2017年05月17日

薬の効き過ぎ、重複、副作用の危険… 多剤服用の高齢者は要注意

薬の効き過ぎ、
重複、副作用の危険…
 多剤服用の高齢者は要注意
2017年5月16日 東京新聞

多くの種類の薬を服用している高齢者は、飲み合わせが悪かったり効き過ぎたりすると、ふらつきなどの副作用を起こす危険がある。
中には認知症の症状が進行したと間違えられるケースも。
複数の医師にかかっている場合は、お薬手帳を活用してかかりつけの薬剤師にチェックしてもらうといった自衛が必要だ。
 (出口有紀)
高齢者薬服用の注意点.jpg

 加齢とともに、高血圧や骨粗しょう症など慢性の病気を抱え、毎日飲む薬が増えがちだ。
厚生労働省の調査によると、二〇一五年に七十五歳以上の患者で一カ月に一カ所の薬局で受け取る薬が七種類以上の人は、25・4%にも上る。

 「高齢になると、肝臓や腎臓の機能が低下し、飲んだ薬を分解して排せつするまでに時間がかかる。
若いときと同じ量の薬でも、効き過ぎてしまうことがある」と、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)副院長で老年内科の荒井秀典さん(58)は話す。

 よくあるのは、認知症に伴う症状を抑えるために薬を使うケース。
八十代の認知症の男性は、徘徊(はいかい)や暴言、暴力などの症状があり、二種類の向精神薬を服用。
一カ月ほどで症状はおさまったが、男性は食欲がなくなり、動かなくなった。
 家族は認知症が進んだと考えていたが、荒井さんは「認知症はゆるやかに進行する病気だ」と、まず薬の影響を疑った。
薬が効き過ぎてぐったりしてしまった状態で、薬を徐々に減らし一種類にすると、男性は食欲を取り戻し、生活にも活気が戻ったという。

 患者が内科や整形外科、眼科など、さまざまな診療科を受診した時に、各医師に「眠れない」と訴えると、睡眠薬が重複する場合があり注意が必要だ。
睡眠薬には筋肉の動きを弱める作用があり、飲み過ぎたり、効き過ぎたりすると、ふらつき、転倒の恐れがある。

 荒井さんは「多くの患者を抱えて忙しい医師は、不眠の原因を十分に聞かず、薬に頼りがちになる。
うつ病で眠れないのか、生活リズムの乱れで眠れないのか、正確につかめば、薬に頼らない方法も選べる」と力を込める。

 高齢者の薬を減らそうと、同センターは昨年九月から医師や薬剤師、看護師らによるチームで、入院時に六種類以上、服用している患者を対象に、主治医へ減薬を提案する取り組みを始めた。
患者の薬を少なくし、副作用の危険性と、薬剤費を減らすことを目指す。
 患者自身も、処方された薬を把握することが必要だ。
複数の診療科を受診する場合には、お薬手帳を持参する。
かかりつけの薬局を決めておくのも効果的だ。

 愛知県春日井市などで調剤薬局を営む薬剤師塚本知男(はるお)さん(52)は「血液検査の結果も見せてもらえると、飲んだ薬が腎臓や肝臓に及ぼしている影響が分かる。
悪影響を起こしていそうなら、薬の量や種類の変更も医師に提案できる」と話す。

 糖尿病の薬を長年服用していた七十代男性に血液検査の結果を見せてもらったところ、腎機能の数値が異常を示していた。
塚本さんは「糖尿病の薬には、腎臓の代謝機能が悪いと使えないものがある。
医師に、処方量を減らすか、他の薬に替える提案をした」と話す。
本人に自覚症状はなかったが、薬を替えると、腎機能の数値が改善したという。

 厚労省は四月、薬の処方の適正化に向けた検討会を設置。一八年度末をめどに指針を策定し、医師と薬剤師らが情報共有できる仕組みづくりなどを目指す。
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posted by 小だぬき at 12:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あらゆる団体に捜査員…共謀罪の切り札は「スパイ捜査」

あらゆる団体に捜査員…
共謀罪の切り札は「スパイ捜査」
2017年5月16日 日刊ゲンダイ

 安倍政権が18日にも衆院通過をもくろむ共謀罪
内心を処罰する希代の悪法だが、当局は「心の中」をどうやって探り、それを立件、立証するのか。
自白、盗聴、密告……などの手法が考えられる中で、当局が最も期待している“切り札”が仮装身分捜査。
いわゆるスパイ捜査で、捜査員が目を付けた団体のメンバーとして潜入し、メンバーの「心の中」を把握するやり方だ。
「仮装身分捜査が導入された場合に有効と考えられる点として、組織外部の人間では把握が困難な組織の核心に迫る犯罪情報や物的証拠の入手に資する」
 2014年版の「警察白書」には、こんな文言が出てくる。

まるで共謀罪の導入を見込んだような記述だが、法案が成立すれば実際の捜査現場で使われるのは間違いない。
共謀罪に詳しい小口幸人弁護士が言う。
「仮装身分捜査は、法令で令状が必要とされていません。
また、最高裁から違法と判断されたわけでもない。
つまり、共謀罪を補完する手段として、多用されていく可能性があるのです。
しかも、警察は仮装身分捜査を導入したことさえ明かさないでしょう」

 気が付けば、あらゆる団体にスパイ捜査員がゴロゴロ――なんて時代が現実になるのだ。

 今年3月、最高裁が違法と断じたGPS捜査。その事件で警察は、犯行グループの車の尾行でGPSを使ったことを隠していた。
尾行が13時間にも及ぶことから、男性被告人(45)の代理人である亀石倫子弁護士が「絶対にGPSを使わなければできない」と気付き、違法であるGPS捜査が発覚したのだ。
すでに警察庁は2006年、全国の都道府県警に対し、GPS捜査を隠す通達まで出しているから、共謀罪が成立すればやりたい放題だ。

「当局が対象団体に送り込んだ捜査員は、1カ月もすれば仲間の信頼を得て、内部の情報にもアクセスできるようになるでしょう。
そこで、スパイ捜査員がタイミングを見て自首すれば無罪放免。
恐ろしいのは、そうやって得た証拠だということが全く分からないこと。
たまたま見つけた、と言い張られてしまえばそれまでになってしまうのです」(小口弁護士)

「あいつはスパイかも」――。
国民が互いに疑心暗鬼に陥り、やがて口をつぐむ。物言えぬ雰囲気が強まり、社会全体が萎縮するのだ。
いつか来た道を繰り返してはならない。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする