本気の倒閣へ舵
安倍首相vs朝日新聞が
「最終戦争」突入へ
2018年3月6日 日刊ゲンダイ
「朝日新聞が政権転覆に舵を切った」――。
森友学園関連の決裁文書を財務省が改ざんした疑いについて朝日が1面トップで伝えた先週金曜(2日)、永田町では自民党議員からも冒頭のような声が上がった。
朝日の報道の通りなら、麻生財務相のクビどころか、内閣が吹っ飛ぶような国家犯罪だが、朝日は本気で安倍政権を倒しにいくつもりなのか。
「朝日の幹部が国会議員OBに会った際、こう言っていたそうです。
『自分たちはそれなりにやってきたつもりだが、国会の委員会での安倍首相の名指し攻撃は度を越している。
そこまでやるなら、こっちも腹を決めて勝負に出る。
森友学園問題に関して隠し玉がある』と」(永田町関係者)
どうやら朝日は材料を集めていたようで、それはこの財務省の一件だけではないらしい。
「平昌五輪期間中を避けて、一番効果的な記事化のタイミングを見極めていたところ、不適切データの問題で裁量労働制拡大の法案提出が断念に追い込まれた。
そこで、弱り目にたたり目のこのタイミングで勝負を懸けたということでしょう。
スクープは1発だけではなく、第4弾、第5弾まで用意しているそうです」(前出の永田町関係者)
■自らの説明責任は棚に上げて朝日攻撃
もともと朝日嫌いの安倍首相だが、年明け以降の朝日攻撃は確かに異様だ。
昨年5月、森友学園の籠池前理事長が小学校の設立趣意書に「安倍晋三記念小学校と書いたと証言した」と朝日が報じたが、設立趣意書の文言は「開成小学校」だった。
安倍首相はこれに噛みつき、朝日攻撃を繰り返している。
1月28日の衆院予算委で「(朝日は)籠池被告が言ったことをうのみにした」、31日の参院予算委でも「安倍政権を攻撃するためだったのか、朝日新聞は裏を取らずに事実かのように報道した」と猛批判。
それだけじゃない。自民党議員のフェイスブックに「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳」とコメントを書き込み、2月13日の衆院予算委では、30年前の朝日新聞カメラマンのサンゴ落書きや、13年前のNHK番組への自らの政治介入報道まで持ち出して口汚くケナした。
設立趣意書の件に関していえば、籠池前理事長は当初、小学校への寄付金の「払込取扱票」に「安倍晋三記念小学校」と書いていたし、財務省が開示した設立趣意書は校名の部分が黒塗りされていたのだから、朝日の記事は決して誤報とはいえない。
それなのに、自らの説明責任は棚に上げて朝日攻撃。
政治評論家の本澤二郎氏が「最高権力者が国会で特定メディアを激しく批判するのは、言論弾圧にも等しい破廉恥な行為」と言っていたが、まさに常軌を逸している。
朝日は4日の朝刊1面で、裁量労働制の違法適用で当局から指導された野村不動産の社員が過労自殺していたことをスッパ抜いた。
これも“倒閣”の一環なのだろう。
働き方改革への野党の批判が勢いづき、「スーパー裁量労働制」と呼ばれる「高度プロフェッショナル制度」の創設も怪しくなってきた。
焦点は、決算文書改ざん疑惑について財務省がどう説明するのかだ。
自民党内では「朝日は過去に、福島原発事故の吉田調書の件などでチョンボをしている」と誤報に期待をかける向きもあるが、もし誤報なら、逆に朝日の社長のクビが飛ぶ。
安倍首相か朝日か、どちらが倒れるか――。
いよいよ最終戦争に突入した。