2017年08月06日

ヒロシマの惨禍 語り継ぐ 川口在住の木内さん 

ヒロシマの惨禍 語り継ぐ
 川口在住の木内さん 
ピカッと光り 友達が消えた 
2017年8月5日 東京新聞

 今から七十二年前の八月六日。当時九歳だった木内恭子(ゆきこ)さん(81)=川口市在住=は、広島市内の路上で友達と遊んでいたとき、近くで爆発した原爆の閃光(せんこう)を見た。
自身は奇跡的に無事だったが、友達の姿は消え、周りは血まみれの人と黒焦げの遺体ばかり−。

木内さんは先月、被爆者の体験談をビデオ収録する事業に協力し、核兵器がもたらした惨禍を振り返った。 
(杉本慶一)

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市)では二〇〇三年度から、全国に住む被爆者の体験談をビデオ収録し、館内やインターネットで公開する事業に取り組んでいる。
本年度の収録予定者は二十人で、うち二人が県内在住だ。
 木内さんへのインタビューは、蕨市にある県原爆被害者協議会(しらさぎ会)の事務所で行われた。
同館の叶真幹(かのうまさき)館長らが見守る中、木内さんは淡々と語り始めた。
 「友達と石蹴りをして遊んでいたら『ピカッ』と光り、私は気絶した。
息苦しい状態で目を覚ますと、一人でちょこんと、がれきの上に座っていた。
周りの建物はぺちゃんこで、友達も誰もいなかった」

 爆心地から約一・六キロ。木内さんは頭や足にコブができたが、大きなけがはなかった。
ぼうぜんとしていると、がれきの中から、血まみれの人たちがはい出てきた。
みんな「助けて」とうめき声を上げ、近くの川沿いを歩き始めた。
 その行列の後についていった木内さんは突然、男の人から「ゆっこ!」と名前を呼ばれた。
やけどした顔が膨れ上がり、誰だか分からなかったが、その人の手を必死に握りしめた。
一緒に歩きながら川面に目を向けると、黒焦げの遺体で埋め尽くされていた。

 木内さんの父は広島刑務所に勤務し、敷地内の官舎が自宅だった。
ようやくたどり着いたとき、一緒に来た男の人が、二歳上の兄だったと気付いた。
 当時は両親と兄、弟の五人暮らし。兄のやけどは重症で父も母も大けがを負ったが、みんな一命を取り留めた。
被爆時に一緒にいた友達は助からなかった、と思っている。
混乱の中、消息をたどる余裕はなかった。

 終戦後、父の実家がある茨城県に移り住んだ。
木内さんは看護師になって結婚し、約五十年前に川口市に転居した。
現在はしらさぎ会の副会長を務め、県内の高校などで自身の被爆体験を語り継いでいる。

 インタビューは一時間余り。「原爆の事実を知らない人に、何を伝えたいですか」。
そう問われた木内さんは、少し力を込めて答えた。  
「私たち被爆者が体験を語らないと、戦争のことも原爆のことも今の人たちに伝わらない。
私たちが語っていき、それを聞いた人たちが次の世代につないでいくようになれば」  

          ◇   
木内さんらの体験談はDVDに編集され、来年度に公開される予定。
posted by 小だぬき at 04:00| 神奈川 ☁| Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「国民皆保険は維持できない」、医師の過半数が悲観的見解…過剰医療蔓延で医療制度破綻の危機

「国民皆保険は維持できない」
医師の過半数が悲観的見解…
過剰医療蔓延で
医療制度破綻の危機
2017.08.05 文=ヘルスプレス編集部

 体調が悪くなれば、誰もがいつでも自由に医療機関において少ない負担で検査を受け、必要な薬を処方してもらえる。
すべての国民が、なんらかの公的な医療保険に加入するという「国民皆保険制度」のお陰だ。    

私たちにとっては当たり前のことだが、世界に目を向けるとそうではない。
先進国でも「民間保険」中心の国もあれば、「無保険」の国民が多い国も存在する。
日本の医療保険制度は非常に恵まれているのだ。

 しかし、現在医療の現場で働く医師たちの半数が「この制度は維持できない」と危機感を覚えていることが、最近の調査で明らかになった。

医師の52%が「国民皆保険は破綻する」 
 これは日本経済新聞と、10万人の医師が登録する情報サイト「メドピア」が共同で、全国の医師に対して行った調査の結果だ。
インターネットを通じて1030人の医師から回答を得た。

 その中で「現状の皆保険制度に基づく医療は、今後も持続できると思うか」と聞いたところ、「そうは思わない」との回答が539人(52%)に達した。
その理由としては「高齢者の医療費の増大」や「医療の高度化」を挙げる医師が多かったという。
 一方、「持続できる」と答えた医師261人(25%)でも、その多くが「患者負担の増加」「消費税の増税」など、財源を確保できることを条件として追記している。
どちらにせよ、現状のままでは維持が難しいとの認識が大半を占めた。

 国民医療費は1990年度に20兆円を超え、2015年度は概算で41.5兆円。
国民が支払う健康保険料と患者負担でまかなえているのはその6割にすぎず、残りの4割は税金などから補填されている状態だ。
 しかも政府の推計によれば、2025年度には国民医療費は54兆円に達するという。

日々現場を見続けている医師達の危機感は、想像以上に大きい。
 対策としては「支払い能力のある人の負担増」「紹介状なしでも受診できる『フリーアクセス』に一定の制限を」という回答のほか、「医療の効率化」「過剰医療を見直すべき」という医療側の意識改革を求める声もあったという。

アメリカでは500もの過剰医療をリスト化 
 近年、現代医療における過剰医療は日本だけでなく多くの先進国で議論されてきた問題だ。  

本来、医療行為にはそれを行うに値する科学的なエビデンスが伴う。
しかし現実には「患者が要求する」「お金が儲かる」「患者に訴えられたくない」といった理由で、科学的な根拠に乏しい「無駄な医療」が行われている。
たとえば、本来は必要のない検査や手術、抗生物質の使いすぎ、高齢者への多剤処方などだ。  

アメリカでは医療費高騰のかなりの部分を「過剰な治療」や「医療連携のミス」などの過剰医療が占めており、その割合は低く見積もっても「医療費全体の20%を超える」との報告もある。

医療費支出」と「患者の身体」の両方に負担をかける過剰医療は改めるべき−−。
そうした声が高まったアメリカの医療界では、2012年に「Choosing Wisely(賢明な選択)」というキャンペーンが立ち上げられた。
具体的には、臨床系の医学会に呼びかけ、「考え直すべき医療行為」をエビデンスと共に具体的に5つずつ挙げてもらったのだ。
 たとえば「ウイルスが原因の風邪やインフルエンザに抗生物質は効かず、逆に耐性菌の増加につながる」
「75歳以上がコレステロール値を下げても死亡リスクが下がるという明確な証拠はない」といった内容だ。
 最終的に70を超える学会が参加し、500近くにのぼる項目がリストアップされた。
これらはすべて、科学的根拠と合わせてインターネットで公開されている。

患者も適切な治療を選ぶ意識を 
 この活動には各国が注目し、現在では、カナダ、イタリア、英国、オーストラリアなど10カ国以上に広まっている。
日本でも昨年10月に「チュージング・ワイズリー・ジャパン(CWJ)」が発足。
今年6月1日には日本医学会がシンポジウムで取り上げた。
 CWJ代表で佐賀大学名誉教授の小泉俊三医師は、「医療費削減が目的と誤解しないでほしい。大事なのは患者と医師がじっくり考え、望ましい医療を一緒に決めること」と語る。
それでも、医師と患者が協力して適切な治療を選ぶことが、結果として医療費削減に少しでも寄与するならば、運動を進める意義はさらに大きくなるだろう。

 国民皆保険制度を維持するためには、自己負担の増加や増税など、なんらかの財源の手当が必要になる時が来る。
しかし、負担を増やす前にすべきなのは、まず意識を変えることだ。
 私たち患者も過剰な治療のデメリットを知り、「心配だから」というだけの理由で安易に医師に求めないことを意識したい。
(文=ヘルスプレス編集部)
※ 初出/健康・医療情報でQOLを高める「ヘルスプレス」

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posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☁| Comment(0) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする