2017年12月08日

F35と政治=山田孝男

*日本海軍の真珠湾攻撃で
日米戦争(太平洋戦争)が開始された日

風知草
F35と政治=山田孝男
毎日新聞2017年12月4日 東京朝刊

彼は昨日の彼ならず。

 日本はトランプ大統領が推奨する米国製戦闘機F35を買うが、
大統領は、就任前はツイッターでF35をこき下ろしていた。
 先週、参院予算委で民進党が「F35調達は米国本位では?」と追及したが、機種も調達方式も、決めたのは民進党の前身・民主党の野田政権である。
     ◇  
「F35は世界最高の戦闘機。
買えば日本は安全、我々の雇用も安心」
 大統領は日米首脳会談後の記者会見(11月6日)でそう言ったが、大統領選では違った。

「性能が低いのに割高で、計画も遅れ、制御不能」と毒づき、白紙化を公約していた。

 F35はロッキード・マーチン社製の最新鋭機。
米空軍向けなどに2443機納入する。
ロ社に支払われる開発・調達費が計44・5兆円。
耐用年数とされる2070年までに支払われる整備費がさらに176兆円と見込まれている。  

史上最も高価な戦闘機であり、大統領は当選後もツイッターで「F35予算は別に使う」と攻撃、ロ社が折れて値下げした。
 大統領はロ社の宿敵、ボーイング社と親密。
F35がキャンセルになれば、ボ社が次期戦闘機受注の可能性も。
F35潰しは本気だったと見る向きもある。  
     ◇
 民主党・野田政権がF35を買うと決めたのは6年前だった。
老朽化したF4戦闘機の後継として42機。
今年度中に最初の1機(147億円)を配備、来年度予算で6機要求する。

 本当はロ社製のF22がほしかったが、これは米軍独占、門外不出(しかもオバマ政権で製造打ち切り)なので断念。

欧州製の選択肢もあったが、敵レーダーに捕捉されないステルス(隠密)性が決め手になり、F35に落ち着いた。
 日米同盟重視の選択でもあり、米国は対外有償軍事援助(FMS)を適用。
機密性の高い武器を売る代わり、価格、支払い方法、納期などは米国が決める。

 今国会で民進党はFMSの不透明性を追及した。大事な論点だが、戦闘機問題の核心は別にある。
     ◇
 核心は<ステルス性>である。
ステルス機本来の特徴は、敵地深く侵入して爆撃し、ジャミング(電波妨害)する機能にある。
F35はこれを備えているが、あけすけに言えば専守防衛の逸脱と責められるから、政府は説明しない。

 戦闘機は数十年使う。
この間に禁断の「敵基地攻撃能力」が認められる可能性を見据えた−−とも言えよう。
率直な議論が必要な時だと思うが、そういう論戦になっていない。

「右翼主導の重武装」「腰抜けの対米追随」といった一面的な批判が、問題のすべてであるかのように報じられがちな現状は残念だ。
 日本は安保環境と専守防衛に見合う自前の戦闘機を造りたいが、武器輸出禁止だから量産できず、経済的に引き合わない。

 F35はNATO(北大西洋条約機構)諸国の多くが導入する予定。
とっぴな選択ではないが、米国の軍産複合体のお仕着せで買わされる現実はある。

 下請けを含むF35の工場は全米45州に散らばるそうだ。
米調査機関によると昨年、軍需産業が大統領候補に贈った献金はクリントン1・2億円に対し、トランプ4000万円。

 何事も表があれば裏もある。
武器は政治に絡み、政治は刻々変わる。
複雑な現実を直視しなければ国防は成り立たない。
   (敬称略)
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☁| Comment(3) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする