2017年06月01日

首相のトップダウン手法 自民党内の不満が謀反に向かうか

首相のトップダウン手法 
自民党内の不満が謀反かうか
2017.05.31 16:00 NEWSポストセブン

 前川喜平・前文部科学事務次官は、いわゆる“加計疑惑”における記者会見で加計学園の獣医学部の新設問題で首相の意向が働いたのではないかという件に関し「総理のご意向」文書を本物と認めた。
この文書は文科省中枢でやり取りされたとされる文書であり、5月17日の朝日新聞で報じられた。
そしてその5日後、5月22日に前川氏は読売新聞から「前川前次官 出会い系バー通い」の見出しで報じられた。
 前川氏の実名証言が飛び出した直後は、野党が国会招致を求め、与党が拒否する構図になったが、国家戦略特区担当の地方創生相を務めた石破茂氏は「行政の公平性という観点からおかしい」と批判の声をあげている。

自民党内が一枚岩でないとなれば、話は変わってくる。
 官邸もさすがに加計疑惑は形勢危うしと見ているようだ。
政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。
「安倍首相が突然、憲法9条改正をぶち上げた背景には、森友から加計と続く疑惑の連鎖から国民の目を反らそうという狙いがうかがえる。
だが、こちらも安倍首相は9条2項の戦力不所持を廃止しないで3項に自衛隊を追加する案を読売紙上で表明し、党の方針を独断で変えたことに批判が強い。

 自民党議員たちから見ると、森友疑惑も加計疑惑も安倍首相のオウンゴールで党全体が批判を浴びている。
そんな中、本人だけが安倍一強と思い込んで何でもトップダウンで党に方針を押し付けるやり方を続ければ、党内の不満はいずれ謀叛に向かうのではないか」

 安倍首相は自民党憲法改正推進本部に年内に改正原案をまとめるよう指示したが、改憲問題でも動向が注目されているのは石破氏だ。
「国民に『これが改正草案です』と示して、国政選挙を4回やっている。
議論を変えていくやり方は正しいと思わない
 そう語って首相が打ち出した改憲案を真っ向から否定している。
安倍一強体制に亀裂をもたらす“乱”の火の手は、2つのK(加計、改憲)から上がり始めた。

※週刊ポスト2017年6月9日号
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 リボ払い&オートチャージ貧乏とは?

松崎のり子「誰が貯めに金は成る」
リボ払い&オートチャージ
「貧乏」が危ない…
急増する「見えない出費」の罠
2017.06.01 Business Journal

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

 春からの花見に歓送迎会、大型連休とイベント続きの時期からホッと一息、「あとは夏のボーナスまで、じっと緊縮財政モードで行こう」という人は少なくないのではないか。
 とても、「プレミアムフライデーに気前よく消費」とはいけそうにない。
しかし、こんな時期だからこそ、注意したいものがある。
それが「見えないお金」たちだ。

 見えないお金とは、キャッシュレス、つまり現金を見ないでやり取りされる支払いのことを指す。
これは、意外と多い。
口座引き落とし、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネーなどが挙げられる。
スマートフォン(スマホ)のアプリを通じた支払いも可能になってきているので、今後はますます現金を見ない取引が増えるだろう。
 さらに、フィンテックによる金融サービスが拡大し、個人間送金アプリも増加中だ。
飲み会の割り勘代金がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて請求され、クレジットカードやプリペイドカードなどで支払う。
受け取った代金も財布の現金とは別枠になり、これまた見えないお金のまま管理されることになる。

 筆者は、このようなアプリで代金の請求をされたことはまだないが、ITリテラシーが同じレベルでの飲み会でないと、割り勘するにも難しい時代がやってきそうだ。

手数料15%…
カードのリボ払いは回避が賢明
 お金が見えないということは、いくら払っているかの意識が希薄になるということだ。
財布に1000円しかなければ2000円の物は買えないが、クレジットカードやデビットカードがあれば買えてしまう。
そして、決済元の口座からは財布の中身を上回る2000円が消えていくわけだ。

 お金の専門家が口をそろえて「NO」と言うリボ払いはもっと問題で、いくら使っても毎月の引き落としが一定額のまま続く。
引き落としは、カードを使い続ける間はずっと続く可能性すらある。
最近では、「リボは悪質だ」と言われ続けたせいか、初期設定がこっそりリボ払いになっているカードもある。
 ポイント還元率などのサービスにひかれて新たに契約したカードが手元に届いたら、支払いの形式を確かめたほうがいい。
もしリボ払いになっていたら、カード会社に問い合わせて通常の回数払いに変更してもらう手続きが必要だ。
 なんとも面倒だが、そのままでは年率15%もの手数料を取られるはめになる。
これほど手数料を払ってもらえるなら、たとえポイントを5倍にするサービスを行っても、カード会社は痛くもかゆくもないだろう。
企業は自分たちが損する仕組みはつくらないのだ。

 分割でカード払いにしたいのであれば、手数料がかからない2回までがおすすめだ。
「2回では支払額が多すぎて無理」という場合は、素直にお金が貯まるまで待つか、手数料を払う痛みを感じつつ3回までにしよう。
 回数が増えれば増えるほど、手数料は上がる。某大手カードのサイトによると、3回払いで12%、5回で13.25%、10回で14.25%(実質年率)。
繰り返すが、リボ払いは15%(それ以上の場合もある)。
見えないお金の落とし穴は、こんなところにもある。

電子マネーのオートチャージは
           節約の天敵  
 それでも、クレジットカード払いはまだいい。
一応、使用した際にはレシートや控えを受け取れるからだ。
そうしたお金の流れすら見えないのが、電子マネーのオートチャージだ。
 交通系ICカードの電子マネーや流通系の電子マネーなどで、一定の残高を下回ると自動でクレジットカードを通じてチャージされる設定にしていると、「何に使ったか」という意識もなくクレジット払いに計上される。
 自動販売機のお茶やコンビニエンスストアでの軽食など、クレジットカードで払うには少額すぎる買い物も、電子マネーならハードルが低い。
しかし、チャージ金額の合計だけがクレジットカードの明細に記載されるため、それを見ても何を買ったのか思い出せない。
まさに、お金のブラックボックスだ。

 使うお金が見えなくなると、「節約しよう」という意識は低くなってしまう。
もっともいいのは、頑なに現金以外は使わないことだが、そうもいかない。
「節約になるから、ポイントやマイルを貯めたい」という人もいるだろう。

そこで、見えないお金の使いすぎを防ぐという視点で対策を考えてみた。

「見えないお金」で大損しないための
            浪費防止策
【カード決済の引き落とし口座と生活のための口座を分ける】
 給料が振り込まれる口座と分けて、カード払いをしたら請求月まで待たずにその金額を即入金する。
しかし、そのお金が手元にない場合もある。
そういうときは、カード用口座の通帳に使った金額の合計を記入しておき、次の給料日にその代金を取り分けて入金しておく。

【口座を分けられない場合は、封筒にカード払い用の資金を取り分けておく】
 カード専用口座を持つと管理が面倒な場合や、同じ口座でないといけない理由があるなら、アナログだが、封筒を用意してカード払いで使った金額を取り分けておく。
そして、引き落とし日の前に必ず入金する。

【請求明細を熟読する】
 クレジット払いにしているスマホのアプリ課金や、利用料金と合算した支払いは、現金取り分け方式が難しい。
見えないまま払い続けるのは怖いので、せめて請求明細をじっくり見よう。
コツは、最初に合計金額を見て、それから内訳を見ること。
「こんなに払うのか」というショックを受けてから内訳に進むと、何に多く使っているかに意識が向くため、節約すべき項目を見つけやすいだろう。

【オートチャージはやめるしかない。チャージは現金で行おう】
 現金がなくても買えるというのは、一見便利だが、実態はカード会社からのお金の借り入れだ。
借りたお金は返さなくてはいけないし、うっかり返済し忘れが続けば、あなたの信用情報に傷がつくことにもなる。
 我々は収入以上の金額は使えないし、使う額を収入より少なくしなければ貯蓄はできない。
当たり前だが、その原理原則を巧みにぼやけさせるのが「見えないお金」だと肝に銘じたい。

( ●松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト。
生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。
「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。
また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。
著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
Facebookページ「消費経済リサーチルーム」

ニュースサイトで読む:
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2017年06月02日

どちらが嘘つきかは一目瞭然 安倍首相と菅官房長官の悪相

どちらが嘘つきかは一目瞭然
安倍首相と菅官房長官の悪相
2017年6月1日 日刊ゲンダイ

「顔色が悪い」「顔がむくんでいる」――。
国会答弁やぶら下がり会見での安倍首相を見て、永田町でまた、そんな声が上がっている。
そりゃそうだろう。
今年2月に森友学園疑獄が炸裂して以来、安倍にとってストレスがたまる問題ばかり続発しているのだ。

 北朝鮮のミサイル発射に対する強硬姿勢で内閣支持率こそ微減で済んでいるが、金田法相に代表される閣僚のおバカぶりに悩まされ、「退位」をめぐる政府の有識者会議について「天皇が不満」という報道の激震、外交もやりたい放題のトランプ米大統領にマトモに相手にされず……。  

そこへもってきての加計学園疑惑である。
森友問題は“アッキード事件”だったが、加計は安倍の「腹心の友」への便宜供与が疑惑の核心。
安倍本人が主人公であり、自ら疑惑のド真ん中にいるのだから、ストレスが頂点に達していることは想像に難くない。
持病の「潰瘍性大腸炎」に、ステロイドだって効かなくなる。顔がむくむのも無理はない。

 そんな健康状態では、精神だって不調を来す。
だからだろう、一昨日(5月30日)の参院法務委員会での答弁は、いつものエキセントリックさに磨きが掛かっていた。
 民進党の小川敏夫議員が、加計問題で「文科省の文書は本物」と告発した前川喜平前文科事務次官の証人喚問を求めると、安倍は聞かれてもいないのに、「国家戦略特区は岩盤規制にドリルで穴をあけるもの。
抵抗勢力に屈せず前へ進める」と大演説。

 その上で「印象操作だ。私が友人である加計さんのために便宜を図ったという前提で恣意的な議論だ」とムキになって怒り、揚げ句には、「知り合いだから頼んだことはないと何回も申し上げている。
そうではないというのなら、小川さんが証明していただきたい」と声を荒らげたのだ。
 これには弁護士出身の小川議員も、「裁判じゃない。疑惑を招いたら自ら積極的に証明するのが政治だ」と呆れた様子だった。

■時代劇の悪代官にドン引き
 おかしいのは安倍だけじゃない。
加計疑惑に対する菅官房長官の過剰反応も異常としか言いようがない。
文科省の文書を中身も精査せず「怪文書」と断定。
前川氏に対しては「地位に恋々」と個人攻撃。
「出会い系バーで女性に小遣いを渡した。
さすがに強い違和感を覚えた」と蔑むような表情で薄ら笑いまで浮かべる。
「ちょっとやり過ぎ。
安倍政権を倒そうとしているのか」(自民党ベテラン議員)とブラックジョークを囁かれるほどなのだ。
 前川証言を「勝手に言っているだけ」と突っぱねるくせに、「総理の代わり」と発言したという和泉首相補佐官や文科省の役人の「確認できない」という発言は信用する。
どう考えても理にかなわない。

前川氏は当時の文科省トップだ。
それが自ら見聞きしたことを告発しているのだ。
官僚機構においてこれ以上、重い事実はない。
 さすがに自民党内でも異論は出ていて、石破元幹事長は「事務方トップにいた方の発言には意義がある」と言った。
都議選で小池新党を応援するためという理由はあれ、若狭衆院議員も「菅長官、文科省の進め方には問題がある。
ごまかしだ」と批判、きのう自民党を離党した。

 日経新聞電子版の「クイックVote」では、8割が「政府の説明に納得できない」と答えている。
これが当たり前の感覚である。
 コラムニストの小田嶋隆氏が言う。
これまで安倍政権は、さまざまな疑惑が浮上しても『批判は当たらない』などとテキトーな説明をして逃げ回ってきた。
それでも支持率が下がらなかったので調子に乗ってしまったのでしょう。
今回は対応を誤ったと思います。
とぼけて『のらりくらり』ならば、国民は『あー、答えられないんだな』と思うだけですが、今回は内部告発した人を積極的に攻撃し、潰しにかかった。
それも、ただ告発証言を否定するだけでなく、醜聞まで読売新聞に書かせたと国会では言われています。
そんな政権に、国民も薄気味悪さを感じて、ドン引きですよ。
薄ら笑いしながら人を攻撃するような官房長官も『時代劇の悪代官』の印象です。
墓穴を掘ったと思います」

政権に近ければ甘い汁、
       反旗を翻せば辱め
 それでも安倍官邸は、前川証言も野党の追及も全て黙殺するつもりだ。
国会会期末の今月18日までに共謀罪法案を強行成立。
閉会すれば逃げ切れると踏んでいる。
 だが、ろくに調査もせず「信用しろ」と強弁し、ドーカツすればするほど疑惑は深まる。
動揺の裏返しだと国民は見抜く。
前川氏か安倍官邸か、どちらが嘘をついているのかは一目瞭然だ。

 ムキになって否定し、相手を攻撃する狂乱首相の醜態が、大嘘のパターンであることは森友疑惑で証明済みなのだ。
“共鳴”する同志だったはずの籠池前理事長に対し、手のひらを返したように「非常にしつこい」とハシゴを外したと思ったら、「総理を侮辱」で証人喚問に引っ張り出す。
安倍は「私や妻が関わっていたら、総理大臣も国会議員も辞める」とたんかを切っていたが、籠池夫妻が文科省との交渉で昭恵夫人の名前を出していたことが音声データで明らかになるなど、関与が決定的になった。
 今度の加計疑惑も、和泉補佐官発言のように「総理の意向」を裏付ける話がボロボロ出てきて、「やっぱり」というのが大多数の国民の心情だろう。

高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
痛いところを突かれると、なりふり構わず攻撃する。
それも、公的な議会の場だけでなく、下半身疑惑まで含めた攻撃です。
こんな政権は戦後政治にはありませんでした。
安倍首相は、民主主義の体裁を取りながら、徹底した独裁手法を取るロシアのプーチン大統領やトルコのエルドアン大統領を真似しているかのようです。
さすがに国民は『この政権ではまずい』という感覚を持ち始めています。
政権と仲良くすれば甘い汁が吸えるが、反旗を翻せば、籠池前理事長や前川前文科次官のように徹底的に叩かれ、辱めを受ける。
そういう恐ろしさがハッキリ見えてきました」

■規制緩和の名の下に、
       お友達へ利益分配
 たとえ今国会を数の力で逃げ切れたとしても、2度も同じ光景を見せられた国民は安倍の嘘を忘れない。
これはボディーブローになる。
安倍がエキセントリックになり、声を荒らげる時。
それは、詭弁とゴマカシで覆い隠そうとしている時なのである。

 加計問題に限らず、国家戦略特区は制度そのものが怪しさ満載だ。
「岩盤規制」だとかカッコイイことを言っても、結局のところ首相のトップダウンで身内へ利権誘導。
規制緩和が柱の成長戦略も誰のためなのか。
うさんくささが漂っている。
自由競争だと、もっともらしく良いことのように見せかけていますが、安倍政権が規制緩和の名の下で行っているのは、自らに群がるお友達へのえげつない利益分配です。
分配されるのは我々の財産。
税金が補助金となって加計学園の獣医学部に投入されることになるのです。
森友学園にしても、土地の格安払い下げだけの問題ではありません。
小学校が設立されていれば、私学助成という形で補助金が支給されていました」(五野井郁夫氏=前出)

 5月31日前川氏は、共同通信のインタビューで「そもそも官邸と闘うという気持ちは全然なかったが、乗りかかった船だ」とつぶやいたという。
退路を断った元官僚の覚悟は並大抵ではない。
安倍政権にとって不都合な事実がまだまだ明るみに出るだろう。
むくみと悪相は、これからますます酷くなる一方だ。
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2017年06月03日

共産党員逮捕の菅生事件 警察の不正暴いた取材合戦

メディアの戦後史
共産党員逮捕の菅生事件 
警察の不正暴いた取材合戦
毎日新聞2017年6月1日 東京朝刊

 九州ののどかな山あいの村に未明、爆音が響いた。
1952年6月2日午前0時過ぎ、大分県菅生(すごう)村(現竹田市菅生)の駐在所でダイナマイト入りのビール瓶が爆発した。
けが人はなかったが、なぜか警察が爆発前から駐在所を囲んで待機していた。
近くにいた男性2人を含め共産党員5人を即日、爆発物取締罰則違反などの容疑で逮捕した。
後に菅生事件として知られる事件だ。

 共産党員らを公職追放するレッドパージから2年後のこの年、札幌市で警官が殺害された白鳥事件や、戦後の学生運動で初の死者を出したメーデー事件が発生。
警察は共産党活動との関連を捜査していた。
そのさなかだった。

 大分地裁は全員を有罪としたが、2審・福岡高裁では異例の展開になった。
被告側は現場近くにいて事件後姿を消した「市木春秋」と名乗る男の関与を主張していたが、「市木」とみられる人物の写真が出てきたのだ。

 被告側の主張では、市木という男が事件の数カ月前に村にどこからか現れて製材所で働き始め、「共産党に入党したい」と接触してきた。
事件当日、男性らを現場近くに呼び出したが、直後に警察の車に乗って行方をくらました。
共産党員を犯罪に陥れようと画策していた警察官に違いないと言うのだ。

 高裁が審理中の56年11月、地元の大分新聞、大分合同新聞の2紙が「市木は現職警官の戸高公徳巡査部長」と実名を特定して報じた。
新聞各紙の特ダネ合戦が始まった。
しかし、肝心の戸高巡査部長は「東京に行った」という情報だけで、行方がつかめなかった。  

「菅生事件のナゾ 姿を消した警官」−−。
毎日新聞は翌57年3月13日、事件の不可解さを伝える記事を掲載した。
東京本社版でも朝刊3面の半分近くを使い、独自入手した戸高氏の写真を掲載。
関係者の証言も加えて「市木と戸高が同一人物とは考えられない」と否定した警察庁の山口喜雄警備部長の国会答弁に疑問を投げかけた。


 同じ3月13日、事件は急展開する。
共同通信社会部の取材班が、東京都新宿区のアパート「春風荘」に身を隠した戸高氏を見つけたのだ。
近くのバーに場所を移して話を聞いたが認めず、翌日の取材でようやく「市木は私。党に近づくため潜入した」と認めた。

「消えた警察官 現わる」。
共同の配信を受けて、毎日新聞など各紙の取材にも火が付いた。
 福岡高裁で戸高氏の証人尋問が実現した。
眼鏡をかけ頭髪をきちんと分けた戸高氏は、当日は現場にいなかったと主張したものの、自らダイナマイトを運搬し、爆破された駐在所に脅迫文を書いたことを認めた。
 高裁は58年6月9日、爆破事件について5人に逆転無罪を言い渡した。
うち1人の主任弁護人を務めた清源(きよもと)敏孝(としたか)氏が「新聞社が競い合って戸高氏を見つけ出した。
メディアの存在がなければ裁判を覆すのは難しかった」と話していたと、次男で弁護士の善二郎さん(63)は振り返る。

 最高裁も60年12月16日、高裁判決を支持した。
判決を伝えた毎日新聞夕刊で作家の松本清張氏は「戸高をジャーナリストたちが追及して明るみに出さなかったら、警察はかくしたままだっただろう(中略)その勝手な振る舞いには恐ろしさを感じる」と感想を寄せた。

 事件から60年以上が過ぎた。共同通信社会部取材班のキャップだった原寿雄(としお)氏は92歳になった。
権力が正義を追求するとき、正義のためにという名目で、不正義な手法を用いるということがある。
それは今も昔も変わらない。
権力の不正を監視し、つかんだ事実で不正を明らかにすることが報道の役割だ」と言葉に力を込めた。
       【川名壮志】
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官邸レッテル貼り失敗 前川前次官“いい人”エピソード続々

官邸レッテル貼り失敗
前川前次官
“いい人”エピソード続々
2017年6月3日 日刊ゲンダイ

 “買春次官”のレッテル貼りも、むなしく剥がれつつある。
加計学園問題を巡る「総理のご意向」文書を「本物」と認めるなど官邸の圧力や歪んだ行政を暴露している前文科省次官の前川喜平氏(62)。

出会い系バー通いは「貧困女性の実地調査」とする説明に、安倍官邸は「女性に小遣いを渡した。
さすがに違和感を覚えた」(菅官房長官)と“エロ親父”に仕立てる人格攻撃に躍起だが、前川氏の“いい人”エピソードが湯水のごとく湧き上がっているのだ。

 今週発売の週刊文春は、出会い系バーで知り合った女性らに「まえだっち」と呼ばれていた前川氏が、就職や両親の離婚などの相談に乗っていた“美談”を報道。
告白女性に「前川さんのおかげで今がある」とまで言わしめている。

 また、次官退官後、前川氏が子どもの貧困対策に取り組むNPO「キッズドア」のボランティアに、素性を明かさず参加していたことが話題に。
理事長の渡辺由美子氏は、自身のブログで「一生懸命に教えてくださっている」
「実際に現場に足を運ぶことは、生半可な思いではできない」「誠実な方」と前川氏を絶賛。
もともと優良企業の御曹司だけに、まるで「あしながおじさん」だ。

■出世しても「とにかく現場」
 前川氏の4期先輩で、元文科省審議官の寺脇研氏(京都造形芸術大教授)は、「若い頃から、何でも現場を見ないと気がすまないタイプだった」として、こんなエピソードを披露した。
 寺脇氏は1984年から2年間、福岡県に出向。
福岡の筑豊地区は当時、炭鉱の閉山で貧困の巣窟だった。
複雑な家庭の子も多く、教育現場も荒れていた。
帰京後、寺脇氏が入省7年目の前川氏らに筑豊の実情を話すと――。

いの一番に、“現地に行きましょう”と言ったのは前川君でした。
公務ではなく、土日を利用して、皆で自腹で行きました。
学校の様子を見て、夜は先生らと飲みながら語り合った。
出世しても前川君はとにかく現場に出向いていました。
NPOや民間の学校など、役所の手が届きにくいところにまで足を運んでいました

 前川氏の一貫した現場主義の逸話を知ると、「出会い系は実地調査」との説明もうなずけなくはない。
「会見を見て、説明をウソとは思いませんでした。
ただ、あまりにも“ストレート”な説明だったので、会見後、『誰が信じてくれるか』と電話したら、『本当のことですから』と。
そういう不器用で、バカ正直な面もあるんです」(寺脇研氏)

 安倍官邸と前川氏、どっちが信用できるか。一目瞭然だ。
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2017年06月04日

社会の匿名化 過剰反応が進まぬよう

社会の匿名化 
過剰反応が進まぬよう
2017年6月2日 東京新聞「社説」

 十二年前に個人情報保護法が施行されてから、社会の匿名化が驚くほど進んだ。
多くの名簿や連絡簿などが作られなくなったのだ。
同法の改正法が施行され、再び過剰反応が進行しないか心配する。

 個人情報が大事なことは、もっともだ。
それは十分に理解している。
だからといって社会全体がただ個人情報を理由にして萎縮してしまっては、有益な情報も閉ざされ、かえって市民社会に不都合が起きてしまう。

 身近なケースでは、自治会などの名簿が作れない。
学校のクラスの連絡簿が作れない−。
こんなケースは緊急時に必要な情報を伝達することができないわけで、不都合が起きる典型例といえよう。
 個人情報を盾にとって隠蔽(いんぺい)するケースもある。
報道機関は法規制の「適用除外」にもかかわらず、行政が懲戒処分の公務員の名前を匿名発表したりする。
これでは公務員がどんな悪質な行為をしたかも、あるいは冤罪(えんざい)であったかも具体的に取材しようがない。

 日本新聞協会によれば、警察も重大事件の被害者を匿名発表するケースが常態化しているという。
これは被害者や家族の心情に報道機関が接近することを不可能にしてしまう。
まったく無機質な報道にならざるを得ない。
許されないことだが、プライバシーを理由に、警察が年齢や性別などについて虚偽の内容を発表する事態さえ起きている。

 二〇一五年には記録的な豪雨で鬼怒川が決壊し、茨城県常総市などで洪水の被害が起きた。
だが、同市は行方不明者の氏名を公表しなかったため、安否確認が進まず、救助作業の現場が混乱したという。
これもプライバシー保護を理由に氏名を非公表としたのが大きな原因だった。
 まるで人命よりも個人情報の方が大事であるかのような対応ではないか。
災害時は真っ先に不明者名を明らかにし、安否を確認するのが鉄則ではないだろうか。

 従来は個人情報が五千件以下を対象外としていたのを、改正個人情報保護法では全事業者を対象にする。
病歴や人種など「要配慮個人情報」も規定されている。
制度がより厳格化する。
 個人情報が保護されるべき価値を持っていることを否定しない。
人間の尊厳に敬意を払い、プライバシーにも配慮する。
それでも民主主義社会では伝えるに値する個人情報は無数に存在する。
「匿名なら無難」という思考停止にだけは陥らないでほしい。
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深刻化する日本の「情報隠蔽体質」ーー共謀罪と公安の恐ろしい裏側とは

深刻化する日本の
           「情報隠蔽体質」ー
ー共謀罪と公安の
             恐ろしい裏側とは
2017年06月03日 11時00分 週プレNEWS

携帯はあなたの情報を政府に知らせています
――ギョッとする帯文が目に飛び込む、『スノーデン 日本への警告』(集英社新書)が話題を集めている。
エドワード・スノーデン氏は、2013年にアメリカ政府が全世界の一般市民を対象に大規模な監視体制を構築していた事実を暴露した「スノーデン・リーク」で世界を震撼させた元情報局員。
本書は、第一章でスノーデン氏が日本人に向けて深刻な監視社会の実情を解説し、第二章は国内外のジャーナリストらによるディスカッションという構成となっている。
折しも、日本では政府が「共謀罪」の成立を急いでおり、アメリカのような監視社会はもはや対岸の火事とは言えなくなってきた。
出版を記念し、共著者のひとりであるジャーナリストの青木理氏、そして専修大学人文・ジャーナリズム学科教授の山田健太氏によるトークイベントが行なわれた。
前編記事(「共謀罪成立で限りなく違法に近い公安活動が一般化する!」)に続き、メディアを萎縮させる特定秘密保護法など、深刻化する日本の「情報隠蔽体質」に迫る――。
            ***
山田 これまで、情報機関が本気で情報収集したらどういうことが起きうるのかというお話をしていただきました。
では、その一歩手前、身柄を拘束できる権限についてはどうか。
やはり、これが大きいと思うんです。
つまり、これまでは「違法行為をしたから」という理由で身柄を拘束できたわけですが、共謀罪が成立すれば「やるかもしれないから」という理由で捕まえられるようになる。
身柄を拘束したあと、起訴をするのか、裁判までもっていくのかという以前に「世の中にいると邪魔だ」と思う人物がいたら拘束して留置できる。
それが非常に容易になることを私は怖れるわけです。
もうひとつ、スノーデン氏はこの本で、いわゆる「内部告発」を取り巻く状況についての警告も発しています。
彼は「民主主義というのは、内部告発が情報源の秘匿などの権利によって担保されていないと壊れてしまう」と言っています。
内部告発の受け皿としてのジャーナリストの役割というのを彼は非常に重視している。
青木さんも取材活動を通じて、内部告発の重要性は十分に認識していらっしゃると思います。

青木 もちろん政治権力や行政権力が「邪魔だ」と考える人物を除去するのが目的であれば、共謀罪は絶大な威力を持つでしょう。
実際に動くのは警察、なかでも公安警察になるわけですが、その絡みで言うと、これもオウム真理教事件の際、印象に残る話を聞きました。
公安警察がようやく捜査を本格化させ、ありとあらゆる法令を駆使して信者を片っ端から捕まえていったわけですが、公安部の幹部は当時、「過激派に比べればラクだったよ」と言ってました。
そうして幹部信者のあらかたを捕まえ、最後に教祖の麻原彰晃を捕まえる段階になった時のことです。
麻原の所在を必死に調べ、おそらくは第7サティアンにいるだろうということがわかった。さて、どうするか。刑事部と公安部の意見が対立したんです。
どういうことかと言うと、刑事部はこう主張するんです。
「麻原を捕まえるんだったら、地下鉄サリン事件か、それに匹敵する逮捕状で捕まえたい」と。一方の公安部はこう訴えた。
「公務執行妨害でもなんでもいいから、とにかく踏み込んで拘束すればいいんだ」と。
ここに公安警察と刑事警察の根本的な発想の違いがよく表れています。
刑事警察というのは、裁判での立証なども見据え、きっちり捜査をしたいという考えが根底にある。
一方の公安警察は違う。
極端に言えば、容疑なんてなんでもいい。
捕まえることにこそ意味があると考える。
冗談のような話ですが、公安警察には「転び公妨」という手法があります。
誰かを捕まえたいとするなら、その人物の周囲を公安警察官が取り囲み、そのうちのひとりが「あぁっ、痛い痛い!」といって勝手に転ぶ。
そして「お前、押しただろう。公務執行妨害だ」といって逮捕してしまう。
はっきり言って違法行為ですし、裁判で立証などほとんどできないのですが、これならいつでもどこでも誰だろうが逮捕できてしまう。
しかし、とりあえず逮捕し、その後に強制捜査でもしておけば、たとえ裁判で有罪にできなくても、さらに言うなら起訴すらできなかったとしても、情報収集という点でいえば勝ちなんです。対象人物や組織にダメージを与えることもできる
それが情報警察である公安警察の本能と言ってもいいでしょう。
だから、それに強力な武器を与えることになる共謀罪は恐ろしいのです。
それから、メディア、ジャーナリストと内部告発の話ですが、僕はスノーデン氏に直接お目にかかったことはないけれど、彼を扱ったドキュメンタリー映画『スノーデン』を観ました。
また、この本の題材となった2016年のシンポジウムで、インターネットの画面を介した生インタビューという形で彼に接しました。
ものすごくスマートでインテリ。
非常に“まともな方”という印象を受けました。
僕もこれまで数々の内部告発者に出会ってきました。
これは確か鎌田慧さんの言葉だったと思いますが、僕らの仕事の根幹である取材とは何かといえば、「本当のことを語ってくれる人を探す旅だ」と。
まさにその通りです。
自分の身に直接危害が及ぶようなケースは稀(まれ)にしても、所属する組織や人間関係の都合上、どうしても言いづらいこととか言ってはいけないこと、あるいは秘密にしなくてはいけないことであっても、こいつならばと思って明かしてくれる人を見つけるのがノンフィクションライターとかジャーナリストと呼ばれる者の仕事なわけです。
内部告発者はその筆頭ですが、現実には様々な人がいます。
告発の動機が私憤や嫉妬、あるいは金銭的な目的だったりすることもある。
もちろん、その動機がなんであるかにも目を凝らさなくてはいけませんが、肝心要(かなめ)なのは告発の中身です。
真実を語ってくれる人がいなければ僕たちの仕事は始まらないし、そういう人が現れれば真実が明るみに出る。
現れなければ、真実は永遠に闇に隠されてしまうわけですから。
また、往々にして内部告発者は厳しい環境に晒(さら)されますから、精神的に不安定になりがちな人も多い。
しかし、スノーデン氏に接して「ああ、こんなスマートな内部告発者がいるのか」と感じ入ったんです。
彼は今、ロシアで事実上の亡命生活を送っていて、自らの身も決して安泰というわけではない。なのに非常にスマートで、彼が告発をする上での動機であったり、その行動の動機というのも、ものすごくクリアで論理的です。
自分が内部告発した後の社会の反応、メディアがどう動くかということに関しても、非常に明確なビジョンを持って行動している。
これは僕にとって純粋な驚きでした。
スノーデン氏に対して暴露主義者とか、混乱を引き起こす者といった印象を持たれている方も多いかもしれませんが、この本を読んだら、むしろブッシュ元大統領やオバマ前大統領、そして現在のトランプ大統領は最たるものでしょうが、彼ら為政者のほうがよっぽど不健全で非論理的だと感じるでしょう。
スノーデン氏の存在には、「ああ、こんな人が現れ得るんだ」と、内部告発者を探す旅を続けている僕ですら驚いたぐらいです。
それでは、日本に果たしてスノーデン氏のような人物が現れうるだろうか。
また、彼のような内部告発者が現れた時にそれを受け止められるメディア、ジャーナリストがどれぐらいいるだろうかと考えると、正直なところ非常に不安になります。
「特定秘密保護法ができても、世の中たいして変わってないじゃないか」と言う人もいますね。しかし、これは山田さんのほうが詳しいと思いますが、実はメディア各社は「特定秘密保護法対策マニュアル」のようなものを作っています。
なぜか。例えば、Aという新聞社で、ある記者が特ダネをつかんだとしましょう。
しかし、上司であるデスクや部長にこう言われる可能性がある。
「これって、ひょっとすると特定秘密なんじゃないか?」。
特定秘密保護法の最大の問題のひとつは「何が特定秘密なのかわからない」という点です。そして、もし特定秘密だった場合、メディアも強制捜査を受けかねない。
果たして、これに耐えられるか。
そう考えると、特定秘密保護法があることによって、ジャーナリストが特ダネを入手しても報道を自粛する可能性が出てくる。
メディアに対する強制捜査が行なわれるとすれば、目的は特定秘密を漏洩(ろうえい)した人物を暴くことですね。
ところがジャーナリストの側からすると内部告発者は情報源です。
「情報源は死んでも守れ」というのが僕らにとって最大の掟ですが、強制捜査はそれと真っ向から対立する。
そんな中、情報源を守れるか。
パソコン内のデータから携帯電話の通信記録、メモや資料まで押収されれば、守るのは極めて難しい。
結果、これは特定秘密に該当する恐れがあるから報道しないほうがいい、という自粛が起きる可能性があるし、すでに起きているかもしれない。
情報源の側だって、本来なら告発に踏み切っていたケースでも、特定秘密保護法違反など最大で懲役10年の刑を課されかねないから、すでに萎縮して口を閉ざしてしまったケースもあるでしょう。
スノーデン氏は最近、メールなどの通信情報を網羅的に閲覧できる特殊なソフトをNSA(米国家安全保障局)が日本側に提供していた、とも告発しています。
ではこれを警察が使っているのか、防衛省が使っているのか、実際に使っていれば明確な違法行為、憲法違反です。
しかし、メディアでも国会でもほとんど問題視されていない。
それが日本の現状です。

山田 現状として、そういう弱さを持った社会だからこそ、なんとか法的な制度で報道の自由を担保していく必要があると思います。
例えばスウェーデンは、公務員がその職務に関わる秘密を家庭で洩らすと公務員法違反で摘発されますが、ジャーナリストに話す場合は摘発されません。
約250年前にできた憲法のひとつを構成する出版自由法という、いわゆる情報公開法があって、ジャーナリストに話す場合は「公益目的の情報漏洩」ということで摘発されないんです。
日本にもこういう制度があれば、随分違うと思います。

青木 仰る通りです。
僕自身は、特定秘密保護法のような悪法には断固反対です。
ただ、多少なりとも良質な与党政治家がいるとするなら、そうした歯止めをかけるべきだという議論がもっと出てくるべきでしょう。
また、特定秘密保護法のような「情報を隠す法」を作るなら、それに釣り合うような形で「情報を出す法」、つまりはきちんと公文書を作成して適切に保管・管理し、一定時期がきたらきちんと公開していく情報公開法などの一層の整備が必要です。
現在の公文書管理法は、非常に不十分な内容とはいえ、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけ、「主権者である国民が主体的に利用し得るもの」と格調高く明記しています。
この法律の制定に尽力した政治家のひとりが福田康夫元総理だそうです。
本来は、保守の政治家からこうした動きがもっと出てくるべきなんです。
だって、「国家の情報」でしょう。
各省庁がどんなふうに動き、どんな意思決定の過程を経て政策を定めたのか。
国家の歴史を正確に記録し、後世に遺していくというのは、むしろ保守の政治家がもっとこだわってしかるべきかと思うのですが、そういう発想もない。
森友学園問題では財務省が重要書類を破棄してしまったと公言し、自衛隊のPKO活動日報も一時は「存在しない」と強弁していました。
東京都庁では、築地市場の豊洲移転に関わる交渉が「水面下」で行なわれ、記録が残っていないという。
今もこういうことがあちこちで起きているわけです。
山田さんが仰ったスウェーデンの例は、まさに民主主義社会における報道の自由と、国家の情報を守るというバランスを考慮した上での所産でしょう。
そういった海外の例と比べると、この国の情報に対する態度というのは、ため息が出るぐらい後進国的です。

山田 今の青木さんの話は、この本にある「民主主義国家として、どうあり続けるのか?」というスノーデン氏の言葉につながってくると思います。
情報公開でいうと、日本では2001年に情報公開法が施行されました。
ところが、施行から17年目に入っていますが、これまで一度も改正されていない。
これは非常に特異なケースだといえます。
こういう法制度を持つ国では、2、3年あるいは4、5年といったスパンで改正されるのが普通です。
特に2000年代以降の社会はインターネットの普及が進んでいますから、それに応じて大抵の国は情報公開に関する法制度も改正しているんです。
残念なことに、今の日本の坂道を転げ落ちるような「情報隠蔽体質の深刻化」が進む状況が始まるのは、2001年の情報公開法施行以降なんです。
2011年に公文書管理法が施行されましたが、これも法制度ができると同時に「じゃあ、記録を残さないようにしよう」「そもそも議事録は作りません」といった態度が顕著になっていった。
本当にひどい状況ですね。

青木 本書の中で、スノーデン氏の法律アドバイザーである弁護士のベン・ワイズナー氏が古い言葉を引いています。
人々が政府のことについてすべて知っていること、これが民主主義社会だ。
政府が多くのことを知っているが人々が政府のことを知らない、これは専制政治である」と。
日本の場合、明らかに前者ではなく後者になりつつあるのではないでしょうか。
財務省が森友学園にあの土地をなぜ8億円も値引きして売ったのか。
豊洲の新市場予定地に、なぜあんな地下空間が作られたか。
財務省や都庁は隠し続け、誰もわからない。
一方で特定秘密保護法が成立し、盗聴法が大幅強化され、この上に共謀罪まで成立すれば、僕らの情報は国家に吸い上げられる。つまり専制体制に近づきます。
僕は、この仕事を続けてきて、「情報ってなんだろう?」と考えるんです。
綺麗ごとになってしまうかもしれませんが、情報というのは民主主義社会のコメ、あるいは空気のようなものです。
それがないと、僕らは生きていけない。
日々の判断や選択ができない。
これは何も政治に関する情報だけではなく、どのレストランが美味しいか、どの本が面白いかといったものも立派な情報です。
様々なレベルでジャーナリストや編集者が情報を集め、ウラを取って発信する。
その情報の積み重ねがあってこそ、僕らは日々いろいろな判断や選択が可能になる。
こうした情報がねじ曲がっていたり濁っていたり、あるいは伝えられないということになると、社会は澱み、民主主義は死ぬ。
逆にスノーデン氏のような告発者が政府の違法行為を明るみに出し、それをきちんと受け止める良質なメディアやジャーナリストが増えれば、社会は多少なりとも健全になっていく。
もちろんダメなメディアやジャーナリストは大いに批判するべきですが、一部の頑張っている連中は社会全体で応援し、支えていくようなことも必要じゃないかと思います。

山田 今、仰った「市民が政府のことをなんでも知っているのが…」というのはアリストテレスの言葉ですね。
私は「表現の自由」が専門の研究者ですが、「表現の自由」は、ひとつには法律などの制度によって保証されるものです。
また、それを運用する健全なジャーナリズムが存在することも必要です。
このふたつによって表現の自由は守られるんです。
今、日本は制度も怪しくなってきて、ジャーナリズムも弱ってきている。
ふたつある条件の両方がダメという、最悪の状況になりつつある。
なんとかしないといけない。
私は前者のほうで頑張るので、青木さんにはふたつめのほうで頑張っていただきたいと思います。
10月1日(日)の午後にもう一度、スノーデン氏への生インタビューを予定しています。
それまで、なんとか彼が米国に強制送還されないように願っています。

(取材・文/田中茂朗 撮影/本田雄士)
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2017年06月05日

『朝生』で百田尚樹が徹底論破され大恥

『朝生』初出演の百田尚樹
あらゆるテーマで無知さらけ出し大恥!
改憲派学者からも「本当に右なのか」と
2017.06.03 LITERA 編集部

 テレビ朝日『朝まで生テレビ!』といえば、今年で30年を迎えた田原総一朗司会の生討論番組。
かつては大島渚や野坂昭如など骨太の文化人から、姜尚中や宮台真司らスター学者、政治家や運動家ときには麻原彰晃のような渦中の人物までが登場し、タバコを燻らせ、口角泡を飛ばし合ったものだ。
 そんな『朝生』の5月26日深夜放送回に、ついに、あの御仁が初出演を果たした。
ご存知、作家の百田尚樹センセイだ。

 この日の『朝生』は安倍政権の憲法改正、共謀罪、天皇生前退位特例法、そして加計学園問題が議題。
はてさて、数々のファナティックな言動で知られる百田センセイが生放送でどんな“ご活躍”を見せるのか。
眠たい目をこすりつつ、チャンネルを合わせてみた。
 ところが、蓋を開けてみると完全に肩透かし。
百田センセイはキレのある主張のひとつもできず、逆に無知と無教養をさらけ出したあげく、徹底的に論破され、あまつさえ「あなたは本当の右なのか!」と強烈なダメ出しまでされてしまったのである──。

 たとえば番組冒頭の皇室議論。
百田センセイは、今上天皇が生前退位の特例法などに不満を漏らしていたという5月22日付毎日新聞一面の報道について、「宮内庁否定したでしょ? 公式に否定したんでしょ」などとギャーギャー騒ぎ出したのだが、そこで田原から、「あなたね、8月の天皇の『おことば』見た? 聞いた?」と聞かれると悪びれることもなく、 「聞いてない」  

まさかこのオッサン、「おことば」も聞かずに得意げに皇室を語ろうとしていたとは……。
愕然とせざるをえないが、さすがにこの発言には小林よしのりも「めちゃくちゃだよそれ」と嘲笑。
百田センセイはビキッときたらしく「聞いてないだけやん!」と逆ギレしたが、よしりんは「『おことば』聞かずに語ったってしょうがないじゃないかそんなもの!」と一喝。
思わず目が泳ぎ、その情けない表情をカメラにバッチリ抜かれてしまったのであった。

百田、得意のネトウヨ陰謀論を
    繰り出すも撃沈&自爆の巻
 こんな感じで、出だしからつまずいてしまった百田センセイ。
続く共謀罪の議論でも空回り。
たとえば先日、日本政府に対し強い懸念を示した国連の特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ氏に関し、百田センセイはこんなネトウヨ陰謀論を開陳。
「彼の思想的背景ってどういうものですか」
「なぜ日本だけにそれを言うのか」
「特別報告者って何者なんですか!?」
「実は日本の左翼が国連に働きかけているんですよ! わかりませんけど!」
 とまあ、吠えてみたはいいが、田原からは「外務省は去年、『特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため、今後もしっかりと協力していく』という宣誓書を書いている」と事実を突きつけられ、リベラル系の出演者からは相手にされず、お仲間の八木秀次やケント・ギルバートからもほとんど援護してもらえないという痛々しさ全開の有様であった。
 当たり前だろう。

しかし、このオッサンの学習能力のなさはすごい。
後半の加計学園の議論でも同じ轍を踏む。
 討論は、政府はしっかりと国民に経緯を説明すべき、というごく当然の流れに。
そこで百田センセイはここぞとばかり、例の前川喜平・前文科事務次官の「出会い系バー通い」という官邸が読売新聞を使って流したネガティブキャンペーンに話をスライドさせ、反転攻勢をしかけるのだが……。
「今回、前川さんの名前が出る前に、私は実は前川さんの名前を聞いていたんだですよ! えー、前川さんという方が今の政権に対して相当個人的な恨みがあるっちゅう話を聞いてたんですよ!」
「彼の風俗通い、これ、かなり政権に注意されてたんですよ!
 読売新聞に出る前に私は聞いてました!」

 百田センセイ、見事な墓穴。
民進党の長妻昭から「どこからの情報ですか。
官邸筋じゃないですか?」とズバリ突っ込まれ狼狽し、「あ、まあ、ある議員ですけどね」と返すのがやっとだ。
さらに佐高信から「百田さんは(加計学園に)決まったのはおかしいと思わないの?」と率直に問われると、「いま加計学園は置いておきましょうか」とのたまい騒然。
もはや錯乱しているとしか思えない。

 しかも百田センセイ、ミスを取り返したかったのか「あの(前川氏の)メモというのはいったいなんやと、いろいろ聞いたんですよ。
えー、ほんで公務員がメモをすると、もう公文書と言われるんですね、これ」などと解説し始める。
 完全にオウンゴールである。

そもそも、政府と文科省はいま、調査対象を行政文書に限って行うという離れ業で「確認できなかった」と強弁しているわけで、例の文書を「公文書」と断言されるとヒジョーに困るのだ。
もちろん隣に座っていた自民党の平沢勝栄は大慌て。
百田の発言を遮り、必死で火消しに回っていた。
 安倍政権をアシストするつもりが、逆に矛盾を追及してしまった百田センセイ。

番組を見ていた官邸関係者も頭を抱えたことだろう。

百田、「本当の右なのか?」に
   ぐうの音も出ずお茶を飲むの巻
 あまりにアホすぎて同情の気持ちすら湧いてくる百田センセイだが、やはりハイライトはこの場面をおいてないだろう。

番組中盤、安倍首相がぶち上げた2020年の新憲法施行についての討論になった際、百田センセイはなにを調子に乗ったのか、日米安保についてこんな持論を展開した。
「日本はね、安全保障に関しては本当にうまくタダ乗りしてきました。
歴代の総理大臣がみんな憲法改正を言わなかったっていうのは、ずっと長いことジャーナリストであろうが文化人であろうが政治家であろうが、憲法改正なんて口にしたら社会的に葬りされられる時代があったんですよ。
これはすごかった!」
「30年、40年前は憲法改正をしなくても日本の安全は米軍によって守られてたんですよ!」  まさに「俺はリアリストやで?」と言わんばかりのドヤ顔で述べたわけだが、その百田センセイを怪訝な顔で見ていたのが、法学者の井上達夫・東京大学大学院教授だ。

井上は「私は9条削除論」と前置いたうえで、百田をこう問い詰めた。
「百田さんに言っておきたいんだけど、僕は本当に右だったら尊敬するの。
小林(よしのり)さんは右だけど、あなたは本当の右なのかな。
さっきから不満なのはね、『日米安保は完全に日本がタダ乗りだった』って」  

 百田が「タダ乗りでしたよ!」と口を挟む。
井上は呆れて続ける。
「よくそんなこと言えるね! 日米安保で片務条約って嘘なんですよ。
アメリカは世界最大の海外における戦略拠点を日本でずっと維持して、ほとんどタダ。
駐留経費75パーセント(も日本がだしてる)。
これ、アメリカの方が得ているものが大きいわけです!」

 井上は、日米安保条約が日本に多大な負担を強いているという事実を指摘し、それを無視してアメリカの軍事力だけを有り難がる百田の実に幼稚な安保論をバッサリと切り捨てたのだ。

井上はさらに百田を追い詰める。
しかも右だったらさ、かつて鬼畜米英って言った国の米軍基地がこれだけあるってことを恥じなさいよ、少しは! 
『お前たちすでにこれだけ甘い汁吸ってんのにこれ以上要求するんだったら、俺たちだって日米地位協定も含めて見直さないといけないよ』って言うのが大人の交渉なんだよ。
右がそれをするんだったら私は尊敬する!」

 言っておくが、井上はネトウヨが敵視するようなガチガチの護憲派では決してなく、むしろロジカルに護憲派・改憲派双方の欺瞞を糾弾してきた法学者だ。
その井上からみて、「愛国ナショナリズム」を標榜して軍隊創設を喧伝しながら、その実、米軍への隷属根性丸出しで、不平等条約である日米安保を盲従し続ける矛盾だらけの“エセ保守”の詭弁に我慢がならなかったのだろう。


 しかし、百田センセイはストローでお茶をちゅるちゅるとすすりながら、「アメリカを抜いて当時ソ連に対峙するだけの安全保障に対して、アメリカ軍に払う金じゃすまなかった」などとピーピー言うだけ。
もはや反論にすらなっていない。
というか、お金云々を言うならなぜ百田は改憲をして軍事増強を訴えるのか。
喋れば喋るほど矛盾がでてくる。
誰がどう見ても百田センセイの完敗だったのだ。

百田、コテンパンにされたあと
    ツイッターで恨み節連投の巻
 結局のところ百田センセイは、『朝生』で終始圧倒され、自分の無知と無学をさらけだし、ましてや“エセ保守”だと喝破されるという大恥をかいてしまったのだった。
 普通の人間なら恥ずかしくって外を歩けなくなってもおかしくないが、そこはさすがの百田センセイ。
番組終了後、Twitterでこんな逆恨みの連投を始めたのだ。

〈「朝生」は全然面白くなかった。
番組始まる前の控え室から、何人かが私に凄まじい敵意を剥き出しにしてくるのは驚いた。
初対面から喧嘩ごしで喋ってくるのには参った。
あらためて、私は敵が多いんだなあと思った(^^;; もう出ない。〉
〈私をつぶす目的があったのかどうかは知りませんが、左側の人たちは私を睨みつけて喋っていることが多かったです。〉
〈もしかしたら、私のギャラは田原氏を除いて、出演者の中で一番高かったのかもしれない(最初の提示の約2倍を要求したから)。
意外に、そういうのが敵意を生んだかな^^;〉

 完全に負け犬の遠吠え。
被害妄想も大概にしろと言いたい。
というか、自分で2倍のギャラを要求しておいて「出演者の中で一番高かったから敵意を生んだ」とか、意味不明にもほどがあるだろう。
 ちなみにこのオッサン、放送前にはかなりノリノリだった。
百田センセイは22日にネトウヨ向けネット番組『報道特注(右)』に出ているのだが、その時のサブタイトルは「百田尚樹さん!!朝まで生テレビ初出演記念スペシャル」。
いかに百田が『朝生』初出演に鼻息を荒くしていたかがわかる。

 なお『報道特注(右)』では、築地仲卸「鈴与」を営む生田よしかつが「田原総一朗ってやばくね? 入れ歯フガフガしてる(笑)」とか、維新の足立康史が「まあ(三浦)瑠麗ちゃんはカワイイからいいですよ(笑)」、元次世代の党の和田政宗が「アレ(=三浦瑠麗)も育てていかなきゃいけない(笑)」とか、散々『朝生』と出演者を愚弄し、百田もゲラゲラ笑っていたものだ。
 ようするにこういうことだ。
『報道特注(右)』がそうであるように、普段、百田センセイは『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)とか『ニュース女子』(TOKYO MX)とか、ネトウヨ丸出しのお仲間が集まる番組で、愚にもつかないネトウヨトークに花を咲かせている。
そこでは、どんな陰謀論をタレ流そうが、雑な議論をふりかざそうが、周りのお仲間たちが気持ちよく同調ヨイショしてくれる。

 ところが、いざ専門家や左右から百戦錬磨の論客が集う『朝生』に出ると、そんなネトウヨ発言を誰も擁護しないのはもちろん、当たり前のように徹底的に論破されてしまう。悲しいかな、ただ、それだけのことなのだ。
 しかし、百田センセイは「もう出ない」なんて言っているが、いやいや、それはもったいない。
百田みたいな“エセ保守”がいかにインチキで、ろくな議論のひとつもできないか広く周知させるためにも、今後とも是非『朝生』にご出演いただきたいものである。
    (編集部)
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2017年06月06日

 やめられない万引きは「孤独」が原因

窃盗症(クレプトマニア)の
多くが高齢女性! やめられない
「快感」の原因は「孤独」
2017.06.05 ヘルスプレス(里中高志)

 平成28年版の『犯罪白書』によれば、「窃盗」は認知件数において刑法犯の7割を超える、最もケース例の多い犯罪で、その件数は年に80万件を超えている。
 そのうち「万引き」が占める割合は14.5%であり、これは近年、減少傾向にあるというが、相当に高い割合であることは間違いない。
万引きをしては捕まって刑務所に入り、出所してもすぐまた万引きをして刑務所に再び入る──。  このような「常習累犯窃盗」と呼ばれる人も多く、深刻な社会問題になっている。

「窃盗症(クレプトマニア)」とは
どのような病気か?
 こういった人は単なる「軽犯罪者」ではなく「窃盗症」という疾患を患っているとも考えられる。
「窃盗症」は別名「クレプトマニア」とも言うが、これはどのような病気なのだろうか?
 東京で唯一、窃盗症(クレプトマニア)のための患者のための専門外来がある「大森榎本クリニック」の精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんはこう話す。
 「クレプトマニアは、国際的な診断基準である『DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)』や『ICD-10(国際疾病分類第10版)』にも記載されている世界共通の疾患です。

世界や日本にどのくらいの患者数があるかというと、しっかりしたデータはありません」
 「日本の窃盗犯事例のうち、クレプトマニアに該当する数の推計もなかなか難しいのが現状です。
しかし、平成27年の犯罪白書では、万引きで検挙された者のうち窃盗の前科をもつ者は20%を超えています。」
 さらに斉藤氏は、その「診断基準」について以下のように補足する。
 「診断基準としては、『DSM-5』には個人的に用いるためでもなく、またその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される
窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり』『窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感』などの項目が掲げられています」
 「ただし、現実には盗んだ品物をまったく自分で使わないということはなく、この『個人的に用いるためでもなく』という箇所はやや厳密にすぎるきらいがあり、実際の臨床場面での診断はもう少し柔軟に行なうべきだと我々としては考えています」

患者の半数以上が50代以上の女性
 斉藤氏によれば、万引きにもいろいろな種類があり、必ずしもそのすべてが窃盗症(クレプトマニア)に該当するわけではなく、特に生活苦によるものや転売目的のものはその範疇ではない。
 窃盗症(クレプトマニア)に該当する人は、金銭的な価値のためでなく、衝動的にスーパーやコンビニで商品を盗むことを繰り返すのがその特徴だという。  「取った瞬間は快感や達成感を覚えるのですが、その快感はあまり持続しない。
家に帰って商品を見たら、なんでこんなものを取っちゃったんだろう、と感じるようです。
それでも、逮捕されなかったらずっと続けていただろう、という人がほとんど」

 「実際に当クリニックの患者さんは、刑事手続きの段階で窃盗が繰り返していることがわかって担当の弁護士から紹介された人が多い。
当院を受診して、初めてクレプトマニアという病気を知ることになります。
このタイミングで治療が始まるのが特徴的です」

 そして、その年齢層・性別であるが、大森榎本クリニックの受診者のデータを見ると、50代以上が半数で、女性が半数以上の53%を占めている。
全体的には65歳以上の女性の割合が多くなっているのが特徴だという。

 「当院にも女性の高齢の方が次々と来るのですが、見た目や服装、話し方も上品で、『なんでこの人が万引きを?』と不思議に思うような人たちが多いです。
共通する傾向としては、ご主人を亡くされるなどの喪失体験を経験した後に万引きが始まっているケースが少なくない、ということ
 「75歳くらいでご主人に先だれたものの、遺族年金で生活にゆとりはあり、お子さんもお孫さんもいる――そんな人が万引きで捕まり、家族がビックリするケースもあります」

高齢の女性が万引きに走るのは
「孤独」が原因  
なぜ、高齢の女性が万引きに走るのか。
斉藤氏は、そのキーワードは「孤独」だと話す。  
「それまでまったく万引きなどしたことがなかったのに、50代を過ぎて突然始まるというケースが多い。
そのきっかけとして一番多いのが、パートナーとの死別や離婚なんです」

 「<寂しいから万引きをする>という深層を分析するのは、なかなか難しいことです。
ただ言えるのは、そこに<失ったものを取り返す>という意味合いがある。
そして、万引きで捕まることで、連絡が途絶えていた親族と触れ合う機会が生まれる――。
このことをどこまで自覚しているかは分からないが、結果的に患者の孤独感は一時的に癒されます」

 万引きで捕まり、刑事手続きの過程で、初めて医療や福祉サービスにつながる人も少なくない。
 話し相手もおらず、行く場所もない孤独が、高齢女性を万引きに走らせるのだろうか……。
孤独から逃れる唯一の手段が、万引きだということだとしたら、あまりにも寂しい老後の風景ではある。
 日本の高齢者を支えるコミュニティや人とのつながりが、それだけ途絶えてしまったということなのかもしれない。
(取材・文=里中高志)

斉藤章佳(さいとう・あきよし) 
大森榎本クリニック精神保健福祉部長。
アジア最大規模といわれる依存症施設「榎本クリニック」(東京都)で、精神保健福祉士・社会福祉士としてアルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性依存・虐待・DV・クレプトマニアなどのアディクション問題に携わる。
大学や専門学校で早期の依存症教育にも積極的に取り組む。
講演も含め、その活動は幅広くマスコミでも取り上げられている。
著者に『性依存症の治療』(金剛出版.2014)、
『性依存症のリアル』(金剛出版.2015)その他論文多い。
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

官邸に逆らえば更迭…夏の人事で文科省“前川一派”大粛清

官邸に逆らえば更迭…
夏の人事で
文科省“前川一派”大粛清
2017年06月06日 09時26分 日刊ゲンダイDIGITAL

 霞が関にとって、6月は人事のシーズン。
「加計学園文書」の流出で官邸の怒りを買った文科省には、粛清の嵐が吹き荒れるとみられ、職員は戦々恐々となっている。

 文科省の前川前次官の捨て身の告発に、心ある官僚が続くことを期待したいが、現役職員は今回の騒動の“とばっちり”を恐れて逃げ腰だ。
「もちろん、心情的には前川前次官に共感するところはあります。
でも、官邸に牙をむくなんて、そんな恐ろしいこと、できるわけがない。
この夏の人事でどんな報復が待っているか、分かったものじゃありませんから」(文科省関係者)
 実際、官邸は文科省にカンカンだ。
審議官や局長クラスに息のかかった経産官僚を送り込み、文科省を解体するプランも浮上しているという。
「加計文書」共有の実名入りEメールを民進党に流出させた犯人捜しにも血眼になっている。  

例年、通常国会が閉じると、中央省庁の人事異動が行われる。
 安倍官邸は内閣人事局の創設で幹部の人事を掌握し、霞が関に睨みを利かせてきた。
官邸の方針に逆らえば左遷、忠犬のように働けば昇進というアメとムチ。
そういう情実人事で官僚機構を支配下に置き、かつては政権を潰す力をも持っていた財務省も軍門に下った。某省の幹部職員が言う。
「大臣が了承した人事案も、菅官房長官が首を縦に振らないと通らない。
官邸の意向を反映するまで、何度でも突き返されます。
財務省、経産省のような主要省庁だけでなく、昨年はTPP関連で、農水省人事にまで手を突っ込んで、霞が関を震え上がらせた。
官邸の方針に抵抗した局長を飛ばして、経産省から幹部を送り込み、農水省を事実上の“子会社化”したのです」

 安倍首相は1日、ニッポン放送の番組収録で一方的な前川批判を展開。
「次官であれば、『どうなんですか』と大臣と一緒に私のところに来ればいい」
「なんでそこで反対しなかったのか」などと不満をブチまけた。
だが、在任中に批判しようものなら、容赦なくクビにするのが、この政権のやり方だ。

 1日、森本康敬釜山総領事を退任させて、後任にドバイ総領事を充てる人事が発表された。  報道によれば、森本氏が知人との会食の席で、官邸の方針を批判したことが総領事交代の原因とされる。
私的な会合での発言まで問題視するのは異常ですよ。
誰が密告したのか知りませんが、審議中の共謀罪の懸念がすでに現実のものになっている。
また、こういう記事が出ることで、官邸批判は絶対に許さないという霞が関へのメッセージにもなります」(元外交官の天木直人氏)

 しかも、森本氏はノンキャリだ。
出世レースや退官後の生活で生殺与奪を官邸に握られたキャリア官僚は、輪をかけて物を言えなくなる。
今はまともな行政を取り戻せるかの瀬戸際です。
官僚機構が一致団結して抵抗すれば、政権はひとたまりもないのです。
官僚は自らの保身や組織防衛より、まず国家国民のことを考えて欲しい。

官邸のために体を張った財務省の佐川局長が出世し、公正公平な行政を取り戻そうとした文科省の前川一派が粛清されるようなことがあれば、この国はオシマイです」(天木直人氏=前出)  

霞が関の反乱を潰すために、官邸はどんな手を使ってくるのか。
この夏の人事に注目だ。
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2017年06月07日

安倍政権はやっぱり共謀罪を治安維持法にするつもりだ!

安倍政権はやっぱり
共謀罪を
治安維持法にするつもりだ!
金田法相が
「治安維持法は適法」と明言、
処罰対象も次々拡大
2017.06.06 LITERA編集部

 先週、「平成の治安維持法」と呼ばれる共謀罪法案が参議院で審議入りした。
懸念されるのは、濫用によって一般市民が取り締まりの対象になることだ。

 政府はこれまで処罰対象を「組織的犯罪集団」に限ると説明してきた。
しかし、これは嘘八百で、一般人も対象となりうることが国会答弁で明白になっている。
 6月1日の参院法務委員会では、法務省の林眞琴刑事局長が「構成員でない者についてもテロ等準備罪の計画の主体になりうる」と答え、対象を「組織的犯罪集団」の構成員に限るという要件は完全に崩れた。

しかも見逃せないのは、同委員会で金田勝年法相が「組織的犯罪集団の構成員ではないが、組織的犯罪集団と関わり合いがある周辺者」という概念を新たにもち出し、「処罰されることもありうる」などと明言したことだ。

 言うまでもなく「周辺者」なる概念は曖昧で、いくらでも恣意的解釈が働く。
たとえば、米軍基地反対運動に組織的犯罪集団とみなす者がひとりでもいれば、他の参加者を全員、その周辺者としてしょっぴくことができるというわけだ。
 まさに、処罰範囲の拡大解釈によって、党派性なく反戦運動に参加した一般市民まで対象とし、国民の思想と生活を弾圧した治安維持法の再現である。

 しかし、驚いたことに、安倍政権はそもそも、治安維持法を悪いものとはとらえてないことが明らかになった。
金田法相は、2日の衆院法務委員会で、共産党の畑野君枝議員から治安維持法の認識を問われ、「適法だった」「謝罪の必要はない」と言い切ったのである。
「治安維持法は当時、適法に制定されたものでありますので、同法違反の罪に関わります拘留・拘禁は適法でありまして、または同法違反の罪に関わります刑の執行も適法に構成された裁判所によって言い渡された有罪判決に基づいて適法に行われたものであって、違法があったとは認められません。
したがって、治安維持法違反の罪に関わる拘留もしくは拘禁または刑の執行により生じた損害を賠償すべき理由はなく、謝罪及び実態調査の必要もない」

 この大臣は過去への反省がまったくないのだ。
そもそも治安維持法は、制定された1925年には「国体の変革」(天皇制から共和制への意向など)と「私有財産制度の否認」を目的とした結社を取り締まる法律で、念頭にあったのは共産主義や社会主義の運動だったが、適用範囲の拡大を繰り返して、共産主義とは無関係の市民まで弾圧するようなった経緯がある。

金田法相が「適法」と評価した
治安維持法の実態
 たとえば、1928年の法改正では、最高刑を死刑とする厳罰化とともに「目的遂行罪」が設けられた。
これによって、共産主義運動などに資すると見なされればあらゆる行為が処罰の対象となり、30年代前半には検挙者数が激増した。
なお、この改正と前後する共産主義者の一斉検挙(3・15事件)の際などの激しい暴行については、本サイトでも以前、小林多喜二の小説を紹介しながら取り上げている。


【“現代の治安維持法”共謀罪が審議入り! 権力批判しただけで逮捕虐殺された小林多喜二の悲劇が再び現実に!http://lite-ra.com/2017/04/post-3053.html

 そうして日本共産党(とその目的に関連すると見なされた組織)を壊滅した治安維持法は、戦争へ突き進む政体とともに、さらなる運用の変貌をみせる。
反戦・民主主義運動を新たな“敵”として創出し、これを取り締まったのだ。
表現の自由の大家として知られる法学者の故・奥平康弘東京大学名誉教授は、30年代後半における治安維持法の「拡大解釈」についてこう記している。

〈第一は、反ファシズム・統一戦線とのかかわりのある組織と運動への治安維持法の適用である。
当局はこのばあい、反ファシズム・統一戦線というのは、コミンテルンの命令するものであるから、すなわち日本共産党の活動の一貫であると強調する。
けれども、当時の実情にてらしても、またのちの歴史からみればますます明らかに、日本の反ファシズム・統一戦線なるものは──もしそう称しうるものがあったとすれば──日本共産党の活動でもないし、等を支援する目的の活動でもなかった。
市民的自由をまもり、民主主義を擁護しようとする試みであった。〉(『治安維持法小史』岩波書店)
 奥平氏は〈反ファシズム・統一戦線への治安維持法の適用は、このゆえに、同法が民主主義・自由主義へ適用されたことを意味するものにほかならなかった〉と続けている。

天皇制の護持と私有財産否認の思想の壊滅を目的とし始まった治安維持法は、一般市民によるごく自然な反戦・民主主義運動の弾圧に利用されたのだ。
 さらに労働組合はもちろんのこと、右翼団体や宗教団体、司法関係者、役人、あるいは学者、編集者、芸術家なども次々と検挙されるなど、適用範囲は底が抜けた状態になる。

41年の改正(いわゆる新治安維持法)では悪名高き予防拘禁制度が生まれた。
これは2年の期間が設けられていたが、実際には無期にわたる拘禁を容易に科すことのできるものだった。
 ようするに、金田法相はこうした拡大的解釈・適用によって極めて深刻な思想弾圧や人権侵害をもたらした治安維持法を「当時は適法だった」の一言で済ませようとしたのである。
民主主義国家の法務大臣としての資格が皆無と言わざるを得ないが、さらに強調しておかねばならないのは、この治安維持法ですら、政府は成立当初は“一般市民が対象になることはあり得ない”と説明していたという事実である。

治安維持法制定当時の法相も
「一般人には及ばない」と
 実際、1925年3月、当時の小川平吉司法相は貴族院で「無辜の市民まで及ぼすというごときことのないように十分研究考慮いたしました」と述べている(朝日新聞3月15日付)。
 また治安維持法は、その前年に廃案となった過激社会運動取締法案(1922年)と異なり、すべての犯罪は「目的罪」であり、「国体若ハ政体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ」為される行為に処罰を限定するのであって、警察の権限濫用は大幅に抑えることができると説明された(平岡秀夫、海渡雄一・共著『新共謀罪の恐怖』緑風出版)。

 まさに、この間の共謀罪法案の説明で、安倍首相が「一般の方々がテロ等準備罪の捜査の対象になることはない。
テロ等準備罪は犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定している」(5月8日衆院予算委)などと強弁し続けてきたのと酷似していると言わざるをえない。
 しかも前述したように、その「一般人は対象にならない」との政府説明は、すでに明確な破綻をみせている。
実際、金田法相は5月29日の参院本会議でも一般の市民運動が対象になりうると暴露していた。

「環境保護や人権保護を標榜していても、それが隠れみので、結びつきの基本的な目的が重大な犯罪を実行することにある団体と認められる場合は処罰されうる」
 こうした「隠れみの」や「周辺者」という曖昧性、あるいは「認められる」という恣意的解釈が示すものこそ、共謀罪が「現代の治安維持法」たりうる証明に他なるまい。
絶対に廃案とする。
それ以外に歴史を繰り返さぬ手立てはないのだ。
    (編集部)
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2017年06月08日

加計学園問題 自民党に自浄能力はない こんな自民党でいいんですか?

加計学園問題 
自民党に自浄能力はない 
こんな自民党でいいんですか?
擁護する経団連榊原会長、読売新聞
猪野 亨(弁護士) 2017年06月07日 10:24

衆議院292人、参議院114人、計406人が自民党会派に所属する議員数です。
 議長の分が抜けていたり、無所属が含まれたりもしますが、これがおおよそ自民党所属の国会議員数です。
 今、森友学園問題に続いて、加計学園問題が安倍氏が文科省に圧力を掛けていたという疑いが濃厚な中で、というよりも誰もが、「真っ黒」と思う中で、安倍自民党政権は、とにかく、この問題については、「無視」するという姿勢を鮮明にしています。

 文科省幹部が作成したとされる文書について
「確認できない。」
 前事務次官である前川喜平氏が本物と証言すると、前川氏への誹謗中傷攻撃。
 NHKが文科省幹部で共有していたと報じられたことについても「再調査の必要はない」
 文科省幹部の10人の間でのメールのやり取りについて、文科省に在籍していることは認めながら、やはり「再調査の必要はない」
 松野博一文科相にいたっては「職員が実名で告発するなど、出所が明らかにならない限り、調査をしない」
「「加計」メール 告発、実名で顔出せば「対応検討」 文科相が言及」(東京新聞2017年6月6日)

「メールは民進党が入手し二日に写しを公表。
また、NHKの取材に対し、現役の職員を名乗る男性が文書がメールで共有されたことなどを、匿名で顔を出さずに証言している。
会見で、松野氏は「報道があったことは承知しているが、実際にそれが文部科学省の職員から発言があったかどうかについて確認することができないので、それを前提にした質問に答えることは差し控えたい」とした。
記者が、「(職員が)実名で顔も出して告発すれば検討するのか」とただすと、「こういったところから出て、ということが明らかになれば、調査に関して対応をしっかり検討する」と話した。」
 実名で内部告発しないと応じないというのは、実名で「言えるものなら言ってみろ」という脅しです。
 朝日新聞が現役の文科省幹部に対する取材で文書が複数の幹部で共有されていたと証言したと報じています。

「文科省対応「おかしい」加計文書、共有証言の現役職員」(朝日新聞2017年6月7日)
「取材に応じた現役職員は「自分が見た文書、メールと同じで共有されていたものだ」と認めた。
文科省の調査結果には「自分は(文書の存在を)知っていたから、大丈夫なのだろうかと思った」と疑問を呈し、「安倍政権の方針に反対ではないが、今回の政府の対応はおかしいと思っている」とも述べた。」

 このような状況になっても、安倍政権は、「無視」するのでしょう。
 というよりも事実確認のための調査をするまでもなく真実だということは安倍氏自身が認識していることです。
 真実だからこそ調査をしない、すべて安倍氏の意向を忖度しているからだというのは、常識的な感覚があればわかることです。
 一番の問題は、自民党内で疑問を呈する声がほとんど聞こえて来ないことです。
 400人以上もいる国会議員の中で、批判の声を出しているのは、せいぜい石破茂氏と村上誠一郎氏くらいなもので、自民党内では全く批判の声が聞こえて来ないということがこの問題の深刻さがあります。
 安倍氏に対しては、ものを言えない、これが自民党です。
 安倍氏のこの発言は、党内、官僚を黙らせる象徴でもあります。

「安倍首相、前川前次官を批判=「なぜ反対しなかったか」」(時事通信2017年6月1日)
「首相は「私の意向かどうかは、確かめようと思えば確かめられる。次官であれば『どうなんですか』と大臣と一緒に私のところに来ればいい」と述べ、当時の対応を疑問視。前川氏が「行政がゆがめられた」と主張していることに対しては、「なんでそこで反対しなかったか、不思議でしようがない」と不満をあらわにした。」

 「文句があるなら来いや」と脅しているようなものなのですが、自民党議員も官僚もこれで黙りです。
以前からですが、安倍氏は、自分に反抗する者の存在を許しません。
「安倍氏って陰湿なんですね、総裁選の裏側 刃向かう者は「粛正」だ!」  
 400人もいる自民党国会議員は、すべて安倍氏に何もいえない存在でしかありません。
 本来なら、自民党総裁の首をすげ替えて自浄能力を発揮しなければならないはずです。
それができないのであれば、自民党議員みな同罪です。
 要は、自民党総裁の地位も延長される、そうなると次期選挙はどうしても安倍総裁のもとで選挙が行われる、安倍氏を批判したら公認がもらえない、黙っていようという姿でしかなく、議員としての資質にも欠くものです。
  背景には、安倍政権の支持率が下落したとはいえ50%前後の支持率があることがありますが、だからといって議員が黙りという姿勢は無責任です。

「加計学園、森友学園問題 
「確認できない」という逃げ惑う
安倍政権擁護する発想がわからない」
 ところで、財界も同レベルの発言をしています。
「加計問題審議「優先順位違う」 経団連会長」(朝日新聞2017年6月5日)
「経団連の榊原定征会長は5日の会見で、学校法人加計(かけ)学園の獣医学部新設問題をめぐる審議が国会で続いていることについて、「もっと審議して欲しい項目は山ほどある。優先順位からすると加計学園ではない」との考えを示した。」  あからさまな安倍政権擁護です。
 榊原会長は、安倍氏に直談判し、「自ら解明せよ、そうすれば野党からの追及を受けることもなく、国会審議で無駄なことはしなくて済むだろ。」くらい言えないものですか。
それとも、この安倍政権の真っ黒な部分が公になると、財界にとっても不都合なことでもあるのですか。
 それこそ榊原氏は、安倍氏と直談判できる立場にあります。
 にもかかわらず、このようなに野党を誹謗中傷するのは、財界も安倍政権とブラックな関係だということでしかありません。

 この安倍政権に加担する読売新聞もひどすぎますが、とにかく黒い集団が安倍氏を擁護しようというのですから、恐ろしい政治です。
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2017年06月09日

加計学園問題と改憲宣言で追い込まれた政権の自滅への道

永田町の裏を読む
加計学園問題と改憲宣言で
追い込まれた政権の自滅への道
2017年6月8日 日刊ゲンダイ

高野孟ジャーナリスト

 どうも安倍政治が悪い方へ悪い方へと傾いているように思うのだが、と自民党のベテラン秘書に問うと、ズバリ「その通り」という答えが返ってきた。


「森友学園もさることながら、加計学園の方が深刻だ。
前川喜平前文科事務次官の反乱を抑え込もうとして、出会い系クラブ通いをするような卑しい人間なんだという人格攻撃を仕掛けた菅義偉官房長官の小細工が過ぎて、かえって傷口を広げ大失敗。
また安倍晋三首相も、加計学園問題から目をそらせようとしたのか、2020年9条改憲宣言をしたが、これも拙速粗暴に過ぎる。
追い込まれて、焦ってジタバタしてオウンゴールを繰り返すという悪いパターンに入ってきた」と嘆く。

 実際、JNNの6月初旬の世論調査でも、加計学園問題では、政府側説明に「納得できない」が72%、前川前次官や総理秘書官らを「国会に呼んで話を聞くべき」は70%に達する。
7割というのは厚過ぎる世論の壁で、蹴散らして進もうとすれば必ず傷を負う。

 改憲宣言も、一見するとなかなか巧妙に組み立てられていて、9条1項・2項はそのままにして第3項を「加憲」するという形で、護憲派を動揺させ民進党内の保守派を誘い出す一方、公明党を引きつける。
他方、大学授業料無償化を掲げることで維新の会に手綱をかける。
「しかし」とベテラン秘書が言う

あまりに軽々しい。自民党が“党是”として掲げてきた改憲って、こんな話だったっけ? と驚いた党員が多い。
党がまとめた改憲草案と整合しないことも戸惑いの要因。

何よりもまずいと思うのは、党憲法改正推進本部で長年苦労し、衆参両院の憲法審査会を通じて民進党はじめ野党との合意を丁寧に積み重ねることに腐心してきた、保岡興治本部長、船田元同代行、中谷元同代理など我が党の“憲法族”主流を脇に押しのけるような人事をして、首相側近の下村博文を本部長補佐、西村康稔を事務局長補佐、佐藤正久事務局次長などを押し込んだことだ。
『野党との合意などまだるっこしいことを言っていては進まない』という安倍の前のめり姿勢の表れだ」
 この調子でいくと、年内にも自民党として安倍宣言に沿った案をまとめ、来年前半には発議して国民投票を実施するということで突き進むのだろうが、両院の憲法審査会で自民党案を“強行採決”するということができるのかどうか。
安倍も菅も近頃、目が血走っているようで気味悪い。
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「牛歩」はみっともない戦術じゃない

「牛歩」は
みっともない戦術じゃない、
政権の暴走に抵抗する
     当然の手段だ!
 野党は徹底抗戦を!
2015.09.16 リテラ(エンジョウトオル)

*小だぬき→安保法制を「テロ等準備罪・共謀罪」に読み替えてください。
6月8日現在の情報では、日本は6月13日に戦後最大の危機を迎える。
 犯罪を実行していなくても、計画段階で逮捕および家宅捜査することができる「共謀罪(テロ等準備罪)」を、与党はこの日の参院法務委員会で強行採決する構えだからだ。
犯罪を「計画した」「合意した」と判定する権限は警察などの捜査機関が100%持つため、“警察全権委任法”といっていい。
ニュースサイトで読む:
http://biz-journal.jp/2017/06/post_19395.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.

*****************************
 参院平和安全法制特別委員会で安保法制が強行採決されるのか。
緊迫の度合いが強まってきた。
地方公聴会と同日に委員会採決を行うことになれば、これは異例中の異例の展開。
菅義偉官房長官は「野党が合意したから強行採決ではない」と言い張っているが、馬鹿を言え。

民意を無視して押し通すなど、これは立派な強行採決だ。
だいたい肝心の法案は、審議によってその立法事実さえ失った状態ではないか。

 たとえば、安倍首相がさんざん繰り返し言っていた「ホルムズ海峡での機雷掃海」も、今月14日の委員会で本人自ら「具体的に想定しているものではない」と前言撤回。
さらに、昨年5月の会見以降、安倍晋三首相が集団的自衛権行使の根拠として触れ回っていた“日本人の母子を守るために”邦人が乗った米艦を日本の自衛隊が防護するという話ですら、8月26日の委員会で中谷元防衛相が「邦人が乗っているかは絶対的なものではない」と発言。
日本人を守る目的がなくても集団的自衛権を行使することを認めた。

だいたい、統合幕僚長と米軍が安保法制の成立を「今年の夏までに」と確約していた内部文書にしたって、はぐらかすばかりできちんとした説明も行われていない。
 一体誰が、こんな状態で納得をするというのか。
挙げ句、「法案が成立し、時が経ていくなかで間違いなく理解は広がっていく」(安倍首相発言、14日)だ? 
主権在民を無視した、このような暴挙は到底許せない。

 この、戦後史上もっとも最悪な独裁政治に抗う方法は、もはやアレしかない。
そう、「牛歩」戦術だ。
そしていまこそ、野党に強く要求したい。牛歩をやれ!と。

 牛歩というのは、強行採決に抵抗するための手段として編み出された方法で、日本においては戦前から受け継がれてきたスタイルだ。
強行採決されそうな議案に対し数の力では負けてしまう野党が、まずは内閣不信任案や問責決議案、不信任決議案などを提出。
投票にまでもちこんで、投票を行う際、わざと牛のようにノロノロと、あるいは足踏みをすることで時間をかせぐことにより、会期末による流会(法案の成立断念)や与党からの留保を狙うのだ。

 今回の安保法制でも野党側はこうした抵抗策を考えており、時事通信の記事(9月16日付)によると、参院本会議採決へと動けば、中川雅治・参院議運委員長の解任決議案、山崎正昭・参院議長の不信任決議案、安倍晋三首相と中谷元防衛相への問責案などを提出することを想定しているという。
また、「新国立競技場の建設計画見直しで責任論が出ている下村博文文部科学相らの問責案」も提出すべきという意見もあるらしい。
とにかく数を打って少しでも時間を引き延ばそうという算段だが、そこで時間かせぎの真打ち(?)たる牛歩の出番となるわけだ。

 ただ、問題なのは、牛歩には悪しきイメージが強い、ということ。
1992年、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)協力法案の採決に際して、当時の社会党などの野党がこの牛歩戦術を採用。
31時間も牛歩をつづけ、じつに4泊5日におよぶ徹夜国会で徹底的に抗したが、結果としては自民党をはじめとする与党が数で押し切り、あえなく失敗した。
 しかも、この牛歩は国民から大顰蹙を買った。
メディアはこぞって牛歩を取り上げ、「国民がしらける あんな牛歩で「戦った」とは笑止千万」「低次元の牛歩国会」「生理的苦痛残るだけ」と批判を展開。
国民からも「みっともない」「無駄な抵抗」「潔くない」とブーイングが起こった。

 そのため、今回の安保法制でも、牛歩戦術を野党が取ればこうした世論が生まれる可能性は高い。
牛歩はその名の通り、ビジュアル的にも情けなさが伴う。
ここにつけ込んで、露骨な政権擁護に傾いた読売新聞や産経新聞、フジテレビに日本テレビ、普段は批判を恐れて政治ネタを扱わないワイドショーなどは、ここぞとばかりに牛歩を嘲笑い、“みっともない野党”を印象付けるだろう。
言わずもがな、ネット上ではネトウヨが大挙して炎上祭りを展開することは必至だ。

 だが、牛歩とは、まったくもってみっともない戦術などではない。
これは真っ当で立派な抵抗手段なのだ。
 そもそも牛歩戦術とは、広い意味での議事妨害(フィリバスター)といわれるものだが、おもにフィリバスターというと長時間の演説で進行を妨害する方法(牛歩にならって「牛タン戦術」とも呼ばれる)のことをさす。
2004年の年金制度改革法成立のとき、民主党の森ゆうこ議員が参院厚労委員長解任決議案の演説で3時間1分(戦後最長記録)もかけたが、これがフィリバスターだ。
 また、議事妨害にはほかにも「ピケ」(ピケッティングの略)という方法もある。
ピケットとは「監視員」という意味だが、議場などの入口で与党議員の入場を阻止したりすることをいう。

1996年に住宅金融専門会社処理問題で公的資金を投入するかどうかで与党と対立した小沢一郎率いる新進党が、このピケを行い、22日間ものあいだ委員会室を封鎖。
赤じゅうたんに座り込んで煙草を吸うなどの議員の姿がメディアで紹介された。
しかし、このときも案の定、新進党は大バッシングに晒される結果に。
その後、新進党は求心力を失った。

 一方、アメリカなどの国では、フィリバスターは当然の権利として周知されている行為だ。
その例として、1939年に公開された映画『スミス都へ行く』(監督/フランク・キャプラ)という作品がある。
選挙によって議員となった青年スミスがダム建設に絡んだ不正を知り、それを告発しようとするものの逆に議会で除名のピンチに立たされてしまう。
そこで一発逆転を狙い、フィリバスターを実行して大演説をぶつ──という物語だ。

 もちろん、こうした映画が“民主主義のあるべき姿”“正義のかたち”として支持されているだけでなく、実際にアメリカ議会では1957年にストロム・サーモンド議員が24時間18分にもわたって演説を行い、上院の最長記録として残っているし、「安倍首相と政治手法がそっくり」と評判のジョージ・W・ブッシュ前大統領が独裁的な政治を進めていたときも、フィリバスターによって阻止してきた部分がある。

 数の論理ですべてを決定するのではなく、少数意見にも耳を傾け、合意の道を探る……。
そのひとつの方法が、議事妨害にある。
いま、日本で行われているのは、いくら国民がおかしいと言っても安倍首相が「私は総理大臣なんですから」の一言で押し通そうとする、権力を笠に着た思い上がりの政治だ。
これに抵抗するには、最後まで愚直に抗うこと。
それしかない。
 だから、野党の議員たちよ。
あらゆる手を尽くし、やれることは全部やるのだ。
そしてメディアのバッシングを恐れず、牛歩を実行しろ。
ピケもやれ。
大いにやれ。
それはあなたたちがいまやれる、唯一の仕事だ。

 前述した『スミス都へ行く』では、マスコミは有力議員の言いなりになってスミス議員を猛バッシングするが、そんな逆境のなかでもスミスは23時間ものフィリバスターに挑む。声が枯れ、ボロボロになり、その上、偽物の抗議文書を大量に突きつけられるスミス。
それでも、彼は議会の真ん中でこう声を上げる。
「あきらめません。これしきの事で。
僕はここに立って闘い続けてみせる。
嘘の山に囲まれても!」

 もうすでに「結局、何やっても可決されるんだし」というような諦めモードの議員もいるだろう。
だが、市民は諦めていない。
地方公聴会の会場となった新横浜では、強行採決に反対する人たちがシットインで抵抗した。
警官に蹴られても引き倒されても、反対の意志をしっかり表現するために、この政治に対して懸命に抗った。
次は、あなたたちの番だ。

 わたしたちは見ている。
どこまでやるのか、本気で止めたいと思っているのか、野党の態度をしっかり見ている。そのことを忘れないでほしい。
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2017年06月10日

読売は"弱者をたたき、強者を助ける"のか

読売は"弱者をたたき、
     強者を助ける"のか
6/9(金) 15:15プレジデントONLIN配信

沙鴎 一歩ジャーナリスト

加計学園問題は国会で野党の追及が続き、安倍晋三首相は真相解明に消極的な答弁を繰り返している。
そこで加計学園問題についての新聞記事を読み比べてみると、読売新聞の「弱気」と朝日新聞の「勢い」がよくわかる――。

■毎日コラムも「ヘンな記事」と指摘
 各紙の社説に触れる前に、毎日新聞6月5日付夕刊の客員編集委員、牧太郎氏のコラム「大きな声では言えないが……」を取り上げる。
 コラムは「5月22日、読売新聞朝刊に奇妙なスキャンダル記事? が掲載された」で始まり、「前川喜平・前文部科学省次官が歌舞伎町の出会い系バーに頻繁に出入りしていたことが関係者への取材でわかった」と続く。

 記者会見を開いて「記録文書は本物だ」「行政がゆがめられた」と証言したあの前川前事務次官のスキャンダルだ。
復習しておくと、記録文書とは、安倍首相の知人が理事長を務める加計学園の国家戦略特区への獣医学部新設計画に関し、文科省が特区担当の内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」といわれたと書かれている文書のことである。

 牧氏は「具体的な『犯罪行為』には触れていない。ヘンな記事だ! と思った」と指摘し、「《売買春の可能性がある風俗産業→そこに頻繁に通っていた元官僚→そんな人物の言い分を信じてはならない》の三段論法? 
 だが、僕には『前川さんVS安倍内閣・読売新聞』の構図に見えてしまう」と述べる。
なるほどその通り。

■「西山事件」を連想させる展開に
 次に「あの『西山事件』を思い出した」と書いているが、この私(沙鴎一歩)も読売の記事を読んで西山事件を連想した。
だから前回この欄で「下ネタで問題の焦点をぼかして相手を攻撃し、世論を見方にしようとする作戦はこれまでもよく使われた」と書いたのである。

 牧氏のコラムによると、西山事件は第3次佐藤栄作内閣のときに起きた。
ニクソン米大統領との沖縄返還協定に関する出来事だ。
米国が支払うことになっていた「地権者に対する土地原状回復費400万円」を実際には日本政府が肩代わりする密約が結ばれていた。
毎日新聞政治部の西山太吉記者がその密約をにおわす記事を書き、社会党議員に情報を提供した。
社会党は西山記者が提供した外務省極秘電文のコピーを手に国会で追及。
世論は佐藤内閣を強く批判した。
 ところが、極秘電文を西山記者に流したのは、西山記者と親しい女性事務官だった。
2人は国家公務員法違反の疑いで逮捕、起訴される。
起訴状には「ひそかに情を通じ」という言葉が記載され、「週刊新潮」が2人の男女関係を報じると、世論は一変してしまった。
 山崎豊子氏の小説『運命の人』のモチーフとなり、テレビドラマにもなっているから、ご存知の読者は多いだろう。
それにしても「権力は恐ろしい」(今回の牧氏のコラムの見出しにもなっている)。

■読売は異例の「弁明」を掲載
 毎日新聞の牧氏のコラムが出る2日前の6月3日付の読売新聞朝刊の第2社会面。
ここに社会部長名で「次官時代の不適切な行動」「報道すべき公共の関心事」との見出しを付けた記事が出ている。
牧氏が「ヘンな記事」と指摘した前川前事務次官の出会い系バー出入りスキャンダルの読売記事(5月22日付朝刊)についての弁明記事だ。
いや、言い訳がましい記事に読めてしまう。

 冒頭から「読売新聞の記事に対し、不公正な報道であるかのような批判が出ている。
民進党の蓮舫代表らは、この問題について『極めてプライべートな情報』とも指摘した。
しかし、こうした批判は全く当たらない」と主張する。
 そのうえで「記者会見した前川氏は『私の極めて個人的な行動を、どうして報じたのか』などと語ったが、辞任後であっても、次官在職中の職務に関わる不適切な行動についての報道は、公共の関心事であり、公益目的にもかなうものだと考える」と述べる。

 なるほど、その通りかもしれない。
しかしながら、どうしてこの時期に記事にしたのか。
もっと言わせてもらえば、なぜこの時期に前川氏の個人的情報をつかめたのだろうか。
その情報を知っているのは、文科省の幹部ぐらいのはずである。
 それに「青少年の健全育成や教職員の監督に携わる文科省の最高幹部が、違法行為の疑いが持たれるような店に頻繁に出入りし……」とまで社会部長が書くほど大ニュースならば、なぜ第1社会面のトップにするなど大きく扱わなかったのだろうか。

 加計学園問題に関わる記録文書が大きなニュースになっているなかで、前川氏のスキャンダルを明らかにする以上、批判を受ける覚悟も必要ではないか。

■読売は弱気になってきた? 
 ここまで書き進めたところで、6月7日付の読売新聞朝刊の社説を見てみよう。
 見出しが「獣医学部の要不要論を冷静に」である。
なんとおとなしいではないか。
書き出しも「獣医学部の新設手続きが適正かどうかは、冷静に議論すべきだ」と始まる。
 社説の文中、「首相は、愛媛県今治市での学部新設について、自らの関与を改めて明確に否定した」と書いてはいるものの、「政府も、獣医学部新設を認めた理由や経緯の詳細について、より分かりやすく、積極的に説明することが求められよう」と述べるなど、それなりに客観的である。
さらに社説の最後は「国家戦略特区は、地域を限定してさまざまな岩盤規制に例外を設ける制度だ。
それだけに、行政手続きの透明性や公正性をしっかり確保しつつ、進めることが重要だ」とまっとうな主張を展開している。
 これは想像だが、読売は少しばかり弱気になってきているのではないか。
週刊誌では「権力にすり寄る」などと批判され、世論からも「保守色が強い」とみられている。今回の加計学園問題では特にその傾向が強い。

■「特ダネ」を出した朝日の勢いは強い
 社外から批判に加え、社内でも意見が分かれているのだろう。
新聞記者は本来、反骨精神が旺盛だ。
強者をたたき、弱い者を助けるのを生きがいにしている。なかでも社会部の記者はその精神が強い。
ここが政治部の記者と大きく違うところだ。
それはどこの新聞社でも同じである。
政治部と社会部の対立、社説を書く論説委員同士の対立など、あれだけの大新聞社だけにいろいろとあると思う。

加計学園問題に関し、読売社説がどう変わっていくのか。
おおいに興味がある。
 最後にこの読売社説と同じ時期に書かれた他社の社説の見出しを挙げる。
「首相らの答弁 不信が募るばかりだ」(6日付朝日)、
「事実解明進まぬ『加計』問題 首相の答弁姿勢を疑う」(6日付毎日)、
「加計学園問題 説明責任は首相にある」(7日付朝日)、
「加計学園問題 再調査を拒む不誠実」(7日付東京新聞)。

 以上だが、5月17日朝刊の1面トップで「新学部『総理の意向』」「文科省に記録文書」との見出しを掲げ、記録文書の存在を明らかにする特ダネを出した朝日新聞の勢いは強い。
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スラム化する郊外とマンションの「現在」…高齢者と空き住戸だらけで修繕もできず

スラム化する郊外と
マンションの「現在」…
高齢者と空き住戸だらけで修繕もできず
2017.06.10 Business Journal

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役

 野村総合研究所の予測では2033年には日本国内の空き家数は2000万戸を超え、空き家率は30%を超えるとされる。
一般的には空き家率は30%を超えると急速に治安が悪化し、環境悪化を嫌気した人々が、地域から脱出を始めるといわれている。

 つまり、日本は国全体が30%という「限界値」を超える異常事態になるのだ。
ということは、おそらくこの頃には日本の多くの地域社会が崩壊の危機に晒されることになる。

そしてこの崩壊は、地方の中山間地域から始まり、都市郊外部、そして都心部へと広く、深く「病が広がる」かのように蝕まれていくことになる。
 首都圏の不動産価格は、アベノミクス効果で全体が上昇しているかのように報道されているが、実態は異なる。
実は、首都圏郊外の不動産価値は、急速に下げ足を速めているのだ。
首都圏郊外部で育った年齢も若くてバリバリ働ける人たちは、都心部に生活拠点を移し始め、地域に残されるのは高齢者ばかりになっているのが現状だ。

 首都圏でも千葉県や埼玉県の郊外や、船橋や松戸といった中核都市でも駅からバスで行くような、昔「ニュータウン」と呼ばれた住宅地の中古価格は、マンションで「くるま一台分」(250万円から300万円)、戸建てでも1000万円を大きく下回るような「暴落状況」になっている。  

平成バブルの頃はおそらく4000万円から5000万円くらいはしたであろう物件の価値が、10分の1程度にまで縮小しているということだ。

  地域社会との接点が希薄
 残念なことに首都圏郊外のニュータウンと呼ばれた多くの地域は、1970年代以降に開発された新しい街で、地域に根差した文化や伝統といったものは存在しない。
住民の多くは、元サラリーマン。
家と会社との間を往復するばかりで、地域社会との接点が希薄だった人たちだ
 家は核家族が中心。
祖父母などが同居しているケースは稀で、両親と子供たちだけという二世代だけのものが中心だ。

 地域社会としては、住宅が分譲された同時期に一斉に入居した、ほぼ同じ年代、同じ経済状況の人たちばかりだ。
初めのうちは若くて活気があふれていた街も、住民は一斉に歳をとり、街中から子供たちの声は消え、高齢者ばかりのひっそりとした街になる。
子供たちはすでに学校を卒業し、都心部の会社に就職し、会社から近くの都心居住を選択している。
夫婦共働きが当たり前の現代。
子供を保育所に預けて都心まで1時間半以上もかけて通勤するなどという生活スタイルは、そもそも「あり得ない」のだ。
 また、彼らは自分たちが育った都市郊外部に対してあまり愛着を持っていないのが特徴だ。
当たり前である。
小学校くらいまでは地元の学校に通っていた彼らだが、地域の公園で遊んでいたのは小学校低学年まで。
高学年からは連日の塾通い。
ひたすら学校と塾と家との間を往復するだけの生活は、父親のそれとあまり変わりがない。
親たちの故郷像にある、小鮒を釣った川もなければ、兎を追った野原もないのだ。
 彼らが経験したのは、私立中学に合格したのち、やはり父親と同じように電車に乗って、学校と家との間をひたすら往復するだけの生活だ。
地域社会に溶け込む余地など、もともと残されていないのだ。

このようにまったく地域に対して「無関心」で育った子供たちは、都心居住を選択したのちは、自分たちが「育ったはず」であるニュータウンには戻ってはこない。
そもそも地域に対する愛着など欠片もないからだ。
 子供たちがまだ小さかった頃には、サラリーマンの父親のなかでも少しは元気があった人たちが、盆踊りを催して壇上で太鼓をたたき、お祭りや食事会などを企画し、地域社会の絆をつくろうとしてきたが、それも今は昔。

 地域に残された人たちが高齢者ばかりになると、なんだか活気がなくなり、お祭りに集まる人たちも急速に減ってしまう。
そのうちみんな億劫になって家に引き籠もるようになる。
ただでさえ、新たに開発された土地で、伝統も文化もない地域だ。
集まってきた人たちの「出自」もさまざまである。
職業はほとんどがサラリーマンで、何か特殊な技能や能力があるわけでもない。

 もともとサラリーマンという種族は、会社以外の人生というものを味わったことのない人たちだ。
会社の「役職」だけが自分を表現する手段だった彼らにとって、言うことを聞いてくれない妻や子供に加えて、いまだかつて「触れて」もこなかった地域社会の人たちと交わり、今さら新たな自分を再構築していくことはなかなかにして困難な作業といわざるを得ない。

 子供たちが「後を継ぐ」わけでもなく地域社会から次々と櫛の歯が抜けるように去って行ってしまった地域では、地域の絆を保つ術がどこにもないというのが実態なのだ。

老朽したマンションの実像
 空き家といえば戸建て住宅ばかりを思い浮かべがちだが、マンションになると事態はさらに深刻だ。
マンションの多くは区分所有という権利形態だが、この形態が曲者だ。
分譲時点では多くの所有者は同じような経済状態、家族構成だったものが、時代の経過とともに変化する。
子供たちは家を出て、やはり親の元に戻ってはこない。

 戸建てに比べ、マンションは近所づきあいにあまり気兼ねしなくてよいと考えて入居した人が多いはずだ。
しかし建物も老朽化して、いざ大規模修繕や建替えを考えなければならない時点に至って、人は初めて、これらの決断に際して、他の区分所有者と真剣に向かい合わなければいけないことに気づくのだ。
 分譲当時はマンション住戸の多くに所有者が住んでいたものが、賃貸に拠出していたり、親が亡くなってそのまま空き住戸になっている住戸も目立つ。
なかには寝たきりの状態の高齢者の単身世帯まで出現しているのが、老朽化したマンションの平均的な実像だ。

 ここでマンション全体として「何か」を決めようとしても、区分所有者同士の意見を集約することは非常に難しくなってしまう。
管理組合総会でも住民エゴがまともにぶつかり合い、物事を決められない。
空き住戸が増えて管理費や修繕積立金が思うように集まらなくなるにつけ、マンションから逃げ出す住民も増え始める。
ひとりだけ優等生を演じても、マンションは区分所有者全員の協力を得ていかなければ、実質は何事もスムーズに決まっていかないという性格を抱えた、実に「やっかい」なコミュニティーなのだ。

 マンションというコミュニティーの崩壊だ。
マンションはいわば建物内でのひとつの地域社会でもある。
ひとつひとつのマンション内での地域社会の崩壊がやがて地域全体の崩壊につながっていくことは容易に想像できるだろう。
 地域社会が崩壊していくことは、スラム化への道でもある。
空き家や空き住戸には不法滞在の外国人や不逞の輩が巣食い、地域は不法地帯へと変貌を遂げていく。
これまでこうした光景は遠い外国での話で、自分たちは関係がないと思ってきた我々日本人も、遠くない将来、こうした事態に確実に直面することになるのである。

 日本社会は今、急速に「二極化」している。
「富める者」と「困窮する者」への二極化だ。
地域社会の崩壊は、これまで地域を支えてきた中間層が衰退し、大多数の困窮者が空き家や空き住戸に巣食い、地域ごとスラム化する危険を孕んでいる。
 多くの地域社会が崩壊を始める日本で、「家」というひとつの地域社会の単位が今危機に晒されているのである。

ニュースサイトで読む:
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2017年06月11日

安倍政権の支持率が超安定の理由、小泉政権とは大違い

安倍政権の支持率が
超安定の理由、
小泉政権とは大違い
2017年06月10日 16時00分 NEWSポストセブン

 まさに世間の「空気」を味方につけたかのような安倍晋三・首相の一強支配の現状をみるに思い起こされるのが故・山本七平氏が1977年に刊行した著書『「空気」の研究』だ。
山本氏はそこでこう書いている。
〈「空気」とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である。
一種の「超能力」かも知れない〉

 いまや、安倍首相は「空気という妖怪」を手なずけているらしい。
「空気」を支配した安倍政権の再登板後の支持率は過去のどの政権とも違う奇妙な推移を辿っている。
 支持率が急降下した第1次政権の時と違って、閣僚辞任が相次いでも、首相のスキャンダルが出ても、発足時の50%水準から数%上下するだけで超安定しているのだ。

政治ジャーナリスト・藤本順一氏は、政治テーマの「分散」と有権者の「分断」戦略を挙げる。 「安倍首相は外交では対中強硬姿勢と対ロ交渉、経済はアベノミクス、さらに憲法改正など多くのテーマを同時並行で進めるから、1つの政策がうまくいかなくてもすぐ目先を変えることで大きく支持率が下がらない。
 もう一つは有権者の分断
原発再稼働や沖縄米軍基地移転のような国論を二分するテーマは反対派の反発を買っても、半数の支持は得られる。
そしてメディアの分断
読売や産経など親安倍と朝日のような反安倍メディアの扱いをはっきり分けることで、加計学園問題のようなスキャンダルが起きてもメディアが一枚岩で政権批判に走ることを防いでいる」  

埼玉大学社会調査研究センター長の松本正生・教授(政治意識論)は長期政権だった小泉内閣との比較からこう分析する。
「支持率1桁の森内閣の後を受けて小泉首相が誕生した時、総裁選は盛り上がり、国民の多くは『自分たちが選んだ総理』というイメージを持っていた。
だから最初は9割近い常識ではあり得ない高支持率だったが、田中眞紀子外相更迭で大きく下がり、電撃訪朝でまた上がるという具合に、国民の期待感が支持率に直結した。

 一方の安倍氏が総裁に返り咲いたとき、国民の意識は『またやるのか』と期待していなかった。
期待が低いだけに、『その割には意外にしっかりやっているじゃないか』と好意的に受け止められている。
世論調査からもそれがわかる。
内閣支持率は景気に連動する傾向がある。
 ところが、安倍政権下で景気は『良くない』という回答が多く、看板のアベノミクスは評価されていない。
それなのに支持率が高いのは、国民には先が見えない中、政権に期待はしていないが、他の選択肢もないから、せめて現状のままでいてほしいという守りの意識が窺えます
 そんな国民の消極的支持が、政治的には「安倍一強」で誰も逆らえないという人為的な「空気」を生み出している。
※週刊ポスト2017年6月16日号
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実行より計画だけの方が重罪…共謀罪は犯罪を助長する

実行より計画だけの方が重罪…
共謀罪は犯罪を助長する
2017年6月10日 日刊ゲンダイ

 安倍政権が、来週の強行成立をもくろむ共謀罪法案。
277もの犯罪を対象にしているため、チェックが追いつかなかったのか、現行刑法とつじつまが合っていないものがゴロゴロある。
中には、「共謀」つまり計画だけより、実際に犯罪を犯した方が、刑が軽くなる“逆立ち現象”もあるから、ムチャクチャだ。

〈その1〉窃盗罪  
2人以上で窃盗を計画し、そのうち1人が準備行為をすれば、窃盗に着手しなくても、共謀罪が成立する。
刑の免除はない。
ところが、共謀した誰かが窃盗に着手し、自らの意思で中止して未遂に終わった場合はどうか。これは、刑法の「中止犯」という規定が適用される。
思いとどまったことへの“特典”として、必ず刑の軽減または免除が受けられる。
つまり、計画しただけで犯罪者なのに、計画をさらに進めて実行に移し、中止した方は罪に問われない可能性があるのだ。

〈その2〉傷害罪
 2人以上で傷害を計画し、1人が準備行為をしたら傷害の共謀罪成立だ。
一方、計画の実行に着手したが、傷害に至らなかった場合、傷害罪に未遂の規定はないため無罪放免だ。
企んだだけの方は罰せられるのに、である。

〈その3〉強盗罪
 強盗の共謀罪の量刑は5年以下の懲役または禁錮だが、強盗予備罪は2年以下の懲役。
計画段階から次のステップ(予備)に進めた方が軽い刑で済むことになる。

 思わず笑ってしまう“珍現象”だが、共謀罪に詳しい小口幸人弁護士が言う。
「笑い話じゃありません! 法律のロジックへの大きな侮辱です。
法務省の官僚がこんな法案を提出すること自体、信じがたいが、加計学園問題で会期延長をしたくない政府は、こうした矛盾も無修正で通そうとしている。
法体系よりも、“自己保身”ということなのでしょうか

 やっぱり希代の悪法は廃案しかない。
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2017年06月12日

空恐ろしい監視社会 官邸のアイヒマンらがやっていること

空恐ろしい監視社会
官邸のアイヒマンらがやっていること
2017年6月10日 日刊ゲンダイ

 加計学園の獣医学部新設をめぐる「総理のご意向文書」の報道からおよそ1カ月。
文科省がようやく再調査を決めた。
「怪文書だ」「出所不明だ」「信憑性がない」などと難癖をつけ、臭いモノに蓋をしようとする安倍官邸を追い込んだのは、文書の存在を認めた前文科事務次官の前川喜平氏の告発だ。
森友学園にはじまる一連の疑惑で浮き彫りになったのが、アベ友だけが甘い汁を吸うことができる露骨な利権構図。
それに、公権力による監視体制だ。

 前川氏の動きを察知した官邸は、天下り問題での辞任を引き合いに「あいつは(官邸に)恨みを持っている」などと悪評を流し、シンクロするように読売新聞が出会い系バー通いを報じた。その背後に見え隠れするのが、“官邸のアイヒマン”の異名を持つ北村滋内閣情報官と、実質的に内閣人事局を取り仕切る杉田和博官房副長官の存在だ。

北村氏は一貫して警備・公安畑を歩んだ警察庁キャリアで、公安警察時代の上司が杉田氏なのである。
獣医学部の新設を認めるかどうかで文科省と内閣府が綱引きをやっていた2016年9月、事務方トップだった前川氏に出会い系バー通いを厳重注意したのが杉田氏だった。
官邸の「目と耳」といわれる内閣情報調査室(内調)と公安警察から吸い上げた極めて個人的な情報を脅しに使ったのだ。

■カメラ500万台の見張り
 公安の内情に詳しいジャーナリストの青木理氏は言う。
警視庁公安部の捜査対象はテロ組織や過激派にとどまりません。
平時から中央省庁幹部、次官・局長クラス、問題を起こしそうな官僚や重要案件の担当者の身辺情報を集めている。
それに、内調は公安の“官邸出先機関”のようなもの。
彼らから前川氏の出会い系バー通いの情報が上がっていても不思議ではありません」

 こうした監視の目にさらされるのは、危険思想の持ち主や権力に近い霞が関住人だけだと思ったら大間違いだ。
一般市民だって30年以上も前から動向をチェックされている。
1987年に導入されたNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)、02年に東京・歌舞伎町に設置されたのを機に急速に増殖した監視カメラ。
駅やコンビニなどの防犯カメラを加えれば、その数は500万台を超えるという。
犯罪捜査に活用されているとか、犯罪抑止につながるとかいわれているが、具体的な運用方法は明らかにされていない。

米国が提供した
“スパイのグーグル”の恐るべき検索力
 米政府による凄まじい個人情報収集の実態を暴露した元CIA職員のエドワード・スノーデン氏に単独インタビューをした元朝日新聞記者の小笠原みどり氏は、著書「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」(毎日新聞出版)でこう書いている。
〈2002年2月、警視庁は新宿・歌舞伎町に監視カメラ50台を設置した。
私は警視庁記者クラブを通じて新宿署のモニタールーム取材を申し込んだが、断られた。
理由に驚いた。
「通行人のプライバシーを侵害する恐れがあるから」。
プライバシーをのぞきこんでいる張本人たちがのたまうのだ。
「盗人猛々しい」という言葉が口をついて出そうになった。

モニタールームでなにが観察され、なにが記録されているかは、だれも検証することができない。
これが民主警察、科学捜査だろうか。
警視庁は秘密がまさに力の源泉であることをよく知っている〉

 小笠原氏に改めて話を聞いた。
「政府はすでに市民を監視するさまざまな手段を手にしています。
NSA(米国家安全保障局)が開発した“スパイのグーグル”と呼ばれる監視システム『エックスキースコア』が日本に渡っているという情報もある。
スノーデン氏がNSAから持ち出した機密文書の一部が4月下旬に公開されて分かったのですが、電子メールやフェイスブックへの書き込みはもちろん、ネットを介したあらゆる情報を収集できる恐ろしいツールなのです。
例えば〈ブッシュ〉〈攻撃〉でキーワード検索をかけると、そうした単語を使用した人物の情報を世界中から洗い出すことができますし、特定の人物の名前を入力して調べることもできる。
映画『スノーデン』でスノーデン氏本人が語っているのですが、NSA時代に1人の標的の全通話相手を監視するように指示され、さらにその相手の通話先も監視したところ、最初の標的から3人先には監視対象が総勢250万人に膨れ上がったそうです
危険人物かどうかの選別には、個人のコミュニケーション履歴を分析する必要があるという理屈からです。
米政府のこのやり方は、国民の内心チェックを合法化する共謀罪法案の性格と非常に似ています。
この話を聞いて、一般人が共謀罪の対象にならないと信じる人がどれほどいるでしょうか」

■「違法団体に限定されない」
 共謀罪法案の今国会成立を焦る安倍政権は、捜査対象は組織的犯罪集団に限られるとお題目のように繰り返すが、共謀罪の核心は一般市民の監視なのだ。
終盤国会での審議でも、それがますますハッキリしてきた。

先月8日の衆院予算委で金田法相は「テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織など、違法行為を目的とする団体に限られる」と断言していたが、8日の参院法務委では「限定されるものではない」と軌道修正。
さらに、法務省の林真琴刑事局長は「組織的犯罪集団の構成員でない者であってもテロ等準備罪の主体とはなり得る」と踏み込んだ。

 前出の青木理氏もこう言う。
共謀罪法案の成立を許せば、権力の監視対象は際限なく広がっていきます。
お上にまったく盾突かない、政権に無害無臭な人だからといって無関係ではいられなくなる。
捜査側が監視対象の身辺情報を収集する過程で交友関係を洗い出し、周辺人物にまで幅広く網を掛ける可能性は否定できません

 安倍首相は法案の目的に東京五輪開催に伴うテロ対策と、「パレルモ条約」(国際組織犯罪防止条約)の締結を挙げていた。
にもかかわらず、当初の法案に「テロ」の文言はゼロ。
「パレルモ条約」にいたっては、条約に精通する米ノースイースタン大教授のニコス・バッサス教授から「テロのようなイデオロギーに由来する犯罪に対応する目的では作られていない」と喝破されている。
繰り返してきたペテン答弁は完全に崩れている。

 安倍政権は秘密保護法で都合の悪い事実を隠蔽。
盗聴法で監視体制を確立し、
共謀罪で国民の内心まで統制しようとしている。
こんな政権に共謀罪を持たせたら、生かすも殺すも胸三寸で決められてしまう。
後戻りはできなくなる。

 聖学院大教授の石川裕一郎氏(憲法)は言う。
「希代の悪法と呼ばれる治安維持法は2度の改正で処罰の範囲が拡大し、社会の隅々にまで網が広げられました。
00年施行の通信傍受法(盗聴法)は16年の改正で一気に対象が増え、運用要件も緩和された。
平成の治安維持法といえる共謀罪も同じ道をたどり、なし崩しで政府の都合のいい運用に書き換えられかねない。
法案を通してしまったら一巻の終わりです」

 この国の民主主義は分水嶺に立たされている。
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2017年06月13日

死なないための病院の選び方

新見正則「医療の極論、常識、非常識」
医者が教える、
死なないための病院の選び方…
病院ランキングは信用NG?
2017.06.12 Business Journal

文=新見正則/医学博士、医師

今回は病院の選び方に関するお話です。
極論君”は、
「大きな病気に罹り、特に手術を要するような病気になって、それを治療する病院を選ぶことはとても重要なことだから、インターネットや本、週刊誌などの情報を最大限に利用して選ぶ」という主張です。

常識君”が質問します。
「『○○に強い病院』『××疾患ベスト100病院』などという情報を、大いに大切にするということですか?」
極論君の意見です。
「そうです。少しでもいい病院にかかりたいのです。
日本はフリーアクセスですから、アメリカなどと違って保険によって病院が制約されることはありません。
どこの病院にもかかれる権利を持っているのですから、一生懸命によりよい病院を探すのです。自分の命のためです」  

そこで、“非常識君”が質問します。
「何を材料に選ぶのですか」  

極論君のコメントです。
「いい病院として載っている病院から選ぶのです」  

常識君のコメントです。
「日本でもたくさんの病院ランキングが出ています。
しかし、どれも情報量が少ないです。
客観的な資料は手術数ぐらいです」  

非常識君の意見です。
「確かに、何を根拠にいい病院を選んでいるかが明確ではない資料が多いですね。
手術数以外も考慮しているものは、とても少ないです。
手術数が多い病院は確かに少ない病院よりも、その手術に関しては秀でている可能性は高いのです。
しかし、ある程度以上の手術数があればそれで十分とも思われます。
多くの病院が年間に100例以上手術をしている一方で、10例しか行っていない病院で手術を受けたいとは誰も思わないはずです。
誰もが問題外と思うような病院を除いて、その後にランキングすることはとても難しいと思います」

手術数をもとに適当にランキング?  

常識君のコメントです。
客観的な情報でしかランキングは作成できないでしょう。
手術数以外で客観的なことは、手術時間とか、出血量とか、合併症の頻度とか、手術後の死亡率とか、専門医や指導医の数なども実は客観的なデータになります。
また入院日数なども評価項目に入れることも可能です。
しかし、そんなデータをあまり見たことはないでしょう。
 また、病院全体のランキングであれば、医療従事者の数とか、それぞれの医療職の平均在職年数とかも客観的なデータになりますね。
訴訟の数なども実は役立つかもしれません。
そんなデータを元にしてのランキングは、実は存在しないのです。
ある程度問題外の病院を省いて、そしてその後は基本的に手術数をもとに適当にランキングされていることがほとんどでしょう」

極論君の意見です。
「そうであれば、やはり手術数が多い病院を選ぶことが必須ですね」  

常識君のコメントです。
手術数を基本にして選ぶことは間違ってはいないと思います。
しかし一番大切なことは地理的なものだと思いますよ。
つまり自宅から近い病院がやはり最初の選択肢になるはずです
まず、自分が通える範囲を決めて、そこからインターネットや本などでよさそうな病院を見つけてはどうでしょうか」

本当に良い先生  

非常識君のコメントです。
「僕が大切にしているのは、医療従事者が病気になったときにどこの病院を選ぶかです。
医療に詳しくない人がいくらランキングをしても、無意味に思えるのです。
僕はかかりつけ医の意見を最大限に尊重しています。
そして、その先生が同じ病気になったときに選ぶ病院を聞いて、その病院の世の中での評判を知るためにインターネットや本、週刊誌の情報を参考にします」

常識君の意見です。
「確かに医者が、自分が病気になったときに選ぶ病院ランキングなんていう本があると、信憑性が高いかもしれません」  

非常識君の意見です。
「医者といっても、その病気について専門家でない医者が選ぶランキングでは説得力に書けます。
最良のランキングは、専門医がその病気になったときにどの病院に行くかですね」  

常識君の意見です。
セールスの人でも、自分が欲しい商品を売ることができる人は幸せですね。
車の販売でも、本当は他社の車のほうが優れていると思うのだけれども、自社の車を売ることが商売だから致し方なく、それを売っているという光景も目に浮かびます。
本当に何が最良なのかは、実際に携わっている人の心のなかにだけあるようにも思えます。
それを客観的な土俵でランキングするのは、やはり無理があるように思えます」  

非常識君の意見です。
大きな病院の先生が、自分の病院以外を勧めてくれたときは、本当によい先生なのではないでしょうか。
車の販売でいえば、『そのカテゴリーの、そしてあなたの希望に添う車は当社のものではなく、○○の会社の××がいいと思いますよ』なんて言ってくれる営業担当の人は、相当信頼できますよね」  

非常識君が妙に常識的なコメントになりました。 

新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ 1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年〜 慶應義塾大学医学部外科 1
993〜1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年〜 帝京大学医学部外科に勤務

幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。
著書多数。
なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院(*小だぬきの内科・精神科通院病院)で受診してください。
大学病院は紹介状が必要です。

ニュースサイトで読む:
http://biz-journal.jp/2017/06/post_19410.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
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2017年06月14日

安倍政権、物言えぬ暗さ=与良正男

熱血!与良政談
安倍政権、物言えぬ暗さ=与良正男
毎日新聞2017年6月7日 東京夕刊

 今回も学校法人「加計学園」をめぐる話を書く。
 同学園の獣医学部新設計画について「行政がゆがめられた」と証言した文部科学省の前川喜平・前事務次官に対し、安倍晋三首相は現職中に意見を言う機会はあったと強調し、「なぜその場で反対しなかったのか不思議だ」とラジオで反論した。

 同じ思いをしている人もいるだろう。
その点は前川氏本人が「力不足だった」と既に認めている。
だが、なぜ現職中に言わなかったのか、首相が本当に「不思議だ」と考えているとすれば、これはより深刻だ。
 
今月1日、外務省は森本康敬・釜山総領事を退任させた。
 韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦問題を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として政府は森本氏を一時帰国させた。
森本氏はそれらの判断を私的な会食の場で批判し、それが官邸に伝わって更迭されたというのが定説だ。
 一昨年夏には総務省側がある幹部の昇格を提案したが、菅義偉官房長官が「それだけは許さない」と拒否した−−と先日毎日新聞は報じた。
この幹部は菅氏が主導したふるさと納税創設に反対していたそうだ。

 府省庁の幹部人事は今、官邸が牛耳っていることは本欄で書いた。
人事への報復を恐れ、意見を言いたくても言えない、言わない状況を作り出しているのは今の政権なのだ。
 前川証言で印象に残った言葉を。
 現職中知り得た情報を明かすのは公務員の守秘義務違反ではないかという指摘に対し、前川氏はこう言った。
 「秘にしてはいけないものを、国民に知らせるのはむしろ積極的にやるべきことだ。
それがなかったら民主主義は成り立たない」  その通りである。

そして「官邸主導」は小泉純一郎政権以降に強く叫ばれるようになったとの見方を示したうえで、こう語った。
 「小泉政権は反対意見もそれなりに受け入れてくれた。
抵抗しても報復はなかった。
風通しのよさ、明るさがあった」

 そう。確かに小泉時代は今と比べて明るかったし、自由にものが言えた。
力ずくで(時に「出会い系バー」の話を持ち出すなどして)異論を封じる安倍政治の本質を突いている言葉だと思うが、首相はそれにも聞く耳を持たない。
      (専門編集委員)
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「共謀罪」の「歯止め」答弁 次々変わる 一般人対象外→処罰あり得る

「共謀罪」の「歯止め」答弁 
次々変わる 
一般人対象外→処罰あり得る
2017年6月14日 東京新聞朝刊  

「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案について、与党幹部は十三日午後の参院法務委員会での採決に言及したが、野党から金田勝年法相の問責決議案が出てこの日の審議は打ち切りとなった。
与党側は参院での審議時間が二十時間に達することを採決の理由にしようとしているが、政府は国会の最終盤になって当初の答弁を次々と変えている。
 (山田祐一郎)
共謀罪の答弁変遷.jpg
 「共謀罪とは別物」「一般人は対象にならない」といった「歯止め」の根拠は、審議の中で逆に曖昧になってきている。
 法案は約三十時間の審議を経て五月二十三日に衆院を通過した。
衆院では通過後も法案に対する質疑があり、今月二日には計画内容の具体性について、法務省の林真琴刑事局長が「犯行の日時、役割の詳細まで定まっている必要はない」とこれまでとは異なる答弁をした。
 四月時点で林氏は、計画した日時や場所、方法などについて「できる限り特定する必要がある」と説明し、逮捕や起訴のハードルが過去の法案よりも高いことを強調。
計画内容も「指揮命令や分担なども含めて合意が必要」と述べていた。
計画内容の詳細は不要とする二日の答弁は、捜査機関が計画と判断できる範囲が限定されず、計画に基づく準備行為の範囲も広がることを意味する。

 「犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定したので一般人は処罰対象にならない」としていた点も今月に入って説明が変わった。
一日の参院法務委で金田勝年法相は「組織的犯罪集団と関わりがある周辺者が処罰されることもあり得る」と答弁を一転。
林氏も「構成員以外を一般人というのなら、一般人が計画に参画することはあり得る」と認めた。

 十三日の参院法務委で、民進党の福山哲郎氏がこの点を厳しく追及した。
金田氏は「全体の中で同じことを言っている。限定したという説明に訂正はない」と答弁。
林氏も「衆院から同じように説明してきた」と述べたが、福山氏は「国民をだまそうとしているのではないか」と政府の姿勢を批判した。

 「組織的犯罪集団はテロリズム集団のほか暴力団、麻薬密売組織などに限られる」との説明も金田氏が八日に参院法務委で「限定されない」と翻した。
五月二十九日の参院本会議で「対外的に環境保護や人権保護を標榜(ひょうぼう)していたとしても、それが隠れみのであれば処罰されうる」と初めて言及。
隠れみのかどうかを判断するのは捜査機関であり、処罰対象に限定がないことがあらためて浮き彫りとなった。
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改めて問う「共謀罪」 成立させていいのか

改めて問う「共謀罪」
 成立させていいのか
毎日新聞2017年6月6日 東京夕刊

 「共謀罪」法案の問題点を、この特集ワイドで何度も取り上げてきたが、政府・与党は数の力で成立させようとしている。
ならば、改めて指摘したい。
この法案を通すと、憲法の理念がますます崩されるということを。
【葛西大博】

「次は通信傍受拡大」
 揺らぐ憲法理念
 まずは、兵庫県警の元刑事、飛松五男さん。
2005年に定年退職するまで通算36年を捜査部門の第一線で過ごしたベテランは、法案が成立すればこんな展開になると予想する。

 「政府は次に、盗聴法(通信傍受法)の改正に着手するでしょう。
電話やメールの盗聴をより広範囲に、合法的にするためです」
 憲法は基本的人権の一つとして「通信の秘密」を保障している。
一方、重大犯罪を取り締まるため、裁判所の令状を取れば、捜査機関は例外的に盗聴を許される。
00年施行の通信傍受法は対象犯罪として、薬物、銃器、集団密航、組織的殺人の4犯罪としていたが、昨年の改正で詐欺や窃盗など9犯罪が追加された。

 今国会で審議されている組織犯罪処罰法改正案は、「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設するのが柱で、対象とするのは277犯罪。
「どこの県警も適用第1号を目指します」と飛松さん。
そのための手段が盗聴であり、その合法化だ。

 日本弁護士連合会の共謀罪法案対策本部副本部長を務める海渡雄一弁護士も同意見だ。
「『共謀罪』法案が成立しても、現在認められる犯罪以外の通信傍受はできないので、当然、通信傍受法の改正が提起されるでしょう」
 現在、テレビのコメンテーターとして活躍する飛松さん。
新しい法律ができたら、息が詰まるような監視社会の始まりです。
警察はいったん法律が通ったら、それに向かってまい進する。
冤罪(えんざい)がどんどん出ますよ」と断言する。

 「共謀罪」法案の問題点はどこにあるのか。
まずは、「組織的犯罪集団」の定義についての疑問だ。
法案は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と規定。
集団の活動として、2人以上で犯罪を計画し、うち1人以上が計画に基づく「実行準備行為」を行った場合に、計画した全員を処罰可能としている。

政府は東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策を強調するが、日本で起きた大規模テロというと、オウム真理教(現アレフ)による地下鉄サリン事件(1995年)を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
安倍晋三首相も今年2月の国会答弁で、オウムを例に挙げて説明している。
 これに対し、オウムを長年取材してきたジャーナリストの江川紹子さんはあきれ顔だ。
「オウムのテロは共謀罪があれば防げたと言う人もいるが、それは有り得ません。
地下鉄サリン事件が起きるまでオウムの関与が疑われる既遂事件が何件もあったのに警察が防げなかったのは、警察幹部の判断能力のなさと、全国の警察の情報共有や連携がなかったことが原因です」。
江川さんは一例として、警察幹部が当初は「失踪」との見立てにこだわった89年の坂本堤弁護士一家殺害事件を挙げた。
 江川さんは自ら書いた記事で、自宅アパートにオウム信者から毒ガスをまかれ、命を狙われたこともある。
そんな江川さんが懸念するのが「共謀罪」で一般の人に捜査が及ぶ恐れだ。
金田勝年法相は繰り返し否定したが、江川さんは「オウムでさえ、犯罪をやっていたことを知らなかった信者の方が多い。
つまり、誰が組織的犯罪集団のメンバーか、全員総当たりで聞かないと分からない。
信者の家族や勧誘を受けた人は当然一般人ですが、そういう人も調べないと実態は分からないはずです」

 さらに、この法案の大きな問題点は、日本の刑法体系を根本から揺るがしかねないことだ。
刑法は、心の中で犯罪を考えただけでは処罰されず、既遂や未遂など実際に犯罪行為をして初めて処罰されるのを原則としている。
憲法が最も根本的な人権として「思想・良心の自由」を保障しているからだ。
 一方、殺人や現住建造物等放火など重大犯罪を未然に防ぐ必要がある。

刑法には例外的に未遂より前の予備段階の行為を処罰する「予備罪」がある。
さらに現行法でも「予備」より前段階の「共謀」を処罰できる内乱陰謀罪などがある。
既遂が最も重く、未遂、予備・陰謀、共謀(計画・準備)罪とだんだん罪が軽くなるのが原則だ。

 こんな国会のやりとりがある。
5月19日の衆院法務委員会で弁護士でもある民進党の階(しな)猛議員がこう指摘した。  

「組織で大量殺人を計画し、毒入りカレーを作れば、具体的な危険があるから(刑法の殺人予備罪が適用され)2年以下の懲役だ。
だが、(毒のない)カレーだけをつくればまだ実行準備行為なので(共謀罪が適用され)5年以下の懲役。
なぜ毒入りカレーを作った方が罪が軽いのか」
 この質問は、「凶器や毒物を用意した」など具体的な危険性を要件とする予備罪よりも、準備行為だけの共謀罪の方が刑が重くなる矛盾を指摘したものだ。

青山学院大名誉教授の新倉修さん(国際刑事法)は「すごくアンバランスな刑法体系になってしまう。
捜査機関が、刑が重い共謀罪で処罰しようとしかねない」と解説する。  
「準備行為」はどう判断するのか。
「内心の自由に踏み込まないと分からない」との指摘もある。
判断基準について問われた金田法相の答弁は「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、(犯行場所の)下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」。
質問した議員からは「双眼鏡を持ってバードウオッチングすることもある」と突っ込まれ、法相の答弁はすっかり有名になった。

 前出の海渡さんは話す。
「この答弁ではっきりしたのは、犯罪をやろうとしているかは外形的には分からずに、取り調べをしないと分からないということです。
つまり内心の自由に踏みこまないと、それが準備行為かどうかは分からないのです
 監視され、内心の自由に踏みこまれる社会。
江川さんは「私たちが気付かないところで監視が進み、気付いたときには全身に毒が回り手遅れということになりかねない」と指摘する。
 「全身」とはこの国の民主主義社会を指すという。
多くの人は自分が事件の被害者になるかもしれないとは考えても、罪を着せられる恐れがあるとは思わない。
民主国家で、知らない間に自分が「犯罪者」になってしまうかもしれない社会を想像できるだろうか。

「共謀罪」(テロ等準備罪)のポイント
・適用対象は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」
・対象犯罪は5分野(テロの実行、薬物、人身に関する搾取、その他の資金源、司法妨害)の277
・犯罪計画に基づく凶器購入のための資金調達や犯行現場の下見など「実行準備行為」があって初めて処罰可能
・死刑や10年を超える懲役・禁錮を定めた犯罪の計画は「5年以下の懲役・禁錮」に、4年以上10年以下の懲役・禁錮を定めた犯罪の計画は「2年以下の懲役・禁錮」に処す
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2017年06月15日

異例の「委員会省略→本会議採決へ」のナゼ

異例の
「委員会省略→本会議採決へ」のナゼ
2017年6月14日 18:33 日テレNEWS24

 共謀罪の趣旨を盛り込んだテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐり、国会で与野党の激しい攻防が続いている。
自民党はこの法案について、委員会での採決を省略する異例の手段で14日中に採決したい考え。
日本テレビ政治部・小栗泉部長に聞く。
 委員会採決を省略して本会議で採決するという手法は、参議院で過去18回あったが、これは異例のこと。
本来、委員会で審議して採決、可決したら本会議に上げてここで討論して採決、過半数を得れば成立というのが常道だ。
 今回、自民党は「野党が議論を打ち切って問責決議案を提出した」と言っているが、委員会審議が当初、与党が目安としていた20時間にも満ちていない段階で、採決を省略。
本会議で中間報告を行うだけで採決し、数の力で成立に持っていこうとしている。

――国会の会期末を18日に控える中、なぜ、自民党はこんなやり方をするのか。
1つは、組織犯罪処罰法改正案は、どうしても今国会で成立させたい、
もう1つは加計学園をめぐる問題で、これ以上国会で野党に追及されて政権に傷がつくことは避けたい、この2つの要素を両立するためにはこれしかないと判断したようだ。
 つまり、組織犯罪処罰法改正案は、与野党の意見が対立しているから、審議を尽くそうとすると国会を延長せざるを得ない、でも、延長したら野党に加計学園の問題をめぐり追及の場を与えることになってしまう、ならば、会期は延長せず、強行に採決しようというわけだ。

――とはいえ、与党からも「もう少し丁寧に国会運営をするべきでは」という声が上がっているようだが。
 政府・与党内には、丁寧に説明する姿勢をアピールするためにも、「会期を小幅に延長したほうがいいのでは」という声もあった。
それだけに、ある自民党のベテラン議員は「国民をなめると、かえって立ち行かなくなるだろう」と話している。
 また、共謀罪の趣旨を盛り込んだ法案をめぐっては「権力が恣意(しい)的に犯罪捜査を行うのではないか」という信頼性が問われている。
 しかし、その権力の最たる政府・与党が、自らへのダメージを避けるために議論を軽視し、強行に国会を閉じるということで、果たして、国民は政府を信頼できるでしょうか。
大きな課題を残すと言わざるを得ない。
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福島瑞穂氏らの反対票無効に…「牛歩」時間切れ

福島瑞穂氏らの
      反対票無効に…
      「牛歩」時間切れ
6/15(木) 11:33読売新聞配信

 改正組織犯罪処罰法が可決、成立した15日朝の参院本会議で、自由党の森裕子、社民党の又市征治、福島瑞穂の3氏の反対票が無効となる一幕があった。

 3氏は反対の立場から、採決を引き延ばす「牛歩戦術」を取ったため、伊達参院議長が2分以内の投票を求めた。
3氏は最終的に反対票を投じたが、制限時間を超えた後で、「投票しなかった」とみなされた。
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2017年06月16日

共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」

共謀罪強行成立記念!
安倍政権の暴挙を
   忘れないために振り返る
「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」
2017.06.15 LITERA編集部

 今朝(15日)、ついに共謀罪法案が強行成立されてしまった。
「平成の治安維持法」と呼ばれる共謀罪法。
その法案内容自体がいかに異常なものであるかは本サイトでも何度もお伝えしてきた。
だが、その幕切れは、まさに唖然とするほかにない、民主主義を否定する究極の暴挙だった。  

何しろ政府与党は「中間報告」という異例の手段を使って、参院法務委員会での採決をすっ飛ばし、共謀罪法案を一気に参院本会議で強行採決してしまったのだ。
参院での審議時間はわずか約18時間。
「良識の府」とは名ばかりで、立法のプロセスを完全に無視する“禁じ手”だった。
こんなイカサマが許されるのならば、最初から立法府での審議など無意味ということになってしまう。
戦後の憲政史上に残る汚点という以外にないだろう。

 だが、逆に言うと、これこそが安倍政権らしいやり口とも言える。
振り返れば、共謀罪法案が審議入りする前から、安倍政権は国会の内外で信じられないようなデタラメをやり続けてきた。
二転三転する説明、担当大臣の答弁不能に、安倍首相が並べ立てたハリボテの立法事実、得意のデマとレッテル貼りの連発、そして独裁者の本音……。

 共謀罪は成立してしまったが、安倍政権がこの間、いかにして国民を欺いてきたか、私たちはいま一度、心に刻んでおく必要があるだろう。
というわけで、本サイトが厳選した「安倍政権の共謀罪トンデモ言動録」を以下に紹介していきたい。
共謀罪法の恐ろしさはもちろんだが、もはや法案の是非すら超えたところにある、異常としか言いようのない安倍政権の体質がよくわかってもらえるはずだ …………………………………………
【トンデモその1】
まともに答弁できない金田法相、マスコミに「法案の質問させるな」の文書配布、最後は金田隠しも
 今回の共謀罪法案のデタラメぶりを象徴するのが、やはり担当大臣である金田勝年法相の態度だろう。
今国会の開始直後から野党は予算委員会で追及してきたが、金田法相はまともに答弁できず、立ち往生する場面が頻発。
自ら「私の頭脳で対応できない」などと言い出す始末だった。

 そもそも、2月6日には法務省がマスコミに向けて、「法案を国会提出後に法務委員会で議論すべきだ」とする文書を配布。
ようするに、「質問する野党のほうがおかしいから批判しろ」と質問封じの圧力をかけたのである。
 当然のごとく批判が殺到し、金田法相は謝罪して文書を撤回するのだが、こうした態度は法案提出後も続いた。
安倍政権は、数々の疑問に答えるどころか、金田法相に答弁させないという作戦に出たのだ。
答弁者を勝手に官僚に差し替え、しまいには答弁しようと挙手した金田法相を、盛山正仁法務副大臣と安倍首相が両サイドから抑えにかかるという場面も。
 今回の強行採決で、官邸や自民党、安倍応援団メディアは「審議を尽くした」などとほざいているが、担当大臣にまともに答弁もさせないで何が「議論を尽くした」なのか。
 国民は、こんなデタラメな担当大臣とそれを強引にごまかす政権のデタラメなやり口によって、この天下の悪法が成立したことをしかと覚えておくべきだろう。

【トンデモその2】
「共謀罪がないと東京五輪を開けない」と真っ赤な嘘をふりまき世論を騙した安倍首相
 デタラメといえば、もうひとつ、忘れてはいけないのは、五輪に向けた「テロ対策」という大義名分だ。
当初、政府は「テロ等準備罪」という名称を強調し、共謀罪を成立させなければ国際的組織犯罪防止(TOC)条約に加盟できない、TOC条約を締結できなければ五輪は開けない、という論法で、この悪法を喧伝していた。
 実際、安倍首相も1月23日の衆院本会議で、「国内法を整備し、条約を締結できなければ東京五輪・パラリンピックを開けないと言っても過言ではない」と強弁した。
 オリンピックが国民の人権を制限しないと開けないようなイベントなら、そんなものさっさと開催を返上すればいいと思うが、それ以前に、このテロ対策自体がまったくの大嘘なのだ。
 日本政府はこれまでに国連のテロ対策関連条約のうち主要な13本を批准し、日本の国内法ではすでに57もの重大犯罪について「未遂」よりも前の段階で処罰できるように整備済みだ。
日弁連も共謀罪立法がなくても国連条約締結は可能だと法的観点から指摘している。


 また、このインチキはTOC条約の専門家からも指摘された。
TOC条約の「立法ガイド」の執筆者であるニコス・パッサス氏が「条約そのものは、プライバシーの侵害につながる捜査手法の導入を求めていない」
「新たな法案などの導入を正当化するために条約が利用されてはならない」と述べたのだ。
 だいたい、2013年のブエノスアイレスでの五輪招致最終プレゼンで、「東京はいまも2020年を迎えても世界有数の安全な都市」と胸を張ったのは誰だったのか。
にもかかわらず、共謀罪を強行したいと考え始めた途端に共謀罪がなければ開催は不可能などと嘯く安倍首相の二枚舌には呆れるしかない。

【トンデモその3】
対象限定は嘘! 実際はテロと無関係な法律違反も共謀罪に!
「山でキノコを採ったらテロリスト」発言も  その嘘だらけの「テロ対策」という大義名分だが、何がテロか、という説明もひどいものだった。
法案の実質審議入りを控えた4月17日、金田法相は驚くべきことに、「保安林の木やキノコ、筍を採って売れば、テロ組織の資金源となる(から共謀罪の対象になる)」などと言ってのけたのだ。
 周知の通り、政府は共謀罪の対象犯罪を277に限定したと喧伝したが、実際は、複数の犯罪をひとつにまとめるなど少なく見せようとしただけ。
しかも、そのなかには依然として「文化財保護法」や「種苗法」など、テロとはまったく無関係の法律違反が多数含まれている。
金田法相はこれを追及され、必死にごまかそうとしたわけだが、いやいや、山でキノコや筍をいそいそとパクる「テロ組織」ってなんなのか。
というか、どこでそんな山の幸を売るのか(道の駅か?)。
あまりにもバカげているとしか言いようがない。
 だが、これをたんにバカ大臣の妄言と笑い飛ばしてはならない。
あらためて言うが、共謀罪は「テロ対策」とまったく無関係の犯罪であっても、とにかく対象を広げるだけ広げ、「共謀」なる未遂・準備以下の内心の問題を見張り、恣意的な検挙を可能にするための法律である。
ようするに、恣意的な「共謀」の認定によって、誰でも「テロリスト」にされてしまいかねないのだ。

【トンデモその4】
テロは予備罪で対応できるのに金田法相が存在しない「判例」を捏造して共謀罪を正当化
 金田法相のトンデモ発言はまだまだある。
たとえば、政府が共謀罪がなければ対応できない事例としてあげる“大量殺人が可能となる危険性の高い薬品の購入”の防止に関し、野党が予備罪で対応できると指摘された金田法相は、「裁判例をみると、組織的殺人の予備に当たるとは言いがたい場合もあると考えている」と答弁した。  

ところが、具体的な判例を求められた金田法相はしどろもどろになって、「ご指摘の点は直接の判例はありませんが……」などと訂正。
つまり、法務大臣が「判例」を捏造して共謀罪を正当化しようとしたのである。
こんなことが許されていいのか。
ダメに決まっている。
 なお、政府はほかにも現行法で対処できない例として“テロ組織がハイジャック目的に航空券を予約した場合”を強調してきたが、これも現行の「ハイジャック防止法」の予備罪で対応可能。
事実、1970年当時の法務省刑事局長も「ハイジャックをする目的で、当該の航空券を買った場合は(同法の)予備罪にあたる」と答弁していた。
つまり、「テロ対策」であるはずの共謀罪法は、そもそも立法事実が存在しないのである。

【トンデモその5】
自民党が政権批判への共謀罪適用を示唆するチラシ「『デマ』を流す人はこの法律ができたら困るから」
 ところが、自民党ときたら“テロ等準備罪に反対する人は法律ができたら困る連中”なる悪質なデマゴギーまで振りまいた。
4月末に幕張メッセで開かれた「ニコニコ超会議」で、こんな文言の踊るチラシをばらまいたのだ。
〈もちろん、フツーの人が捕まるなんてことはない。
居酒屋とか、LINEとかで冗談言っただけで逮捕?!とかってツイートをたまに見かけるけど、こういうのは、まったくのウソ。
「デマ」を流す人は、この法律ができたら困るから??〉

「デマ」を流しているのは自民党のほうで、LINEやメールでのやりとりによって「共謀」と見なすということは、「手段は限定しない」との政府答弁で認めていることだ。
しかも背筋が凍るのは、“共謀罪法案に反対=テロリスト”なる常軌を逸した言いがかりである。  

言っておくが、政策や法案に反対したり、政府批判を述べたりできるのは、民主主義国家の基本中の基本だ。
安倍首相は例の加計学園問題の答弁で「印象操作だ」と連呼しているが、こうしたネット右翼ばりの極めて悪質な「印象操作」を繰り返しているのはいったいどちらか。
少なくとも、政策を批判しただけで与党から「テロ」呼ばわりされる国で、共謀罪など言語道断としか言いようがない。

【トンデモその6】
自民党議員が本音をポロリ!
野党の対応協議に「いまのはテロ準備行為じゃないか」とヤジを  
逆に言えば、この「政府に反対したらテロリスト」なる狂気の考え方こそ、政府・自民党の本質なのだ。
実際、4月21日の衆院法務委員会では金田法相が刑事局長らを“代打”に立てることで答弁を避け、議論が紛糾。
そのなかで、質問に立った民進党の階猛議員と枝野幸男幹事長が対応を相談している際、自民党の土屋正忠議員がこんな暴言を飛ばしたのだ。
「いまのはテロ、テロ準備行為じゃないか」
 当然、民進、共産両党は謝罪と撤回を求めるも、土屋議員は「ヤジの内容は覚えていない」とシラを切ってうやむやにされてしまったが、こうした“テロ攻撃”は安倍首相も同様だ。
 先月、安倍首相は朝日新聞の加計問題報道をFacebookで「言論テロ」などと批判した漫画家の投稿に対し「いいね!」と同意。
「公人中の公人」が報道機関を「言論テロ」と攻撃すること自体が異常だが、ようするに、安倍政権にとって不都合な事実を伝える言論は、すべて公権力が「テロ」と認定するということ。
摘発の恐怖を煽って恫喝、まさに恐怖政治だ。
安倍政権の方がよっぽど「テロリスト」と呼ぶべきではないか。

【トンデモその7】
安倍の「一般人は対象にならない」はやっぱり嘘だった!
途中から「誰もが組織的犯罪集団」になりうる実態が次々と
 安倍首相らが「テロリスト」とのレッテル貼りして共謀罪で取り締まりたいのが、政権を批判する人々や不正を正す声であることは、もはやあきらかだろう。
 当初、安倍首相は自ら「一般の方々が対象になることはありえない」と明言していたが、その後一転、「犯罪集団に一変した段階で一般人であるわけがない」などとして、一般人を対象になることを認めた。
言うまでもなく、「犯罪集団」を認定するのは捜査当局。
恣意的な認定によって、政府方針に反対の意見をもつ労働組合やデモを行う市民団体などが、ある日突然「犯罪集団」に仕立て上げられるということが、今後、どんどん発生するはずだ。
 さらに、審議が進むにつれて金田法相が新たに「組織的犯罪集団の周辺者」なる概念も共謀罪の対象に含むなどと言い出した。
もはやなんでもありだ。
たとえば、政府方針に反する脱原発デモや沖縄米軍基地反対デモ、あるいは共謀罪反対デモなどのなかに、ひとりでも「組織的犯罪集団」のメンバーとみなした人が参加していれば、デモ参加者全員が“一網打尽”にされうる。
独裁者が鼻で笑い、国民の表現の自由は死滅するのだ。

【トンデモその8】
共謀罪の本質は内心の自由の侵害! 金田法相は「花見で双眼鏡を持っていたら捜査対象」と
 表現の自由だけではない。
共謀罪は、人々の内心の自由をも剥奪する。
安倍首相は4月6日の衆院本会議で「犯罪の計画行為に加えて準備行為が行われて初めて処罰対象とすることで、内心を処罰するものではない」としたが、それからわずか1カ月あまりの5月16日の衆院法務委員会では、金田法相が「準備行為か否かは行為の目的などの主観面も捜査対象となる」と明言した。
 言うまでもなく、盗聴等で内心を覗かぬかぎり、個人の主観を捜査することはできない。
実際、金田法相は通信傍受法(盗聴法)の拡大について、現時点では「テロ等準備罪の捜査のために通信傍受を用いることは考えていない」としつつも、将来的には「捜査の実情を踏まえて検討すべき」としている。
 また、この「主観」発言が大問題なのは、金田法相が共謀罪の摘発事例について「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、犯罪行為の下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っている」などと意味不明の答弁をしているからだ。
逆に言えば、これは地図や双眼鏡を持って花見に行けば、それだけで犯罪者扱いされるということ。
だいたい、いまやほとんどの人がマップ機能やカメラが搭載されたスマートフォンを持っている
もはや、すべての人間が共謀罪で恣意的に検挙される恐れがあると言っても、決して言い過ぎではないだろう。

【トンデモその9】
「そもそも」には「基本的に」の意味があると嘘をついた安倍、閣議決定でもこの嘘を事実認定!
安倍首相は今年1月、過去の共謀罪法案との違いとして「今回は“そもそも”犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない」と述べていた。
ところが、その3週間後にはオウム真理教を例に「当初はこれは宗教法人として認められた団体でありましたが、まさに犯罪集団として一変したわけであります」と説明を一変。
「そもそも犯罪を犯すことを目的にした集団」から「性質を一変させた場合」と取り締まり対象の拡大を突然言い出したのだ。
そして4月、この答弁の矛盾を民進党の山尾志桜里議員にただされると、安倍首相は自信満々にこう言ってのけた。
「そもそも、『そもそも』という言葉の意味について、山尾委員は『はじめから』という理解しかない、こう思っておられるかもしれませんが、『そもそも』という意味にはですね、これは調べてみますと、辞書で調べてみますとですね、辞書で念のために調べてみたんです。
へへっへ(笑)。
念のために調べてみたわけでありますが、これは『基本的に』という意味もあるということも、ぜひ知っておいていただきたい」
 しかし周知の通り、「そもそも」の意味を「基本的に」と記している辞書など存在しなかった。
ようするに、安倍首相は自分の答弁の矛盾をごまかすために、「そもそも」を「基本的に」という意味に捏造、あまつさえ「辞書で調べてみますと」などと言ったが、実はそもそも辞書さえ引いていなかった。
この男は、自分の嘘を隠すために、小学生以下のどうしようもない嘘を重ねたのである。
 しかも恐ろしいのは、話がここで終わらないことだ。
政府はその後、この「そもそも」=「基本的に」という日本語を捻じ曲げた答弁書をなんと閣議決定までしたのである。
 この閣議決定で、政府は「大辞林」(三省堂)に「(物事の)どだい」という意味があり、「どだい」には「基本」の意味があると主張。
いや、「どだい」も副詞で使うときは基本というニュアンスとは違うし、そもそも違う言葉を間にはさんで意味が同じになるなら、ほとんど全部の言葉が同じ意味になる。
 しかも「首相が自ら辞書を引いて意味を調べたものではない」とサラッと嘘を修正。
安倍首相は「辞書で念のために調べてみたんです」と国会で何度も強弁していたのだが。
まったくつく必要のない嘘をとっさに平気でつくとは、安倍首相の嘘は病的としか言いようがない。
 もはやクラクラしてくるが、「そもそも」問題は、揚げ足とりでもなんでもなく、法案の根幹にかかわる部分。
この“そもそも捏造事件”もまた、参院委員会採決を消し飛ばしたウルトラCと並んで、戦後憲政史上の汚点として刻まれるだろう。

【トンデモその10】
共謀罪を成立させるために国際社会を騙し、国連特別報告者まで批判! そのやり方は戦前日本そのものだ
 このように、「丁寧な説明」どころか、政府による説明の嘘や矛盾、問題点がどんどんと暴かれる一方、指摘に向き合わないばかりか聞く耳ももたず不誠実な姿勢を強めていった安倍政権。

その極めつきが、国連人権員会の特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大教授)から日本政府に送られた書簡への態度だろう。
 ケナタッチ氏は書簡のなかで「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘したが、安倍首相らは狂ったようにケナタッチ氏を口撃。
菅義偉官房長官にいたっては、「何か背景があるのでは」などとネトウヨばりの陰謀論まで口にした。
 だが、唖然とさせられたのは、安倍首相が流した“フェイクニュース”だ。
安倍首相はG7サミットの際にアントニオ・グテレス国連事務総長と会談を行ったが、国会で「グテレス国連事務総長も『人権理事会の特別報告者は国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は必ずしも国連の総意を反映するものではない』旨、述べていました」と答弁。
外務省も同様の発言があったと発表していたが、国連側はすぐさまプレスリリースを出し、「特別報告者は独立した専門家であり、国連人権理事会に直接報告すると話した」と否定。
つまり、安倍首相および日本政府は国連事務総長の発言さえ捏造していたのだ。

 共謀罪に対しては、ケナタッチ氏だけではなく、海外メディアも懸念を示してきた。
そんななかで国連事務局トップの発言さえねじ曲げ、特別報告者のバッシングに終始した。
安倍首相は「国際社会との連携を深めてテロ対策にあたる」と述べているが、それ以前に国際社会の信用を失墜させたのである。


 共謀罪をめぐって噴出した問題を挙げ出せばキリがないが、にもかかわらず、安倍政権は議会ルールを破壊しながらそれを強行採決してしまった。
しかし、これだけの問題点や説明の嘘、ありえない答弁の数々があきらかになりながら強行採決を許してしまったのは、共謀罪の危険性をメディアが、なかでも影響力のあるテレビが伝えなかったからだ。
 テレビは今朝になって「審議が不十分だと言われていたのに押し切った」「答弁も二転三転してきた」などと説明しはじめたが、いまさらすぎるだろう。
審議であぶり出された事実を伝えず、伝えたとしても短い時間で「与野党の攻防」などと政局の問題に矮小化してきたからこそ、共謀罪の本質的な危険性を多くの人が知ることがないまま可決されてしまったのだ。
 しかも、これで終わりではない。むしろ今回、世論の反発も顧みず委員会をすっ飛ばして本会議で強行採決したように、今後、安倍首相にとって本丸である憲法改正でも同じような強引な手段に出るのは確実だ。
それをメディアがチェックし伝えなければ、いよいよ日本は安倍首相の思いのままにすべてが動く国になる。
政権の暴挙を国民がきちっと記憶し忘れないことはもちろん、メディアは課せられた責任をいまこそ重く受け止めるべきだろう。
    (編集部)
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2017年06月17日

「共謀罪」法が成立 「私」への侵入を恐れる

「共謀罪」法が成立 
「私」への侵入を恐れる
2017年6月16日 東京新聞「社説」

 「共謀罪」が与党の数の力で成立した。
日本の刑事法の原則が覆る。
まるで人の心の中を取り締まるようだ。
「私」の領域への「公」の侵入を恐れる。
 心の中で犯罪を考える−。
これは倫理的にはよくない。
不道徳である。
でも何を考えても自由である。
大金を盗んでやりたい。
殴ってやりたい−。
 もちろん空想の世界で殺人犯であろうと大泥棒であろうと、罪に問われることはありえない。それは誰がどんな空想をしているか、わからないから。
空想を他人に話しても、犯罪行為が存在しないから処罰するのは不可能である。

◆犯罪の「行為」がないと
 心の中で犯罪を考えただけでは処罰されないのは、根本的な人権である「思想・良心の自由」からもいえる。
何といっても行為が必要であり、そこには罪を犯す意思が潜んでいなければならない。
刑法三八条にはこう定めている。  
罪を犯す意思がない行為は、罰しない
 そして、刑罰法規では犯罪となる内容や、その刑罰も明示しておかねばならない。
刑事法のルールである。
では、どんな「行為」まで含むのであろうか。

 例えばこんなケースがある。
暴力団の組長が「目配せ」をした。
組員はそれが「拳銃を持て」というサインだとわかった。
同じ目の動きでも「まばたき」はたんなる生理現象にすぎないが、「目配せ」は「拳銃を持て」という意思の伝達行為である。
 目の動きが「行為」にあたるわけだ。
実際にあった事件で最高裁でも有罪になっている。
「黙示の共謀」とも呼ばれている。
ただ、この場合は拳銃所持という「既遂」の犯罪行為である。
 そもそも日本では「既遂」が基本で「未遂」は例外。
犯罪の着手前にあたる「予備」はさらに例外になる。
もっと前段階の「共謀」は例外中の例外である。

◆市民活動が萎縮する
 だから「共謀罪」は刑事法の原則を変えるのだ。
 「共謀(計画)」と「準備行為」で逮捕できるということは、何の事件も起きていないという意味である。
つまり「既遂」にあたる行為がないのだ。
今までの事件のイメージはまるで変わる。
 金田勝年法相は「保安林でキノコを採ったらテロ組織の資金に想定される」との趣旨を述べた。
キノコ採りは盗みと同時に共謀罪の準備行為となりうる。
こんな共謀罪の対象犯罪は実に二百七十七もある。
全国の警察が共謀罪を武器にして誰かを、どの団体かをマークして捜査をし始めると、果たしてブレーキは利くのだろうか。
暴走し始めないだろうか。
 身に覚えのないことで警察に呼ばれたり、家宅捜索を受けたり、事情聴取を受けたり…。
そのような不審な出来事が起きはしないだろうか。
冤罪(えんざい)が起きはしないだろうか。
そんな社会になってしまわないか。
それを危ぶむ。
何しろ犯罪の実行行為がないのだから…。

 準備行為の判断基準については、金田法相はこうも述べた。  
「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、(犯行場所の)下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」
 スマートフォンの機能には地図もカメラのズームもメモ帳もある。
つまりは取り調べで「内心の自由」に踏み込むしかないのだ。
警察の恣意(しい)的判断がいくらでも入り込むということだ。
 だから、反政府活動も判断次第でテロの準備行為とみなされる余地が出てくる。
市民活動の萎縮を招くだろう。
こんな法律を強引に成立させたのだ。
廃止を求めるが、乱用をチェックするために運用状況を政府・警察は逐一、国民に報告すべきである。
 ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン氏が共同通信と会見し、米国家安全保障局(NSA)が極秘の情報監視システムを日本側に供与していたと証言した。
これは日本政府が個人のメールや通話などの大量監視を可能にする状態にあることを指摘するものだ。
「共謀罪」についても「個人情報の大規模収集を公認することになる」と警鐘を鳴らした。
日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになる」とも。
 大量監視の始まりなら、憲法の保障する通信の秘密の壁は打ち破られ、「私」の領域に「公」が侵入してくることを意味する。

◆異変は気づかぬうちに?
 そうなると、変化が起きる。
プライバシーを握られた「私」は、「公」の支配を受ける関係になるのである。
監視社会とは国家による国民支配の方法なのだ。
おそらく国民には日常生活に異変は感じられないかもしれない。
だが気付かぬうちに、個人の自由は着実に侵食されていく恐れはある。
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国民見くびるな 野党も責任重大

国民見くびるな 野党も責任重大
6/16(金) 11:11神奈川新聞「社説」配信

 安倍首相はなぜこれほどまでして「共謀罪」法の成立を急いだのか。
 近ごろはしばしば、役人の保身のための手だてとかいう疑惑絡みの用いられ方をして口にするのもシャクな言葉だが、忖度(そんたく)してみたい。
 国会を早く閉じ、腹心の友や、かつて考え方に共鳴するところのあった方が関わった、日増しに不可解さが募る、あるいは事の本質が置き去りの疑惑に幕を引きたい。
 そうすることで、告示日の迫った都議選への自民党への悪影響を、総裁として最小限に食い止めたい。
 その前に、野党と鋭く対立している「共謀罪」法の会期内成立は必須である。
 そんなところだろうか。

政治に思惑が先行し、ガタのきているのが否めない。
 英国の哲学者ベーコンが言っている。
〈物事が実行に移されたら最後、迅速に匹敵する秘密保持はない〉

 「共謀罪」法を巡る国民の懸念や不安にきちんと答えずに審議を切り上げた姿勢は、「秘密」を積み残したとされても差し支えあるまい。
疑惑に正面から答えようとしなかった態度は言わずもがなである。


 犯罪者でもない身に「共謀罪」法など関わりあるはずがない。
果たしてそう言い切れるか。
 言論統制時代の悪法「治安維持法」も拡大解釈が重ねられることで犠牲者が広がった。
学ぶべき歴史の教えはすぐ傍らにある。
 世間の憤怒や非難は一時的なもので、時がたてば分かってくれる。
いや、忘れてもらえる。
首相の物言いはそんな考え方に根差しているのではと思わせることが間々ある。

 しかし、これって国民を見くびっていないか。
今の国会の勢力は国政選挙によってもたらされたものだ。
過去の強行採決も支持率にさほど影響はなかった。
だから、と首相が受け止めていないとも限らない。
もっと怒るべきだ。

 そも国民の代表である国会も、衆参共に与党が多数を制しているとはいえ、首相のほとんど言うがままである。
行政府の行き過ぎを正す責務を果たしているとは言い難い。
「1強」も一皮むけば「他にいい人がいない」というのが国民の本音だ。
野党はとりわけ責任重大である。

 東京五輪・パラリンピックの成功と「共謀罪」法の必要性が結び付けられたのは不可解だった。
しかし、開催の年の改正憲法施行を目標に置く首相の思考回路は分かりやすい。
民主主義は本来、熟議を伴う迂遠(うえん)なものだ。
催事に合わせるスタンプラリーにも似た政治手法に惑わされまい。
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2017年06月18日

<通常国会>失言、疑惑、隠蔽三昧 「安倍1強」ゆがみ露呈

<通常国会>失言、疑惑、隠蔽三昧
 「安倍1強」ゆがみ露呈
6/16(金) 21:42 毎日新聞配信  

◇政権、強引に国会「閉会」
 第193通常国会は16日、事実上閉会した。
安倍政権が最重要法案と位置づけた改正組織犯罪処罰法は参院法務委員会の採決を省略する乱暴な国会運営によって成立した。
5カ月間の会期中は政権側の疑惑や失言が相次ぎ、その影響を抑えようと、情報隠蔽(いんぺい)と強弁が繰り返された。
常に安倍晋三首相の意向をそんたくして動く与党と官僚。
「安倍1強」のゆがみがあらわになった国会だった。
【政治部編集委員 平田崇浩】

 国会が開会した1月はトランプ米政権の誕生を注視する緊迫感に包まれていた。
首相が訪米した2月、国会では二つの疑惑が政権を襲った。
南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊の日報隠蔽と学校法人「森友学園」の国有地取得を巡る政府対応が問われた。  

「私や妻が関わっていたら首相も国会議員も辞める」。
森友問題の国会答弁で首相はたんかを切った。
その首相を守るため、夫人付職員の財務省への問い合わせは「個人」の行為だったなどと政府は強弁を重ねた。
 「働きかけて決めているのであれば責任を取る」。
3月には学校法人「加計学園」の獣医学部新設に絡む疑惑も浮上し、首相は関与を全否定した。その後、「総理のご意向」などと記した文部科学省の内部文書も見つかったが、政府は閉会直前まで文書の存在を否定する強弁を続けた。

 「共謀罪」の構成要件を改めた「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法の成立を政権側は強引に急いだ。
野党からの加計問題追及に幕を引く「加計隠し」だ。
会期延長を回避するために委員会採決を飛ばした暴挙が日本の民主主義の歴史に刻まれた。

 ◇長期政権におごり
 天皇陛下の退位を実現する特例法にめどがついたタイミングで、首相は憲法改正の加速へとかじを切った。
 「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」。
5月3日の憲法記念日、首相は改憲派集会に寄せたメッセージで、憲法に自衛隊を明記する「9条加憲」を提起した。
 衆参両院憲法審査会の頭越しで首相が改憲方針を表明したことに野党は反発した。
自民党は「国防軍」を明記した改憲草案を発表済みだが、首相の意向に沿って年内に改正案をまとめる方向に転換。
来年の通常国会での発議も視野に「安倍改憲」が始動した。

 今国会中には今村雅弘復興相と務台俊介内閣府復興政務官が失言で辞任し、東日本大震災からの復興に取り組む政権の姿勢に疑問の目が向けられた。
中川俊直経済産業政務官は不倫問題で辞任。
いずれも政権のリスクを減らす更迭人事だった。

 首相の意向に逆らわず、そんたくするのが政権内のならいとなっている。
「安倍1強」であるがゆえに批判を許さない雰囲気の強まった国会だった。
 野党の批判を封じるためには情報を隠し、強弁を弄(ろう)し、議論もさせない。
長期政権のおごりが後味の悪さを残し、18日の会期末を迎える。
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2017年06月19日

追悼…野際陽子が語った戦争の悲惨

追悼…野際陽子が語った
戦争を知らない政治家への
       メッセージ
「戦争の真実を知ってほしい」
2017.06.17 LITERA編集部  

女優の野際陽子さんが今月13日に亡くなっていたことがわかった。
死因は肺線がん。
81歳だった。
3年前よりがんを患い、闘病しながら仕事を続けており、現在放送中のドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日)にも出演していた。
『キイハンター』、『ずっとあなたが好きだった』、『ゲゲゲの女房』など多くの人気作品に出演し、日本の映画・ドラマには欠くことのできない名女優だったことは誰もが知る通りだが、彼女にはもうひとつ重要な顔がある。

 野際は、特定秘密保護法や安保法制など、戦争へと突き進む昨今の社会状況に向けて反対の意を表明し続けてきたことでもよく知られている。
 2013年には高畑勲や山田洋次らが呼びかけた「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」に賛同、法案に対して反対の意思を示した。
 また、安保法制が国民的な議論を巻き起こしていた2015年には、「映画人九条の会」などによる安保関連法案への反対意見に賛同。
大竹しのぶ、吉永小百合、是枝裕和、周防正行、井筒和幸、山本晋也、高畑勲、山田洋次、大林宣彦といった映画人らとともに安倍政権が強権的に進める安保法制に異議を申し立てた。

 野際がこのような意見表明を起こした背景には、1938年生まれの彼女が体験した戦争の記憶を後世に語り継がなくてはならないという思いがあるのは間違いない。
 2007年、上戸彩が主演した『2夜連続ドラマスペシャル・李香蘭』(テレビ東京)で、現在の李香蘭役を演じた際、番組の公式ホームページに掲載されたインタビューで彼女は、戦争に翻弄された李香蘭の人生を通じて、若い世代にも戦争の恐ろしさを知ってほしいと訴えかけていた

「戦後60何年たちまして、もう総理大臣も戦争を知らない人になってしまったし、どんどんあの戦争が忘れられていく中で、あれは何だったんだろうか?
何でこういう李香蘭のような運命を引き受けなければならない人が出たんだろうか?
とか、それをどういう風に我々は受け止めて、活かしていかなきゃいけないのかなっていう…
戦争を知らない人たちにもあの時代にあったことのできる限りの信実を知って欲しいという気持ちはしますね、私自身も知らないことはたくさんありますし、知っていることが真実なのかどうかもよくわかりませんけれども、あの戦争の中を生きて、少しは今の若い方たちよりはあの時代のことを想像することができます。
李香蘭の境遇は想像するしかないんですけれども、それを想像することはできるので、それをお伝えしたいし、そこから色んなものを見ている方に汲み取って頂きたい。
あの時代のことをもう一度思いだして頂きたいと思いますね。」

野際陽子が語った自らの空襲体験
 その思いはそれから先も変わらなかった。
15年9月に放送された『ザ・インタビュー〜トップランナーの肖像 戦後70年特別編 戦争を語り継ぐ人たち』(BS朝日)では、千玄室大宗匠(茶道家元)、倉本聰(脚本家)、奈良岡朋子(女優)、藤城清治(影絵作家)、瀬戸内寂聴(作家)といった人々に戦争体験を聞くインタビュアーを務めていたのだが、そのなかで彼女自身もこのように自らの戦争体験を話していた。

「私は、天沼っていう荻窪に(ある町に)住んでいて。
夏でしたかね、いったん疎開先から(東京に)帰ってきてから、次に(疎開先に)行くまでの間、11月に空襲にあったんですよ。
そのときにダーンって(爆弾が落ちて)。
うちはまだ防空壕ができていなかったので、押入の布団を全部出して、押入の前に布団を積んでそのなかに隠れるっていう方式をとってたんです。
(中略)よくB-29のお腹がこう、ずっと行くのを見ていました」

 野際は、戦中に見た忘れられない光景について、「革新懇ニュース」(全国革新懇)11年9月号でこのように語っていた。
「私自身は戦争の悲惨な体験はありませんが、小学3年のとき、東京の自宅で空襲にあいました。ドーンというすごい音とともに縁側に面したガラスが割れ、びっくりしました。
(中略)  戦争が終わって12月に東京に戻り、東京駅から中央線に乗ると、焼け野原が広がり、驚くような光景でしたね。
 集団疎開していた東京の下町の6年生は、国民学校を卒業するので疎開先から帰ってきて、すぐに3月10日の空襲で犠牲になりました。
後年その話を聞き、とてもショックでした。
本当にかわいそうです」

野際陽子は瀬戸内寂聴とともに
戦争へ向かういまの日本を憂いていた
 このような光景を実際に目の当たりにしているからこそ、野際は戦争を知らない世代が社会を動かすようになり、戦争に向かいかねない状況に危機感を募らせたのだろう。
 2015年に放送された前掲番組『ザ・インタビュー』で野際は、
いまは昭和17年(1942年)ぐらいの感じですね。
どんどんどんどん戦争に向かっていっている。
それはとても気持ちが悪いですね」、
「いまの政治家は戦争を知らない人たち」と危惧を語る瀬戸内寂聴の言葉に大きく頷き、「(戦争中は)私はまだ小学生だったんですけど、時々ね、ふっとあの頃のことを思い出すことがあるんですよね」と語っていた。

 戦争を体験した世代がどんどん鬼籍に入っていく。
ここ数年でも、水木しげる、野坂昭如、永六輔、大橋巨泉、愛川欽也など、実際に戦争を体験し、その悲劇を語り継ぐことで反戦の思いを訴えていた人々が次々に亡くなっている。
 安倍政権の強権的な姿勢を支持する人がいる背景に、そういった戦争の悲劇を学んでいない人間が多く存在するという事実は確実にあるだろう。
だからこそ、我々は彼らが送り続けていたメッセージを改めて読み深め、代わりになってその体験を発信し続ける義務がある。

 野際は平和への思いをこのように語っていた。
その言葉を噛み締めながら、ご冥福をお祈りしたい。
「いま核兵器をもっていても、使うと地球はたぶんおしまいです。
「平和にしよう」と考えている人はいっぱいいるわけですから、戦争をなくすことはできないことではないと思います」(前掲「革新懇ニュース」11年9月号)
(編集部)
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2017年06月20日

安倍政権に“96億円カツアゲ”された今治市、地元住民の声【加計学園問題】

安倍政権に
“96億円カツアゲ”された
今治市、地元住民の声【加計学園問題】
2017.06.19  日刊SPAニュース

愛媛県今治市の加計学園獣医学部新設で、「総理の意向」が働いたかどうかが大問題になっている。

その「意向」は文科省だけでなく
現地にも及んでいた!?
 地元住民を直撃、その声をリポート。
貧乏自治体にお金を出させて、国は1円も出してくれない!?
 今治市は愛媛県北東部、瀬戸内海に面した人口約16万人の都市。
陸部と島嶼部をつなぐ「しまなみ海道」はサイクリングの聖地としても知られる。
そんなのどかな地方都市が今、加計学園問題に揺れている。
加計学園問題は、国による地方の“カツアゲ”です!

 そう憤るのは、今治市民で「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川敦彦氏。
「国がお金を出して獣医学部をつくってくれると勘違いしている今治市民もいます。
でも実は、国は1円も出してくれないんです
今治市は今年3月に37億円相当の土地を加計学園に無償譲渡し、さらに最大で約96億円、つまり獣医学部建設費の半額を税金から拠出することになっています。
これは市の歳出の12%にも当たります」

 今治市の財政状況は全国でも最低レベルで、本来は財政健全化に注力しなければならない状況なのだという。
「今治市の試算では、獣医学部誘致によって年間3000万円の税収増が見込めるというのですが、これでは元が取れるまで320年もかかってしまいます。
私たちは、千葉県銚子市と同じような状況になることを危惧しています。
銚子市の財政は破綻寸前ですが、その大きな原因となったのが、加計学園系列の千葉科学大学を設立するための補助金支払いでした」(黒川氏)

 千葉科学大学建設による銚子市の税収増は、水道利用料などの財政効果が年間2億6000万円ほど。
一方、建設費支払いのための地方債負担は年間4億6000万円で、年間2億円の負債を20年間分増やす要因になった。
「結局、銚子市は千葉科学大学のために77億5000万円を投じたあげく、40億円も赤字を増やして財政破綻寸前まで追い詰められました。
同じことが今治市でも起きない保証はありません」(同)

 先月、「今治加計獣医学部問題を考える会」では今治市民を対象とした電話世論調査を行った。
その結果、莫大な市税を大学誘致に使うことに疑問や不安の声が多かったという。
「『大学の誘致より住民のために市税を使ってほしい』という意見が全体の62%、『多額の市税を誘致に使うことに不安』という意見は80%に上りました」(同)

 すでに今治市の財政は逼迫していて、多くの行政サービスが十分に提供できていない状況だ。

例えば、地元商工会が求めている「しまなみ海道での自転車レース」も、わずか数十万円の予算が確保できずに開催できていない。
子供の医療費補助もなく、生活保護申請も水際で拒否されるケースが多発している。
「先日も老夫婦が生活苦から無理心中するという事件が起きました。
それなのに、加計学園のためには土地の無償提供を含めて100億円以上をポンと出すなんて、到底納得がいきません。
どうせ税金を使うなら、もっと地元のために使うべきです。
例えば、島嶼部の人々は病院などに通うために陸部に来ると、橋の通行料を往復で3000円近くも取られるんです。
生活に不可欠な道路なのですから、通行料への補助を行ったほうがよっぽど住民のためになります」(同)

「安部総理がやってくれる」
         という言葉で市長が説得!?
 そんな逼迫した財政状況のなか、事業の見通しの詳細や、地元議会や住民などへの説明が置き去りにされ、獣医学部の建設だけが急ピッチで進められている。
その背景には、「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」といった圧力が、文科省だけでなく今治市に対してもあったのではないか?との疑問が上がっている。

というのは、流出したとされる文科省の内部文書だけでなく、今治市側の資料にもそれが散見されるのだ。
 例えば、昨年9月26日付の今治市国家戦略特区特別委員会の議事録には、「平成30年4月の開学」を急かす内閣府の意向を受けて、同市企画課の課長が「スピード感を持って臨んでまいりたい」と発言した記録がある。
 さらに、菅良二・今治市長は自身の支持者や市議会議員に「加計学園のことは安倍総理が全部やってくれる、地元が口をはさむ余地はない」と説明していたという。
 菅市長をよく知る後援会関係者はこう証言する。


「市長が件の発言をするようになったのは、昨年の秋頃からだったと思います。
国家戦略特区の公募は今年1月でしたから、その前に決まっていた可能性が高い。
昨年10月には、まだ事業者に認定されていないのに、市有地でボーリング調査を行っています。
“出来レース”と言われたら、そうなのかもしれませんね。
菅市長も73歳と高齢で、次の市長選には出ないでしょうから、最後に実績を残したかったのかもしれません」(A氏)

 この発言について記者が問い合わせたところ、市長は「そういった発言をしたことはございません」と否定。
 しかし、今治市政関係者のB氏も「そうした発言を市長がしていたということは、私も聞いています」と語る。
「私だけでなく、地元議員など複数の人がその発言を聞いています。
市側にとってもほとんど情報もなく、不安の多い獣医学部新設を説得するためには『安倍首相がやってくれる』としか言うことができなかったのだと思います」

なぜ獣医学部なのか
……住民には何の説明もなし
 獣医学部設立をめぐる説明不足も不安を招いている。
B氏は「大学誘致自体は、今治市政が長年取り組んできたことです。
でも、獣医学部設立が果たして今治市のためになるかどうか……」と表情を曇らせた。
「内閣府とともに加計学園建設を進めている今治市の企画財政部は、『年間20億円の経済効果がある』などと発表していますが、加計学園の具体的な事業計画については、市の担当者も実はよく知らないのです。
市議会にもまったく説明がありません。
獣医学部建設での建築の見積もりや図面も提出されていない。
『世界でも先駆的な獣医学部をつくる』という話なのですが、教授陣すら誰であるかもわからない状況です。
他大学をリタイアした先生や、まだ経験の浅い若手の先生が来るとも聞いていますが、詳しいことは知らされていません」

 今治市出身の愛媛県議である福田剛氏も説明不足を指摘する。
「加計学園の獣医学部設立については、愛媛県も最大で約30億円を支出するという話がまことしやかに流れていますが、県の地域振興課に問い合わせても『今治市からそうした要請は今のところ来ていない』とのことです。
我々のまったく知らないところで、話がどんどん進んでいるようです」
 おそらく、国家戦略特区での他の大学設置の事例と同様に、市や県で共同負担をするというプランを国がトップダウンで決めてくるというやり方なのだろう。
「県議会にろくに説明もしないまま建設だけが進むというのは、いかがなものかと思います。
昨年11月に、菅良二・今治市長に県議らが呼ばれ『加計学園についてよろしくね』とは言われましたが、それ以降は連絡なしです」(福田氏)

 さらに地元では「そもそも、なぜ獣医学部なのか」という疑問の声も上がっている。
「今治市周辺は牧場などが少なく、むしろ造船や繊維など、全国有数の工業地域です。
工科大学ができるなら地元にも大きなメリットがあると思うのですが……。
獣医学部では学生が集まるのかどうかの見通しもなく、卒業したとしても就職口がないので外に出ていってしまいます。
やはり『加計ありき』ということで獣医学部だったのかもしれません」(同)

 前出の黒川氏も呆れ顔でこう語る。
「市民に対する説明会が行われたのは、今年4月に入ってから。
そのときはもうすでに学校建設が始まっていました。
『なぜもっと早く説明会をしなかったんだ』と、多くの市民が疑問に思っています。

民進党の調査チームが5月19日に今治市に来た際も、市の担当部署は聞き取りのための面会を拒否。
建設現場の職員にも、『敷地の中には一歩たりとも入れるな』と上から指示が出ていたそうです」。
 さらに地元住民たちにとっては、獣医学部の「最先端研究」も不安材料の一つだと黒川氏は言う。
「バイオラボではウイルスや病原菌の研究を行うという話です。
『バイオセーフティレベル3』という、最高レベルのひとつ下、例えばSARSなどかなり危険な病原菌を扱う施設になるそうです。
それについても地域住民にはほとんど説明がなく、市議会でもこの問題はたった2分しか語られませんでした」

 国会だけでなく、建設地でも異論・不満が高まりつつある加計学園問題。
自身の「意向」が、安倍総理の首を絞めることになりそうだ。
  取材・文/志葉 玲 横田 一
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2017年06月21日

安倍首相は「反省」などしていない!

安倍首相は「反省」などしていない!
嘘、スリカエ、責任転嫁、ごまかし…
醜悪すぎる会見内容を徹底検証
2017.06.19 LITERA編集部

 安倍首相が本日(19日)18時から記者会見を行ったが、その中身は、本サイトが予想していた通り、嘘、インチキ、話のスリカエ、責任転嫁、ごまかしだらけの、最悪なシロモノだった。  

それは冒頭からいきなり始まった。
安倍首相は閉会した国会を総括するなかで、こんなことを言い出したのだ。
「建設的議論という言葉からはかけ離れた批判の応酬に終始してしまった。
政策とは関係ない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまった」
「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反応してしまう、そうした私の姿勢が結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。
深く反省している」

 ニュース番組などでは「総理『深く反省』」などとテロップを打っていたが、一体この言葉のどこが反省しているというのか。
 だいたい建設的議論を阻んだのは、共謀罪で二転三転するでたらめ答弁を続け、中間報告という禁じ手で強行採決をした安倍首相と自民党だろう。
「批判の応酬」になったのもそうだ。
お前の妻が国有地の不正な売買にかかわったり「腹心の友」に便宜を図っていた事実があきらかになったのに、真相の追及に対して「妻は私人」だの「職員が勝手にやった」だの、説明責任をハナから放り出して見苦しい開き直りに終始したから、真相解明ができなかったのではないか。

 挙げ句、この期に及んでも、そうした追及を「印象操作」だと片づけ、あたかも自分が被害者であるかのように振る舞うのだから開いた口がふさがらない。
こういう行いを「印象操作」と呼ぶのだ。

「みんなにチャンス!構想会議」で
お友だちにチャンスを狙う?
 また、安倍首相は「先週も調査結果の発表後に予算委員会の集中審議に出席した」と得意気に胸を張り、「何か指摘があれば、その都度、真摯に説明責任を果たしていく」などと宣言していたが、冗談も休み休み言ってほしい。
「集中審議に出席した」と言っても、たったの3時間。
しかも、側近中の側近である萩生田光一官房副長官が獣医学部新設に直接関与していた証拠まで明らかになったのに、それを一切認めようとせず、文科省から出向中の内閣府職員にすべての罪を着せ続けただけだった。

「真摯に説明責任を果たす」というのなら、昭恵夫人や前川喜平・前文部科学事務次官らの証人喚問にすぐに応じればよかったではないか。
今からでも、こんな記者会見などではなく会期延長や閉会中審査に応じればいい。
 だが、安倍首相はそういう説明責任への具体的な姿勢は口が裂けても口にしなかった。
かわりに、連呼したのが、例の「岩盤規制」だった。
加計学園だけに獣医学部新設させたことを「岩盤規制の改革」だと主張し、民進党を“抵抗勢力”呼ばわり。
「既得権と手を結ぶことも決してない」「私は絶対に屈しません」「今後も総理の私が先頭に立ってドリルの刃となってあらゆる岩盤規制を打ち破っていく」と宣言したのだ。

 しかし、これらがまったくの嘘だというのは、内閣府の文科省に対する圧力文書や京都産業大学外しの経緯でとっくに明らかになっている。
その説明すらせずに、空疎なスローガンをいくら連発しても「これからも私物化していくんでヨロシク」という宣言にしか聞こえない。
 しかも、安倍首相はいつものパターンで、自分の責任を棚上げしたあとは、
「有効求人倍率はバブル期以上」
「長年、実現してこなかった返還不要の給付型奨学金制度を創設する法律も成立」などと成果のアピールに勤しんだ。

 しかし、有効求人倍率が高いのは人口減で求職者が減っているのと、非正規社員が増えているせい。
個人消費も実質賃金も上がっておらず、これで景気回復を謳うのはまったくのフェイクだ。
給付型奨学金もまた世界的に見れば当然の話で、安倍首相は会見で「どんなに貧しい家庭に育っても高校にも大学にも進学できるように」などと宣ったが、高校の授業料無償化制度を廃止した当人がよく言うよ、と突っ込まざるを得ない。

 おまけに、安倍首相はこの夏から「みんなにチャンス!構想会議」というワケのわからない有識者会議を立ち上げるとし、相も変わらず「改革者」虚像を自ら振りまいたのだ。
おそらく、かなりの数の国民が、「それって、また自分のお友だちにチャンスを与えるんだろ」と突っ込んだのではないか。

安倍首相を追及しなかったマスコミ
 質問者はあらかじめ決まっていた?
 しかも、きょうの会見でもうひとつ、怒りが湧き上がってきたのは、マスコミの姿勢だった。  実は、会見前は一縷の望みを抱いていた。
先日の菅義偉官房長官の会見のように、今回ばかりは記者が質問で安倍首相のインチキを徹底追及してくれるのではないか、と。
実際、加計学園問題のみならず、共謀罪法案を中間報告で押し通すという暴力的な国会運営など、いくらでも追及の材料はあった。
 だが、質疑応答でも、森友・加計学園問題や共謀罪について安倍首相は淡々とあらかじめ用意されたであろう回答を読み上げるだけ。
何度も食い下がるような質問はなく、東京都議選や自民党人事、内閣改造、日露関係といった「国民の疑問」とは遠くかけ離れたテーマばかり。
しかも、安倍首相は共謀罪の質問に対し、「一般の方が処罰の対象となることはない」と、国会議論とは食い違う大嘘まで吐いたのに、それを追及する声はひとつも出なかった。

 また、質問者も、幹事社である毎日新聞とTBS以外で、指名されたのはロイター、NHK、日本経済新聞、フジテレビのみ。
菅官房長官を追い詰めた東京新聞社会部の望月衣塑子記者も会見場にいたようだが、どうやらあらかじめ質問者は決まっていたのだろう。
 共謀罪法案をはじめロクに国会中継しないNHKはきょうの会見を生中継し、スタジオでは岩田明子記者が解説という名の擁護を垂れ流したが、それも全部シナリオ通り。
都合の悪い質問をあらかじめ排除する安倍首相は、批判的な記者を締め出すトランプ大統領と同じだが、日本が絶望的なのは、記者側がそれを受け入れ“共謀”していることだ。
 そういう意味では、今回の会見は何から何まで茶番だったといえるだろう。
向けられた疑惑の目に向かい合わないばかりか、「建設的議論ができなかったのは印象操作をする野党のせい」などと真っ赤な嘘で他人のせいにしつづける安倍首相。
それをきちんと追及することもできず、シナリオ通りにその言い分を垂れ流すマスコミ。

 各社世論調査の支持率低下、さらにほとんどの調査で不支持の理由のトップが「首相が信頼できない」だったことをみてもわかるように、国民はこの間の安倍政治と安倍首相の不正に対してこれまでになく不信感を強めている。
 しかし、こんなことを許していたら、いつのまにか、安倍政権はその狡猾な情報操作によって、支持率を復活させ、私物化と不正を繰り返すだろう。
そうならないためにも、マスコミは今度こそ安倍官邸に尻尾をふる体質を断ち切って、国民の側に立った報道をすべきではないのか。
   (編集部)
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2017年06月22日

英軍と対照的。陸自のヘリ調達はシロウト以下 --- 清谷 信一

英軍と対照的。
陸自のヘリ調達は
シロウト以下 --- 清谷 信一
6/21(水) 16:53配信 アゴラ

“自民 安保調査会 防衛費はGDP2%程度に NATOを参考(NHKニュース)(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170617/k10011020821000.html
自民党の安全保障調査会は日本の防衛費について、NATO=北大西洋条約機構がGDP=国内総生産の2%を目標としていることも参考に、厳しい安全保障環境を踏まえ、十分な規模を確保すべきだなどとする提言の案をまとめました。
まるで評論家
野党議員ならまだしも、与党議員のしかも「防衛の専門家」のセンセイ方の見識がこの程度ですから、アメリカ様に舐められて、属国扱いされて、あこれ不要で高価なオモチャを押しつけられるのも、むべなるかな、ですねえ。

防衛省、自衛隊のでたらめなカネの使い方の現状を全くみていない。
買い物依存症、ギャンブル依存症がひどい、経済観念が全く欠如して破産寸前のサラリーマンの給料を2倍すれば、まともな生活するかといえば違うでしょう。
より高い車買ったり、競馬に掛けるカネを2倍に増やすだけで、こどもの給食費とか、家賃に回すわけが無い。

ぼくの中学生の頃、社会科の教師で「北朝鮮は労働者の天国」とか真顔でいってたのが、おりましたが、ベクトルが違うだけで、センセイ方も同じ人種ではありませんか。

5月17日付けのジェーズ・ディフェンス・ウィークリー誌によると、英国防省は66機保有するWAH-64D(AH-64Dに相当)のうち、38機をAH-64Eにコンバートするとのこと。
FMSで、ボーイング社が担当します。
コストは488.1億ドル、邦貨にして約537億円、一機あたりの単価は14億円です。
この中にはクルートレーナー3、スペアパーツも含まれるので、実際の単価はもう少し安くなります。
ちなみに英国防省は95年にアパッチの採用を決定、96年に我が国とほぼ同じ67機のAH―64Dのライセンス生産を契約、約七年間で生産を終えています。
調達単価は約60億円であり、平均単価85億円、初度費ふくめた実際の調達単価が約100億円を超える陸自のAH―64Dよりも安いことになります。

ちなみに英軍のアパッチはエンジンをロールスロイスにするなど、かなり自社仕様にしているのに対して、陸自のアパッチはネットワーク化の根幹と位置づけられていながら、コスト削減のためか、NATOや海自の護衛艦や空自のAWACSなどで使用されている戦術データリング・システム、リンク16が搭載していません。

アパッチのキモでありセールスポイントであるネットワーク能力をダウングレードしてこのお値段です。
しかも杜撰な計画で、調達数は62機から13機に減らされて、富士重工(現スバル)から訴訟を起こされました。
この一件が原因で防衛省は初度費を払うようになったわけです。
そしてAH―1Sは、富士重工が1982年からライセンス生産し、2000年まで18年もかかって、89機が生産されました。
初期の2機は77年と78年に一機ずつ輸入されており、調達に約四半世紀を費やしたことになります。
陸自のアパッチは稼働率が低くて5.6機が飛べるに過ぎず、部隊としては戦う前から終わっています。
しかも今後の増数やE型へのアップグレードも発表されていません。

「本家」の米陸軍ではすでに84年から、AH―1の後継機であるAH―64アパッチの調達が始まり、97年には調達を終えています。
にもかかわらず、わが国では米国がはるか前に調達をやめた旧式攻撃ヘリを延々とライセンス生産で値段を高くして調達しました。
平均調達価格は約二五億円で、米国の約三倍、特に末期には調達数が減り、単価は48億円ほどまでに高騰しました。
まるで旧式の軽自動車に最新式のベンツの値段を払ってきたようなものです。
そのAH-1Sは旧式化が激しいわけです。

そもそもミサイルが命中するまで何分も空中で静止している必要があります。
打ち落としてくれといわんばかりです。
せめてミサイルやセンサーの近代化すればよかったのですが、馬鹿高いライセンス国産にしたせいかなされていません。
しかも速度が遅くてCH-47にすら随伴できません。
こんな機体を維持しているだけでもカネと人員の無駄です。
そして鳴り物入りで登場し、国産大好きな軍事マニアが世界最高レベルと評するOH-1は250機調達予定が、僅か34機で調達打ち切り。
しかも以前はブレードの不具合で長期飛行停止、現在もエンジンの不具合で長期飛行停止という不細工なありさまです。
こんな機体を世界最高とか自画自賛している人たちは、まるでお隣の半島と同じメンタリティーです。

陸自のヘリ調達はシロウト以下です
はっきり言って、あんたら馬鹿なの?無能なの? と言いたくなるのはぼくだけではないでしょう。
実際問題としてとして攻撃ヘリの更新は必要です。
ですが、これは攻撃ヘリだけではなく、偵察・観測ヘリも含めての話となるでしょう。
攻撃ヘリをそのまま更新する必要はありません。
攻撃ヘリの主たる任務はISRアセットとして上空からの監視や偵察、そして火力支援です。
かつてのような匍匐飛行で敵戦車の撃破ではありません。

我が国の場合、想定している主たる有事はゲリラ/コマンドウ対処、島嶼防衛です
そうであれば攻撃ヘリは一部にして、あとは汎用ヘリの武装化、この機体を偵察・観測ヘリと共用する。
あるいは攻撃ヘリは全廃してすべて、汎用ヘリの武装化ですませる。

何しろオスプレイなんぞという維持費が異様に高いオモチャを買ったので、陸自航空隊には予算がありません。
更に申せば無人機との併用や固定翼の軽攻撃機の併用も考慮すべきです。

昨今のスーパーツカノなどの軽攻撃機はジェット戦闘機なみの火器管制装置を有しており、ヘリよりも長時間現場上空に滞空できる、しかもコックピットは装甲を施し、対空ミサイル警戒機やエジェクションシートなども備えております。
ISRや火力支援にはヘリよりも有利でしょう。
しかも田舎の飛行場でも運用が可能です。
エアトラクター AT-802Uならば不整地でも運用可能です。
しかもアパッチ1機のお値段で一個飛行体を揃えられます。

自衛隊が言う「我が国固有の環境」を鑑みれば軽攻撃機の導入は真剣に考慮すべきです。
攻撃ヘリにしてもAH-64Dを売り払って別な機体を買うことも考慮すべきです。
例えば米国国防省やボーイングに売り、彼らがそれをE型にアップグレードして売れば商売になります。
例えば米海兵隊の使用しているAH-1Zという選択もあり得るでしょう。
新しく建造する揚陸艦に搭載するなら、ばいい選択です。
塩害対策もしており、狭い艦内のハンガーでも整備が容易です。
揚陸艦に搭載しての長期の作戦や反復攻撃にも向いています。
しかも米海兵隊と相互運用性が確保できます
島嶼防衛を考えるならばあり、でしょう。

アパッチを売り払って、AH-1Zを2個飛行隊分、5年ぐらい調達する。
無論全機輸入です。
長期の運用コストを考えてもアパッチよりはお得でしょう。
間違ってもライセンス国産などさせてはいけません。
これと武装ヘリ、UAV、固定翼の軽攻撃機のポートフォリオを検討しては如何でしょうか。

更に申せば、米軍と同じ機銃に10倍払って(しかも不良品だったわけですが)調達することに何の疑問も感じないのが防衛省、自衛隊の金銭感覚です。
しかも政治的に押しつけられたといはいえ、オスプレイやグローバルホーク、AAV7は役に立つかどうか怪しいうえに、維持費が馬鹿高いので、既存の装備やその維持費、さらに他の予算を喰うことになります。
当然ながらサイバーだのネットワークだのの予算にもカネが回らなくなる。
かといって、既存の部隊を減らすとか、3自衛隊の予算配分を変えるとか、そういう改革をする当事者能力も無い。
また衛生は実戦に耐えられない、お医者さんごっこレベルで、医官の部隊充足率は2割を切っていますが、こういうところに予算はましません。

それよりも新型「火の出るオモチャ」を欲しがります。
それで防衛費2倍にすれば枕を高くして眠れるというのですから、社民党や共産党よりもお花畑なんじゃないでしょうかね。
そのような人たちが我が国の防衛政策を決定しているかと思うと背筋が寒くなります。
自衛隊を強くするならば、まずは野放図で、実戦を想定していないカネの使い方を正すべきです。

編集部より:この記事は、
軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年6月19日の記事を転載させていただきました。
オリジナル原稿をお読みになりたい方は、
清谷信一公式ブログ
「清谷防衛経済研究所」(http://kiyotani.at.webry.info/)をご覧ください。
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安倍首相も激怒 加計火消し失敗の菅官房長官に「更迭」説

安倍首相も激怒
加計火消し失敗の
菅官房長官に「更迭」説
2017年6月22日 日刊ゲンダイ

 いよいよ「官邸崩壊」か――。
菅義偉官房長官の更迭説が流れている。
安倍1強の象徴だった首相官邸が一気にガタつきはじめている。

「総理のご意向」と書かれた加計文書を「怪文書だ」と強弁し、さらに前川喜平前文科事務次官を個人攻撃し、加計問題に火をつけた菅官房長官。
「あいつがA級戦犯だ」と自民党内から批判が噴出している。

 最新号の「週刊朝日」によると、自民党本部で開かれた副幹事長会議では「都議選に大敗したら、次の内閣改造で菅さんは交代すべきではないか」と公然と菅批判が飛び出したという。
加計問題の張本人である安倍首相を批判できないため、菅長官に向かっているということもあるのだろうが、コワモテで睨みを利かせていた菅長官に対してここまで批判が噴出するのは初めてのことだ。

 安倍首相も、加計問題の対応に失敗した菅長官に声を荒らげたと報じられている。
現時点では「夏の改造」でも、留任させる方針だが、都議選に敗北したら更迭するつもりらしい。
「これまで安倍首相は、歴代最長となる1500日以上、官房長官として政権を支えてきた菅さんに全幅の信頼を置いてきた。
でも、加計問題をキッカケに微妙な距離が生まれています。
都議選でも小池知事を必要以上に批判する菅さんに頭を抱えている。
それでなくても安倍首相は、菅さんが具申する時、『総理、A案、B案、C案ありますが、私はA案がいいと思います』と、A案を選ばざるを得なくなるやり方をすることに苛立ちを強めているといいます。

菅さんは完全にヒールのイメージがついた。
都議選に大敗したら更迭しておかしくありません」(自民党事情通)
 もともと、菅長官は麻生太郎副総理や下村博文幹事長代行など敵が多いだけに、政権内の“菅包囲網”も強まっている。
「菅さんが官房長官を更迭された場合、後任として下村博文、加藤勝信、さらに甘利明氏らの名前まで挙がっています。
でも、誰がなっても政権が弱体化するのは間違いありません」(政界関係者)
 都議選に負けたら、安倍政権は一気に政権末期の様相を強めていくはずだ。
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2017年06月23日

「平和の詩」に上原愛音さん(宮古高校3年) 全戦没者追悼式で朗読

「平和の詩」に
上原愛音さん(宮古高校3年)
 全戦没者追悼式で朗読
2017年(平成29年) 6月22日 沖縄タイムス

 沖縄県平和祈念資料館(原田直美館長)は9日、第27回「児童・生徒の平和メッセージ」の入賞作品を発表した。
23日の沖縄戦全戦没者追悼式で朗読される「平和の詩」には、高校生の部詩部門で最優秀賞に輝いた宮古高校3年生、上原愛音(ねね)さんの「誓い〜私達のおばあに寄せて」が選ばれた。

追悼式は糸満市の県平和祈念公園内で営まれる。
 同資料館の担当者によると、上原さんは小さい頃から周囲のおじいさんやおばあさんから聞いた話や、学校での平和教育などで学んだ「戦争は悲惨なんだ」との思いを発信しようと、作品に込めたという。
 また、県内5カ所とハワイで開催する展示会の告知ポスターには、高校生の部図画部門で最優秀賞の知念高校1年生の久手堅彰哉君が描いた「再生の大地」が選ばれた。
悲惨な戦争から立ち直り、繁栄と清らかな世界になるようにと願う気持ちを込めた。
 図画・作文・詩の3部門に127校から計3067点の応募があった。
優秀作品などは23日から同資料館を皮切りに、計6会場で開催される巡回展で展示する。

誓い〜私達のおばあに寄せて
 宮古高校3年 上原愛音

今日も朝が来た。
母の呼び声と、目玉焼きのいい香り。
いつも通りの 平和な朝が来た。
七十二年前 恐ろしいあの影が忍びよるその瞬間まで
おばあもこうして 朝を迎えたのだろうか。
おじいもこうして 食卓についたのだろうか。
爆音とともに この大空が淀んだあの日。
おばあは 昨日まで隠れんぼをしていた
ウージの中を 友と歩いた砂利道を
裸足のまま走った。
三線の音色を乗せていた島風に
鉄の臭いが混じったあの日。
おじいはその風に 仲間の叫びを聞いた。
昨日まで温かかったはずの冷たい手を握り
生きたいと泣く 赤子の声を抑えつけたあの日。
そんなあの日の記憶が
熱い血潮の中に今も確かにある。
決して薄れさせてはいけない記憶が
私の中に 私達の中に 確かに刻まれている。
少女だったおばあの 瞳いっぱいにたまった涙を
まだ幼かったおじいの 両手いっぱいに握りしめた
あの悔しさを 私達は確かに知っている。
広がりゆく豊穣の土に芽吹きが戻り
母なる海がまた エメラルドグリーンに輝いて
古くから愛された 唄や踊りが息を吹き返した今日。
でも 勇ましいパーランク―と 心臓の拍動の中に
脈々と流れ続ける 確かな事実。
今日も一日が過ぎゆく。
あの日と同じ刻ときが過ぎゆく
フェンスを飛びこえて 締め殺されゆく大海を泳いで
癒えることのない この島の痛み 忘れてはならない
民の祈り
今日響きわたる 神聖なサイレンの音に
「どうか穏やかな日々を」
先人達の願いが重なって聞こえる。
おばあ、大丈夫だよ。
今日、私達も祈っている。
尊い命のバトンを受けて 今 祈っている。
おじい、大丈夫だよ。
この島にはまた 笑顔が咲き誇っている。
私達は 貴方達の想いを
指先にまで流れるあの日の記憶を
いつまでも 紡ぎ続けることができる。
誓おう。
私達はこの澄んだ空を 二度と黒く染めたりしない。
誓おう。
私達はこの美しい大地を 二度と切り裂きはしない。
ここに誓おう。
私は、私達は、 この国は この世界は きっと
愛しい人を守り抜くことができる。
この地から私達は 平和の使者になることができる。
六月二十三日。
銀の甘蔗(かんしょ)が清らかに揺れる今日。
おばあ達が見守る空の下 私達は誓う。
私達は今日を生かされている。
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2017年06月24日

沖縄は今も戦場なのか 不条理歌う「オスプレーの道」

沖縄は今も戦場なのか 
不条理歌う「オスプレーの道」
2017年6月23日 東京新聞朝刊

◆伊江島出身の男性 
72年前と重なる「頭上の恐怖」
 二十三日は沖縄慰霊の日。
七十二年前のきょう、沖縄戦で組織的な戦闘が終結した。
ところが今も、三線(さんしん)の音にのる歌詞は「住み馴(なれ)し我島(わしま) 戦場(いくさば)どやるい(戦場なのか)」。

沖縄県宜野湾(ぎのわん)市上大謝名(うえおおじゃな)地区の老人会長、山城賢栄(やましろけんえい)さん(78)が最近あえて自作した地域の歌「オスプレーの道」だ。
米軍の新型輸送機オスプレイが頭上を通る。
「それが現実だから」(辻渕智之)
「うてぃらんかや(落ちはしないか)」。

オスプレイの「灰色の巨大な腹」が迫るたび、そんな会話や睡眠を騒音が妨げ、民家の防音窓は震える。
地区は米軍普天間(ふてんま)飛行場の滑走路の延長線上すぐにある。
 「上大謝名ぬ部落(しま)や オスプレーぬ道でむぬ(上大謝名の地域はオスプレイの道だよ)」。
歌は二年前、地区公民館の完成式での余興用に作った。

 「騒音はある程度慣れる。でも恐怖には慣れない」。
式に出る防衛省の職員や国会議員に伝えたかった。
だが一部の住民が歌詞に難色を示し、完成式で歌うことは断念した。
最近は地区の催しで仲間と披露している。

 オスプレイは昨年十二月、同県名護市沖で不時着、大破した。
安全性が懸念される中、今月六日夜には県北部の離島・伊江島(いえじま)に緊急着陸した。
その伊江島は山城さんの生まれ故郷だ。
 伊江島は沖縄戦の際、旧日本軍が急造した「東洋一」と呼ばれる飛行場があり、米軍が上陸。地上戦は悲惨を極め、島民の四割約千五百人が死亡した。
知人の少女らが爆弾を背負って戦車に体当たり。軍属の父、少年兵となった兄も命を落とした。当時六歳の山城さんは沖縄本島に疎開。
頭上の敵機が機銃掃射を浴びせ、「夜に森の中を逃げ回り、狭い壕(ごう)でおびえた」。  

今、伊江島は面積の35%を米軍用地が占め、オスプレイが訓練で頻繁に飛来する。
「米軍は伊江島の飛行場を重要視して、伊江島を狙った。
だから今、北朝鮮あたりが沖縄を狙ってミサイル撃たんかや(撃ってこないか)、と」

 故郷の島は「沖縄戦の縮図」といわれる犠牲を払った。
今の住まいは、「世界一危険」な普天間飛行場のそばだ。
戦争でたたきのめされ、基地に苦しめられ続ける。あまりにも理不尽だ
 一方で、オスプレイは横田(東京都)、厚木(神奈川県)の両米軍基地をはじめ、沖縄から首都圏への飛来も増えた。
「オスプレイの道」は全国に広がっている。
反対しても住宅密集地の上を飛ぶ。
ばかにされてるのかね」
 二十三日は沖縄県南部の平和祈念公園に「平和の礎(いしじ)」を娘や孫と訪れる。
亡き父と兄の名が刻まれている。
「オスプレーん飛(とば)ん 平穏御願(しじかうにげ) オスプレーん飛ん 平和御願」。
自作の歌詞どおりに願う。
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2017年06月25日

「2分の1成人式」で感謝の手紙を読まれたら、私は親として嬉しがるのだろうか

「2分の1成人式」で
感謝の手紙を読まれたら、
私は親として
嬉しがるのだろうか
2017.06.24 messy (中崎亜衣)

「2分の1成人式」という小学校行事がある。
「10歳」の節目をお祝いして、4年生の3学期にやることが多いらしい。
文部科学省の学習指導要領では特に定められておらず、だから2分の1成人式をやる・やらないは各校の裁量で決められ、その内容も各校で異なる。
行事内容として代表的なのは、2分の1成人式証書授与、合唱、作文(将来の夢、10歳の決意など)、未来の自分への手紙、生い立ちの振り返り(小さい頃の写真、誕生時の様子、名前の由来など、年表作ったり)、子どもから親への(感謝の)手紙、親から子どもへの手紙……といったものだ。
そして、近年は「やる」学校が増えてきているという。

問題は、2分の1成人式で何をやるか、だ。
2分の1成人式が盛んになると同時に、その在り方によっては児童や保護者に本来与えるべきでない負担や苦痛を与えかねないとして疑問視する声が強まっている。
証書授与や合唱は、他の行事でもやっていることで、将来の夢や10歳の決意を書いて発表するのも「本音を言わなければ怒られるワケではない」と気付きさえすればスルーできるだろう。
ただやはり、生い立ちの振り返りや、親への手紙、子どもへの手紙といった保護者の協力・参加が前提のセレモニーを盛り込むことの是非は、各校の慎重な審議が必要だ。

その理由は主に、
(1)児童の家庭環境を配慮していない 
(2)プライバシー侵害となりかねない 
(3)「親に感謝する」という価値観を強制している

 といったもので、結果的に児童や保護者に苦痛を与えかねないからである。

この行事は、温かな家庭で両親に愛されて育くまれた子供たちが、親への感謝とささやかな自立心を抱くためのイベントだと思う。
それはとっても幸福なことだろう。
感激して涙を流す親たちもいるそうで、教員も胸がいっぱいになるという。
しかし子供が安らぎや温かさを感じられない家庭、虐待家庭、まだ馴染んでいないステップファミリー、祖父母や親戚、里親が養育している家庭、児童養護施設の子供などなど、“例外”の児童たちが複雑な感情を抱く機会になるだろうことは、想像に難くない。
ただ、逆にまだ学校側には見えていなかったが現在進行形で何かしらの家庭内トラブルを抱えている子(クラスに1人もいないとは考えにくい)がSOSを発する機会として利用することが出来れば、メリット0とも言えないが……それも学校側、教員側にそれを受け止める土壌があれば、だ。

プライバシー保護の観点で言えば、私が小学生だった頃、転入生が自ら公表するより先に、担任教師が“うっかり”、その子が両親の離婚によって転校してきたことを暴露してしまうということがあった。
父の日、先生はクラス全員に緑色の模造紙を配り、父親への感謝の手紙を書くことを指示した。そのとき先生は、大声ではなかったけど、クラス全員に届く程度の大きさの声で「あ、○○さんは、お母さんに書けばいいから」と、転入してきて間もないクラスメイトに言った。
瞬間、その子は父親と暮らしてない、転校してきた理由もそれ(親の離婚に伴う引っ越し)なのかな、と察したけれど、それって先生が勝手に暴露していいことなのか疑問に思った。
その子がどんな表情をしていたのかは見えなかったし、その時どう思ったのかはわからない。
何とも思っていなかったかもしれない。
先生に悪気はなかったのかもしれない。
けど、自分がみんなの前でこんなふうに、家族の情報を何か言われたら絶対イヤだと私は思い、その先生に嫌悪感や警戒心を抱き、修了式まで信頼できなかった。
あくまでも、私がそう感じたということに過ぎず、ほかのみんながどう感じていたのかは、わからないが。
でも家族や生い立ちのエピソードは、みんなの前で発表して共有するようなことなんだろうか。秘密にしておきたい子や親だっているんじゃないか。
今もそう思う。

親に感謝できなくてもいい

そしてこの行事で一番止めて欲しいのは、「親への感謝」を強制することだ。
親への手紙は、2分の1成人式で定番なのだが、手紙の趣旨は「親への感謝」が前提となっており、学校でこれを書かせるということは、親への感謝を強制していることになる
それはつまり児童に対して「親には感謝すべき」という価値観を植え付けているともいえる。
学校によっては、児童の書いた手紙を教員がチェック・添削の上で清書するというナンセンスな行為がなされ、「感謝の気持ちが足りない」と指導が入ることさえあるというから異常ではないか。
親への手紙は、複雑な家庭の子に対する配慮が足りない、虐待のSOSを見逃すのでは、という懸念もある。
それももっともだ。

ただ、いかなる家庭で育っていようが、親や家族に感謝するもしないもその子の自由だと私は考える。
たとえ10歳の子どもであっても、親や家族にいかなる気持ちを抱くか(内心の自由)は本人次第で、学校が「感謝すべき(それがあるべき姿)」と、さも正しい答えであるかのように提示するのはおかしい。
その子が自分で考えたり悩んだりすればいいし、10歳の時は感謝して親孝行を決意していても2年後には親を軽蔑していることだって、あるだろう。
親は聖人ではないのだし。

ベネッセの調査によると2分の1成人式で感動した!という親は大勢いるらしく、インスタグラムで子どもに貰った手紙を投稿している親も多い。
我が子の学校で実施されている行事に出向き、感動するのだってその人(子どもの親だから、ではなく、その人個人という意味)の自由だ。
けれど、そもそも学校や学校行事は保護者を感動させるためにあるわけじゃないし、子どもは親を感動させるために生きているわけでもないのだ。

「親への感謝」は、大人になっても強制されることがある。
新入社員に「親への感謝の手紙」を書かせ、歓迎会の際にみんなの前で読み上げ、後日総務の人が親元に郵送する……という新人研修をおこなっている企業もあるという。
元来、仕事とは“個人の問題”であり、仕事と親とは無関係、にもかかわらずだ。
社員が親孝行を意識することで仕事意欲にもつながる……という考えに基づいてのことで、管理職や上司が新入社員に対して「お前、親に感謝してるか?」と尋ねるケースもあるらしく、実際にそれが意欲向上につながった社員もいるのかもしれないが、逆に親の過保護・過干渉から離れたかったり、虐待を受けた過去があったり、そういう“例外”の社員にとっては迷惑な質問だし、上司の想像力の欠如を残念に感じるかもしれない。
子どもの給料にたかってくる親だって現実にはいるのだ。
(例外の社員がいないことを確認してからおこなう企業もあるのかもしれないが)

 やっと親とは関係なしに自分の実力を試せる!と決意して入社してくる社員の意欲を奪うことにはならないのか?
 厚労省だって、採用面接で家族に関する質問はNGとしている。
学校同様、会社でだって「親への感謝」は強制するのは、けっこう危険であろう。
そういう私にも2歳の娘がいる。
彼女もゆくゆくは2分の1成人式という行事に遭遇し、「親への感謝の手紙」を読むことになるかもしれない。
正直、現在の娘を見ていても、彼女が10歳の頃どんな子になっているのか、まったく予想ができないし、その頃私がどんな親になっているのかも、これまたまったく予想ができない。

その上で考えてみた。
私自身は小学生の頃に2分の1成人式を経験しておらず、他の学校行事でも親へ手紙を読むことはなかったのだが、そもそも親子参加系の学校行事に生理的嫌悪感を抱く小学生だったので(親を人に見られるのがたまらなくイヤ! だと思っていた)、もし“2分の1成人式で親への手紙を読む”なんて機会があったとしたら非常に憂鬱だっただろうし、手紙には当たり障りのない“書かされている感アリアリ”のことしか書かなかったに違いない。

少なくとも今現在の私は、かつて嫌いな行事(授業参観とか)にイヤイヤ参加したことが自分自身の成長につながっている気はまるでしていない(1ミリもない)。
もちろん私と娘は別人なので、娘が私のような考えの10歳児になるとは言えないが、たとえば、私と娘の関係がそのとき良好なものと言えない状態で、娘が学校で「親への感謝の手紙」を書くことになって、親に感謝すべきという指導が入ったら、娘が「親に感謝できない自分はダメなんだ」とか「感謝できるような親を持っていない自分は不幸」と思ってしまわないとは限らない。

それにしても10歳にもなった娘から、『ママありがとう♡♡♡』な手紙を読まれても白々しいというか、自分はいささか懐疑的に受け止めてしまいそうな予感がしているが。
学校の指導とは関係なく娘の本心=感謝であるならばそれはそれで嬉しいのかもしれないが、強制で書かされても複雑な心境だ。
親に子が自然と感謝や尊敬の念を抱く親子関係が望ましいとしても、それはあくまでも「望ましいもの」だから、みんなが到達する境地ではない。
ともすれば、2分の1成人式は親として子どもから感謝や尊敬される人格者になるべく気を引き締めろ、という親へのプレッシャーとしても機能するのかもしれない。
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2017年06月26日

安倍政権が疑惑隠しで北ミサイル危機扇動のCM放送! 茂木健一郎や平野啓一郎らも一斉批判

安倍政権が疑惑隠しで
北ミサイル危機扇動のCM放送!
茂木健一郎や
平野啓一郎らも一斉批判
2017.06.24 LITERA編集部

「政府から、お知らせします。
弾道ミサイルが、日本に落下する可能性がある場合──」

 どうかしているとしか思えないCMが23日からテレビで放送され始めた、政府による「北朝鮮ミサイル危機」を煽るCMのことだ。
報道によれば、このCMは7月6日までの2週間、在京民放5局で垂れ流される。
東京都議会選挙の選挙期間と丸かぶりだが、さらに、23日から25日にかけて全国70の新聞、26日から7月9日にかけてはインターネットの大手検索サイト(Yahoo!と思われる)にも広告を出す予定だという。

 しかし、その内容はツッコミどころ満載だ。
CMは、冒頭の文言のテロップが映し出された後、「屋外スピーカーなどから国民保護サイレンと緊急情報が流れます」
「屋外では頑丈な建物や地下に避難を」
「近くに建物がなければ、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」というアナウンスがイラスト付きで流れるというものだ。

 一体何を言っているのか。
実際にミサイルが飛んできたら、そんなもので、安全が守れるはずはないのは小学生でもわかるだろう。
ようは、国民への避難方法啓発のふりをしているが、ひたすらミサイル危機を煽っているだけなのだ。
 この安倍政権のなりふり構わない“危機感演出作戦”には方々から疑義の声があがっている。  たとえば、
作家の平野啓一郎はツイッターで〈政権の支持率対策のためにここまでやる異様さ。本気なら、原発にミサイルが落ちた時、どうすべきかのCMも作るべき〉と述べた。
また、脳科学者の茂木健一郎は読売新聞の報道に加える形で〈虚構新聞みたいだ。そんなことよりも、ミサイルが飛んでこないような外交努力をすることこそが政府の責務だと思う〉とツイートしている。

 実際、このCMは明らかに、安倍政権に浮上した疑惑から国民の目をそらし、政権や自民党の支持率アップを狙ったものだ。
 このCMは1〜2カ月前に企画され、突貫工事で作成されたと言われているが、その時期、安倍政権はほかにも、北朝鮮によるミサイル発射実験に乗じ、散々“米朝戦争勃発”を煽り立てていた。
4月21日には内閣官房の「国民保護ポータルサイト」で「弾道ミサイル落下時の行動について」と題したPDFを公開、同月24日には首相官邸のメールマガジンで「身を守るためにとるべき行動」を確認するよう発信するなどしている。

 また安倍首相自身も国会で「北朝鮮はサリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と言い触らすなど、率先して「北朝鮮危機」の演出に励んでいた。
 ところが、一方で、安倍首相は北朝鮮で故・金日成主席生誕105年記念日の軍事パレードが行われた同日に恒例の「桜を見る会」を開催。
その後も友人たちと会食したり、昭恵夫人を伴って外遊に出かけたりしていた。
 つまり、安倍政権はミサイル危機などないにもかかわらず、追及を受けていた森友学園問題から目をそらすために、この危機をひたすら扇動していただけだったのだ。

今回のテレビCMもまったく同じで、その時期に企画したものを都議選にぶつけてきたということだろう。
 まさに、卑劣としか言いようのない情報操作だが、さらに問題なのは、今回のCMと広告にあたって、政府が実に4億近い税金を投入したということだ。
 これは、新聞やテレビに金をばらまくことで、メディアが黙らせる効果がある。
実際、このCMや広告については、マスコミから批判の声が出てこないばかりか、まるでCMのPRのような報道までが流れている。
 最近は、テレビでも安倍政権への批判や不正追及が行われるようになったが、もちろん、この“CMを使った買収”によって、また“忖度”が働くようになってしまう可能性もある。

 かのヒトラーは「大多数の人間は小さな嘘よりも大きな嘘にたやすくだまされる」と語ったとも言われている。
そうならないためにも、わたしたちは安倍政権の卑劣なプロパガンダとメディア戦略を徹底糾弾していく必要がある。
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雨の日の体の不調 「梅雨疲労」解消は5つのリセット法で

雨の日の体の不調
「梅雨疲労」解消は
5つのリセット法で
2017年6月25日 日刊ゲンダイ

 九州から関東、北陸にかけては梅雨本番。
雨の日が続くと、何となく憂鬱だ。
なぜか。
「雨をもたらす低気圧のせいです。
体への圧力がいつもより低下して、血管やリンパ管が膨張。
血液やリンパが滞るため、むくみやすい。
暑いのに何となく冷えるのもそのためです」
 こう言うのは、ストレスケア・カウンセラーで「あなたの人生を変える雨の日の過ごし方」(文響社)の著者、美野田啓二氏だ。

低気圧だと、自律神経が副交感神経優位になりやすいとも言う。
「そうすると、体が休息モードになるため、仕事などで頑張りたいのに、体が動かしにくく、ダルくなるのです」
 だから体を休めたくなるのだが、そうもいかない。
社内を見渡すと、デキる人は“雨鬱”を感じていないのか、テキパキ動いていたりする。
ダルい気分を解消して、梅雨疲労をリセットする方法はないか。
美野田氏に聞いた。

■朝はベッドで手足ブルブル
 梅雨疲労で気分が重い時は、無理に起きる前にやることがある。
「あおむけの状態で手足を天井に向けて上げ、ブルブル揺らすといい。
交感神経が刺激されて目覚めが良くなるほか、血液やリンパの流れが改善。
むくみや冷え性にも効果的です」

■喉が渇いたらエスプレッソW 
「雨の日に感じやすい頭痛は、低気圧によって頭の血管が膨張するのが原因です。
そんな時は血管を収縮させる作用の高いカフェインを多めに取ること。
目安は1日300ミリグラム。
エスプレッソコーヒー約2杯分です」
 玉露でもいい。
カフェイン含有量は1杯で180ミリグラムだ。

■耳栓&アイマスクで昼寝する 
 疲れがたまると、視野が自然と狭くなる。
「目から入る情報を制限し、脳を刺激から守ろうとするのです。
突発性難聴の原因の一つに、ストレスになる音を遮断し、脳を守ろうとするためという説もあります。
雨の日は、ストレス源となる情報コントロールが鈍りがちなので、耳栓やアイマスクで情報をシャットアウト。
脳と自律神経が休まります」
 昼休みに耳栓とアイマスクで昼寝すれば、午後はスッキリ仕事できる。

■外回りは大股歩きか階段1段飛ばし
 自律神経のバランスを副交感神経優位から交感神経優位に切り替えるには、歩き方の工夫を。

「身長の半分くらいの歩幅で大股に歩くのです。
お尻の大臀筋や太ももの大腿四頭筋、裏もものハムストリングス、ふくらはぎの下腿三頭筋が連動して動くため、大臀筋からさらに腹部や背中の筋肉なども刺激されます。
それらの筋肉は、体を支えるのに必要な抗重力筋で、筋肉の刺激が脊髄から脳に伝わることで、交感神経優位になって頭がシャキッとするのです」
 雨の中はちょっとという人は、階段を1段飛ばしで上るのもいい。

■晩酌のツマミはバンバンジー
 鶏や豚の肉、カツオやマグロなどの赤身には疲労軽減物質イミダペプチドが多く含まれている。
「特に多いのが鶏のムネ肉。100グラム当たり1223ミリグラムと、2位の豚ロース肉(928ミリグラム)の1・5倍ほど。
安くてカロリーが低いのでお勧めです。
1日だけではダメなので、少なくとも1日100グラムを2週間食べ続けることです」
 晩酌のツマミはバンバンジーで決まりだ。
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2017年06月27日

ミスター共産党が見た安倍政権 「歴代自民政治をも否定」

ミスター共産党が見た
安倍政権
「歴代自民政治をも否定」
2017年6月26日 日刊ゲンダイ

 安倍政権ほど国会審議を軽視し、議会制民主主義を冒涜した歴代政権はないだろう。
森友、加計問題をめぐる数々の疑惑には一切答えず、国民の多くが反対の声を上げていた「共謀罪法案」に至っては、委員会審議を途中で打ち切って本会議で採決(中間報告)という「禁じ手」で強行成立させてしまった。
傲慢な独裁政権の姿は、国政に半世紀近くにわたって関わってきた「ミスター共産党」こと、日本共産党中央委員会・常任幹部会委員の不破哲三氏の目にどう映っているのか。(インタビューは16日の共謀罪成立前)

――今の安倍政権をどう捉えていますか。

 自民党は結党来、財界密着、対米従属を基本路線としてきたわけですが、
安倍政治というのは、これに戦前回帰というウルトラ右翼の思想が加わった。
これが最大の特徴だと思います。

――歴代政権と比べて戦前回帰の志向が強い政権ということですか。

 例えば、先の大戦について、日本の侵略戦争を認めず、「後世の歴史家の判断に任せる」と逃げていた田中角栄元首相でさえ、さすがに戦前を美化することはありませんでした。
拓殖大学総長時代の中曽根康弘さんは、戦前回帰を肯定する言動が目立っていましたが、総理大臣就任後は「日本は外国から侵略戦争という強い批判を受けていることを心に留める必要がある」と答えるにとどめていました。
自民党総裁といえども、首相となれば皆、国内外情勢を鑑みて踏み込んだ発言を避けてきたわけです。
ところが、安倍政権は違う。
閣僚が侵略戦争を美化する発言をしたり、教育勅語を肯定する答弁書を閣議決定したり。
世界が警戒することを平気でする。
安倍政治というのは歴代自民党政治をすら否定しているのです。

――安倍政権の傲慢さが目立つ理由として
「1強多弱」の政治情勢が指摘されています。


 安倍首相は選挙で大勝した――と言っていますが、実はそうではない。
自民党の得票率は60年代末から90年代初めまで、40%台を割ったことはありませんでした。
私が初当選した69年12月の自民党の得票率は47・6%で、共産党が39議席を得て「躍進」といわれた72年12月も46・9%。
しかし、今の自民党は291の議席を獲得した14年12月の総選挙でも、比例得票率は33%。
一方の野党4党は計34%で、本当は野党が上回っていたのです。
つまり、今の自民党勢力というのは「架空の多数」にすぎないのです

――小選挙区制がつくりだした「架空の多数」で好き勝手やっている。

 やりたい放題のために、それに加えて特定秘密保護法と内閣人事局という“仕掛け”をつくりました。
特定秘密保護法については、国民の多くが「特定秘密というのだから、よほどの極秘事項」と思っていたでしょう。
しかし、施行後、国に情報公開請求すると、開示される資料は「黒塗り弁当」ばかりになりました。
文書の見出しも真っ黒で、何も分かりません。
そして、各省庁幹部の人事権を握る内閣人事局によって絶対服従体制を敷いた。
これでは、外部から政権チェックするのは容易ではなく、それをいいことに目に余ることを毎日のようにやっている。
国家の私物化、政治の私物化をしているといっていい。

安倍首相の加憲案は日本会議の提案
――国家戦略特区諮問会議(議長・安倍首相)をめぐる加計学園問題でも「私物化」の批判が噴出しました。

 国益を真剣に考え、本当に悪い岩盤規制であれば、突破しなければならないケースはあり得るでしょう。
しかし、それでも総理関係者が関与しないように最大限の注意を払うのは当たり前。
たまたま「腹心の友」が事業選定者に決まったけれど、俺は知らない――というのは政治の世界では通用しません。
森友、加計問題は安倍首相の政治の私物化が露骨に表れた例ですが、憲法改正をめぐる新聞発表も私物化の例といっていいでしょう。

――5月3日の読売新聞で公表した9条をめぐる改憲宣言ですね。

 あの中身はよくよく調べると、日本会議の関係者が昨秋の機関誌(「明日への選択」)で提唱した内容です。
例えば、日本会議の政策委員で、第1次安倍政権から安倍首相のブレーンを務める伊藤哲夫・日本政策研究センター代表は16年9月号で〈憲法第九条に三項を加え、『但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない』といった規定を入れること〉と加憲方式への戦略転換を提案し、続いて、同じ研究センターの小坂実研究部長は11月号で、この方式で憲法9条を「空文化させるべき」だと主張しました。
安倍首相の「加憲」案は、日本会議派のこの提案をそのまま取り入れたもので、しかもその提案を5月3日の日本会議派の集会に、その提案通りに「やります」と報告した。
それも党に一切相談することなく、「党と政府の方針」とした。
これは公党と国政の完全な私物化です。

――安倍政権では閣僚の劣化も目立ちます。
特に共謀罪法案をめぐる金田法相の国会答弁は酷いものでした。

 安倍政権の閣僚の顔ぶれは、国政をうまくかじ取りしようと考えられた人事とは思えません。共謀罪法案についても、本気で成立させたいのであれば、少しでも法律に明るい人を法相に据えるのが当然です。
しかし、ほとんど法案の中身を理解していない人を大臣に任命した。
おそらく30時間という審議時間が過ぎれば、数の力で押し切れるという発想が背景にあったのでしょうが、政治感覚を疑います。

――共謀罪法案では、国連人権理事会の特別報告者も懸念を示していました。

 共謀罪は国民の人権、プライバシー権に対する安全装置が何もなく、政府の監視機能、警察機能を強化するだけだという警告。
特別報告者の報告書は現地調査を踏まえた、非常によくまとまった内容です。
国際社会からみて、今の日本が極めて危険な国になっていると判断したため、緊急の質問状を日本政府に出したのです。
ところが、日本政府は報告書を否定した上、特別報告者も非難した。
これは日本の民主主義に違反しているだけではなく、国際社会のルールを踏みにじる行為です。

■対北朝鮮では外交努力を尽くすべき
――国際社会における日本という視点では、北朝鮮に対する強硬姿勢も最近、際立っています。  

北朝鮮のミサイル発射問題をめぐり、武力衝突が起きないよう国連の閣僚級会合で「対話」の道が模索されていた中、「核ミサイル計画を止めない限り、対話はあり得ない」と言っていたのは日本の岸田外相だけ。
安倍政権の外交姿勢というのは軍事的対抗措置を強めることしか頭にない。
世界で最も軍事的脅威をあおっているのです。

――これまでの日本政府の対応とかなり違う。

 98年1月、北朝鮮と日本の間で「軍事的対応の悪循環」ともいうべき危険な事態が拡大したことがありました。
その時、私は国会で「交渉ルートを持たないまま対立関係だけが先行するのは危険だ」として、正式の対話と交渉のルートを確立する努力の重要性を訴えました。
それが契機になって、村山富市さん(元首相)を団長にして政党代表団〈村山訪朝団〉をつくり、共産党も参加して初めて北朝鮮との交渉に道を開きました。
双方の疑心暗鬼が深まれば、実験が演習となり、やがて戦争に至る。
そうならないように外交努力を尽くすべきです。
ところが安倍政治は、危機をあおることが政権の存在感を示し、右翼路線を国民に浸透させる手段だと信じ切っているのです。

■戦後史上、初の野党共闘は今後も力になる
――安倍政権の暴走を止めるには、やはり野党共闘が必要ですね。

 昨夏の参院選で実現した野党共闘は、日本の戦後史上、初めてです。
それも、市民の声が政党を突き動かした。
これはすごい財産です。
「安倍1強」という異常な政治体制が、戦前回帰のウルトラ右翼を生み出す一方で、市民と野党の結集を促した。
この動きは今後も大きな力になるのは間違いありません。
(聞き手=本紙・遠山嘉之)

▽ふわ・てつぞう 
1930年、東京生まれ。87歳。東大物理学科卒。
47年に日本共産党に入党し、53年に鉄鋼労連書記局勤務、64年以後、党本部勤務。
70年、党書記局長になり、党幹部委員長、中央委員会議長を歴任。
69年の総選挙で東京6区で初当選、2003年の議員引退まで連続11回当選。
佐藤栄作首相をはじめ計17人の歴代首相と論戦した。
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2017年06月28日

「睡眠負債」の恐ろしさ 自覚症状ないまま脳にダメージ蓄積

「睡眠負債」の恐ろしさ 
   自覚症状ないまま
     脳にダメージ蓄積
2017.06.27 07:00 NEWSホストセブン

 毎日1〜2時間の寝不足が借金のように積み重なり、やがて“債務超過”に陥ると、がん、認知症などをはじめとする重大な疾病を発症させる。
それが「睡眠負債」だ。

脳神経科学などを専門とする枝川義邦・早稲田大学研究戦略センター教授が解説する。
「もともとは米国の睡眠科学の専門家が『Sleep Debt』という用語を提唱しました。
それが『睡眠負債』と直訳されて、近年は日本でも使われるようになってきた。
 たとえ毎日少しずつであっても、適切な睡眠時間を確保できていないと、脳の機能が衰えるなど体に深刻な問題が起きると警告する意味も含めた言葉です

 6月18日に放送された『NHKスペシャル』でも〈睡眠負債が危ない〜“ちょっと寝不足”が命を縮める〜〉と題してこの問題を大きく取り上げ、話題を呼んでいる。
 徹夜が健康に悪いのは直観的に理解できるが、ちょっとした寝不足に対して、あえて警鐘を鳴らす必要があるのだろうか。
前出・枝川氏は、「睡眠負債を積み重ねることは、むしろ徹夜よりも問題がある」と指摘する。

「2003年にペンシルバニア大の研究者らが行なった実験の結果から、そのことがよくわかります。
被験者を徹夜(3日連続)、4時間睡眠(14日間連続)、6時間睡眠(同)、8時間睡眠(同)の4グループに分け、脳の認知力を計るテストを毎日実施したところ、6時間睡眠を2週間続けたグループはテストの結果が徹夜明けの被験者と同程度になってしまったのです。
 つまり6時間の睡眠では“負債”がどんどん積み重なっていくわけです。
さらに問題なのは6時間睡眠の人には“寝足りない”という感覚がないことです

 徹夜した人間には、“生活リズムを改善しなければ”という意識が生まれるが、6時間寝ていると本人に自覚症状のないまま脳をはじめ体のあちこちにダメージが蓄積されていく。
そこに、睡眠負債の怖さがあるわけだ。
『Nスペ』にも出演して警告を発した睡眠評価研究機構代表・白川修一郎氏もこういう。
「睡眠と脳のはたらきの関係を調べた実験は数多くあります。
たとえば前夜の睡眠時間が4時間以下になると単純作業におけるヒューマンエラーが急激に増える一方、5時間睡眠が2晩連続になると、エラーは4時間以下が1晩の時と同じくらいに増えてしまうとする実験結果があります。
睡眠不足は『累積』してしまうのです
※週刊ポスト2017年7月7日号
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2017年06月29日

安倍政権反省なし イカれた内閣には有権者の鉄槌が必要

安倍政権反省なし
 イカれた内閣には
     有権者の鉄槌が必要
2017年6月28日 日刊ゲンダイ

 通常国会の閉会にあたり、安倍首相は会見で「反省」の弁を述べたが、やはり口先だけだった。
この男は、何ひとつ反省なんかしちゃいない。
 森友問題、加計問題で国民の疑問に答えようとせず、さっさと通常国会を閉じて、無理やり疑惑にフタをしたと思ったら、すぐさま手前勝手な改憲に突っ走り始めた。

24日の講演で、いきなりこうブチ上げたのだ。
「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参両院の憲法審査会に提出したい」――。
 今年5月3日、安倍がビデオメッセージで唐突に「9条に自衛隊を明文で書き込む」「2020年に新憲法施行」と言い出したことを受け、自民党憲法改正推進本部は、今秋に党の改正案をまとめ、公明党などとの調整を経て、年内に憲法審査会に提案する「憲法改正原案」を作成するスケジュールを描いてきた。
これをさらに前倒ししようというのである。

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
そもそも総理大臣に改憲の発議権はありません。
党内議論も無視している。
本来なら、自民党内から『おかしい』という声が上がらなければならないのに、『総理が言うなら、その通りに進めよう』と言いなりになっている様子は末期的です。
首相の都合に合わせて、改憲という重大なテーマを短期間で仕上げてしまおうなんて、言語道断です。
加計学園の問題が長引いているので、疑惑隠しのために改憲を前面に出してきたようにも見えますが、国民にとって改憲は差し迫った問題ではない。
いま国民が求めているのは、森友、加計問題の疑惑解明です。
改憲に手をつける前に、まずは野党が求めている臨時国会を開いて、国民の疑問に答えることが先です。
野党が要求する臨時国会の開催は、憲法53条の規定に基づいている。
憲法を守らない首相が独善的に改憲を推し進めることは許されません

 安倍が講演したのは、産経新聞の主張に賛同する「神戸『正論』懇話会」だ。
 いわば身内の会合である。誰からも反論が出ないし、何を言っても温かく受け入れてもらえる。
そういう場で、一方的な言い分を展開し、既成事実化していくのは、いつものパターンだ。

■疑惑隠しでちゃぶ台返し
 5月に「20年に新憲法」発言が飛び出したのも、日本会議系の改憲集会に寄せたビデオメッセージと、読売新聞のインタビューだった。
 身内の集まりでは言いたい放題だが、国会では質問に真正面から答えようとしない。
ごまかし、はぐらかしで説明責任からも逃げ続ける。
果てには自分の考え方を知りたければ「読売新聞を熟読しろ」と言う始末。
ご都合主義にも程がある。

 加計学園の問題でも、安倍はくだんの神戸の講演でのけぞるような発言をしていた。
「(獣医学部の新設を)1校だけに限定して特区を認めたが、中途半端な妥協が結果として国民的な疑念を招く一因となった」と言い、「地域に関係なく、意欲があれば、2校でも3校でもどんどん認めていく」と宣言したのだ。
 まったく、論理のスリ替えも甚だしい。
関係閣僚の合意によって「空白地域に1校かぎり」と決められたプロセスに問題はないとする政府の説明は何だったのか。
自分に突きつけられた疑惑をかわし、責任回避するためにちゃぶ台返しに出た。
とても正気の沙汰ではない。
 国民が疑念を抱いているのは、首相の“腹心の友”が理事長を務める加計学園に便宜を図るために「行政がゆがめられた」かどうかだ。
規制改革が中途半端な妥協だったかどうかは関係ない。
森友学園の問題も同じで、首相や夫人と昵懇だから、特別な便宜が図られたのではないか。
それが「総理のご意向」で進められたのではないかという疑惑の目が向けられているのだ

自分のことは棚に上げて
「非正規は責任感がない」
 これまで安倍は、森友学園や加計学園の問題で、「私が指示を出したことはない」「総理大臣だからといって、私の一存で決まるものではない」と決定プロセスへの関与を否定してきた。
ところが、講演では、決定権者として「速やかに獣医学部の新設を認めていく」と言う。
自分の意向で政策はどうにでも変えられるとゲロったも同然だ。
「しかも、一部報道によれば、獣医学部の全国展開宣言について、安倍首相は『あまりにも批判が続くから、頭に来て言ったんだ』と説明したという。
頭に来たから政策を変えるなんて、絶対に為政者がやってはいけないことです
獣医師には需給の問題もあるし、特区の政策意図を理解していないとしか思えません。
そのうえ、首相の一存で何でもできることを認めている。
自分の発言の矛盾に気づいていないのでしょうか。
いよいよおかしくなってきた。
改憲スケジュールもそうですが、発言がメチャクチャになってきました」(政治学者・五十嵐仁氏)

 同じ会合で、安倍は非正規雇用についても無知と偏見をさらけ出した。
同一労働同一賃金の実現に関連して、「非正規の時にはなかった責任感や、やる気が正規になって生まれていく」と言ったのだ。
まるで非正規は責任感がない、やる気がないと言わんばかり。
国会で説明責任を果たそうとしない首相にだけは言われたくない言葉だ。
 そもそも非正規を増やしたのは誰なのか。
「企業が世界で一番活躍しやすい国づくり」を掲げ、労働者派遣法を改悪して非正規雇用を増やす政策を進めてきた安倍自身ではないか。
16年の労働力調査によれば、非正規雇用の割合は37・5%と過去最高に達している。
庶民はどんどん貧しくなり、大企業や首相の仲間内など一部の特権階級だけがイイ思いをする。それが安倍の言う規制緩和の本質ではないのか

■都議選でお灸をすえるしかない
 権力を縛る憲法も、自分を批判するメディアも、安倍は「ドリルの刃になって打ち破るべき岩盤規制」のごとく捉えているフシがある。
異論はすべて“抵抗勢力”に見えるのだろう。
だから、内閣法制局やNHKに“腹心の手下”を送り込んで支配下に置いた。
自分の意のままに動くよう睨みを利かせ、好き放題を続けてきた。

人事権や許認可権を振りかざし、時にはドーカツめいたことまでして、自分たちの意向に従わせるのが安倍政権のやり方です。
大メディアにもすっかり毒が回っていて、政府に厳しい質問をする社会部記者を排除しようとしたりする。
逆らえば左遷されるから、周りはイエスマンばかりになっています。
国民の中に異論があっても、民意などおかまいなしに突っ走る強権的な手法は、独裁者による恐怖政治そのものです。
驕る独裁政権を止めるには、都議選でキツいお灸をすえるしかありません。
議席激減という具体的な事実で、言い逃れやゴマカシができないくらい明確な民意を突きつける必要があります」(前出の五十嵐仁氏)

 加計学園の獣医学部新設の過程で「行政がゆがめられた」と告発した文科省の前川前次官は、23日に会見した際、こんなことを言っていた。
権力が私物化されて、『第4の権力』といわれるメディアまで私物化されたら、日本の民主主義は死んでしまう。
その入り口に我々が立っているのではという危機意識を持ちました

 都議選で安倍自民を惨敗に追い込まなければ、権力の私物化は止まらない。
国会も役所もメディアも安倍サマ忖度で、民意そっちのけの暗黒政治が横行し、前川氏の予言通りの世の中になってしまう。
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2017年06月30日

今井絵理子「批判なき選挙、批判なき政治」発言は民主主義の否定! 蔓延する“批判=悪”の空気の危険性

今井絵理子
「批判なき選挙、
批判なき政治」発言は
       民主主義の否定!
蔓延する“批判=悪”の
            空気の危険性
2017.06.29 LITERA編集部

 今月23日、東京都議選の告示日に合わせて今井絵理子参院議員がツイッターに投稿した文章が批判を浴びている。
〈今日から都議会議員選挙が始まります!「批判なき選挙、批判なき政治」を目指して、子どもたちに堂々と胸を張って見せられるような選挙応援をします〉
 この「批判なき選挙、批判なき政治」なる言葉には、当然のごとく疑問の声が殺到した。

 森友学園・加計学園のスキャンダルへの対応や、共謀罪の強行採決など、我々は安倍政権および自民党による、「独裁」と表現しても過言ではない強権的な政治姿勢をさんざん目の当たりにしてきたわけだが、それに加えて今度は「批判なき選挙、批判なき政治」ときた。
「お前ら愚民は黙って政権与党の言うことを聞いていればいい」とでも言わんばかりでファシズム精神モロ出しの言葉には、もはや呆れ返るしかないわけだが、わざわざ指摘するまでもなく、こういった考え方は反民主主義の最たるもので、この上なく危険なものだ。

 健全な民主主義を保っていくためには、絶え間ない議論を続け、様々な価値観をもつ人々の考えを取り入れていく不断の努力が不可欠である。
そして、中身のある議論を行うため、絶対に必要なのが「批判」だ。

 作家の平野啓一郎氏は今月出版したばかりの『自由のこれから』(KKベストセラーズ)のなかで、国民による批判が社会にとっていかに重要であるかということを、このように述べている。

〈一つの比喩だが、スキーのジャンプ競技は、いったん、空に飛んでしまうと、あとはただ、風に乗って着地するまでじっとしているだけのように見える。
 けれども、選手に聞くと、あの100m前後の距離のあいだに風の向きや強さなど、条件がめまぐるしく変化するので、一瞬も気を抜けず、全身のさまざまな箇所を使って調整しているのだそうだ。
 それに失敗すると、思いがけず、早く堕ちてしまう。
観客からは、さっきまであんなに順調だったのに、なんで?と唐突に見えるのだが、つい今し方までの順調さが、必ずしも未来の順調さを保証しない、というわけである。
 その調整のために絶対に必要なのが言論の自由であり、とりわけ、政治権力に対する批判の自由である。さもなくば、国家は堕落してしまうだろう。〉

 こういった考えとは逆に、今井絵理子は批判の封じ込みを主張する。
その背景には、批判を真摯に受け入れて議論をすることで、物事をより良いものにしていこうというプロセスなど、面倒くさくて無駄なものと認識している考えがあるのだろう。

小沢健二が語る「対案を出せ!」への反論
 ひとつの物事に対して、反対意見も勘案し、時間をかけて慎重に進めて行くことは何の意味もないことであり、トップダウンでサクサク進めていくことこそを善とする。
野党の批判に対し、嘘に嘘を塗り重ねた意味不明な詭弁を弄し、強引に自分の主張を貫いていく、まさしく安倍政権的な考え方と同じであるわけだが、そういうものを何と表現するか? 独裁である
 また、彼女の言う「批判」という言葉からは、自分の意見に反対する者からの言葉を正当な意見ではなく、「嫌がらせ」や「いちゃもん」と捉えているのであろうという本音が隠しようもなく透けて見える。
そういった考え方の人たちがしばしば使うのが「だったら対案を出せ」という定型句である。  これは単なる“批判封じ”のレトリックである。

かつて、小沢健二は、公式サイト「ひふみよ」に掲載されたエッセイ「金曜の東京」のなかで、そういった論法を人間管理や心理誘導のための単なる説得テクニックにすぎないと言い切っていた。
〈イギリスは人間管理とか心理誘導の技術にとても長けていて、サッチャー首相の頃、八〇年代にはTINAと呼ばれる説得論法がありました。
"There Is No Alternative"の略。訳すと「他に方法はない」ということ。
「他に方法はあるか? 対案を出してみろ! 出せないだろう? ならば俺の方法に従え!」という論法の説得術〉
"There Is No Alternative"は安倍首相の「この道しかない」にも通じる論法だが、彼はこのレトリックのおかしさを指摘する。

〈医者に通っていてなかなか治らないとします。
患者は文句を言います。
「まだ痛いんですよ! それどころか、痛みがひどくなってます! 他の治療法はないんでしょうか?」と。
 それに対して医者が「他の治療法? どんな治療法があるか、案を出してみろ! 出せないだろう? なら黙って俺の治療法に従え!」と言ったら、どう思いますか?〉
 治療法を考えるのはあくまで医者の仕事であって、治らなければ医者を変えたり、別の治療法を試すのは当然のこと。
患者は「痛い!」とただ切実に訴えればいい。
その訴えを医者が真摯に受け止め、治療法を考えることで「医学の進歩」は生まれる。
そして、これは社会問題に対峙するときも同じである。

〈同じように、社会をどうするか考えるのが職業の人は、人の「痛い!」という切実な声を聞いて、心を奮い立たせて問題に取り組むのが正しいはずです。
 なのに一般の人が「この世の中はヒドイ! 痛い!」と声を上げると、「じゃあお前ら、対案は何だ? 言ってみろ! 対案も無しに反対するのはダメだ!」と押さえつける政治家とか専門家とか評論家とかがいるのは、むちゃくちゃな話です

国民たちの同調圧力が、
    かつてナチを生み出した
 だから、市民がすべきことの一つは、「この世の中はヒドい!」と声を上げること。
対案を出す必要などないのである。  
 また、それは、政治家にもある程度同じことが言える。
ネトウヨたちは安倍政権の政策に反対する野党に対し必ず「だったら対案を出せ!」と言い募るが、だいたい、ほかにもいろんな政策・選択肢があるにもかかわらず、その政策しかないかのような議題設定をしているだけだ。
「そんな法律は必要ない」、「憲法を変える必要などない」というのもひとつの「対案」であるのは言うまでもない

(例えば、共謀罪でも民進党は対案を出していたし、文句を言っている人が知らないだけで実際は対案を出しているケースが多いのだが)。
 加えて、そういったこととはまた別に、最も懸念すべき事項であろうと思われるのは、そもそもの問題として、「批判の声をあげる」という行動そのものを「悪」であるとみなしている人々が増えているということだ。
同調圧力が強化され、社会の規範から少しでもはみ出したものは寄ってたかって徹底的に叩きのめす傾向には歯止めがかからない。
 それは、なにも政治の話だけではなく、芸能人の不倫といった話題でも端的にあらわれているのは言うまでないが、加えて問題なのは、同調圧力を振りかざすそういった攻撃を、上から言われて嫌々やっているのではなく、むしろ自分たちから喜々として行っているということだ。

 かつて、ドイツの社会心理学者、哲学者であるエーリッヒ・フロムは『自由からの逃走』のなかで、ナチズムはヒトラーが大衆を力ずくで支配した結果でなく、むしろ大衆がその強制を内面化し、自発的に服従することによって実現されたと指摘した。
そして、その内面化、内的権威をつくりだすメカニズムをこう分析している。
〈近代史が経過するうちに、教会の権威は国家の権威に、国家の権威は良心の権威に交替し、現代においては良心の権威は、同調の道具としての、常識や世論という匿名の権威に交替した。
われわれは古い明らさまな形の権威から自分を解放したので、新しい権威の餌食となっていることに気がつかない。
われわれはみずから意志する個人であるというまぼろしのもとに生きる自動人形となっている。〉
〈この特殊なメカニズムは、現代社会において、大部分の正常なひとびとのとっている解決方法である。
簡単にいえば、個人が自分自身であることをやめるのである。
すなわち、かれは文化的な鋳型によってあたえられるパースナリティを、完全に受け入れる。
そして他のすべてのひとびととまったく同じような、また他のひとびとがかれに期待するような状態になりきってしまう。
「私」と外界との矛盾は消失し、それと同時に、孤独や無力を怖れる意識も消える。〉

今井絵理子的な感覚は若者の多くで
共有されてしまっているものでもある  
本稿で述べてきたような傾向は、今井絵理子に限ったものではなく、若い世代にはある程度広い範囲で共有されてしまっている感覚でもある。
武庫川女子大学講師の井上雅人氏は、このような文章をツイッターに投稿していた。
〈学生のプレゼンにコメントすると、「どうして批判するんですか!」と激怒されることは随分前からあった。
よくできました以外のコメントは全て悪口や人格否定だと思っていて、それが批判だと思っている学生は多い。
なので、そういう学生が他の人を批判するときには、単なる悪口になりがちになる。〉

 共謀罪が強行採決され、現在、この法律による「相互監視社会」化が懸念されているが、こういった状況ではその危惧は現実のものとなる可能性が高い。
これはもっと危機感を感じるべき問題ではないだろうか。
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