高齢者の“セルフネグレクト”が問題に
…本人と家族が行うべき対処方法
2017年02月20日 17時00分 Doctors Me
2017年2月17日(金)千葉県で昨年5月に足が壊死した状態の高齢女性が、ゴミがたまった部屋から救出されていたことがわかりました。
(参考) 本件の女性のような生活意欲低下、ひきこもり生活など、近年高齢者のセルフネグレクトが社会問題となっております。
このセルフネグレクトとはいったい何なのでしょうか。
今回は高齢者のセルフネグレクトについて、原因、特徴、対処方法などを医師に解説していただきました。
目次
セルフネグレクトとは 日本語に訳すると「自己放任」となります。
意欲の低下、認知機能の低下などから、日常生活に関する最低限の身の回りのことさえもままならず、安全や健康などが脅かされる状態になることを指します。
高齢者がセルフネグレクトを引き起こす原因
認知症などにより、意図せずともセルフネグレクトに陥る場合があります。
一方、認知症でなくとも、高齢者で日常生活動作に支障をきたすような状態である場合や、配偶者の死去などが発生すると、セルフネグレクトに至る可能性が高まります。
近年では、家族と疎遠になったり、近隣との関係性の希薄化などが進み、セルフネグレクトの高齢者が増えているという指摘もあります。
セルフネグレクトの特徴
言動 金銭面の管理などができないケースが見られます。
また近隣や社会とのかかわりを拒否する傾向も見られます。
精神面 うつ状態、認知機能の低下、意欲の低下などが見られる傾向にあります。
外見や服装 適切な整容を行うことができず、髪やひげが伸び、衣服も極端に汚れている、悪臭がするなどのケースが見られます。
家庭環境 家族や親戚関係が疎遠な方が陥りやすいです。
部屋 ゴミが散乱し、部屋の中が混沌とした状態のことが多いです。
セルフネグレクトによって懸念される疾患
うつ病 配偶者の死や他者とのかかわりの低下などから抑うつ気分が継続し、うつ病に至るリスクが高まります。
栄養失調 食事が十分にとれず栄養失調に陥る可能性があります。
認知症 他者とのかかわりがなく、動作、運動の機会も低下していることから認知症のリスクが高まります。
また、健康管理ができていない場合が多く、その場合には持病が悪化したり、加齢とともに発症しやすくなる高血圧や動脈硬化などが進行しているケースが考えられます。
周囲に相談できない理由
日常生活がままならない状態を他人に話すことが恥ずかしい、経済的な困窮がばれることが恥ずかしい、他人の世話になるのが申し訳ないなどの気持ちがあるからと考えられます。
セルフネグレクトの対処法
本人
他人にお世話になることを気負わず、周囲に助けを求めることが大切です。
家族 家族の方は
その高齢者の方とできるだけ連絡をとるようにし、家に行って様子をみるなどの対応が必要です。
相談できる行政機関
市区町村に設置された地域包括支援センターでは、高齢者の虐待対応をはじめ、セルフネグレクトに対する支援も行っています。
ご家族をはじめ、発見した方でも通報でき、またそのプライバシーは守られています。
セルフネグレクト予備軍セルフチェック
□ 極端に不衛生な居宅である
□ 長期間、入浴をしていない
□ 不潔な衣服、身なりが継続している
□ 他者からの支援を拒否する
□ 家族とは関わっていない
□ 経済的に苦しい状態である
□ 必要な医療サービスを受けていない
最後に医師から一言 セルフネグレクトは孤独死などの原因になりますので問題です。
社会全体で対処していく必要がありますね。
(監修:Doctors Me 医師)