2017年05月10日

「共謀罪」 廃案にして出直すべきだ

「共謀罪」 
廃案にして出直すべきだ
カナロコ by 神奈川新聞「社説」
 5/9(火) 11:29配信

権力による乱用が懸念されている「共謀罪」(テロ等準備罪)法案の国会審議が正念場を迎える。
政府与党は今国会中の成立を目指すが、金田勝年法相らの答弁を聞く限り、捜査機関による恣意(しい)的な運用、監視社会の強化といった疑念が消えない。
 自民党は同法案の閣議決定後、所属国会議員に対し「『テロ等準備罪』について」という資料を送付した。
地元支持者への説明などに使う参考資料だが、都合の良い解釈や詭弁(きべん)が目につく。  

共謀罪は犯罪を計画した段階で処罰できる。
ゆえに人々の内心にまで権力が踏み込む恐れがある。
 自民党の資料では例えば、その対象となる「犯罪主体」を〈テロ集団・暴力団・麻薬密売・人身売買など、重大な犯罪の実行を目的とする組織的犯罪集団〉と例示する。
 だが、法文上は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と定める。
つまり主体の定義が不明確で、あらゆる集団が対象になり得るという抜け穴が存在する。

 しかも、「組織的犯罪集団」には事前の指定や認定が必要ない。
組織が犯罪集団に一変したとする判断は捜査機関に委ねられている。
捜査機関が怪しいと見込みさえすれば、逮捕や拘留など強制捜査の対象となり得よう。
 法文が曖昧で恣意的に解釈できるため、反原発や反基地など政府の意に沿わない活動をする一般市民や団体に矛先が向かわないとは言い切れない。
ところが、資料は〈一般の方々が、処罰の対象になることはありません〉と断言する。
 また、対象犯罪の選定も不可解な点が多い。
277に上る犯罪にはテロとはおよそ無縁で非現実的なものも含まれる。

一方で、本来必要であるはずのものが抜け落ちている。
 例えば、「特別公務員職権濫用(らんよう)罪」や「特別公務員暴行陵虐罪」「公職選挙法違反罪」などだ。
要するに、公権力を私物化するような犯罪類型が除かれている。
こうした権力側に有利で、一貫性に欠けるのも共謀罪法案の特徴である。
 しかし、自民資料はちぐはぐな法律の立て付けには目をつぶり、必要性のみを強調する。
与党議員は良心に立ち返り、法案に潜む危険性、落とし穴に目を凝らしてほしい。
強行採決に持ち込むような事態などあってはならない。
むしろ廃案にして出直すべきである。
posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☔ | Comment(3) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

安倍が改憲質疑で「読売を読め」

安倍首相が国会質疑で
「俺改憲考え方りたいなら
読売のインタビュー読め」
エスカレートする憲法違反傲慢
2017.05.09 LITERA編集部

安倍首相の「2020年に新憲法を施行する」
宣言は憲法違反だ
 2020年に新憲法を施行する──憲法記念日に合わせて勝手にそう宣言した安倍首相だが、昨日の衆院予算委員会でこれについて信じられない答弁を行った。
 それは民進党の長妻昭議員の質疑でのこと。
安倍首相は自民党憲法改正草案で現行憲法の97条「基本的人権の尊重」が削除されている点などについて国会でたびたび質問を受けてきたが、ずっと一貫して「憲法審査会で議論されること」として自身の考えは言いはぐらかしてきた。
長妻議員はあらためてこうした問題を言及したのだが、安倍首相の答弁は、無責任極まりないものだった。
「自民党総裁としての考え方は相当詳しく読売新聞に書いてある。
ぜひそれを熟読していただいてもいい」

 安倍首相は2020年新憲法施行を、3日に開催された日本会議系の改憲イベントでのビデオメッセージと同日の読売新聞朝刊に掲載されたインタビューで揚言したが、傲岸不遜にも「それを読め」と言ったのだ。
この総理にとってみれば、国民への説明の場である国会の答弁は、インタビュー記事よりずっと軽く、蔑ろにしていいものらしい。
 まったく思い上がりも甚だしいが、だいたい新憲法の施行を国民の信任もなく宣言したこと自体が大問題だ。
しかも、国会などではなく自分の支持者で固められた集会や御用メディアで一方的に憲法改正を明言したのである。
当然、こうした安倍首相の傍若無人な態度には「憲法違反ではないのか」という声もあがっている。

 たとえば、ジャーナリストの岸井成格氏は、7日放送の『サンデーモーニング』(TBS)で、「これは総理が主導してやってはいけないことですよね。
総理自身がごく最近までですよ、国民の熟議が必要であって、そのため国会で各党が考えを全部出し合って、そして十分議論して国民とともに進める、それが憲法改正だと安倍総理自身がおっしゃってきた。
それが急にこういうかたちでポーンで出して、そしてスケジュールまで決めて、中身まで決めて。
これは総理大臣の権限を越えて、憲法違反の疑いが出てきたんですよね」と批判した。

安倍首相と萩生田官房副長官は
「総理ではなく総裁の発言」と詭弁
 さらに、安倍首相への批判は自民党内部からも起こっている。
憲法審査会メンバーで自民党憲法改正推進本部長代行である船田元衆院議員は、8日に自身のメールマガジンで安倍首相の“独断行為”について、
〈内容以上に厳しいのは、この時期に総理が踏み込んだ改憲発言をしたこと自体だ〉
深く改憲議論に関わってきた我々としては、第一義的には憲法制定権力を有する、国民を代表する国会が発議すべきものというのが常識だ
〈行政の長たる総理大臣には、もう少し慎重であっていただきたかったというのが本音である〉と非難。

この発言は国会での議論の行く末や期間を、行政の長が規定することにつながりかねないと、安倍首相に苦言を呈している。
 船田議員は〈国会の3分の2の勢力だけでどんどん進められるものではな〉いと述べるが、こんなことは民主主義に則った手続きを考えれば当たり前の指摘だ。
だが、こうした当然の批判をかわすために、安倍首相の側近である萩生田光一官房副長官は7日に出演した『新報道2001』(フジテレビ)で、安倍首相の新憲法施行発言を「憲法審査会がなかなか動かないなかで一石を投じたというのが正直なところ」と責任転嫁。
「あくまでも自民党総裁としての個人的提案」などと言い出した。
 つまり、「新憲法施行に言及したのは総理としてではなく自民党総裁としてだから問題はない」と、逃げ道をつくりはじめたのだ。
 それはもちろん、萩生田官房副長官の親分たる安倍首相本人も同じだ。昨日の衆院予算委では、白々しくも「この場に立っているのは自民党総裁としてではない」
「ここで党総裁としての考えを述べるべきではないというのが私の考え方だ」と言い張って2020年新憲法施行発言をはぐらかし、「どうぞ憲法審査会で活発な議論をされたらどうか」と発言者としての責任を案の定、放り出してしまった。
国会で逆ギレする安倍首相のほうがはるかに「品が悪い」

 しかも安倍首相は「憲法審査会において(改憲の)議論が佳境に入っていくときを迎えている」などとも言ったが、今国会で憲法審査会での審議はたったの3回。
また、安倍首相は読売のインタビューで“9条は違憲だから改憲で合憲化するのが使命”などと言ったが、今国会の憲法審査会では9条の議論などほぼ行われていない。
いや、そもそも昨日の集中審議でも、安倍政権の顔色を伺ってばかりの内閣法制局のトップである横畠裕介長官でさえ「自衛隊は憲法に違反していない」と答弁したように、内閣法制局の判断は「自衛隊は合憲」なのだが、安倍首相はそれさえねじ曲げて改憲の材料に仕立て上げようとしているのだ。

 憲法違反も疑われる新憲法施行をぶち上げながら「自民党総裁として言っただけ」と逃げ、NHKで中継される国会では自民党改憲草案の危険な本質を悟られないようにとしらばっくれてはぐらかす。
さらに昨日の国会では、森友学園問題を追及され昭恵夫人と森友学園が「ずぶずぶの関係」と指摘を受けると、安倍首相は「『ずぶずぶの関係』とか、そんな品の悪い言葉を使うのはやめたほうがいい。
それが、民進党の支持率に出ている」などといつものように逆ギレし、野党批判に話をすり替えたのだった。

──品が悪いのは、自分の妻に向けられた疑惑を本筋から逸らして他人の批判に転嫁する安倍首相のほうだ。
 だが、こんな具合に国民の声を無視し、国会を軽視し、いい加減かつ行き当たりばったりのスタンドプレーを連発する人間が、いま、権力が自分に集中するかたちに憲法を変えようとしているのだ。
集中審議は本日も行われるが、この国の総理のいい加減な態度をしかと目に焼き付けてほしい。 (編集部)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 | Comment(4) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする