2017年01月01日

希望胸に政治切り開く新年に

2016年の越年
希望胸に政治切り開く新年に
2016年12月31日(土) しんぶん赤旗「主張」

 2016年もきょうで終わりです。
年末もあわただしくという方もいらっしゃるでしょうが、1年を振り返ると、大変なこともあったが前進が実感できたと感じる方が多いのではないでしょうか。

 今年前半は戦争法反対の野党と市民のたたかいがさらに前進し、統一候補を擁立した参院選1人区で11人が当選しました。
原発再稼働や米軍新基地に反対するたたかいも力強く取り組まれ、環太平洋連携協定(TPP)などが議論された臨時国会では安倍晋三政権が強行採決を乱発、行き詰まりをあらわにしました。

新年を、希望胸に政治を切り開く年にしましょう。

野党と市民の共闘の成果
 憲法の平和原則も歴代政権の憲法解釈をも踏みにじった戦争法に反対するたたかいは、歴史的な高揚を見せた昨年の制定阻止の運動がさらに発展し、戦争法廃止と立憲主義の回復、個人の尊厳擁護、戦争法の具体化を許さない行動として大いに広がりました。
安倍政権は南スーダンPKO(国連平和維持活動)に参加する自衛隊への「駆け付け警護」などの任務付与を狙いましたが、たたかいの前に予定は遅れることになりました。

 特筆されるのは、7月の参院選で史上初めて野党と市民の統一候補が、全国32の1人区のすべてで実現したことです。
選挙の結果、11区で統一候補が勝利、日本の政治史に新たな一ページを開きました。
その後も10月の新潟県知事選で「原発再稼働は認めない」の旗印を掲げた野党と市民の統一候補が圧勝「大義ある旗」を掲げ、野党と市民が「本気の共闘」に取り組むなら、攻撃に抗し、勝利できることを証明しました。
 新潟県知事選でも示されたように、東京電力柏崎刈羽(新潟県)や九州電力川内(鹿児島県)、四国電力伊方(愛媛県)など全国各地の原発の再稼働に反対する運動は粘り強く広がっています。
東京電力福島第1原発の事故後、毎週金曜夜に首相官邸前で行われている行動は、年末までで227回を数えました。
米軍新基地の建設やオスプレイの配備に反対する沖縄の民意は不変であり、とりわけ13日夜、新基地建設予定地にも近い名護市の沿岸部にオスプレイが墜落・大破したことは、県民はもちろん全国民の不安と怒りを一段と高めています。

 安倍政権は参院選後、国民の批判に耳を貸さず、強行に強行を重ねる姿勢をあらわにしています。
国民のたたかいに追い詰められた結果です。

年後半の臨時国会では交渉の経過もその影響もまともに明らかにしないまま、TPPの承認と関連法の審議を急ぎ、強行採決と会期の2回延長で成立を強行しました。
アメリカのトランプ次期大統領が「離脱」を表明し、発効の見通しがないのに、成立を強行する道理のなさです。
会期末には、「年金カット」法や「カジノ解禁」推進法も相次いで強行成立させました。

批判に耳を貸さない安倍政権は文字通り国民に有害です。

都議選と総選挙の勝利へ
 夏に東京都議選があり、総選挙も予想される新年は、いよいよ野党と市民のたたかいの正念場です。
戦争法の本格運用や9条を狙った改憲の動きも重大化します。
 野党と市民のたたかいを強め共闘を広げて、安倍政権の打倒と新しい政治の実現に向けて、いっそう力を尽くそうではありませんか。
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歴史の転機 日本の針路は 世界とつながってこそ

歴史の転機 
日本の針路は 
世界とつながってこそ
毎日新聞2017年1月1日 東京朝刊

 私たちは歴史の曲がり角に立っている。
明日の世界は、昨日までとは異なっているかもしれない。
 そんな思いにとらわれる新年だ。

 理念よりも損得というトランプ氏がいよいよ米大統領に就任する。
 時代の変化は周辺部で始まり、想像を超えて中心部に及ぶことがある。
1989年11月にベルリンの壁が壊された時、どれだけの人が2年後のソ連崩壊を予測できたろう。
 今回は初めから国際秩序の中枢が舞台だ。
冷戦の終結に匹敵する大波が生まれても不思議ではない。

資本と民主主義の衝突
 トランプ氏の勝利と、それに先立つ英国の欧州連合(EU)離脱決定は、ヒトやカネの自由な行き来に対する大衆の逆襲だ。
グローバルな資本の論理と、民主主義の衝突と言い換えることもできるだろう。
 フランスの経済学者ジャック・アタリ氏は「21世紀の歴史」(2006年)で、歴史を動かしてきたのはマネーの威力だと指摘した。
 その法則を21世紀に当てはめると、地球規模で広がる資本主義の力は、国境で区切られた国家主権を上回るようになり、やがては米国ですら世界の管理から手を引く。
その先に出現するのは市場中心で民主主義が不在の「超帝国」だと説いた。

 先進国を潤すはずのグローバル経済が、ある時点から先進国を脅かし始める。
各国から政策の選択肢を奪い、国内の雇用を傷める。
 ここまではアタリ氏の見立て通りだが、私たちが昨年目撃したのは国家の「偉大なる復権」をあおり立てるポピュリズム政治家の台頭だ。
 しかも彼らの主張は、国際協調の放棄や排外的ナショナリズムといった「毒素」を含んでいた。
欧州の極右勢力も勢いづいている。
 軍事力、経済力ともに抜きんでた米国がこうした潮流をけん引する影響は計り知れない。
国際秩序は流動化し、国際経済は収縮に向かう。
 日本はこの転換期にどう立ち向かえばいいのだろうか。

 戦後72年、米国の動向を最大の指標としてきた日本である。
その土台が揺さぶられるのは間違いない。
 特に外交・安全保障政策は試練に直面する。
トランプ政権が日米同盟をその都度の取引と考えた場合、中国の海洋進出や北朝鮮の脅威に対抗していくのは難しくなる。
 しかし、ここでうろたえずに自らの立ち位置を再認識することが肝要だ。
それは、他国との平和的な結びつきこそが日本の生命線であるという大原則にほかならない。  

米国が揺らぐなら、開かれた国際秩序のもたらす利益の大きさを、日本自身の行動で説くべきだろう。
 自由貿易を軸とした通商政策やグローバル企業への課税のあり方、地球温暖化の防止対策なども、多国間の協調なしには進められない。
 グローバル化がもたらす負の課題は、グローバルな取り組みでしか解決し得なくなっているのだ。
日本は率先してその認識を広めたい。

 ただし、戦略的に国際協調の路線を歩むには、足元の安定が欠かせない。
日本の弱点がここにある。


持続可能な国内対策を
 まずは財政だ。
国と地方が抱える借金は1000兆円を超えた。
国内総生産比で約2・5倍という債務は終戦時のレベルに相当する。
それでも国債価格が暴落しないのは、日銀が買い支えているためだ。
 増え続ける社会保障費を前に、国債依存から抜け出せない。
根本的な原因は、支えられる側の高齢者の割合が増えるのに、支え手の数が減る人口構成のアンバランスにある。
 日本の少子化、その下での社会保障政策、借金頼みの財政、日銀の異次元緩和というサイクルが長続きしないのは明らかだ。
破綻すれば国際協調どころではなくなる。

 さらに日本がグローバリズムと共存していくには、国民の中間的な所得層をこれ以上細らせないことが最低限の条件になる。
民主主義の質に深くかかわるからだ。

 民主主義は社会の意思を決めるためにある。
多様な意見を持つ個々人が多数決の結論を受け入れるには、社会の構成員として何らかの一体感を持っていなければならない。

 ところが、所得分布が貧富の両極に分かれていくと、この一体感が損なわれる。
トランプ現象で見られたように、選挙が一時の鬱憤(うっぷん)晴らしになれば、民主主義そのものの持続可能性が怪しくなっていく。
 人類は豊かさへの渇望とテクノロジーの開発によってグローバル化を進めてきた。
その最先端にいた米国と英国が逆回転を始めたのは歴史の大いなる皮肉だ。
この先に何が待っているのか、まだ誰も知らない。

 日本にとっては手探りの船出になるだろう。
ただ、ささくれだった欧米の政情と比べれば、日本社会はまだ穏健さを保っている。
 持続が可能な国内システムの再構築に努めながら、臆することなく、世界とのつながりを求めよう。
何かが見えてくるのはそれからだ。

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2017年01月02日

年のはじめに考える 不戦を誇る国であれ

年のはじめに考える 
不戦を誇る国であれ
2017年1月1日 東京新聞「社説」

 新年早々ですが、平和について一緒に考えてください。
人類はなぜ暴力を好み、戦争がやめられないのか。
どうしたらやめる方向へと向かうのか。

 日本の平和主義を二つの観点から見てみましょう。  
一つは、だれもが思う先の大戦に対する痛切な反省です。
 振り返れば、日本は開国をもって徳川の平和から明治の富国強兵へと突入します。
 平和論より戦争論の方が強かった。
「和を以(もっ)て貴しと為(な)す」の聖徳太子以来の仏教の平和論をおさえて、ヨーロッパの戦争論がやってきます。
 例えば「戦争は政治の延長である」という有名な言葉を記すプロイセンの将軍クラウゼヴィッツの「戦争論」。
その一、二編はドイツ帰りの陸軍軍医森鴎外によって急ぎ翻訳され、続きは陸軍士官学校が訳します。
海洋進出を説く米国の軍人で戦史家マハンの「海上権力史論」も軍人必読でした。
 欧米の戦争を学ぶ。
いい悪いはともかくも追いつかねば、の一意専心。
帝国主義、植民地主義。日清、日露の戦争。
 そういう戦争精神史をへて突入したのが、満州事変に始まって太平洋戦争に至るいわゆる十五年戦争です。
 最大の反省は人間が人間扱いされなかったことです。
人間が非人間化されたといってもいいでしょう。
そういう異常の中で敵側は人間以下であろうし、味方にもむやみな死を求める。
 クラウゼヴィッツのいう政治目的の戦争ではもはやなく、ただ進むしかない、戦争を自己目的化した戦いになっていたといっていいでしょう。

◆ただの戦争嫌いでなく
 その絶望の果てに戦後日本は不戦を尊び固守してきたのです。
 守ってきたのは元兵士と戦争体験者たちです。
 文字通り、命がけの訴えといってもいいでしょう。
ただの厭戦(えんせん)、戦争嫌いというのでなく、国は過ちを犯すことがあるという実際的な反省でもあります。
国民には冷静な目と分析がつねに必要だという未来への戒めです。

 日本の平和主義についての二つめの観点とは、戦後憲法との関係です。
 戦争勝者の連合国は敗者の日本、イタリア、西ドイツに非軍事化条項を含む憲法を求めた。  戦後冷戦の中で日本はアメリカの平和、いわゆるパックス・アメリカーナに組み込まれ、自衛隊をもちます。
 その一方で稀有(けう)な経済成長に恵まれ、その資力を主にアジアの発展途上国への援助に役立てます。
 ここで考えたいのは、平和主義とはただ戦争をしないだけでなく平和を築こうということです。
前者を消極的平和、後者を積極的平和と呼んだりもします。
 例えば積極的平和を築こうと一九六〇年代、平和学という学問分野が生まれ、ノルウェーにはオスロ国際平和研究所ができた。
政治や法律、経済、国際関係、歴史、哲学、教育など科学を総動員して平和を築こうというのです。
 実際にノルウェーは大国などではありませんが、イスラエルとパレスチナの間に和平をもたらそうというオスロ合意を成立させた。
中東の国連平和維持活動に出ていて、両者の争いを終わらせるのは武力でなく対話しかないと考え至るのです。
今は失敗かとまでいわれますがその熱意と意志を世界は忘れていません。

 日本国憲法の求める平和主義とは武力によらない平和の実現というものです。
 対象は戦争だけでなく、たとえば貧困や飢餓、自然災害の被害、インフラの未発達など多様なはずです。
救援が暴力の原因を取り去るからです。
 NGО、非政府組織の活動が広がっている。
ミリタリー、軍事から、シビリアン、民間への移行です。
日常の支援が求められます。
ミリタリーの非軍事支援も重要になっている。
 だが残念ながら世界は不安定へと向かっているようです。

◆武力によらない平和を
 格差とテロとナショナリズム。
それらが絡み合って国や民族が相互不信の度を高めつつある。
しかし不信がつくられたものなら、解消することもできるはずです
 そういう時だからこそ、私たちは平和主義、世界に貢献する日本の平和主義をあらためて考えたいのです。
 ただの理想論を言っているのではありません。
武力によらない平和を求めずして安定した平和秩序は築けない。
武力でにらみあう平和は軍拡をもたらすのみです。
 理想を高く掲げずして人類の前進はありえないのです
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母校 神奈川大学、箱根駅伝で快走

久しぶりに「箱根駅伝」を 1区からラジオで聴いています。
母校神奈川大学(ノーシード・予選会から)の後輩たちが 頑張っています。
母校は過去 3連続優勝をしたことがあります。

高校の時に学園紛争に明け暮れ 真面目に受験勉強をしなかったため 入学時には とっても屈折した想いでした。
唯一誇れたのは 当時の国立大の3倍ほどの学費(8万円台)の安さです。
そして国立大学に県名が使われている大学が多い中、アルバイトや旅行時に国立大学と間違われて「頭いいんだね〜」などと多くの人に言われたのが 気恥ずかしい中にも「4年間の法学部・教職課程で実力をつければいいのだ」と励ましを貰った気持ちになれました。

神奈川県にある国立大学は「横浜国立大学」です。
認知度が 母校の方が上ということで 単純ですが すぐ劣等感・屈折感はなくなりました。
東大退官教授が多かったのですが 今でも印象に残る言葉は「今日の少数派は 明日の多数派」という反権力の精神と「法は権力の暴走を縛るためにある」「国民の権利・人権を守ってこその政治・法律」というガイダンスでの教員の熱の籠った「法学」の勉強法指導には 俄然学習への意欲を沸かせました。

母校からのオリンピック出場選手もでて そして「箱根駅伝」での総合優勝。
普段は、同窓会にでる機会は 少なくとも やはり母校の活躍は 嬉しいものです。
大震災のボランティア活動も地道に続けている母校!!
今年は是非、シード権をとる粘りを見せて欲しいと願っています。

優勝争いに絡めとはいいません。
この所 続いている「予選会」から這い上がらずに 来年のシード権を狙って欲しい。
フレー・フレー神大(神戸大学でなく じんだいは神奈川大学の略称です)

今日は 上位とのタイム差を少なくする走りを!!

母校の同窓会「宮陵会」、今年は 出席しようかな・・・。

今 結果を分析しています。堂々の6位でした。
復路もファイト!! 
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2017年01月03日

主治医の選び方、セカンドオピニオン嫌がる医師はダメ

主治医の選び方、
セカンドオピニオン嫌がる
医師はダメ
2017.01.02 16:00 NEWSポストセブン

「記事に書いてあったから、という理由で『薬をやめる』と言い出す患者が多くて困っている」──
最近、取材する医者からこうした不満をよく聞く。
週刊誌やネットの記事が医者の言うことを聞かない「モンスター患者」を生み出しているというのだ。
だがその逆に、ただ医者の言いなりに従うだけの「良い患者」は、実際のところ「医者にとって都合の良い患者」でしかない。

 是非はともかく、週刊誌による「飲み続けてはいけない薬」キャンペーンに対する反響の大きさは、患者が今後、医師とどう向き合うべきか、という問題を提起した。

日本在宅薬学会理事長で医師の狭間研至氏はこう言う。
何も考えずに医者の言いなりというのは問題ですが、何でも疑心暗鬼になるのも問題です。
患者さんの中には、どこかにいる“スーパードクター”や“スーパー治療薬”がいつか病気をすべて治してくれるという『青い鳥』幻想を持っている人も多い。
そうした幻想を捨て、信頼できる医者を身近に見つけることが重要です」

 信頼できる医者かどうかを見極めるポイントは何だろうか。
「いきなり『薬をやめる』と言うのではなく、『なぜこの薬を飲まないといけないんですか?』と質問してみるのはどうでしょう。
そこで誠実な対応をしてくれる人は、信頼できる医師と言えるでしょう。

患者の疑問にきちんと答えてくれない人や、自分の専門分野にしか興味を示さない人であれば、信用できないと言われても仕方ありません」(同前)

 第三者の視点を入れることも重要という。
別の医者の意見を聞く『セカンドオピニオン』はもっと気兼ねなく受けたほうが良い。
それでいやな顔をする医師を主治医に選ぶのはやめた方がいいと思います」(同前)

 地域医療機能推進機構・本部顧問、徳田安春・医師は「医療はチームでやるものという意識を、患者側も持つべきではないか」と指摘する。
医者だけでなく、看護師、薬剤師、検査技師、ソーシャルワーカーなど、多くのチームで成り立つのが医療です。
メディアもチームの一員と言っていいでしょう。
そのチームワークを良くしていくことが、良い医療に繋がるのだと思います

※週刊ポスト2017年1月1・6日号
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40代独身男に襲いかかる“正月帰省鬱”の正体とは?

40代独身男に襲いかかる
“正月帰省鬱”の正体とは?
「実家の居心地の悪さに
  メンタルを削られる……」
2017年01月02日 09時06分 SPA!

 実家に帰省している人が多い正月のこの時期、親戚と顔を合わせる機会は必然的に増える。
そこで悩みの種となるのが、普段は会わない年配の親戚との会話。
年に1〜2度しか会わない彼らにとって、東京から来た甥や姪の近況は最大の関心事。

◆「まだ結婚しないの?」
 だが、問題は彼らの質問が往々にして触れてはほしくないセンシティブな話題であることが少なくないこと。
「いまは大学3年生?就職活動はどの業界に行きたいの?」
「具体的にどんな仕事してるの?営業?」
「公務員目指すのはやめたんだっけ?」  とはいえ、このようなキャリアにかんする質問に対しては、ウソも含めてまともに答えることはできる。
だが、多くの30代以上の独身男女を悩ませるのが結婚や恋愛にかんする質問だ。

「まだ結婚しないの?」
「誰かいい相手はいないの?」
「いま彼氏はいるんだっけ?」
 こうした職場で聞かれれば一発でセクハラ認定される質問も、保守的な考えを持つ非都市部の親戚が集まる場では、なぜか問題視されないことが多いという。

◆アラフォー独身おっさんが実家帰省に苦しんでいた!
 一般に、こうした結婚にかんするセンシティブな話題は30歳前後の独身女性にとっての悩みの種として語られがちだ。
 だが、彼女たちと同じように、いやそれ以上に結婚にかんする話題に悩まされている人たちがいる。
それが40歳前後の独身男性。
内閣府のデータによると、25〜29歳で71.8%だった男性の未婚率は、35〜39歳では35.6%にまで下がる(平成27年版 少子化社会対策白書)。

記事まとめ
・実家に帰省する人が多いこの時期、悩みの種となるのが普段会わない年配の親戚との会話
・ 独身女性だけでなく、40歳前後の独身男性も結婚にかんする話題に悩まされている
・『逃げ恥』の影響で事実婚をすすめる母親もいるというエピソードも

つまり、未婚男性は35歳をこえると約3人に1人の少数派になるのだ。

 結果、アラフォー中年独身男性は年配の親戚からは「マイノリティ」として不思議な目で見られると同時に結婚に関する答えづらい質問を多く受けることになり、それが彼らの「正月鬱」の原因となっているのだ。

◆『逃げ恥』の影響で事実婚をすすめる母親
 では、彼らは具体的にどのような仕打ちを受けているのか。
「今年の正月は実家に帰らない」という40代男性11人に、過去に親や親戚から受けた正月鬱の原因となったエピソードを聞いてみた。

「これは女性もあるだろうけど、近況報告ジャブはよくされる。
『同級生の●●くんのお母さんと、この間ばったりスーパーで会ったんだけど、最近子供が生まれたんだって』なんてジャブは当たり前。
本人はさりげなく言っているつもりなんだろうけど、俺にはそういう攻撃は効かない」(40歳・IT)
「先月、『逃げ恥』を見ていた母親から電話で事実婚をすすめられた。
元々テレビの影響を受けやすい静岡の田舎の人間なので、どうでもいいと聞き流していたけど『逃げ恥』を事実婚の事例として真面目に考察しているネットの記事をLINEで送ってきた。
これには焦った」(41歳・編集)

◆さりげなくゲイと疑う質問をしてくる
「久々に実家に帰ったときになんでも結婚に絡めて批判されて鬱になった。
『太ったでしょ? だからモテないんだよ』
『会社変わったの? だからモテないんだよ』と、太ったことと転職したことがモテない(結婚できない)原因としてディスられた。

何を言っても『だからモテないんだよ』が定型句になっていて、理不尽すぎる」(40歳・音楽関係)
「先日芸能界を引退した成宮クンの話をしてきたり、●●ってゲイなの?とこっちが詳しくない芸能人の同性愛事情を今年になってやたらと聞いてくる叔母。
どうやら自分はゲイと疑われているようです。
結婚してないからって極端すぎる結論。
ちなみに、うちは弟も独身です」(40歳・放送作家)

◆解決策は「非モテじゃないアピール」!?
 このように、かなりの確率で結婚にかんする耳の痛い質問を投げかけられるアラフォー独身おっさんたち。
その解決法は、堂々と「うっせぇばばあ!」と思春期の中学生のように答えることではないらしい。
 一部回答者から「自分には恋人がいることをあえて伝える」
「女性の友人と親を会わせる。
あくまで友だちとして。
女性の友人がいることを伝えるだけでも違う」といったように非モテではないことをアピールすることが有効というコメントをもらった。

この時期、親や親戚の前で気まずい思いをしている男性たちは試してみてはいかがだろうか。
 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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【箱根駅伝】神奈川大が12年ぶりシード 明大は28年ぶり繰り上げで復帰ならず

【箱根駅伝】神奈川大が12年ぶりシード
 明大は28年ぶり繰り上げで復帰ならず
スポニチアネックス 1/3(火) 14:21配信

 ◇第93回箱根駅伝復路(2017年1月3日)
 第93回東京箱根往復大学駅伝復路は3日、神奈川・箱根町から東京・大手町までの5区間、107・5キロに20校とオープン参加の関東学生連合の計21チームが参加して行われ、往路優勝の青学大が復路も制し、11時間4分10秒で3年連続の総合優勝。
史上初となる、大会3連覇と大学駅伝3冠の同時達成を成し遂げた。
 9区で3位から2位に順位を上げた東洋大が7分21秒遅れで総合2位に、往路2位からの逆転を狙った早大は3位だった。

総合4位は順大、5位に神奈川大が入り12年ぶりとなるシード権を獲得した。
6位中央学院大、7位日体大、8位法大、9位駒大、10位東海大で、ここまで10校がシード権を獲得。
法大は4年ぶり、中央学院大は大学初となる3年連続のシード権獲得となった。

 昨年10位の帝京大は11位で2年連続のシード権獲得ならず、2年ぶりのシード復帰を目指した古豪・明大は鶴見中継所で28年ぶりとなる繰り上げスタートとなり、総合17位、90年代前半に3度の大会優勝を飾った山梨学院大は17位でシードを失った。
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2017年01月04日

◉差別事件・ヘイト発言再検証

新年だからこそ
差別主義者たちの
ヘイト発言を振り返る!
石原慎太郎、曽野綾子、百田尚樹、長谷川豊、安倍政権
2017.01.03 LITERA編集部

 この年末年始、マスコミはこぞって1年を振り返り、2017年の展望や問題点を語っていたが、そのなかでほとんど触れなかったことがある。
それは、この国に差別やヘイト、排外主義が蔓延しているという問題だ。

 ここ数年、とくに在日コリアンへのヘイトスピーチが深刻化してきたが、昨年には、そうした民族や国籍など、自分では容易に変更できない属性を根拠とするグロテスクな排斥運動がより広範囲にわたって広がり、同時に、社会的弱者への差別思想が、戦後最悪の虐殺事件を引き起こすに至った。
 にもかかわらず、テレビなどの大マスコミは、そんなことはまるでなかったかのように完全に無視してしまった。
しかし、この現実から目を背ける態度は、たんに自己保身のためであり、むしろ差別をエスカレートさせる結果にしかならない。

 そこで、本サイトは、この1年間に起きた差別事件、政治家や有名人のヘイト発言を振り返り、どこが問題なのかを改めて批判検証することにした。
いったい連中がどんなグロテスクな思想をもち、何を語ったのか。
そしてどんな人間の尊厳を踏みにじる行為をしたのか。
それがどれだけ聞くに耐えがたいものでも、真正面から向きあい、差別とレイシズムへの怒り、そしてこうした問題が生まれる背景をもう一度考えるきっかけにしてもらえたら、と考えている。

●相模原障がい者施設殺傷事件の背景にあった石原慎太郎や曽野綾子らの障がい者ヘイト、自民党ネトサポも同調
 戦後日本で最悪の連続殺傷事件は、ヘイトクライムだった。
障がい者施設を襲撃し、一夜で46人を殺傷した容疑者は「障害者は死んだほうがいい」「何人殺せば税金が浮く」などと主張した。
ナチの優生学思想そのものだ。
事件自体は、2016年を象徴するものとして、この年末年始に多くのメディアに取り上げられた。
だが一方でマスコミは、ネット上で「植松容疑者の主張は間違ってない」「障害者は税金を使う金食い虫」などと、容疑者の思想に共感する声が多数あがったというグロテスクな事実を直視しない。
容疑者の“障害者抹殺思想”は残念ながら特殊なものではなく事件前より“弱者は排除すべき”という考え方は政治家や文化人にも見られ、社会のなかに広く潜行しているのが現実だ。

 たとえば石原慎太郎は、都知事に就任したばかりの1999年9月、障がい者施設を訪れ、こんな発言をした。
「ああいう人ってのは人格があるのかね」
「絶対よくならない、自分がだれだか分からない、人間として生まれてきたけれどああいう障害で、ああいう状況になって……」
「おそらく西洋人なんか切り捨てちゃうんじゃないかと思う」
「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」。

 曽野綾子は13年の著書で、子どもが障害をもつ野田聖子に対しこう書いていた。
「自分の息子が、こんな高額医療を、国民の負担において受けさせてもらっていることに対する、一抹の申し訳なさ、感謝が全くない」
「言い方は悪いが、夫婦の自然の生活の中でできた子に、こうした欠陥があるのは仕方がない。しかし野田夫妻は、体外受精という非常に計画的なやり方で子供を作った。
その場合は、いささかご自分の責任において、費用の分担もされるのが当然という気がするのだ」。

 そして、相模原事件発生後、自民党公認のネット応援部隊「自民党ネットサポーターズクラブ」(通称、ネトサポ)のある会員はブログで、植松容疑者の主張に同調したうえで、このように言い放った。
「知的障害者を生かしていて何の得があるか?まともな仕事もできない、そもそも自分だけで生活することができない。
もちろん愛国者であるはずがない。
日本が普通の国になったとしても敵と戦うことができるわけがない。
せいぜい自爆テロ要員としてしか使えないのではないだろうか?
つまり平時においては金食い虫である」。

 こうした発言をみても、容疑者の思想がいまの日本社会で特殊なものではなくなっていることがよくわかるだろう。
弱者には「人格がなく」社会に「迷惑をかける」から「責任」をとって「切り捨てろ」。
そう彼らは言っている。
そして実は、これは安倍政権の政策の根幹に流れる新自由主義、そして歪んだ愛国主義とも密接に関係している。
このままでは、この国は本当に後戻りのできないところまでいってしまうだろう。

●長谷川豊「人工透析患者なんてそのまま殺せ」問題の根本は医療弱者と貧困層差別
 フリーアナウンサーの長谷川豊が、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」という記事を自身のブログに投稿したところ、批判が殺到し、全レギュラー番組を降板した。
あまりにも当然である。
そもそも人工透析患者に限らず生活習慣病と総称される疾病は、後天的要因と先天的要因のいずれかのみに起因するわけでなく、医学的にも長谷川のいう「自己責任」ではありえない。
また、仮に不摂生によってなんらかの疾病を患ったとしても、この国の憲法ではすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有し、国はその増進に努めなければならないと定められているから、長谷川の暴論は根本からおかしいのである。

 だが、この国の副総理が同じような発言をしているのだから笑えない。
麻生太郎は2013年4月、都内の会合でこう述べている。
「食いたいだけ食って、飲みたいだけ飲んで糖尿になって病院に入るやつの医療費は俺たちが払っているんだから、公平じゃない」
「こいつが将来病気になったら医療費を払うのかと、無性に腹が立つときがある」。
しかし欧州の研究などにより、生活習慣病は「贅沢病」ではなく、貧困層ほど発症リスクが高いことが明らかになっている。

つまり、連中のがなりたてる「医療亡国論」は、ただ「貧乏人は適正な治療が受けられず死んでも仕方がない」という階級的な差別意識の表れにすぎない。
 事実、貧困叩きは熾烈さを増している
『NHKニュース7』が家庭の経済的事情から進学を諦めざるを得なかったという高校3年生の女子生徒を特集すると、放送終了後にネット上で彼女のあら探しが始まり炎上。
そこに「生活保護バッシング」の片山さつき参院議員がまたぞろ参戦し、“貧乏人は贅沢するな!”と公然と批判した。
いずれにせよ、貧困問題やそこに由来する医療問題がレイシズムのフィルターにかかれば「そのまま殺せ!」にまで繋がるのだ。
これもやはり、差別による虐殺扇動とまったく同じ構図をなしている。

●百田尚樹が千葉大レイプ事件で「犯人は在日外国人」デマ、関東大震災朝鮮人虐殺の「再現」も

“ベストセラー作家”の百田尚樹が、千葉大医学部の学生3名が集団強姦致傷容疑で逮捕された事件で氏名が未公表だったことについて、〈犯人の学生たちは大物政治家の息子か、警察幹部の息子か、などと言われているが、私は在日外国人たちではないかという気がする〉とツイートし、問題になったことは記憶に新しい。
なんの証拠もなしに“犯人は在日”と言いふらすのは明らかな人種差別の扇動。
しかも、後日の週刊誌報道で容疑者のひとりが“法曹界の名家”出身者であることが報じられ、百田のツイートが実際に悪質なデマであることも確定した。
 こうした犯罪や社会的混乱の根元を「在日外国人」に求める百田やネット右翼たちの心性は、歴史的な虐殺行為を彷彿とさせる。
とくに、それを痛感させられたのが、熊本地震に乗じて〈熊本の井戸に朝鮮人が毒を入れて回っているそうです!〉という、極めて悪質なデマツイートが出回ったことだ。
これは、1923年9月、関東大震災の発生直後の数日間で「朝鮮人が暴動を起こした」
「井戸に毒をいれた」「放火している」等のデマが広がり、日本人らによる大規模な朝鮮人の虐殺が行われた歴史を再現させようとするものだった。
“差別は人を殺す”という事実は、歴史が証明してきたことだ。

●安倍首相の側近政治家たちも…女性差別やセクハラが次々とあらわに
「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログは待機児童問題が国会で大きく取り上げられるきっかけとなったが、その一方で昨年は、政治家による子育て問題を女性に一方的に押し付ける差別的発言が相次いだ。
たとえば、安倍首相の肝いりで自民党から参院選に出馬、当選した山田宏は、「保育園落ちた」ブログに対し、「まぁ、落書きですね」「「生んだのはあなたでしょう」「親の責任でしょ、まずは」と言いたいところだ」などの暴言をブログで吐いた(しかも、直後に自身の不倫隠し子が発覚するというオチつき)。

 また、前述したネトサポを統括する自民党ネットメディア局長・菅原一秀は、3月、「週刊文春」で元愛人にモラハラ、セクハラを告発された。
それによれば、菅原は当時、27歳だったこの元愛人に「女は25歳以下がいい。25歳以上は女じゃない」と言い放ったあげく、「子供を産んだら女じゃない」と女性全体に対する差別をむき出しにしたという。

 自民党では他にも、一昨年に例の「マスコミは懲らしめないといけない」発言で問題視された大西英男衆院議員が、自民党公認候補の支持を神社の巫女に依頼して断られたことについて、「『おい、巫女さんのくせに何だ』と思った」
「巫女さんを誘って札幌で夜、説得しようと思った」という、職業差別とセクハラのダブル発言も明るみになった。
安倍政権のいう「女性の輝く社会」とやらが、いかに口先だけで、むしろ旧態依然とした女性蔑視、差別意識が強化されているということがよく分かるというものだ。

●蓮舫の二重国籍問題で飛び出た右派のファナティックな「純血主義」
 蓮舫のいわゆる「二重国籍」問題で、右派ががなりたてたのが純血主義という人種差別の正当化だ。
この問題に火をつけたウェブメディア「アゴラ」や産経新聞は、“二重国籍者は「国家への忠誠心がない」”などと言うが、実際には世界を見渡しても二重国籍の政治家は保守派も含めて珍しくもなんともない。
 しかも「アゴラ」代表の池田信夫にいたっては、日本とベトナムのハーフであるTBSの山内あゆアナウンサーを標的に、なんと“TBSは二重国籍のアナウンサーを解雇しろ!”とまで喚き始めた。
言うまでもないが、仮に山内アナが「二重国籍」の状態にあるとしても、国籍を根拠に解雇することはれっきとした違法行為である(労働基準法第3条違反)。
結局、証明されたのは、重国籍者バッシングに血眼になっている右派言論人や右派メディアの根っこが、グロテスクな純血思想と排外主義、差別主義に他ならないということだ。
国籍を問い、「純血の日本人」でなければ血祭りにあげられるという状況は、ほとんど戦中である。
 しかし、連中は驚くほどしつこく、とくに産経新聞はいまだに蓮舫の国籍問題がどうのこうのとのたまっている。
が、これは蓮舫と民進党側にも大いに問題があるものだった。
もちろん、蓮舫が二重国籍状態にあったのを確認していなかったということではない。
それは二重国籍問題を受けて、蓮舫が「私は日本人」と発言して火消しに走ったり、民進党内から「代表選をやり直すべきだ」なんて声が上がったことだ。
それ自体が国籍や出自に対する差別を助長し、多様性を否定する行為だが、そのことになぜ気が付かないのか。
はっきり言って、首を傾げざるをえない。

●右派が総攻撃を仕掛けた安倍政権による沖縄差別問題…警察と公安庁もグル
 2016年、熾烈を極めたのが国と対立する沖縄への差別だ。
高江で進められている米軍ヘリパッド建設工事で、大阪府警から派遣されていた機動隊員が反対派市民に対し「触るな、土人が」「黙れコラ、シナ人」などと差別発言を行ったのも記憶に新しい。
問題は、これがいち機動隊員による沖縄への差別にとどまらないということだ。
 本サイトが追及したように、実は、警察組織の中では、こうした沖縄差別、外国人差別は日常化している。
実際、警察官専用雑誌「月刊BAN」(教育システム)には、沖縄ヘイトを始め、ネトウヨ丸出しの歴史修正主義者や嫌韓ヘイト本の著者、さらにはヘイト市民団体関係者らが登場。
この事実からもわかるように、警察組織内では差別意識を植え付けるような講演や勉強会が日々行われており、その結果として、今回の高江で「土人」「シナ人」発言が出てきたのである。  

また、公安組織では公安調査庁が今年の調査報告のなかで、〈中国に有利な世論を沖縄でつくることによって日本国内の分断を図る狙いが潜んでいると見られる〉などとネトウヨなみのデマを飛ばしている。
これは“お荷物官庁”である公安庁が予算と人員獲得のために針小棒大の謀略論を展開しているわけだが、それとは別に、第二次安倍政権以降、公安庁はかなり増長し続けているとの情報もある。
 安倍政権はこうした警察・公安組織、さらに司法と一体となって沖縄への締め付けを強化。
沖縄で反対活動を行う市民や、その模様を取材中の新聞記者らが逮捕される弾圧事件も相次いだ。
ところが、本土の政治家やマスコミはこうした事件を大きく扱わないどころか、デマにデマを塗り重ねて差別を強化している。
鶴保庸介沖縄担当相や松井一郎大阪府知事が「土人」発言を擁護したのはもちろん、応援団メディアはトンデモ情報を拡散。
たとえば“維新の腰巾着”辛坊治郎はテレビで「高江の地元ではヘリパッドを早くつくって欲しい人が圧倒的に多い」という事実無根のデマを吹聴、産経や「週刊新潮」などの保守系メディアは反対派の言動のほうがヒドいと権力関係を無視した言いがかりをつけ、百田尚樹にいたっては「土人を流行語大賞に」などとほざく始末。
 いま安倍政権は、警察や司法など権力のすべてを結集し、かつ掌握したメディアをつかって、沖縄を徹底的に追い込んでいる最中だ。
沖縄を犠牲にしてきた歴史、そして今も犠牲にし続けている現実を一切かえりみないばかりか、「土人」などと差別して攻撃対象にする、政権の卑劣な沖縄ヘイトを許すわけにはいかない。
……………………………………………………………
 いかがだったろうか。
2016年の差別事件簿から、外国人差別、障害者差別、医療弱者と貧困者差別、女性差別、血統差別、そして沖縄差別について振り返った。
こうした差別やヘイト発言が、たまたま異常な人間が発したものでなく、背景に日本の政治や社会のグロテスクなバックラッシュの動きとが、密接につながっていることがわかってもらえたはずだ
 本サイトはこうした動きを食い止めるために、今年も、さまざまな事件の裏に潜む差別思想を暴き出し、徹底的に批判していくつもりだ。
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2017年にはぶっ壊したい、こどもの貧困を生みだす日本の5つの仕組みとは

2017年にはぶっ壊したい、
こどもの貧困を生みだす
日本の5つの仕組みとは
1/4(水) 11:27

駒崎弘樹
 | 認定NPOフローレンス代表理事
/全国小規模保育協議会理事長

今日から仕事始めの人もいるでしょう。
今日は、新年始まったことですし、もうそろそろいい加減に今年こそはぶっ壊したい、この日本の不条理を紹介します。
ムカつきますが、ご注意くださいね。
どうぞっ!

◎生活保護家庭の子どもは大学に行っちゃダメ

憲法でうたう「健康で文化的な最低限度の生活」を過ごすため、我々には生活保護というセーフティネットを頼る権利があります。
例えば病気や怪我などで働けなくなってしまって、実家も頼れない時。
働いても賃金が低すぎて、とても家族を養えない時。
役所に言って相談すれば、我々は支援を受けることができます。
こうした「最後のセーフティネット」と言われる生活保護ですが、重大なバグがあります。

それは、生活保護家庭の子どもたちは、大学進学できない、というものです。
昔は大学に行くことがある種の特殊な、ともすれば贅沢なことだったので、税金を使ってそこまでは、ということだったのでしょう。

しかし現在では、安定した仕事につき、貧困の連鎖から抜け出すためには、大学進学という道は非常に有効です。
にも関わらず、国が貧困の再生産を強化するような政策を、いまだにとり続けているのは、バカバカしいにもほどがあります。

少し正確に述べますと、生活保護を受けていても、「世帯分離」と言って、進学する子どもだけ世帯から外してしまうことで、その子は大学に進学することはできます。
確かに抜け穴はあります。
けれど、世帯分離した分だけ、生活保護費は数万円減ります。
すると、進学した子どもはその分をアルバイト等で稼がなくてはなりません。
削減された保護費と、そして学費や生活費のために勉強する時間を削らざるを得ない、生活保護家庭の子どもたち。
こんな不公平はあるでしょうか。

「子どもの貧困をなんとかしたい」って政府が言ってるんだったら、寄付金とか集めてないで、こういう大昔のバカげた制度を直してくれ、と声を大にして言いたいです。

◎妊娠したら高校退学させられる

全国の高校において、妊娠した場合、退学させるというルールになっています。

例えば、岩手県教育委員会の制定する『岩手県立高等学校の管理運営に関する規則』の中には、懲戒規定があり、具体的事例表を定めています。
その中には性的暴行(レイプ)と並んで、妊娠を退学処分としています。(出典:「第189回国会 予算委員会 においての泉健太議員による妊娠退学についての質問」http://bit.ly/2hPdHDP
え、ちょっと待って待って。
レイプと妊娠って、なんで同列?
しかも、妊娠「させた」方じゃなくて、「妊娠」「した」方を、ですよ。
ありえんでしょう。
また、京都の高校では、妊娠した生徒にハードな体育実技を要求して、できないなら休学しろ、と「勧めた」事例もありました。(「妊娠中の高3女子生徒に体育の授業を要求 京都の高校、休学勧める」 産経新聞http://bit.ly/2hPj5Xm)


これ、'''高校生で妊娠した女の子が、退学させられて、その後どういう人生歩まないといけなくなるか、想像つきますか?
''' ほぼ99%、妊娠させた方の男はバックれます。

女の子はシングルマザーとして、働きながら子どもを育てていきますが、高校中退で安定した仕事につける確率は相当低くなります。
当然貧困化するリスクが上がり、子どもに教育投資できず、子どももまた貧困化していく可能性が高まります。
'''学校が貧困を生み出しているじゃないか! '''
あまりにもおかしいので、知り合いの文科省の官僚に聞いたんです。
そしたら 「駒崎さん、実は、『妊娠退学』の統計もないんですよ。
各都道府県の教育委員会、そして各学校の校長に任せているのですが、彼らは『自主退学』として処理しているようなんです。
ですから、妊娠退学が存在している、という公的な証拠はないんです」ということでした。
おいおいおい。
本来だったら、妊娠した生徒にこそ、スクールソーシャルワーカーが寄り添って、なんなら保育もしっかりつけて、むしろなんとか高校は卒業してもらわないとダメなんじゃないんですか。
学校は教育機関で、福祉は関係ないです、って、それで良いんですか。
全国の教育関係者の皆さん、この状況を放置していて、良いんですか?

◎低所得のひとり親に出される
       給付金支給が4ヶ月に1回

低所得のひとり親には、児童扶養手当という給付金が支給されます。
月最大で4万2000円、子ども2人目は1万円というわずかなものですが、これがひとり親家庭のライフラインになっています。
さて、この児童扶養手当、役所から振り込まれるのが、4ヶ月に1回なんです。
4ヶ月に1回!

それで途中、カツカツにならずにやっていけるかって? やっていけないんですよ。
3ヶ月目の最後の方はもうほとんど手持ちのお金がなくて、でもガス代は払わないといけなくて、しょうがないから消費者金融や闇金に借りてしのいで、そうすると利子がすごいことになって、雪だるま式に借金が増えて、破綻して行く、と。


そうやってにっちもさっちも行かずに、県営団地を立ち退きさせられるその日に、中1の娘を運動会のハチマキで母親が首を絞めて殺した事件が銚子市でありました。
「4ヶ月分計画的に使えば、なんの問題もないじゃないですか」 役所の人は言います。
そういう役人の人には、「あなたの給与の支払いを4ヶ月に1度にしてもなんの問題もないんですよね?」と問いたい。

厚労省さん、年金が2ヶ月に1回、生活保護は毎月支給なんだから、児童扶養手当も毎月支給にしてください。
そんなこともしないで、マイナンバーとか言ってんな、と。

◎義務教育でも金がかかりすぎ

娘がもうすぐ小学校1年生なんですが、びっくりしましたよ。
ランドセル、高いんですよね。
7万とか、高いやつは10万とかするんですよ。
最低ラインでも、3万円代。
それ以外でも、絵の具とか、習字道具とか、体操着とか色々あるんですよ。
ちなみに、中学行ったら制服とか買うんですが、これも3万〜7万円くらいするんですね。
おいおい、義務教育って、無料じゃなかったんですかね?
貧富の差なく、誰しも平等に学べることで、身分の固定化を防ぎ、誰しも生まれに関係なく活躍できる社会をつくろう、ってのが義務教育の理念じゃなかったんですかね?


しかもなんですか。
習字道具って、この「すずり」って何で新品じゃないとダメなんですかね。
別に石だし。
6年生が使い終わったやつ、学校で回収して洗って、一年生にあげれば良いんじゃないですか?

あと、何ですか、この「学校指定」って。
何で学校指定の文房具屋で買わないとダメなんですか?
これって、地元の文房具屋への、制服だったら洋品店への公共事業ですよね?
その公共事業を、なんで子育て世帯の財布から出さないといけないんですかね?


まず、ランドセルは選択制にしましょうよ。
別に6年間ずっと使わなくて良いし。
体の成長に合わせて、安いリュックとかナップザックを買い換えれば良いんだし。
僕の留学していたアメリカはそういう仕組みで、誰も困ってなかったです。
多分世界中でランドセル使ってるの、日本くらいじゃないですかね。
あと、制服も高すぎでしょ。
イギリスだと民間アパレルメーカーが価格競争してくれて500円台のものもあるそうです。(出典:朝日新聞「学校の制服、価格競争進む英国 セットで500円台も」http://bit.ly/2iG3IjD
でも、そうあるべきでしょ。
何で何万もするんですか。
しかも地元の洋品店を延命させるために。
義務教育なんだから、教育関連費も無償にしましょう。

参考:「制服の価格、安くするには 東京都、業者の独占にメス」http://www.asahi.com/articles/ASJBP1CTPJBNUPQJ00W.html

◎医療的ケア児は普通に学校に行けない

鼻からチューブを入れたり、気管切開をしている「医療的ケア児」。
こうした障害のある子達が特別支援学校に行こうとすると、「親が同伴で付いてきてくれたら、通学できますよ」と言われます。
親は学校で教育を受けさせたいと思うので、仕方なく一緒に通学します。
そして教室の端っこで、6時間座って待っています。
待機児童ならぬ、「待機親」です。
当然仕事は辞めざるを得ません。
だいたいの場合、母親が辞めます。
共働き家庭は、片働きになり、収入は激減します。
医療的ケア児家庭は、公共交通機関での移動がしづらいため、車を持たなくてはなりません。
そうした費用も家計を圧迫します。
ひとり親だったら、生活保護しか道はありません。

医療的ケア児の介護に心身ともに負担がかかるのに、我々の社会は更に経済的にも追い打ちをかけているのです。
これって、学校に訪問看護師が行けるようにして、親の代わりに医療的ケアをしてあげれば、ある程度解決する話なんです。
でも、訪問看護は健康保険法っていう法律で「居宅(家)だけ」って決められてるんで、それができない、っていう話なんです。
バカげてます。
法律ができた時に、医ケア児を想定されてなかったわけで。
そこは変えていきましょうよ。

'''障害児家庭をわざわざ貧困化させて、誰が得するんでしょうか。 ''' 参考)
「安倍総理に「医療的ケア児が普通に学校に行ける」ようにお願いしました」  http://www.komazaki.net/activity/2016/10/004840.html
「「医ケア児も親同伴なしで学校に!」記者会見がNHKニュースで取り上げられました! 」http://bit.ly/2i836zQ

以上、2017年にはぶっ壊したい、貧困を生み出す日本の5つの仕組みでした。
人がつくった仕組みは、人が変えられる。
「いいかげん、変えようぜ!」っていう声が高まれば。
'''みんなで声をあげていきましょう。
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2017年01月05日

がん、心筋梗塞、脳卒中…日本「3大疾患」治療のお値段

がん、心筋梗塞、脳卒中…
日本「3大疾患」治療のお値段
2017年1月4日 日刊ゲンダイ

■がん

 がん治療は、「手術」「抗がん剤」「放射線」が3本柱。
一般的に治療費は100万〜200万円といわれる。
がんの種類、進行度、手術の難易度や患者の年齢などの条件の違い、治療方法、入院日数、検査・薬の種類によって変わる。

 たとえば大腸がんなら、結腸切除手術を受けて2週間入院した場合の医療費は40万円ほど(3割負担)。
術後に抗がん剤治療を6カ月行うことになれば、薬剤の種類によって1カ月あたり「2万5000〜10万円(3割負担)」×6カ月分の費用がかかる。

 ただ、保険適用内の治療であれば、公的助成の「高額療養費制度」を利用できる。

乳がん治療を経験したファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は言う。
「病院や薬局などへの支払額が1カ月で一定額を超えた場合、超過分が支給されます。
自己負担限度額は年齢や収入によって異なりますが、70歳未満で月収28万〜50万円であれば、1カ月の限度額は〈8万100円+(医療費−26万7000円)×1%〉です」
 医療費が100万円(3割負担で約30万円)だとしても、月9万円弱+差額ベッド代等で済む。
しかし、治療が1年続けば年間100万円強が必要だ。

 保険適用外治療の場合は全額自己負担。
一部がんを除く重粒子線治療(平均309万円)、陽子線治療(平均268万円)などの先進医療は高額だし、国内未承認の抗がん剤は月100万円超えが多く、約646万円かかる薬剤もある。
「その場合、先進医療特約などが付帯した民間保険に未加入だと負担は大きい。
しかし、加入していたとしても、その治療が保険金の支払い対象になっているかどうかはまちまちです。
先進医療に特化した1カ月500円の医療保険もありますが、給付条件の確認が大切です」(前出の黒田氏)

■心筋梗塞

 心筋梗塞は、動脈硬化などによってできた血栓が、冠動脈に詰まって心臓に酸素や栄養が届けられなくなり、心筋の一部が壊死する病気だ。
 血流再開治療の「カテーテル治療」は1週間程度の入院を含めて約30万〜40万円。
外科治療の「冠動脈バイパス手術」になると、2週間弱の入院で約100万〜150万円(いずれも3割負担の場合)。
ただ、保険適用されるので高額療養費制度を利用できる。

 最近は、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った手術が広がっている。
小さな穴を開けて内視鏡を使って行われるので、出血や術後の痛みが少ない低侵襲な手術とされる。
「ただ、保険適用外なので全額自己負担。
最も簡単なものでも350万円程度かかる。
開胸手術と比べて心臓の回復具合が明らかに上回るわけではないので、メリットを見極める必要がある」(心臓外科医)

■脳卒中

 脳卒中の大半を占める脳梗塞は突然起こる。
状態に応じてさまざまな治療法があるが、基本的には保険適用の治療だ。
 発症後4時間半以内であれば、血栓溶解療法(t―PA)が検討される。
20日前後の入院で、窓口請求額は治療費、入院費含めて約60万円。
t―PAで十分な効果が得られない場合は血栓回収術となり約90万円。
バイパス手術やステント留置術などになると高額で約120万円(いずれも3割負担の場合)。

治療費だけでなく後遺症軽減のためにも早期来院早期治療が重要。
そのために初期症状を見逃さない」(東京慈恵会医科大学神経内科・井口保之教授)
「ろれつが回らない」「言葉が出ない」「片方の手足に力が入らない、じんじんしびれる」
「片方の目が見えない」など、突然こんな症状に襲われたら、様子見せずに救急車を呼ぶ。

 後遺症でリハビリが必要になった場合、慈恵医大では脳に刺激を加えて不自由な部分を動かす「磁気刺激療法」という選択肢がある。
開発したリハビリテーション医学講座の安保雅博教授は「2週間の入院で診療費総額は約17万円。
筋肉を柔らかくするボツリヌス注射をすることがあり、上肢なら1回で最大約7万5000円」だという。

 それも、毎日の適切なリハビリと組み合わせてこそ効果がある。
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2017年01月06日

 野党が勝てないのは経済政策のせいだ

野党が安倍政権に勝てないのは
経済政策のせいだ!
民進党は緊縮財政路線を捨て
庶民のために金を使う政策を
2017.01.05 LITERA(野尻民夫)

 白紙領収書や違法献金、暴言失言など閣僚の不祥事が続出しようが、就任前の米大統領にノコノコ会いに行くという醜態を晒したうえ、北方領土もロシアにやられっぱなしといった外交失策を繰り返そうが、安倍政権の支持率は一向に下がる気配がなく、対する最大野党の民進党は一向に上向かず調査によってはむしろ下がっているくらいだ。

 これはいったいどういうことなのか。
もちろん、その背後には、安倍政権がメディアを牛耳って、自分たちへの批判、都合の悪い報道を封じ込む一方、ありもしない危機を次々に煽っているという問題が大きいだろう。

 しかし、安倍政権がのさばり続けている背景には、もうひとつ大きな問題が横たわっている。それは、民進党をはじめとする野党があまりにだらしなく、国民の求めているものにまったく応えられていないという問題だ。


 とくに、最大の原因は経済政策だ、というのが『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)などの著書で知られる立命館大学経済学部教授の松尾去≠セ。
月刊誌「世界」(岩波書店)2016年11月号でも「なぜ日本の野党は勝てないのか? 反緊縮の世界標準スローガン」という論文を発表。
数々の失政と横暴にもかかわらず安倍政権の支持率が一向に下がらず、民進党の支持が上がらない背景に、その経済政策があることを指摘している。

 松尾氏の論理は明快だ。
さまざまなデータから人々の生活は豊かどころか、厳しさが増すばかりだと分析する。
そして、どんな調査を見ても有権者が政治に求めているのは、景気や雇用、社会福祉であることが明らかで、大多数の有権者は、憲法改正のような安倍政権の政治姿勢とは関係なく、「景気のためだけ」に自民党に投票しているとの結論を導く。
とくに10代の若い世代は、アベノミクスの破綻を喜んで煽っているような野党が政権をとったら、自分たちが就職活動をするときに就職氷河期になるのではないかと本気で恐れているというのである。

 だから、野党が自民党に勝つには原発でも安保でも憲法でもない、自民党の政策よりも人々の暮らしの苦しみや不安を取り除き、いまよりも楽に豊かになれるのだということがハッキリわかる政策を打ち出す必要があるという。
それができれば選挙に勝ち、できなければ永久に自民党には勝てないだろうというのである。  

しかも、実はこうした図式は日本に限ったことではなく、広く先進国全般で見られることだと松尾氏は指摘する。
その典型が、アメリカ大統領選を席巻したトランプ現象だ。
勝利したドナルド・トランプ氏が選挙戦後半に徹底攻撃していたのが、政治的エスタブリッシュメントだ。
政治的エスタブリッシュメントとは、これまで政治の主流を占めてきたのは中道右派・保守政党と中道左派・米国リベラル派といった左右の「真ん中」に近い勢力だ。
ところが、そんな左右の中道が進めた新自由主義的グローバリズムで国民が幸せになったかというと、まるでそんなことはなかったことに一般庶民が目を覚ました。
そこで、そうした人々の声をくみ上げ、代弁したのがトランプ氏であり、民主党最左派の「社会主義者」バーニー・サンダース氏だったというのだ。

 同じことがヨーロッパでも起こっている。
フランスやスペインでは中道勢力が軒並み地盤沈下し、極右と極左が不気味な台頭を続けている。
イギリスでは、2015年の労働党党首選で泡沫候補と見られた最左翼候補のジェレミー・コービン氏が圧勝し、ブレア元首相以来の「中道」路線に幕が引かれた。
緒戦で泡沫扱いされていたのは、まるでトランプ現象と見紛うばかりだ。
一方の保守党側でも、EU市場にばかり顔を向けて緊縮路線を続けるデーヴィッド・キャメロン首相らの主流派勢力に対して“もっと右”のEU離脱派が公然と反旗を翻した。
結果、国民投票で「EU離脱」が多数を占める事態になった。

 こうした状況について松尾氏は、〈八〇年代のサッチャー時代以来緊縮を続けてきたグローバル市場推進の新自由主義路線によって、大企業と大金持ちばかりがもうかる一方で、多くの人々が生活を壊され、はなはだしくは満足な医療や介護を受けられなくて命を落とし、大量の若者が職につけず、怨嗟が渦巻いているから〉だと分析する。

 本来、これに対抗するはずの左派のリベラル勢力も、90年代の英労働党ブレア政権の「第3の道」や米民主党クリントン政権以来、グローバル企業ばかりを優遇し、かつての「大きな政府」による福祉国家から「小さな政府」を標榜するようになっていた。
こうした状況に対して、“もっと右”“もっと左”からの異議申し立てが起きているというのである。

 松尾氏はこの動きの背景に共通するものがあると指摘する。
〈だからそのスローガンは「反緊縮」である。
「政府は民衆にもっとお金を使え!」ということである。
これを、世界的普遍性を持った階級連帯の論理で言うか、自国民優先の身内扶助の論理で言うかが左右で違っているのである〉 「反緊縮」。

要は政府が民衆のためにお金を使う―
―有権者はそんな政策こそ求めているというのだ
 そこで思い出すのが2009年に民主党(現・民進党)が政権交代を果たしたときに掲げた政策の数々だ。
「コンクリートから人へ」をスローガンに、子ども手当、高校無償化、高速道路の無料化、農家の戸別補償、ガソリン暫定税率撤廃……と、いずれも政府が国民のためにお金を使う政策ばかりだった。
対する自民党は、これを「バラまき」と批判した。
結果はご存知のとおり、財務省の言いなりになって「緊縮」を唱える自民党に、民主党は307議席と圧勝した。

 答えは実に簡単なのだ。
野党の中心を担う民進党が政権交代時の原点に立ち返り、政府のお金を国民のために使う政策を打ち出すだけでいいのである。
財源についても、「足りなければ刷ればいい」というのが松尾氏の主張だ。
それが世界の潮流であると、実例をあげつつ説いている。

ヨーロッパでは、コービン英労働党党首が掲げる「人民の量的緩和」をはじめ、EUの共産党や左翼党の連合である欧州左翼党、スペインのポデモス、欧州の労働組合の連合である欧州労連などが、中央銀行が財政を直接支えることを主張し、ノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏やクルーグマン氏らもコービン支持を表明しているという。

 昨年6月には、欧州議会の左翼党系、社会党系、緑の党系の左派三会派(11カ国、18議員)が欧州中央銀行に書簡を送り、欧州中銀がつくった資金を「ヘリコプターマネー」として直接、市民に配当するよう要求した。
また同じ月に欧州左翼党とイタリア共産党再建派がコンファレンスを開いた。
そこでも、「もっとおカネを刷って、雇用を創出するプランに投資せよ」とか「インフレはまったく問題ではない。
価値を失うことを恐れて誰もおカネをポケットに入れたままにしなくなるので、おカネが回るようになるからだ」
「欧州中銀はおカネを刷って公共サービスに融資すべきだ」といった発言が相次いだ。

詳細は松尾氏の著書(前掲書)を読んでもらいたいが、中央銀行の緩和マネーで財政ファイナンスして民衆のために使えという主張は、欧州左派勢力にとってはほぼ常態化していると言ってもいいようだ。

 ところが、日本では肝心の民進党が財務官僚に洗脳された元財務相の野田佳彦氏が幹事長を務めているから大胆な方針転換ができない。
 一方、新自由主義政策の“ご本尊”だった自民党は、第2次安倍政権発足後から「アベノミクス」などという言葉の目くらましを使ってかたちだけの方針転換を演出し、景気刺激を展開した。
これが功を奏して民衆の支持を集めた。
しかも、自民党の場合は本来、批判勢力となるはずの“極右”を取り込んでしまっているため、「右」からの異議申し立てが起きない構造になっている。
さらに、欧米と違って「左」からの批判の声もほとんど聞かれない。


 だが、アベノミクスは見かけだけの「反緊縮」だから、化けの皮が剥がれるのも早かった。
政権側は「アベノミクスは道半ば」などと詭弁を弄して失政を取り繕った。
一方、有権者の側もアベノミクスの有効性に疑問を覚えつつも他に有効な選択肢がないから、ダラダラと支持を続けている。
これが、現在の「1強」の正体なのだ。

 こうなると、勝つための処方箋は明快だ。
「反緊縮」「反新自由主義」の旗を掲げ、「政府が庶民のためにお金を使う」「大きな政府」という目標を明確にした本格的な左翼・社会主義的政策を示せばいいのだ。
「政府が庶民のためにお金を使う国」がいいのか、「企業が世界でいちばん活躍する国」がいいのかを、有権者に選んでもらうというわけだ。

 ところが、民進党の向いている方向はまったく逆だ。
野田幹事長にいたっては、国民がこれだけ不景気と生活苦にあえいでいるというのに、消費税10%への引き上げを再延期する自民党の方針を批判し、いまだ「財政健全化」という名の財政緊縮を主張するというトンチンカンぶりだ。
 これではいつまでたっても、安倍自民党に勝てるわけがない。
緊縮財政などという財務省の言いなり路線はとっとと捨てて、庶民のためにお金を再配分せよ。それしか、自民党政権を倒す方法はない。
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2017年01月07日

要注意! 「自立できない子」に育ててしまう、ママの“無意識な行動”&予防法

要注意!
「自立できない子」に育ててしまう、
ママの“無意識な行動”&予防法
2017年1月6日 10時30分 ウレぴあ総研

1年生になってもおむつが取れない、社会人になってもちゃんと働けない、など自立できない子供が増加していると言われていますが、その原因の1つに「母親の無意識な行動」が関連していることをご存じでしょうか。

いつまでも赤ちゃん扱いしていない?
4歳から始める“ひとりでできる子“の育て方

無意識ということですから、母親が意識的にそのような環境を作り上げているのではなく、生まれ育った環境や社会がそのような状態を作り出しています。
子育て真っ最中のお母さんと言えば、昭和40年代〜平成10年代生まれの方がほとんどだと思いますが、昭和40年代でも既に衣食住については何不自由なく揃えられており、子育て環境は、ひと言で言えば「豊か」でした。


そんな時代に育ったお母さん世代の子育てに対する考え方と、家電などの普及により家事に時間がかからなくなった環境、そして情報過多となっている子育て情報など、さまざまな要因が重なり、無意識のうちに自立できない子どもを育てあげていると言われています。
このまま行けば、無意識のうちに自立できない人間が大量に育つことになり、国の行く末にも影響が出てくるのではないかとも不安視されています。
このような悪い連鎖は、いつか断ち切らなければ大変なことに。

今回は、田中喜美子著『母子密着と育児障害』を参考に、母親の無意識が子供の自立を阻害していると言われる、その無意識な行動についてお伝えしたいと思います。

母が育ってきた環境が、自立できない子どもを育てる
子育て真っ最中のお母さんが育った環境と言っても、全ての家庭に当てはまるとは限りませんが、豊かさゆえに「我慢を教えられず育った環境」「自立を促されずに育った環境」と言えると思います。
そのような環境の中で育ってきたことが、今の子育てに大きな影響を与えています。
子育てをしているお母さんが我慢を知らず、自立を促されずに大切に育てられれば、そのお母さんもまた同じような子育てをしてしまうのは自然の流れであり、当たり前のことなので、そこを否定するつもりはありません。

しかし、我慢知らずで自立の仕方を知らない、いわば自立していないお母さんが無意識に自立できない子どもを育ててしまうことは、社会にとって悪い連鎖となっています。
心では「自立できる子に育てなければ」と思いつつも、自分の育ってきた環境が当たり前という考えの中で育児をすることが、無意識のうちに子どもの自立を阻害している可能性があることを再認識して頂きたいと、田中喜美子さんは言います。

余る時間を全て子どもに費やすという事実
昔は掃除、洗濯、炊事など「家事」と呼ばれる仕事は、多くの女性が大量の時間を使ってこなしていた重労働でした。
しかし最近では、家電製品などの発達により、家事にかける時間が昔とは比べものにならないほど時間短縮されるようになりましたが、時間短縮され、余る時間を今のお母さんたちはどこに費やすのか。
それは、「子どもの生活すべて」です。
子どもを取り巻く衣食住すべてにつき、手回しよく面倒がみられ、危険がないよう配慮する。
その結果、子どもにとって母がいないとダメな環境を無意識に作り上げ、母も自身の存在意義をそこで保とうとします。

生活に不自由がなく便利が当たり前、そして失敗がないよう先回りした配慮環境が、子どもの自立を阻害しているということです。
情報過多の子育て情報にも問題が 近年の育児本や雑誌、インターネットなどの情報を見ていると、「叱らない子育て」や「褒めて伸ばす子育て」そして「母子密着子育て」が推奨されているように感じます。
確かに母子密着の生活の中で、叱らず褒めて成長する子どももいると思いますが、田中喜美子さんは、母に守られた環境の中、叱らず褒めまくる環境が、逆に我慢ができず、生きる力のない子どもを育ててしまうと言います。

「叱らない子育て」と言えば教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さんが有名ですが、教育評論家があの柔らかい笑顔と口調で「お母さん、お子さんを叱らないでもっと褒めてあげてください」と言えば、勘違いもするでしょう。
その勘違いとは、本来叱らない子育てとは「頭ごなしに怒ったり、人格否定したりせず、叱る前にちゃんと子どもの考えや気持ちを聞き入れ、その上でダメだと思うことは言い聞かせる」ですが、人に迷惑を掛けたり、傷つけたり、危険なことをしても「叱らない」という勘違いです。

ダメなことをやっても叱られない環境の中で生活する子どもは、やりたい放題の我慢知らずが当たり前となり、協調性を持たず育ってしまうため、生きる力のない人間になってしまいます。

子どもの考えや気持ちに耳を傾けず、感情的に叱ってしまうことはいけませんが、やってはいけないことをちゃんと教えることは親の役目です。
子育て教育にとって、それは今も昔も変わりません。

情報過多の現代では、意識的に情報を得ようとしなくても、テレビや雑誌などから無意識のうちに情報が入ってくる環境です。
ですが、その情報を断片的にとらえ勘違いし、行動してしまっているかもしれないことを再認識すると良いですね。

まとめ
全ての家庭において当てはまるとは限りませんが、
「母の育ってきた豊かな環境」
「家事に時間を要しなくなり、余る時間を全て子どもに向けられるようになったこと」
「日本の子育て教育の問題」の3つが、無意識のうちに子どもの自立を阻害していると田中喜美子さんは言います。

母の育ってきた環境や、今の家事環境を変えることはできませんが、今まで無意識だったところを少し意識することで、自立した子どもを育てる環境づくりに気が向けられるのではないでしょうか。
今後の日本において、自立できない人間が大量に育つという悪い連鎖が続くことのないよう、お子さんのため、国のためにも、今回の内容がお役に立てれば幸いです。
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2017年01月08日

ダラダラとかっこ悪く生きていくことのススメ

ダラダラとかっこ悪く
生きていくことのススメ
2017年01月07日 16時12分 SPA!

― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―  

BS朝日で『熱中世代』という番組の司会を進藤晶子さんと一緒にしています。
オンエアは、日曜朝8時なんですが、精神科医で作詞家の「きたやまおさむ」さんが何回もゲストで来てくれています。

 きたやまさんは、「かっこよく去る」ということに一貫して反対しています。
かっこ悪く、ダラダラと、粘りながら居続けてもいいんじゃないかと言うのです。

 例えばと言って「鶴の恩返し」の話を持ち出します。
 あの時、鶴は自分の正体を見られたから、去っていく。
それはかっこいいんだけど、人生はそんなもんじゃないんじゃないか。
そんな風に去れたら素敵かもしんないけど、人生、そうはいかないと思うと言うのです。

 じゃあ、どうすればいいんですか?と問いかけると「だから、居座るんです」と、楽しそうに答えられました。
 鶴は去っていかない。
見られて正体がバレても居座る。
ただ、ダラダラと居る。
そういう関係は面白いときたやまさんは言います。

 そう聞いて、いきなり物語のイメージが膨らみました。
 夫の「よひょう」は、女房の「つう」の正体を知った後も、なんとなく一緒の生活を続けます。
で、酔っぱらうと「お前は人間なの? それとも鶴なの?」なんて聞くのです。
 つうのほうも「両方だし、両方でもないし、私も分かんないのよ」なんて困りながら答えるのです。
 んで、また、自分の羽根で反物を織り始める姿を見て、よひょうは、「やせ細ったお前は、美しいのか? 醜いのか?」と混乱するのです。

 つうは、そう聞くと「やせてガリガリだけどお金はある私と、見事に美しいけれどお金がない私。どっちを選ぶ?」なんていう究極の選択を迫るのです。

 おお、これはまるで、「スタイル抜群で美人のモデルなんだけど性格は最悪でバカか、性格は最高でものすごく賢いんだけどデブでおブス。どっちを選ぶ?」という究極の選択の古典そのものではないですか。

◆かっこよく去った後に、残された人間は?
 んで、そうこうしているうちに、つうとよひょうに子供が生まれるわけですね。
 子供は、「うちの母ちゃん、昔、鶴だったらしいぜ」と知って、苦悩していいのか驚いていいのか分からないまま、生活を続けるのです。
やがて、子供は二人になって、「ねえ、私達もそのうち、鶴になるのかな? そしたら、空を飛べるかな?」なんてワクワクしながら話し合うのです。

「まあ、俺達は、最終的には鶴になって自分の羽根で反物を織ればいいんだから、最低保証はあるよな」
 兄が妹か弟にそんなことを言うかもしれません。

 ここらへん、物語の展開に気をつけないと、映画『おおかみこどもの雨と雪』とかぶりそうになります。
 『こうかみしょうじの飴と湯気』なんて言われないようにしないといけません。

 きたやまさんが「ダラダラと生き続けること」を主張するのは、2009年に62歳で自死した加藤和彦さんのことを思うからでしょう。

  加藤さんの去り際は、それは見事なものでした。
自分の荷物をすべて整理し、スタジオもきれいに片づけ、ただ、壁に一枚、アマチュア時代の『ザ・フォーク・クルセダーズ』のライブ風景を写した白黒写真を残しただけでした。

 遺書の書き出しは、「今日は晴れて良い日だ。こんな日に消えられるなんて素敵ではないか」で、末文は、「現場の方々にお詫びを申し上げます。面倒くさいことを、すいません。ありがとう」でした。
 あまりにも見事でスマートで手際がいいからこそ、きたやまさんは、「ちょっと待て」と思ったのだと思います。

 お前はそれでいいけれど、残された人間はどうなる。
かっこよくさっと去っていくお前はいい。
けれど、残される人間の気持ちはどうなる。
 だから、きれいに去るなんて思わずに、ダラダラとかっこ悪く生きていこうと言うのです。  

中年の孤独死が問題になっています。
多くの人はかっこ悪くなりたくないから、ミジメな自分を見せたくないから、外部との接触を絶ったんじゃないかと僕は思っています。
でも、かっこ悪く、恥をかきながら世界とつながるのもいいもんだと僕は思うのです。
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休暇 しっかり休んで

こころの天気図
休暇 しっかり休んで
=東京大教授、精神科医 佐々木司
毎日新聞2017年1月8日 東京朝刊

 今季は大みそかと元日が土日だったので、休みがそれほど長くなかった。
もっと長ければ良かったのに、とがっかりした人もいるだろうが、年末年始を「休養の機会」と考えれば、この程度が妥当である。

 今回のパターンなら、12月23〜25日と休み、26日から数日働いて年末年始の休みになる。
1月は4〜6日と働き、また週末の休みがあり、翌週も月曜が祝日なので4日間の勤務で済む。

ほどほどの休養が取れ、かつ年末年始の休みの後に急にフルの勤務とならずに少しずつ心身を仕事モードに慣らすことができる。

 これを理解するポイントは二つある。
まず一つは「レジャーは休養にあらず」。
レジャーは「仕事」ではないが、活動だ。
その時は楽しくても休みは取れていない。
仕事だって波に乗っている時は楽しいが、後で疲れが来る。
長期休暇をレジャーという「活動」に熱中していたら、休養にはならないので疲労回復には役立たない。
まして年末と正月の休みが土日に挟まれて9連休ともなれば、時差や寒暖差の大きい海外旅行に出かけて、時差ぼけや不眠、疲れを逆にため込んでしまう人も増えるだろう。
休みに疲れをきちんと取るには、休養となる過ごし方を考える必要がある。  

二つ目は、生活を仕事モードに戻すのには、一気にフル活動に転ずるより、徐々に戻した方が心身に優しいということ。
休みの間は心身が別のモードとなっているし、人によっては起床時刻が遅くなっている場合もある。
普段でも週明けに仕事モードに戻すことのストレスから、マンデーブルー(月曜の「うつ」)が見られる人は少なくないが、その大型休暇版が起きてしまう、というわけだ。
ちなみに月曜日は、気分だけでなく脳梗塞(こうそく)など身体の異変も起きやすくなるので、要注意だ。
 これらには個人差もあろう。
大型連休を海外旅行その他でバリバリ過ごして、その後すぐに仕事もフル活動に戻って平気、という人も中にはいようが、皆がそうではない。

自分の体力、持久力をよく考えてほしい。
「大丈夫」と思っていて、後で反動がやって来る場合もある。
 政府が「働き方改革」を訴え、過労の問題や休養の重要性が話題にされるようになったのはいい。
この機に、議論を深めるべきだ。
例えば3連休を作るため祝日を月曜にすることが増えたが、休養の観点ではたぶん、週の中ほどに休める方がいい。
効果的な休暇の取り方などを、考えてほしい。

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2017年01月09日

テロ対策と五輪が“口実” 安倍政権が企む「共謀罪」の恐怖

テロ対策と五輪が“口実”
安倍政権が企む
「共謀罪」の恐怖
2017年1月7日 日刊ゲンダイ

 またこの“手口”だ。安倍政権が20日に召集する通常国会での成立に並々ならぬ意欲を見せている「共謀罪」(組織犯罪処罰法改正案)。
過去3回も廃案に追い込まれた悪法だが、今回は「テロ対策」と「東京五輪」を“口実”に突破を図るつもりだ。
「共謀」を「計画」としたり、名称を「テロ等組織犯罪準備罪」に変えたりしているが、「集団的自衛権の行使容認」を「安保法」と言い換えて強行採決した時と同じ。
おそらくロクに審議もせず「数の力」で押し切るつもりだ。

「政府が検討しているのは従前の『共謀罪』とは別物だ」
 菅官房長官は6日の会見でこう説明していたが、大ウソだ。

元朝日新聞記者で情報法制に詳しい中川亮弁護士はこう言う。
「対象をテロに限定した明示はどこにもありません。
従前の共謀罪の対象とされた600以上の犯罪は今回の法案でも同じ。
悪名高き戦前の治安維持法よりタチが悪い。

『準備行為が必要』とされていますが、行為そのものではなく、考えたり、思ったりという『内心』が罰せられる、という本質は変わっていません」
 犯罪の“意思”を立証するには、メールや電話を盗聴するか、密告しか方法がない。
安倍政権は昨年5月、盗聴法の拡大や密告を奨励する「司法取引制度」を含む改正刑訴法を成立させた。
これに今回の「共謀罪」が加われば、捜査当局は何でもやりたい放題だ。

■第2の「菅生事件」が起きるのは確実
当局が目をつけた団体にスパイや警察官を潜り込ませるのが、情報収集の確実な方法です。
たとえバレたとしても『テロ対策』と言い逃れするでしょう。
そういう恐るべき超監視社会が訪れる可能性があるのです」(中川亮弁護士)

 1952年に大分・菅生村で起きた「菅生事件」は、捜査当局が共産党内部に警察官をスパイとして送り込んだだけでなく、自作自演の駐在所爆破事件を起こし、共産党員らを犯人にでっち上げた。
「共謀罪」が成立すれば、第2、第3の「菅生事件」が起きる可能性があるのだ。

「監視社会を拒否する会」の共同代表を務める田島泰彦上智大教授(メディア法)はこう言う。

「(安倍政権は)テロ対策と東京五輪という2つのキーワードを使って、表立って反対できないようにしてきました。
だが、テロというなら、テロを生み出している貧富の格差や不平等など根本的な努力をすべきです。
東京五輪だって、福島の原発問題にふたをして持ってきた大会です。
それを口実に、共謀罪を新設するのは、欺瞞の上塗りです」

 この法案は安保法やカジノ法とは比べ物にならないぐらいタチが悪い。
今度こそ、強行採決なんて暴政を許したらダメだ。
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2017年01月10日

成人の日に考える 傍らを歩く人になる

成人の日に考える 
傍らを歩く人になる
2017年1月9日 東京新聞「社説」

 成人おめでとうございます。
ずっと誰かに守られながら大人になった。
だから今度は誰かの味方になってほしい。
私たちも、あなたを見守り続けます。

 名古屋を拠点に活動するタレントで書家の矢野きよ実さんは、3・11の震災直後から、被災地の子どもや大人に毛筆を握ってもらい、思いの丈を思ったままに書にしてもらう、「書きましょ」プロジェクトを続けています。

 そんな矢野さんに、新成人へのメッセージをつづってほしいとお願いすると、快く引き受けてくれました。
 一月二日の未明に起床。
新年の作法にのっとり、朝一番の清冽(せいれつ)な水をすずりに取って姿勢を正し、気持ちを込めて墨をする。

 六年前、震災の年の四月、すずりの名産地として知られる宮城県の旧雄勝町(石巻市)を訪れたとき、大津波にのまれたまちの瓦礫(がれき)の中から拾い上げ、譲ってもらった“きずな”のすずりです。
 「ことし最初の一枚、文字通りの書き初めです」と矢野さんが届けてくれた贈る言葉は−。  

去年の十月、矢野さんはいつものようにたくさんの筆と紙を携えて、福島市郊外の旧茂庭中学校へ出掛けていきました。
おととしの秋にも訪れた場所でした。
 廃校の校舎で開いた「書きましょ」プロジェクト。
床の上に全紙サイズの紙を広げて、心の中に溜(た)まった言葉を吐き出してもらおうという試みです。
 集まったのは市内の復興公営住宅で暮らす大人十人、DV(家庭内暴力)の被害に遭って支援センターに保護されている小、中、高校生約二十人。  
ほとんどが、福島第一原発のある双葉町を事故で追われた人たちでした。
 震災の年からすでに広がり始めたDVや“福島いじめ”に、矢野さんは心を痛めていたそうです。

◆今生きているということ
 六十歳代後半とおぼしき女性は、じっくりと時間をかけて「慶子へ」と、いまだ行方不明のままの娘の名前をしたためました。
 海辺で働いていたのでしょうか。
「波に持って行かれたの、まだ出て来ないのよ」と、問わず語りにつぶやく母。
「これ、連れて帰ってええですか」と、自ら書いたその文字を、いとおしむように言いました。  

エクアドルから移住したという小学校四年生の女の子。
力強く「泣くな 笑え おまえは1人じゃない!!」と書きました。
 大人が泣くと、子どもは笑う。
泣けずに笑う−。
そんな姿を矢野さんは何度目にしたことでしょう。
前の年のことを思い出したのはその時でした。
 二時間の作業の後半、思い思いの場所で思い思いに筆を走らせていたはずの子どもたち、六歳から十歳の子どもたち数人が、ほぼ同時に同じ言葉を書いた、そんな不思議な光景を。
 「自分で守る」「命を守る」「私が守る」「天国へ行ってもぜったい見守る」…。
何かを乗り越えようと書に向かう子どもたち。
矢野さんには、贈りたい言葉がありました。

 そこで新成人の皆さんに、お願いがあるのです。
 第一に、今生きているというキセキのような現実を思い切り味わっていただきたい。
 生きて、成長し、成人のこの日をつつがなく迎えられるということは、ただそれだけで祝う値打ちがあるのだと。
 次に、被災地のこと、ふるさとに帰れない人のこと、忘れないでいてほしい。
 東北や熊本の被災地に、福島に、思いを寄せるということは、この国の、つまり、自分自身の未来について考えるということなのだから。

◆時には“月の人”になる
 そして最後に、傍らで涙をこらえている人に「大丈夫」と言える大人になってほしい。
 キセキを起こせなくていい。
戦う必要なんてない。
傷んだ人や悩める人のそばにいて、「大丈夫だよ」と、小声でひと言ささやくだけでも構わない。
 「大丈夫」と「大人」。
何となく見かけも似ていませんか。

 もちろん、太陽のように自ら輝いてももらいたい。
だが時に、傍らで静かに夜道を照らす、“月の人”にもなってほしい−。  
「いつも 味方だよ」
 矢野さんの、皆さんに贈る言葉です。
そして皆さんの方からも、傍らの誰かにそっと、届けてほしいひと言です。
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2017年01月11日

「時代遅れ」は悪くない

香山リカのココロの万華鏡
「時代遅れ」は悪くない
毎日新聞2016年12月27日 首都圏版

 診察室で、ある女性から「私たちのグループで作ったものです」と3枚ほどの紙を手わたされた。
うつ病を治療中の彼女は、同じ病を持つ人たちの話し合いグループに属していて、そこで定期的にニュースレターを作っているのだそうだ。
「すごいですね」と言うと
「いえ、この時代に紙に印刷、なんて時代遅れですよね。
なんでも電子データですませる世の中ですが、私たちはそういうのが得意じゃないのです」と答えた。
診療が終わってからお茶を飲みながらその印刷物に目を通したが、いろいろな人の体験談が載っており、とてもおもしろかった。
 もし、その女性から「私たちのニュースレターを電子メールで送ります」と言われたらどうだったか。
もちろん受け取るとは思うが、そのデータを開いてきちんと読んだだろうか。
もしかすると「あとで読もう」と思ってそのままたくさん来るメールにまぎれてしまったかもしれない。

 アメリカの大学などで行った調査によると、インターネットの交流サービスで何かのニュースを拡散する人の6割近くは、内容をよく読まずに見出しだけで「これはおもしろそう」と思ってそうしているのだそうだ。
そうやって送られた人は、また中身を読まずに見出しだけでほかの人たちに拡散する。
そのうち、誰も「本当はどんなニュースだったのか」はわからないまま、「あの人、離婚するんだって」と見出しだけでみんなが何かを知ったような気になってしまう。
これはおそろしいことだ。

 それに比べると、手もとに紙があってそこに何かが書かれていたら、見出し以外にも、全部とは言わなくてもある程度は読むであろう。
本や新聞、印刷された通信などには、昔もいまも変わらない価値があると思う。
 考えてみれば診察も同じだ。
何百年前もいまも、診察室に医者がいて患者さんがそこに入ってきて、顔を見ながら問診をしたり手で患部に触れたりしながら診察を進めていく。
それを「時代遅れ」として軽んじると、命にかかわる問題が起きることもある。

 もちろん技術は日進月歩、私たちの生活もどんどん変わっていく。
とはいえ、世の中が変わってもすべてが「時代遅れ」になるわけでない。
とくに高齢の人たちには、自分が身につけてきたやり方や習慣を大切にして「もう私は遅れた人間」などと自信を失わないでほしいと思う。
たまには「これが私のやり方だ」と、がんこ者になってもいいのだ。
(精神科医)


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新元号の話題で昭和生まれが反応 「平成の間に結婚できない可能性」「平成ライダーももう終わり」

新元号の話題で昭和生まれが反応
「平成の間に結婚できない可能性」
「平成ライダーももう終わり」
2017年01月10日 14時03分 おたくま経済新聞

 政府が、天皇陛下の譲位の希望をうけ、平成31年(2019年)1月1日に皇太子様の天皇即位を行う方向で検討に入ったことが報道されています。

■昭和生まれ「平成の間に結婚できない可能性……」

 天皇陛下の譲位にあたっては、皇太子様の天皇即位および「新元号」の誕生を意味します。
天皇陛下は即位30年を節目に譲位を希望され、決定すれば平成31年1月1日が新元号のスタートとなる見込みですが、新元号の誕生により昭和生まれの人達からは思い思いの声がネットに上げられていました。
・より化石扱いされるのか
・今まで昭和生まれと平成勢に骨董品扱いされてきたけど、さらにはかどりそう
・昭和生まれで平成の間に結婚できない可能性……
・平成生まれもじじいばばあ扱いされる時代になるのか
・平成ライダーシリーズももう終わりか 昭和ライダーからのファンとしては感慨深い

 かねてより昭和生まれは、ネタ的に平成生まれの人達から「じじい・ばばあ」扱いされたり、まるで古いもののように扱われてきた部分があります。
そのため、改元により「お前らも人のこと笑ってる場合じゃないぞ」という雰囲気が昭和生まれの間に漂いつつ、同時に「古いもの度」がさらに進んだだけで「昭和生まれ感覚の明治・大正生まれになるだけ」という空気も漂っていました。

■とはいえ昭和は64年まであったからね!
 とはいっても平成は30年、対し昭和は64年までと倍以上。
でも言うほど昭和生まれ全員が全員「じじい・ばばあ」化しているという訳ではありません。
昭和64年であり平成元年となる1989年生まれの人なら、2017年は28歳。
まだまだピッチピチのヤングな部類に入るのではないでしょうか。

 最近では昭和64年が1週間しかなかったためか「幻の昭和64年!」「衝撃!昭和には64年があった!」などとネットで都市伝説的に扱われ、さらに昭和生まれを恋愛対象とすることを「昭和専」と表現することまであるそうですが……。まぁ、気は持ちようだと思います。気休めかもしれませんが。(遠い目) (宮崎美和子)
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2017年01月12日

軽い痛みでも発症…くも膜下出血の“サイン”を見逃すな

軽い痛みでも発症…
くも膜下出血の“サイン”を見逃すな
2017年1月11日 日刊ゲンダイ

 後頭部をガーンとハンマーで殴られたような痛み――。
くも膜下出血は激烈な痛みが特徴とされるが、実は、軽度な痛みで起こるケースもある。
かえって見過ごされやすく、要注意だ

 1年前の「あの日」を振り返るのは、会社員のAさん(58)だ。
数日前から頭痛が続き、鎮痛剤を飲んでも治まらない。
もともと頭痛持ちで、ある意味で頭痛に慣れてはいた。
いつもなら、市販の鎮痛剤を飲めば痛みが徐々に消える。
時に1錠では足らず、時間を空けて2錠飲むこともあったが、2日、3日と日をまたいで頭痛が続くのは初めてだった。
 妻からは「病院で薬をもらった方がいいんじゃない?」と言われていたが、仕事で厄介な案件を抱えている時期だったこともあり、病院に行く時間が惜しかった。
そのうち良くなるだろうと楽観視して、仕事をこなしていた。

 激痛に襲われて倒れたのは、休日出勤中だった。
幸いにも部下が職場にいたことで、速やかに救急搬送してもらえた。
検査結果は「くも膜下出血」だった。
さらにAさんの運が良かったのは、救急搬送先に脳神経外科の名医が当直でいたことで、すぐに緊急手術が行われた。
Aさんは片足の軽いマヒは残ったものの、一命を取り留めた。
後に主治医からは、「頭痛が治まらない時点で、病院に来ていれば……」と言われた。

■薬を飲んでも頭痛が1日以上続く
 脳神経外科医で、頭痛患者を多数診ている「くどうちあき脳神経外科クリニック」の工藤千秋院長は、Aさんの事例を「決して珍しいことではありません」と話す。
くも膜下出血の典型的なものでは、動脈にできた瘤(動脈瘤)が爆発するように破れます。
これによって、激烈な痛みが生じます。
しかし、破ける前に、血液がジュワーッと血管の外に染み出ていく場合があります。
すると痛みは、どちらかというと軽いようになるのです

 頭全体が重苦しい。時に吐き気もある。
Aさんに見られたように、鎮痛剤では痛みが治まらず、場合によっては数日間続く。
「これは、いわば大爆発となるくも膜下出血の前段階のような状態です。
放置したからといって瘤は消えません。
そして、何らかの拍子に瘤が本格的に破れてしまうのです」

 くも膜下出血は、発症すると50%が死に至るといわれている。
治療によって、ほとんど後遺症なく社会復帰できるのは30%程度との指摘もある。
もし、本格的に破れる前に発見できて治療を受けられたら、非常に幸運といえる。
だからこそ、サインを見逃してはいけない。

 脳梗塞などの脳卒中では、体の片方のしびれ、マヒ、言葉が出ない、ふらつく、視野が狭まるといった症状もあるが、くも膜下出血に関しては、頭痛と吐き気が表れる。

命拾いした患者の中には、「数日前から風邪だと思っていた」と話す人もいる。
頭痛や吐き気からくる連想だろう。
高血圧はくも膜下出血にも頭痛にも関係していて、『血圧の薬を飲んだら頭痛が治まった』というケースもあります。
これならくも膜下出血を心配しなくてもいいでしょう。
しかし、頭痛薬も含めて薬で症状が改善しなければ、すぐに外来を受診するか、救急車を呼ぶ。即行の対応が求められます」

 くも膜下出血は、働き盛りの世代に多い。
それゆえに「様子を見よう」「この仕事が終わってまだ症状があったら病院へ行こう」などと考えがちだが、それが、命を縮める結果につながりかねないのだ。
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2017年01月13日

<円谷幸吉>国民の心打った英雄

<円谷幸吉>国民の心打った英雄
2017年01月09日月曜日 河北新報

 戦後最大のイベント、東京五輪が生んだ英雄、円谷幸吉が亡くなって五十回忌を迎えた。
27年の短い生涯を駆け抜けた円谷の姿はわれわれに何を残すのか。(宮田建)

◎今に生きる/駆け抜けた27年の生涯
 冬の風物詩、東京箱根間往復大学駅伝。
陸上の長距離走に親しむ者なら誰もが憧れる舞台だ。
今年、精鋭たちを率いた監督20人のうち5人までが福島県出身者だった。
 駒大の大八木弘明(会津若松市出身)、東洋大の酒井俊幸(石川町出身)、早大の相楽豊(郡山市出身)、日大の武者由幸(相馬市出身)、国士舘大の添田正美(須賀川市出身)。

 ランナーに目を向ければ、往路4区で須賀川市出身の阿部弘輝(明大1年、学法石川高出)が疾走した。
 長距離と福島。
関係性を考えていくと、ある人物の姿が浮き上がってくる。

<地元に夢引き継ぐ> 円谷幸吉(1940〜68年)。

1964年東京五輪のマラソン銅メダリストで生まれと育ちが須賀川市。
メキシコ五輪が行われる68年の1月9日、所属する自衛隊体育学校(東京都練馬区)の宿舎で右頸(けい)動脈をカミソリで切り、自死した姿で見つかった。
 時に、「明」よりも「暗」を強調される選手でありながらも、地元にはスポーツ少年団「円谷ランナーズ」や「円谷幸吉メモリアルマラソン大会」があり、第2の円谷を育てようという夢が引き継がれている。
 箱根を走った阿部はここから巣立った。

地元の岩瀬郡市陸上競技協会理事長の本田実(65)は「(阿部が箱根駅伝を走り)階段を一つ上ることができた。
いつか五輪選手が出ればうれしい」と感慨深げだ。

 なぜ、円谷の名は半世紀たった今も色あせないのか。
瀬古利彦や有森裕子らはどうして生家や菩提(ぼだい)寺にまで足を運び、冥福を祈るのか。  

時計の針を68年に戻す。
社会全体は騒然としていた。
ベトナム反戦運動が国内外で高まりを見せ、全共闘が生まれて大学紛争が激しさを増した。
この年、日本は国民総生産世界2位の経済大国になる一方で、公害や交通戦争など高度経済成長のひずみも顕在化した。
 いわば「時代の転換点」での円谷の死だった。

<栄光のメダル重く>
 遺体発見時、都内在住だった姉、岩谷富美子(82)は小さな子をおぶって親族で一番に駆け付けた。
6男1女の末っ子幸吉とは6歳違い。
最愛の弟の頬を両手で包み込み、「泣きながらさすった時の冷たさを今も覚えている」。
それは、頼れる人がいなかった円谷の心に触れた、ともいえる。

 当時の河北新報は円谷の死をこう伝えた。
見出しは「重かった栄光のメダル」「故障続きにあせり?」。
東京五輪で国立競技場を埋め尽くした7万5000の大観衆の中、英国のヒートリーに抜かれ3位に後退。
レース後、「4年後のメキシコ大会を目指す」と国民に「約束」したことで、かえって円谷は呪縛に陥ったのか。
 期待の重圧に敗れ去っていく選手は、過去にも今にもあまたいる。
しかし、円谷は想像もできないほどの栄光を極め、やがて誰も経験したことのない挫折感に打ちのめされた。
人はそのことを知っている。
だからこそ、あの「遺書」に胸を締め付けられ、涙する。(敬称略)

■円谷幸吉の遺書全文
【親族宛て】 (1枚目)
父上様 母上様 三日とろゝ美味しう ございました、
干し柿 もちも美味しうござい ました、
敏雄兄、姉上様、おすし美味しうござい ました、
勝美兄姉上様、ブドウ酒、リンゴ美味しう ございました、
巌兄姉上様、しそめし、南ばんづけ美味しう ございました、
〓久造兄姉上様、ブドウ液、養命酒美味しう ございました、又いつも洗濯ありがとうございました、
幸造兄姉上様 往復車に便乗さして戴き 有難とうございました、モンゴいか美味しうござい ました。
正男兄姉上様、お気を煩わして大変申し訳
(2枚目) ありませんでした、
幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、 ひで子ちゃん、良介君、敬久君、みよ子ちゃん、 ゆき江ちゃん、光江ちゃん、彰君、芳幸君、 恵子ちゃん、幸栄君、 裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君、 立派な人になって下さい。
父上様 母上様 幸吉は、もうすっかり 疲れ切ってしまって走れません
  何卆 お許し下さい。
気が休まる事なく、御苦労、御心配をお 掛け致し申し訳ありません、 幸吉は父母上様の側で暮しとうございました、

【体育学校上官宛て】
校長先生 済みません、
高長課長 何もなし得ませんでした、
宮下教官 御厄介お掛け通しで済み ません、
企画室長、お約束守れず相済みません、 メキシコオリンピックの御成功を祈り 上げます、
 一九六八・一、 【注】〓は「七」を3つ重ねた字

●円谷幸吉(つぶらや・こうきち)
1940年5月13日、福島県須賀川町(現須賀川市)で出生。
同町の小中学校、須賀川高を経て陸上自衛隊に入隊。
八戸教育隊、第6特科連隊(郡山市)を経て、62年自衛隊体育学校特別体育課程の1期生として入校。
64年東京五輪の男子1万メートルで6位入賞、マラソンで銅メダル。
65年河北文化賞受賞。
67年3月、中大第二経済学部(夜間)を卒業。
68年1月9日午前、体育学校幹部宿舎の自室で自死している姿で発見された。
命日は同8日。163センチ、53キロ(東京五輪代表選出時)。
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2017年01月14日

野党の選挙共闘 小異残して大同に付け

野党の選挙共闘 
小異残して大同に付け
2017年1月13日 東京新聞「社説」

 年内にも想定される衆院解散・総選挙。
「安倍一強」の政治状況に野党はどう臨むべきか。
政権批判の民意集約には、野党候補の絞り込みが必要だ。
小異を残しつつも、大同に付かねばならない。

 第二次安倍内閣発足から四年。
昨年十二月の内閣支持率は54・8%と、前回十一月より5・9ポイント下がったとはいえ依然、高水準だ。
自民党総裁としての任期は三月の党大会で「連続三期九年」に延長され、次の総裁選に勝てば、長期政権も視野に入る。
首相にはまさに「わが世の春」である。

 しかし、安倍政権の下での国会は、惨憺(さんたん)たる状況だ。
 昨年の臨時国会では年金支給額を抑制する法律の採決を、議論を打ち切って強行した。
現行の刑法が賭博として禁じるカジノを合法化する法律の審議も強引に進め、会期を延長してまで成立させた。
 さかのぼれば、多くの専門家らが憲法違反と指摘した「集団的自衛権の行使」を認める安全保障関連法の成立も強行した。
 今月二十日に召集予定の通常国会では、問題点が多く、過去三度廃案になった「共謀罪」を盛り込んだ法案の成立も目指す。

 反対意見に耳を傾けない国会運営がまかり通るのは、与党が衆参両院で圧倒的多数を占めているからだ。
状況を変えるには、野党が選挙で議席を増やすしかない。

 昨年夏の参院選で、民進党など野党四党は、三十二の改選一人区すべてで候補者を一本化して選挙戦に臨み、一定の成果を上げた。
 暴走する安倍政治に歯止めをかけるため、民進、共産、自由、社民の野党四党は次期衆院選での共闘に向けた協議を急ぐべきだ。
 多くの候補者を擁立する民進、共産両党間では二百近くの小選挙区で候補者が競合する。
 民進党の支持組織である労働組合の連合では、共産党との共闘に慎重論が根強いが、野党候補が競合したまま衆院選に突入すれば、与党が漁夫の利を得るだけだ。
 どうしたら政権批判票を最も多く集約できるのか、という観点から候補者の絞り込みを進めてほしい。

 衆院選は政権選択選挙である。
与党側は、野党共闘を「理念も政策も違う選挙目当ての野合」と批判するだろう。
 野党の議席を増やし、政権の暴走に歯止めをかけることは共闘の大義に十分なり得るが、主要政策では可能な限り、安倍政治に代わる選択肢を示すことが望ましい。
その努力こそが、野党共闘をより力強いものとする。
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<生活保護>「受給は恥」思いつめた高齢困窮者の悲劇

<生活保護>
「受給は恥」思いつめた
高齢困窮者の悲劇
毎日新聞 1/14(土) 9:30配信

 少ない年金収入なのに、生活保護受給を「恥ずかしいこと」ととらえる高齢者が少なくありません。
申請すれば受給できるはずなのに、なぜ頼ろうとしないのでしょうか。
そこには制度を「施し」と捉える、悲しいほど真面目な国民性がありました。【NPO法人ほっとプラス代表理事・藤田孝典】

◇「生活保護をもらうなら死んだ方がマシ」
 以前ほどひどくないにせよ、申請窓口で生活状況を根掘り葉掘り聞かれる状況は変わりません。
 大学を卒業したばかりのケースワーカーや自治体職員に「家族を頼れないの?」「もうちょっと働けないの?」「なぜこんなに貯金が少ないの?」と聞かれます。
理屈は通っていますが、若者の遠慮ない質問は、長く生きた人間の最後のプライドにグサグサと突き刺さります。
 親族への扶養照会もあります。

生活保護法は、3親等以内の親族が扶養できない場合に保護を認めることになっています。
しかし、親族に困窮を知られたくない高齢者はたくさんいます。
とりわけ、子供や成人した孫ならなおさらです。

 例えば、成人した子供が困窮する親を扶養する義務については、「(子供の)社会的地位にふさわしい生活を成り立たせた上で、余裕があれば援助する義務」と規定されているに過ぎません。
しかし、「扶養照会で子供に困窮がばれるかもしれない」「子供の家庭生活に迷惑をかけるかもしれない」と親が考え、申請をためらわせるハードルにもなっています。
 また、困窮当事者には、保護されることを「恥ずかしい」と感じる意識が強くあります。

私たちが、「生活保護で当面の危機を回避しましょう」「恥ずかしい制度ではありませんから」と提案しても、「いや、恥ずかしい制度ですよ。
生活保護受けるぐらいなら、死んだ方がマシです」とか、「生活保護受けるようになったら人間終わりです」と言う人が多いのです。
 この意識は年齢に関係ありません。
会社を休職した男性(24)に保護を進めたところ、彼はこう言いました。
 「こんな若い僕が、生活保護をもらえるはずがないじゃないですか。本当に受給できるんですか。それ以上に、もらったら申し訳ないじゃないですか」  

◇働けなくなったらすべて自己責任?
 生活保護制度は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定する憲法25条の理念に基づいて運営されています。
条件さえ満たせば、無差別平等に保護を受けることができます。
困窮の原因は問われません。
 にもかかわらず、制度利用に対するバッシングや批判は止まることがありません。
私たちの意識のなかに、生活保護とは自立していない人が受けるもの、あるいは怠けていた人が受けるもの、計画性がない人たちが受けるものという感情があるのでしょう。

 勤勉で真面目な国民性ゆえに、一生懸命計画的に生活してきた人ほど、保護を必要とする人たちを枠からの逸脱と見なす傾向が強いように思えます。
私たちのような支援団体やソーシャルワーカーには、日本は過度に自立を求める社会、と映ります。その意識は保護を必要とする側も同じです。

 私たちが一緒に生活保護を申請した70代の男性は、無年金状態でした。
困窮していた彼はそれでも「ほんとに嫌だ。生活保護だけは嫌だ」と言い続けました。
 「生活保護以外の制度は? お金を貸してくれる銀行はないの?」と何度も尋ねるので、「こんな所得で貸してくれる銀行なんてないですよ」と言うと、今度は「じゃあサラ金から借りたい」と言います。
「貸してくれるはずがないでしょう」と説得し、ようやく申請に行きました。
 市役所のケースワーカーですら「こんなに困るまでがまんしなくていいですよ」と言うほどの困窮ぶり。
男性は「ありがとう」と涙を流しながら申請書類を書きました。
でも結局、自殺を図ってしまいました。

 アパートに残された遺書には、「この年になってお国の世話になるのは本当に申し訳ない。だから命を断ちます」と書いてありました。
ケースワーカーに聞いたところ、保護費を受け取りにくるたびに「ほんとに申し訳ない、申し訳ない」と頭を下げ、謝っていたそうです。
 「早く仕事を見つけますから」と謝る男性に、「大丈夫ですから、もう見つけなくていいんです。
年金だと思って暮らしてくださいよ」とケースワーカーが言葉をかけても、彼は「いやあ、私は年金を掛けてなくて、本当に自分の落ち度です」と、最後まで自罰的態度を崩しませんでした。  

「まさか自分が働けなくなるとは、夢にも思わなかった」
 そうなった時、あなたはどうしますか。

◇生活保護の申請方法は
 生活保護の申請は全国の福祉事務所で受け付けています。
事務所は市役所や分庁舎内にあることが多く、「福祉課」「保護課」「社会福祉課」など、部署名は自治体によって違います。
 申請後14日間の調査期間があり、ケースワーカーによる家庭訪問
▽預貯金、保険、不動産などの資産調査
▽扶養義務者に扶養が可能かどうかを確認する通知書送付(DV被害者など特別な理由は除く)
▽年金や収入などの調査
▽就労できるかどうかの調査−−が行われます。

申請から原則2週間以内に受給の可否が決まります。
生活保護法24条は「申請があったときは保護の要否、種類、程度と方法を決め、申請者に書面で通知する」と定めています。
申請を受理しないのは「保護申請権」の侵害とみなされます。
しかし実際には、申請意思を持つ人を窓口で追い返したり、相談扱いにして受理しなかったりする「水際作戦」も残っています。
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2017年01月15日

犯罪話し合いだけで処罰の法案成立か

鷲尾香一「“鷲”の目で斬る」
安倍政権、
「犯罪を話し合っただけ」で
処罰される法案成立へ…
警察の恣意的判断のみで逮捕
2017.01.14 Business Journal

文=鷲尾香一/ジャーナリスト

複数の人が話し合って犯罪を行うことに合意する――。
その疑いがあるだけで罪に問える「共謀罪」が、法案成立に向けて動き出しそうだ。
犯罪行為を犯さなくとも処罰することができる共謀罪は、捜査当局により拡大解釈される恐れがあり、不当逮捕や人権侵害につながる可能性も大きい。

 1月5日、菅義偉官房長官は記者会見で、テロ対策強化策として共謀罪の新設を柱とする組織犯罪処罰法改正案を、1月20日召集の通常国会に提出する方向で検討していることを明らかにした。
さらに10日、自民党の二階俊博幹事長は通常国会での成立を目指す考えを明らかにしている。  

共謀罪は、2003〜05年に小泉純一郎政権が3回にわたって国会に提出したが、野党や日本弁護士連合会、そして世論の反発が強いことから、成立が断念された。
今回、突如として共謀罪成立に向けた動きが出てきたのは、2020年東京五輪・パラリンピックに向け「テロ対策の一環」と強調することで、国民の理解を得られるとの読みがある。
さらに、「国民の理解を得られなくとも、現状であれば数の力で成立できる」(自民党幹部)との思惑もある。
つまり、最後には安倍政権が得意とする“強行成立”戦法が控えている。

対象になる犯罪は膨大
 そもそも共謀罪の議論は、国連が2000年に採択した「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」(国際組織犯罪防止条約・パレルモ条約)の締結がベースとなっている。
条約を締結するためには、共謀罪など国内法の整備が必要とされている。
同条約は16年8月1日現在187の国・地域が締結しており、G7(先進7カ国)で未締結なのは日本のみとなっている。
 この国際条約は、国際組織犯罪について、特定の行為の犯罪化や国際協力等を幅広く条約という法的拘束力のある形式で定めている。
日本政府は20年の東京五輪・パラリンピックに向け、テロ対策上で各国と連携を強化する必要があるとし、国際組織犯罪防止条約を締結するためにも共謀罪の創設が必要としている。

 ところが、国際条約はテロ対策に主眼を置いたものではない。
マフィアなどのマネーロンダリング(資金洗浄)対策などを中心としており、政府が主張する「テロ対策のため」という理屈には無理がある。
条約は、あくまで「テロ資金」を取り締まるための意味合いが強い。

 共謀罪は、複数の人間が話し合って、ある特定の犯罪を行うことを合意(共謀)しただけで成立し罪に問える。
通常、犯罪行為とはその具体性が罪に問われるもの。
話し合いをもって合意すれば罪に問われるとなれば、極端な話、居酒屋で酔っ払った勢いで、上司が気に入らないから制裁を加えようと怪気炎を上げ、その場にいる複数人が同意すれば罪に問われることになる。

 このため、これまでの法案作成作業では、共謀罪の対象を「組織的犯罪集団」に限定する方向で検討されている。
ただ、1月7日付産経新聞によれば、国際条約の規定では懲役・禁錮4年以上の犯罪が対象となることから、共謀罪の対象になる犯罪は676に上るとしている。
このなかには、テロ行為とはまったく関係のない、道路交通法や公職選挙法なども含まれている。

民進党幹部は、次のように指摘する。
「組織的犯罪集団とは何を指すのか明確ではない。
警察がその集団を組織的犯罪集団と認定すればよいだけで、誰でも組織的犯罪集団の一員になる可能性がある。
拡大解釈がされる可能性は高く、共謀罪は非常に危険な法律だ

表現の自由を脅かす可能性
 当然、思想の自由や人権への配慮、労働組合など団体に対する正当な活動を制限してはならないといった「配慮規定」は盛り込まれる。
しかし、ある憲法学者はこう警鐘を鳴らす。
「配慮規定は人権を侵害する可能性が高い法律に盛り込まれるものだが、その効果はほとんどないのが実態。
憲法上の内心の自由や表現の自由を脅かす可能性は非常に高い

 さらに、共謀罪を立件するためには、犯罪に関する話し合いが行われ、合意がなされた事実を証明する必要がある。
このため、捜査当局による盗聴や盗撮などが行われる可能性が高まるとの見方は多い。
 このように、共謀罪の創設は犯罪の実行がなくても罪に問えるため、犯罪行為を処罰する現在の刑事法体系を大きく逸脱することになる。
それでも、安倍政権は共謀罪の創設に突き進む方針だ。
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2017年01月16日

共産党 さらなる変化が必要だ

共産党 さらなる変化が必要だ
毎日新聞「社説」2017年1月15日 東京朝刊

 共産党大会がきょうから4日間の日程で開かれる。
国政選挙で民進党など他野党との選挙協力を推進し、現在の野党勢力による連合政権を目指していく方針を了承する運びだ。

 昨夏の参院選では共産党が「1人区」で野党の選挙協力を主導し、一定の成果をあげた。
だが、野党による政権構想を掲げるのであれば、安全保障など基本理念の共有をおろそかにできない。
 大会は3年ぶりで、志位和夫委員長は再任される見通しだ。
民進党の安住淳代表代行、社民党の吉田忠智党首ら他党の幹部が共産党大会としては初めて来賓として出席する。
 共産党の動向がこれまで以上に注目されているのは、野党内で単独で行動するよりも、連携を重視する路線に大きくかじを切ったためだ。

 同党は安全保障関連法の廃止などを野党連携の柱に掲げ、野党による暫定政権として「国民連合政府」の樹立を提唱している。
次期衆院選についても民進党などとの選挙協力に積極姿勢を示している。

 安倍内閣が安保関連法を制定した際、反対運動に参加した若者らが野党結集を呼びかけたことなどが背景にある。
確かに野党がバラバラでは1強自民を利することになる。
共産党が影響力を行使するうえでも、連携重視は現実的な判断だった。


 だが、政権構想に踏み込むのであれば次元が異なる。
党大会の決議案は「綱領や将来像が違っても、当面の一致点で協力することが政党間の共闘では当たり前だ」と主張するが、政策の根幹部分が食い違うような政権構想では同意できない。

 共産党は「現実・柔軟路線」として2004年に綱領を全面改定し、天皇制や自衛隊の当面容認に転換した。
ただ、現綱領でも天皇制は「存廃は将来、国民の総意によって解決されるべきもの」とし、自衛隊は最終的に解消を目標としている。
 野党の政権構想に関して共産党は日米安保条約廃棄を求める主張の一時棚上げを表明したり、天皇陛下臨席の国会開会式に幹部が参加したりするなどの柔軟路線をさらに進めている。
本当に政権への参加を目指すのであれば、綱領のさらなる見直しにまで踏み込むのが筋だろう。  

次期衆院選に向けた選挙協力にも課題がある。
政権の枠組みを決める選挙だけに、どんな政策を野党として目標に掲げるかを参院選よりも具体的に集約すべきだ。

 共産党に関しては、機関紙の部数減少や、党員の高齢化などがかねて指摘されている。
組織政党から脱却し、若い世代に支持層を拡大していくためには、より開かれた政党に体質を改めていく努力も欠かせない。
変化の内実が試されている。

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2017年01月17日

「年金なんて払わなくていい」はサイテーな大人

年金はヤバくない?
「年金なんて払わなくていい」は
サイテーな大人の意見
2017.01.16 messy(川部紀子)

こんにちは。
ファイナンシャルおねえさんこと、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。
 この国では、年齢を問わず老後のお金の心配をしている人が多いようです。
先日も「老後不安」を口にしている新成人がテレビに映っていました。
メディアでも、不安をあおるかのように、「老後難民」「下流老人」といった言葉が続々登場し、公的年金はまるで悪者扱い。
日本中が不安に思うのも無理はありません。

 確かに、公的年金と平均的な老後の日常生活費を比較すると5〜6万円足りないことがデータからわかります。
実際60代の方も、申し合わせたように「毎月5万円貯蓄を切り崩しています」と言っているのを耳にします。

 今回は、若い世代の老後、そして年金は本当にヤバいのかを考えてみたいと思います。

サイテーな大人の意見は
年金なんて元が取れないので払わなくていい
 20歳になったばかりのフリーターから相談を受けたことがあります。
20歳から国民年金を払うことになるわけですが、母親が「お金もないんだし、元が取れないんだから、払わなくていい」と言ったとのこと。
 この母親は巷で聞かれる意見を採用しているだけなので、個人を責める気はありませんが、残念ながらこれはサイテーな大人の意見です。

私が「サイテー」というのはどこを指していると思いますか? 
「払わなくていい」という部分はもちろんなのですが、それよりも「元が取れない」の部分です。
 日本の年金制度は「世代間扶養」という仕組みで成り立っています。
これは、今あなたが払っている年金保険料は、年金受給者、つまり現在のおじいちゃんやおばあちゃんのためのものなのです。
自分で積み立てたお金を老後に受け取るわけではありません。

そもそも、日本の年金制度には、元を取るとか取れないといった概念は一切含まれていません。ですから、私は「年金で元を取る/取れない」の議論が大嫌いです。
 少子高齢化の時代ですから、将来の年金を支える若者が少なくなっていくことはすでに確定しています。
であれば、受け取る年金の額が今より少なくなることは当たり前の話なのです。

お金がないから国民年金をブッチするのは、
おバカ過ぎ!
 お母さんの「お金もないんだし」という発言については、それぞれの事情もありますし、本当に苦しいときもあるでしょうからとがめられません。
しかしその場合でも、なにもせずただただ「未納」のままでいるのは絶対にNGです。
かならず「猶予」「免除」の手続きをしてください。
お金がないという事情が認められれば、払っている人たちと同じグループに入ることができます。
 同じように国民年金保険料を支払っていなくても、ブッチ(未納)と猶予・免除では意味が大きく違います。
払っている人たちと同じグループに入ることがとても大事なのです。
このグループに入ると、たとえ国民年金保険料を払っていなくても老後に年金を受給できる可能性に繋がります。
 また、もしものときの保険の可能性にも繋がります。

年金というと、老後の年金だけをイメージしがちですが、病気やケガで障害状態になった場合の障害年金、自分が死んでしまった時の家族への遺族年金といった保険の側面もあります。
実際に障害年金や遺族年金で助けられている人もたくさんいます。
自分だって、お世話にならない保障はありません。
そして、猶予・免除の手続きをしていれば、これらを受給できる可能性が出てくるのです。

年金には、老後だけでなく、
障害、死亡のときの保険の要素も含まれています。
積立貯蓄のように元を取る/取れないの議論がやはり無意味であることがお分かりいただけるかと思います。
 もし国民年金保険料を支払えないという方は、年金関係のハガキに書いてある連絡先に電話等で確認してから「猶予」や「免除」手続きに出向きましょう。
郵送でできる場合もあります。
面倒くさいと思うかもしれません。
でもその少しの面倒を乗り越えることで得られる価値はとても大きいのです。

目指す境地は
「意外と悪くないじゃん、日本の年金」
 未納者に対して厳しい仕組みに変わることも決まっています。
 未納者には最初に「督促状」が届きます。
そこで指定されている期限内に保険料を払わなかった場合には、給与、預貯金、自動車などの財産が差し押さえられます。
これまでは年間所得350万円、未納月数7カ月以上が差し押さえの対象でしたが、平成29年4月からは年間所得300万円以上で未納月数13カ月以上が対象となります。
既に差し押さえをされた人もいますが、4月からは今まで以上に増えると思われます。
さらに平成30年からは年間所得300万円以上で未納月数7カ月以上と対象が拡大する予定です。  

残念ながら、私たちがこの国の法律を簡単に引っくり返すことはできません。
もちろん望ましい方向に制度を変えていくことも重要ですが、日々の生活を問題なく送るためには、いったんこの国に生まれた宿命として今の制度を受け入れて、いいところを見つける方がずっと気持ちよく年金保険料を払っていけると思います。
 現在の年金制度は、おじいちゃんやおばあちゃんたちを支えることができ、自分や家族の保険の要素もついていて、老後はどんなに長生きしても死ぬまで一生受け取れる、というものです。
長生きすれば、ものすごい金額を受け取ることができるかもしれません。
実際に、現在の年金受給者の夫婦は平均して生涯で6000万円以上を受け取っています。
悪者扱いをされているわりになかなかの金額だと思いませんか? 

今後、受給額は減るとは思いますが、それでもトータルでは自分で積み立てて用意できないほどの金額を受け取れる可能性はとても高いです。
 「元を取れないどころか、この国の年金が破たんするのではないか」という人もいます。
でも年金が破たんする可能性よりも、あなたが長生きをして「元を取る」可能性の方がよっぽど高いと思います。
 過去と比べると実際ちょっぴり寂しさを覚える年金ではありますが、今は今で、未来は未来なので、過去と比べても無意味です。
勉強すればするほど「意外と悪くないじゃん、日本の年金」と感じるようになると思います。

「年金なんて元が取れないので払わなくていい」はサイテーな大人の意見だということをしっかり覚えておいてください。
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2017年01月18日

勉強するときは勉強し、遊ぶときは遊ぶ 勉強するときは勉強し、遊ぶときは遊ぶ

勉強するときは勉強し、
遊ぶときは遊ぶ
2017年01月17日 11時00分 ダイヤモンドオンライン

目標達成が叶うと、達成感で満ちあふれます。
いつも仕事や勉強だけをしている人はどれだけ感じているのでしょうか。
何事にもメリハリが重要です。
シリーズ6万5000部を突破した『ずるい勉強法』より、短い時間で結果をだすための「遊び」について考えていきましょう。

■短い時間で結果を出す
 子どもの頃、「1時間でも多く勉強しろ」と親や先生から言われたものですが、社会人になってからも、上司や先輩から「定時で帰るな、1時間でも長く働け」と言われることがあります。  しかし、時間をかければ結果が出るわけではありません。
たとえ結果が出たとしても、時間がかかっている以上、非効率的です。
むしろ、短い時間で結果を出し、残った時間でほかのことをしたほうが、ずっと効率的といえます。
 短い時間で結果を出すには、すべてにおいて時間制限、つまり、デッドラインを設けることです。
当たり前のことですが、ダラダラとやってはいけません。

限られた時間のなかで全力疾走し、時間内に終わらせるようにするのです。
 勉強でも仕事でも「この時間までにやる」「1時間でやる」と、決めてやるのです。
私も仕事や勉強をするときには、タイムをはかるか、時間制限を設けるようにしています。

 ある会社では、利益を生むために社員に残業を課していましたが、社員も会社も疲弊してしまい、定時で仕事を終わらせるシステムに変更しました。
結果は、残業をしていたときよりも定時で終わらせたほうがよかったそうです。
これも、時間が短くなったぶん、集中して仕事をした成果といえます。

 近年、朝早く出勤して早めに仕事を終わらせることが省庁や企業で推奨されていますが、実際にはむしろ残業が増え、労働時間が長くなってしまっているのが現状のようです。
どんなに朝型の生活が有効でも、時間を区切らないと人はダラダラと仕事をしてしまうのです。  

全力疾走する際には、ただ時間を制限するだけではなく、「目標」をしっかり持つことが大事です。
試験勉強なら「赤点を取らない」、仕事なら「15時までにこの資料を作成する」など、はっきりとした具体的な目標を設定しましょう。
目的意識があるかないかで、そこに向かう「真剣さ」が変わってきます。それは、結果をも大きく左右します。
 さらに、目標を達成するためには、あえてほかの予定を入れると効果的です。
 ほかの予定を入れず、勉強や仕事に集中すべきだと言う人もいますが、私は逆だと考えます。ほかにやることをたくさんつくったほうが効率は断然よくなります。
自分を追い込むことによってパワーが生まれるからです。
 やらなくてはいけないことがあるときほど、遊びの予定を入れましょう。
 たとえば、「遊びの予定があるから勉強は明日に回す」のではなく、「遊びの予定があるから、その時間までに勉強を終わらせる」のです。
そうすると、限られた時間のなかで頑張るため、時間の濃度がグッと濃くなります。
そして、勉強をやり終えたとき、「達成感」と「解放感」が得られます。
遊んでいる最中も、やり残したことがないので、よりいっそう楽しむことができます。
その満足感から翌日も「また勉強を頑張ろう!」という気持ちになります。
プラスのループが続くのです。

 このように、短い時間で全力疾走すれば、勉強も遊びも、100%のパワーで全力投球することができます。
「勉強するときは勉強し、遊ぶときは遊ぶ」の精神で、どちらも思い切り楽しんでください。
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まるで戦時体制 自民が提出「家庭教育支援法」本当の狙い

まるで戦時体制
自民が提出
「家庭教育支援法」本当の狙い
2017年1月18日 日刊ゲンダイ

 戦争準備は共謀罪だけじゃない――。
今月20日に召集される通常国会で、自民党が議員立法で提出する予定の「家庭教育支援法案」。
核家族化など家族をめぐる環境変化での公的支援のためというが、とんでもない。
狙いは国民を“イエスマン”に仕立て上げ、戦争でも何でもできるような体制づくりだ。

安倍政権は天皇退位や共謀罪を尻目にコッソリ通そうとしている。
〈保護者が子に社会との関わりを自覚させ、人格形成の基礎を培い、国家と社会の形成者として必要な資質を備えさせる環境を整備する〉

 自民党の支援法案が描く社会は戦時体制そのものだ。
戦時中の1942年、国民を戦争に総動員するため、「戦時家庭教育指導要綱」が発令された。「家生活は常に国家活動の源泉」として、子どもの“健全育成”を親に要求。
“相互扶助”という名目で「隣組制度」がつくられ、地域住民は各家庭で国家が求める“教育”が徹底されているかを見張り合ったのだ。

■国家に従順な子を育てよ
 今回提出される法案も当時とソックリ。
地域住民について、〈国と地方公共団体が実施する家庭教育支援に関する施策に協力するよう努める〉とあり、さらにそれは「責務」というのだ。

政治評論家の山口朝雄氏が言う。
家庭教育支援というなら、奨学金や育児のインフラ整備など教育しやすい環境を整えるのが政府の仕事です。
そういう必要な支援はせず、親に委ねられるべき教育の中身に政府が介入し、国家にとって都合の良い人材育成を親に押し付けている。
つまり、支援法は国家が家庭内教育をコントロールして、国家に都合が悪い人材をできるだけつくり出さないためのものなのです。
家庭教育支援法案と共謀罪は従順な国民づくりのための両輪といえるでしょう。

仮に両法案が成立すれば、戦時体制で政府が持っていた治安維持のための法的ツールをすべて安倍政権に与えてしまうことになります」

 これが安倍政権が考える「1億総活躍社会」の正体だ。
何としても阻止する必要がある。
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2017年01月19日

マイナンバー運用/なし崩し拡大はあまりに危険

マイナンバー運用
なし崩し拡大はあまりに危険
2017年1月18日(水)しんぶん赤旗「主張」

 日本に住民票を持つ全員に12桁の番号を割り振り、国が税や社会保障の情報を管理するマイナンバー制度で、住民にたいするマイナンバー(個人番号)カードの交付が始まってから今月で1年になります。
安倍晋三政権はカードの“利便性”の宣伝に力を入れ普及を促しますが、希望者数はほとんど頭打ちです。
この仕組みが、住民にとって不必要で、不安が強いものであることを浮き彫りにしています。
それなのに、政府はマイナンバーを使える対象を広げることばかりに熱を上げています。
国民を置き去りにした前のめり姿勢は、きわめて問題です。

普及促進へ税金を次々と
 マイナンバー制度は2015年10月に施行され、住民に番号を通知する紙製のカードが約5900万世帯に向けて発送されました。

16年1月から本格運用が始まり、税の手続きの際などに使えるようにしたほか、取得を希望する人には個人番号、顔写真、氏名、住所、生年月日などが記載されたプラスチック製のマイナンバーカードが発行されるようになりました。
 しかし、さまざまな事情で住民登録した住所に不在だったなどの理由で、番号が通知されていない世帯が100万件以上残されたままです。

マイナンバーの発行業務でも全国的に管理・運営するシステムのトラブルがたびたび発生し、実務を担う地方自治体の窓口では混乱したところも少なくありません。
多額の税金を投じたシステムが動きだした途端、不調に陥ったこと自体、マイナンバーの仕組みへの疑念を深めるものです。
 カードの希望者も政府の思惑通りに広がりません。
16年度末までに3000万枚の発行を見込みましたが、カードを取得した人は3分の1にも届かず、国内人口の8%程度と低迷しています。
マイナンバーカードは身分証明の他にほとんど使い道はありません。
それどころか、他人に見せてはならない個人番号と顔写真などが一つになったカードを持ち歩くことの方が、個人情報を保護する点からすれば、かえって危険です。
カード申請が頭打ちなのは、国民が制度の利便性を感じず、むしろ不安が大きいことの反映といえます。

 しかし、安倍政権は推進へテコ入ればかりに熱心です。
17年度予算案では、総務省がカード500万枚の追加発行など「利活用推進」へ約230億円も計上しました。
厚生労働省も、マイナンバーを医療分野で利用することをにらんだシステム構築などで240億円余を盛り込みました。
不安にこたえずに、理解や納得もないまま、次々と税金をつぎ込み、なし崩し的にカードの利用分野を広げることは、国民の願いに逆らうものです。

国民への押し付けやめよ
 一昨年125万件の個人情報が漏れて大問題になった日本年金機構でも、1月からマイナンバーが使われるようになったことに国民は危惧を抱いています。
住民税の徴収事務をめぐり地方自治体が事業所に従業員のマイナンバーを知らせるやり方にも自治体・住民の双方から情報漏えいのリスクを指摘する声が上がっています。

 マイナンバーは、徴税強化と社会保障費抑制の手段にしたい国・財界の都合で導入されたものです。
国民に弊害ばかりもたらすマイナンバーは中止し、廃止へ向け見直すことが必要です。
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2017年01月20日

生保行政に蔓延する違法行為 小田原の事件は氷山の一角に過ぎない

生保行政に蔓延する違法行為 
小田原の事件は氷山の一角に過ぎない
1/19(木) 15:48

今野晴貴  
| NPO法人POSSE代表。
雇用・労働政策研究者。

神奈川県小田原市の生活保護担当職員が、「保護なめんな」「不正受給はクズだ」などの文言が入ったジャンパーを勤務中に着用し、着用したまま受給者宅を訪問するケースもあったということが、17日、市の発表で明らかになった。
今回、市はジャンパーの使用を禁止し、担当部長ら7人を厳重注意処分としたようだが、ジャンパーは2007年以降使用されており、10年間にわたって問題は放置されていたということだ。
実は、これまでも生活保護行政による違法行為・人権侵害はずっと繰り返されてきた。

私たちは生活困窮者からの生活相談活動に従事してきたが、その現場は凄惨なものだ。
とりわけ2012年に芸能人の母親の「不正受給」報道に端を発する「生活保護バッシング」以降は、厚生労働省や都道府県の指導も無視して「暴走」する自治体まで現れている。

問題がなかなか明るみにならないのは、違法行為・生活保護受給者は、被害を告発すれば保護を打ち切られるかもしれないという、圧倒的に弱い立場に置かれているために、何も言うことができないからだ。

行政の違法行為・人権侵害は、
(1)水際作戦、
(2)命を脅かすパワーハラスメント、
(3)貧困ビジネスとの連携、の三点に要約できる。
以下ではそれぞれの類型について、事例を交えて紹介したい。

(1)水際作戦
「水際作戦」とは、生活保護を申請しようとする生活困窮者を、行政が窓口で追い返すことである。
これは全国各地で日常的に行われている。
私が代表を務めるNPO法人POSSEに寄せられる相談の中でも、所持金が数百円、数十円しかない方、幼い子どもを抱えた女性や病気・障害で働けない方の被害は、命にも関わる深刻な問題である。
そのやり方は、「若いから働ける」「家族に養ってもらえ」「住所がないと受けられない」などの理由をつけて「申請書を渡さない」という方法が主流だが、「申請書を受け取らない」という、より悪質な手法もある。
例えば、私たちが対応した舞鶴市の事例では、子どもを3人抱えるシングルマザーの女性が生活保護を申請しようとしたところ、所持金が600円しかなかったにもかかわらず、窓口で追い返された。
本人が「申請をしたい」と何度訴えても申請書を渡さず、「帰ってください」「業務の邪魔になる」などと言って対応しなかった上、自作の申請書(※)を窓口に置いて帰ろうとした際には「忘れ物ですよ!」と言って突き返そうとしたのだ。
※生活保護制度では、所定の事項を記載すれば自作の申請書でも申請が認められる。
しかも、申請をしたからといって生活保護が必ず支給されるわけではない。
当然、申請後に行政から審査が行われ、必要だと認められた場合に限って支給が始まるのだ。

そもそも申請をさせないという行為は、生活状況の審査すらも拒否する行為である。
水際作戦が、不正受給とはまったく無関係の違法行為であり、決して正当化されないことは明らかだろう。

(2)命を脅かすパワーハラスメント
「命を脅かすパワーハラスメント」とは、生活保護受給者に対し、行政が「保護の打ち切り」をちらつかせて、時に死の恐怖を味わわせながら圧迫する行為である。
生活保護を受給した後の支援を行う職員であるケースワーカーは、受給者の生活に全面的に介入することになる。
自治体ごとに運営は異なっているが、受給者がただお金だけをもらっているというイメージは誤りで、細かい生活指導が行われているのだ。

問題は、生活保護受給者に対しては、通常は認められないような住民の生活に介入する権限が、行政側に与えられてしまっているということだ。
具体的には、保護受給者のプライバシーに侵入する権限をも持っている。
金銭の使用や生活実態などが細かに調査される。
被保護者の生活に行政が関与するのは当然のことであるとしても、その「やり方」を間違えば、ひどい精神的苦痛を与えることになることが容易に想像される。
そして、さらに恐ろしいのは、行政の指導に従わなかった場合に制裁として保護を打ち切られる可能性があるのだ。
このような、受給者とケースワーカーの絶対的に非対称な関係を背景に、受給後のパワーハラスメントが横行する。
例えば、異性との交際について執拗に調査し、交際禁止の指導をするといったことが行われる。京都府宇治市では、母子家庭の生活保護の申請者に対し、異性と生活することを禁じたり、妊娠出産した場合には生活保護打ち切りを強いる誓約書に署名させていたことが発覚している。
また、大阪市天王寺区では、心臓病で働けない受給者が居候先から引っ越しをする際に、法制度上認められた引っ越し費用を支給せず、転居できなかった。
それにもかかわらず、「転居する予定だったアパートに居住実態がない」ことを理由として保護が打ち切られた。
その際、ケースワーカーらは不正受給摘発チームを作り、受給者を尾行したり、アパートの電気やガスのメーターや、郵便ポストの中身までチェックしていたのである。

(3)貧困ビジネスとの連携
貧困ビジネスとの連携とは、行政がヤクザ的な企業・法人や、生活保護受給者をビジネスの対象とする企業・法人(「貧困ビジネス」)の運営する施設に、受給者を半強制的に入所させることだ。
住居を失った生活困窮者が窓口を訪れると、必ずと言ってよいほど「施設に入らなければ申請させない」と言われる。
そして、実際に入所するとその居住環境は劣悪であることが少なくない。
6畳間に4〜5人が詰め込まれたり、個室があったとしても6畳1間をベニヤ板で二つに仕切っているだけである場合が多い。
風呂は週に3回、食事も1日2回、布団や畳に虫が湧いていることもある。
このような居住環境でも、保護費のほとんどを施設側に徴収され、手元にはごくわずかしか残らない。
貧困ビジネスで印象的な事例は、病気を患っている患者と同居している入所者からの相談だ。
彼は、公衆電話から連絡してきた。
同室の老人が、「重い病気なのに病院に行かせてもらえない」。
24時間監視され、自分自身も外出が難しい。
就職活動をすることも許されないという。


こうした行政とヤクザ的ともいえる貧困ビジネスとの連携は、双方の利害が一致した結果、推進されてきた。
行政にとっては、住居喪失者向けの公的宿泊施設を用意するコストを削減できる。
また、貧困ビジネスが受給者を1ヶ所に集めて管理をしてくれれば、人手不足に悩む福祉事務所の管理コストも減らすことができる。
他方、貧困ビジネスにとっては、公的なお金を安定的に吸い上げることができるわけだ。
恐ろしいことは、貧困ビジネスは被保護者の福祉や社会復帰にまったく興味を持っていない場合も珍しくはないということだ。

先ほどの事例のように、あえて病院を受診させない行為(病気が発覚すれば入院することになり、保護費を搾取できなくなる)や、就職活動すら妨害する行為がその典型である。

おわりに
今回の小田原市の事件は、金額ベースで約0.4パーセントしかない生活保護の「不正受給」をフレームアップし、生活保護受給者の全体を「犯罪者予備軍」であるかのように扱い、彼らを威圧している点で、看過できない深刻な人権侵害である。

だがすでに見てきたように、小田原市に限らず、全国の生活保護行政が多かれ少なかれ問題を抱えている。
この事件の真相究明を機に、職員に対する教育など、再発防止に向けた実効性のある措置が広まることを期待したい。
尚、ここで挙げた事例は拙著『生活保護 知られざる恐怖の現場』(ちくま新書)で詳しく紹介している。

生活困窮に関する無料相談窓口 NPO法人POSSE
03−6693−6313
*社会福祉士ら専門家によって、全国からの相談を受け付けています。
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2017年01月21日

「教育困難校」妊娠事件に凝縮された日本の闇

「教育困難校」
妊娠事件に凝縮された日本の闇
東洋経済オンライン 1/20(金) 15:00配信

朝比奈なを

「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。
さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。
しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どもの学力や、家庭環境などの「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。
本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

■受験校との決定的な意識の違い
 自分の将来を考えずに、今つかんでいる「恋愛」を信じ込み、妊娠→高校中退→結婚・出産と足早に進む高校生は、「教育困難校」では決して少なくない。
一方で、いわゆる「進学校」や「中堅校」ではこのような生徒はほとんど見られない。
これらの高校に通う生徒たちには、恋愛状態になっても、そこで起こす行動と結果が自分の将来にとって損か得かを考える知恵があるのだ。
受験校出身の読者の中には、気になる異性がいても、「お互いの受験が終わるまでは何もしない」と行動を自制していたことを、ほろ苦く思い出す人もいるだろう。

 もちろん、日本では小学校高学年以来、中学、高校と性教育の授業が行われ、その中では妊娠のメカニズムや予防法だけでなく、相手を尊重する人権教育や、キャリア教育の観点も含まれている。
しかし、熱い感情の前では、授業で得た知識は吹き飛んでしまうようだ。
高校生の恋愛では、妊娠する可能性のある女子高生のほうが、当然リスクは大きい。
 また、女子高生という立場をもてはやす現在の風潮と、それに便乗して次々と生み出されるJKビジネスなどを通して、異性と接する機会が多いのも女子のほうだ。
だが、恋愛から高校中退までの行動を起こさせる相手は、同じ高校の先輩や同級生、友達の友達、バイト先や遊びに行った先で知り合った若者など、同年齢か数歳年上の若者がほとんどである。

筆者が忘れられない女子生徒
 筆者には忘れられない女子高生がいる。
彼女はその「教育困難校」では抜群に能力が高かった。
父子家庭に育ち、小学生の頃から弟・妹の面倒を見ていた。
家では落ち着いて勉強ができず、学習塾にも通えなかったので、だんだん成績が悪くなり「教育困難校」に入学したのである。

小柄で眼鏡をかけ、ややふっくらした体形。
化粧っ気はまったくなく、アニメが好きで、お気に入りの作品の主人公をまねて自身を「僕」と称し、クラスの男子生徒とも気取らずに話し友達になれる、およそ「女子力」の低そうな生徒だった。
 事件は2年の2学期に起こった。
彼女は1年生から生徒会役員を務めていたが、1つ上の先輩と恋愛関係になり、妊娠が発覚したのである。
ほかの役員生徒が文化祭準備にほとんど協力せず、責任感のある2人が共同作業をするうちに恋愛に発展したのだ。
相手の生徒も、おとなしい性格の優等生で、男女ともにそのような事件の当事者になるとは教員はまったく予想していなかった。
妊娠が発覚したときはすでに中絶できる時期ではなく、学校を休んで産むことになった。
女子生徒は相手との結婚を望んだが、男子生徒の母親が猛烈に反対し、結局、生まれた子どもは児童養護施設に預けられ、2人の仲も引き裂かれた。

■強烈な愛情渇望症を抱えていた女子生徒
 不適切な男女交際を行ったということで男女別々に生徒指導の対象となり、彼女の指導の際には筆者も同席した。
生徒指導担当教員の話をうつむいて聞いていた彼女だが、「今後、高校生のうちは2度とこのような付き合いはしないように、いいね?」と言われたとき、一瞬顔を上げ、鋭い目つきで何か言いたそうになった。
しかし、次の瞬間、またうつむき、小声で「はい」と答えた。
 日頃見せている明るい表情の裏に、彼女は強烈な愛情渇望症を抱えていたのだろう。
彼女はこの「恋愛」で物心ついてから初めて自分に向けられる愛情を感じ、自分が大切な存在と信じることができ、この「恋愛」を貫く気持ちでいたに違いない。
筆者にはあの一瞬の鋭い視線は、彼女の幸福を壊した周囲の大人を憎む、彼女の気持ちの発露だと思えた。
そして、筆者自身が、まるで「教育困難校」版「ロミオとジュリエット」の悪役の1人のようにも感じた。
相手の男子生徒が卒業した後、彼女は学校に復帰したが、それからの1年は、誰ともほとんど話さず、教員とは目を合わせようとすらしない、寡黙な生徒に変わってしまった。

 子どもの頃に親からの愛を十分に受けられず、その後の人生で人間関係が苦手になることを、心理学では「愛着障害」と呼ぶ。
親の愛情を信じられず愛情渇望状態にあり、それを埋めたいがために恋愛至上主義者となった「教育困難校」の生徒たちは、まさに「愛着障害」の実例と言える。

早い時期に「家庭」を作ろうとするのも「愛着障害」のなせる業なのだろう。
こうして結ばれた若い夫婦は、子どもの数が愛情のバロメーターであるかのように、経済力を顧みず次々と子どもを作る。

「愛着障害」という問題  
「愛着障害」のある彼らは、心の底からわが子を愛したい、伴侶を愛したいと強く思っている。しかしながら、愛されたことのない者には愛し方がわからない。
大人、子どもを問わず、人と人が一緒に生活していくうちには、思いがけない感情の行き違いやトラブルが起こるものだ。
そのような際に、たとえ相互に一時的な感情の爆発が起こっても、相手との人間関係の基盤として愛情と信頼を持ち続けることができれば問題は解決できるが、そうしたことは特に苦手のようである。

 男女ともに若いうちに結婚すれば、経済基盤が弱い中での新生活のスタートとなる。
そして、今の日本社会では子育てに多額のおカネがかかるため、子どもが増えると家計は一気に厳しくなる。
懸命に働き、加えて児童手当や子育て支援を受けても生活は苦しくなる一方で、あまりの忙しさに精神的余裕を失う。

十分な愛情はあっても、子どもにそれを形で示すことが難しくなっていく。
極端な場合には、子どもへの虐待やネグレクトを起こしてしまう。
その結果、再び、子どもの頃の自分同様に、親の愛情を知らない愛情渇望症の子どもを作り出していくことになってしまうのだ。

■信頼関係の構築を体得していない
 また、思うようにならない家庭生活は、夫婦の人間関係にも亀裂を生む。
先述したように、相手に対して愛情と信頼を持ち続けることが苦手な「愛着障害」を持つ2人であれば、ほとんどの場合、離婚に至るだろう。
離婚した夫婦に対して「最近の人は我慢が足りない」と訳知り顔に言う年配者がいるが、我慢ではなく、夫婦とも愛情や信頼関係の構築を体得していないから、離婚するのではないだろうか。  

温かい「家庭」に強くあこがれながら、自身の作った「家庭」を短期間で失い、愛情の渇望感を埋めるために、また次の「家庭」を築こうとする。
このようにして、「家庭」を次々に変え、一生愛情を求めてさまよう人もいる。
いずれにせよ、1人親家庭になれば、相対的貧困状態は一気に加速し、新たに社会保障の必要性がある人が出現することになる。

 晩婚化や労働環境の問題で少子化が改善されない日本社会にとって、若くして結婚し子どもを産む傾向にある「教育困難校」出身者たちはありがたい存在と思えるかもしれない。
しかし、そこで生まれた子どもたちが、親のような「愛着障害」を起こすことなく成長できるようにしなければ、その子にとっても日本社会にとっても将来は楽観視できなくなる。
だが、何の手も打たれないまま、「教育困難校」には恋愛至上主義となってしまった若者たちが、適切なアドバイスを受けることもなく、放置されてしまっているのが現実だ。
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現役医師が実践する風邪予防法、手を洗うまで顔を触らない

現役医師が実践する風邪予防法、
手を洗うまで顔を触らない
2017年01月21日 07時00分 NEWSポストセブン

 風邪大流行の季節だが、皆さんはどのような風邪予防策を講じているだろうか。
病気のプロ、現役医師はどんな予防法を行っているか聞いてみた。
今回話を聞いたすべての医師が、うがい・手洗いをしっかり実行。
これは基本中の基本だ。

 池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんは1日数回、コップ2杯の水で5、6回に分けてうがいをする。
「風邪の予防は水、風邪を引いたらヨードうがい液が有効です」

 秋津医院院長の秋津壽男さんは、ひとつまみの塩を入れたお茶を利用する。
「お茶は必ず1度沸騰させているので殺菌されているし、そこに塩が加わると、のどへの刺激が少なくなります。お茶は出がらしで充分です」

 手洗いも徹底。

おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎さんは、診察後には必ずアルコール消毒液で手を洗っている。
「ウイルスのついた手で顔を触ると感染の可能性があるので、手を洗うまでは顔を触りません」  

池谷医院院長の池谷敏郎さんは「電車のつり革を握ったら、その手では絶対に顔を触らないようにします」と言う徹底ぶり。
顔に触れる前には必ず手洗い、を習慣化しよう。

 服でも体を温めることができる。
秋津さんは「3つの首を温めることが重要」と言う。
3つの首とは、首、手首、足首。皮膚表面に近いところに動脈があるので、ここを冷やすと体力を落としやすいのです。
ですから、寒いときにはレッグウオーマーとマフラーが欠かせません」

 芝大門いまづクリニック院長の今津嘉宏さんは首を温めるためにできるだけハイネックの服を選択。
シャツの時にはネクタイで二重にガードする。
女性ならストール使いのおしゃれを定番化したいところだ。
 ただ、ここまで紹介したのはすべて予防の話。

風邪を引いてしまったら別の対策が必要となる。
過度な厚着はNGだ。
「風邪を引いたら汗をかくことで、体温が下がります。
ところが、厚着をして布団にくるまって寝ると汗が蒸発しにくくなり、熱がこもって寝苦しさの原因となったり、脱水症状を起こすこともありますからご用心ください。
スポーツウエアなど速乾性の衣類を身につけ、こまめに着替えるようにしましょう」(池谷さん)

 引く前はがっちり、引いてしまったらちょいユルと覚えておこう。
            ※女性セブン2017年2月2日号
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2017年01月22日

医師も驚く若者の「免疫力低下」。感染症増加で20代でも風邪から肺炎に!?

医師も驚く若者の「免疫力低下」。
感染症増加で20代でも風邪から肺炎に!?
2017年01月21日 06時00分 週プレNEWS

不規則な食生活、ストレス、そして運動不足…。
現代人の生活は、かつて「オヤジ病」といわれた病気の低年齢化をグイグイ進行させていた!  名医たちの指南で、2017年こそ心機一転、健康なカラダとココロを取り戻せ!

■風邪から肺炎を発症し、
                 入院に至るケースも
人が日常生活を送る空間には、目に見えない雑多な細菌やウイルスが潜んでいる。
ただ、若いうちは免疫機能が活発なため、細菌やウイルスが体内に入っても、めったに病気を発症しない…というのが、これまでの常識だった。


しかし、今の若い世代は細菌やウイルスにめっぽう弱いと、東京・山王病院副院長で、呼吸器外科医の奥仲哲弥先生は語る。
20代、30代で肺炎にかかる人が増えてきたことが、その顕著な例だという。
「肺炎の原因になる微生物はたくさんあり、症状もそれぞれ多少異なりますが、大別すると『院内肺炎』と『市中肺炎』のふたつ。
院内肺炎は入院中に抵抗力が低下してかかる肺炎、市中肺炎は町の中でかかる肺炎です。
10年ほど前まで、市中肺炎は高齢者や慢性疾患の人の病気でした。
若い人が町で肺炎の原因菌を吸い込んでも、せいぜい1日喉が痛いとか、熱が出るくらいの症状しか出なかった。
ところが、今は30代の肺炎患者さんが頻繁に来院します。
しかも、入院して強力な抗生物質を投与しないと治らないほど重症化する人も決して珍しくありません。
また、風邪で抵抗力が弱まった体に市中肺炎菌が入り、発症する若い人もいます。
これも以前ならまず肺炎発症には至らなかったのに、今は“二次遭難”的に肺炎を起こしてしまう。
ストレスや体力低下が原因となって、若い世代の免疫力が落ちているとしか思えないのです

■20代から30代に猛威を振るう結核菌
過去の病気と思われがちな肺結核も低年齢化が進んでいる。
新たに結核になった患者は年間2万人を超えるが、その年齢層は高齢者と、20代から30代の若者とに2層化する傾向があるという。
「実は、結核菌も意外と町の中に存在しています。
結核にかかっても病院に行かない人たちが公園などにいるからですが、結核菌の感染力はそう強くないので、若者が吸い込んでも年齢相応の免疫力があれば発症はしないはず。
しかし、現実には20代の発症が増えているんです。
江戸時代末期、新撰組の若手組員・沖田総司(そうじ)が結核だったことはよく知られていますが、彼がせき込んだり喀血(かっけつ)しても、新撰組の仲間たちには感染しなかった。
もし今の世に沖田総司が生きていたら、周囲の同世代に結核が大感染しそうです」(奥仲先生)

■免疫力低下で激痛の帯状疱疹に
もうひとつ知っておくべき病気が、ヘルペスウイルスの一種、水痘(すいとう)・帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスによって起きる帯状疱疹だ。
このウイルスは子供に感染すると水疱瘡(みずぼうそう)を起こし、それとともに免疫がつく。

しかし、実は水疱瘡が治ってもウイルスは一生、神経の根元に潜伏し、高齢になって免疫力が落ちると、すかさず帯状疱疹を発症させるのだ。
帯状疱疹は胸や背中、顔などの左右どちらかの側に痛みやかゆみを覚え、やがて赤い斑点が出て帯状に水ぶくれができるのが一般的な症状。

高齢者の場合、治療後に「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる痛みが起きやすいが、若いからといって安心してはいけない。
治療が遅れると若い世代もこの神経痛が後遺症として起きる可能性が高まるため、早めの治療が肝心なのだ。
「実は私も治療が遅れ、激痛に悩んだひとりです」と、奥仲先生。
30代のとき顔面から頭部にかけて痛みが出たが、「まさかこの年で帯状疱疹にはかからないだろう」と思い、受診が遅れてしまったのだという。
「大学病院で激務をこなしていた頃なので、ストレスがたまり、免疫力がかなり落ちていたのでしょう。
帯状疱疹後神経痛は、まさに激痛。
当時は神経性の痛みに効果的な薬がなく、長期間苦しみました。
今はいい薬がありますから、私を反面教師にして、読者の皆さんは帯状疱疹が疑われる症状が出たら、いち早く皮膚科を受診してください

■はしかの予防接種が足りない人は要注意
最後は、強烈な感染力を持つ、はしか。
はしかを起こす麻疹(ましん)ウイルスの感染力は、インフルエンザウイルスの10倍から20倍といわれ、昨年9月には関西国際空港の従業員にはしかの集団感染が起きた。
特に注意が必要なのは、20代半ばから40歳までの人。
といっても、これは免疫力の問題ではなく、過去のワクチン行政の問題だ。
はしかは2回の予防接種で重症化を防げますが、今の20代半ばから40代のなかには予防接種が1度だけ、あるいは接種していない人がいます。
重症化すると40℃近い高熱を発し、1千人にひとりが脳炎を起こし亡くなるという怖い感染症ですから、接種が1回だけの人、また一度もしていない人は、今すぐにでも予防接種をすることをオススメします」(奥仲先生)

●山王病院副院長呼吸器センター長
 奥仲哲弥先生 1958年生まれ、埼玉県出身。
『サンデー・ジャポン』(TBS系)に隔週レギュラー出演中。
『健康寿命より快楽寿命をのばしなさい!』(主婦と生活社)、
『禁煙バトルロワイヤル』(集英社新書、爆笑問題・太田光氏との共著)ほか著書多数

★週刊プレイボーイ3&4号
「今年こそ拡大する『オヤジ病』の低年齢化を食い止めろ!!」より
(取材・文/浅野恵子 協力/世良光弘  イラスト/スズキサトル)
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2017年01月23日

自画自賛と自己陶酔の安倍演説 この国こそ政権交代が必要

自画自賛と自己陶酔の安倍演説
この国こそ政権交代が必要
2017年1月21日 日刊ゲンダイ

 これから世界はどうなってしまうのか。
当のアメリカ国民さえ不安を強めるトランプ政権がスタートした。
世界中がトランプの大統領就任に固唾をのみ、アメリカ国民が危機感を強めているのは、一言で言えば、あの男は、なにをするのか分からないからだ。

 トランプ大統領の誕生によって、世界のルールと常識は一変する可能性が高い。
戦後の平和と繁栄は、アメリカを軸とする「国際協調」と「自由貿易」が支えてきた。
ところが、トランプは「米国第一主義」と「保護主義」という正反対の政策を掲げている。しかも、反対意見に耳を傾けず、敵対する相手には容赦がなく、人権や平等といった“ポリティカル・コレクトネス”は完全に無視だ。

元外交官の天木直人氏はこう言う。
「この先、4年間、国際社会にとってトランプ大統領が最大のリスクになるのは間違いない。
一番のリスクは、予測不能だということです。
予測不能ほど怖いことはない。
中国と敵対するかも知れないし、手を握るかも知れない。
1年後、2年後、どうなっているのか誰にも分からない。
厄介なのは、アメリカの大統領にはツイッターの書き込みひとつで世の中を変える力があることです。
戦後70年つづいた国際社会が、歴史的な転換点を迎えているのは間違いない。
トランプ大統領の登場によって、過去のルールや常識は通用しなくなる恐れがあります

 すでに日本経済は、トランプに翻弄されている。
名指しで批判されたトヨタは、アメリカ国内に100億ドル(約1兆1000億円)の投資をすると表明せざるを得なくなり、トランプが「ドルは強すぎる」と発言した途端、円は急上昇してしまった。
トヨタ社内からは「これまでの延長線上では対応できない」と悲鳴が上がっている。

「自慢話」と「民主党批判」だけの演説  
 はたして、トランプは日本にどんな要求をしてくるのか。
日本政府も日本企業も激変への対応を迫られることになる。
 ところが、安倍首相は、緊張感のカケラもないのだからどうしようもない。
20日行った「施政方針演説」で何を訴えるのかと思ったら、いつも通りの聞き飽きた「自画自賛」と「民主党批判」のオンパレードだったから最悪である。
〈就任から5年目を迎え、G7リーダーの中でも在職期間が長くなります。
500回以上の首脳会談の積み重ねの上に(略)世界の真ん中でその責任を果たしてまいります〉と、うれしそうに「地球儀俯瞰外交」を自慢。

 さらに、沖縄北部の米軍基地の一部が返還されたことを誇り、返す刀で〈かつて「最低でも」と言ったことすら実現せず、失望だけが残りました〉と、民主党政権時代の鳩山首相が「最低でも県外」と、普天間基地の返還を訴えながら頓挫したことを皮肉った。
 経済政策についても〈経済の好循環が生まれています〉と、「GDP44兆円増加」「ベア3年連続」「貧困率2%減少」……と、アベノミクスの成果を強調し、ここでも〈政権交代前と比べ3割(倒産を)減らすことに成功しました〉と、民主党政権にケチをつけていた。

 安倍首相の「施政方針演説」は、トランプ大統領の就任式が始まる12時間前に行われたのに、自慢話に終始し、激変する国際社会についてどう考えているのか、どう対応するのか、まったく触れなかったのだから、どうかしている。
演説の中身は、1年前と代わり映えしなかった。

■見たくないモノは見ない
 ふざけているのは、相変わらず、自分に都合の悪い話は無視し、事実をねじ曲げていることだ。  
たとえば、沖縄北部の米軍基地の一部返還は、20年前に決まっていたことだ。
安倍首相の手柄じゃない。
鳩山政権が実現できなかった「普天間基地」の返還と比べるのは、ナンセンスというものである。

〈500回以上の首脳会談〉と自慢した外交も、この4年間、世界各国に約40兆円の経済支援を約束しただけで、成果はほぼゼロだ。
対ロ外交では、「北方領土」は返還されず、プーチン大統領に3000億円のカネを召し上げられただけだった。
よくも〈世界の真ん中でその責任を果たしてまいります〉と口にできたものだ。
 ボルテージを上げた〈経済の好循環が生まれています〉の一言は、噴飯モノである。
どこに好循環が生まれているのか。
貧富の格差が拡大しただけで、庶民の実質賃金は増えていない。
倒産件数にしたって、たしかに倒産は減少しているが、“廃業件数”は過去最悪を更新している。経営者がアベノミクスに見切りをつけ、次々に自主廃業しているのだ。
なのに、〈3本の矢を次々に打ちつづけます〉と平然と口にしているのだから国民をバカにするにも程がある。

この男は、一事が万事、すべてこの調子だ。
政治リーダーにとって大切なことは、たとえ見たくない事実でも直視し、現実を把握することです。
現実を見誤ると必ず失敗する。
誰が見ても、経済も外交も安倍路線は破綻しています。
なのに、安倍首相は現実から目を背け、行き詰まりを認めず、民主党政権を批判することで、安倍政権を正当化させている。

しかも、この国会の一大テーマである“共謀罪”について、施政方針演説で一言も触れなかった。あれも成功している、これもうまくいっていると訴えれば、国民をダマせると思っているのでしょうが、いくらなんでも国民をバカにしています」(政治学者・五十嵐仁氏)


 過去、5回行われた「施政方針演説」で、安倍首相は毎回「強い経済」「好循環実現」「改革実行」などをキーワードにしている。
いったい、いつまで「三百代言」満載の演説をつづければ気が済むのか。

■トランプの餌食になる
トランプが大統領に就任し、世界が大きく変わろうとしているのに、現実から目を背けている安倍首相では、激変する国際社会を乗り切れない。
即刻、クビにしないとダメだ。

 しかも、アメリカだけでなく、EU離脱を決めたイギリスにつづき、選挙を控えているオランダ、フランス、ドイツも大きく変わる可能性がある。
なにもかも行き詰まっている安倍首相では、対応は不可能である。


「この先、日本のリーダーは、まったく新しい発想が求められる。
アメリカが同盟関係を見直し、孤立主義に走ったら、70年つづいた対米従属からの脱却を迫られるかも知れない。
アメリカに従っていれば安泰という時代は終わる可能性があります。
あるいは、アメリカからいま以上の要求を突きつけられるかも知れない。
いずれにしろ、日本にとって対米従属から脱却するチャンスとも言えます。

ところが、安倍首相は、施政方針演説で〈日米同盟こそが我が国の外交・安全保障政策の基軸。これは不変の原則です〉
〈トランプ新大統領と同盟の絆をさらに強化する〉と、古い発想から抜け出せていない。
ひたすら対米従属をつづけるつもりです。

〈できる限り早期に訪米し〉と、トランプ大統領と駆け引きする気概もなく、1日も早い日米会談を切望している。
この調子では、国益追求をむき出しにしているトランプ大統領の格好の餌食になるだけです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)

 激変する世界は、リーダーが次々に変わりはじめている。
安倍首相は〈就任から5年目を迎え、G7リーダーの中でも在職期間が長くなります〉と、長期政権を自慢していたが、この国こそ政権交代が必要だ
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2017年01月24日

池上彰と佐藤優が教える、新聞・雑誌・ネット、それぞれの最強インプット

池上彰と佐藤優が教える、
新聞・雑誌・ネット、
それぞれの最強インプット
2017.01.23 Business Journal

 知識がないのに知ったかぶりをしている人に、偏った情報に凝り固まった人。
こういった人の話の何とも言えない薄っぺらさは、きっと多くの人が経験上わかっているはずだ。
 知識や情報それ自体には意味がない。
とはいえ、質の高いアウトプットやコミュニケーション上の説得力には、知識と情報が不可欠なのもまた真実である。
その意味では、「いかにインプットするか」について、自分なりの方法を持っておくべきだろう。

■毎日10紙以上読む池上彰、佐藤優がすすめる
「最強の新聞の読み方」
 池上彰氏と佐藤優氏という日本を代表する知識人2人は、『僕らが毎日やっている最強の読み方 新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』(東洋経済新報社刊)で、自身の情報インプット術を明かしている。

 池上氏も佐藤氏も、10紙以上の新聞に日々目を通しているが、一般人がここまでやるのはさすがに難しい。
ただ、両者は一般の読者にも「複数紙を併読してほしい」としつつも「時間が取れない人は2紙でもいい」としている。
 その意図は、情報や論調のクロスチェックだ。情報源が一つだけだと、どうしてもその論調に影響されやすくなる。
視点の違う2誌を読み比べることで、こうした偏りを少なく留めることができる。

■「見たくないものは見えない」
ネットで情報収集することの最大の弊害
 この「新聞は紙で、併読」という習慣は、ネット全盛の今こそ身につけておくべきものかもしれない。
 「プリズム効果がある」と佐藤氏が語るように、ネットは特定の情報が大きく見え、別の情報が見えなくなる空間だ。
 興味のある記事をクリックするというインターネットの性質上、えてして情報収集は「見たくないものは見ない。自分の意見と近いものや自分の意見を補強する情報を探す」という方向に向かいやすい。
これでは、やはりインプットされる情報は偏ってしまう。
 見たくない記事や自分とは相容れない意見が否応なしに目に入る紙の新聞はアナログだが、アナログなりのメリットは確かに存在する。

■池上・佐藤はなぜ雑誌を読むのか
 知は、本来長い時間をかけて広げ、深めていくもの。
となると、偏りのない情報を得るだけではなく、知識の幅を広げ、深めていくことも重要だろう。
 特に知識を広げる点において、池上・佐藤両氏がともに「役立つ」としているのが雑誌だ。  

やはり、一般誌・専門誌合わせ10誌以上に目を通す両氏だが、その狙いは興味や関心、視野を広げ、世の中のおおまかなトレンドをおさえること。
目に入るままページをめくっていると意外な情報に出会うことがあるという雑誌の特性は、大いに生かすべきだ。
 ただ、雑誌の場合、あくまで「娯楽として読む」という遊び心も必要。
あまり堅苦しく考える必要はない点も指摘している。

 ここでは、新聞や雑誌、そしてインターネットにおける池上・佐藤両氏の一般的な情報収集術を紹介したが、具体的に何を、どう読んでいるのかということも本書では詳しく明かされている。
特筆すべきは、両者ともにどんなメディアにも利用価値を見出している点だ。
そこには「読売は政権の機関紙」「朝日は反日」といった、ネット上でよく見かける決めつけも、「タブロイド誌は信用できない」「スポーツ紙は内容が薄い」などの一般論も存在しない。

あるのは、「それぞれの媒体をどう読めば有益な情報を得られるか」という視点だけだ。
 自分に合ったインプット方法を見つけ、深みのある知識を作っていくために、自らの知を肥やすことに多大な努力をしている二人のやり方は参考になる点が多いはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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2017年01月25日

年金支給「70歳から」に? ターゲットは団塊ジュニア世代

年金支給「70歳から」に? 
ターゲットは団塊ジュニア世代
デイリー新潮 1/24(火) 8:00配信

 1月5日に日本老年学会が行った会見にて、「高齢者は75歳から」とする提言がなされた。
ワーキンググループにて座長を務めた大内尉義(やすよし)・東大名誉教授(老年医学)は「提言はあくまで医学の立場からのもので、財政的な問題は全く念頭にない」と断るが、年金の支給年齢引き上げを促す材料に用いられると懸念する声も上がる。

 経済アナリストの森永卓郎氏は、 「昨年、世界保健機関(WHO)が発表した15年の日本の健康寿命は75歳ですから、支給開始をそこまで引き上げるのは、さすがに無理でしょう」  としながらも、 「厚労省は、実は70歳に引き上げようとしています。
彼らが少なくとも5年ごとに年金財政の現況と見通しを公表する『財政検証』のうち、14年6月のレポートでは8つのケースが紹介されており、うち5つは65歳から69歳までの労働力率が66・7%に設定されていました。

これは10人に7人が70歳まで働かないと厚生年金の所得代替率、つまり現役世代の手取り収入の何%を受け取れるかという数字が50%を保てない、との検証結果を意味しています。
2030年度以降も、厚労省は3年に1歳ずつ引き上げて70歳に近づけようとしており、このペースでいくと、2045年度には支給開始年齢が完全に70歳となります」

 そのターゲットは“団塊ジュニア”だと指摘するのは、特定社会保険労務士の稲毛由佳氏である。
「彼らは就職氷河期を経験し、貧困が顕在化しています。
非正規雇用のために厚生年金が積み上がっていない率が高く、また親世代の年金を頼りにするパラサイトも多い。
現行のまま団塊ジュニアが受給年齢を迎えれば、支給額が20%近く減るのは必至で、それを避けるには支給開始年齢を引き上げるしかないのです

■定年は延長といかず
 社会保険労務士の北村庄吾氏は、
「現在の年金制度は世代間扶養方式。
現役の保険料で引退した人の年金を作っていて、それで足りずに国が不足分を捻出しているわけです。
1960年当時は11人で1人を支えていたのが今は2・5人で1人、2050年には1・3人で1人になっていくのだから、システムがもつはずがない。
どこかで抜本的な制度見直しをしないといけないのですが、それに手をつけると政権維持が難しくなるから、現状は株価対策をしつつGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用益で凌いでいるのです」

 今年から65歳以上にも雇用保険が適用されることになり、また確定拠出年金(DC)への加入も、個人型の対象が公務員や主婦などに拡大。
企業型も中小企業向けに簡易制度が創設された。
年金制度自体はすでに風前の灯で、だからこそ政府はDCを拡充した。年金も自分で作っていかねばならない時代に突入してしまったということです」(同)

 そんな日常と、いかに折り合えばよいというのか。
先の森永氏が言う。
「支給年齢が70歳まで引き上げられても、世間は70歳定年制とはなりません。
今でも65歳定年制を導入しているのは、ごく一部の大企業や優良企業、公務員のみです。

現実には継続雇用の場合、60歳で定年を迎えてパートタイマーとして週3日とか、フルタイムでなく数時間とか、勤務を短縮する形でそれまでの給料の半分、あるいは3分の1程度を貰う。そんなスタイルが大多数を占めることになるでしょう」

 つまりは、働きながら年金程度の額しか手にできない暮らしが10年ほど続くというわけだ。で、 「収入が3分の1になるかも知れないのだから、まずは生活コストを下げることです。
昭和35年の実質賃金は現在の5分の1でしたが、何とかやっていけました。
ローンを抱えていない夫婦なら、月に10万円あれば食べていける。
『高齢者層』に入る前に、こうした術を身につけておくべきです」(同)

 つくづく世知辛くなったものである。

特集「ついこの間までは後期高齢者が……突然『高齢者は75歳以上』提言は『年金受給』後ろ倒しの大陰謀?」より
「週刊新潮」2017年1月19日号 掲載
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2017年01月26日

安倍が「云々」を「でんでん」と読み恥

安倍首相が国会答弁で「云々」を
「でんでん」と読み大恥!
他にも中学生並みの言い間違い連発、その理由とは?
2017.01.25 LITERA編集部

 昨日24日におこなわれた参院代表質問において、またも安倍首相の口からトホホな発言が飛び出した。
 それは民進党の蓮舫代表への答弁で起こった。
安倍首相の「国会でプラカードを掲げても何も生まれない」発言に対し、蓮舫代表は自民党も国会で下野時代にプラカードを掲げていたことを突っ込んだのだが、これに安倍首相は猛然と、このように反論した。

「これは一般論であって、民進党のみなさんだとは一言も申し上げていないわけであります。
自らに思い当たるフシがなければ、これはただ聞いていただければいいんだろうと、このように思うわけであります!」
 野党批判となるとヒートアップするのはいつものことだが、昨日もこう喋っているうちにハイテンションに拍車がかかった安倍首相。
そして、意気揚々とおなじみの「ご指摘はまったくあたりません」なる決めゼリフをぶちかまそう……としたのだが、その前に耳を疑う言葉が出てきたのだ。
「訂正でんでんというご指摘は、まったくあたりません」

 訂正……でんでん?
 まさか元お笑い出身の性格俳優のこと?
 いや、この流れで意味がわからないし。
……あ、もしや「云々」を「でんでん」と読んだとか?? 
それ、にんべんないし、そもそも「でんでん」なんて言葉ないし!  と、ここまで整理するのに要した時間は約30秒。

しかし、テレビのなかの安倍首相は、漢字を読み間違ったことにもまったく気付かぬまま答弁をつづけたのだった。
 得意気に、かつあまりにも堂々と「でんでん」と発した口ぶりから察するに、安倍首相はこれまでも「云々」は「でんでん」と読むと勘違いしたまま齢62歳までやってきたのだろう。
 実は、安倍首相にはこれまでにも「漢字に弱すぎないか?」という疑惑があがっていた。
 たとえば、以前、安倍首相が読む手元の答弁書がクローズアップされて週刊誌に掲載されたことがあったが、そこには「表(あらわ)そう」という小学校で学ぶ漢字にまで読み方が記されていた。
また、2013年4月に開催された「ニコニコ超会議2」で迷彩服に身を包み戦車に搭乗するなど大はしゃぎしたとき、安倍首相は自民党ブースの寄せ書きボードに「成長力」と書いたのだが、そのとき、「成」の字のはらいと点が書かれておらず、「もしかして安倍首相は漢字が書けないの?」とネット上で話題を呼んだこともあった。

 もちろん、間違ったまま漢字を覚えてしまうといったミスは誰しもあるだろう。
だが、彼は曲がりなりにも総理大臣なのである。
さらにもうひとつ言えば、間違ったまま覚えていたとしても、あれだけ側近がいるのだから「それは“でんでん”ではなく“うんぬん”です」と注意してやれよ、という話である。
 
 もはや、安倍首相はこんな恥ずかしい言い間違えすら、誰もとがめることができないくらいに「裸の王様」化しているということだろうか。
実際、安倍首相は過去に、他人から間違いを指摘されても、まったく直そうとせずにそのまま言い間違いを続けたこともあった。
 たとえば、昨年5月16日、安倍首相はやはり国会で自信満々に「私は立法府の長、立法府の長であります!」と間違った発言。
翌日17日にも「立法府の私がお答えのしようがない」と同じ間違いを繰り返した。

じつは、安倍首相は同年4月にも「私が立法府の長」と言い、その場で「立法府ではなく行政府」と指摘を受けている。
さらには2007年5月にも「私が立法府の長として……」と発言したが、そのときは民主党(当時)の簗瀬進参院議員が安倍首相に三権分立を説明し、「あなたはそういう意味では行政府の長であります」と正している。
つまり、再三にわたって「あなたは立法府の長ではなく行政府の長ですよ」と注意を受けてきたのに、誤りをあらためることが一切なかったのである。

 人から間違いを指摘されても、誤りを絶対に認めないし、それを直そうとはしない。
安倍首相のこの傾向は、たんなる用語の使い方や読み方だけの話ではない。
その政策や外交においても、失敗や暴走をけっして認めようとせず、「俺のやったことは正しい」「俺の政策はすべて成功した」といいはり、逆に批判意見を力で押しつぶしてきた。
 そういう意味で、「でんでん」発言は安倍首相の教養のなさだけでなく、その危険性もよく表しているというべきだろう。
               (編集部)
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2017年01月27日

山本太郎が安倍に「大企業ファースト」

参院代表質問でまた山本太郎節が炸裂!
安倍首相を「大企業ファースト」と
ホメ殺しも議事録から削除の動きが
2017.01.25 LITERA編集部

 あの男が、またも国会で大暴れした。
自由党共同代表の山本太郎参院議員のことだ。

 本日開かれた参院代表質問で山本太郎は、自由党と社民党の参院統一会派「希望の会」の代表として質問に立った。
本会議において山本が質問をするのは、これが初めて。
一体、どんな質問が飛び出すかと思えば、こんな発言から質疑は始まった。
「先日、安倍総理が施政方針演説で『ただ批判に明け暮れても何も生まれない』とおっしゃりましたので、きょうは批判ではなく、政権のこれまでのお仕事を肯定的に振り返り、褒め殺し気味に、希望の会、自由・社民を代表し総理に質問します」

 安倍政権の政策を肯定的に、褒め殺し気味に振り返る──。
山本はそう宣言すると、まずはこう切り出した。
政治の使命は、この国に生きる人々の生命・財産を守ること、そう考えます
安倍総理は、誰のための政治をおこなっていらっしゃいますか。
安倍総理は、きっちりとお仕事をされております。
庶民を犠牲にして大企業を儲けさせる。
そのご活躍ぶり、歴代の総理大臣を見てもナンバーワンです」

 そして、山本は“庶民を犠牲にするナンバーワンの活躍ぶり”の詳細をこのように挙げていくのだ。
庶民から搾り取った税金で、庶民への再分配は最低限に抑え、真っ先に手当をするのは、選挙や、権力基盤づくりでお世話になった経団連や大企業など資本家、高額納税者へのご恩返し。
とことんおいしい減税、補助金メニューを提供。
一方で、派遣法を改悪し、働く人々をコストとして切り捨てやすくするルール改正などを取りそろえる。
おかげで上場企業はあのバブルのときよりも儲かり、過去最高益。
一方で、中小零細企業の解散・休業は、過去最高。
見ているのは大口の支持者のみ。
まさに大企業ファースト! これぞ額に汗を流す政治家の鑑ではないでしょうか」

一見、極端な話をしているようだが、山本が並べた問題はいずれも現実に起こっている話であり、「大企業ファースト」とは言い得て妙だ。
そんな「政治家の鑑」と褒め殺す安倍首相がいかに庶民に犠牲を強いているかをあぶり出す。
それは、子どもの貧困対策において、安倍首相が民間から募金を集めてNPOなどに助成するという完全に他力本願の施策を取ったことだ。
子どもの貧困問題を人々の善意、基金で解決しようというウルトラCは、安倍総理が薄情で、指導者の器ではない……のではなく、総理はただ、興味がないだけなんです

 さらに山本は、昨年12月に「子どもの相対的貧困率が大きく改善した」と発言したことについて、安倍首相が根拠としたデータが、OECDなどが採用する厚労省の「国民生活基礎調査」ではなく、総務省の「全国消費実態調査」であったことに言及。
「この調査は非常に面倒な作業を対象者に求めるもので、お金と時間に余裕のある人しかなかなか対応することができず、低所得者層の実態をしっかり反映しづらいという傾向があると言われています」と指摘し、安倍首相に子どもの貧困率の数値目標を問うたのだった。

 また、つづけて山本は、奨学金についてもOECDなどの先進国のなかで「もっとも教育にカネを出さない、ドケチ国家の第2位が日本」と紹介
これも事実で、実際に昨年9月に発表されたOECD加盟国内でGDPに占める教育機関への公的支出の割合(2013年)は33カ国中32位だった。
 そのため、山本は「個人消費を引き上げる意味でも少子化問題を改善する意味でも、奨学金という名のサラ金地獄から対象者を救い出す必要があるのは言うまでもありません」と言うが、しかし安倍首相にその気がまったくない。
そうした姿勢を、「新たな奨学金国債を発行して借り換える、マイナス金利に合わせて過去の有利子奨学金をすべて無利子に転換する……などは、もちろんやりません」と批判し、こう続けたのだ。
「なぜ国がサラ金のようなシステムで若い人々を苦しめるのか。
奨学金の利息収入は年間390億円ほど。
奨学金の延滞収入は年間40億円ほど。
これらで金融機関を潤わし、取り立てをおこなう債権回収会社に対しても手堅い仕事を提供する。
──若い者たちの未来には投資をしない、企業のためだ、若いうちの苦労は買ってでもしろ。安倍総理の親心ではありませんか!」

 山本の“褒め殺し”はまだ続く。
“福祉施設介護員の給料が全産業平均よりも月11万円も低い”上、介護・福祉職において過労自殺に追い込まれる人は多いが、にもかかわらず安倍首相の「改革」は「(給金を)月額たった1万円ほど上げる」だけ。
これにも山本は吠える。
現場の悲鳴は聞こえないふり、細かい中身は見ないでいただきたい、表側の数字だけで評価するんです。
これこそが、アベノミクスの真髄ではありませんか!

 そして、話題は今国会で安倍首相が成立に血道を上げる「共謀罪」へ。
山本はこう追及する。
「安倍晋三閣下は、行政府の長であるばかりか立法府の長でもあるとご本人がご宣言されました。司法の長になられるのも時間の問題ではないでしょうか。
そのためにも現行憲法など守っていられませんし、守りもしません。
当然です。
不都合な真実、事実を声高に叫ぶ人間は邪魔です。
オリンピックに向けて火事場泥棒的に治安立法を成立させます。
 安倍総理、『オリンピックを成功させるためには共謀罪が必要』との趣旨の発言がありました。
共謀罪を『テロ等準備罪』と名前を変えるようですが、『テロ等準備罪』の“等”、この“等”とはどういう意味ですか?
 テロ以外にも適用される余地を残す理由を教えてください。
世界一安全な東京とアピールしておきながら、たった数週間の体育祭を開催するのに国民を監視し、密告制度で相互監視までさせ、相談しただけでアウトという、権力が思想信条の領域にまで足を踏み入れるとんでもない法律が必要な理由は何なんでしょうか?

 くわえて山本は、安倍首相がIOC総会で世界に向かってついた大嘘「汚染水は0.3平方キロメートルの港湾内でブロックされている」発言を、「お間違いはないでしょうか」と確認。
さらには安倍首相が押し進める原発再稼働を「将来もう一箇所で原発の過酷事故が起きた場合、国の経済破綻は免れない」とし、
「日本は火山国であり地震大国です。それでも原発再稼働を進めて大丈夫だと言えますか? 言い切れますか?」と問いただした。

 山本が一貫してこだわってきた原発問題。
その言葉には力がますます入り、一気呵成にこうまくし立てたのだ。
事故原発の原因も究明しない、安全基準デタラメ、避難基準テキトー、原発がなくても電力は余っていますが、原発は再稼働します。海外に売りつけるために再稼働します。プルトニウムを持ち続けるために再稼働します。
 三菱、東芝、日立、鹿島建設、大林、大成、竹中、清水、IHI、富士電機、三井住友銀行、UFJなどなどなど、原発に関係する企業のみなさん、安心してください。
安倍政権は脱原発など絶対にやりません。
安倍政権は税金と電気料金を湯水のように使える発電方法は諦めません
「すべては『想定外』という魔法の言葉で逃げるおつもりでしょう。

次の事故が起きたとしても、安倍総理ならもっと上手にごまかせます。
みなさん、安倍総理を信じて、このバスに乗り込みましょう!
 次の停車駅は地獄の1丁目1番地です!」

 安倍政権の次の停車駅は地獄の1丁目1番地……もう褒め殺しでも何でもなくなっているが、山本は質問の最後をこのように締めくくった。

「今回、無理をして批判は避けようと思いましたが、どう考えても無理です。
総理、あなたがこの国の総理でいる限り、この国の未来はもちません。
最後にお伺いします。
総理、いつ総理の座から降りていただけるのでしょうか?」

 
国を思えば、おのずと「あなたが総理だと未来がない」という答えに行き着く。
まさに真理としか言いようがない。
だが、まさか本人に「いつ辞めてくれるの?」と聞いてしまうとは……。

 無論、この山本の代表質問を世界でいちばん腹立たしく聞いていたのは、ほかでもない安倍首相だろう。
「批判するな」と言ったら“褒め殺し”で斬り返されてしまった安倍首相は、山本の質問中、じっと何かを我慢するかのように目線を下に落としたりなど表情を読み取られまいと必死。
山本に「あなたがこの国の総理でいる限り、この国の未来はもちません」と突きつけられた瞬間には、肘を組みながら目を閉じ、首を左右に振るという行動を見せた。
それはまるで込み上げる怒りを必死に鎮めているかのようだった。
そして、答弁もこれまでの方針を繰り返し、ただ淡々と読み上げた。

 しかし、問題はその後だ。安倍首相の答弁が終わると、伊達忠一参院議長が「山本君の発言につきましては速記録を調査の上、適切に対応したい」と宣言したからだ。
 たしかに山本の質問は少々煽り気味ではあったが、その内容は虚偽ではなく事実を並べ立てただけだ。
もしもこの山本の質疑が議事録に残らないようなことになったとしたら、それは権力による事実の「改竄」にほかならない。
 山本の質問を今後、参議院がどのように扱うかについては本サイトも注視したいが、山本が国民に訴えた「庶民を犠牲にした大企業ファースト」という批判さえ議事録から抹消されるようであれば、すでに安倍政権の恐怖のバスは地獄の1丁目1番地を過ぎ、終点に向かって走っている証拠だろう。
        (編集部)
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2017年01月28日

 横浜市教委「いじめとは言えない」発言以上に問題だった、学校のおざなりな対応

 横浜市教委
「いじめとは言えない」発言
    以上に問題だった、
    学校のおざなりな対応
2017.01.27 messy(古谷有希子)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で横浜市に自主避難してきた生徒が、同級生から150万円を払わされていた事実について「(おごり・おごられる関係であり)いじめという結論を導くのは難しい」と述べた教育長の発言について書いてみようと思っていたところ、25日に横浜市の林文子市長が謝罪をしたというニュースが流れてきました。

今回の教育長の発言は保護者といじめられていた本人に対して不誠実極まりない発言かつ、一般常識とかけはなれた結論だと言わざるを得ません。
ただし、今回のいじめに関する調査は第三者委員会が行ったものであり、その結論を教育委員会の長たる教育長が覆すことはできないという点を忘れてはいけません。


第三者委員会よりも学校と直接的な上下関係を持つ教育委員会の判断が優先されるようなことがあれば、今後、いじめ問題に限らず、市民が第三者委員会を通じて、学校の様々な問題をただすようなこともできなくなってしまいます。
市民が学校に直接介入することはできませんから、学校と直接やりとりできる教育委員会が問題を不問にしてしまえば、市民は問題を追求することさえできなくなってしまいます。

このような状況を考えるならば、確かに今回の教育長の発言は不用意なものではありますが、その点だけをむやみに批判してもあまり生産的ではないように思います。
第三者委員会による調査報告書を読んでみると、そもそも今回の件では教育委員会や第三者機関ができる調査に限界があったということがわかります。
また、報告書を読んだ印象として、きわめて誠実に調査を行っていたように感じられました。


児童に対するいじめが始まったのは、小学2年生のときに福島から転校してきてすぐでしたが、保護者から調査の申し入れがあったのはいじめ被害にあっていた児童が小学校6年生だった平成27年12月でした。
そのときすでに、被害者の児童は長期にわたる不登校状態であったこと、調査が始まってすぐに児童たちが卒業し中学生になってしまったことなど、関係者の記憶のあいまいさなどによって、正確な判断をすることができなかったようです。
調査が開始された時期が遅すぎたのです。

保護者がそれまで学校側にそのことを訴えていなかったわけではありません。
報告書によると、小学校2年生のときからいじめが始まった時点で、児童も保護者も学校にそのことを訴えていました。
しかしその都度、担任教師が対応する程度で、具体的な対策が取られることはありませんでした。
しかも、学校が行なった聞き込みによれば、2、3年時の担任は、当該児童がいじめられていたという認識はなかったようです。

いじめ被害者である児童が最初に不登校となったのは小学校3年生のときでした。
5年生の最初の時期も学校に行けなかったようです。
その後、5年生の途中から学校に行くようになった頃に、この「おごる」行為が起こったのです。

また、平成26年の段階で、学校は当該児童が同級生に「おごっている」ということを把握しており、保護者からの相談も受けていました。
副校長が家庭まで出向いたり、スクールカウンセラーから学校に連絡をとったり、いじめ加害者とされる同級生ら10名への聞き込みなども行なっていました。

平成26年の9月に、被害児童の保護者が警察に相談し、11月くらいから弁護士を立てた対応を始めました。
結局、保護者側が「本気の対応」を見せるまで、学校側は家庭訪問くらいしかしていなかったのです。

平成27年1月になってようやく学校カウンセラーと学校、人権教育・児童生徒課などの関係機関との連携が始まり、その年の10月になって保護者が教育委員会に相談するに至りました。
この報告書の中では、150万円の件についてのいじめは認定されていませんが、その他の部分では認定されているものもあります。
被害児童が金銭を「おごる」ことになったのは、日常的に行われている「プロレスごっこ」などの暴力行為や物を隠されたりといういじめから逃れるためでした。
事実、「おごる」行為によって、そうした暴力行為は止まったようです。

報告書では加害児童らの「積極的にお金を見せて配っていた」という証言とともに、被害児童が「おごるように言われた気持ち」になっていたということが記されています。
小学5年生の児童であれば、いじめていた側にその自覚がなければ、自らが行っている行為が「かつあげ」であるということを理解していなかった可能性もあります。
加害児童側は金銭を要求したり、おごってもらうことを求めたりをしたことは無いと言っていたそうですが、 報告書には黒塗りが多く、実際にどの被害児童との間でどのようなやり取りが行われていたのかがわかりません。
これを発表した横浜市教育委員会が意図的に隠したのだとすれば、「いじめではない」という判断を覆したくない意図があったと思われても仕方ありません。

一方、このような「おごる・おごられる」関係について報告書は、学校や教師が表面的な対応ではなく、被害児童の内面的な葛藤に注視することができていなかった点を問題視しています。
たとえば、学校側は金銭の問題について、被害者児童のいう金額と関係児童のいう金額に相違があることなどから、「正確な金額がわからないのでその対応は警察に任せたい」「返金問題には学校は関与しない」としていました。

しかし、そもそも「おごる・おごられる」こと自体、教育的指導・支援の対象とすべきではないか、と報告書は問題提起しています。
いじめ被害者の救済は最優先されるべきです。
しかし小学校でのいじめ問題の難しさは、加害者も子どもであるという点でしょう。
今回も、加害者とされる児童たちへの人権の配慮などから、かなり慎重にならざるを得なかったようで、いじめ加害者とされる児童やその保護者への直接の聞き込みなどは行なっておらず、学校が用意した書類での分析にとどまっています。

しかし、対応を間違っていた学校が用意した文書に依拠していじめ認定の分析を行うことに、そもそもの限界があります。
いじめが起こっていたとされる時期からかなり時間が経ってしまっていて記憶も曖昧になっている点、関係児童たちも中学校進学を控えた時期である点などを配慮して、加害児童にもその保護者にも聞き込みをすべきではないと言う判断が、今回の調査で加害児童に聞き込みをしなかった理由とのことです。

しかし、これは被害者側にとって到底納得できるものではないでしょう。
被害児童の人生よりも、加害児童の人生を優先したようなものです。
この点については、少なくとも加害児童の保護者に対しては聞き込み調査を行うべきであったと思います。
報告書では「せめて1年前に調査に入ることができれば、詳細に実態を把握し解明にもより正確さのある調査が可能であったと考えると、もっと早く着手できれば当該児童の苦痛もなかったのではないかと悔やまれる」といった表現が記されています。

今回の調査でいじめの実態について解明できない部分があったことの原因として、学校の対応の遅れ、学校と保護者のコミュニケーション不足や、スクールソーシャルワーカーなどの専門職が機能していなかった点などです。
こうして報告書を見ていくと、学校が何も具体的な対応をせずいじめを見過ごしたがために、被害児童が追い詰められていく様子がうかがえます。
最初に書いたように、今回のいじめ、そして教育委員会や第三者調査委員会の対応について、怒りの声が多く上がり、それを受けて横浜市長の謝罪がありました。

報告書が「おごる」行為をいじめと認定しなかった点については納得がいきません。
しかし、報告書が提起するように、学校が教育的指導・支援を通じて「児童の内面的葛藤」に対応するとともに、保護者やスクールソーシャルワーカーといった専門家としっかり連携していれば、ここまでの事態には至らなかったはずです。

今回のやりとりを受けて、横浜市のみならずあらゆる自治体の教育委員会や学校が、いじめ問題に本気で取り組むきっかけにしてほしいと思います。
いじめは時間が経ってしまってからでは遅いのです。
いじめが起こっているそのときに対応しなければ、被害者の傷はいつまでも癒えることなく禍根を残すことになるのだということを理解してほしいと思います。



古谷有希子
ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。
東京大学社会科学研究所 客員研究員。
大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。
公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。
社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。
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2017年01月29日

 コンビニの過酷なノルマ&自腹購入…

恵方巻き30本、ケーキ2千個…
コンビニのバイト、
季節モノのノルマ&自腹購入が過酷!
2017.01.28 Business Journal 文=編集部、
協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役・弁護士

 2月3日の節分を前に、コンビニエンスストアなどでは恵方巻きが売り出されているが、一方で「販売ノルマ」に対して悲鳴が上がっている。
インターネット上には、店員たちの「今年もノルマ30本」「ノルマ達成できそうにない」「誰か予約して……」といった言葉が並んでいるのだ。

 実際、いわゆる「ブラックバイト」の相談を受けているブラックバイトユニオンには、アルバイト店員からの販売ノルマや自腹購入に関する相談が多く寄せられており、ノルマ未達分の数万円を給料から天引きされたり、自ら買い取ったりするケースもあるという。

 流通ジャーナリストの法理健氏は、
コンビニは、人口減少と出店加速で既存店の来店客数が減っています。
そのため、『待ち』の商売から『攻め』の商売に移行せざるを得ない局面にきており、その象徴が恵方巻きなどの予約商材です」と語る。

「クリスマスケーキ、おせち料理、年賀状、お中元・お歳暮、 母の日……というふうに、20年ほど前から個店別の販売競争はありましたが、そこに数年前から恵方巻きが加わりました。
もともと、コンビニやスーパーにとって、2月は売り上げが落ちる時期です。
日数自体が少ない上、3〜4月のシーズン商品や新商品の発売前で、小売業は全体的に盛り上がりに欠ける。
そのため、各社は恵方巻きを大々的に売り出しているわけです。

 しかし、恵方巻きは予約商材のなかでも商品単価が低く、予約活動の効率が悪いといわれています。
一方、単価が安いためにバイトなどにノルマが課されやすい側面もあります。
そして、予約が埋まらなかった店では店頭販売されることもあるため、節分の日には売り場に恵方巻きがあふれるコンビニが散見されることになるのです」(法理氏)

 日本フランチャイズチェーン協会が1月に発表したデータによると、2016年のコンビニ来店客数は前年比0.5%減の159億715万人。
しかしながら、客1人当たりの平均購入額は同0.9%増の605.6円となっており、豊富な品揃えや予約商材に代表される消費喚起で補完している状況だ。

「ケーキの予約2000個」「独身なのにおせち6個」 「コンビニのスーパーバイザー(SV)やマネージャーは、担当エリアの予約商材の売り上げが昇給や出世に直結することが多いです。
前年比の数字や売上高は、競合店や地域環境などの諸条件によっても左右されますが、予約商材の売れ行きであれば『努力次第』であり、公平な判断材料となるからです。

 ある地方都市のコンビニでは、オーナーががんばって『クリスマスケーキの予約を2000個獲得した』という例もありました。
本部が押し付けているという側面もありますが、コンビニは立地産業なので、たとえば近くに競合店ができて売り上げが下がれば、生き残るためには予約商材に力を入れて売り込むしかありません。
 また、予約商材の販売ノルマを達成するために、バイトだけでなくSVなどが自腹購入することもあります。
『上司が怖くて、おせちを 6個買った』という独身男性のケースもあるほどです。
また、母の日のプレゼントでは、『不在配送の客の半分ぐらいは、当日働いていたSVだった』という話もあります」(同)

ノルマ未達で天引きや自腹購入は
                                      労基法違反に
 もはや、コンビニの季節商品や予約商材と店員の自腹購入は切っても切れない関係にあるといえそうだ。
しかし、そうした実態について、弁護士法人ALG&Associates執行役・弁護士の山岸純氏は以下のように語る。
バイトにノルマを課して、未達成の場合に給料から天引きすることは、労働基準法24条に違反し、30万円以下の罰金が科せられる犯罪です。
同法同条には『労働者には給料を全額払わなければならない』と規定されており、『罰金』などと称して天引きすることは違法となります。

 また、余った商品を強制的に買い取らされているような場合ですが、同じように、『自社製品を強制的に購入させることの違法性が争われた裁判』にて、東京地方裁判所の平成20年11月11日判決は、販売店(勤務先)に対して『優越的な地位を乱用して不当に商品を買わせたという不法行為として、損害額18万円(商品代金)、弁護士費用約2万円』の支払いを命じています。
このように、余った商品を強制的に買い取らせることも、場合によっては違法となります

 違法な自腹購入が横行する、コンビニの予約商材。
もし、節分の日に売り場に恵方巻きがあふれていたら、店員の心中を察することも必要なのかもしれない。
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2017年01月30日

「晋ゴジラ」炎上の吉田照美の思い

安倍批判の風刺画
「晋ゴジラ」が炎上した吉田照美
番組を降板させられても
           曲げない反権力への思い
2017.01.29 LITERA(新田樹)

『吉田照美のやる気MANMAN!』(文化放送)をはじめ、数多くのラジオやテレビで司会を務めてきたフリーアナウンサーの吉田照美。
先日、彼が自身のホームページで発表した絵が話題を呼んでいる。
晋ゴジラ 吉田照美.jpg
吉田照美・作『この世界の片隅の君の名は、晋ゴジラ』
 (吉田照美オリジナルHPより)

 実は、吉田は展覧会で入賞したり、個展を開いたりするほどの絵の腕前の持ち主で、自身のウェブサイトでは10年ほど前から「ニュース油絵」と称した風刺画を定期的に発表している。  

そんな風刺画シリーズのひとつとして、今月13日に発表したのが『この世界の片隅の君の名は、晋ゴジラ』という絵だ。
 この絵はそのタイトル通り、『この世界の片隅に』、『君の名は。』、『シン・ゴジラ』の昨年大ヒットした3本の映画の宣伝ビジュアルをコラージュしたもので、シン・ゴジラの頭が安倍晋三首相の顔に入れ替わっている。

そして、この絵の解説として吉田はこのようなコメントを添えていた。
〈先日、発表されましたキネマ旬報のベストテンの第1位に28年ぶりに、アニメの作品「この世界の片隅に」が選ばれ、2位は、「シン ゴジラ」、一番ヒットしている「君の名は」は、ベストテンにも入りませんでした。
 どれも良い映画でしたが、やっぱり、「この世界の片隅に」は、傑出していて、 戦争をやりたがっている馬鹿な政治家には、絶対見させなくてはいけない映画です。
 兎に角、いま挙げさせて頂いた三つの作品は、共通点があります。
「この世界の片隅に」は、広島の原爆、
「君の名は」は、福島の原発事故を想像される出来事がモチーフ、
「シン ゴジラ」は、核実験の放射線から生まれた巨大生物。
今回は、それをまとめた作品にしました!
「この世界の片隅の君の名は、晋ゴジラ」です。

「シン ゴジラ」は、安倍晋三さんの「晋 ゴジラ」です。
いろいろばら撒いてます。
日本の国民へのお金を削って、12日は、フィリピンに1兆円ばら撒きました!  このゴジラは、息を吐くように嘘をつき、自分のお金のように国民の税金を外国にばら撒きます。〉(原文ママ。改行のみ筆者で一部改めた)

 この絵がネット上で話題になると、例のごとくネトウヨからは〈ユーモアのかけらもない〉〈著作権違反〉
〈若者に座席譲りな老害〉などといったコメントが寄せられた。

 吉田はこの絵でビジネスをしているわけではなく、あくまでパロディとして表現しているだけだ。
言うまでもなく表現の自由の範疇である。
炎上攻撃であらゆる安倍批判をおさえこもうとするネトウヨの卑劣さには、毎度のことながらうんざりさせられるが、吉田照美はおそらくこんな程度ではめげないだろう。

 吉田照美はこの間、一貫して政権の暴走や原発問題について批判してきた。
吉田照美といえば『セイ!ヤング』(文化放送)をはじめ、どちらかといえば、報道よりもエンターテイメントの分野で活躍していたアナウンサーだ。
そんなキャリアを積んできた彼が現在につながる社会的な発言をし始めた理由を「週刊ポスト」(小学館)2016年8月12日号ではこのように語っている。

「東日本大震災のとき、政治やジャーナリズムに不信を抱いたんです。
原発事故に関してどれだけの真実が語られ、報道されているのか、と。
それ以来、おかしいと思ったことはメッセージとしてリスナーに伝えることが自分の使命だと考えるようになりました」

 吉田が批判にさらされるのも承知のうえで権力者への疑問を語るようになったのは、マスメディアに携わる者として、メディアが本来行うべき「権力の監視」という役割を放棄し始めたことに危機感をもったからであった。

「週刊金曜日」(金曜日)14年8月1日号ではこのようにも語っている。
「村上春樹さんにしても、東京電力から逮捕者が出ないのはおかしいと世界に向けて発言しているじゃないですか。
でも一般的な報道は少なかった。
権力が、村上さんの発言が広がるのを抑えているのだろうし、メディアにしても自主規制してるんでしょう。
ぼくにはこれがわからない」

 そして吉田は、エンターテイメントに携わってきたマスコミ人として、文化・芸術に関わる人たちが口をつぐみはじめたことをとりわけ問題視している。
前掲「週刊金曜日」のインタビューでは、原発反対を訴えた歌詞が理由でアルバムが発禁処分になろうとも常に反権力へのメッセージを発信し続けていた忌野清志郎の名をあげつつ、文化や芸術に関わる人たちを鼓舞していた。

小出裕章先生がおっしゃっていた「音楽とか美術とか、表現する力を持っている人が頑張ってほしい」と。
ぼくもつくづくそう思います。
「明日なき世界」を歌ってくれた忌野清志郎さんの話に戻りますけど、清志郎さんのような人が出てこない。
少ない。
それが一番残念です。
だって国民の大半は反原発なんだし、集団的自衛権の行使なんて誰も賛成していないじゃないですか。
それを踏まえた歌。笑い。諧謔の人たち。
(中略)だからぼくは、文化の救世主が現れてほしい」

 吉田照美が自身のラジオ番組でことあるごとに政権批判を語ってきたのは、マスコミ人として当然言うべきことを言ってきたという極めて真っ当なことをしてきたまでである。
しかし周知の通り、テレビやラジオでそうした政権批判を口にするキャスターやコメンテーターが次々に降板させられるという状況が起きている。

 吉田自身も前掲「週刊金曜日」インタビューで、「でもね、そのうち何かがあれば、(放送が)終わるかもしれない(笑)」と吉田自身は自嘲気味に語っていたが、恐ろしいことにそれは現実のものとなってしまった。
 今年の3月31日をもって、吉田が担当する平日帯のワイド番組『飛べ!サルバドール』(文化放送)は終了することが決まったのだ。
これで、1980年放送開始『吉田照美のてるてるワイド』(文化放送)以降、番組名や時間帯を変えながら36年半の長きにわたって続いた文化放送で流される吉田照美担当の平日帯番組が終了することになる。
 この編成について文化放送は「さまざまな要素から総合的に判断した」と発表しているが、吉田本人は「もうちょっと続けたかった」とコメントを出しており、圧力もしくは政権への忖度なのではないかと勘繰らざるを得ない。
 番組が終わっても吉田照美の主張が変わることはないだろう。
媒体を変えて今後も発信されるであろう彼の勇気ある主張を応援し続けていきたい。
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2017年01月31日

著名人が語る苛烈な介護体験

「お父ちゃんなんかさっさと死んでくれたら…」
島田洋七、安藤桃子、春やすこら
著名人が語る 苛烈な介護体験
2017.01.30 LITERA(伊勢崎馨)

 介護をめぐる様々な問題は深刻化の一途をたどっている。
介護職員の過酷な労働環境、介護施設で相次ぐ虐待、悪徳介護ビジネスの跋扈、介護離職、介護による貧困、そして家族間での介護殺人や心中──。

 2025年には、団塊の世代約800万人が後期高齢者となり、後期高齢者人口は2200万人にまで達するという試算もある。
これが介護の“2025年問題”だ。
4人に1人が後期高齢者という超高齢社会で、誰しもが直面する可能性が極めて高いのが介護だ。  

そんななか、各界の著名人などが自らの介護体験を語った『私と介護』(新日本出版社)が刊行された。
そこには島田洋七、春やすこ、ねじめ正一、城戸真亜子、安藤桃子、香山リカなど17人の赤裸々で率直な介護体験が語られている。

 たとえば『佐賀のがばいばあちゃん』で注目を集めた島田洋七氏は妻の母親(義母)の介護を経験している。
1999年、佐賀で暮らす義母が脳梗塞で倒れたのだ。
東京から片道2時間かかる老母の遠距離介護が始まった。
しかし、こうした生活は過酷だった。
〈ある晩、僕が帰宅すると、嫁が娘に話していました。
「こんな生活いつまで続くんやろ」。
その声は疲れ果てていました〉 

 そのため島田氏は東京を引き払い、佐賀に引っ越すことを決意する。
〈芸能界の仕事も大切かもしれないけど、それより親の方が大切やと思った〉からだ。
その後14年もの間、夫婦と妻の兄弟を含めた介護生活が続いた。
しかしお互いが率直に話し合い、介護も協力できたことで、それを乗り切ったという。
全部、一人で抱え込むのが一番あかん。
無理せず家族にも頼って、自分でできる範囲で介護をしたらいいと

 両親のダブル介護を経験したのが、タレントの春やすこ氏だ。
春氏の父親は20年以上前から脳梗塞で右半身が不自由となり、大病も繰り返した。
そんな両親が心配で2005年に同居を始めた春氏だったが、その父親が階段から落ちて、要介護5となる。
さらに今度は母親が自転車で転倒してしまう。
春氏の2人の子どもも介護を手伝ってくれたが、それでも春氏の負担は大きかった。

〈朝6時前に起きて3時間おきにオムツを替え、食事を運ぶなど、一日中父の世話をしながら、母の通院につきあう生活です。
 くたくたになって、「なんで何もかも私が……」と、ストレスで過食になりました。
しんどいときは、「お父ちゃんなんかさっさと死んでくれたら楽やわ」と毒吐いて傷つけたこともあります〉

 そんな春氏だったが、両親の気持ちを優先し、最低限の介護サービスしか利用しなかった。
だが、その異変に気づいたのがケアマネージャーだったという。
今したいことは、なんですか?」との問いに、大学を卒業する娘との旅行を伝えると、「介護サービスを使って行ってきて」と背中を押されたのだ。
その後、春氏は以前より介護サービスを使うようになり、気持ちの切り替えができたという。  

芸能一家も介護とは無縁ではない。
母がエッセイストの安藤和津、父は俳優の奥田瑛二、さらに妹が女優の安藤サクラ、そして自身も映画監督という華々しい一家の安藤桃子氏は、祖母を家族総出で介護した。
しかし介護に至るまでは紆余曲折あったという。
それは寝たきりになる前、祖母がデパートでおもらしをしたことだった。

〈体の大きなひとだったから2人で入ると窮屈、尿の匂いも子どもと違ってきつい。
手間取るうちに祖母が力尽きてへたりこんでしまい、思わず怒鳴ってしまいました〉
 桃子氏はこのことを現在でも後悔しているというが、その後も祖母は家族に下の世話をされることを拒否したという。

〈埋められない溝があって、しんどい時期でした。
けれど、祖母が自らの現状と、家族の「助けたい」という気持ちを受け入れてくれたことで、介護は次第にスムーズになっていきました〉


 祖母は06年、83歳で亡くなったが、桃子氏は14年、介護をテーマにした映画『0.5ミリ』を監督する。
その理由は次のようなものだった。
お年寄りの知恵を借りたり、大切に敬うことが今の日本では本当に少ないですよね
高齢者への敬意がない現状に怒りが湧きました〉
先人たちの知恵を、しっかり受け継ぎ、バトンタッチをしなくてはと思います〉 

 同書で語られるのはある程度、経済的に余裕のある人々でもある。
環境の面でも恵まれているといってもいい。
それでも、介護はそれぞれが多くの、そして多様な問題を抱えるものであり、苛烈なものには違いない。
彼ら、彼女たちの語る言葉は、体験者ならではの切実なものだ。

「働いている人の収入が、大変な仕事の割には少ない」
東京オリンピックで本当に3兆円使うのなら、それを削って介護士さんの給料を上げてほしい」(島田洋七氏)


相談できる人を見つけて、ためこまないこと
サービスも受けて、どんだけズボラにできるか考えると、気が楽ですよ」(春やすこ氏)


「仕事がなければ孤独に陥り、煮詰まってしまうでしょう。
ブログなどで発信し、社会にかかわりながら誰かの役にたつことは、私自身の救いでもあります」(認知症の母親を介護するフードライターの大久保朱夏氏)

「介護は突然やってきますし、介護する側の心が豊かでないと成り立ちません。
家族をサポートする体制をもっと増やしてほしい」(安藤桃子氏)

政府はいま、施設介護を見直し、在宅介護にシフトさせようとしています
悪い方向ではありません。
しかし、介護の働き手は備わっていないなかで、互助や家族でごまかされては困ります」(20代で母親を、30代で父親を、そして夫を在宅介護で見送ったノンフィクション作家・沖藤典子氏)

しかし現実を見ると、こうした介護者たちの切実な声が届いているとは思えない。
 新年早々の1月1日、改正「育児・介護休業法」(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が施行された。

 この改正では、介護が必要な家族が1人いる場合、通算93日までだった介護休業を3回を上限に分割して取得できるようになった。
また介護休業とは別に、労働時間短縮措置が利用開始から3年の間で2回以上の利用可能となり、残業免除もできた。
その対象は正社員と一部の派遣社員で、介護についての休暇も1日単位を半日単位に改めるなどが盛り込まれている。

 しかし、これで問題が解決するかといえば、そうではない。
これまでにも、「介護休業法」は存在し、93日までの介護休業が認められていたが、その取得率はわずか3.2%。
それが分割で取れると改正されたからといって、劇的にその数字が上がるとは思えない。
しかも申請すると企業は基本的に拒否できないが、その罰則は最大20万円の過料と、悪質な場合の企業名公表だ。
これが一体どのくらい効力があるのか。
現在の日本企業の体質を考えると大きな疑問が残るものだ。

さらにパートなどの非正規や、契約1年単位の派遣社員、リタイア後の老老介護や、専業主婦に対しては、何の効力もない。

 そもそも本サイトでも何度か指摘したが、現在、安倍政権が推し進めているのが“家族による在宅介護”と“介護締め出し”政策だ。
15年4月にも介護保険法が改正されているが、これで介護難民が減るどころか、特別養護老人ホーム(特養)の入所条件が厳しくなった。
それまで「要介護1」以上だったのが「原則要介護3以上」と引き上げられ、それが介護保険法の施行規則に明記されたのだ。
これでは入居したくても申込みすらできなくなり、門前払いされる要介護者が増加するだけだ。

また入居できたとしても補助認定が厳格化され、さらにこれまで全員1割だった自己負担割合が、年金収入280万円以上の場合で2割に倍増した。

 介護保険料が値上げされた一方、介護報酬は実質マイナス4.48%と過去最大規模の引き下げになり、デイサービスなど小規模施設の閉鎖が相次いで問題になったし、介護職員の不足も深刻だ。
 こうした政策は、右肩上がりの介護保険制度の財政を抑えるため、家族による在宅介護に重点を置くものだ。
要介護者が必要なケアを受けられないだけではない。
家族にとっても、これまで以上に精神的かつ肉体的、そして経済的な負担が増加するということでもある

「介護離職ゼロ」どころか、はっきり言って、介護サービスの崩壊と高齢者の切り捨てだ

 さらに家族による在宅介護を強要する“根拠”とすべく安倍政権が意欲を燃やすのが、来年の国会で提出を目指す「家庭教育支援法案」(仮称)だ。
これは家庭教育を「家庭、学校、地域が一体となった支援体制の強化」(自民党プロジェクトチーム事務局長・上野通子参院議員)を狙いとするというが、実際には国家が家庭のあり方を規定し、家庭教育に介入するというトンデモなシロモノとみられている。

実際、安倍政権は「家族は、互いに助け合わなければならない」という自民党の改憲草案の憲法24条、いわゆる“家族条項”の新設に見られるように、家族による「助け合い」を義務化しようとしており、「家庭教育支援法案」もその延長上にあることは間違いない。

 国や自治体がすべき社会保障を“家族”に丸投げするという“自己責任論”。
しかも、前掲した『私と介護』でも介護経験者が指摘するように、在宅で介護をする人々を支えるための政策や取り組みがほとんどないのが現状なのだ。

 しかし、本当に必要なのは、家族であれ介護施設の職員であれ、介護する者への経済的サポートとともに、心と体の負担を減らすべく繊細で多様性のあるサポートシステム構築だろう。
 介護が必要な人々と、それを支える介護者のため、同書のように多くの著名人たちが声をあげる。
こうした声が大きなムーブメントとなることを祈りたい。
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posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

保険会社で働く人の多くが「医療保険はバカバカしいので入らない」!? その理由とは

保険会社で働く人の多くが
医療保険はバカバカしいので入らない」!?
その理由とは
2017年01月29日 16時00分 SPA!

 入院などに備えて医療保険に加入する人は多いが
「私の知る限り、保険会社で働く人の多くは『医療保険に入るのはバカバカしい』と考えています」と、保険コンサルタントの後田亨氏。

「入院時の費用など『お金の使途別』に対策をとらないことです。
お金の問題を解決するのはお金ですから、自己資金で払うのが一番。
医療保険に頼ると、数万円程度のお金のためにも保険料を払うことになる。
健康保険の保障もあるのにもったいないということです」

 そもそも保険料が高すぎる――と、後田氏は語気を強める。
「保険数理の専門家によると、医療保険の保険料には保険会社の運営費が3割ほど含まれている。1万円入金すると3000円手数料がかかるATM機のイメージです」

 高額の保険料の背後には「経費の使いすぎ」という問題も。
「各社の保険料収入に占める事業費の割合を見ると、例えばアフラックで20%超。
大手でも10%前後。
大手の数十分の1の規模である埼玉県民共済が3%程度の事業費率で運営されていることを思うと、コストがかかり過ぎです」

 ちなみに「医療保険に入らない」保険会社の中の人たちは、どんな保険に加入しているのか? 「掛け捨ての死亡保険ですね。
自分で出せない1000万円単位のお金は保険に頼る一方で、“貯蓄性”は保険でなくてもできることなので求めない。
一般には販売されていない『団体保険』が彼らの間で人気なのは、販売手数料などのコストが低いからです」

 団体保険は大手企業などで導入されている。
生命保険に入る前に、国や職場の制度をチェックだ。

<知っ得! 新常識ベスト3>
1.「使い道」ではなく「金額の大きさ」で考える
                        知ってる…26% 知らない…74%
2.保険に「貯蓄性」は求めない
                        知ってる…31% 知らない…69%
3.こだわるべきは、保険料に含まれる「コスト」
                        知ってる…18% 知らない…82%

【後田亨氏】
保険コンサルタント。
オフィス・バトン「保険相談室」代表。
生保会社の営業職を経て独立。
近著に『生命保険は「入るほど損?!」』(日本経済新聞出版社)
posted by 小だぬき at 15:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする