2017年06月11日

実行より計画だけの方が重罪…共謀罪は犯罪を助長する

実行より計画だけの方が重罪…
共謀罪は犯罪を助長する
2017年6月10日 日刊ゲンダイ

 安倍政権が、来週の強行成立をもくろむ共謀罪法案。
277もの犯罪を対象にしているため、チェックが追いつかなかったのか、現行刑法とつじつまが合っていないものがゴロゴロある。
中には、「共謀」つまり計画だけより、実際に犯罪を犯した方が、刑が軽くなる“逆立ち現象”もあるから、ムチャクチャだ。

〈その1〉窃盗罪  
2人以上で窃盗を計画し、そのうち1人が準備行為をすれば、窃盗に着手しなくても、共謀罪が成立する。
刑の免除はない。
ところが、共謀した誰かが窃盗に着手し、自らの意思で中止して未遂に終わった場合はどうか。これは、刑法の「中止犯」という規定が適用される。
思いとどまったことへの“特典”として、必ず刑の軽減または免除が受けられる。
つまり、計画しただけで犯罪者なのに、計画をさらに進めて実行に移し、中止した方は罪に問われない可能性があるのだ。

〈その2〉傷害罪
 2人以上で傷害を計画し、1人が準備行為をしたら傷害の共謀罪成立だ。
一方、計画の実行に着手したが、傷害に至らなかった場合、傷害罪に未遂の規定はないため無罪放免だ。
企んだだけの方は罰せられるのに、である。

〈その3〉強盗罪
 強盗の共謀罪の量刑は5年以下の懲役または禁錮だが、強盗予備罪は2年以下の懲役。
計画段階から次のステップ(予備)に進めた方が軽い刑で済むことになる。

 思わず笑ってしまう“珍現象”だが、共謀罪に詳しい小口幸人弁護士が言う。
「笑い話じゃありません! 法律のロジックへの大きな侮辱です。
法務省の官僚がこんな法案を提出すること自体、信じがたいが、加計学園問題で会期延長をしたくない政府は、こうした矛盾も無修正で通そうとしている。
法体系よりも、“自己保身”ということなのでしょうか

 やっぱり希代の悪法は廃案しかない。
posted by 小だぬき at 13:36 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

安倍政権の支持率が超安定の理由、小泉政権とは大違い

安倍政権の支持率が
超安定の理由、
小泉政権とは大違い
2017年06月10日 16時00分 NEWSポストセブン

 まさに世間の「空気」を味方につけたかのような安倍晋三・首相の一強支配の現状をみるに思い起こされるのが故・山本七平氏が1977年に刊行した著書『「空気」の研究』だ。
山本氏はそこでこう書いている。
〈「空気」とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である。
一種の「超能力」かも知れない〉

 いまや、安倍首相は「空気という妖怪」を手なずけているらしい。
「空気」を支配した安倍政権の再登板後の支持率は過去のどの政権とも違う奇妙な推移を辿っている。
 支持率が急降下した第1次政権の時と違って、閣僚辞任が相次いでも、首相のスキャンダルが出ても、発足時の50%水準から数%上下するだけで超安定しているのだ。

政治ジャーナリスト・藤本順一氏は、政治テーマの「分散」と有権者の「分断」戦略を挙げる。 「安倍首相は外交では対中強硬姿勢と対ロ交渉、経済はアベノミクス、さらに憲法改正など多くのテーマを同時並行で進めるから、1つの政策がうまくいかなくてもすぐ目先を変えることで大きく支持率が下がらない。
 もう一つは有権者の分断
原発再稼働や沖縄米軍基地移転のような国論を二分するテーマは反対派の反発を買っても、半数の支持は得られる。
そしてメディアの分断
読売や産経など親安倍と朝日のような反安倍メディアの扱いをはっきり分けることで、加計学園問題のようなスキャンダルが起きてもメディアが一枚岩で政権批判に走ることを防いでいる」  

埼玉大学社会調査研究センター長の松本正生・教授(政治意識論)は長期政権だった小泉内閣との比較からこう分析する。
「支持率1桁の森内閣の後を受けて小泉首相が誕生した時、総裁選は盛り上がり、国民の多くは『自分たちが選んだ総理』というイメージを持っていた。
だから最初は9割近い常識ではあり得ない高支持率だったが、田中眞紀子外相更迭で大きく下がり、電撃訪朝でまた上がるという具合に、国民の期待感が支持率に直結した。

 一方の安倍氏が総裁に返り咲いたとき、国民の意識は『またやるのか』と期待していなかった。
期待が低いだけに、『その割には意外にしっかりやっているじゃないか』と好意的に受け止められている。
世論調査からもそれがわかる。
内閣支持率は景気に連動する傾向がある。
 ところが、安倍政権下で景気は『良くない』という回答が多く、看板のアベノミクスは評価されていない。
それなのに支持率が高いのは、国民には先が見えない中、政権に期待はしていないが、他の選択肢もないから、せめて現状のままでいてほしいという守りの意識が窺えます
 そんな国民の消極的支持が、政治的には「安倍一強」で誰も逆らえないという人為的な「空気」を生み出している。
※週刊ポスト2017年6月16日号
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする