2018年01月06日

「睡眠負債」が招きかねない4つの致命的ミス

「睡眠負債」が招きかねない
4つの致命的ミス
あなたの仕事、恋愛、婚活は大丈夫?
2018年01月05日 東洋経済

西川 ユカコ : 睡眠改善インストラクター、
昭和西川株式会社 常務取締役

昨年の流行語大賞にもノミネートされた「睡眠負債」。
これは日本社会に「睡眠が足りていない」という実感のある人が相当数いて、「睡眠不足が体に悪いかも」という危機意識が出てきていることの表れです。

ちなみに睡眠負債とは、寝不足が借金のように少しずつ蓄積した状態のこと。
体質など個人差はありますが、成人が健康に過ごすために「最適な睡眠時間は7時間前後」というのが日本の睡眠研究者の共通認識です。

ところが、厚生労働省「国民健康・栄養調査(2015年)」によると、
日本人の平均睡眠時間は「6時間未満」が4割。
また10人に1人は「5時間未満」の睡眠時間で生活をしています。

学校や仕事の始業時間などの関係で毎日の起床時刻はある程度決まってくるので、平日の夜に自分の時間を持とうとすると、どうしても睡眠を削ることになりますよね。
だから「5時間睡眠」「6時間睡眠」というと、たいして短くないように感じるかもしれません。

誰もが「睡眠負債者」の予備軍
けれど仮に1日「7時間」の睡眠が必要な人が「5時間」睡眠を毎日続けると、1日に2時間ずつ睡眠負債がたまっていきます。
この生活を2週間続けると、2時間×14日で、なんと28時間連続で起きている時と同じ脳の状態になるといいます。
これは「1日の睡眠不足(時間)×日数=連続で起きている時間数(時間)」という、睡眠不足による脳のダメージを「連続で起きている時間数」で表す計算式に当てはめたものです。
またこのように1日2時間の睡眠不足が14日間続くと、弱度酩酊状態といって、お酒を飲んで「ほろ酔い」の時の血中アルコール濃度とほぼ同じ脳の働きになるという実験結果が出ています。

ほろ酔いの時は気分がいいのでハッピーでしょうが、睡眠負債の場合には意識が朦朧としていることに加え、体がだるくて重いし、眠いし、精神的にも不安定になりやすく、思考もネガティブになりがちなので、高いパフォーマンスを上げるには決していい状態とはいえません。

ちなみに1晩程度の徹夜や寝不足ですと逆にハイテンションになりやすい(逆に寝すぎだと鬱っぽくなりやすい)ので、1〜2日の徹夜や睡眠不足は「勢い」で何とか乗り切れてしまうことも多いでしょう。
そして実は1晩徹夜するよりも、1日1〜2時間など少しずつ負債をためていくほうが、より心身にダメージが大きいことがわかっています。
日常を蝕む「前頭葉の働き」の低下 いま睡眠負債について盛んにいわれているのは、高血圧、糖尿病、認知症やガンになるリスクが高まるということ。

けれど実は、治療が必要になるようなこれらの病気になる前に、睡眠負債はあなたにピッタリと寄り添って悪さをしています。
なぜなら、脳は「十分」な睡眠なしには「十分」に働かないようにできているからです。
睡眠不足で、最初に低下する脳の機能の1つが「全身の司令塔」ともいえる前頭葉です。

今回は前頭葉の働きが低下した際に起こる、睡眠負債の日常的な弊害について説明します。

1.仕事のミス
前頭葉は「脳内の記憶を引き出す」「論理的に考える」「クリエイティブな発想をする」「適切な判断をする」「注意力を維持する」など、「賢い人」として働いてくれます。
それは仕事をするうえで、どの職種の人にも必要な機能。
きちんと睡眠をとっている場合に比べて(他人との比較ではなく、「自分の中での比較」で)、睡眠不足の場合は前頭葉の働きが低下して上記のスキルが低くなった結果、たくさんの「トホホ」が。

たとえば、注意力、集中力が落ちてケアレスミスが増えるのもその1つ。
上司や部下からの不意の質問にうまく答えられなかったり、もしくは自分の考えをまとめるのにいつも以上に時間がかかってしまったり。
いいアイディアが思い浮かばない、資料作りに異常に時間がかかる、会議や商談など勝負の場で頭がぼんやりして的外れもしくは十分に練れていない発言をしてしまったりと、自己嫌悪に陥ってしまいそうな事態が起こりやすくなります。

1〜2日の睡眠不足なら勢いで何とか乗り切れますが、それが毎日だとしたらおそろしく生産性が低くなりますし、頭が冴えて絶好調な時に比べてずいぶん「能力ダウン」な仕事内容になるでしょう。
さらに、睡眠負債がたまっていくと、冴えている日があまりなくなってくるので、冴えない日の自分がスタンダードになってしまう危険性もあります。

2.日常生活のミス
睡眠不足が蓄積し前頭葉の働きが低下して、判断力が鈍るという観点では、仕事以外のシーンでも、トホホのワナがたくさんあります。
たとえば、節約しているのに、眠気を感じながらダラダラとネットサーフィンをして必要のない物を買ってしまったり、ダイエットしているのに、1日の後半にラーメンやお菓子などを食べてしまったり。

女性の場合は、たいして誠実な男ではない予感がしているのに、押しの強さに流されて勢いで付き合っちゃったり。
男性の場合は、最高の彼女なのに、一生の伴侶にする決断ができず愛想を尽かされて逃げられちゃったり。

情緒不安定になり、
   自己肯定感も低下
前頭葉の働きが鈍った状態では、相手の本質を見抜けないまま、相手にコントロールされ、流されてお付き合いや結婚なんてことや、逆に判断力が鈍っているために最愛の人を失うなんてことにも。
ちなみに「流される」ことと、「勢い」は別物です。

流されることは、自分の人生を運に任せること。
勢いは「それでいいか」と自分できちんと判断して納得したうえで、実現に向けてスピードを上げて進むことです。
振り返ってみて、自分が欲しい未来に対して「理性が働いていなかった」「流されてなんとなく」「思考停止になっていた」などで、「ダメなほうを選んでいた」ことが多い場合は、睡眠時間を見直すのも1つの手かもしれません。

3.婚活のミス
寝不足が続くと、やけにイライラしたり落ち込んだりすることはありませんか?
 前頭葉の働きが鈍ると、情緒が不安定になったり、自己肯定感を持てなくなることが報告されています。
これは、婚活をしている人には、悪影響を及ぼしかねません。
婚活は自分が相手を選ぶ要素はもちろん、大勢の中から選ばれないといけない要素もあるので、情緒が不安定で自分に自信のない状態では辛いですし、逆にその不安定さにつけ込む人が出てきてしまうかもしれません。

前頭葉が満足に働いていない場合、正しい判断力を持つことがどうしても難しくなるので、特に「『婚活』は睡眠負債を返済してから(少なくとも返済しながら)」をスローガンにしたいところです。

寝不足カップルはケンカしやすくなる?

4.パートナーシップのミス
また前頭葉の働きが鈍っている時は、考え方もネガティブになりやすくなるので、付き合っている相手に対して「本当に自分のことを好きか」疑ったり、浮気を疑ってしまう、なんてことも考えられます。

また、相手の気持ちを慮る力や、共感力が減るうえ、自分の感情をコントロールする力も弱くなるので、寝不足のカップルはケンカしやすくなるというデータもあります。

睡眠負債は、私達の能力を自分史上最高に「バッドコンディション」に導き、仕事、人間関係など日々の大切な場でのパフォーマンスを落としてしまいます。
ここまでこの記事を読んでくれた読者に、筆者が伝えたいことはただ1つです。

十分に寝ると、脳がよく働いてくれて「思いもよらない良いこと」が本当にたくさんあります。
その「思いもよらない良いこと」を手に入れるためにも、休日に平日よりも2時間以上長く寝る人、毎日眠い人、日ごろ睡眠不足を感じている人は、2018年は、だまされたと思って10分でも20分でも長く寝ましょう!
posted by 小だぬき at 00:00 | 神奈川 ☁ | Comment(2) | 健康・生活・医療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする