2017年05月28日

 官邸が前川前次官に直接圧力の事実が

首相補佐官が前川前次官に
「加計の手続き急げ」と
    直接圧力の新事実!
天下り処罰も
 加計認可反対派の一掃が目的
2017.05.27 リテラ  編集部

 加計学園問題で、また新たな情報が出てきた。
昨年秋ごろ、当時文科省事務次官だった前川喜平氏が官邸の首相補佐官に呼ばれ、加計学園の獣医学部開学に向けて“手続きを急げ”と圧力をかけられていたというのだ。

 その首相補佐官とは、和泉洋人氏。
文科省は2003年に「獣医学部の新設は認めない」という公示を出しており、和泉首相補佐官は前川事務次官を呼び出すと、〈告示改正の手続きに向けて「(大学を所管する)高等教育局に早くしてもらいたい」と要求〉したのだという。
このとき、前川次官は〈「(文科)大臣が判断されること」と明言を避けた〉が、この一件は複数の文科省幹部に伝えられたと今日の毎日新聞朝刊が伝えている。

 昨年の秋といえば、特区を担当する内閣府が「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」などと文科省に加計学園の早期開学を迫っていたことが内部文書によってあきらかになっているが、今回の報道は、同時期に官邸が直接、文科省に圧力をかけていたことを示す。  

しかも、前川氏を呼びつけた和泉首相補佐官は、「菅房長官の懐刀」とも呼ばれる人物である。  

和泉氏は旧建設省出身で、現在は政府が名護市辺野古で進めている埋め立て工事で省庁を統括している人物であり、新国立競技場の“やり直しコンペ”を仕切ったのも和泉首相補佐官だといわれる。
もともとは民主党・野田政権時代に内閣官房参与として官邸入り、そのまま安倍首相が留任させるという異例の人事が行われたが、その背景には和泉氏と付き合いが長かった菅義偉官房長官の後押しがあったとされるなど、菅官房長官の「片腕」という立場だ。
ようするに、菅官房長官という「官邸の最高レベル」の片腕が直接、事務次官を呼びつけて早期認可を指示していたのである。

「総理のご意向」発言の
内閣府審議官もぎりぎりまで反対していた
 さらに、昨夜放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)でも、重要な証言が報じられた。  

文科省に対して「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」と発言した人物は内閣府の藤原豊審議官と見られているが、今治市が国家戦略特区に選ばれた2カ月後の2016年2月に行われた今治市との面談では、藤原審議官はこんなことを語っていたと今治市関係者が証言したのだ。
「人口減少のなか、ほんとうに学生が集まるのか」
「財政的に非常に今治市の状況が悪い」「夕張市みたいになったら困るんじゃないですか」
「文科省がどういう判断をするか、それにかかっている」
「内閣府としては主導ではやれない、やりにくい」
 これは証言だけではない。
当時、今治市議会に出された報告書にも、藤原氏から「今治市の獣医学部新設は困難」と伝えられたことはしっかり記載されているのだ。
つまり、昨年2月の段階では、内閣府も加計学園の獣医学部新設に反対の立場だったのである。  

しかし、この今治市関係者は「去年7月の参院選が終わってから急激に事態が動き出した」とし、こう話すのだ。
「市長がいろんなところでそういう話をしよるよと。
『安倍総理の強いリーダーシップをもってやるから、これは安心してほしい』というようなことを」
 加計学園の獣医学部新設に難色を示していたはずの藤原審議官もまた、同年の9〜10月には「総理のご意向」と言って文科省に迫るなど“変節”しているように、内閣府にも何らかの圧力がこの間に加えられたのだろう。

そして、こうした証拠・証言からもわかるように、圧力の源泉が「総理・官邸」であることは明白だ。
 同時に、この内閣府の転向を考えると、前川前次官をはじめ獣医学部新設に抵抗してきた文科省の役人は、官邸にとって相当目障りな存在だったに違いない。
ここで俄然、気にかかるのは、そもそも前川氏が事実上のクビに追いやられた「文科省の天下りあっせん」問題の“出所”だ。

内閣府主導の文科省天下り処罰は
    加計認可反対派の一掃だった
 じつは、今週発売の「週刊新潮」(新潮社)の記事では、政治部記者がこんな証言を行っている。
「高等教育局が大学などを所管するわけですが、早稲田大学の教授になった局長は、加計学園の獣医学部新設には強硬に異を唱えていました。
そのため、安倍官邸が、その首を挿げ替えたとも言われているのです」

 この文科省退職後に早稲田大学教授に天下った人物は、吉田大輔・前高等教育局長。
その後の調査で文科省の組織的な関与によって再就職先のあっせんが横行していたことがわかり、事務次官だった前川氏は引責辞任した。
 たしかにこの天下りあっせんは違法であり大きな問題だが、はっきり言って組織的な天下りのあっせんなどはどの省庁でも“慣例”となっているもの。
しかもこの天下り問題の端緒となったのは、新聞や週刊誌のスクープではなく、内閣府の再就職等監視委員会の調査だった。
それを1月18日のNHKが報じ、同日午前の会見では菅官房長官が「実際に報道の通りの事案が行われていたとすれば極めて遺憾」と踏み込んで発言。
翌日には官邸幹部が前川氏の責任を問い「けりをつけなければならない」と述べ(朝日新聞1月19日付)、20日付けで前川氏は退任した。

 当時から、官邸のこの“スピーディーすぎる対応”に「何か官邸の裏があるのでは」と見る向きもあったが、今回の問題によってあらためて、その疑惑は強まったのではないか。

だいたい“出会い系バー通い”にしても、官邸は昨年の秋の段階で杉田和博官房副長官から在職中だった前川氏に「厳重注意」を行っていたことがわかっている。
 これ自体があきらかに意に沿わない前川氏に対する監視を匂わせた恫喝に近い行為だが、同じように出会い系バー通いを前川氏の実名証言の口封じのため読売新聞にリークして報道させるという官邸の謀略を見れば、天下りあっせんの問題も前川氏への報復のために官邸主導で行われた可能性は十分考えられる。

いや、「週刊新潮」の記事にあるように、加計学園の獣医学部新設に異を唱えた結果、吉田高等教育局長が報復人事にあった可能性だって高いのだ。
 官邸のゴリ押しに抵抗すると、あらゆる手を使った報復が待っている──。
こうなると、内閣府の藤原審議官の変節も納得できよう。
一体、総理と官邸はどのように「行政をゆがめた」のか。
さらなる追跡が必要だ。
   (編集部)
posted by 小だぬき at 06:00 | 神奈川 ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

うつ病「休職」の診断書を乱発!? 問題の本質は「逃げ道」の選択肢がないこと

うつ病「休職」の診断書を乱発!?
問題の本質は
「逃げ道」の選択肢がないこと
2017.05.27 ヘルスプレス 

文=里中高志

 がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と並んで、厚生労働省が定める「5大疾病」のひとつにあげている精神疾患。
特にうつ病患者の増加と、それによる「会社の休職」は深刻な社会問題となっている。

 独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査では、うつ病などメンタルヘルスの不調を感じている人の「13.3%」が休職している。
もはや、どの職場でも、ひとりやふたり、時には数名のうつ病休職者がいるのは、当たり前の光景になっている。

 このうつ病休職をどう捉えるべきか。
その問題の本質に踏み込んだ問題提起をしているのが、最近発売された『うつ病休職』(新潮新書)である。 
 この本の著者であり、沖縄でクリニックを開業している中嶋聡医師の主張は、「現在の精神医療の現場において、うつ病休職が必要という診断書が、あまりに安易に乱発されている」ということにある。
 本書の冒頭では、皮肉を込めて「うつ病休職の診断書をもらう方法」を指南するのだが、その内容は、「なるべく若い医者がやっていて、心療内科と内科を標榜していて、さらに、できれば同僚に深刻そうに見えないけど休職している人がいたら、その人と同じクリニックに行く」という具合だ。

「抑うつ反応」は病気ではない?
 中嶋医師は臨床の現場で、本当にうつ病かどうか疑わしいにも関わらず、「うつ病のため休職が必要」という診断書を求める人の多さに苦言を呈しようとする。
 同医師からすると、診断書問題とは、すなわち病気になることで利益を得るという「疾病利得」に属するものであり、苦しいときに少しでも楽な道があればそれを選ぼうとする気持ちが、診断書の要求につながっているのである。
 そこには、問題が起きそうになるとそこから回避するため診断書をもらってくるよう従業員に指示する会社の事情や、診断書をもらうことで時には「傷病手当金」や「障害年金」まで得られるという経済的事情もからんでいる。

 中嶋医師は「うつ病ではないか」と診断書を求める人に、「抑うつ反応や心因反応、さらには疾病性なし」といった診断を下すことも多い。

休職したいがための方便として、診断書が求められているというのだが――。
 本人としてはまぎれもなく体調が悪くなっていたり、上司との関係や深夜にまで及ぶ労働に苦しめられているのだから、それをあたかも「詐病」のように否定するのは、患者に冷たすぎるのではないか、という気がしないでもない。
 また、中嶋医師は有名な労働裁判のケースに関しても、「うつ病」ではなく「抑うつ反応」だという見立てを示している。
これを見ると、同医師の考えるうつ病は、かなり定義が狭い範囲に限定されている印象を受ける。
 「病気」と「苦悩」は別物であり、抑うつ反応は苦悩であって病気ではないというのが中嶋医師の見解だ。

残業が100時間、200時間は労働問題
 本書を読んでいけば、その問題意識は、「抑うつ反応」という診断が下されるべきケースがあまりにも多いのに、「うつ病」と診断されていることにあることがわかる。
 そして、「労務上の問題による不具合」をすべてうつ病に転嫁して診断書を出して休職しても、いつまでも本質は解決しない、と。
毎月の残業時間が100時間とか200時間というのは、うつ病かどうかという精神医学上の問題というよりは、労働問題なのである。

 患者本人としては、そうはいってもつらいのだから「お前はうつ病じゃないと言われても……」と思うかもしれないが、
「安易に休職しても職場の問題はいつまでも変わらないですよ」ということを中嶋医師は主張しているのだろう。

「休職という逃げ道」しか
   選択肢がないことが問題だ
 現在、休職と復職を繰り返し、一見元気そうに見えても、いつまでも職場に復帰できない人が増えているようだ。
 しかし、問題は休む方法が休職しかないという「0か100」かの労働環境にもあるように思える。
休職という逃げ道を選ぶ前に、「無理なく働けるように環境を改善するべき……」というのは簡単だが、さりとて職場の雰囲気や慣行を変えるのは、決して簡単なことではない。

 働くことが苦しくても、働かないわけにはいかない……。
そんな堂々巡りから逃げ出すためには、「『休職が必要』という診断書をゲットするしか方法がない」という企業社会の現状が、あるいは問題の本質のようにも思える。

里中高志(さとなか・たかし)
精神保健福祉士。フリージャーナリスト。
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
大正大学大学院宗教学専攻修了。
精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。
メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。
著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。
posted by 小だぬき at 00:18 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする