2017年11月01日

 安倍が野党の質問削り国会機能停止へ

安倍政権が議席をカサに
本物の独裁国家化を開始!
与党の質疑時間を7割にして
国会を機能停止に
2017.10.31 LITERA編集部

「謙虚」が聞いて呆れる。
国会での質疑時間を現在の「与党2割・野党8割」の配分から、議席数に応じて野党を削って与党の時間を増やすよう、安倍首相が見直しを指示している件だ。
 もし衆院で議席数に応じて質疑時間を見直せば「与党7割・野党3割」という異常な配分となり、まさしく“独裁”国会となる。
当然ながら立憲民主党や共産党などの野党は猛反発しているが、信じられないのは政府と与党の姿勢だ。

 まず、菅義偉官房長官は
「国会議員は国民の負託を得て当選してきている。
各会派の議席数に応じた質問時間の配分は、国民の側からすればもっともな意見だ」と会見で発言した。
 しかし、たとえば立憲民主党の長妻昭代表代行は〈自民党が野党時代、強力に要請をして今の配分比となった〉と述べており、産経新聞も〈旧民主党政権では一時、「与党1、野党9」となった〉と伝えている。
それが、自民党は政権を奪取すると、与党の質疑時間増を要求。
2013年10月の衆院予算委員会では「与党6割・野党4割」にするよう要請している。
このとき現在の「与党2割・野党8割」(先の閉会中審査のみ与党3割・野党7割)で折り合ったが、このように安倍自民党は自分たちの都合でしか動いていないのだ。
 さらに、なんと自民党は、この質疑時間問題を明日からはじまる特別国会での〈質疑に応じるための「取引条件」にする構え〉を見せているという(毎日新聞より)。
つまり、特別国会で森友・加計問題について言及したいのなら質疑時間の見直しに応じろ、と要求しているのである。

 選挙前には森友・加計問題について「選挙で説明する」と言い、選挙がはじまると「国会で説明する」と言い出した安倍首相。
にもかかわらず、野党から追及を受けることから逃げるため、まったく筋の通らない取引をふっかけようとしているのだ。
自己都合で不当な二者択一を迫るとは、まさしく悪徳商法さながらの詐欺的手法ではないか。

野党の質問時間削減は
議院内閣制を無視した
民主主義の破壊行為
 いや、今回の話は「自民党の身勝手」とか「疑惑隠し」とかそんなレベルではすまない。
安倍政権がやろうとしている質問時間の配分は、明らかに民主主義の破壊、本物の独裁国家への第一歩となるものだ。
 というのも、国会で野党に多くの質問時間を割くことは、日本が採用している議院内閣制の欠陥をカバーし民主主義の根幹である権力分立を保障するための措置だからだ。
議院内閣制では、国会の多数党が内閣を形成するため、与党と内閣が一体になってしまう。
当然、国会の内閣に対する批判やチェックは機能しづらく、そのままでは権力分立も有名無実化してしまう傾向にある。

そのため、イギリスなどでは、議会の運営や政党助成金など、制度上さまざまな面において野党に与党より大きな機能や権力を与えてきた。
 一方、日本ではそういった野党優遇措置はほとんどなく、唯一、権力分立を保障するために存在していた慣例が質問時間の野党への優遇配分だった。
それが今度は議席数に応じて、野党の質問時間を削ろうというのである。
これは国会の機能停止も同然の暴挙だろう。

 考えてみればいい。
国会で審議される法案や予算案はとっくに政府と与党間で、調整されているのだ。
そんなものに対して、与党が厳しい批判や質問をするはずがない。
与党が与党に質問しても、法案推進のための事前に申し合わせた質問とその回答という茶番劇が繰り広げられるだけ。
つまり、野党の質問時間が削られれば、法案はなんの批判やチェックも受けずに通り放題になる。

 自民党の安倍チルドレンである“魔の3回生”が、与党の若手議員にも平等にチャンスをなどと言っているが、前述したように、政府が国会に提出する法案は大前提として国会入りする前に政調部会などで事前審査を済ませている
与党の議員は、党内議論に参加し自分の意見を法案に反映させることができる。
しかし、
野党は国会に提出されてはじめて法案を見るのだから、与党の質問と野党の質問を同等に扱うことは、まったく平等などではなく著しく不公平なものだ。
 ようするに、連中の言っている「民意を反映」「公平」などというのは、まったくのインチキにすぎない。
実際は、議席数をカサにして、民主主義を破壊し、国会を政権と与党のやりたい放題にしようとしているだけなのだ。
 しかし、驚くのは、この安倍自民党の暴挙に対して、メディアやネットの間でも「野党の質問は与党の批判ばかりで時間の無駄」という意見や、菅官房長官と同様に「国民が選挙で議席を決めたのだから質問時間の割合もそれに合わせるべき」という声があがっていることだろう。

質問時間をもてあまして
般若心経を唱え続けた自民党議員
 言っておくが「時間を無駄」にしているのは安倍首相をはじめとする安倍政権の閣僚たちだ。

特定秘密保護法や安保法制、自衛隊南スーダン派遣、そして森友・加計問題にいたるまで、重要議題において野党からの質問にまともに答えず、ただただ時間を浪費するだけ。
それは共謀罪法案審議中の金田勝年法相(当時)や、森友・加計問題での安倍首相の答弁を見れば一目瞭然だ。
そもそも、野党からの質問の回答になっていないのである。

 そして、何より「時間の無駄」なのは、与党の質問だ。
それを象徴するのが、与党が昨年12月にたった5時間30分ほどの審議で強行採決させたカジノ法案での、自民党議員の質問だ。
 カジノ法案が審議入りした日、衆院内閣委員会において質問に立った自民党の谷川弥一議員は、約40分の持ち時間のうち28分が経過したあたりから
「一応、質問は終わったんですが、余りにも時間が余っているので」
「全部時間を使おうとは思っていませんが」と述べたあと、「般若心経というのがあるんです」と切り出し、おもむろに般若心経を唱えたのだ。
 さらに、谷川議員はなぜか夏目漱石の話をはじめ、「私はきちがいみたいに夏目漱石が好きなんですよ。
全巻12回ぐらい読みました」などと差別語をまじえながら自分語り。最後には「時間が余りましたが、終わります」と締めた。

 ようするに、質問時間を与党7割、野党3割などにすれば、こういった茶番が延々繰り広げられることになる。
これこそが時間と税金の無駄ではないか。
 しかも、恐ろしいのは、この国会での質問削減は国会の機能停止にとどまらないことだ。
安倍政権はこれまで、メディアに徹底した圧力をかけることで政権批判を封じ込めてきた。
そして、もしも野党の質疑時間を削り、国会を与党の独壇場にしてしまえば、今度は根本から議論がシャットアウトされてしまう。
法案はさらに通し放題となっていく上、かろうじて「国会審議の内容」として報じられてきた法案の問題点や不正に対する疑惑の追及も、メディアは取り上げづらくなっていくだろう。  

 イギリスの思想家・ウォルター・バジョットは著書『イギリス憲政論』のなかでこのような趣旨のことを書いていた。
 イギリスは政治の批判を政治そのものにするとともに、政治体制の一部にした最初の国家である。
このような批判の役割を担う野党の存在は、議院内閣制の所産である。
その存在によって、国会は偉大な討論の場となり、民衆教育および政治論争の一大機関となる。  

多くの議院内閣制の国で野党を優遇しているのは、野党を利するという意味ではなく、野党がはたらけることこそが、国民の利益にかなうからだ。
対案を出す必要もなく、野党が、与党に反対し、批判し、攻撃すること。
それこそが、議会であり、民主主義の成立と考えられているからだ。

 安倍政権や安倍応援団の垂れ流す“これこそが民主主義だ”という嘘に騙されてはならない。
質疑時間問題は、安倍独裁の本格的なはじまりの第一歩である。
これがいかに危険なものであるか、メディアはもっと大々的に検証・報道すべきだ。
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2017年11月02日

うつ病の予防のカギは運動・睡眠〜休日の睡眠がいつもより2時間以上長ければ<寝不足>

うつ病の予防のカギは
運動・睡眠〜
休日の睡眠がいつもより
2時間以上長ければ<寝不足>
2017.10.31 ヘルスプレス
文=里中高志
精神保健福祉士。
フリージャーナリスト。
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。
精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。
著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。  

2014年に行なわれた患者調査によると、うつ病を中心とする気分障害の患者数はおよそ112万人――。
 また、少し古いデータになるが、2002年〜2005年に行なわれた疫学調査によると、日本の成人人口をおよそ1億500万人とすると、220万5000人が過去12カ月の間にうつ病の診断基準を満たしたと推計できるという。
 もはや<国民病>とも言えるうつ病だが、じつは「生活習慣病」に似ているところがある。

健康なときから自身の心と身体の状態に気を配ることで予防することができる」と話すのが、国立精神・神経医療研究センター、精神保健研究所の西大輔医師だ。
  西医師は、かつて災害医療センターで自殺未遂患者の救急医療に携わっていた経験から、深刻な事態に至る前に<うつを予防する方法>を研究するようになり、2012年には『うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス)という著書も刊行している。
 西医師のナビゲートのもと、
@睡眠と運動、
A栄養、
B思考パターンの3回に分けて、うつの予防法について紹介したい。

休日の睡眠が平日より
2時間以上長ければ
<睡眠不足>の証拠  
「現在行なわれているうつ病の治療法は、抗鬱薬によるものが主体です。
しかし、私は薬物ではないアプローチ、たとえば栄養や運動でうつ病を予防できないか――という研究をしています」  
「気をつけていただきたいのは、<薬は必要ない>と言っているわけではないということ。
重症のうつ病に薬物療法が有効であることは明らかですが、そのような深刻な状態に至る前に、うつを予防したり重症化を防いだりするためのエビデンスを集めています」

 こう話す西医師が、まず提唱するのは睡眠の重要性だ。
不眠が続くとうつ病が発症しやすくなるだけでなく、睡眠不足によって肥満や糖尿病などの生活習慣病になりやすくなること、さらにうつ病と生活習慣病との間に密接な関係があることも明らかになっているという。
 「平日の睡眠時間が少なくても『休日に寝だめをすれば大丈夫だ』と考えている人は多いのですが、それはいわば<平日に借金をして休日にその返済>をしている状態」
 「どうしても忙しくて睡眠を長く取れないのなら仕方ないが、休日の睡眠時間が平日より2時間以上長かったら、それは平日の睡眠が足りていないのだと自覚をすることも大切です。
睡眠時間を30分〜1時間増やす余裕がまったくない人って、じつはそれほどいないものです」  

ついつい寝る前にネットサーフィンやゲームに時間を費やす人も、<睡眠時間の確保=うつ病の予防>を意識して、少し早めに眠りにつく習慣をつけるのがいいかもしれない。

うつが深刻になる前に
カラダに目を向けること  
 そして、西医師が睡眠と並んで力説するのが運動などを通して<身体に目を向けること>だ。たとえば、有酸素運動などを継続的に行うことでうつ症状が改善することが多くの研究から示されている。
また、最近では寝る前の10分程度のストレッチでも寝付きがよくなり、メンタルヘルスが改善することを示した研究結果もあるという。
軽いジョギングやウオーキングでも人によっては効果的かもしれない。
 だが、その程度の運動でも、うつが重くなると、とてもではないがやる気が起きなくなるだろう。
だからこそ西医師は、うつになってしまう前から身体に目を向けることを勧めるのだ。

 「予防のうえで一番大切なのは、運動量よりも自分の身体に目を向けること。
身体のちょっとした不調や体の使い方のクセなどは気持ちの変調に気づくためのサインになりますし、身体から働きかけてメンタルヘルスがよくなることを実際に経験しておくと、落ち込んだ時にも役に立つと思います」
(取材・文=里中高志)

西大輔(にし・だいすけ)
国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所精神保健計画研究部
システム開発研究室長。

2000年、九州大学医学部卒。
国立病院機構災害医療センター
精神科科長を経て2012年より現職。
2016年より東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻精神保健政策学分野連携講座准教授を併任。
著書に『うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス)がある。
専門:精神保健学、うつ病・PTSDの予防、栄養精神医学、産業精神保健、レジリエンス。
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病気が原因で嘘つきになってしまう? その心理と特徴

病気が原因で
嘘つきになってしまう?
その心理と特徴
2017.11.1 All About

性格のせいではないのかも……
嘘をついてしまう病気とは 程度の差こそあれ、私たちは人の目を気にしながら生きているもの。
周りの人からどう思われているのか、気になることもあるでしょう。
また、周りの人に高く評価されたいという思いが、モチベーションを高める大きな原動力になることもあります。
そんな心理がある中で、周りの人から「あの人は嘘つきだ!」といった目で見られるようになってしまったら大変です。
その人たちの輪の中で気持ちよい人間関係を保っていくのは、かなり難しくなるかもしれません。
しかし、つい嘘をついてしまう背景に、心の病気が関与している場合もあるのです。

ここでは、嘘に関連する心の病気を詳しく解説します。

パーソナリティ障害……
嘘つきが平気になるのも症状のひとつ
相手に嘘をつかれることも、ショックなものです。
嘘の度合いによっては、相手の人格を疑ってしまうこともあるでしょう。
しかし、実はパーソナリティ的に、嘘をつく敷居が低くなっている場合もあります。

もしも自己の何らかの利益や都合のために平気で嘘をつくようになっている場合、反社会性パーソナリティ障害の可能性があることにも注意してください。
反社会性パーソナリティ障害の発症率は人口のおよそ1〜3%前後。
性差は男性に多くなっています。

反社会性パーソナリティ障害では、社会的規範に対するモラルが深刻に低下し、平気で嘘をつくといった問題行動が起きやすくなります。
反社会性パーソナリティ障害の場合、本人が自ら精神科を受診することは少ないですが、対人関係上のトラブルを軽減し、日常生活の質を向上させるためにも、心理療法などの治療を受けることが望ましいです。

アルツハイマー型認知症
・慢性アルコール依存症
・解離性障害……
記憶がないことが嘘の背景にあるケース
もしも、はっきり記憶がない時間が自分にあったとしたら、なかなか嫌なものだと思います。
例えば、仲間と酒を飲んでいるうちに泥酔してしまい、気づいた時は、自宅のベッドの上……しかも服も何も着ていなかったとなると、一体どうやって帰って来たのか、いや、それ以上に、帰る途中、何か間違ったことをしなかったか不安になるかもしれません。
後にその日のことを誰かに尋ねられたら、面目を保つため、適当に答えてしまうこともあるでしょう。
適当に答えてしまうことも、広義には嘘の一形態です。
もしも記憶がない時が頻繁に現れると、作話も多くなります。
例えば、アルツハイマー型認知症では短期記憶が障害されやすく、昨日のことだけでなく、数時間前のことも、全く覚えていないといったことがあります。
また、認知症では現実と、自分が思いこんだことの違いが曖昧になりやすいのも、作話が生じやすい素地になります。
また、慢性アルコール依存症でも記憶障害が現れることがあります。
アルコール依存症では食生活が片寄りやすく、もしも長期間にわたりビタミンB1(チアミン)摂取不足が生じると、脳内の神経細胞の一部がダメージを受け、コルサコフ症候群と呼ばれる病態が生じることがあります。
記憶障害はコルサコフ症候群の特徴的な症状のひとつ。
コルサコフ症候群では、失われた記憶を埋め合わせる作話がよく現われます。
また、記憶のない時間が現れやすい心の病気として、解離性障害が挙げられます。
心の解離が進んでしまうと、まれではありますが、記憶のない時間にもうひとつの人格が現われる、いわゆる多重人格が生じることもあります。
もっとも心の解離自体は、日常的に誰でも経験することです。
例えば、誰かに肩を叩かれてハッと我に返るような時ですが、仮に家族の誰かが大事な相談事を自分にしていたとして、相手が自分に意見を求めてきた時、ハッと我に返っても話の内容が実は頭に入っていなかった……ということはあるでしょう。
その際、相手の話を聞いていなかったことを素直に謝るべきか、それとも適当にお茶を濁した方がよいのかは、なかなか判断が難しいものです。
このような日常レベルを明らかに超えたレベルで、もし身近な誰かに作話が多くなっていることに気付いたら、相手の人格を疑う前に、記憶障害の可能性もあるのではと、一応疑ってみることも大切です。

虚偽性障害……
一般的には嘘と思われる仮病
仮病も時についてしまいがちな嘘かもしれません。
ちょっと人に言いにくい用事ができて持ち場を離れるために、ちょっと仮病を使ってしまう……。
日常生活上、時に起こり得ることかもしれませんが、もしもそれが原因で日常生活に深刻な問題が生じている場合、その反社会性パーソナリティ障害的な傾向には注意が必要です。
また、まれではありますが、病気のふりをすること自体が、仮病の目的になってしまうこともあります。
病気になれば、周りの人は普段よりずっと優しくなるものですが、その優しさを求めて、病人を演じてしまう「虚偽性障害」が挙げられます。
これも嘘に関連する心の病気のひとつです。

以上、今回は嘘に関連する心の病気をいくつか解説しましたが、もちろん大多数の方は時に嘘をついてしまっても、日常生活が深刻に障害されるまでには至らないでしょう。
しかし嘘はつかれた相手にとっては大変嫌なものです。
長年の付き合いを通じて築き上げた信頼関係が、たった一度の嘘で壊れてしまうこともあります。
もしも嘘をついてしまうことで、日常生活上に深刻な問題が生じているような場合、心の病気が関連している可能性もあることを、どうか心に留めておいてください。
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2017年11月03日

不思議だ・・・日本ではなぜ今もガラケーを使う人がいるのか=中国

不思議だ・・・
日本ではなぜ今も
ガラケーを使う人がいるのか=中国
2017年11月2日 15時12分 サーチナ

 なかなか浸透しないと言われていた日本でも、現在ではスマートフォンの所有率がかなり高くなった。
2016年12月のデータによると、平均所有率は64.5%だったという。
年代別では、最も高い10代(15―19歳)では、男性86.5%、女性95.5%にも達し、ガラケーを使っているのは時代遅れという風潮さえある。
しかし、今でも一定数の人が折り畳み携帯を好んで使っており、根強い人気があるのも事実だ。  「折り畳み携帯好き」という日本の傾向は、スマホの普及率が非常に高い中国では不思議に感じられるようで、中国メディアの今日頭条は26日、「どうして日本人は折り畳み携帯を好むのか」と題する記事を掲載して分析した。

 記事は、日本は一眼レフカメラや家電、アニメなどでは高い競争力を持つにも関わらず、スマホ業界では後れを取ったと指摘。
電車に40人に乗っていたら、35人はガラケーだと主張したが、これは誇張しすぎか、あるいはひと昔前の印象だろう。
しかし、日本では中国よりもガラケーに愛着を持つ人が大勢いるのもまた事実だ。

 記事はその理由を4つに分けて説明した。
1つは日本が「島国」ならではの保守性を持っていること、
2つ目に「高齢化」で使い慣れた折り畳み携帯を好む人が多いこと、
3つ目にガラケーと言えどもあまりに性能が優れていて「スマホと大差ない」こと、
最後には大企業数社で「市場を独占」していたためだとした。

日本の折り畳み携帯は、スマホが登場するまですでに大きな進歩を遂げていて、インターネットや、モバイル決済、音楽、読書、SNSもできてあまりに万能だったと振り返った。
 その点、ガラケーの機能が限られていた中国では、スマホが受け入れやすかったのだろう。
また、日本と違い月々の利用料金が安いことや、無料のWi-Fi環境が多いことも手軽さを後押ししていると思われる。
しかし、時代の波には逆らえないようで、日本でも折り畳み携帯を見かけることはずいぶん少なくなった。
今でも新機種が発売されているようだが、この先も生き残るかどうかは微妙なところだろう。(編集担当:村山健二)
*小だぬきもガラケーです。
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2017年11月04日

安倍が「文化の日」を「明治の日」に

「文化の日」が「明治の日」に?
安倍首相と日本会議が
推し進める大日本帝国憲法と
明治の価値観の復権運動
2017.11.03 LITERA編集部

 きょうは「文化の日」だ。
1946年のこの日に現在の日本国憲法が公布され、その2年後、憲法の精神に基づいて「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日として文化の日は生まれた。

 しかし、そうした「文化の日」の考えを全否定するような動きが、近年広がっている。
「文化の日」を「明治の日」に変えよう、というのだ。
 きょうは明治天皇の誕生日であり、戦中の1926(昭和2)年に「明治節」が制定された。
「明治の日」に改めようと祝日法改正を目指す団体「明治の日推進協議会」は〈明治時代を振り返ることを通じて国民としてなすべきことを考える契機にした方が良い〉と主張。
同団体が昨年11月1日に国会内でおこなった集会では、自民党から安倍首相に近い議員ら12人が駆けつけた。

参加した自民党議員の発言を朝日新聞から拾ってみる。
「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるというのが明治維新の精神だった。
その精神を取り戻すべく、心を一つに頑張りたい」(稲田朋美前防衛相)
「神武創業の原点にしっかり立脚した『明治の日』を実現していくことが、日本人の精神の独立につながると確認している」(高鳥修一衆院議員)

 神武天皇が実在したと本気で考えているのだろうか。
読むだに頭がクラクラしてくるが、これこそが安倍政権の目指す国家像なのだろう。
それは、戦後日本を否定して、明治憲法下の日本へ戻すということだ。

 数々の侵略戦争によって多くの国の人間の命と自由を奪い、日本自体も滅亡の危機に追い込んだ「大日本帝国」を取り戻したいとは正気の沙汰とは思えないが、こうした明治日本への憧憬、回帰願望は単なる懐古趣味と笑っていられる状況ではない。
実際に、「明治を取り戻す」動きが本格化しているからだ。

戦後始まった国体にも
「明治」の冠をつけるよう圧力
 たとえば、来年2018年は1868年の明治維新から150年の節目となるが、来年の秋に福井県で開催される福井国体と全国障害者スポーツ大会の名称に「明治150年」という冠称を付けることをスポーツ庁が福井県に要請。
日本体育協会は今年8月25日、その通りに決定した。
「明治150年」という冠称を付けることについては、福井県労連など7団体が反対の申し入れをおこない、
「国体は戦後に始まったものであり、明治とは無関係。
明治150年で真っ先にくるのは『戦争の100年』という記憶であり、冠にふさわしくない」と県民、県議会での議論を求めていたが、そうした意見は撥ねつけられた格好だ。

 さらに、今年1月には、明治維新から150年の記念事業として明治期の国づくりなどを題材とした映画やテレビ番組の制作を政府が支援することを検討しているという報道がなされた。
菅義偉官房長官はこれに関し、「大きな節目で、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは重要だ」とコメント。
なぜ「明治期の国づくり」限定で国が金を出すのか、とても納得できるものではないが、このとき映画監督の想田和弘氏は、ツイッターで以下のように怒りを表明している。
〈戦時中の国策プロパガンダ映画を思い出す。
つまらない映画にしかならないことは確実だが、映画を馬鹿にするんじゃないよ。
映画は政治の道具ではない〉

 しかし、今年7月の中間とりまとめでは、「明治150年」関連施策として実に100を超える事業がラインナップされているのである。

 ことあるごとに安倍政権が繰り返す、明治日本=大日本帝国の正当化。
そのもっとも象徴的な動きが、2015年7月「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録へのゴリ押しだ。
 この世界遺産登録については、安倍首相は幼なじみでもある発起人の女性に「君がやろうとしていることは『坂の上の雲』だな。
これは、俺がやらせてあげる」と語るなど、安倍政権の強い意向が働いていたことが明らかになっている。
その背景に、明治日本の近代化を誇り大日本帝国の植民地主義を正当化、アピールしようという意図があったのは明らかだ。

 事実、安倍首相は戦後70年談話のなかで、明治の日本と日露戦争について、以下のように語っている。
「百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。
圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。
その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。
アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。
日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」

安倍首相が絶賛する
大日本帝国憲法と明治の価値観、
日露戦争
 明治日本の植民地主義を正当化し日露戦争を良い戦争だったなどと語る安倍首相の歴史観は看過しがたいものだが、安倍政権はこうした明治=大日本帝国賛美の施策を次々と打ち出しており、「明治の日」への祝日法改正運動はそれとリンクした動きなのである。

 実際、「明治の日推進協議会」は、かつて「昭和の日」(4月29日)実現運動を推進したメンバーを中心に2011年に結成。
役員にはジャーナリストの櫻井よしこ氏や、安倍首相のブレーンの一人とされる伊藤哲夫氏(日本政策研究センター代表)のほか、代表委員に百地章氏(日本大学法学部教授)、所功氏(京都産業大学法学部教授)といったお約束の日本会議系学者も名を連ねており、日本会議の別働隊といってもいいだろう。

 4月29日は昭和天皇の誕生日であり、1988年までは「天皇誕生日」だった。
それが、昭和天皇の崩御によっていったんは「みどりの日」となった。
「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心を育む」というのがその趣旨だが、そこには生物学者であり自然をこよなく愛した昭和天皇を偲ぶ意味も込められていた。
ところが、極右勢力にとっては、それが気に入らなかった。
そこで、神道政治連盟などが中心となって運動が起こり、「みどりの日」を「国民の休日」だった5月4日に無理やり移動させ、4月29日の「昭和の日」を押し込んだのだ。
このときとほぼ同じ人たちが、「明治の日」実現のために集まっているのである。

 明治憲法と日本国憲法の最大の違いは言うまでもなく主権者が誰かということだ。
明治憲法下では天皇が主権者だった。
だから、「神聖にして侵すべからず」存在である天皇に関することが祭日になっていた。
戦後、天皇は人間宣言をして、日本は新憲法のもと国民主権の国家になった。
それに伴い休日も天皇中心の祭日から、「国民こぞって祝い、感謝し、記念する」国民の祝日へと変わった。
これを旧に戻すということは、国民主権の否定にほかならない。

 だが、安倍首相はそうした暗い欲望を隠さない。
安倍首相は2015年8月、地元・山口で開かれた会合のあいさつで、
明治維新から50年後が寺内正毅首相、
100年後が佐藤栄作首相で、いずれも山口(長州)出身だったと指摘して、
「頑張って18年までいけば『(明治150年も)山口県出身の安倍晋三となる』と語っていたという(朝日新聞より)。
そして、先の総選挙の結果によって、その夢は実現されようとしている。

「自由と平和を愛し、文化をすすめる」という現行憲法の精神を破壊し、大日本帝国を取り戻そうとする安倍首相。
明治150年を首相として迎えたいという安倍首相の夢は今まさに実現に近づこうとしている。
それは、国家主義、軍国主義に突き進んでいくことを意味しているのである。
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2017年11月05日

壮大な楽観主義?

牧太郎の大きな声では言えないが…
壮大な楽観主義?
毎日新聞2017年10月31日 東京夕刊

たまに、ごちそうになる。
 「この店はグルメ本の常連だ。気に入ったか?」と招待主が聞く。
 たまにだが、ちゅうちょする。
まずいのだ。口に合わないのだ。
 親しい間柄なら「味が、ちょっと」と言うのだが……
“お偉方”だったりすると「ありがとうございます。実においしかった」と答えてしまう。

ああ、俺って、うそつきだ!
 聞く方も社交辞令。答える方も社交辞令。
このくらいのうそは許されるとは思うが、考えてみれば、この店にとって「まずい!」と正直に言う客がいた方が良い。
グルメ本で褒められただけで、努力しない。
これは「壮大な楽観主義」ではないか?

 8月にこのコラムで「“東京五輪病”を返上!」と書いたのは、同じような気分だった。
日本人の多くがうすうす「東京五輪はまずい!」と気が付いているのにうそをついている。  「迷惑だ!」と思っているのに「お国のため」と我慢している。

 例えば、日本最大の見本市会場「東京ビッグサイト」。
約20カ月間、東京五輪の放送施設になる。
一般社団法人「日本展示会協会」の試算によると、その結果、232本相当の見本市が中止になる。
 右半身まひの僕は、毎年、新しい介護用品を求めて、見本市に行く。
が、これも中止になるかもしれない。
介護用品を作る企業の広告宣伝費はほとんどゼロだ。
見本市が「頼り」なのに、それができなくなる。

 ビッグサイトを利用する企業は約7万8000社。
そのほとんどが中小企業。
見本市が無くなると、約2兆円の売り上げが失われるという。
東京都は「仮設館」を造るというが、それでも、今までの54%程度しか展示できない。
海外の企業は、この間に中国、韓国、香港、シンガポールにシフトするだろう。

 東京五輪は「有名だが、味が最悪のレストラン」のような存在。
「壮大な楽観主義」に支配されている。
 五輪の開催コストを冷静に計算しよう。
そうすれば「誰か」が五輪でもうけているのか?
 誰が迷惑しているか?がよく分かる。

 たまにだが、聡明(そうめい)な指導者が「壮大な楽観主義」で手痛い傷を負うことがある。衆院選もそうだ!とは言わないが、東京五輪も空気のような「淡い期待」で成功するような代物ではない!
        (客員編集委員)
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2017年11月06日

風邪をひきやすい人、ひきにくい人。 その差はどこに?

風邪をひきやすい人、
ひきにくい人。
その差はどこに?
2017.11.4 Mocosuku

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

寒さが染みる季節になってきました。
朝晩と日中の気温の寒暖差が激しく体温調節の難しい日が多いですね。
風邪を引いている人も少なくないのではないでしょうか。
ところで、風邪をひきやすい人、ひきにくい人がいるのはどうしてなのでしょう。
また、その差はどこにあるのでしょうか。

今回は「風邪をひきやすい、ひきにくい」ということについて考えてみたいと思います。

風邪を引きやすい人:
医師の見解

大川原華織医師(内科医)
 生活が乱れている方は、多忙な毎日のため休養が足りず、多くのストレスにさらされがちです。
 忙しさから外食が続くと、高糖分・高脂肪の食事に偏り、ビタミン類や食物繊維の不足なども起こりやすくなります。
 これらが重なった場合、免疫システムが低下すると言われますので、風邪もひきやすくなるでしょう。 (出典:マイナビニュース http://news.mynavi.jp/articles/2016/10/18/cold/

西口めぐみ医師(内科医)
 風邪をひきやすいのは、とくに仕事で忙しくしており、睡眠不足の人です。
 そういうタイプの人は市販の風邪薬を飲んでも治らず、夜間の救急外来に来られるケースが多いです。
 また、そういった方の場合、ストレスにさらされていることが原因になっていることも。
 というのも、ストレスには免疫を下げてしまう悪い働きがあるからです。
(出典:エッセオンライン、https://esse-online.jp/32059

新見正則医師(漢方医)
 漢方医学では、筋肉が少なく、消化機能も悪い「虚証」の人は、免疫力が低く風邪もひきやすい。
 太っていても、ポチャポチャしたタイプは「虚証」。
 体重ではなく、筋量と消化力が免疫力にかかわってくるのです。
(出典:東洋経済オンライン、http://toyokeizai.net/articles/-/24537

ご覧のように、風邪をひきやすいタイプはストレス、生活習慣の乱れ、免疫力の弱さ、そして、ある種の体質がキーワードになりそうです。
風邪をひきにくい生活習慣 前項の医師の見解から、
「ストレスがない、ストレスに強い」「生活習慣が整っている」「免疫力が強い」ことは、風邪をひきにくい要因となるでしょう。

具体的には次のようなことです。
十分な睡眠をとる
起床したら朝日を浴び、朝食を摂る バランスの取れた食事を摂る
上手にストレスを発散させる
楽しく会話したり、笑ったりすることがよくある 定期的に運動し、休養を取っている 入浴などリラックスする時間をとっている
身体を冷やさない(温める)
手洗いやうがいなど、風邪をひき起こすウィルスに感染しないように予防を講じている

このように、ストレスを回避し、生活習慣を整え、感染予防を心がけることで、自ずと免疫力は高まっていきます。
また、もともと虚証で身体が弱い人や、加齢により免疫力が低下している人なども、ストレスや生活習慣を整えることで、もてる免疫力を最大限に保つことができるようになります。

風邪をひきやすい「虚弱体質」
それでは、風邪をひきやすいというのは、前述のような環境や生活スタイルといった「後天的要因」によるものだけなのでしょうか。
辞書(大辞泉)には、体質とは「からだの性質。遺伝的素因と環境的要因との相互作用によって形成される、個々人の総合的な性質」とあります。
「風邪をひきやすい体質」は、もっとも典型的な例として挙げられています。
「風邪をひきやすい体質」としてあげられる虚弱体質は、正式な医学用語ではありません。

しかし、東洋医学にも精通している消化器の専門医によると、次の条件が重なることで「虚弱体質」が作られると考えられています。

胃腸が弱く、便秘や下痢を起こしやすい
呼吸器が弱く、風邪などをひきやすい
心臓血管系が弱く、いつも青白い顔をしていて、貧血になりやすい
精神的に脆弱である
骨や筋肉が細い

こうした虚弱体質には、冷え性や代謝が悪い、免疫力が低い、などの特徴も伴います。
ところで「体質」は、辞書の定義にもあるように、食事や生活習慣などにより後天的に作られると同時に、先天的に継承されるものでもあると示唆しています。
ただし、遺伝的側面に関する科学的なアプローチは、今のところ先端的な研究が端緒についたところです。

たとえば 、虚弱体質や免疫力の弱さ、あるいは、ストレスになりやすさが、どの遺伝子やその組み合わせの影響によるものなのかを解明するゲノム研究は、先端的な研究が端緒についたところのようです。
今後にその解明が期待されます。

【参考】
・コトバンク 食の医学館「虚弱体質」(https://kotobank.jp/word/%E8%99%9A%E5%BC%B1%E4%BD%93%E8%B3%AA-794738
・理化学研究所 プレスリリース(http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170530_1/

<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。
産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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2017年11月07日

謙虚な季節=山田孝男

風知草
謙虚な季節=山田孝男
毎日新聞2017年11月6日 東京朝刊

 第4次安倍内閣の合言葉は「謙虚」である。
 衆院選圧勝の夜、テレビに登場した首相は「今後も謙虚に、誠実に」と繰り返した。
明くる日も、組閣後も、記者会見で「謙虚」な施政を約束。
各閣僚も「謙虚」を誓い合った。
 いつまで持つか興味深いが、攻める側の、野党の課題はさらに重い。
     ◇
 国会には、
(1)通常国会(毎年1月中に召集、150日間)
(2)臨時国会(随時)
(3)特別国会(衆院選後)  の3種類がある。

 特別国会は体制一新に伴う議長選出や首相の指名が主目的。
開会中の今国会がこれにあたる。

 今国会に先立ち、与党は会期8日間を提案した。
野党が「短い」と反発。
綱引きの結果、12月9日まで39日間と決まった。
 政府が折れた理由の一端は、再選された大島理森(ただもり)衆院議長(71)の意向にあるという評判だ。

大島に確かめると、こう答えた。  
「これは、ふつうの特別国会じゃない。
野党は(6月以来)臨時国会を求めてきた。
政府は開くには開いたものの、冒頭解散(9月28日)。
このまま何も(審議)せず、年を越すのはどうか。
民主主義は議論による統治ですから」

 当選12回。自民党国対委員長の通算在任期間が歴代最長1430日。
与野党に顔が広い、大島らしいバランス感覚だろう。
 衆院議長は新議員の投票で決まる。
過半数を握る最大政党の代表が座る。
事実上、自民党総裁=首相の指名。
選挙ごとの交代が通例である。
選挙をまたいでの再選は2005年9月、小泉政権時代の河野洋平以来12年ぶりという。

 大島は第2次海部内閣の官房副長官として現天皇陛下の即位の礼・大嘗祭(だいじょうさい)を経験。
今年は各党協議を主導し、天皇退位へ向けた特例法を成立させた。
 大島議長続投は、皇位継承を見据えた首相の決断に違いない。
     ◇
 会期39日間とはいえ、首相は米大統領を迎え、10日からはアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でベトナムへ。
 つまるところ、首相所信表明演説と実質審議は17日から。
この間、10日に文部科学省の審議会が加計(かけ)学園獣医学部の設置を認可する見通しだ。20日から両院代表質問。
27日から3日間開く両院予算委での疑惑追及が山場らしい。

 なるほど、「森友」「加計」問題は疑問だらけである。
官僚のゴマスリ、首相の開き直りと過剰抗弁、首相夫人の軽率、合理的説明の欠如−−。
 しかし、では政権交代かと言えば、その選択肢がなかった。
それが衆院選に表れた民意だろう。

 野党−−特に分裂した民進党、立憲民主党、希望の党の前途は険しい。
 「向こう1年は内紛でしょう。
民進党の百数十億円の政党資金分配が焦点。
19年夏の参院選候補者を決めるころ、ようやく新しい形が見えるのでは?」と練達の議会関係者。
 それでも与野党攻防は続く。
今国会の予算委の運営をめぐり、与党が質問時間配分の見直しを求めた。
野党8割、与党2割という慣行を改め、与党にもっと時間を−−と。
 野党は反発したが、疑惑追及の決め手はあくまで材料である。
国民は衆院選を通じ「見せる政治」の不毛を確かめた。
問題は見かけの「謙虚さ」「強さ」ではない。
攻守とも論戦の質が問われている。
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2017年11月08日

今季の箱根は3強体制になるのか。全日本を制した(母校)神奈川大の本音は?

今季の箱根は3強体制になるのか。
全日本を制した
神奈川大の本音は?
2017/11/06  Nunber web( 生島淳)
*神奈川大は小だぬき母校

全日本大学駅伝のゴール地点、伊勢神宮内宮にある洗面所。
 隣になったのは、神奈川大学の大後栄治監督だった。
妙なところで鉢合わせしたものである。
あと数分もすれば、先頭の神奈川大のアンカー、鈴木健吾が飛び込んでくる。
歓喜の瞬間はもうすぐそこだ。

「監督、想定通りだったんじゃないですか」
 大後監督は、淡々と手を洗っている。
「想定通りというか、まあ……」
 そう言って微笑んだ。

 神奈川大にとって、20年ぶりの優勝
絶対にうれしいはずだ。
しかし、そんな素振りはおくびにも出さない。
 アンカーの鈴木が胴上げされるのを、大後監督は微笑みながら見ていた。
監督自身は、胴上げをやんわり断った。
「近くに、2位の東海さんもいましたからね」  いい光景だった。

日体大のマネージャー時代に培った方法論。
 1990年代、大後監督は天下を取った。
 1964年に生まれた大後監督は、日体大時代はマネージャーだった。
今もそうだが、日体大のマネージャーは記録会の自主運営など、驚異的な仕事量をこなす。
 当時の日体大は監督が不在だったため、学生主導で練習が行われていた。
そこで大後監督は寮にあった以前から伝わる練習計画に隅から隅まで目を通し、練習の立案をしていた。
それが「指導者・大後栄治」の基礎を作った。

 1989年に24歳の若さで神奈川大のコーチに就任すると、「日体大メソッド」を導入して3年目で箱根本戦復帰、4年目でシード権を獲得。
そして1997年に初優勝し、翌年には連覇した。
 選手たちに徹底して走り込ませ、箱根駅伝ディスタンスであるハーフマラソン仕様に仕上げ、天下を取ったのである。

「1990年代は、走りこめば
優勝までたどり着けた」
 しかし21世紀に入って、神奈川大は苦戦を強いられる。
まず、リクルーティングで後手を踏まざるを得なかった。
その頃から、明治、青山学院といったいわゆる「ブランド校」が本格的な強化に乗り出し、選手たちの流れが変わった。
神奈川大は2004年の8位を最後に、シード圏外へと転落していった。

大後監督は振り返る。
「1990年代は、まだシンプルでした。
それほど強化に乗り出している学校も多くなかったので、しっかりと走り込めば優勝までたどり着けたんです。
でも、落ちていくのはアッという間でしたし、今は這い上がってくるのが大変で」

 ついに、2010年には予選落ちした。
どん底である。
しかし、この事件があったからこそ、V字回復が可能になった。
「あそこが分岐点でした。
予選落ちした時点で、他の大学だったら、私は指導者として脇に退かざるを得なかったかもしれません。
でも、神奈川大は懐が深くて、学生長距離界がどんな競争をしているのか、耳を傾けてくれた上に、強化を根本から見直すことが出来たんです」

走りの効率を追求し、
年末はレギュラー以外帰省。
 そこから強化体制が変わった。
練習環境でいえば、クロスカントリーのコースが整備され、大後監督自身も指導方針をアップデート、いや、モデルチェンジをした。
「今は、『走りの技術』を重視するようになりました。
効率のいい走り方を追求するようになって、選手たちは明らかに変わりました」
 最近は大後監督から、「コンディショニング」という言葉を頻繁に聞くようになった。

 昨年はまだ市販されていなかった栄養補給食品「ボディメンテ」をレギュラークラスの選手たちに与え、最高のコンディションで箱根駅伝を迎えられるようにしたり、年末は箱根のメンバーから漏れた選手たちを一旦、帰省させもした。
「大学によっては、感染症の予防でレギュラー以外の選手は帰省させることがあります。
でも、私は箱根こそ部員全員で戦うものだと思っていたので、やっていなかったんです。
しかし風邪が疑われる選手が出ると、スタッフの労力も増えてしまう。
思い切って帰省させると、その選手たちにとってもいい気分転換になったようで、マネージメントとしては成功しました」

アンカーの鈴木健吾は、
高2の冬に神大入りを決めた。
 そして、忘れてならないのはリクルーティング、人材獲得競争での努力だ。
 今回ゴールテープを切った鈴木健吾は、今や東京オリンピックを狙う逸材となったが、大後監督のレーダーにかかってきたのは鈴木が無名も無名、まだ彼が宇和島東高校1年の時だった。

「『いい走りをする選手がいます』という情報をもらいましてね。
彼がブレイクしたのは高校3年のインターハイの時でしたが、ほとんどの監督さんはノーマークだったと思います。
インターハイのゴールの瞬間、『あの選手は、どこかに決まってるのか?』という声が聞こえたので、私が『ウチに決まってます』と手を挙げたんですよ(笑)」
 鈴木が神奈川大に決めたのは、高校2年の冬のことだった。
「先着」がリクルーティングのキーワードだった。
「青山学院さん、東海さん、選手たちは強い学校に惹かれて当然です。
だったら、ウチは初動を早くするしかない。
高校2年の段階で5000mを14分45秒で走れるのなら、神奈川大としてはスカラシップ(奨学金)の対象選手になります」

 鈴木が入学してきた2014年を境に、選手たちの力は向上し始めた。
箱根駅伝では2015年17位、2016年13位と上昇気流に乗り、2017年には2区で鈴木健吾がトップに立ち、往路は6位、総合では5位に入って、シード圏内に帰ってきたのである。
 そして今年の1月、合宿所に大後監督を訪れると、「来年(2018年)の箱根は、往路優勝を目指します」と、監督は宣言したのである。
「ひょっとしたら、ひょっとするかな」
 その前に、全日本の歓喜が訪れた。

指揮官は、絶対に手応えを感じていたはずなのに、レース前も、 「まあ、最低限シード獲得の6位あたりで……」 と多くを語らなかった。
しかし、8人全員が見事な走りを見せて優勝を飾ると、少しばかり本音を話してくれた。
「事前にひょっとしたら、ひょっとするかな、という思いはありました。
でも私がそんな思いを少しでも出したら、選手たちは勘違いしてしまうかもしれない。
だから、順位目標は一切口にはしませんでした」

今回の学生の走りは
何点ですか? と聞くと……。
 今回の全日本のポイントは、鈴木健吾以外の7人がどんな走りをするか、という部分にあった。 「アンカーの健吾が走るのは分かってましたから、それまでの7人がどういった形で健吾にタスキを渡せるのか、その一点が今回の全日本のポイントでした」
 ならば、今回の学生の走りは何点ですか? と聞くと、 「満点」 とひと言いうと、大後監督はそこで初めて破顔一笑した。
学生の走りが、本当にうれしかったのだろう。

 今回の全日本での優勝は、箱根駅伝に新たなストーリーラインを生んだ。
 目標は往路優勝ではない。  きっと、総合優勝だ。
 しかし、ここでも大後監督は淡々としていた。
「東海大、そして青学大の選手たちは忸怩たる思いを持っていることでしょう。
彼らは強いですから。
ウチはもう一度引き締め直して、再チャレンジです
 11月21日に53歳を迎える大後監督は、再び天下取りを目指す。

 箱根の彩りがますます豊かになってきた。  
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2017年11月09日

トランプがむさぼる8兆円 安倍政権“大盤振る舞い”の代償

トランプがむさぼる8兆円
安倍政権“大盤振る舞い”の代償
2017年11月8日 日刊ゲンダイ

 蜜月アピールの代償は、やはり大きかった。
トランプ米大統領が3日間の日本滞在を終え、次の訪問先の韓国へ飛び立ったが、度肝を抜かれたのは安倍首相の気前の良さだ

先立って来日した長女・イバンカ補佐官が関わる女性起業家の支援基金に、ポンと5000万ドル(約57億円)を拠出すると表明したのはホンの序の口。
トランプに渡した“手土産”の額は軽く1兆円を上回る。
「米国は日本との間に年700億ドル(約8兆円)もの貿易赤字を抱えている。
対日貿易は公正ではなく、開かれてもいない」

 ゴルフなどの接待漬けも通用せず、トランプが安倍首相に一歩も譲らなかったのが、対日貿易赤字の是正だ。
 第2次安倍政権になってから、単年度で賄い切れない高額兵器の購入時に、次年度以降に分割して支払う「後年度負担」をフル活用。
米国の言い値で高額兵器を買いまくり、後年度負担のツケは約5兆円の年間予算とは別に5兆円以上もたまっている。
 事実上、GDPの2%に達する防衛費を投じても、対日貿易赤字は一向に埋まらない。
そこで安倍政権がトランプ政権に持ちかけたのが、米国産シェールガス輸出拡大への全面協力である。

 日米両政府はきのう(6日)の首脳会談に合わせ、新興国へのエネルギーインフラ輸出で協力する覚書を締結。
東南アジア各国やインドなどに、米国のシェール由来の液化天然ガス(LNG)を売り込むため、日本が官民挙げて現地でLNGの発電所や運搬船基地などの建設を支援する。
支援額について、日本政府は「1兆円規模」(世耕経産相)と表明した。

■米国の輸入“地ならし”に
1兆円差し出す馬鹿さ加減  
シェールガスの輸出が増えれば、米国の貿易赤字も削減できる。
トランプに手っ取り早く赤字を解消してもらうお膳立てに1兆円ものジャパンマネーを差し出すのだ。

「米国産LNGは石油や他国のLNGと比べて割高です。
今年から輸入を始めた日本の電力会社も、コスト押し上げの要因となって苦しんでいます。
北極圏開発を進めるロシアが、より格安のLNGを売る計画もある。
日本が輸出の“地ならし”をしても、新興国が米国産LNGの調達に二の足を踏めば意味がない。1兆円規模の支援が単なる外交目的の『捨て金』となりかねません」(経済評論家・斎藤満氏)  

安倍首相が人気取りのため、トランプに拉致被害者の家族と面会させたことにもデメリットはある。
トランプが核・ミサイル問題に加え、拉致という人権問題にまでクチバシを突っ込めば、北朝鮮はさらに反発。
いよいよ対話の糸口を探すのが困難となる。

「会計検査院は先日、米国から調達した武器の購入費を巡り、過払いの可能性を指摘。
計64件、総額約672億円の支払いに過払いの疑いがあるのです。
安倍首相も首脳会談の席で『調べて返金せよ』とトランプ大統領に迫るべきなのに、逆に『日本は大量の装備品を買うことが好ましい』と念を押される始末。
消費税率10%引き上げで見込まれる5兆円強の増収分を全額、武器購入に充てなければ許されない勢いで、心配になります」(斎藤満氏)

 安倍首相の隷従外交により、トランプは完全に図に乗ってしまった。
今後も8兆円の赤字が埋まるまで、対日FTA交渉などで容赦なく無理難題を押しつけてくるに違いない。
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2017年11月10日

横田さんはトランプに戦争しないでと伝えたいのに安倍が

横田早紀江さんが
トランプ大統領に
「戦争しないで」と伝えたい
意思を明らかにするも、
安倍応援団が発言封じ込め
2017.11.05 LITERA編集部

 5日、アメリカ・トランプ大統領が来日した。
その日程について松山英樹プロを同行したゴルフやピコ太郎との面会の話題など、安倍首相のパフォーマンスばかりが目につくが、注目されるのが、トランプ大統領と拉致被害者である横田めぐみさんの両親(父・滋さん、母・早紀江さん)との面会だ。

 その早紀江さんがトランプとの面会を前に10月17日行った会見でこう訴えたのだ。
「戦争などやらないように。平和にやるように期待している」(「サンデー毎日」11月12日号より)
 他のマスコミはこの発言をなぜかほとんど取り上げなかったが、しかし、横田さんがこうした心配を募らせているのは当然だろう。
トランプ大統領は、「北朝鮮を完全に破壊する」といった挑発を繰り返しているだけでなく、本格的な軍事力行使を決心したとの情報も流れている。
そして、日本の安倍首相もトランプを制止するどころか、全面的な支持を表明。
自らも国連総会で「必要なのは、対話ではなく圧力だ」と発言。
1日の会見でも北朝鮮対策を問われ「圧力を最大限まで高める」と宣言した。
 この来日中の会談でも、トランプ、安倍の両者の間で、北朝鮮への先制攻撃することが秘密裏に合意されるのではないかともみられている。

 しかし、もし本当に戦争になどなれば、拉致被害者が犠牲になる可能性は高いし、人質として盾のような扱いを受ける可能性もある。
早紀江さんの発言は、拉致被害者家族としてはごく当たり前の心情だろう。
 だが、この早紀江さんの思いはトランプ大統領に届きそうにない。
他でもない、安倍首相とその応援団が早紀江さんの発言を封じ込めようと躍起になっているからだ。
 実は、トランプに面会した際、戦争反対を伝えたいと考えていた早紀江さんに対して、安倍応援団が介入し、制止したことを、10月31日発売の「女性自身」(光文社)11月14日号が暴露している。

早紀江さんの「戦争しないでと言おうかな」発言に「救う会」関係者が
 記事によれば10月19日、クリスチャンの早紀江さんを囲む後援会的集会「祈りの会」が開かれたが、そこで早紀江さんが参加者にこんなことを語ったというのだ。
〈「トランプさんに会ったら、“戦争はしないでください”と言おうかな、それとも政治的発言は控えたほうがいいのかな」〉
 17日の会見での発言に続いて、早紀江さんの切迫した思いが伝わってくる発言だが、しかし驚くのはその直後の出来事だ。
記事によると、同会に出席していた「救う会」関係者が、早紀江さんのこの言葉をさえぎるようにこう発言したという。
〈「政治的発言はしないほうがいい。大統領に会えるのも安倍さんのおかげなんですから」〉

「救う会」といえば、表向き拉致問題の解決と被害者家族の支援を謳っているが、実態は安倍首相を礼賛し、排外的ナショナリズムを煽り、北朝鮮への先制攻撃を叫んでいる極右団体。
本サイトでは先日、拉致問題と被害者家族を政治利用する安倍首相と安倍応援団に成り下がった「救う会」の実態を告発する元幹部の証言をこう紹介した。

〈何か疑問を口にすると「安倍さんの足を引っ張るのか」「安倍さんに迷惑をかけることなど絶対にするな、言うな」と言われて、黙るしかない〉
安倍首相や「救う会」によって拉致問題は道具にされ、被害者家族の子を思う親の気持ちもまた利用されている
〈相互の利害が一致して、拉致問題を利用し合っている。被害者のご両親は別として、「救う会」、政府とも、問題が解決しないほうが都合がいいと思っているとしか思えない〉

「女性自身」が報じた早紀江さんの発言封じ込めは、まさにその一体化している安倍首相の意向を代弁したものとも言えるだろう。
「実際、官邸は早紀江さんの面会での発言に相当、神経を尖らせているようです。
いろんなチャンネルを通じて、『トランプ大統領を怒らせるような発言をするのは得策ではない』と圧力をかけているようです。
また、御用マスコミに対しても、官邸が早紀江さんの発言を取り上げないよう要請しているらしい。
17日の会見での『戦争などやらないように』発言があまり取り上げられなかったのも、そのせいかもしれません」(官邸担当記者)

安倍首相は拉致被害者を
政治利用しているだけで、
救う気などなし
 安倍首相は北朝鮮危機が勃発して以降、これまで以上に拉致問題を自分の人気取りに政治利用してきた。
たとえば先の解散総選挙直前には拉致被害者家族と面会、「国民大集会」に出席し拉致問題が最優先課題だと強調。
また9月19日に国連総会でトランプが拉致被害者に言及したが、安倍首相はその後再び被害者家族と面会し、国連でのトランプ発言におけるみずからの功績を熱心に説明していたほどだ。

 そしてぶち上げたのが、トランプ大統領と拉致被害者家族との面会の実現だった。
安倍首相は衆院選真っ只中の10月12日、新潟県での演説で、高らかにこう宣言している。
「トランプ大統領と行った首脳会談で私は、『大統領、ぜひ11月に日本を訪問した際には、めぐみさんのご両親、拉致被害者のご家族に会う時間をとってください。会ってください』。
こうお願いをしましたらその場で、『分かった、シンゾー。その皆さんと会うよ。
ほんとにひどい話だ。日本の拉致被害者救出をするために、全力尽くしていく』と約束をしてくれました」

 にもかかわらず、一方では拉致被害者家族の当然の思いをトランプに伝えさせないよう、圧力をかけているのだ。
 これは、安倍首相の本当の目的が北朝鮮を武力攻撃することにあって、拉致問題の解決なんてまったく本気で考えていないことの証左だろう。
 早紀江さんは、4日にも時事通信の取材に応じ、北朝鮮への対応について「制裁も必要だが、対話も必要だ。
侮られてはいけないが、追い詰めるだけでもいけないのでは」
「戦争だけはやめてほしい。
人を殺りくして街も壊滅するのでは意味がない」とあらためて戦争反対の思いを語っている。  

早紀江さんが実際、トランプとの面会でどんな発言をするのか注視されるが、これ以上拉致問題と被害者家族を安倍首相の“おもちゃ”にさせていけないことだけは確かだ。
   (編集部)
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2017年11月11日

こんな症状が出たら注意! 脳梗塞が起こると現れるサインを見逃すな!

こんな症状が出たら注意! 
脳梗塞が起こると
現れるサインを見逃すな!
2014.1.3  NHK出版

*小だぬきも「ロレツがまわらない」、「左腕のしびれ、右指の震え」「急に仰向けに倒れる」「歩くのがつらい」症状が出たので 一昨年から脳外科と整形外科でMRI検査を定期的にしながら 薬で血流を良くしています。
脳外科では小さな脳梗塞、整形外科では頸部血管・神経の狭窄」が発見されました。
ただ症状の出方から「精神科」とも連携して「薬」でコントロールをしています。
杖の使用と転ばないようになどの注意を言われています。
整形外科には、4月中旬まで手術を延ばせないか今日 10日に要望しました。
情けないことに左親指が痛いと申告したところ 腱鞘炎で注射を打たれ、帰宅後 爆睡してしまいました。

「脳梗塞」とは、脳の血管が詰まって血流が途絶える病気を言う。
早期治療が重要であるため、東京女子医科大学 主任教授の内山真一郎(うちやま・しんいちろう)さんは、「脳梗塞が疑われる症状が現れた場合は、直ちに救急車を呼んで専門の医療機関に搬送してもらいましょう」と説く。
早く適切な治療を受けるために知っておきたい「脳梗塞のサインとなる主な3つの症状」を内山さんにうかがった。
* * *
脳梗塞とは 脳梗塞とは、脳の血管が詰まる病気で、命に関わるだけでなく、病後に重い後遺症を残すこともあります。
脳の表面には、頚(けい)部から伸びる太い血管が張り巡らされています。
さらに、太い血管から分かれた細い血管が、脳の奥へ縦横に伸びています。
このように脳全体が血管に覆われることによって、脳の隅々まで血液が供給されます。
脳の血管が詰まると、そこから先には血液が流れていかなくなるため、脳が壊死(えし)してしまいます。
その結果、壊死した部位が司(つかさど)る機能が失われて、「手足の麻痺(まひ)」や「言語の障害」といった症状が起こってきます。

■脳梗塞が起こると 脳梗塞が起こると、体の左右どちらか片側に突然症状が現れます。特に多いのが、「体の片側の腕や脚が麻痺する」「顔がゆがむ」「ろれつが回らないなどの言語の障害」の3つです
これらの症状は脳梗塞の重要なサインですから、少しでも異変を感じた場合は、次の要領で素早くチェックします。

◎体の片側の麻痺の場合−−症状は片方の腕や脚に現れます。
腕の場合は手のひらを上に向けて両腕を前に伸ばすと、麻痺のある側が下がってきます。
脚の場合は片脚ずつで立ってみます。
麻痺のある側ではふらついてうまく立てません。

◎顔のゆがみがある場合−−症状が強い場合は、ゆがみがある側の口角が垂れ下がるため外見で判断できます。
わかりにくい場合は、にっこり笑ったり、「いー」と発音したときに、左右の口角のどちらかが垂れ下がっていたり、動きが悪ければ顔にゆがみがあると判断します。

◎言語に障害がある場合−−「らりるれろ」と発音したり、「パタカ、パタカ……」と反復して言ってみます。
障害があると、言いにくかったり、もつれたりします。
また、「言いたいことを言葉にできない」
「発話はできても相手の言葉が理解できず、話のつじつまが合わない」といった「失語症」が現れることもあります。

そのほか、「視野の異常」「ふらつき」もよく見られます。
視野の異常は、両目で見ても左右どちらかの目で見ても、同じ側の視野の半分が欠けます。
目の病気ではなく、脳梗塞によって起こる症状です。
ふらつきの場合は、手足の麻痺がないのに立てない、歩けないなどの特徴があります。

◆次の症状は現れないことも多い 「頭痛」も多いように思われていますが、脳梗塞で頭痛が起こることはあまりありません。
今まで経験したことがないような激しい頭痛が現れた場合は、むしろ、くも膜下出血が疑われます。
また、重篤な脳梗塞では、意識が低下したり意識を失うこともありますが、必ず現れるとは限らないため、意識があっても油断できません。
■『NHKきょうの健康』2014年1月号より
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2017年11月12日

日本大使館が「民進党は米国が分裂させた」

在米日本大使館が
「民進党分裂は
米国が意図して作り上げた」
の極秘報告書!
前原、小池、安倍とジャパンハンドラー
2017.11.11 LIITERA(野尻民夫)

 トランプの来日フィーバーは、改めて「アメリカ=宗主国」「日本=属国」という日米関係の真相を浮き彫りにしたが、そのさなか、もうひとつ、日本がアメリカに完全のコントロールされていることを証明するような文書が明らかになった。

 それは、今週発売の「週刊朝日」(朝日新聞出版)11月17号がすっぱ抜いた、先の総選挙後、在米日本大使館が報告のためにまとめた極秘内部文書だ。
この文書には、こう書いてあったという。

〈改憲勢力が発議可能な3分の2を確保した総選挙結果は米国には大歓迎の状況だ。
むしろ米国が意図して作り上げたとみていい。
民進党を事実上、解党させて東アジアの安全保障負担を日本に負わせる環境が改憲により整う非常に好都合な結果を生み出した
 そして、〈日本が着実に戦争ができる国になりつつある〉と分析した後、こう続く。
〈米国には朝鮮有事など不測の事態が発生した時に、現実的な対応が出来る政治体制が整う必要があったが、希望の小池百合子代表が踏み絵を行ったのは米国の意思とも合致する〉

 この文書を読んだ元外務省国際情報局長の孫崎享氏が、こう解説している。
「米国の政策当局者は長年、親米の安倍シンパ議員や野党の親米派議員らに接触、反安保に対抗できる安全保障問題の論客として育成してきた。
その結果、前原氏が民進党を解体し、同じく親米の小池、細野、長島各氏らが踏み絵をリベラル派に迫り、結果として米国にとって最も都合のよい安倍政権の大勝となった

 ようするに、小池百合子都知事と前原誠司前民進党代表コンビによる民進党解体の背景に、日本を「戦争ができる国にする」というアメリカ政府の意思が強く働いていたというのである。
前出の文書には〈むしろ米国が意図して作り上げたとみていい〉とまで書いてある。

日米ネオコンをつなぐ
疑惑の社団法人に
前原と安倍の名前が
 実は、本サイトでは2年も前に、この文書のベースになる事実を指摘している。
当時、民主党で、同党の解体→安保法制推進を画策していた前原、長島、細野らがアメリカの超党派知日派(ジャパンハンドラー)と深く結びつき、その意向を受けていたことを、さまざまな人脈や団体の存在から明らかにした。
 この事実を知れば、今回、かれらがなぜ、民進党解体とリベラリル排除に動いたか、そして在ワシントン日本大使館が〈米国が意図して作り上げた〉と分析したのか、その理由がわかるはずだ。

 まず、民進党解体の中心人物だった前原誠司。
前原はもともと、京都大学で親米現実主義保守派の理論的支柱とされた高坂正堯教授の薫陶を受け、松下政経塾を経て政治家になった人物だ。
安倍首相とは同期当選で議員会館も隣の部屋だったことから、実は安保政策では気心の知れる仲だという。
2000年代の初めには自民党防衛族の石破茂氏らとも気脈を通じ、勉強会を開いて、集団的自衛権行使容認はもとより、徴兵制や核武装論にまで言及していた。
その石破氏や、同じく自民党の米田建三氏らとともに「新世紀の安全保障を確立する若手議員の会」(新世紀安保議連)の世話人をやっていたこともある。

 彼らに共通するのは、若手議員のころからCSIS(米戦略国際問題研究所)などの在米シンクタンクを頻繁に訪れ、ジャパンハンドラーとの交流に熱心だったことだ。
リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイ、マイケル・グリーンといった連中だ。

集団的自衛権行使容認は彼らジャパンハンドラーの悲願だった。
 この日米ネオコンの橋渡し役を長く担っていたのが、2007年に発覚した防衛庁汚職に絡んで所得税法違反などで逮捕された秋山直紀だ。
日米防衛人脈のフィクサーとして永田町では知る人ぞ知る存在だった。
その秋山が専務理事を務めた社団法人「日米平和・文化交流協会」が親米ネオコン議員の溜まり場になっていたという。
当時の登記簿を見ると、その一端が垣間見られる。
錚々たるメンバーが理事に名を連ねているのだ。

 石破、中谷元、額賀福志郎、久間章生ら、財界からは葛西敬之・JR東海会長のほか、三菱系の重役たち。米政府関係者では元国防長官のウィリアム・コーエン、元国務次官のウィリアム・シュナイダー、元駐日大使のマイケル・アマコスト……と、いずれも大物ぞろいだ。
こんな面々の中に民主党ネオコン議員筆頭の前原、そして安倍首相もしっかり名前を刻んでいたのである。

アメリカの国益のために
日本の政界に
送り込まれた長島昭久
 その前原と並ぶもう一人のキーマンが長島昭久だ。
党内右派の筆頭格で、2年前に櫻井よしこが理事長を務める極右シンクタンク「国家基本問題研究所」のホームページに「目を覚ませ、民主党!」と題した痛烈な執行部批判の寄稿を掲載したこともある。
前原と同い年だが政治家としては弟分に当たる。
元は自民党の石原伸晃議員の公設第一秘書で、その後、アメリカに渡りワシントンD.C.のジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で国際関係論を学び修士号を取得する。
 1997年には日本人として初の米外交問題評議会の研究員に選ばれている。

米外交問題評議会は米ロックフェラー財団に支配されるシンクタンクを含む超党派組織で、アメリカの外交政策決定に強い影響力をもつと言われる。
外交誌「フォーリン・アフェアーズ」の刊行元としても知られている。
長島は、この日本人初の米外交問題評議会研究員の肩書きをウリに2003年に初当選する。
その意味では、長島は日本の政治家というよりは、アメリカの国益のために日本の政界に送り込まれた親米派リーダー候補のひとりと言っていいだろう。

安倍と同じくアーミテージ・ナイリポートの忠実な信奉者でもある。
 この2人の“弟分”が細野豪志だ。
3人とも憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認に賛成で、細野は前原が主宰していた党内の「防衛研究会」にも名を連ねていた。
 その細野と長島らが中心となって2015年11月に都内のホテルで「これが我々の野党再編・政権奪還戦略だ!」と題するセミナーが行われた。
その詳報が翌日の「産経ニュース」で配信された。
そこでの発言を見ると、まさに今回の民進党解党劇を予言しているのだ。

いくつか拾ってみると……。
「SEALDsのデモの先頭に立つなんて論外だ」
「国家の基本問題に対して、彼らが言っているような『戦争反対』で通用するはずがない」
「そんなものは共産党にまかせておけばいい」
「万年野党をやらせるなら共産党の右、いや“左”に出る政党はない」
「ここを脱却しなければ、政権復帰は難しい」
「国際的にみると、共産主義を掲げる政党がこれだけの議席を持っている先進国は珍しい」
「共産党と民主党が組むという選択は明確にない」
「とくに安保の問題については一線を引いていく」
「共産党とは一緒にできない」
「『選挙協力』はいかんと思う」

 彼らの主張は要するに、安全保障については「現実的対応」をすべきだということと、共産党やSEALDsとの共闘はいかなるケースも「ありえない」という2点である。
まさに希望の党そのものではないか。
そして、ここで言う「現実的対応」とは、アメリカ政府に言われるがままに集団的自衛権行使を認め、米軍の作戦の一部を自衛隊に肩代わりさせるという話である。

9条3項に
「国際平和に貢献」を付記し
集団的自衛権の
根拠にする計画が
 アメリカは長い時間とカネをかけて、アメリカの国益に沿った考えを持つ日本の政治家を育て上げてきた。
そして、その政治家(前原、長島、細野ら)がアメリカの思惑通り、アメリカにとって都合の悪い政策を掲げる旧民進党を解体・排除したというのが、どうやら希望の党発足から民進党解体へ至る真相のようなのだ。

 ちなみに、前出の「週刊朝日」には、安倍首相が進める改憲の中身について、政府筋の話としてこんなふうに書いてあった。
「安倍官邸は単なる9条3項の自衛隊の明記にとどまらず、『国際平和に貢献するために』という文言を付記して、自衛隊が海外で自由に集団的自衛権を行使できるという解釈にしたい」

 安倍応援団やネトウヨは「安倍総理は、アメリカから押し付けられた“みっともない憲法”を改正するために頑張っているんだ」などと信じ込んでいるようだが、実際は、アメリカの戦争に協力するための憲法改正にすぎないのである。
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2017年11月13日

「頭髪指導で不登校」になった女子高生の悲劇

「頭髪指導で不登校」に
  なった女子高生の悲劇
「茶色の地毛を黒に染めろ」指導は正しいか
2017年11月11日「週刊女性PRIME」編集部

髪の毛は生まれつき茶色
「頭髪指導に従えないなら授業は受けられない。
黒染めするか、学校をやめるか選べ」
昨年9月、大阪府立懐風館高校(羽曳野市)の教諭は当時2年生のA子さんに告げた。

教諭からの度重なる頭髪指導にストレスは限界だった。
「もう嫌や! 黒染めはしたくない!
地毛が茶色いだけで、なんでこんな目にあわなあかんの!?」
それ以来、A子さんは学校に通えないままだ─。

生まれつき髪の毛が茶色かったA子さんに学校は「ルールだから」と、写真撮影日など入学式の前から黒染めを強要。
度重なる頭髪指導で精神的苦痛を受け、不登校になったと、大阪府に対し裁判を起こした。
慰謝料など約220万円の損害賠償を求める訴状を今年9月、大阪地裁に提出、第1回口頭弁論が10月27日に開かれた。

府側は「学校の指導は適切」と、請求棄却を求め、全面的に争う姿勢を示している。
代理人の弁護士がA子さんの母親が頭髪の件で学校に配慮を求めていたにもかかわらず、入学前に複数の教諭が「髪を黒く染めろ」と迫った。
入学後には頭髪指導のたびに黒染めを強要され、A子さんは髪を黒く染め続けたことを明かした。

A子さんは訴状の中で当時の心情を振り返る。
「黒染めをしなかったら学校に通えない、大学に進学できないと思った」
  こうした指導はA子さんだけに限らない。
同校の頭髪指導は厳しくて有名だった。

「母子家庭だから茶髪にしている」と暴言
黒染めを繰り返した結果、A子さんの頭皮は薬剤の影響でかぶれ、髪の毛もボロボロになった。代理人は憤慨する。
生徒の健康を害してまで、これは指導と言えるのか
学校側が黒染めを強要し続けたのはなぜか。
「A子さんは中学のころも髪を黒く染めていた、地毛は茶色でも1回でも黒染めをしたら黒染めを続ける、それがうちの学校のルール。
それに黒染めが落ちてくるとみっともないから、そのつど染め直させる」 と、学校側は理不尽な言い訳を代理人に伝えた。
そして、指導はさらにエスカレートする。
「母子家庭だから茶髪にしてる」と暴言を吐き、「黒染めが不十分」と呼び出し、「黒染めをやり直すまでは出さない」と授業に出ることも禁じた。
文化祭や修学旅行など学校行事への参加も拒んだ。

一方で、訴状への府側の反論文の中では、
「A子さんから学校に来ないと言った」
「修学旅行の参加を禁止したわけではない、参加しなかったのは彼女の意思」と責任を否定。
昨年8月末、A子さんは「髪が色ムラになっている」と4日に1度、頭髪指導を受けた。
染め直すものの、教諭たちは「アウトー」「足りない」などと発言、追い詰めた。

これは先生たちが学校という組織ぐるみで行った指導という名のいじめ」(代理人)
学校が生徒の黒髪にこだわるのには日本人ならではの事情があるという。
ファッションや化粧の文化に詳しい甲南女子大学の米澤泉准教授は、 「生徒は黒髪でベージュの肌をした日本人しかいないと思っており、それ以外は“排除する”という学校現場の意識が強すぎます。
色素の加減で髪の毛が茶色く見える人は少なくないのにそれを黒にするというのは行きすぎた管理教育、人権侵害です。
例外を認めず、髪の色だけでその人を評価すること自体がおかしい
そもそも、同校は「髪は黒がルール」と言い続けてきたが校則には書いていない。

本誌が同高校の高橋雅彦教頭に取材すると、「学校では染髪や脱色については禁止していますが、本来の色を否定して黒くしろというルールは示していません。
本来の色で生活してほしいと考えています」と言い切る。
それどころか、 「地毛が茶色い、赤っぽい生徒もいます。
みんな真っ黒だったらそれは明らかに染めさせているじゃないですか」
なぜA子さんに対し、何度も指導を強要したのか質問すると、「係争中のため答えられない」と回答を拒んだ。

学校に行くと席がなかった
学校側の仕打ちにA子さんが我慢の限界に達したのは今年の6月のことだ。
3年生になったA子さんが学校を訪ねると、生徒名簿にあるはずの自分の名前がない。
それどころか、4月に聞いていた出席番号には別の生徒の名前。
教室には席もなかった。

学校側の言い分は、 「名前や席がないのは不登校を目立たせなくするため。
変な噂が広まらないように」
そんな理屈が通るのか。
代理人弁護士は憤る。
「学校は、司法の判断にまかせるが、裁判に負けない限り謝罪はしないと話しています」

校則に詳しい、千葉・浦安市立小学校の塩崎義明教諭は、「今回の事件は子どもの自由や権利をないがしろにした行為」と指摘。
学校に子どもを守る大人がいなくなってしまった、と話す。
最近の教師は子どもたち同様、決まりに縛られて何も言えないのが現状です。
生徒の髪を黒く染める指導に疑問を挟む余地がないのは、教師自身も規則に縛られているということの表れです」(塩崎教諭)

A子さんは心に深い傷と大人への不信感を持ったまま。
『ルール』を重視するあまり教師は大切なものを見失ってしまったのではないだろうか。
文化祭も修学旅行も、友達との時間も……。かけがえのない時間は裁判が終わっても戻ってこない。
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2017年11月14日

不安に強い人は「孤独」を飼い慣らしている

不安に強い人は
「孤独」を飼い慣らしている
「孤独」と「寂しい」はまったく別のことだ
2017年11月10日 東洋経済

枡野 俊明 :
「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

ここ10年ほどで急速に浸透したものの1つにSNSがあります。
消費者庁は2016年、同年末には国内におけるSNSの利用者数が6872万人に達する見込みと発表しました。
なぜここまでSNSは社会に受け入れられたのでしょうか。

根本にあるのは、人とつながっていたい、仲間が欲しい、という欲求と言ってもいいでしょう。いまある交友関係の結びつきを強めたい、新たなつながりをつくりたい……そんな心理が働いているはずです。
言い換えるなら、自分は1人ではない、孤独ではない、と確認できるツールとしてSNSが利用されている側面があるでしょう。

多くの人にとって、孤独になることは恐怖なのです。
しかし、孤独になると、人は本当につらいのでしょうか。
禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動によって、「世界が尊敬する日本人100人」に選出された枡野俊明氏(新刊『近すぎず、遠すぎず。』がある)は、孤独になり、人生や自らの使命と真摯に向き合うことが、境遇や状況を好転させる原動力になると言います。

「孤独=寂しい」を疑え
人は集団に属していないと不安に駆られるようです。
アメリカの心理学者、アブラハム・マズローが人間の欲求を理論化した「欲求5段階説」でも、
食事睡眠排泄などの第1階層「生理の欲求」、
安全で安定した暮らしを維持する第2階層「安全の欲求」、
その上位となる第3階層に、自分が社会に受け入れられているという感覚をもつ社会的欲求(帰属欲求)が位置づけられています。

グループの一員でいたい、仲間が欲しい、というのは人の“性(さが)”といってもいいでしょう。
旧来、多くの人にとって、社会に受け入れられていると実感できるのは、職場や仕事上の人間関係がうまくいっているときだったり、地域コミュニティでトラブルなく人づきあいをしているケースだったりしたわけですが、現代はそうした旧来型の関係に加えて、SNS上でのつながりを求める人が多くなりました。

誰もが気軽に参加できるSNS上のつながりが何かの役に立つこともあるでしょうが、確たる芯がある集団ではないように思われてなりません。
仮に、SNS上でつながっている1人が窮地に立って救いを求めたとして、手を差し伸べる人はどれだけいるでしょうか。
何か事があれば、つながりの希薄さは露呈するのではないでしょうか。

それでも人はつながりを求め、グループの一員であることを欲します。
理由は、1人でいることが不安だからであり、そこにあるのは「孤独(1人)=寂しい」という図式です。
しかし、これには異論があります。

私は、孤独であることと寂しさは異なるものだと思います。
お釈迦様は、「犀(さい)の角(つの)のようにただ独り歩め」とおっしゃいました。
“孤独のすすめ”といってもいいでしょう。
自分を確立するためにも、自分が歩んでいく道を見定めるにも、孤独であることが必要なのです。
独りで静かに過ごす孤独な時間のなかでこそ、自己は形成され、確立されていきます。
自分を見つめるための充実した時間をもたらしてくれる孤独が、寂しいものであるわけがありません。

他人と比較しても、
いいことは1つもない
孤独な時間を得て、自己を確立する過程では、自分を他人と比較しないということがとても重要になります。
「隣の芝生は青い」という言葉があるように、人は得てして、他人のものはよく見えてしまうものです。
しかし、他人と比較して、自分にいいことがあるでしょうか。
禅では、比較することを強く戒めています。

私は多くの「禅の庭」を手がけてきましたが、自分の作品とどなたかの作品を比べるということはまったくありません。
それだけでなく、自分の作品どうしを比較することもしません。
「禅の庭」はそのときどきの自分の心を表現したものです。
自分の心の有り様、心の境地がそのまま「禅の庭」にあらわれるのですから、比較自体がありえないのです。

社会や組織においても、比べることに意味はありません。
たとえば、待遇のいい会社にいる友人と自分を比べたら、自分の待遇が改善されますか。
大きな仕事を任されている同期社員と自分を比べることで、自分にいい仕事がまわってきますか。
比べたところで自分は変わらないし、事態が好転することもないのです。それどころか、羨望や嫉妬、自己否定といったネガティブな感情にとらわれて、余計につらくなるだけでしょう。

比較の対象になるのは特定の相手だけではありません。
情報過多の現代においては、比較の対象もさまざまとなります。
世代の平均年収であったり、流行の必携アイテムであったり、その手の情報に触れるとつい自分と比較してしまうでしょうが、自己の確立のためには、それらは無意味です。
情報に振り回されてはいけません。

寝る前の30分間、
   静かな時間をもつ
孤独の大切さが理解できても、他者との比較を断ち切るのは容易ではないかもしれません。
心の有り様を、意識的に現在とは違う状態にするためには、それなりのトレーニングが必要であるということも、一面では真実です。
そこで、本稿の最後に、本来の自己に出会う具体的な方法をご紹介しましょう。
それは、寝る前の30分間、静かな時間をもつことです。

本来は、坐禅をして穏やかな心、研ぎ澄まされた心に整えるのがいちばんですが、坐禅の心得がないという人は、自分が本当に心地よいと感じることをして、30分間、静かに過ごしてみてください。
静かな曲調の音楽を聴くのもいいですし、心を落ち着けてくれるアロマを焚くのもいいでしょう。

経過していく時間に、「ああ、なんだか心地よいなあ」と身を任せることが大事です。
そんな時間は坐禅にも似て、心を整えてくれることでしょう。
そして、30分間の最後の5分(あるいは10分)を、自分を見つめる時間にあてるのです。

その日の仕事や人間関係でストレスを感じていたとしても、静かな時間を過ごすことで、そこから意識は離れます。
また、リラックスした状態になることで、集中力が高まっていますから、短い時間でも自分をしっかり見つめることができます。
孤独と寂しさは違うことを知り、自分をしっかり見つめることを日課にすれば、ほどなくして人間関係の悩みとは無縁の、強い自分になっていることでしょう。
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2017年11月15日

なぜ老人は「悪口」だけしっかり聞こえるのか

なぜ老人は「悪口」だけ
しっかり聞こえるのか
「介護疲れ」はこうすればラクになる
2017年11月08日 東洋経済

平松 類 : 医師/医学博士

介護疲れと、それによる悲劇が絶えず報道されています。
介護をする側は睡眠不足になりがちで、肉体的疲労も大きい。
それだけでなく、子育てと違っていつ終わるかわからない介護を続ける中で、精神的な疲労がたまることもしばしば。
そうやって介護をして「ありがとう」と感謝されればまだ頑張れます。
しかし、ありがとうの一言が出てこない。

それは、老人が「介護を受けることが当たり前だと思っている」あるいは「性格が悪くなっているから」。
そう思ってしまうのではないでしょうか。
「でもそれは、正解といえないことも多い」と言うのは、『老人の取扱説明書』の著者であり、シニア世代の新しい生き方を提唱する「新老人の会」会員でもある医師・平松類氏。

いったいどういうことか。
老人の困った行動の原因と対策を解説していただきます。

高齢者は、高音よりも
低音のほうがよく聞こえる

高齢者というとよく話に出るのが、
「本人に都合の悪いことは、まったく聞こえない」「
優しく話しかけても無視をされる」、けれども「悪口を話しているときは、なぜかしっかりと聞かれている」。

「地獄耳」なのではないか?とも思われますが、実はこれ、老化による聴覚の特徴的な変化が原因なのです。
老化によって聴覚が衰えるということは知られていますが、均一に衰えるわけではないのです。若い頃であれば、音が高いか低いかによって聞こえ方に大きな違いはありあせん。
しかし、高齢になると高い音のほうが著しく聞こえにくくなってくるのです。
低音(500Hz)に比べると高音(2000Hz)で伝えるには1.5倍の音量を必要とするという研究データもあるくらいです。

悪口や愚痴はたいてい、トーンを落として話しますよね。
すると声が低くなりますから、高齢者に聞かれやすくなってしまうのです。
逆に何かを熱心に伝えたいときこそ、感情が高ぶったりして声が高くなりがちですから、伝わらないことが増えるのです。
ただ、この「高音よりも低音が聞こえやすい」という特徴を上手に利用することもできます。
介護などでどうしても伝えたいことこそ、落ち着いて低めの声で話しかけてください。

一方で、介護をしているとどうしてもイライラして、悪口も言いたくなります。
そんなときは、「どうせ聞こえていない」と高をくくらず、本人の近くでは話さないようにしましょう。
これらに気をつけると、高齢者に何かを伝えるのはだいぶラクになるはずです。

それから高齢になると無口になりやすく無愛想で堅物。
そう思われがちですが、実は理由があります。
高齢になると声を出す声帯と声を出すための筋肉が衰えるため、どうしても無口になりやすいのです。
声の衰えは特に、男性に起こりやすい現象です。
加齢に伴い、声帯の萎縮が男性の67%、女性の26%に起こるといわれています。
定年までは仕事場で毎日会話をし声を出していたかもしれませんが、定年後、急に話す相手は妻だけになる人が多くいます。
すると声を出す機会が激減します。
そうすると「廃用性萎縮」といって使わない筋肉が衰えていき、会話するのが億劫になります。
夫婦間で距離ができてしまい、熟年離婚の原因につながるケースすらあります。

このような状態になっていないか、チェックする方法として、「最大発声持続時間」というものがあります。
「あー」という声をどのぐらい長く出せるか調べるのですが、平均は20〜30秒です。
男性ですと15秒、女性ですと10秒以下になったら赤信号です。

無口な老人を見て、社交性がないとか性格が悪いと決めてかかるのは早計です。
声に問題があるのかもと、意識的に見ることができれば、対応は大分変わるはずです。
会話を成立させるために“取り繕う”ことも ただ、スムーズに声が出せたとしても、また別の問題もあります。

それが「取り繕い反応」問題。
人が言っていることがわからなくても「ああ、あれね」と言ってしまったり、高齢になると覚えていないことが申し訳なくて、知っているふりをしてしまう場合があるのです。
「あれ」「これ」「それ」が増えたときには、この症状を疑ったほうがいいかもしれません。

「お昼はもう食べました?」と聞いて、「最近はすぐお腹がいっぱいになってね」と高齢者が答えたとしましょう。
「そうですか、お薬は飲みました?」と聞くと、「あれは大丈夫だよ」と高齢者は答えます。
一見会話は成立しているようですが、実際はお昼を食べたかの記憶があいまいで、薬も飲んだかあんまり覚えていない可能性があります。
けれども、会話を成立させるために、高齢者は気を使って当たり障りのない会話をするわけです。

このように取り繕うのは、認知症の前兆でもあることもあるので注意が必要です。
そして取り繕いをしていると、介護側との会話を理解していないことがあるので、せっかくの会話も空虚になってしまいます。
ここでしてはいけないのが、詳しく問い詰めること。
「あれって何なの?」「ちゃんと答えてよ!」と言ってしまうと、高齢者を追い詰めてしまいます。

高齢者は落ち込んだり、怒ってしまったりすることがあるのです。
こういった場合の解決策の1つは、自分が忘れたふりをしたり、「ちゃんと聞いていなくてごめんね」という感じで、もう一度聞いてみること。
高齢者が快く答えてくれる場合もあります。

ここまで会話の問題について取り上げてきましたが、身体面についても知っておくといいことがあります。
その1つが、遠近両方メガネについて。
階段などでの転倒については、遠近両用メガネが“転倒の原因をむしろ作ってしまう”ことがあるのです。
人は年を取ると老眼になってきますが、老眼になると手元から、より離したり、老眼鏡をかけないと見にくいものです。
そこで多くの高齢者が遠近両用メガネをかけて生活をしています。
遠近両用メガネをかけて下(手元)を見ると手元が見えやすいという便利なものですが、階段で同じように下(足元)を見ようとするとピントが合わず、正常な距離感で足元が見えにくくなってしまい、階段を踏み外して転んでしまうのです。

階段に行く際には、あごを引いて下を見るようにするか、メガネを遠近両用でないものにするのがよい方法となります。

トイレに連れていくほど、
頻尿になってしまう
 最後にトイレの問題にも触れておきます。
年齢を重ねると、おしっこが頻回になるというのは聞いたことがあるのではないでしょうか。
前立腺肥大などもありますが、高齢になると尿を濃縮するホルモンが少なくなるために頻尿になるといわれているのです。

ただし、だからといって就寝中にトイレに行かないで済むように、前もってトイレに行ってもらおうとやたらとトイレを促すと、逆効果になることがあります。
こまめにトイレに行くと、わずかに尿がたまっただけで尿意を感じるようになってしまい、逆にトイレに余計行きやすくなってしまうからです。
ですから、膀胱にしっかりと尿がたまってから、トイレに行ってもらうほうがいいのです。

高齢者が夜中に何度も起きると、介護する側も睡眠が取れず大変です。
なるべく起きてこないようにするためには、ほかにもできることがあります。
まずは、寝具の素材。
レーヨンやポリエステルを避けて、木綿やガーゼなどを使うほうがよいです。
というのは、高齢になると皮膚が弱くなるので、寝具がレーヨンなどだとかゆくなったりして、そのかゆみで起きてしまうことがあるからです。

エアコンの使い方も大切です。
エアコンは体に悪いと思われがちですし、高齢者はエアコンを嫌います。
しかし、しっかりと睡眠を取ってもらうにはエアコンが重宝します。
タイマー設定にして自動的にオフになるようにすればエアコンによる影響は軽減されますし、自動的に消えることをきちんと伝えれば、高齢者も話を聞いてくれやすくなります。

日本は世界で最も高齢化している国です。
ピンチととらえる人もいるかもしれませんが、高齢者に優しい国となれば、世界中から注目される国になるかもしれません。
そうなってほしいと願っています。
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2017年11月16日

人生100年時代も「不健康期間」は長いままだ

人生100年時代も
「不健康期間」は長いままだ
平均で男性9年、
女性は12年健康に支障がある
2017年11月13日 東洋経済

村松 容子
: ニッセイ基礎研究所保険研究部 准主任研究員

世界有数の長寿大国として知られる日本。
2017年7月公表の平均寿命は男性80.98年、女性87.14年と、いずれも過去最高となっている(厚生労働省「2016年簡易生命表」調べ)。

平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が、平均して何年生きられるかを示す。
1986年の平均寿命は男性75.23年、女性80.93年だったので、この30年だけでも5年以上延びたことになる。
2016年生まれの男性の4人に1人、女性の2人に1人が90歳まで生きる計算だ。

大事なのは健康寿命
しかし、平均寿命が延びたとしても、健康で生きられる期間、いわゆる「健康寿命」が延びなくては、ありがたみがないだろう。
平均寿命だけでなく健康寿命も延びているのか。
また、今後、延びる余地はあるのだろうか。

統計から読み解いていこう。
どういう期間を「健康で生きられる期間」と考えるかは、国の定義に倣って「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とここでは定義する。
また、分析には厚生労働省が行っている「国民生活基礎調査」で3年おきに尋ねている「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問の結果を用いる。

2016年の健康寿命は、簡易生命表と国民生活基礎調査の結果を使って筆者が計算したところ、男性72.14年、女性74.79年だった。
3年前は男性71.19年、女性74.21年だったことから、この3年間で、健康寿命は男性が0.95年、女性が0.58年延びたことになる。
その間の平均寿命の延びは、男性が0.77年、女性が0.53年であるため、健康寿命の延びが平均寿命の延びをわずかに上回っていた。

時系列でみても、2010年以降、健康寿命の延びが平均寿命の延びを上回っており、健康寿命と平均寿命の差、すなわち「健康上の問題で日常生活に影響がある期間(不健康期間)」はわずかながら改善傾向にある。
しかし、男性で約9年、女性で約12年と依然として長いことに変わりはない。
不健康期間というと、「高齢期に介護を必要としている期間」を想像しがちであるが、不健康期間はそれだけを表しているわけではない。

生まれてから今までに健康上の問題で日常生活に影響があった期間を足し合わせた結果を指している。
また、ここでいう「日常生活」とは、「日常動作」のほか、「外出」「仕事・家事・学業」「運動」などであり、必ずしも介護を必要としているわけではない。

高齢になればなるほど
男性のほうが元気
「健康上の問題で日常生活に影響がある」の割合は、全年齢平均で男性が12.0%、女性が14.7%だった。
年齢別にみると、当然年齢とともに高くなり、特に70歳以降で急激に上昇することがわかる。 男女を比較すると、60〜74歳を除くすべての年代で「日常生活に影響がある」割合は女性のほうが高い。
そのため、女性は平均寿命では男性を6.16年上回っているにもかかわらず、健康寿命ではその差が2.65年にまで縮小しているのだ。

また、健康上の問題で日常生活に影響がある割合を年齢別にみた場合、2004年と2016年を比較すると60歳未満の現役世代では、ほぼ横ばいで推移しているのに対し、60歳以上の高齢者では継続的に改善していた。
たとえば2016年の65〜69歳は2004年の60〜64歳と同水準となるなど、65〜79歳では、この12年間で5歳分程度、若返っているといえそうだ。
また、日常生活に影響がある割合の男女差は、70歳未満の世代では近年大きな変化はない。
しかし、70〜79歳では、女性の改善が著しく、男女差は縮小している。
一方で、80歳以上では逆に男性の改善が大きかったため、男女差が広がっていた。

「健康寿命」を延ばすには 健康寿命は、都道府県による健康格差を縮小するためや、保健医療に関する取り組みの計画や評価を行うために導入した指標であり、同じ条件で計算しているため諸外国や都道府県間、時系列で比較するのに適している

日本では、国民の健康寿命を2020年までに 2010年の値から1歳以上、2025年までに2歳以上延ばすことを目標としている。
今回の結果で2020年までの目標はクリアする見通しだ。

男性で約9年、女性で約12年という不健康期間は決して短くはない。
ただ近年、高齢者の健康上の問題で日常生活に影響がある割合は改善しており、今後の不健康期間の男女差の縮小や健康寿命の延伸に期待がもてる。

懸念を1つ挙げるとすれば、現役世代(60歳未満)の「日常生活に影響がある」割合にほとんど改善がみられないことだろう。
健康寿命というと、高齢者の問題だととらえがちであるが、延伸のためには若い頃からの健康改善も重要となる。
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2017年11月17日

なぜ記者クラブは「政権ベッタリ」なのか

なぜ記者クラブは
「政権ベッタリ」なのか
2017.11.16 プレジデントオンライン(元木 昌彦)

「ここは質問をする場ではない」。
菅義偉官房長官は記者会見の場で、そう言い放った。
この「大暴言」を引き出したのが、東京新聞・望月衣塑子記者だ。

望月記者は「想像以上に政権側にすり寄っている」という記者たちを尻目に、菅長官が露骨に嫌がるような質問を重ねた。
なぜほかの記者たちは質問をしないのか。
元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏が、望月記者に聞いた――。

「ご指摘には当たらない」
「問題ないと思われます」

私は菅義偉官房長官が嫌いである。
あの顔を朝見ると一日メシがまずくなる。
よく「男の顔は履歴書」という。
さすれば菅という男、よほどつらくみじめな人生を歩んできたに違いない。
したがって、私は菅の会見というのを見る気がしなかった。
「壊れたラジオ」のように木で鼻をくくった答弁は、鼻持ちならなかったからだ。

聞けば、日に2回も官房長会見はあるという。
私なら、あの酷薄そうな顔と人をバカにした物言いを聞くくらいなら、仮眠室で昼寝でもしている。
だが、そこへ場違いな女性記者が潜り込み、菅が露骨に嫌がるそぶりを見せるのに怯(ひる)みもせず、延々と質問をぶつけ続けたことで、記者会見の風景が変わってきたのだ。

加計学園問題を取材していた東京新聞社会部の望月衣塑子記者である。
当時、前川喜平前文科事務次官が、官邸の最高レベルがいっているという文書は存在すると爆弾告発した。
しかし、それに対して菅官房長官は「怪文書のようなもの」と一蹴した。
それに時期を合わせたように読売新聞が「前川前次官が出会い系バー通いをしていた」と報じた。
大メディアが官邸の思惑にのって、前川をおとしめようとしたのである。

メディアの劣化はここに極まった。
菅は、こうした問題を質問されても、「ご指摘には当たらない」「問題ないと思われます」とそっけなく、記者たちも質問を重ねることなく10分そこらで終わってしまう。
望月は「なぜ誰も突っ込まないのか」と疑問に思い、「だれも聞かないなら、私が聞くしかない」と思い定める。

記者クラブは
権力側と癒着し、おもねっている
大新聞だと、内閣記者会が束ねている会見に社会部が出張るのは難しいが、東京新聞という小さな組織が彼女に有利に働いた。
小さいころ演劇で鍛えた大きな声で、「官邸は前川次官の身辺調査や行動確認をしているのか? こういうバーに官房長官も足を運ばれてはどうか?」と質問した。
相手が答えなくても、質問をぶつけることで、今何が問題なのかを浮き彫りにすることができる。
その信念のもと、さまざまな「疑惑」について直截(ちょくさい)に斬り込んでいった。

そのたびに能面のような菅の顔がゆがみ、薄笑いを浮かべる姿がニュースやワイドショーで流れ、一躍、彼女は時の人になった。
他紙の記者たちも追及するようになり、会見は注目を浴びたが、それに蓋をしようとしたのは、ほかならぬ同業の記者たちだった。
「質問が長い」「何度も聞くな」といい出し、挙げ句は、手を上げても無視したまま終えてしまう。
まさに、記者クラブは権力側を監視するために存在するのではなく、癒着し、おもねっていることが一人の記者の奮闘で、はっきり国民の目に見えてしまったのである。

私は現役時代から記者クラブの閉鎖性、なれ合い、取材対象との距離感のなさを批判してきた。記者クラブは言論の自由を否定する存在だとさえ考えている。

記者クラブ制度を解体すべきである
メディアの重要な役割は権力を監視することである。
だが、第二次安倍政権のあたりから、記者だけではなく、メディアのトップたちまでもが、安倍晋三首相に誘われれば喜々として従い、酒食を共にすることをおかしいとは思わなくなってきた。
安倍はそれをいいことに、メディアを選別し、歯向かうメディアは排除し、露骨に攻撃することを平然と行うようになった。
そうした権力側の驕りの象徴が菅の会見といってもいいだろう。

それを一人の記者が、疑問に思っていることを納得するまで聞くという、至極まっとうなやり方で挑み、風穴を開けたのである。
これを機に、記者クラブ制度を解体すべきである。

なにはともあれ、望月記者の話を聞いてみたいと連絡を取った。
銀座の喫茶室に現れた彼女は小柄だが、ブン屋さんには珍しい華のある女性だった。
2児の母親で、亭主は同業者だが、単身赴任中だという。
2004年に日歯連(日本歯科医師連盟)が自民党の首脳たちに迂回献金をしていたことが発覚した。
その献金リストを彼女がスクープして、大きな話題になった。

「正義のヒーローでも、反権力記者でもない」
初っぱなから失礼な質問をしてみた。
私のような雑誌屋は、記者クラブ制度やなれ合い会見を批判してきた。
あなたのようにまっとうな質問をぶつけて、これだけ話題になるというのは、何も変わらなかったということが証明されたのだと思うが。

彼女はこう答えた。
「私のしたことは当然のことでもてはやされることではないと思う。
それだけ今は、権力に対してモノがいえない、ジャーナリズムの限界が見えてしまっているからなのではないか
「いろいろなメディアが、自分たちでやればいいのに、私のしたことを取り上げて、その結果に自分たちは責任を取らない」
「私は正義のヒーローでもないし、反権力記者でもない」 深刻ぶった表情ではない。
どちらかというと、あっけらかんとしたいい方である。

私は、さらに質問を重ねた。
小池百合子東京都知事から「排除する」という発言を引き出したのはフリージャーナリストの横田一だった。
いまはどこでも権力ベッタリで、権力者の意のままに動く記者が多い。
そうした中で、どう切り込んで発言を引き出すかが勝負になる。
あなたが引き出した菅の「ここ(会見)は質問をする場ではない」というのも、大暴言だったと思う――。
彼女はうなずき、こう答えた。

「身の回りに気を付けろ」
といわれた
「ここで聞かないでどこで聞けというんですかね。
苦し紛れに墓穴を掘ったのだと思います。
私がしつこく質問をするので、8月下旬に菅官房長官側から、菅番の担当記者に会見時間を短縮したいといってきたそうです」
「それは突っぱねたようですが、『あと○人』『あと○問』と官邸の広報官が質問を打ち切っているのをそのまま認めています。
これはメディアの自殺行為ですよ」

あなたが出した『新聞記者』(角川新書)の中で、「記者たちは私が想像していたよりもはるかに、政権側にすり寄っている」と書いている。
だが、実態は権力側と一体といってもいいのではないかと、私は思っている。
ほかの記者から、身の回りに気を付けろといわれたそうだが、そうした気配を感じることがあるのか――。
「内閣情報調査室や公安警察が私のことを調査し始めたという話は聞きますし、知り合いの議員に『望月というのはどんな人間だ』と聞いてきたということはあるようです。
直接的に圧力をかけるようなことはせず、間接的にプレッシャーをかけるというのは、彼らがよくやる手法で汚いやり方だと思います

彼女は日歯連の報道で某大臣から訴えられた。
それは不起訴になったのだが、そのあと整理部へ異動になった。
事件の現場に戻りたかった彼女は、いくつかの新聞から移籍を打診されるなかで、読売新聞へ移ろうと思い、父親に相談したという。
すると、業界紙の記者だった父親が「読売だけはやめてくれ」といったそうだ。

時の総理大臣を
脅したことを得意そうに(務台光雄)
なぜ、父親が反対したのかはわからないが、私の父も読売新聞だった。
戦前からの古株だったが、子供の私によく、「読売争議(1945年から46年)の時はアカ(共産党)を追い出してやった」と自慢していた。
また、正力松太郎は新聞に自分の動向を毎日書かせて私物化し、務台光雄は大手町の国有地を読売に払い下げろ、そうしないなら新聞でお前のことをたたくと、時の総理大臣を脅したことを、得意そうに私に語った。
今のナベツネ(渡辺恒雄主筆)の横暴ぶりはいうまでもない。

読売というのはそういう体質を持った新聞だから行かなくてよかったと、彼女にいった。
加計学園に文科省の認可は下りたが、安倍と加計孝太郎との癒着疑惑は解明されたわけではない。
これからどうするのかと聞くと、彼女はこう答えた。
「2人の関係は、おごったりおごられたりという関係ではなく、加計氏のほうが毎回払っていたようです。
獣医学部認可問題だけではなく、これまでも癒着してきた過去があると思う。
まだまだ諦めません」

権力者が隠したいことを
明るみに出す
そうはいっても安倍政権という権力は強大で、記者一人で闘えるものではないだろう。
私は「たとえば、朝日新聞と東京新聞がタッグを組んで、情報交換しながら安倍政権のスキャンダルを追いかけるとか、ニューヨークタイムズがトランプ政権の取材に500万ドルを投資したように、会社全体でやっていかないとつぶされるのではないか」と聞いた。
それに対しての答えはなかったが、彼女はこう締めくくった。

「在任期間が最長になる菅官房長官は、政権を揺るがしかねない閣僚のスキャンダルにも、表情を変えることなく鉄壁のガードを築いてきた。
しかし、私とのやりとりで、これまでとは違う別の菅官房長官の顔を導き出すことはできたのではないか」
「その表情を見ていると、さすがに『加計ありきではない』という言い訳は苦しいように思えます。
日々の少しずつの積み重ねが、政権を揺り動かすほどのパワーになると信じています」
「私は特別なことはしていません。
権力者が隠したいと思っていることを明るみに出すために、情熱をもって取材に当たる、それだけです」
こうした記者が、いま少し出てくれば、ビッグ・ブラザーのように肥大化した権力を監視することができるはずだと思うのだが。
次の予定があると飛び出していった彼女の後ろ姿が、とても大きく見えた。
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“極右”の安倍政権が左派的政策をとり、共産党が「保守」と呼ばれる訳

“極右”の安倍政権が
左派的政策をとり、
共産党が
「保守」と呼ばれる訳
11/17(金) 6:00配信 週刊ダイヤモンド

週刊ダイヤモンド11月18日号の特集は「右派×左派 ねじれで読み解く企業・経済・政治・大学」。
保守とリベラルの対決が鮮明となった衆院選が終わってもなお、「右派・左派」「保守・リベラル」などイデオロギーにかかわる議論が続いている。
左派政党の代表格であるはずの日本共産党に対し、若い有権者は「保守」のイメージを抱いているという。
しかも、その誤解は一部で現実化している。
 若い有権者は、最も左派色の濃い日本共産党を“保守”と呼び、保守を代表する自民党や日本維新の会を“リベラル”と認識している──。
本来の立ち位置とは正反対の政党認識が話題になっている。

 今年7月から8月にかけ、「読売新聞」と早稲田大学が実施した共同調査で明らかになった。
この調査結果をまとめたのが、下図である。
 これによると、70歳以上の認識は、最も保守的な方から順番に自民党、次いで維新の会、公明党、民進党、共産党と続き、伝統的なイデオロギー軸と整合性の取れた並び順になっている。  

ところが、これが18〜29歳の認識になると、見事に逆転しているのが分かるだろう。
さらに30代の共産党に対する認識に至っては、20代より右寄りとなる一方、維新の会はもう一段左に寄っており、認識のねじれはさらにひどくなっている。

 共産党と維新の会のグラフは40代と50代の間で交差しており、50歳前後を挟んで、政党間の対立軸の認識に世代間の断絶があるといえそうだ。
 40代以下の有権者から、共産党が保守的と認識されているというのは驚きだが、確かに、「変わらない」という点に限れば、共産党は“保守”かもしれない。

 もともと日本における政治的イデオロギー対立は、安全保障をめぐる保守陣営と革新陣営の対立を基本軸に展開されてきた。
 しかし、冷戦終結によって対立構造が見えにくくなる中、冷戦を知らない若い有権者ほど、変えようとしない政治勢力を文字通り、単純に保守と認識するようになった可能性が高い。

 つまり、共産党はぶれずに愚直に時の政権と対峙し続けてきたという点で、変わらないが故に“保守”なのだ。

● 憲法問題では
若い有権者の誤解が現実化
 実のところ、若い世代のこうした「誤解」は現実化している。
 例えば憲法問題。共産党をはじめとする左派政党は一貫して憲法護持を訴えてきており、何が何でも憲法改正を阻止したい考えだ。
 逆に、自民党の安倍晋三首相は改憲が悲願である。
 10月の衆院選で圧勝し、与党の自公や、維新の会など「改憲勢力」が憲法改正の発議に必要な3分の2の議席を衆参両院で確保したことを受け、11月には来年の通常国会での改憲案提出を目指す方針を明らかにした。
 変えたくない共産党と変えたい自民党。
激しい攻防が予想される改憲論議では、保守とリベラルが実際に入れ替わっているのだ。

 経済政策もまた、若者たちの誤解を先取りしている。
1970年代、『列島改造論』を掲げて首相となった自民党の田中角栄は保守政党の総裁でありながら、都市と農村の格差是正や福祉の充実を図り、左派層の取り込みを狙った。
安倍首相も働き方改革で非正規雇用の処遇改善を進めるなど、リベラル寄りの政策を取ってきた。
下図を見てもらいたい
これは日本の政党の立ち位置を示したものだ。
自民党は一般的に政治・文化的には保守、経済的にも右派で小さな政府を志向する右上に配置されることが多い。
ただ、時に“極右”とやゆされる現安倍政権は経済政策の面では左派であり、右下の「保守左派」のカテゴリーに分類される。

 逆に、リベラル派の旧民主党などは緊縮的な財政政策を取りがちで、「事業仕分け」はその典型だろう。
こうした政策はむしろ経済右派の考え方となる。
 安倍首相は自らの野心のため、この「保守左派」という立ち位置を非常に都合よく使い分けてきたといえる。
 どういうことかというと、安倍政権は先の衆院選で国政選挙5連勝を達成したが、実は選挙のたびに有権者に受けのいい左派的な経済政策を掲げ、選挙を乗り切ると保守色の強い右派的な政策を進めるというサイクルを繰り返しているのだ。

●「保守左派」を都合よく利用する
狡猾な安倍政権
 具体的に見ていこう。
2012年の衆院選で政権を奪い返すと、安倍政権は13年にアベノミクスを本格始動させる。
その年の7月に行われた参院選は株高の後押しを受けて圧勝。
参議院で野党が多数を占める衆参のねじれの解消に成功する。
 この辺りから抑えていた保守色が強まっていく。
同12月に特定秘密保護法を成立させた安倍首相は、靖国神社にも参拝した。

 その後、支持率が低下しだすと、左派モードに切り替えて「地方創生」を提唱。
さらに消費税の増税先送りを決定し、14年の衆院選と15年の統一地方選にも勝利した。
その後に出てきたのが、国民的な議論を呼んだ安全保障関連法案だ。
これも同9月に強行採決で成立に持ち込んだ。

 強引な政権運営への不満が高まってくると、今度は「1億総活躍社会」を打ち出し、参院選に完勝する。
すると再度保守モードに切り替わり、いわゆる共謀罪法を実現するといった具合だ。
 聞こえのいい左派的な経済政策を隠れみのに、本丸である保守色の強い政策を通す。
その手腕は見事だが狡猾さも透ける。

 共産党の愚直な“保守”と、自民党の狡猾な保守。
この二つの保守の根っこにあるのも右派と左派のねじれといえる。

週刊ダイヤモンド編集部
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2017年11月18日

安倍政権が乱発するトンデモ閣議決定

今度は麻生財相の
「武装難民は射殺」発言を
肯定する閣議決定!
トンデモ閣議決定を
乱発する安倍政権の異常
2017.11.17 LITERA(水井多賀子)

 今月14日、政府は信じがたい答弁書を閣議決定した。
麻生太郎副総理兼財務相が9月23日におこなわれた講演会で、朝鮮半島から難民が押し寄せる可能性にふれて「武装難民かもしれない。
警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。
射殺ですか。
真剣に考えなければならない」と発言したことについて、このような答弁書を閣議決定したのだ。
〈有事の際に想定され得る様々な事態について、聴衆の問題意識を喚起する趣旨からなされた〉  

麻生発言は、難民の大量流入が現実的にありうる状況下で、副総理が「武装難民がいるかもしれない」という妄想をくわえたうえで「射殺ですか」と言い放つという悪質かつ難民への憎悪を煽る非常に危険なものだ。
それを政府は〈聴衆の問題意識を喚起する趣旨〉と肯定してみせたのである。

 閣議決定された答弁書は政府の統一見解を示すもので、政府の方針や姿勢を定めるという極めて重い意味をもつ。
しかし、安倍政権下では、今回のような危険な答弁書の閣議決定が乱発されている。

 たとえば、教育勅語については〈憲法や教育基本法等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではない〉とし、2021年度から実施される中学校学習指導要領の保健体育で武道9種目の一つとして、戦前の軍事教練で取り入れていた「銃剣道」を明記したことについても、〈武道の内容の弾力化を一層図るもの〉
〈「軍国主義の復活や戦前回帰の一環」との御指摘は当たらない〉と説明。

さらに、ヒトラーの『我が闘争』を教材として用いることも〈留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校設置者の責任と判断で使用できる〉とした。
 これらの閣議決定は、安倍政権が目論む軍国主義教育復活を大きく前進させるもので、本来、慎重さが求められる答弁書の閣議決定が乱暴なものになっていることを表しているだろう。

 いや、安倍政権による答弁書の閣議決定は、乱暴な上に、もはやタガが外れて常軌を逸していると言うべきだ。
 それを象徴するのが、安倍首相の「そもそも」発言をめぐる閣議決定だ。
 あまりにも下らない話ではあるが、大事なことでもあるので経緯を振り返っておこう。
安倍首相は今年1月、共謀罪法案審議のなかで過去の法案との違いとして「今回は“そもそも”犯罪を犯すことを目的としている集団でなければならない」と述べた。
ところがその後、オウム真理教を例に「当初はこれは宗教法人として認められた団体でありましたが、まさに犯罪集団として一変したわけであります」と説明を一変。

この答弁の矛盾を民進党の山尾志桜里議員にただされると、安倍首相は自信満々にこう言ってのけた。
「そもそも、『そもそも』という言葉の意味について、山尾委員は『はじめから』という理解しかない、こう思っておられるかもしれませんが、『そもそも』という意味にはですね、これは調べてみますと、辞書で調べてみますとですね、辞書で念のために調べてみたんです。
へへっへ(笑)。
念のために調べてみたわけでありますが、これは『基本的に』という意味もあるということも、ぜひ知っておいていただきたい」

 周知の通り、「そもそも」の意味を「基本的に」と記している辞書など存在しない。
ようするに安倍首相は自分の答弁の矛盾をごまかすために「そもそも」を「基本的に」という意味に捏造、あまつさえ「辞書で調べてみますと」などと大嘘を言ったのだ。

 だが、安倍政権は度肝を抜くような答弁書を閣議決定した。
〈平成十八年に株式会社三省堂が発行した「大辞林(第三版)」には、「そもそも」について、「(物事の)最初。起こり。どだい。」等と記述され、また、この「どだい」について、「物事の基礎。もとい。基本。」等と記述されていると承知している〉

 無理やりにも程があるだろう。
「どだい」も副詞で使うときは基本というニュアンスとは違う上、違う言葉を間にはさんで意味が同じになるなら、ほとんど全部の言葉が同じ意味になる。
しかし、さらに驚くことに、その後“首相が自ら辞書を引いて意味を調べたものではない”という答弁書まで閣議決定したのである。

 こうした馬鹿馬鹿しい閣議決定は枚挙に暇がない。
党首討論でポツダム宣言について「つまびらかに読んでいない」と述べていたのに、
答弁書では〈当然、読んでいる〉。
森友問題では、安倍昭恵夫人について〈公人ではなく私人〉とし、総理大臣夫人付きの谷査恵子氏が籠池泰典前理事長に送った口利きFAXも“行政文書には当たらない”とした。

 このような答弁書の閣議決定に対しては、「答弁書は質問主意書があってのものだから、そもそもの質問がバカなだけ」
「野党の質問主意書が悪い」という声がある。
だが、質問主意書は国民への情報開示の目的もあり、野党にとっては国会での質疑とならんで重要な武器だ。
実際、自民党も下野時代は揚げ足取り的な質問主意書を提出していたし、また、そうして政府の統一見解を引き出すことは重要なことだろう。

 しかし、ここまで答弁書の閣議決定の内容が「劣化」しているのは、質問主意書が悪いのではなく、そうした質問主意書が生まれる原因を安倍政権がつくっているからだ。
前述した「そもそも」問題にしても、安倍首相が素直に答弁の矛盾を認めていれば、こんな質問は“そもそも”飛んでこない。
政治・国会の低レベル化が、アホな答弁書を連発させているのである。

しかも問題は、安倍政権は答弁書の閣議決定を「自己正当化」のために使っていることだ。
 たとえば、今年5月に安倍首相が閣議において改憲実現を目標2020年と発言したことを、
答弁書では“自民党総裁としてのもので、首相の職務として行われたものではない”とした。
このような自分勝手な立場の使い分けで言い逃れできるものではないが、今後もこの閣議決定が利用されていくのは間違いない。

 さらに絶句したのは、やはり今年5月、国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が共謀罪法案を「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を安倍首相宛てに送付した件だ。
このことについて閣議決定した答弁書では〈特別報告者の見解は、当該個人としての資格で述べられるものであり、国際連合又はその機関である人権理事会としての見解ではない〉と否定した上、〈その内容には誤解に基づくと考えられる点も多く、我が国政府として受け入れ難い内容のもの〉と批判した。
 これは政府見解としてあまりに乱暴で一方的すぎる。

事実、アントニオ・グテーレス国連事務総長が安倍首相との会談についてのプレスリリースで〈特別報告者による報告書に関し、特別報告者は人権委員会に直接報告する、独立した専門家であると語った〉(編集部訳)と報告している。
この「独立した」は日本国憲法76条が規定している「裁判官の独立」の「独立」と同じ意味で、何者にも干渉されない存在であることを説明するもの。
それを「国連とは別の個人の資格」と訳するのは明らかにインチキだが、政府は事実をねじ曲げ、閣議決定までしてしまった。

 そして、最大の問題は、このような横暴極まりない閣議決定が、たとえその内容があからさまな嘘や身勝手な論理・解釈でも、政府見解として「お墨付き」を与えることで、「正しい判断」のように流布していることだろう。
ようするに、正当化のための「手段」にされてしまっているのだ。
 政府の統一見解を示す本来の趣旨が、「安倍政権は正しい」と主張し、慎重な議論もすっ飛ばした暴走を是とするための道具に成り下がる。

──閣議決定された、とんでもない答弁書の数々は、当たり前の政治がおこなわれていないという現実を表しているのである。
      (水井多賀子)
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2017年11月19日

日馬富士暴行で貴乃花批判のおかしさ

日馬富士暴行事件で
マスコミが展開する
貴乃花バッシングは
矛盾だらけ!
背後に相撲協会のリーク
2017.11.18 LITERA(時田章広)

連日メディアを騒がせている、横綱・日馬富士による貴ノ岩への暴行事件だが、途中から風向きが大きく変わってしまった。
そう。報道のトーンが暴行した側の日馬富士でなく、被害者の貴ノ岩とその師匠である貴乃花親方への非難にすりかわってしまったのだ。

 先月26日巡業で訪れた鳥取での飲み会で、日馬富士が貴ノ岩をビール瓶で殴打するなどし、負傷させたというこの事件は、今月14日スポニチのスクープで発覚したが、それに先立って、12日から始まった九州場所を貴ノ岩は初日から休場。
13日に「脳振とう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑いで全治2週間」という診断書が公表され、ふつうのケガとは思えない症状の数々にいったい何があったのかと相撲ファンは騒然となっていた。

 相撲界では2007年の時津風部屋で力士が親方の暴行により死亡するという事件に代表されるように暴力事件がたびたび起き、再発防止に取り組んできたはずだった。
そんななか、ふたたび起きた暴力事件。
しかも、暴行をはたらいたのが横綱ということで大騒動になった。

 ところが、15日になるとスポーツ紙やワイドショーでは、
「貴ノ岩が日馬富士に「あなたたちの時代は終わった」など失礼な発言をした」
「日馬富士の説教中に貴ノ岩のスマホが鳴り、スマホを操作しようとした」
「貴ノ岩は普段から先輩に対する態度が失礼で、日馬富士はたまりかねて……」
「貴ノ岩は、平成生まれのゆとり世代だから、先輩への態度がゆるい」と貴ノ岩のマナーの悪さが俎上にのぼるようになる。

 さらに、マスコミが次々と報道し始めたのが、貴乃花親方の行動への疑問だ。
「貴乃花親方はなぜ相撲協会に報告せず、警察に被害届を出したのか」
「貴乃花親方は相撲協会からのヒアリングに対して「わからない」と答えたのはなぜか」
「日馬富士と貴ノ岩は事件翌日握手をして和解したはずなのに、なぜ被害届けを出したのか」 「貴乃花親方は巡業部長なのだから、暴行事件は自身の責任問題でもあるのに」
「理事長選がらみの、政治的な思惑があっての行動じゃないか」
 暴行事件だったはずが、いつの間にか“貴乃花親方が不可解”問題にすり替わってしまったのだ。
ワイドショーでもニュースでも、情報が錯綜していると言いながら、日馬富士の暴行よりも貴ノ岩のマナー違反や貴乃花親方の行動のほうを問題視。
相撲記者や元力士、相撲協会に近い関係者などのいわゆる専門家や事情通コメンテーターは一様に、暴行した日馬富士でなく貴ノ岩や貴乃花親方の行動のほうを非難。
貴乃花親方を擁護しているのは、せいぜい貴乃花とは絶縁状態にある母親の藤田憲子と、貴ノ岩の兄くらいのものだ。

 しかし、貴乃花の行為は本当に非難されるべきものなのだろうか。

マスコミの貴乃花批判はおかしい!
「理事長選謀略説」のウソ 
 たしかに、貴乃花親方がこの問題を大きくしたのはまちがいない。
事件をスクープしたスポーツニッポンは、貴乃花親方が評論家を務めており、関係が深いことで知られている。
理事長選のときなども貴乃花親方寄りの立場をとっていた。
今回のスクープも貴乃花親方からのリークではないかとの見方もある。
リークではないにしても貴乃花親方から証言をとっていると見られている。

 しかしその意図が、まことしやかに語られているような来年3月に行われる理事選をにらんだ謀略というのは、辻褄が合わない。
というのも日馬富士の親方である伊勢ヶ濱親方は前回の理事長選で貴乃花親方に投票し、その報復として閑職に左遷されるなど、八角理事長よりも貴乃花親方派のほうに近いとされる。
もし理事長選をにらんでのことなら、むしろ内々に済ませて恩を売るというほうが自然だろう。  

他の批判も同様だ。
たとえば、スポーツ紙やテレビが声をそろえて糾弾している「先に警察に被害届を出し、相撲協会への報告をしなかったのはおかしい」という批判も、むしろ警察やメディアにオープンにするほうが健全だろう。

 今回の事件は、巡業中の力士同士の間のトラブルとはいえ、相撲の取り組みや稽古のなかで、暴力なのか指導なのか境界が見極めづらい事例ですらない。
たまたま力士同士だったというだけで、飲み会の場での純然たる暴行だ。
そう考えれば、警察に届けても何もおかしくない。

 警察やメディアではなく相撲協会に言えというのは、相撲の世界の内輪の都合であって、ようは「隠蔽しろ」「内々に済ませろ」と言っているのと同じではないか。
 場所中に騒ぎを起こしたなどと貴乃花を非難しているが、それもおかしい。
そもそも場所中というのは相撲協会の都合でしかないし、場所中がどうしてもイヤなら、協会は警察から連絡のあった2日の時点で事件があったことは把握していたのだから、ふたりの親方だけでなく当事者や同席者たちにも場所前にさっさとヒアリングなどの調査をし自ら公表していればよかったではないか。

「貴乃花親方からは事態を収拾する気が見られない」もそうで、「事態を収拾」というのは、大事にしないで事件を矮小化、なかったことにして済ませたいということ。
まるで相撲協会の本音を代弁しているようではないか。

 いや、これは比喩ではない。
メディアは、明らかに相撲協会側に立って、相撲協会の言い分を代弁している。
 スポニチのスクープが出たあと、相撲協会はカウンター情報をガンガンリークしている。
貴ノ岩が先輩に失礼な態度をとったとか、貴乃花が協会のヒアリングには「わからない」と言ったとかなども、いずれも相撲協会側のリークだった。

白鵬の証言、医師の診断書
“撤回”の背後にも相撲協会の影
 次々と出てきている新証言も相撲協会が手を回しているにおいがぷんぷんする。
そのひとつが、16日になって唐突に飛び出した白鵬の証言だ。
「手を出したのは事実」としながらも、
「ビール瓶で殴っておりません。ビール瓶を持ったのは持ったけど滑り落ちました。
その後に私が間に入って(日馬富士を)部屋から出しました。
その場で貴ノ岩関が日馬富士に謝ったし、次の日の巡業(10月26日の鳥取巡業)でお互いに謝っていた」
「馬乗りになったのは事実ではない」と語ったのである。

 また白鵬は、4〜5年前に貴ノ岩が問題を起こした際、貴乃花親方から「弟子をかわいがってくれ」と頼まれたことがあったと明かし、「気合を入れるためにたたくこともある。普通の光景」と稽古のかわいがりと今回の暴行を同一視するような発言もした。

「ビール瓶を持ったけど滑り落ちた」など、いくらなんでも無理がありすぎるだろう。
貴乃花親方から「弟子をかわいがってくれ」と頼まれたことがあるという話も、今回の事件とはまったく関係ない、ただの印象操作としか言いようがない。
 昨日、警察による事情聴取を受けた日馬富士も暴行の事実を認める一方、「ビール瓶では殴っていない」と答えたが、白鵬がその直前になって、こんな重要な証言を口にしたというのは、その間に協会や日馬富士、同席した関係者らと口裏を合わせた結果なのではないか。

 17日には、マスコミが「診断書が2種類あった」「相撲協会に提出した診断書には「骨折」とあったが、その前に警察に提出した診断書には「骨折」はなかった」と報じたが、診断書が2種類あったというのをことさら非難するのもおかしい。
 警察に出された診断書は事件直後の10月26日のもので、相撲協会に出された診断書は11月9日のもの。
おそらく診察した医師も別の人間と思われる。
頭蓋低骨折はCTなどを使わなければ診断できず、どこの病院でも診断のつくものではない。
その場では切り傷など目に見える外傷だけ手当して、その後回復しないことから精密検査をして症状が見つかるということは十分あり得ること。

 さらにきのう17日夕方になって、頭蓋低骨折の診断書を出した医師が相撲協会を通じて「骨折と髄液漏は“疑い”にすぎない。
全治2週間というのは、負傷してから2週間という意味。
相撲も含めて仕事に支障はないと判断した。
重傷のように報じられて驚いている」などとする見解を表明した。

 しかし、診断書には「上記傷病にて平成29年10月26日に受傷し、11月5日より11月9日まで当科入院加療を実施しました。
全治2週間程度と考えられます。
その間に状態が安定すれば、仕事に復帰が可能と思われます。」とある。
もう全治しているという認識なのに「その間に状態が安定すれば」という仮定の表現をするだろうか。

 また「骨折や髄液漏」が仮に疑いに過ぎなかったとしても、少なくとも「脳しんとう」については確定診断をしている。
脳しんとうは、時間差で症状が出ることがあったり、数日〜30日後くらいのうちに2回目の頭部外傷を受けるとそれぞれ単独の外傷は軽度であっても致命的な損傷を引き起こすセカンドインパクト症候群の怖れもある。
とくに格闘技やコンタクトスポーツでは練習再開にも慎重になるのが一般的だ。

それを「相撲を取ることも問題ない」などと医師が軽々に判断するだろうか。
 いったいなぜ、この医師は自分の診断の信用性をなくするような発言をおこなったのか。
実は、この医師の周辺には、相撲協会関係者とつながっている人脈があり、そこから圧力をかけられたのではないかといわれている。
事件を隠蔽したのは相撲協会も同様だ!
 いずれにしても、協会の対応も新証言も客観的に考えれば疑問だらけなのだが、ほとんどのメディアは相撲協会の意を汲んで、貴乃花叩きの印象操作の報道を展開している。

 そもそも、この暴行事件を隠蔽していたのは相撲協会だけではない。
メディアも同じだ。
 というのも、スポニチのスクープ前から、日馬富士の暴行事件については相撲記者たちのあいだでは周知のことだった。
スポニチのスクープが出た14日の『とくダネ』(フジテレビ)で、横野レイコレポーターがこう口を滑らせていた。
「初日に取材に行きましたが、この話題でもちきりでした。
巡業中の出来事は、相撲関係者も、記者のあいだでも、殴ったらしいね、っていう話にはなっていたんですけど」
「ほとんどの方は知っていました。
協会の関係者も知っていましたし、我々マスコミも、知っていましたね」

 相撲取材歴が長く相撲協会に近い横野レポーターはこのあと、「なぜほかの新聞は書いていないのに、スポニチが書いたのか」と暗にスポニチと貴乃花親方を非難するのだが、おかしいのは貴乃花親方やスポニチでなく、暴行事件を知っていながら報じないメディアのほうだろう。
 最近相撲人気も盛り返してきていることから協会の機嫌を損ねたくないというのもあるし、長年相撲記者をやっているような人は意識が相撲界の内輪に組み込まれてしまっている。
メディアは普段、相撲協会の隠蔽体質を批判しているが、自らもその隠蔽の一翼を担っているのだ。
メディアまでがこういう体質なのだから、相撲協会から暴力体質や隠蔽体質がなくならないのも、当然というべきだろう
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「宗主国」米国と「属国」日本で苦悩する自衛隊

国防軍としての議論なく 
占領軍命令の
「警察予備隊→保安隊→
自衛隊」の不幸

憲法制定時、憲法9条で日本共産党の野坂参三氏の「国防軍も否定するのは問題だ」との指摘に対し、当時の政府は「憲法の理念に沿って平和を希求する」と軍隊を否定したのです。
それが朝鮮戦争勃発で米国占領軍が出兵するため 日本の占領軍の手薄さを埋めるるために「警察予備隊」創設の命令で誕生したことが 今の自衛隊が「国防軍」としての機能不全のまま近代兵器装備の「軍でない自衛隊」という 世界でも不思議な組織にしてしまったのです。

日本「防衛軍」の意識なき国土計画
今、Jアラートなどで 北朝鮮のミサイルの脅威を煽っている安倍政権ですが、国土整備と自衛隊運用の統合計画なしに国民の命を軽視してきたのが現状です。
有事の時があるとしたら、今の道路や地下施設などで国民の命を守れるのかが問題なのです。
国民の避難体制がなく 国民を人質を取られた中で 陸上自衛隊は戦えるのかという命題です。 まして戦車・装甲車などの重砲機甲部隊が移動する強度を持った道路・橋が 整備されているのか??
どうも防衛族といわれる議員達は 国民の命より政権維持できればいいとでも思っているのでしょうか・・・。

防衛軍でないための装備品のムダ?
救命するためのヘリコプターが なぜ陸・海・空で違う機種になるのか・・。
通信が陸海空でリンクされているのか、米軍との個別リンクはあるようですが、防衛のための統合運用に支障はないのか?
その他、山岳が多い日本で 陸自の機甲師団は必要なのか・・、
災害派遣の装備や救急装備やレンジャーの小銃などの世界照準化などが必要ではないでしょうか。
無線や車両など・・・、武器選定・操縦・整備・運転・基地・指揮系統は整備されているとは言えないのではと思います。

各組織の整備統合
海上自衛隊と海上保安庁・海上警察などの組織統合や重複業務の整理。
陸上自衛隊と国土交通省、法務省、消防、警察などの役割分担と統合の可能性。
航空自衛隊と米軍占領空域、運輸省の占領空域の見直し。

憲法改悪より先に
「国防」軍、国土整備の見直しを
今、安部政権や改憲勢力は、自衛隊を対米従属軍にしないための 「国防」「国防軍」「国防的観点でのインフラ整備」の在り方を 真剣に考えて欲しい。

現状の自衛隊をそのまま憲法に書き加えても 道路交通法・刑法・民法などの法律にがんじがらめにされ
 隊員の現場判断で交戦はできず 交戦しても刑法の殺人・傷害罪に問われかねない状態では「隊員に死ね」と強制しているようです。

国民の避難体制も災害被害に対する援助・支援の「自己責任」論の理不尽な対応を見るかぎり 早急に検討を要すると思います。
posted by 小だぬき at 14:14 | 神奈川 ☀ | Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月20日

バイトより安月給"常勤医不足"に悩む僻地

バイトより安月給"
常勤医不足"に悩む僻地
2017.11.17 プレジデントオンライン (上 昌広)

地域医療の崩壊を食い止めるため、厚生労働省は来年にも医療法を改正し、若手医師の「僻地勤務」を義務化する方針だ。
すでに一部の若手医師は地域医療のために立ち上がりつつあるが、厚労省や地元自治体はそうした動きを牽制している。
なぜ若者の邪魔をするのか。
その原因は医療界の「既得権益」にある――。

大学医局と厚労省に
「監視」される奴隷
地域医療が崩壊の瀬戸際にある。
この問題を解決すべく、厚生労働省は来年の通常国会に提出する医療法の改正案に、若手医師を僻地に強制的に派遣する仕組みを盛り込もうとしている。
2014年、厚労省は「都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取り組むコントロールタワー」(厚労省HPより)として、各都道府県に「地域医療支援センター」を設置した。

厚労省によれば、今回の法改正で、「地域医療支援センター」が地元の大学と連携して、「医学部入学から生涯にわたる医師のキャリア形成・異動を把握」し、「キャリア形成支援・配置調整」ができるように権限を強化するらしい。
こうなると、医師は大学卒業後も、大学医局と厚労省に「監視」され、彼らの指示するまま「配置」されることになる。
これでは奴隷のようなものだ。

民主主義社会での日本で、こんな「国家統制」が許されるはずがない。
ところが、厚労省は本気だ。
医療法改正案の中には、これ以外にも、この手の国家統制がふんだんに盛り込まれている。

「老害医師」が
厚労省にすりよる構造
残念ながら、いまのところ医療界の有識者は誰も反対していない。
むしろ、厚労省の尻馬に乗っている。
たとえば邊見公雄・全国自治体病院協議会会長は、業界誌の『日経メディカル』で以下のように語っている。
「国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むことを可能にするためにも、医師になって数年間は強制的に全国各地で勤務するようにしてほしいと私は考えている。
そもそも医師は「ヒポクラテスの誓い」をしているのだから、100%の医師がこの方針に賛同してしかるべきだ」(日経メディカル「労基署に踏み込まれる前に医療界がすべきこと」)

私は、この文章を読んで反吐が出た。
邊見氏が、僻地医療での勤務を大切に思うなら、業界団体の名誉職にしがみつかず、自ら赴任すればいい。
自らは安全地帯にいて、若手をこき使う。
日本の医療の問題は、若手医師が僻地勤務を嫌がることではない。
このような老害医師が、厚労省にすりより、国家統制の強化を誘導していることだ。

私は厚労省と業界団体による統制を強化することは、日本の地域医療をますます衰退させると考えている。
どんな分野においても、活性化のためには志のある若者が必要だ。
だが、常に老害という名の既得権者が、彼らの邪魔をする。

福島県南相馬市の事例をご紹介したい。
今年8月末、南相馬市の大町病院から常勤医内科医がいなくなってしまった。
大町病院は南相馬に4つしかない一般病院の1つだ。
ここが機能を失うと、南相馬市だけでなく相双地区の医療が崩壊する。
緊急事態だ。

「誰もいかないなら、
私がいきます」
相双地区は福島第一原発事故で大きな被害を受けた。
国家が相応の責任を負うべき地域である。
医師不足への対応では、厚労省は、医師免許をもつ厚労官僚である医系技官の赴任や、国立病院機構やナショナルセンターの医師の出向といった手段をとれる。

前出の邊見氏も、日本の医療界のリーダーと自負するなら、全国自治体病院協議会の場で支援を議論したり、その幅広い交友関係で支援を仲介したりすることもできたはずだ。
ところが、彼らは何もしなかった。

結局、大町病院の内科の穴を埋めたのは、医師になって3年目という南相馬市立総合病院の山本佳奈医師だった。
「誰もいかないなら、私がいきます」と及川友好・南相馬市立総合病院院長に志願した。
彼女は滋賀県出身で、大阪の四天王寺高校から滋賀医大へと進んだ。
私は彼女が大学に在学していたとき、東大医科研の研究室で知己を得た。
卒業後は南相馬市立総合病院で初期研修を行った。

滋賀医大在学中から、彼女は産科志望だった。
大学に入局せず、南相馬にとどまりながら、産科医になることを希望した。
ところが、彼女のような「異端児」を、南相馬市の桜井勝延市長、南相馬市立総合病院に福島県立医大から出向している産科医、さらに福島県立医大の産婦人科医局がいじめ倒した。
詳細は拙稿をご覧いただきたい。(JBPress「日本の医療崩壊を救った若き女性医師」)。

「余計な軋轢」を起こす
彼女は迷惑な存在
福島医大における既得権を守りたい彼らにとって、山本医師のような存在は受け入れがたかったのだろう。
一方、南相馬市や福島県などの行政は福島医大に対応を丸投げした。
余計な軋轢を起こす彼女は迷惑な存在だ。
そこに医療を受ける住民の目線はない。
追い込まれた彼女を2人の医師が救った。

1人目は竹之下誠一・福島県立医大理事長だ。
竹之下理事長は、桜井・南相馬市長に、福島医大として彼女を支援することを伝えた。
南相馬市は福島県立医大以外に医師招聘のルートがない。
桜井市長も、竹之下理事長の意向は無視できない。
余談だが、竹之下氏は鹿児島の鶴丸高校から群馬大学に進んだ外科医だ。
群馬大学の関係者に聞くと「腹腔鏡事故を起こしたグループとの抗争に敗れ、福島に移っていった。
そして、そこで実績をあげた」という。
苦労が彼を育てたのだろう。
今年、外様の竹之下氏が福島医大の理事長に就任し、福島の医療は変わりつつある。
話を戻そう。

2人目の支援者は、南相馬市立総合病院の小鷹昌明医師(神経内科)だ。
傷ついた彼女に「僕と一緒にやろう」と声がけした。
小鷹氏のキャリアはユニークだ。
震災後、獨協医大神経内科准教授のポストを捨てて、南相馬市に移住した。
南相馬の復興を願い、院内にとどまらず、地元社会で活動している。
詳しくは拙稿をご覧いただきたい(FACTA「南相馬「名もなき赤髭」物語」)。

20人以上の入院患者と
週8コマの外来
結局、彼女は神経内科医を選択し、南相馬市立総合病院に残った。
ただ、それもすんなりいったわけではない。
今年4月の時点では「福島県立医大とけんかする医師は雇用できない」(桜井・南相馬市長)という理由で、非常勤雇用だった。
正式に採用されたのは今年5月からだ。
その彼女が南相馬市の危機を救った。

現在、大町病院のたったひとりの常勤内科医として働いている。
彼女は20人以上の入院患者を受け持ち、さらに週8コマの外来を担当している。
ベテランの内科医でも、外来は週4コマ、入院患者の受け持ちは10人程度が普通だ。
常識では考えられない仕事量だ。

彼女の毎日は多忙を極める。
朝8時に出勤し、病棟を回る。
日中は外来だ。
その合間に急患が入ってくる。
高カルシウム血症による意識障害、溶血性貧血発作疑いなど、診断に苦慮するものが多い。
彼女は駆け出しで、経験も少ない。
「ワシントンマニュアル」や「ハリソン内科学」などの医学書を引きながら診療している。

文献だけでは分からないことがあれば、私や、南相馬市立総合病院の先輩医師に携帯電話で聞いている。

われわれの仕事は、
やる気のある若手を支えること
問い合わせに応じて、知人の専門医を紹介したこともある。
例えば、大町病院には放射線専門医がいない。
外部に読影を依頼しているが、結果がわかるまで数日かかる。
先日、発熱が続く患者に胸部X線を撮影した。
明らかな所見はなかったが、少しだけ痰が出ていた。
彼女は胸部CT画像を撮影したが、非特異的な所見以上にはわからなかった。
私も同様だった。
そこで、東大医科研時代の同僚の専門医を紹介し、フェイスブックメッセンジャーで画像を送った。
すぐに「気管支肺炎」と返事をくれた。
抗生剤を投与すると、状況は改善した。
一事が万事、こんな感じだ。

彼女は、毎晩22時ごろまで診療やカルテ整理を続け、終わった後に論文を書いている。
現在、3つ目の英文論文を準備中だ。
彼女は大町病院に異動して成長した。
若手は自分で判断させて、責任をもたせると伸びる。
われわれの仕事は、やる気のある若手を支えることだ

僻地の医療崩壊を食い止めるための1つの方法は、このようなやる気のある若手医師に来てもらうことだ。
その際、いくつか解決すべき課題がある。

アルバイト医師より給与は安い
例えば、給与だ。
山本医師は南相馬市立総合病院の常勤医師、つまり地方公務員だ。
地方の民間病院と比較して、給与は驚くほど安い。
山本医師が赴任した9月の月給は約48万円。
その後、時間給3000円程度で残業代が加算されることになった。

一方、大町病院には、東京の私立大学から大勢のアルバイト医師が来ている。
一般的に医師のアルバイトでは、午前・午後の外来で10万円以上、あるいは休日の日直と当直で15万円以上の報酬が見込まれる。
山本医師は公務員なので、こうしたアルバイトはできない。
アルバイト医師の給与総額は、山本医師よりはるかに高いはずだが、働きぶりはどうだろうか。

どちらが病院や地域社会に貢献しているか。
ダブルスタンダードは看過できない。
医師不足の自治体は、医師確保のために年間数千万円を大学に寄附し、「寄附講座」を設立することで医師を派遣してもらっている。
だが、その実態は医大による給与のピンハネだ。
私が調べたところ、2014年度にいわき市が福島医大に寄附した6000万円のうち、医師に支払われた人件費総額は2530万円。
差額の3470万円は医大が自由に使えるカネとなっていた(ハフポスト「福島の医師不足利権」)。
こうした寄附なら、支援を受けられるだけまだいい。

山本医師のように自らの意志で地域医療を守ろうとする若者には何の支援もない。
むしろ、「地元の大学と軋轢を起こす存在」としていじめる人たちもいるのだ。
若手医師の「強制派遣」を議論する前に これでは、みなで若者のやる気をそいでいるようなものだ。
医療行為には責任がともなう。
医療事故を起こせば、自らが逮捕され、膨大な賠償金を支払う可能性もある。
彼らを安くこき使い、責任だけを負わせるというのは恥ずべきことだ。
取り組んだ仕事に対しては、相応の評価を与えなくてはいけない。

厚労省や邊見氏は、若手医師の「強制派遣」を議論する前に、そのための制度について議論すべきだ。
古今東西、変革は社会の周辺から起こる。
そして、その中心は常に本気で行動する若者だ。

南相馬市は、東日本大震災後の原発事故で甚大な被害を受けた。
いま、この地域に志のある若手医師が集い、地域をかえようとしている。
こうしたケースが社会で共有されれば、われこそはという若者がさらに出てくるだろう。
その際、老害という名の既得権者から、彼らを守らなければいけない。

上 昌広(かみ・まさひろ) 医学博士。
1968年兵庫県生まれ。
1993年東京大学医学部医学科卒業、1999年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。
虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員、東京大学医科学研究所特任教授など歴任。
2016年4月より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所を立ち上げ、理事長に就任。
医療関係者など約5万人が講読するメールマガジン「MRIC」編集長。
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2017年11月21日

庶民の年金はカットして…自民党「議員年金」復活を

庶民の年金はカットして…
自民党
「議員年金」復活を画策
2017年11月18日 日刊ゲンダイ

 選挙で約束した「社会保障の拡充」とは、自分たちの年金のことだったのか。
 自民党が、議員特権の復活を画策している。
国会議員互助年金(議員年金)だ。

14日の総務会で、「議員の待遇が悪いと優秀な人材が集まらない」「地方議員も議員年金がなくなって困っている」などと、議員年金の復活を求める意見が相次いだという。
 竹下総務会長も会見で「若くして出てきている国会議員たちが退職したら全員生活保護だ。
こんな国は世界中になく、そこは皆さんにも認識してもらいたい」と言い、議員年金の復活に理解を求めたが、冗談じゃない。
庶民には増税や年金保険料増額、医療費の負担増などを強いておきながら、選挙に勝ったら真っ先に自分たちの待遇改善を言い出すなんて本当にフザケてる。

 自民党政権は、今年1月から個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の加入対象を広げ、政府広報でテレビCMもバンバン流して、「老後資金は自助努力で貯めておくように」と国民に啓蒙活動をしてきた。
自民党議員も老後が心配なら、iDeCoに入って備えておいたらどうなのか。

 かつての議員年金は在職10年以上で受給資格が得られ、最低でも年額412万円が支給されていた。
しかも、在職期間が1年増えるごとに年額8万2400円も増えるという厚遇ぶり。
議員特権の象徴として批判され、2006年に廃止された

現在は国会議員も「国民年金」に加入しているが、06年当時の受給資格者には減額して支払われる。
その原資は税金だ。

昨年は年金カット法が強行採決され、さらに自民党は受給開始年齢を70歳以上に引き上げようとしています。
それなのに、自分たちだけ特権的な年金を復活させようとは言語道断で、開いた口がふさがりません。
国民年金だけではマトモに生活できないというのなら、制度を変える議論をすべきであって、議員年金の復活は筋違いもいいところです。
それに、日本の国会議員の報酬は先進国の中でもかなりの高額なのです。
それでも老後が不安というなら、カツカツで蓄えがなく年金で暮らすしかない庶民はどうすればいいのか。

自民党は、血税を吸い取って自分たちが好きに使うことしか考えていない。
まるで吸血鬼政権です。
最近の傲慢な国会運営を見ていると、議員年金の復活も数の力で押し切りかねません」(政治評論家の本澤二郎氏)

 選挙に勝てば何でも許されるという、おごりと特権意識。
これが自民党の本質だということがよく分かる。
悪しき議員年金の復活なんて、絶対に許してはダメだ。
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2017年11月22日

日本が囚われ続ける「米国占領下の戦争協力体制」の正体

日本が囚われ続ける
「米国占領下の
戦争協力体制」の正体
2017年11月20日 日刊ゲンダイ

 敗戦後70年以上経ってもなお、日本は米軍の治外法権下にある「半分主権国家」だ――。
歴代政権が米軍と交わした密約の数々から、国民にひた隠す「ウラの掟」を告発したベストセラー「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」の著者でノンフィクション作家の矢部宏治氏は、この国の行く末を憂える。
これからも極めて異常な対米隷属関係を続けるのか、と。

■トランプ来日が見せつけた
 屈辱的取り決め  
 ――先週来日したトランプ米大統領が、矢部さんが最新刊で指摘していた「日本の歪んだ現実」をまざまざと見せつけましたね。
 トランプ氏は訪日の初日、東京都下の米軍・横田基地から「入国」し、その後も埼玉県のゴルフ場、六本木にある軍事へリポートと、米軍専用の「横田空域」内を中心に各地を飛び回りました。
その間、日本の法的コントロールはいっさい受けていない。
ただ、多くの識者がその様子を見て、「主権国家に対して失礼じゃないか」と激怒していましたが、そこには根本的な認識不足がある。

実は軍部だけでなく、米政府関係者は日米地位協定(第5条1項)によって、ノーチェックで日本に入国できる法的権利を持っているのです。
だから日本人はトランプ氏に対してではなく、そうした屈辱的取り決めを結んでいる自国の政府と、その現状に対して激怒すべきなのです。

――大統領選中は在日米軍撤退をほのめかしていたトランプが、来日時には日米同盟を「宝」と持ち上げました。
 就任後、現在の日米の軍事的な取り決めが、いかに並外れて自国に有利なものか、よく理解したのでしょう。
米軍は事実上、日本全土を基地として使える条約上の権利(基地権)を持っています。

 一方、例えば、かつてアメリカの本当の植民地だったフィリピンは、戦後独立した際に、米軍が基地を置けるのはこの23カ所に限ると、具体名を基地協定に明記しています。
また、2003年にたった1カ月で米軍に完敗したイラクでさえ、駐留米軍に対し、イラク国境を越えて他国を攻撃することを禁じるという地位協定を結んでいます。
他国の軍隊に対して「国内に自由に基地を置く権利」と、「そこから自由に国境を越えて他国を攻撃する権利」の両方を与えているのは、世界で日本だけなのです。  

――米軍にすれば、
 まさに「宝」の関係です。
 そうした状況について、よく「戦争に負けたから仕方がない」と言う人がいますが、それは完全な間違いです。
先ほどの、イラクが敗戦後に米国と結んだ地位協定の内容を見れば、そのことがよく分かります。
 ではなぜ日本だけが、そんなおかしな状態になってしまったのか。
私もそれが疑問でずっと調べてきたのですが、最近ようやく理由が分かりました。

最大の原因は朝鮮戦争(1950〜53年)にあったのです。
52年の日本の独立を挟んだ3年間、すぐ隣の朝鮮半島で起きていたこの激しい戦争が、その後の日米の軍事的関係や、ひいては「戦後日本」の在り方に、決定的な影響を及ぼすことになったのです。   

――最悪な時期に、独立の交渉をしていたのですね。
 旧安保条約や行政協定(現・地位協定)は、朝鮮戦争で苦境に立ったアメリカの軍部が、日本に独立後も全面的な戦争協力をさせるため、自分で条文を書いた取り決めなのです。
たとえば旧安保条約の原案には、
日本軍が創設された場合、国外で戦争はできない。ただし米軍の司令官の指揮による場合はその例外とする」と書かれています。  

――今の自衛隊の立場が、
その米軍の原案通りに
なりつつあることに驚きます。
 旧安保条約についての日米交渉が行われたのは、憲法9条ができてから、まだ4年しか経っていない時期です。
だからさすがに国民に見える形では条文化できず、当時の吉田茂首相が米軍司令官との間で、「戦争になったら自衛隊は米軍の指揮下で戦う」という「指揮権密約」を口頭で結ぶことになったのです。   

――これほど重要な取り決めを
国民に60年以上も
     隠してきたのですね。
 加えて問題だったのは1960年の安保改定です。
「対等な日米関係を」というスローガンの下、米国との交渉にあたった岸信介首相がウラ側の「基地権密約」で、朝鮮戦争勃発時に生まれた「占領下の戦争協力体制」を法的に固定してしまった。
ですから私たちが今生きているのは、安倍首相がよく口にする「戦後レジーム」ではなく、祖父である岸首相が固定した「朝鮮戦争レジーム」の中なのです。

戦後初めて対米隷属が
生命の危機を生む   

――こんなおかしな体制が、どうして60年以上も続いてきたのですか。
 日本は戦後、数多くの米軍の戦争を支援してきましたが、そのことで日本国民が生命や財産を脅かされる心配はなかった。
いくら米軍の爆撃機が日本から飛び立って北朝鮮やベトナム、イラクを攻撃しても、相手国には日本を攻撃する能力がなかったからです。
しかも、米軍の戦争に全面協力することで日本が手にした経済的な見返りは、非常に大きかった。   

――今は金正恩委員長とトランプとの挑発合戦が過熱する中、北朝鮮は日本に200発の中距離弾道ミサイルを向けています。
 だから今、戦後初めて日本人は、米国への軍事的隷属体制によって、自らの生命が危険にさらされるという全く新しい現実を生きているのです。
なのに安倍首相にはその自覚がなく、北朝鮮に対する強硬姿勢を崩さない。
極めて危うい状況にあります。  

――とくに自衛隊の「指揮権」の問題については、ほとんどの国民が知らないと思います。
 この問題で日本と全く同じ状況にあるのが韓国です。
でも韓国の人々は皆、米軍が韓国軍の指揮権を持っていることを知っている。
朝鮮戦争が開戦した翌月、李承晩大統領がマッカーサー元帥に対して、公式に指揮権を移譲したという歴史的経緯があるからです。
だから大統領選の時には、この指揮権の問題が必ず争点になるのです。   

――日本は密約でその権利を認めてきたため、国民はカヤの外です。
 最大の問題は、米軍が「戦時における指揮権」だけでなく、事実上の「開戦の決定権」も握っているということ。
韓国の例を見ると、実際に戦争が始まるはるか以前の段階で、韓国軍は米軍の指揮下に入ることになっています。
もちろん日本も同じ状況にある。
ただ違うのは、韓国では国民がその問題をよく理解しているために、文在寅大統領も国民の危機感を背景に、「韓国の了承なしに朝鮮半島で戦争を始めることは許さない」と、米国に対して意思表明をすることができた。

 ところが安倍首相は、世界中の指導者が韓国と日本で起きる巨大な被害を懸念して、「北朝鮮問題に軍事的解決などあり得ない」と述べる中、「異次元の圧力が必要だ」などと言っている。自国が攻撃される可能性を全く考えていない、恐ろしい状態にあるのです。

■朝鮮戦争の終焉こそ
 真の独立の始まり  
 ――日本がこれから、特に注意すべきことはなんでしょうか。
 北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が、遠からず米本土を射程内に収めることは既定事実となっています。
そうした状況の中、米軍は日韓両国に「核兵器の地上配備」を強烈に求めてくると思う。

1980年代に米国がソ連の中距離核ミサイルに対抗して、欧州の同盟国に中距離核ミサイルを持たせたのと同じ。
日韓を前面に立たせ、自分たちは核の撃ち合いの外側にいて危険を避けるという状況をつくろうとするはずです。
しかし、北朝鮮に対する日韓の核配備は自動的に、中国との間でも核を撃ち合いかねない「恐怖の均衡」を成立させてしまう。
超大国・中国との間で、永遠に続く軍事的緊張が待ち受けています。  

――自民党防衛族の石破茂元幹事長が「非核三原則」見直しに言及しているだけに不気味です。  

それを防ぐためにも、日本はいまだに休戦中の朝鮮戦争の平和裏な終結に協力すべきです。
朝鮮半島で平和条約が結ばれれば、「朝鮮戦争レジーム」に基づいた日本のおかしな対米隷属状況も、終息へ向かう可能性があるのですから。
 (聞き手=本紙・今泉恵孝)

やべ・こうじ 
1960年、兵庫県生まれ。慶大文学部卒。
株歯堂マーケティング部を経て、87年から書籍情報社代表。
2010年の鳩山政権の崩壊を機に日本戦後史の共同研究を始める。
「日本はなぜ、『戦争ができる国』になったのか」など著書多数。
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2017年11月23日

安保法制密約で自衛隊将校が実名告発!

自衛隊の現役情報将校が
怒りの実名告発!
“自衛隊統幕長と米軍の安保法制密約記録”
漏洩の嫌疑をかけられ…
2017.11.22 LITERA編集部

 戦後日本の防衛を180度転換し、集団的自衛権の行使を可能にした安保法制。
その安保法制が強行成立した2015年の晩夏、国会で飛び出した衝撃の“安保法制密約記録”のことを覚えているだろうか。
 防衛省の内部文書であるこの記録には、自衛隊制服組トップである河野克俊統合幕僚長が、2014年12月の衆院選直後に訪米した際、米陸軍のオディエルノ参謀総長に対し、こう説明していたと記されていた。

オディエルノ
「現在、ガイドラインや安保法制について取り組んでいると思うが予定通りに進んでいるか? 何か問題はあるか?」

河野
「与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えている」(2014年12月17日の会談)  この文書は同年9月2日の参院特別委で、共産党の仁比聡平議員によって暴露されたのだが、ようするに、日本の行政府や立法府による決定よりもはるか前に、日米軍部間で安保法制の成立が決められていたことを意味していた。
言い換えれば、国民が選出した国会議員による議論をまったく経由せぬまま、制服組トップが勝手に集団的自衛権等の法制化をアメリカ側に約束していたわけである。
まさにシビリアンコントロールの欠如と言わざるをえない。

 内部文書が事実ならば、当然、河野統幕長は更迭、内閣も総辞職するほどの大問題だ。
しかし、国会で追及された当時の中谷元防衛相は、
「資料がいかなるものかは承知をしておりません」
「御指摘の資料は確認をできておりません」と答弁。

安倍首相も同年9月11日の参院特別委で「仁比委員が示された資料と同一のものの存在は確認できなかったものと認識しております」と強弁した。
つまり、政府は“文書は存在しない”と言い張ることで、事態の収拾を図ったのである。

 ところが一方、防衛省・自衛隊内は、この爆弾内部文書の“犯人探し”に躍起となっていた。
そして「犯人」と決めつけられた現役自衛官が、今週発売の「サンデー毎日」(毎日新聞社)12月3日号で、ジャーナリスト・青木理氏のインタビューに応じ、その内実を実名告発したのである。

存在しないはずの安保法制密約記録
めぐり自衛隊内で厳しい取り調べが
 実名告発したのは、防衛省情報本部の3等陸佐・大貫修平氏。
1997年、大学卒業後に陸自入り。
技術系の幹部自衛官として経験を積み、2014年8月に情報本部統合情報部に配属されたいわば“情報将校”。

情報本部とは〈各種情報を集約のうえ総合的に処理・分析し、国際軍事情勢等防衛省・自衛隊全般を通じて必要となる戦略的な情報を作成することを基本的業務〉(防衛省HP)とする情報機関だ。
 大貫氏は、仕事の性質上、さまざまな機密文書にも携わる立場。
特定秘密保護法に基づく秘密も日常的に扱い、特定秘密の登録作業や複製を背広組に届ける作業などもあった。
問題の内部文書については、河野統幕長の訪米後、統幕側の3佐からメールで会話記録を受信し、通常業務として部内に転送しただけであり、自衛隊内で「犯人」扱いされたのは濡れ衣だと訴えている。

 大貫氏が最初に呼び出されたのは、問題の内部文書が飛び出した国会質疑からまもない2015年9月中旬から末。
自衛隊内の司法警察である警務官から、「文書が流出したのを知ってるか」「国会の件は知ってるか」などと聞かれたという。
しかし、同年11月、再び警務隊からの呼び出された大貫氏は、過酷な聴取を受けることになった。

青木氏に対して、その時の様子をこのように語っている。
「昼過ぎに中央警務隊に行くと、窓のない部屋に案内され、白衣の隊員に『ポリグラフ(嘘発見器)検査を受けてもらう』と告げられました」
 電極のようなものをつけられ、休憩もなく、水さえ飲ませてもらえない環境のなか、ポリグラフ検査は3時間以上も続いた。
まるで戦中のスパイをあぶり出す残酷な自白強要さながらだが、その後も「お前が犯人なのはまちがいない」と決めつけた取り調べが、昼過ぎから午後10時まで続けられたという。

さらに組織は陰惨な仕打ちを見舞った。
自宅や実家まで家宅捜索しただけでなく、大貫氏を総務部庶務係という情報統合部内の閑職へ飛ばしたのだ。
「やってもいないことを認められるわけがありません」(大貫氏)
 それでも、大貫氏は否認を貫き、潔白を主張した。

実際、大貫氏は警務隊によって送検されるも嫌疑不十分で不起訴になっており、今年3月には「身に覚えのない内部文書の漏えいを疑われ省内で違法な捜査を受けた」として国に慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を地裁に起こしている。

 本サイトは、内部文書のリークがすぐさま罪に問われる現状に対して批判的だが、それは別にしても、大貫氏が青木氏に語った状況などを踏まると、彼が文書を漏洩したとはちょっと考えづらい。
大貫氏は、青木氏の「重要情報をリークする気になれば、もっと機微なものをリークすることもできた」との質問に対して「そうですね。いくらでもできたでしょう」と答えているし、少なくとも、仮に大貫氏が文書の出どころだとしたら、自身も真相を追及される訴訟を起こすのは、普通、ありえないはずだからだ。

冤罪捜査の背景に
文書をなかったことに
しようとする安倍官邸の意向
 逆に言えば大貫氏は、防衛省・自衛隊の何らかの意図で、無理やり内部文書流出事件の“スケープゴート”にされた可能性が極めて高い。
重要なのは、政府が「存在は確認できなかった」と言い張っていた内部文書の存在を前提に防衛省が犯人探しをしたという歴然たる事実だ。

 青木氏も記事のなかで指摘しているが、これは当初「破棄した」と答えていた南スーダンPKO派遣をめぐるデータが実際には隠蔽されていたという自衛隊日報問題や、行政が「記録はない」「記憶にない」を連発している森友・加計学園問題を彷彿とさせる事件だ。
その背景には、官邸の意向を忖度した官僚たちが、政権幹部を徹底してかばい、不利な情報を葬り去ろうとしているという状況がある。

 実際に、大貫氏の冤罪事件をめぐっても、やはり官邸の影が見え隠れしている。  
 提訴を報じた新聞記事にはこうある。
訴状などによれば、大貫氏がメールで部内に転送した河野統幕長の会話記録等は、電子データで各職員が保管していた。
そのときは「取扱厳重注意」というカテゴリーだったが、しかし、国会で内部文書が暴露された翌日、統合幕僚監部は文書を「秘文書」に指定し、その後、各職員に削除を命じていたというのだ。
さらに、大貫氏は警務隊から「これは官邸マターだから協力しろ」「行政府の長が怒っている」といった言葉も浴びせられたという。

 ようするに、安倍首相らが国会で「文書は確認できなかった」と言ったから、それを防衛省が忖度して、実在する文書をなかったことにするため動いた。
そういう構図としか思えない。

 事実、しんぶん赤旗2017年10月23日によれば、これまで裁判の口頭弁論で、大貫氏側が文書について事実確認を求めても、被告の国側は「捜査中」を理由に認否を拒んできたという。
ようするに、漏洩されたとする文書が「存在した」と言えば、安倍首相らの虚偽答弁と、日米軍部が事前に安保法制の約束をしていたことを認めることになる。

一方で「存在しない」と言えば、大貫氏への聴取や送検は事実がまったくないまま吊るしあげたことになる。
どちらにしても矛盾するから、国側は文書やその内容の認否を明らかにできない。
そういうことらしい。

 “存在しない”はずの内部文書が「官邸マター」として捜査され、無実の幹部自衛官が身代わりとして処罰される──。
まるで出来の悪い冗談だが、安倍政権のもとではこんな異常事態が現実に起きているのだ。

 青木氏による大貫氏のインタビューは、次週の「サンデー毎日」にも掲載が予定されている。国会での発覚後の秘文書指定や削除指示など隠蔽の事実、官邸を忖度した歪な防衛省・自衛隊の実態、そして文書が証明している日米の危険な軍事一体化についても、さらに踏み込んでいくだろう。
注目しつつ、まずは発売中の同誌を読んでもらいたい。
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2017年11月24日

安倍政権が企む“子なし世帯増税”の異常性

4人以上子どもを産んだ
女性を表彰し、
子どものいない世帯は増税!
安倍政権のあまりに
グロテスクな少子化対策
2017.11.22 LITERA(田岡尼)

 安倍自民党が選挙で打ち出した「教育無償化」が嘘八百であったことを昨日の記事でお伝えしたが、じつはもうひとつ、政府がとんでもないプランをぶち上げた。
 2018年度税制改正の主要テーマである所得税改革において、年収800〜900万円を上回る子どもがいない世帯に増税とする案を検討しており、今月下旬から議論を進めるというのだ。
 子育て世帯への支援というかたちではなく、子どもがいる世帯と子どもがいない世帯を区別して、いない場合は増税を課す──。
これはあきらかに「子どもを産まない/産めない人」への差別ではないか。

 それでなくても日本は、「女性は子どもを産んで当然」という圧力が強い。
その一方、不妊に悩む男女カップルは増加傾向にあり、結果として断念する人も少なくない。
そうした人たちに「子どもがもてなかったから」と増税しようというのは、傷口に塩を塗るようなものだ。
 いや、そもそもすべての人には、子どもを産むことも、いつ産むのか、何人産むのか、そして産まないという選択をする権利がある。
これはリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)という概念で、国連で認められた人権のひとつだ。

 こうした権利を守るためには、本来、子を産む人も産まない人も公平になる制度をつくることが求められる。
しかし、産まれてくる子どもには生存権があり、生活水準の確保や教育を受ける権利がある。
そのための子どもに対する社会保障や子育て支援は充実させるべきだ。

だがそれを、子どもをもたなければ税金を課すというかたちで「分断」しようとすることは、産む/産まないの権利を蹂躙する言語道断の政策だ。

安倍政権の少子化対策は、
戦時中の「産めよ殖やせよ」
「産児報国」とソックリ
 その上、腹立たしいのは、この増税案の目的が少子化対策であるだろうことだ。
さんざん指摘されつづけているように、
少子化を食い止めたいと本気で考えているのならば、まずは待機児童問題の解消をはじめ、女性が仕事と育児を両立しやすい環境づくりや、男女ともに不安定雇用や長時間労働の見直し、男性の育児参加、選択的夫婦別姓制度の導入、さらに未婚でも産みやすい社会
──男女の賃金格差の是正、同棲や事実婚を法律婚と同様の保護を与える──などを押し進めるのが筋だろう。
 にもかかわらず、そうした必要な整備とは逆行する決定をおこなってきたのが安倍政権だ。

2017年末までに待機児童を解消するという公約はあっさり破られ、非正規雇用は増加の一途を辿り、国会で上程予定の「働き方改革関連法案」では、時間外労働の上限規制を過労死ラインの月80時間を超える「月最大100時間未満」。
こうして「まずやるべきこと」からどんどん離れた上、「増税対象となるなら産もうという人も増える」などと本気で考えているのだとしたら、まともな政治とは到底言えない。

 だが、もっと恐ろしいことがある。
人権を蹂躙する増税案を打ち出そうという安倍政権の「少子化対策」が、戦時中の「産めよ殖やせよ」「産児報国」とよく似ていることだ。
 戦時体制下の1941年、政府が閣議決定した「人口政策確立要綱」では、人口増を目指すべく、上昇中だった平均婚姻年齢を3年早め、21歳ごろには結婚し、夫婦あたり平均5人を産むという目標を立てた。
そこで実施されたのは、公営機関による結婚の斡旋(現在の婚活サービス)や学校での母性教育、子どもが多い家庭への優遇策、そして個人主義を不健全な思想として排除することだった(参考:荻野美穂『「家族計画」への道─近代日本の生殖をめぐる政治』岩波書店)。

 この「人口政策確立要綱」が閣議決定されたあとの朝日新聞(1941年1月23日付)には、こんな文言が躍っている。
〈従来の西欧文明に蝕まれた個人主義、自由主義の都会的性格がいけないのだ。
自己本位の生活を中心にし子宝の多いことを避ける都会人の多いことは全く遺憾至極である〉  

個人主義を自己本位だと叩くあたりは、安倍政権を熱烈に支持し伝統的家族の復権を謳う日本会議系の極右論壇人とまったく同じだが、こうした「産めよ殖やせよ」の思想は安倍政権が継承しているものだ。

子どもを4人以上生んだ女性を表彰し、
子どものいない世帯は増税し処罰  
たとえば、2015年9月に『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)に菅義偉官房長官が出演した際には、福山雅治と吹石一恵の結婚について、こう語っている。
「ハハハ、ほんとうよかったですよね。
結婚を機に、やはりママさんたちが、一緒に子どもを産みたいとか、そういうかたちで国家に貢献してくれればいいなと思っています。
たくさん産んでください」

 このとき、福山と吹石は結婚しただけで、妊娠はしていない。
結婚と聞いてすぐに出産を当然のように前提とすること自体が批判されるべきだが、それ以上に、子どもを産むことを「国に貢献」することだと明言してしまう神経を疑わざるを得ない。
つまり、女は「産む機械」であり、子を産まない女は「国家に貢献」しない“役立たず”だと考えていることがよくわかるエピソードだ。

 また、安倍政権は、2013年から国の予算を使って都道府県による婚活支援、いわゆる「官製婚活」を進めている。
一方、国会では“家族はこうあるべき”と押し付ける制度「家庭教育支援法案」を提出する予定だ。
こうした動きは、国家による個人生活や家庭への介入であり、先に述べた戦時下の体制とそっくりである。

 挙げ句、昨日開かれた自民党役員連絡会では、山東昭子・自民党元参院副議長が「子供を4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」と発言したというのだ(朝日新聞デジタルより)。
 子どもを多く産んだ人は政府が表彰し、子どもをもたない世帯へは増税する──。
「少子化対策」という名のもとに実行しようとしているのは、「子をもうけない」ことが何かに違反しているかのように増税で処罰するというかたちをとることで、子をなさないことを非難対象にすることなのだろう。

 下劣極まりないこの増税案には今後も強く反対していきたいが、それにしても、この国はついに、こんなところまで来てしまったのだ。
まさに「どん底」政治と呼ぶべきだが、ここから這い上がることははたしてできるのだろうか。
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2017年11月25日

「いざなぎ景気超え」のうそ

牧太郎の大きな声では言えないが…
「いざなぎ超え」のうそ
毎日新聞2017年11月21日 東京夕刊

 前回、政府系の「商工組合中央金庫」(商工中金)の不正な低利融資について「原因は過剰なノルマ(業務目標)」と書いたら、知り合いの銀行マンが「商工中金の罪はまだ軽い方だぜ」と言ってきた。
 もっと罪深いのは銀行カードローン!と言いたいらしい。

 6月、この欄で「消費者金融と大差ない高金利の銀行カードローンのわな」を書いた。
9月になって、やっと金融庁は大手3銀行などの無担保融資、カードローンの実態を立ち入り検査。
銀行側は「短時間審査」の看板を下ろし、カードローンのテレビCMを自粛するなどしているが、彼によると「ノルマは変わっていない」というのだ。

 銀行は、預金金利と企業に貸し出す金利との「利ざや」でもうける。
ところが、日銀の黒田東彦総裁は市場に大量のカネを流すことで、円安に誘導するゼロ金利政策。
低金利が長期化して、本来の融資業務では利益が出ない。
銀行は「金利上限が14%程度」のカードローンで稼ごうとする。

 「商工中金の不正は許せないが、結果的に金利を下げ、お客さんに喜ばれる面もあった。
だけどカードローンはまるで、客の生き血をすする高利貸みたいだ

 大銀行のビジネスモデルが崩壊しようとしている。
みずほフィナンシャルグループは1万9000人の従業員削減を打ち出し、
三菱東京UFJ銀行は約500ある「フルバンク型」店舗を半減させるという。
「俺だって、リストラの対象なんだ」と彼。

 もっと気の毒なのは「年金生活者」だろう。
これまで、個人の金利収入は年間30兆円以上あった。
サラリーマンは退職金を銀行に預けていれば、年金と金利の付いた預金の“切り崩し”で生活ができた。
それが「異次元緩和」とかいうゼロ金利政策で、多くの高齢者が大ピンチである。

 新聞、テレビは「2012年12月から始まった景気拡大の期間が58カ月になり『いざなぎ景気』を超えた」と浮かれているが、冗談じゃない!
 以前、サラリーマンの世界で「高給取り」と嫉妬された銀行員でさえ、リストラにおびえ、やがてくる「不安な年金生活」におびえている。
 一番、罪深いのは「いざなぎ超え」のうそに加担しているメディアではあるまいか?
   (客員編集委員)
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2017年11月26日

◆「自衛隊ができない20のこと 17」

なにがあっても
「防衛費は増やさない」
――潜水艦隊が実員のいない
幽霊艦隊になる日
2017年11月25日 8時32分 日刊SPA!

 特別国会が始まりました。
毎年、秋には各省の概算要求が出そろいます。
 我が国では予算は国会で決めると憲法で定められています。
自衛隊も行政組織ですから例外ではありません。

決められた予算の中で新しい装備品を買い、隊員への給料を払い、災害救助やミサイル防衛を行ったりしているわけです。
つまり、自衛隊の行動は国会の予算審議で決まるということです。
「国会議員に言っても自衛隊は変わらない」という人がいますが、自衛隊の予算を決めるのは国会議員です。
国会議員しか自衛隊の状況を変えられる人はいません。

 防衛予算というと、我が国を狙う敵に対し、ありとあらゆる強い兵器を使って徹底的に攻撃をするイメージがありますね。
たとえば、さる11月5日、横田基地でトランプ大統領は在日米軍に向けて「戦う必要がある際には、相手を圧倒し、常に勝利するために必要な装備と要員、資金を持つ」と演説しました。
これは敵を排除できる予算を投入するという強い意志の表れです。

 そもそも、船も戦車も飛行機も、燃料や弾薬が十分になければ戦いたくても戦えません。
たとえば、ミサイル防衛の場合。
迎撃ミサイルが全弾命中すると仮定しても、撃ち落とせる弾道ミサイルはこちらのミサイルの数だけです。
つまり、予算が乏しければ乏しいほど、敵の攻撃を防げる率は低くなり、稼げる時間も短くなるのです。

 どこの国も無限に予算があるわけではないですが、日本の自衛隊予算は他の行政庁と同じ扱いです。
つまり防衛省も合理化、予算削減目標があります。
その「削減ありき」の方針の下では、「我が国の領土領海を守ることができるかできないか」ということは問題にはなりません。

他の省庁と同様に自衛隊に期待されるのは、「去年の予算よりも安い予算で無事に1年を乗り切ること」です。
だから、様々な笑えない話が出てきます。
 これまでに、「予算がないがゆえに自衛隊員が耐え難きを耐えている」実状をたくさんご紹介してきました。
その一番の原因は、我が国の防衛予算の決め方にあります。

「国防のためにいくらほしいのか言いなさい」という「積み上げて合計を出す」システムではなく、「前年度より減らして概算請求を持って来なさい」と言われて予算請求をするのです。
この理屈では、北朝鮮の核ミサイルが我が国の全土に降り注ぐ恐怖といったような軍事的脅威などまったく影響しません。
まず削減ありきの考え方なのです。
 前年度より大きな額の予算を請求すれば、その段階で差し戻しです。

防衛省の担当官も、財務省を相手に周辺事態が緊迫していること、充分な人や燃料や弾薬や装備品がないと対処できないことをさんざん説明し、たくさんの場面で戦ってきましたが、何を言っても門前払いなのです。
防衛省(自衛隊)は財務省には勝てません。
ゆえに、どんなに必要でも、どうやっても足らないとわかっていても、少ない予算規模に甘んじなくてはいけなかったのです。

 ではどうするか。そもそも必要な金額には到底足らないので、とにかく「自分たちの努力でどうにかなるもの」から減らしていくのです。
隊員用のトイレットペーパーがなかったり、隊舎の洗濯機や暖房装置や冷蔵庫が壊れても修理せずに放っておけば、さすがに困った隊員たちが自腹でトイレットペーパーを補充したり修理費を負担して直そうとしたりします。
そういうことが積み重なって、今の惨状になっているのです。

自衛隊が隊員をひどい目に遭わせようと思ったわけではありません。
最初から足りない予算のなかで、無理なやりくりを押し付けられているのです。

 自衛隊が、トイレットペーパー代くらい国で買ってほしいと要求しない理由も明白です。
予算の上限が決まっているので、国がトイレットペーパー代を出すと決めれば、大事な弾薬や燃料や演習、訓練費などの費用がそのために削られることになります。
制服などの消耗品が買えず、修理できない装備品が多くても我慢している理由も同様です。

 それでも、周辺事態には対処しなければならないので、当然、新しい装備品を買う必要は出て来ます。
その場合は「何かを増やしたら何かを減らす」のです。
今、防衛費は微増になっています。
でも、微増ではまったく話になりません。
現在のGDP比1%5兆円ではなく、せめて先進国の軍事費のスタンダードであるGDP比2%程度の10兆円規模がないとお話にもならないのです。

 国家の根幹は治安維持と国防です。
もっとも大事な国防には予算をきちんとつけてもらわないと困ります。
国防がしっかりしてないと、私たちの生命や財産が奪われてしまうのです。
「自衛隊が本気を出して戦えば北朝鮮なんて簡単にやっつけられる」と思っている人は多いと思います。
でも、そんな余裕のある準備ができるような予算はどこにもありません。
もう、現実を知れば知るほど涙・涙・涙なのです。
 米軍では、ミサイルなどの弾薬は必要数を何年か毎に一括調達してごっそり備蓄しています。だから数年単位の弾薬があるのが普通です。

一方で我が国は、ほんのわずかな予算の中でちまちまとやりくりして弾薬を買っています。
対北朝鮮の迎撃でミサイルが尽きた後は、我が国に迎撃の手段はありません。
北朝鮮が全力を出せば2日間で我が国の迎撃ミサイルが尽きると予想する軍事評論家もいます。
その後は撃たれ放題です。

自衛隊のなけなしの弾薬や燃料が尽きた時、我が国の命運は尽きるのです。
「必要でも予算は前年度より可能な限り低く抑える」、それがこの国の予算編成の鉄則です。
さらに、使わなかった予算は大幅に減額されるか、なくなります。
 畳み掛けるように自衛隊員の待遇が悪化し給料も減額されているので、隊員の数も減り続けています。
必要な要員数を充足できない部署があちこちにでき、自衛隊の能力が損なわれつつあります。
それなのに「人が減って運用できなくなったら、その部署や定員そのものを減らす」という対応に終始しているのです。

 人員不足で使えない部署をなくせば節約できますがそれでいいのでしょうか?
 潜水艦隊などはすでに運用が難しくなっていると聞いています。
毎年どんどん現員が減っていくせいで、体面を整えるように一隻あたりの定員を減らし、さらに過剰労働で隊員が減り続けているのです。
近日中に潜水艦隊は、実員のいない幽霊艦隊になります。
でも予算は削減できる、そういう発想なのです。

 これでは近いうちに必ず安全保障上の穴が空きます。
予算がないため、人も装備も弾薬も燃料も足りない。
こんなことで北朝鮮有事に対処できるのでしょうか。
日本の防衛が本当に不安です。

小笠原理恵
国防鬼女ジャーナリスト。
「自衛官守る会」顧問。
関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。
キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰
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2017年11月27日

国民負担は5300億円 安倍政権「増税ラッシュ」のデタラメ

国民負担は5300億円
安倍政権
「増税ラッシュ」のデタラメ
2017年11月21日 日刊ゲンダイ

 一体、いくらむしり取るつもりなのか。
選挙で勝った途端、安倍政権が“消費税以外の”増税メニューを次々と繰り出している。
このままでは国民生活が立ち行かなくなりそうだ。

 ギョッとするのは、これまで聞いたことがない「新税」構想が相次いでいることだ。
その一つが総務省が創設しようとしている「森林環境税」。
森林整備の財源とするため、年間1人あたり数百〜1000円を住民税に上乗せして徴収する案が浮上している。
対象は住民税を納めている約6000万人。
仮に1000円上乗せされたら600億円の増税になる。

 立正大客員教授で税理士の浦野広明氏がこう言う。
「日本人は“環境保全のために使う”などと言われると増税に納得してしまいがちです。
しかし、名目が何であれ森林環境税は住民税増税そのものです。
徴税額が一律となれば、消費税と同じように低所得者にとって重い負担になる税金となります。しかも使途を限定する特定財源は、役所が税収を使い切ろうとするため、ムダなバラマキにつながりやすい側面があります

一方、観光庁は約4000万人の旅行者を対象に1人1000円を徴収する「出国税」(観光税)の創設を打ち出した。
航空チケットなどに上乗せし、19年度にも導入する見通し。観光庁はこれで400億円の税収増を見込んでいる。

 また、財務省は喫煙者を狙い撃ちにする「たばこ増税」を画策。
来年10月から4年間かけて1本あたり3円増税しようとしている。
実現すれば1箱(20本入り)60円の増税となる計算だ。
たばこを毎日1箱吸う喫煙者は年額2万1600円の負担増。
JTによると現在の喫煙人口は2027万人。
増税した分、喫煙者は減るかもしれないが、ザッと4300億円の増税になりそうだ。

森林環境税、出国税と合わせて5300億円もの大増税である。

■年収800万円世帯は
 年5万6800円+a
 トドメはサラリーマン増税だ。
財務省は会社員の給与収入から差し引く給与所得控除を縮小する一方、フリーランスなどの全納税者に適用する基礎控除を引き上げようとしている。
今は38万円の基礎控除額を50万円程度にアップし、給与所得控除を最大220万円から188万円程度に引き下げる案が有力視されている

 前出の浦野氏が財務省案を基に試算したところ、年収800万円のサラリーマンは年5万6800円、年収900万円の人は年6万1700円の増税になるという。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によれば、15年度の年収800万〜1000万円未満の給与所得者は216万人いる。
計1200億円の増税だ。

「増税ラッシュは今後ますます加速しそうです。
財務省は“高所得者が優遇されている制度を改正する”という理屈でサラリーマンの給与所得控除を縮小するつもりのようですが、だったら累進課税を強化すればいいだけの話。
給与所得控除縮小に目をつけた財務省は、まず年収800万円世帯の増税で様子を見て、国民から大きな反発がなければ年収600万円、年収500万円……と段階的に引き下げるつもりでしょう。
いずれ控除を全廃し、今は低所得で非課税の世帯からも税徴収しようとするはずです」(浦野広明氏)

 東日本大震災の復興増税でも、バラマキが批判された。
役所が予算を増やして焼け太るための便乗増税を許してはいけない。
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教師への暴力:警察対応の秩序か生徒の将来か 苦悩の現場

教師への暴力:
警察対応の秩序か
生徒の将来か 苦悩の現場
2017.11.27 毎日新聞  

学校で生徒が教師に暴力を振るって逮捕される事件が後を絶たない。
福岡市では9月、男子生徒が教室で男性講師に暴行する様子を撮影した動画がインターネット上に流出し、男子生徒が逮捕される事件もあった。

文部科学省は学校内で暴行などの犯罪行為があれば警察と協力して対応するよう指導するが、教育現場は生徒の将来と校内秩序をてんびんにかけて苦悩している。
 福岡市の私立高校では9月、1年の男子生徒が授業中に新任の男性講師から注意されて激高し、講師の背中を数回蹴ったり胸ぐらをつかんだりする暴行を加えた。
その一部始終を同級生が撮影した動画がインターネット上に流出したことで事件が発覚。
高校は被害届を出し、福岡県警が傷害容疑で男子生徒を逮捕する事態となった。

 校長は、記者会見で「暴力が限度を超えていた」として警察に通報したことに理解を求めた。県教委には「学校の対応は当然」「逮捕までするのはやりすぎだ」などと賛否の電話が多数寄せられた。

 10月には福岡県内の中学校で、2年の男子生徒が男性教諭の顔を殴ったとして傷害容疑で逮捕された。
男子生徒は授業を抜け出し、男性教諭が連れ戻そうとした際に暴行した。
校長は「校内で解決するか警察に通報するかは常に葛藤している。
今回はこれまでにも問題行動があったため通報した。
男子生徒が学校に戻れば進路相談を含めてこれまで以上に支えたい」と話す。

 文科省は2007年、全国で校内暴力が相次いでいることを受け、校内暴力などで犯罪行為の疑いがあれば学校だけで抱え込まずに警察の協力を得るよう指導した。
しかし、実際に“警察ざた”になるケースは多くはない。
同省によると16年度に全国の小中高校で発生した対教師暴力は8022件だったが、警察庁の統計では16年に全国の警察が教師への暴力事件として補導、検挙したのは399件にとどまる。

福岡市の中学校で生徒指導を担当する中堅教師は「どの先生もできれば教育の中で生徒を立ち直らせたいと思っているはずだ」と打ち明ける。

教師も生徒と同じ目線で…
「学び合い教育」で信頼築く
 教育現場は問題行動を起こす子供たちとどう向き合っていくべきか。
そのヒントになる取り組みをしている中学校が福岡市にある。

 同市博多区の市立東光中はかつて「市内有数の荒れた学校」だった。
元主(もとぬし)浩一校長(60)が教頭として赴任した7年前は生徒が廊下を自転車で走ったり、校舎のガラスを割ったりするなど手がつけられない状態だった。
教師への暴力事件で生徒が逮捕されたこともあったが、4年前に導入した「学び合い教育」をきっかけに落ち着きを見せ始めたという。

 「学び合い教育」ではすべての授業で教師が生徒に課題を出し、生徒同士が分からないことを教え合う。
教師は自分の考えを押しつけずに生徒たちを見守る。
当初は授業が成立しなかったが、半年ほどすると素行が悪かった生徒も授業に加わりだした。
生徒にクラスへの帰属意識が芽生えて自発的な学習につながり、クラス全体の成績が上がって校内暴力はなくなっていった。

 「かつては力で生徒を抑えつけることも必要だと思っていたが、間違いだった」。
さまざまな背景を持つ生徒と向き合った末に元主校長の考えは変わったという。
抑えつけようとするから生徒は反発する。教師も生徒と同じ目線で一緒に学ぶ仲間という姿勢が、教師と生徒の信頼関係を築く近道だと思う」【柿崎誠】

 教育評論家の尾木直樹
法政大特任教授(臨床教育学)の話
 暴力は絶対に許されないが、指導力不足から教師への暴力につながることがある。
反抗的な生徒に寄り添って気持ちを聴き、場合によっては別の生徒や教師にサポートを求めるなど適切な指導体制が必要だ。
公立校ではベテラン教員が新任教員の授業に同席して指導方法を教える仕組みがあるが、私学では各校に委ねられる。
私学を含めて充実した研修体制が求められている。  

「夜回り先生」として知られる
水谷修・花園大客員教授の話 
暴行の程度が許容の範囲を超えているのなら、法律に従い警察が介入するのは当然だ。
問題行動を学校の中だけで解決しようとして、いじめや体罰がなくならなかった経緯もある。
ただ、暴力をさせないことが教育であり、暴力があれば教育の負けでもあるということを、学校側は重く受け止めなければいけない。
逮捕された生徒がやり直せるよう支援をすることも重要だ。
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2017年11月28日

「相続税マルサ」はある日突然あなたの家にやってくる

「相続税マルサ」は
ある日突然
あなたの家にやってくる
2017年11月27日 NEWSポストセブン

 相続税が富裕層だけではなく、一般家庭もターゲットにしてから約3年。
税務調査官たちの“訪問”を受ける人が続々と現われ始めた。
しかも一度訪問されると、申告漏れなどの「非違(ひい)」を見つけられる確率は8割を超える。

我が家は相続税を払う対象ではない、税金はちゃんと納めた、しっかりと対策をしている──そんな思い込みがアダになるケースが多いのである。

 国税局の“相続税マルサ”は忘れた頃に突然現われる。それは1本の電話から始まる。
「○×税務署です。相続税の件でお宅にうかがいます」
「臨宅(りんたく)」と呼ばれる実地調査の通告である。
故人が亡くなって2年ほど経ち、遺産相続の手続きがとっくに終わってから行なわれることが多い。

 電話が来たら、ほぼ間違いなく、相続税の追徴と加算税(重加算税は最大50%)を覚悟した方がいい。
 国税庁の最新のデータによると、2016事務年度(*注)は全国で1万2116件の相続税の実地調査が行なわれ、そのうち82%で申告漏れなどの「非違」(違法行為)が見つかって加算税が課せられた。
【*注/法人税、消費税及び源泉所得税の事務を実施するために設けた年度のこと。期間は毎年7月1日から翌年6月30日まで】

「相続税なんてお金持ちの悩みでしょ。
うちには関係ない」
 そんな風に考えている人が一番大変な目に遭う。

2015年の相続税法改正で控除額が大幅に引き下げられ、相続税の課税対象は大きく広がったからだ。
 それまでは夫が妻と2人の子供を残して死亡した場合、家や預貯金など相続資産(遺産)の総額が8000万円までは非課税で、相続税を取られるのはそれこそ“億”近い財産を持つ資産家だけだった。
ところが、法改正以降は同じ法定相続人なら、4800万円(控除額は3000万円+法定相続1人につき600万円)を超える遺産があれば相続税を課せられるようになった。  

課税件数は2015年は前年の年間約5万件(死亡者全体の4.4%)から、10万件以上(同約8%)に倍増した。
国税OBで東京都内の税務署の資産課税部門を歴任した税理士の武田秀和氏が語る。
相続税は今までは富裕層を対象とした税金でしたが、『国民にあまねく負担してもらう』という考え方で法改正され、“ごく普通の税金”へと変わりました。
 たとえば都内23区に100平米ほどの土地と家があれば相続税の評価額は少なくとも3000万円くらいになる。
それに高齢者の平均的な金融資産の額2000万円などを加えると、とくに資産家ではない一般的な家庭でも相続税の課税対象になる。

財務省、国税庁の財政当局からみれば、相続税は非常に大きな財源ですから、今後課税対象はもっと広げられ、税率も上がっていく可能性があります」
※週刊ポスト2017年12月8日号
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2017年11月29日

うつ病予防、最大のポイントは「自分の思考パターン」を知ること

うつ病予防、
最大のポイントは
「自分の思考パターン」
         を知ること
2017.11.27 Business Journal
取材・文=里中高志

「うつ病の予防」をテーマにした本連載では、睡眠と運動、栄養といった側面をからアプローチしてきた。
 それらを踏まえた上で、国立精神・神経医療研究センターの西大輔医師は、
いちばん大切なのは、自分の思考パターンを知ること」と話す。
今回は、「思考」からうつ病の予防法にアプローチする。

自分のパターンに
気付けているかどうか?
「うつ病の原因については、脳内の神経伝達物質をはじめ諸説ありますが、私は“自分のパターン”に気づくことが、予防のうえで最大のポイントだと考えています。
調子を崩した時、自分のパターンに気づいて自分を客観視できると、受け止め方はずいぶん変わります。

 たとえば、電車が遅れるたびに、すごくイライラして腹が立つ人がいたとします。
その人は、電車が遅れたのが悪い、自分が腹を立てるのは当たり前のことだと思っています。
でも、もし『当たり前』であれば、電車を待っている他の人たちも同じように腹を立てているはずです。
 逆に言えば、電車が遅れた時だけ腹を立てて、それ以外の状況で腹を立てない人というのは、まずいませんよね。
つまり『電車の遅れ』という出来事がきっかけで、『腹を立てやすい』というその人の傾向が表に出てきているわけです。
 つまり、『電車のせい』ではなくて『自分には腹を立てやすいパターンがある』ということに気づくことが大切です。

しかし、ここで『腹を立てやすい自分はダメな人間だ』などと思う必要はありません。
おそらく、昔のある時期に、腹を立てたり怒りを見せたりすることが問題解決の役に立ったことがあるから、そのパターンが残っているのでしょう。

 また、強い感情を感じたときの身体の反応にも、人によってパターンがあります。
たとえば、イライラしたときに呼吸が浅くなり首や肩に力が入ってしまうという人がいます。
そういう場合、呼吸の浅さや首・肩のこりから、自分のイライラに気づくこともできます。
そして気づけば、それだけで自然に気持ちにも変化が生まれます。

 うつ病になってから、自分の内面を見つめるのは簡単ではありません。
うつ病になる前に、自分のパターンを客観視できるようになっておくと、うつ病になりにくくなると考えています

元気な今だからこそ始めよう
 うつ病を予防したり悪化させたりしないためには、うつの予兆が表れたときに、早めに察知することが大切だ。

 うつの予兆としては、
不眠や頭痛などの身体の不調、疲れやすさ、無力感や不安、イライラ、焦り、自己否定感などがある。
新聞や本の内容が頭に入らないという状態も、うつによる集中力の低下から起きているかもしれない。

自分のパターンに気づくことで役立つのは、うつの予防だけではありません。
気持ちに余裕が生まれますし、これまでは知らなかった可能性が見えてくることもあります。
そして、これまでお話してきた睡眠や身体に目を向けること、栄養などは、すべてこの気づきにつながってくるのです」(同)  

 まだうつになっていない今だからこそ、始められるこれらの予防策。
セルフケアとして、試してみる価値があるはずだ。

西大輔(にし・だいすけ)
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部システム開発研究室長。
2000年、九州大学医学部卒。
国立病院機構災害医療センター精神科科長を経て2012年より現職。
2016年より東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻精神保健政策学分野連携講座准教授を併任。
著書に『うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス)がある。
専門:精神保健学、うつ病・PTSDの予防、栄養精神医学、産業精神保健、レジリエンス。

里中高志(さとなか・たかし)
精神保健福祉士。フリージャーナリスト。
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。
大正大学大学院宗教学専攻修了。
精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。
メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。
著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。
※ 初出/健康・医療情報でQOLを高める「ヘルスプレス」

ニュースサイトで読む:
http://biz-journal.jp/2017/11/post_21347.html Copyright c Business Journal All Rights Reserved.
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2017年11月30日

日馬、優しさと厳しさ ファン思い、暴力指摘も

日馬、優しさと厳しさ 
ファン思い、暴力指摘も
2017年11月29日 東京新聞夕刊

 優しさと厳しさ。二面性のある横綱だった。
暴行問題を起こし、引退する日馬富士。
多くの温かいエピソードも持つ力士なだけに、今回の引退劇にはむなしさが漂う。

 土俵では細身の体ながら闘志あふれる相撲で多くの白星を重ねた。
「全身全霊で頑張る」が口癖で、「命を懸けて相撲を取っている」と語ったこともあった。

 だがその闘志は、あらぬ方向にも向けられることがあった。
ある親方は「稽古場でも自分勝手に怒りだす。
いじめとも取れる行為を繰り返していた」と証言。
稽古場で日常的に暴力を振るっていたと指摘した。

 義理堅い面や道徳心が強い面もあった。
先輩をよく敬い、後輩の面倒もよく見ていた。
それだけに礼を欠いた後輩の振る舞いには、強い憤りを見せていた。

今回の暴行問題も、横綱白鵬に説教されていた貴ノ岩がスマートフォンを操作していたことがきっかけとされる。
いかにも日馬富士が激高しそうな状況だが、その思いを他の形で伝えられなかったか。

 ファンサービスの面では現在四人いる横綱の中では、一番だった。
子どもが大好きで、小さな子に抱っこをせがまれるとどんな時でもその太い腕で抱き、頭をなでてあげた。
日本で使われていた救急車をモンゴルに贈ったり、玄人はだしの絵の才能を生かし、個展で売った作品の収益の一部を人道的医療活動を支援する団体に寄付したことも。

 そういう一面があった横綱が、現在の大相撲人気に水を差す行為で土俵を去るのは、角界にも大きなダメージとなり、残念でならない。 
    (平松功嗣)
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 趣味・好きな事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする