2017年08月09日

「高プロ制度」めぐり大混乱の「連合」、産業界も“とばっちり”

「高プロ制度」めぐり
大混乱の「連合」、
産業界も“とばっちり”
20117.8.8 週刊ダイヤモンド編集部

日本労働組合総連合会(連合)が未曽有の危機に見舞われている。
働き方改革の目玉メニューである「高度プロフェッショナル制度」への対応をめぐり、連合執行部と傘下の下部組織との間にあつれきが生まれているのだ。

背景にあるのは、連合組織の弱体化だ。
産業界も、連合混乱のとばっちりを受けることになりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

 日本最大の労働組合のナショナルセンター、連合が異常事態に陥っている。
 年収の高い専門職を対象にした「高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)」の対応をめぐり、連合執行部と傘下の労組との間にあつれきが生まれているのだ。
 高プロ制度は、この3月に策定された「働き方改革実行計画」に盛り込まれた目玉メニューの一つ。
年収1075万円以上で、金融ディーラーなどの専門職に就く人を対象に、(労働基準法上の)労働時間規制から外す制度であり、この制度に「残業代」は存在しない。

 かねて、連合は高プロ制度を含む労基法改正案を残業代ゼロ法案として反対の立場を貫いてきた。
 混乱の発端は、7月13日にさかのぼる。連合の神津里季生会長が安倍首相に、「労基法改正案に関する要望書」を提出したのだ。
 この行為により、連合は、実質的に高プロ制度を容認する姿勢を打ち出した。

水面下では、連合執行部と政府自民党との間で根回しが進んでいたわけで、「民進党の支持母体である連合による裏切り行為」(労組関係者)とされた。
 これに反発したのが、連合の下部組織だ。
21日に開催された連合の中央執行委員会(中執委。主要労組幹部で構成)では、自治労や情報労連といった古参労組や地方労組から異論が続出した。
安倍政権がぐらついているときに、なぜ頭を下げてまで反対したい法案を通さなければならないのか──。

 27日に再集合した中執委でも意見集約は進まず、連合執行部は方針を「容認」から「反対」へ転換。
連合執行部の統率力の欠如があらわになった。
中でも、政財界との交渉窓口を担ってきた逢見直人事務局長(UAゼンセン出身)への風当たりは強い。

 連合混乱の原因は、「執行部が、政府と手を握る前に下部組織への根回しを怠ったことにある」(労組幹部)。
別の労組幹部は、「高プロ制度の設計でもめたのではなく、もとよりあった逢見主導体制への不満が噴出した」と打ち明ける。

 連合内部での逢見評は、政策通のエリートだが政治オンチ。
連合は単組の利害が一致しない寄せ集め所帯なのに、「痛恨のミスを犯した」(UAゼンセン関係者)。
 神津・逢見体制にとって不幸なことに、安倍首相に頭を下げたタイミングが最悪だった。
その直後に、加計学園問題の集中審議で政権の支持率が急落したからだ。
 連合執行部は、下部組織のみならず、民進党からも突き上げを食らい窮地に追い込まれた。
執行部への不満が、この政局で一気に爆発したともいえそうだ。

 そもそも、一連の働き方改革は通常の労働問題の政策決定プロセスとは異なり、一貫して政権主導で進んだ。
労働問題を所管する厚生労働省も、労働者代表の連合も、産業界代表の経団連も、蚊帳の外に置かれていた。
 そんな中、「働き方改革実行計画」という結果だけを見れば、労働時間の上限規制や同一労働同一賃金など、連合の主張が認められた部分が大きい。
「労働者(連合)と産業界(経団連)で獲得できたものを点数化するならば、95点と5点くらい」(厚労省幹部)なのだ。
つまり、連合にとってみれば、たとえ高プロ制度を拒否できなかったとしても、働き方改革の全体像から見れば悪くない通信簿だったともいえる。
 にもかかわらず、連合が大混乱に陥っている。

皮肉にも、憎き高プロ制度が連合組織の弱体化を暴いてしまった格好だ。
連合の組合員数は689万人で日本の雇用者の11.8%にすぎない。
連合には刻々と存続の危機が迫っている。
 8月1日、連合の役員推薦委員会は、退任予定だった神津会長の続投、次期会長候補だった逢見事務局長の会長代行就任という人事案を提示。
逢見「会長」の芽を摘むことで、組織混乱の収束を図ろうとしているが、混乱が収まる気配はない。

産業界は戦々恐々
裁量労働制緩和「も」消えるリスク

 憤まんやる方ないのは、産業界である。
“通信簿5点”の働き方改革の中で、唯一、獲得できるメニューが高プロ制度だからだ。
 8月3日に発足した組閣人事では、「働き方改革」を担当した加藤勝信前1億総活躍担当相が厚労相ポストへ横滑りした。
「これまで閣僚メンバーでは塩崎(恭久)前厚労相だけが高プロ制度導入にこだわっていた」(官邸関係者)。
今後の連合の対応によっては、高プロ制度導入が難しくなるかもしれない。

 ややこしいことに、産業界の本音は「対象者が少な過ぎる高プロ制度よりも、(セットで議論されている)裁量労働制(割増賃金は発生するが年収要件がない)の緩和を獲得したい」(あるメーカー幹部)というもの。
高プロ制度のみならず、裁量労働制導入も白紙となるリスクも浮上している。
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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