2017年12月11日

日本の防衛は大丈夫か

高額な早期警戒機が
日本では「欠陥機」だった
周波数帯をまともに使えない大矛盾
2015年10月21日 東洋経済

清谷 信一 : 軍事ジャーナリスト

「自衛隊」と他の国の「軍隊」は、見た目はほとんど同じだ。
しかし、実はその中身は大きく異なっている。
意外と見落としがちなのが、法制度面における違いだ。

諸外国の軍隊は、戦争という非常事態を想定した組織となっており、通常の行政機関とは異なり、法律の外で活動することが認められている。
ところが自衛隊は戦時活動を想定していないため、他の行政機関や民間機関と同じように平時に即した法規制を受けている。

例えば諸外国の衛生兵は自分の判断で投薬や注射、手術まで行う。
しかし、自衛隊の場合、衛生兵に相当する救護員は、看護師などと同じ資格なので、医師(医官)の指示が無ければ投薬も注射もできない。
手術などもってのほかだ。
だが陸自で医官がいるのは師団や旅団などの大きな単位の組織のみ。
中隊(約100名ほど)であれば、救護員しかいない。

戦闘で負傷者が出ても、まともな手当を行うことも、麻酔で痛みを止めることもできない。NATO諸国であれば軽度な負傷で済むようなケースでも、自衛官の場合は、死亡したり、手足を失ったりする。しかも苦しみながら死ぬことになる。

防衛省も自衛隊もこの現状を放置してきた。
平和ボケの態勢を放置したままで先の安保法制が審議され、法制化されたのだ。

電波をまともに使えない
法律による制限や規制は、特に電波関連で大きい。

先の東日本大震災では陸自の無線機が通じない混線が問題となったが、その理由は世代が異なる無線機を多用(古い無線機が多かった)していたこともあるが、無線機に適した周波数帯を総務省から割り当てられていないことに主因がある。

現在、陸自は新型の野戦無線機を導入しているが、使用周波数帯が同じなので新型になっても通じないことに変わりはない。
航空自衛隊でも同じような問題がある。
『月刊軍事研究』10月号の第20代航空幕僚長、鈴木昭雄氏の連載「空の防人回想録」には次のように書かれている。

「防衛力を実際に運用する時に、先程から繰り返して述べているように、軍隊になっていないことからの諸々の制約がありますが、その他にも我が国の社会環境というのは、訓練環境としてはあまりの問題が多くやりたいことの何分の一もできません。
例えば周波数一つでも割当ですから、『E-2C』が持っている十数チャンネルの使えるのは一つか二つなのです。
持っているチャンネルを全て使って縦横にECM(対電子戦)訓練をやりたくてもできないのです。
やれば社会のあらゆるところに影響を与えますから。
周波数一つとっても、そういうことなのです」

つまり国内規制によって、高額で調達した兵器がその能力を発揮できないのだ。
E-2Cはいわば空飛ぶレーダーサイトであり、地上のレーダーでは監視できない広いエリアや低空を監視することができ、また敵の通信などの撹乱もできる。
航空自衛隊では1979年度からE-2Cを合計13機調達し、1983年より部隊配備を開始した。
調達単価は1機約100億円。
能力向上のためなどに、調達後も多額の費用を掛けている。

国内規制で能力を発揮できないE-2C ところが多額の費用をかけながら、国内規制の問題でその能力の数分の一しか発揮できていないということだ。
つまり米空軍や他のユーザーの本来の能力のE-2Cと比べれば、日本では事実上「欠陥機」といってもよい。

E-2Cの能力が低ければその分、味方の戦闘機や基地が敵からの攻撃により高い脅威にさらされることは言うまでもない。
例えば10機の戦闘機の部隊で、ECMが十全の能力を発揮すれば被撃墜機が1機に抑えられるケースでも、空自のE-2Cではそれが4機とか、6機になってしまうだろう。
それはつまり、自衛官の命も、国民の命や財産も危険に晒すことに他ならない。
これが税金の無駄使いでなくて何だろうか。

筆者の知る限り、空自がこのような問題を公にしたり、国会で述べたことはない。
つまり、E−2C導入にあたって欠陥機化することを隠して予算を要求したことになる。
これは納税者と政治に対する背信行為といってもいい。

筆者はこの件に関して10月2日の定例記者会見で齊藤治和航空自衛隊幕僚長に対し、次のように質問を投げかけた。
「鈴木元空幕長のE-2CのECM能力に関する記述は正しいのか、それは現在でも同じなのか」。

これに対して齊藤空幕長はE-2Cの能力は十全であるとし、詳細は広報室から回答すると答えた。
その後、広報室は「E−2Cの運用状況等の具体的な事項については、我の手の内を明かすこととなりますので、お答えは差し控えますが、現在は、より制約の少ない海外訓練を活用して、実戦的な電子戦環境下における防空戦闘訓練等を実施しています」と回答した。
自衛隊に対する電波規制は基本的に鈴木空幕長の時代から変わっていない。

空幕長、空幕広報室の回答を読み替えれば「電波の使用には問題があるが、海外で訓練しているから大丈夫」ということだろう。

国内で訓練ができないことは大問題
だがこれはかなり苦しい言い訳だ。
国内でまともに訓練できずに、たまに海外で訓練すれば有事に対応できるわけがない。

振り返れば、自衛隊が日陰者扱いされていた1980年代ぐらいまでは、F-4EJファントム導入にあたって「爆撃用コンピュータは攻撃的だからとりはずせ」などという幼稚な空理空論がまかり通っていた。
また当時防衛省はまだ防衛庁であり、内閣の一外局に過ぎず、政策立案能力も期待されていなかった。
このため法改正や他の省庁に対する規制の緩和などを言いづらい状態であっことは事実だろう。

だが防衛庁は既に政策官庁である防衛省に昇格して長い時が経過している。
にも関わらず、法的な不都合や規制に関して、改革を求めることなく、ひたすら不合理な現状に合わせて仕事をしているフリ、軍隊のフリをする習いグセは治っていない

それは、この連載で繰り返し指摘している「どうせ戦争なんて起こるはずがない」という楽観主義や事なかれ主義、換言すれば平和ボケによるものだろう。
このような問題を提議することも改革を求めることもしないのは、当事者意識の欠如である。

国の電波規制でE-2CのECMにそのような問題があるならば、同様に空自の1機550億円以上するAWACS(空中早期警戒管制機)、E-767、F-15戦闘機、そして空自が近く導入予定のE-2D(E-2Cの次世代機)、そしてF-35A戦闘機もECM機能に問題があると疑うべきだろう。

つまり空自のECM能力は極めて疑わしく、使えもしない機能の獲得にために極めて莫大な税金が使用されてきたことになる。

空自だけではなく、陸自や海自の装備のECM機能についても疑ったほうがいい。
しかも防衛省は次世代の早期警戒機開発を企画している。
これには海自のP-1哨戒機の機体を使用することが想定され、そのための性能検討等に必要な、警戒監視レーダー搭載形態の機体空力データ等の調査をおこなっている。
だが過剰な電波規制の下でまともな早期警戒機を開発できるのだろうか。

ネットワーク化は
中国のほうが進んでいる
昨今の軍隊ではネットワーク化が進み、例えば戦闘機による対地支援にしても、砲兵に対する射撃の要請にしても、音声無線ではなく、データ通信やビデオ画像などで行われる。
現在自衛隊、特に陸自はこのような機能がほとんどない。
自衛隊はこの分野では先進国や中進国より遅れているのに、問題が顕在化していない。
UAVを使った情報収集、ネットワーク化では中国やパキスタンからも遅れている。

最近はこの状態の改善を進めてはいるが、電波規制をそのままに放置しては、まともなネットワークの構築はできない。
にも関わらず、膨大な予算がネットワーク化につぎ込まれている。
これは、この連載で繰り返し指弾している衛生軽視と同根だ。
実戦を想定していないから、このようなことになる。

この現実を直視せずに、「軍隊と同じだろう」という根拠のないお思い込みで安保法制を改正したのは政治の無知は罪深い。
10月2日号の週刊朝日には、
「容量が足りない自衛隊の通信網 総額1400億円最新装備に対応できず」という記事が掲載された。
この記事は自衛隊の通信ネットワークのお粗末さ指摘している。
同記事では「グローバルホークが敵機を察知したり、画像や映像を送ったりするためには最大274Mbps(メガビット毎秒)の通信容量が必要です。
ところが、いま自衛隊が全国に張り巡らせているマイクロ波の回線は、札幌〜市谷(東京)間で104Mbps、市谷〜健軍[(けんぐん)熊本]で208Mbpsしかない。

グローバルホーク1機分だけでマイクロ回線の容量は満杯状態。
せっかく得た敵機の姿すら満足に防衛省に送れないことになりかねない」と防衛省関係者のコメントを紹介している。
つまり、何百億円もかけてグローバルホークを導入してもまともに運用できない。
その能力の数分の一しか利用できない。
E-2Cと同じ構図である。

かつての防衛庁は、
買い物官庁と揶揄されてきた。
それは戦車や戦闘機などを買うことだけが仕事だという意味だ。
軍隊のハードウエアさえ揃えて、軍隊らしくみえればそれでいいということだ。

通信の問題を放置するのも「買い物官庁」の意識が抜けていないからだろう。
「どうせ戦争なんて起こるはずがない」という楽観主義が覆う中で、国防を全うできるのか、甚だ疑わしい。
これは防衛省だけの問題ではない。
すぐれて政治の問題といえるだろう。
政治こそが、より大きな視点から防衛省・自衛隊を縛る規制の撤廃を提起するべきだ。

本来安保法制の前に、軍隊と同じことができない自衛隊を縛る法制度や規制を撤廃することを行うべきだった。
作業は膨大だが、憲法の解釈の変更が必要でもなく、基本的に既存の法律に「ただし自衛隊は除く」と書けばいいだけである。

米軍は日本の国内規制を受けていない
対して米軍のE-2Cなどは日本の国内規制を全く受けていない。
常識的に考えれば、その周波数帯を自衛隊が使うのが問題なら、米軍が使うことも禁じるべきだろう。
ところが現実はそうではない。

米軍に許されて、自衛隊には許されていないことに我が国の政治家は疑問を持たないのだろうか。
仮に空自のE-2CやAWACSと米空軍の戦闘機部隊が共同作戦を行う場合、米軍側は空自のE-2CやAWACSの能力に信頼は置かないだろう。
共同作戦を拒否される可能性すらある。
また米国側は、このような「浮世離れした平和ボケ」の国家をまともに同盟国として考えるだろうか。

現在の日本の政治家の多くはこうした現場の問題を知らない可能性が高い。
小泉内閣ではこのような自衛隊を取り巻く法の不備を問題視し、有事法制や国民保護法などが整備され、以前より格段の改善が見られた。
だがその後の第一次安倍内閣から現在の第2次安倍内閣までこの問題に挑む内閣はなかった。

つまり安倍首相と彼のスタッフは、このような問題を知らないか、あるいは放置しても大丈夫だと思っているのだろう。
予算を増し、憲法解釈を変えれば国防を全うできると無邪気に信じ込んでいるのだろうか。
そうであれば、彼らの意識と見識はベクトルが違うだけで、国会前でデモをおこなったSEALDSと同じレベルである。
プロの政治家としての見識に欠けている。

率直に申し上げれば安倍首相は軍事音痴である。
これは基礎工事の手抜きをして高層ビルを立てるようなものだ。

現実を知らない軍事音痴が、高邁な「かくあるべし」という国防論を振り回すのは、極めて危険だ。
このままでは自衛隊の意識を変えることもできず、今後も夢想的な「高価な玩具のショーケース」的な状態が続くだろう。
防衛費を増やすことだけが国防の強化ではない。
いまからでも、自衛隊を縛る法や規制を全面的に洗い出し、法改正や規制を撤廃することを始めるべきだ。
そうしなければ、防衛省や自衛隊の意識も変わらず、国防のためと称した税金の無駄使いが延々と放置されることになる。
posted by 小だぬき at 08:07| 神奈川 ☀| Comment(2) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エルサレム問題で安倍がトランプのポチ

エルサレム首都認定、
トランプの暴挙に
何も言えない安倍首相の
“ポチ”ぶり!
英独仏も反対の声をあげているのに
2017.12.10 LITERA編集部

 アメリカのトランプ大統領が6日(日本時間7日)、エルサレムをイスラエルの首都と「認定」し、アメリカ大使館をテルアビブから移転すると宣言したことで、世界に激震が走っている。  

言うまでもなく、エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれが聖地とする都市だ。
1947年の国連決議によって国連管理下の国際都市とするよう定められたが、イスラエル側は1950年に首都と宣言。
他方、占領下にあるパレスチナ側も将来的な独立後の首都にするとしており、エルサレムの帰属問題は中東情勢の長年かつ最大のリスクファクターとなっている。

 トランプが宣言を実行に移せば、中東の和平交渉が水泡に帰し、国際情勢のバランスが大きく崩れるのは必至。
最悪の場合、「第五次中東戦争」勃発もありうる。

事実、パレスチナのアッバス議長は「過激派組織が仕掛ける宗教戦争を助長し、地域全体に損害を及ぼす。重大な局面を経て、終わりのない戦争へと我々を導くだろう」と警告。
7日には、パレスチナ側の抗議活動が広がるなかで、パレスチナ自治区であるガザ地区からイスラエル領に向けてロケット弾が発射され、イスラエル軍がイスラム原理主義組織ハマスの関連施設へ報復攻撃するなど、すでに武力衝突が起きている。

 当然、イスラム諸国だけでなく、アメリカの同盟国を含む国際社会全体から極めて強い批判が殺到している。
報じられているように、各国首脳は首都認定の拒絶とトランプへの批判を次々と公にした。
「米国の決定には賛成できない」「イスラエルとパレスチナの交渉によって決められるべきだ」(イギリス・メイ首相

「トランプ政権のエルサレムについての立場を支持しない。エルサレムの地位は、イスラエルとパレスチナの二国共存に向けた交渉の一環として解決されるべきだ」(ドイツ・メルケル首相

「遺憾で受け入れられず、国際法や国連安全保障理事会の決議に違反する決断だ」(フランス・マクロン大統領

 また、フランシスコ・ローマ法王もバチカンでの演説で、「この数日間の状況に対する強い懸念」を示し、「エルサレムの現状を尊重すべきだ」と呼びかけた。

国連のグテーレス事務総長も声明で「いかなる一方的な措置も中東和平の見通しを危うくする」と表明。
いずれも、エルサレム問題について立場を明らかにし、トランプの宣言に対する懸念や批判を前面にするものだ。

 ところが、そうしたなかで事実上の“沈黙”を続けているのが、日本の安倍政権なのである。「いったい何を考えているのか」と言わざるを得ない。

米ではトランプの精神疾患を
疑う声が出ているのに安倍首相は盲従  
実際に、日本政府の態度は極めて曖昧で、明らかにトランプの顔色を窺っているとしか思えないものだ。
まず、菅義偉官房長官は7日の会見で、記者からトランプの宣言を政府として支持するか問われ、「現時点に置いて予断を持ってコメントすることは差し控えたい」と態度を保留。
翌8日の会見でも首都認定に関し「米国を含む関係国とは緊密に意思疎通をはかっている」と賛否を明言しなかった。

 一方で、河野太郎外相のイスラエル訪問、ネタニヤフ首相との会談を調整しているとの報道もあり、実際にはひたすらトランプに追随しようとしているようにしか見えない。
 事実、日本の首相の安倍晋三は、9日現在までに、この問題について全く言及していない。
一言も、である。

各国首脳や国連トップが米国を批判し、「エルサレムに大使館を移す予定はない」(メイ英首相)などと態度を明らかにしているのとは対象的だ。
 また、8日には、イギリスやフランス、イタリア、スウェーデン、ボリビア、エジプト、セネガル、ウルグアイの8カ国の要請を受けて国連安保理の緊急会合が開かれたが、そこでも日本は「大きな危機に容易に拡大しうる」などと「深い懸念」を示しただけ。

英仏独伊・スウェーデンは米国のエルサレム首都認定と大使館移転に反対する共同声明まで発表したにもかかわらず、である。

 周知の通り、安倍首相は北朝鮮問題でも挑発合戦を繰り返すトランプと「完全に一致」と明言してきた。
先日の国会でも、「トランプ大統領に『いまは攻撃を思いとどまってくれ』と助言することもありうる覚悟が総理にあるのか」と質問され、「いまはまさに『すべての選択肢がテーブルの上にある』というトランプ大統領の方針を私は一貫して支持をしています」と答弁。

無辜の市民が戦禍にさらされようが、国際社会から猛反発されようが、安倍首相はトランプを盲従するのである。
 しかし、トランプは誰の目にも明らかに“異常”だ。
事実、米国ではトランプの精神疾患を疑う声が、精神科医などの専門家からも上がっている。
6日のエルサレム首都認定を表明したスピーチの際もろれつが回っておらず、方々から健康不安が指摘された。報道官は「舌が乾いていただけだ」と一蹴したが、アメリカの報道番組司会者であるジョー・スカボロー氏は、7日のワシントン・ポストに「Trump’s mental meltdown」(トランプの精神が崩壊)と題して寄稿。
このように述べている。
トランプ周辺の多数が、大統領は病気だと思っている。

それは、大統領のスタッフの多くがずっと前からたどり着いていた結論だ。
ワシントンの政治家や記者の大半が同じ恐怖を共有してきた。
(共和党の重鎮である)ボブ・コーカー上院議員は公然とトランプの大統領としての資質を疑問視し、政府職員たちは『大人の保育所』と対して変わらないことをやっていると言った。
この上院外交委員会委員長はまた、大統領の不安定な振る舞いがアメリカを『第三次世界大戦への道』に導きつつあるとの懸念も表したのだ」

 このまま安倍政権は“病気”のトランプと心中しようというのか。
アメリカの暴走によって中東で火の手が上がるなか、日本にとって最大のリスクは間違いなく安倍晋三である。 
posted by 小だぬき at 00:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | 社会・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
モッピー!お金がたまるポイントサイト