてカジノに前向きとされ、菅氏の地元の横浜市はカジノ誘致に動く。
「私に聞かれても答えようがない」と秋元氏はかわした。

 共産党の清水忠史氏は、首相の著書「美しい国へ」を引き合いに「国民生活に害悪をもたらすカジノ解禁はゆがんだ発想。
『美しい国』ではなく『恥ずかしい国』だ」と批判。
同党の池内沙織氏も「カジノ収益から出る納付金でギャンブル依存症の対策を講じる。
まさに本末転倒のお手本だ。
新たな発生元を作らないことこそ必要だ」と指摘した。

 民進党の安住淳代表代行は採決後、会見で「今のギャンブルですら依存問題が出ている。
家庭を豊かにするのではなく、壊す法案だ」と批判。
「提案議員が(委員会で)関係団体からの献金をもらっているか(聞かれて)も答えないで遮二無二強行採決するなど、(戦前の)帝国議会でもなかった」と怒りをあらわにした。

 パチンコや競馬などに病的にのめり込み、自分で衝動を抑えられないギャンブル依存は、かつて個人の道徳観や意志の弱さが原因とされてきたが、今は精神疾患の一種と考えられている。
治療に取り組む国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)によると、「不快な気分を解消する手段として行う」
「興奮を得るため、賭け金の額を増やしたい欲求が生じる」などのチェック項目に該当する数で依存度を調べるという。

 日本では患者が多く、厚生労働省研究班は2年前、成人人口の約20人に1人(536万人)に上るとの推計を発表。
男性の8.7%、女性の1.8%が国際的な指標で「病的ギャンブラー」とされる。
世界でも際だって高い率だが、国の対応は追いついていない。

 カジノ問題に詳しい弁護士たちからは対策の遅れなどを批判する声が上がっている。
 クレジット被害などの消費者問題に詳しい千葉マリン法律事務所(千葉市)の拝師徳彦(はいしのりひこ)弁護士は「6年前の改正貸金業法完全施行で消費者金融などへの規制が強まり、自殺者を生む多重債務問題は年々改善されてきた。
しかし、カジノで問題が再燃しかねない」と指摘。
反社会的勢力のマネーロンダリング(資金洗浄)に使われたり、治安悪化を招いたりする恐れもある。
こうした課題に対策を立てないまま法律を成立させるのは、無責任で強引な印象だ」と与党を批判した。
         【遠藤拓、金森崇之、野田武】
posted by 小だぬき at 09:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

カジノ法案が審議2日で強行採決! 背後に安倍首相とカジノ利権狙う“パチンコのドン”セガサミー会長の癒着

カジノ法案が審議2日で強行採決!
背後に安倍首相とカジノ利権狙う
“パチンコのドン”セガサミー会長の癒着
2016.12.02 LITERA編集部

 野党の反対を押し切って先月29日に与党が審議入りさせた統合型リゾート(IR)整備推進法案が、早くも本日の衆院内閣委員会で強行採決された。

 IRなどと言い換えて誤魔化しているが、この法案は賭博であるカジノを法的に認める「カジノ解禁法案」だ。
昨日も本サイトで指摘したように、カジノが解禁されれば、ギャンブル依存症患者が増加するのではないかという重大な懸念がある。
それでなくても現在の日本では「病的ギャンブラー」と判断される人は全国に536万人もいると言われているのだ。

 そんな深刻な問題があるにもかかわらず、今国会での審議をまだたったの2日しか行っていない状態で、もう強行採決。
しかも、週明け6日には本会議で可決させ衆院を通過させるつもりだというのだから、安倍政権のやりたい放題ぶりは異常すぎる。
 だが、暴走するのも無理はない。今国会で強行採決してきたTPPや年金カット法案よりも、安倍首相にとってこのカジノ法案は是が非でも成立させたい“悲願の法案”だからだ。

 そもそも安倍首相は、2010年に発足した国際観光産業振興議員連盟、通称「カジノ議連」では最高顧問に就任し、カジノ解禁を「日本の成長戦略の目玉」などと言って猛アピール。
14年、国会で野党から「首相は多重債務や依存症への対策、青少年の健全育成などの総責任者なのに、賭博場解禁の議連の最高顧問であるというのは相反するのではないか」と追及を受けて辞任するまで、その座に居座り続けた。

 なぜ、安倍首相はカジノにこだわり続けてきたのか。
その裏にあるのは、“パチンコ業界のドン”との蜜月関係だ。
 そのドンとは、パチンコ・パチスロ最大手であるセガサミーホールディングス会長で、米経済誌・フォーブスが発表する「世界の富豪」ランキング常連の里見治氏である。

昨年1月には里見会長の自宅に銃弾が撃ち込まれるという発砲事件が起こったが、このときこぞって週刊誌が“カジノ利権の争いが事件の背後にあるのでは”と書き立てている。
 事実、セガサミーは、2012年に韓国のカジノ企業と合弁会社「PARADISE SEGASAMMY」を設立し、来年4月には韓国・仁川に大型カジノリゾートをオープン予定。

他方、13年7月には五輪東京招致のオフィシャルパートナーとなり、政界の“五輪開催のタイミングでカジノ合法化へ”という動きのなかでカジノ利権の主導権を握ろうと存在感を高めてきた。  

そして、カジノ解禁に向けて里見会長が目をつけたのは、安倍首相その人だった。
ふたりの出会いは第一次安倍政権時だと見られ、07年1月30日には赤坂の全日空ホテルで安倍首相と里見会長は会食を行っている。
さらに政権交代によって下野してからは、さらにふたりの関係は密になったという。

 そんな間柄を象徴するのが、13年9月に開かれた、里見会長の愛娘と経産キャリア官僚だった鈴木隼人氏の結婚披露宴だ。
ホテルオークラで開かれたこの披露宴には、森喜朗、小泉純一郎といった首相経験者や、菅義偉官房長官、茂木敏充経産相、甘利明経済再生担当相(ともに当時)といった大物閣僚らが揃って駆けつけたが、そんななかで安倍首相は新婦側の主賓を務めている。
 さらに、安倍首相は主賓挨拶で、「新郎が政界をめざすなら、ぜひこちら(自民党)からお願いします!」と、鈴木氏にラブコール(「FRIDAY」13年10月4日号/講談社)。

実際、翌年12月に行われた解散総選挙で鈴木氏は比例で自民党から立候補するのだが、このとき鈴木氏は初出馬ながら比例上位に選ばれ、当選を果たす。
ここに安倍首相の根回しがあったことは想像に難しくない。
 娘婿という身内まで政界に送り込み、カジノ解禁、そして安倍首相との関係を盤石なものとした里見会長。
しかも、このふたりには、金をめぐるキナ臭い噂も流れている。

 たとえば、「選択」(選択出版)13年9月号の記事では、セガサミーの関係者が「安倍首相は、里見会長の元に直接訪ねてくるほどの間柄」と答えたり、セガサミー社員が〈業界団体の集まりで「安倍首相はウチが落とした」と公言してはばからない〉ことなどを紹介。
その上で、里見会長の側近の一人が「参院選前に、里見会長は安倍首相に五千万円を手渡した」と吹聴している、と伝えている。

 これが事実なのかは定かではないが、しかし、もともと安倍首相はパチンコ企業との癒着が指摘され続けてきた人物。
既報の通り、父・晋太郎の時代から福岡、山口で多くのパチンコ店を経営する七洋物産は地元の有力スポンサーであり、安倍家は下関市の広大な自宅と事務所を同社の子会社であるパチンコ業者・東洋エンタープライズから格安で賃借。
さらに自宅のほうは1990年に所有権が同社から晋太郎に移り、それを安倍首相が相続。
地元では「パチンコ御殿」と呼ばれているというが、里見会長との蜜月の前からパチンコ業界との“下地”はこうしてつくられていたのだ。

 しかも、今回、安倍首相が躍起になっているカジノ法案は、憲法改正とも連動している。
それは、日本維新の会との関係強化だ。
 ご存じの通り、維新はカジノ解禁を訴え、橋下徹は大阪市長時代に「大阪カジノ構想」をぶち上げた。
当然、今回のカジノ法案でも維新の会は自民党との協力態勢に入っている。
そして、やはりというべきか、維新のほうでもセガサミーの陰がちらついている。

というのも、橋下の大学時代からの友人で、松井一郎大阪知事(当時)が13年に大阪府教育長に抜擢した中原徹氏は、部下へのパワハラが発覚し辞職したその1カ月ちょっとで、セガサミーホールディングスの役員に就任しているのだ。
 このように、完全に思惑が一致している安倍首相と維新の会。

昨年6月に安保法制をめぐって維新を抱え込むべく安倍・菅が橋下・松井と会談した際、「菅さんは大阪にカジノをつくると手形を切って説得した」(「週刊ポスト」15年7月3日号/小学館)といわれたが、今回のカジノ法案も、「大阪招致をダシにしたかたちで、安倍政権は維新と憲法改正での協力を取り付けた」(永田町関係者)と囁かれている。

 繰り返すが、カジノ法案はギャンブル依存という重大な問題を孕むだけでなく、反社会的勢力の温床になる危険性も指摘されている。
だいたい、“誰かが必ず金を巻きあげられる”という不公平な仕組みを国が公認し、「成長戦略」にしようと目論むこと自体が社会的公正にもとる行為だ。
 しかし、安倍首相をはじめとする癒着にまみれた政治家たちは、自身の利害にしか目を向けず、ましてや強行採決で法案を押し通したのである。
ここまで政治は腐りきることができるのか──。
安倍政権には、ただただ絶句するしかない。
posted by 小だぬき at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする