気づきにくく重症化しやすい
「低温やけど」の恐怖!
冷やしてもダメ!消毒もだめ!
2018.01.12 ヘルスプレス
連日連夜、冷え込みが厳しい。
湯たんぽや使い捨てカイロが手放せない。
2017年12月6日、消費者庁は「湯たんぽによる低温やけどに関する注意」を発表。
就寝時は布団に入れたままにせず、温まったら取り出すようにアドバイスしている。
だが、湯たんぽを朝まで布団に入れたまま寝ている人が多いだろう。
湯たんぽや使い捨てカイロは、使い方を間違えると低温やけどを招く。
どのような注意が必要だろう?
気づきにくく、重症化しやすい
『新版 今さら聞けないスキンケアの正解』 (主婦の友社/よしき皮膚科クリニック銀座・吉木伸子院長)によれば、
低温やけどとは、40度から60度くらいの、比較的低温で受けるやけどだ。
40度で約6時間、44度で2時間、50度で2〜3分で低温やけどを生ずるが、体質、部位、熱源によって時間は異なる。
人間の皮膚温は36度程度だが、40度でも長時間さらされれば、皮膚のタンパク質が熱変性して壊死する。
それが低温やけどだ。
温熱熱傷(熱湯、火焔、蒸気などの熱による損傷)の1つで、低温熱源による熱傷を指す。
起こしやすい部位は、かかと、くるぶし、すねなど皮膚の直ぐ下に骨がある部位が多い。
また、低温やけどは、若い人よりも高齢者や糖尿病などの持病がある人に起きやすい。
健康なら体をずらして避けられるが、糖尿病の神経障害のために感覚が低下していたり、脳梗塞や骨折などで体を動かしにくい状態なら、湯たんぽなどに皮膚が長時間触れたままにになる。
寝たままの乳幼児にも注意が必要だ。
最初は、皮膚がやや赤くなる程度なので、皮膚の変化も目立たず、痛みも弱い。
だが、数日後に皮膚が黒ずみ、皮膚の深部に穴が開くように崩れる。
このように自覚症状が乏しく、受診まで時間がかかることが多いため、受診時には皮膚の皮下組織が破壊され、手術が必要になる場合もある。
治療に1カ月近くかかったり、やけどの痕跡が残ったりする。
気づきにくいために、重症化しやすいのが、低温やけどの最大のリスクだ。
低温やけどは冷やさない!
「水疱が出る」
「真ん中が黒くなってくる」なら
急いで皮膚科へ!
低温やけどの原因は、湯たんぽだけではない。
電気あんか、使い捨てカイロ、こたつなどの温熱器具のほか、ファンヒーターの前で寝てしまったなど例も少なくない。
知覚が低下している高齢者ならトイレの便座や、ダイエット器具(電極を当てて電気を流し、温度を上げたり筋肉を動かす器具)、スマホなどの報告もある。
低温やけどを起こす条件は何か?
血行不良(血行が悪いと熱がこもる)、
高齢者、糖尿病患者(知覚がにぶく熱さを感じない)、
温度が高くなる環境(使い捨てカイロを貼って毛布をかけて寝る、電車のヒーターの上にすわる)、圧迫(使い捨てカイロの上からガードル、電気あんかに足をのせて上から布団をかける)、
爆睡、泥酔などだ。
特に、あんかや湯たんぽの場合は、毛布や布団をかけて熱がこもる、足に当て圧迫も受けるので、さらに血行悪化するため、低温やけどを起こしやすい。
したがって、あんかや湯たんぽは、体から離して絶対に触れない位置におくか、寝るときは布団から出すようにしよう。
低温やけどを起こした時の
注意点は何か?
低温やけどに気づいたら、まず冷やさない。
血行がさらに悪くなるからだ。
消毒もしない。
赤みがだけ軽症なら、ワセリンを塗って保護する。
だが「水疱が出る」「真ん中が黒くなってくる」なら、急いで皮膚科を受診しなければ危険だ。
いずれにせよ、低温やけどを起こさないように、十分に注意して暖房器具を使うのが、最善策であることは言うまでもないだろう。
(文=編集部)
*参考
▶︎京都逓信病院
▶︎兵庫県立健康生活科学研究所生活科学総合センター