2017年03月09日

ヤマト宅配便 日本流サービスは限界に近い

ヤマト宅配便 
日本流サービスは限界に近い
2017年03月08日 読売新聞「社説」

 暮らしやビジネスに欠かせないインフラに成長した宅配便が、曲がり角を迎えた。
人手不足時代のサービスのあり方を考える契機としたい。
 宅配便最大手のヤマト運輸が、宅配事業の抜本的見直しに向けた検討を進めている。
 インターネット通販の拡大で取扱量が急増しても、人手不足で運転手を十分確保できず、現場の疲弊が深刻化したことが要因だ。


 労組が今春闘で、総取扱量の抑制などを求めた。
昼食を取る暇もなく、夜間まで長時間労働を強いられる配達現場の実態を思えば、理解できる。
運転手など7万6000人に残業代未払いの可能性があることも明らかになった。
 会社側は、時間帯指定配達を見直すほか、27年ぶりに基本運賃を引き上げる方向だ。
大口顧客とも値上げ交渉に入った。
確認された未払いの残業代も支給する。

 宅配便総数は昨年度、37億個を超え、この20年間で3倍に膨らんだ。
スマートフォンを通じたネット通販が飛躍的に伸び、小口荷物が頻繁に配達されたためだ。
 不在先への再配達が全体の2割を占めている。
多くの荷物を抱えて、配達しても無駄足に終わることが少なくない。

 利用者は即日配達・送料無料という利便性を求め、事業者も、顧客囲い込みにしのぎを削る。
通販の過剰サービスを前提とする現状の宅配ビジネスは限界に近い。
 デジタル社会の進展で注文方法が格段に便利になっても、配達現場は、あくまで人の手で品物を届けるアナログの世界である。

 運べば運ぶほど、利益が出ない構造を脱し、宅配便を今後も続けるには、適正価格を反映したサービスへの転換が求められる。
 通販業界も、料金値上げに応じるなど一定のコストを負担せねばなるまい。
利用者も「サービスはタダ」との発想を改め、再配達の有料化などを受け入れるコスト意識を持つべきではないか。

 宅配業界は企業間の連携を進め、配達コストの低減に取り組む必要がある。
共同配達、駅やマンションで荷物を受け取れるロッカーの増設などを進めてほしい。
 きめ細かなサービスを提供する日本流の商慣行も、事業を続けられる環境があればこそだろう。  日本の物流業界は「ムリ、ムダ、ムラ」が生産性の低下を招き、その解消が課題となっている
宅配便に限らず、消費者が求める利便性を見極めながら、雇用問題の解決と質の高い顧客対応をどう両立させるかが問われよう。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする