年金カット法成立
「下流老人」1000万人は
死ねばいいのか
2016年12月16日 日刊ゲンダイ
14日、成立した「年金カット法案」。
民進党の試算では、国民年金は年間4万円、厚生年金は同14万円も減らされる。
塩崎厚労相は苦し紛れに「低年金、低所得の人々にも配慮していく」と釈明しているが、法案成立で“下流老人”が急増するのは間違いない。
実は、すでに年金はかなりカットされている。
現在、標準世帯(40年間勤務したサラリーマンの夫と専業主婦)の夫婦が受け取れる厚生年金は月額22万1504円。
これは10年前に比べて1割近く少ない。
「特例水準の解消」と「マクロ経済スライドの発動」により、標準世帯の厚生年金は10年前に比べて年間20万円近く減っているのだ。
しかも、年金受給額が減る一方、社会保険料は上がり続けている。
2000年度から14年度にかけて、65歳以上の介護保険料は1.7倍にアップ(年3万4932円→5万9664円)。
国民健康保険の保険料も14%近く上がった(7万6048円→8万6576円)。
年金暮らしの高齢者の苦境ぶりは総務省「家計調査」でも明らかだ。
60歳以上の「可処分所得」は10年前と比べ、年間41万6000円も減った。生活費を補うために、毎月2万7000円の預貯金を取り崩している。
現在、年金受給者は約4000万人。そのうち約4分の1が生活保護の基準以下で暮らす“隠れ貧困層”とされる。
さらなる年金カットで、「老後破産」が増えるのは確実だ。
しかも、安倍政権はまだまだ負担増を進めようとしている。
介護保険の自己負担は昨年8月に1割から2割に引き上げられたが、今度は3割に増やす案が浮上している。
75歳以上の医療保険料も2〜10倍に暴騰しそうだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「年金カット法案は明らかに“老人いじめ”の法律です。
夫婦揃って国民年金という世帯は月13万円で爪に火をともすように暮らしています。
年間4万円も給付を削減されたら、暮らしはたちまち立ち行かなくなります。
政府もそれを分かっているはずなのに、社会保険料をどんどん上げようというのだからどうかしています。
さらに19年10月には消費税10%へ引き上げられます。
これが高齢者にとって致命傷になりそうです」
安倍政権は老人を見殺しにする一方、今国会で国家公務員の年収を平均5万1000円増やす改正給与法を今国会で成立させている。
高齢者は安倍政権に対して怒りの声を上げるべきだ。